JP4310597B2 - 貯槽屋根 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、潅漑用水や水道水等の液体、或いは穀物や石炭等の粉粒体、若しくは廃棄物のごみ等の貯蔵物を常圧下で貯蔵する大形貯槽に設ける貯槽屋根に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
潅漑用水や水道水等の液体、或いは穀物や石炭等の粉粒体、若しくは廃棄物のごみ等の貯蔵物を常圧下で貯蔵する大形貯槽の屋根は、例えば鋼製底壁と鋼製側壁よりなる貯槽本体の、その鋼製側壁の上部に鋼製屋根骨を配設し、その屋根骨の上に鋼板製の屋根板を敷き並べ溶接結合して形成した円錐形状またはドーム形状等の鋼製屋根、あるいはコンクリート製底壁とコンクリート製側壁よりなる貯槽本体の、そのコンクリート製側壁の上部に、支保工に支えられた型枠を設け、その型枠上に鉄筋を配設しコンクリートを流し込み、あるいは吹き付け等して形成した円錐形状あるいはドーム形状等のコンクリート製屋根が用いられている。
【0003】
また、その他の屋根として、内部の空気圧を外部の空気圧より高めにし、その空気圧の差で膜体を支えたエアドーム屋根、或は本出願人に係る特許第2608474号のコンクリート製屋根、つまり貯槽本体内部の昇圧空気圧を受けた張力状態の可撓膜体上にコンクリート等を設置して形成するコンクリート製ドーム屋根も普及している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1番目従来技術の鋼製屋根は、堅牢で優れた構造の屋根ではあるが、屋根部品の工場製作等に多くの手間がかかり、その屋根の現場構築には多くの技能工を必要とする。また、上記第2番目従来技術のコンクリート製屋根は、上記鋼製屋根と同様に、堅牢で優れた構造の屋根ではあるが、支保工等の仮設に多くの費用がかかり、型枠の製作作業等には高度の熟練工を必要とする。
【0005】
上記第3番目従来技術のエアドーム屋根は、簡便な構造で大形野球場等の屋根にも適したものではあるが、台風等による強風や気圧変化に対する心配が残るもので、内部の昇圧空気圧管理にも常に細心の注意を必要とする。それらに対し、特許第2608474号のコンクリート製ドーム屋根は、仮設費用が少なく、多くの熟練工も必要とせず、かつ安全に構築できる優れたドーム形状の屋根ではあるが、屋根に降る雨水を一箇所に集めて排水可能で、かつデザイン的にも優れた懸垂線曲線形状、つまりカテナリー形状を呈した屋根ではなかった。
【0006】
この発明は上述従来技術の屋根が内在する問題等の課題を解決するためになされたもので、仮設費用が少なく、かつ多くの熟練工も必要とせず、さらに、中央部を安定させ作業能率良く、短い工期で、より安全に構築できるとともに、中央部が一体化し均一で形状に優れ、高い強度を備えた大形カテナリー形状の貯槽屋根を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る貯槽屋根は、底壁と側壁とよりなる貯槽本体の該側壁上部に端縁を固定しカテナリー状に掛け渡して緊張材を設け、該緊張材の上に設け上記貯槽本体を被覆する可撓膜体は、該可撓膜体の中央部を貫通して上方に突出する筒状部材からなる溢流ノズルを設けてなり、該可撓膜体をカテナリー状の緊張状態下で、該可撓膜体の上面に設置する被覆強度材を剛体化せしめて形成し、さらに、上記溢流ノズルの周囲には、該溢流ノズルの高さより高い堰板を、上記可撓膜体及び前記被覆強度材と一体化するように立設し、該堰板の上部を被覆するろ過器を設け、さらに、上記形成した貯槽屋根上に突出する溢流ノズルの上端縁に蓋状弁を設け、かつ該蓋状弁は浮力で開き重力で閉じるようにフロートを設け、さらに、上記形成した貯槽屋根上に突出する溢流ノズルの下端部に排水管を設け、該排水管は貯槽の気層部を通って貯槽外部に至るように形成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4に基づいて、この発明に係る貯槽屋根の実施形態例について説明する。図1は、潅漑用水を貯蔵するコンクリート製の貯槽屋根に、この発明に係る貯槽屋根を適用した実施形態例で、図2は、この貯槽屋根を一部切り欠いて示す斜視説明図である。図3は、溢流ノズルの上端縁にフロート付き蓋状弁を設けて形成した貯槽屋根を示す実施形態例であり、図4は、溢流ノズルの下端部から貯槽外部へ至る排水管を設けて形成した貯槽屋根を示す実施形態例である。
【0011】
図1に示すように、貯槽本体1は、平版状のコンクリート製底壁2と、この底壁2の外周縁近傍部に直立する円筒形のコンクリート製側壁3と、この側壁3の上端部に周縁を結合したカテナリー形状の貯槽屋根4とで形成する。このカテナリー形状の貯槽屋根4は、図2に一部を切り欠いて示すように、貯槽本体1の側壁3の上部に緊張材10の端縁を固定してカテナリー状に掛け渡し、その緊張材10の上に、周縁を側壁3の上部に気密固定した可撓膜体5を設け、次いで、排気装置(図示省略)を用いて貯槽内を減圧し可撓膜体5をカテナリー状の緊張状態にして、この可撓膜体5の上面に、設置後剛体化するコンクリートモルタル等の被覆強度材6を設けて剛体化せしめ、上記貯槽内の減圧を解除して形成するものである。
【0012】
このカテナリー形に設ける可撓膜体5は、該可撓膜体5の中央部を上下に貫通し上方に突出する筒状部材7を予め設けておいて、該筒状部材7は貯槽屋根4の中央部を貫通して上部に突出する溢流ノズル8に形成する。なお、溢流ノズル8の上部を被覆する夾雑物ろ過器9を設置した場合には、夾雑物11は分離され雨水12のみが貯槽内へと排水される。
【0013】
図2に基づいて、可撓膜体5についてさらに詳述する。可撓膜体5は、その中央部を貫通して筒状部材7を設ける。この筒状部材7は、可撓膜体5の貫通する開口部周縁を補強するように、テンション性能に優れた金属製円筒、或いは合成樹脂製円筒などのセンターリングに形成し、可撓膜体5に接着や溶着、或いは取付部材などを介して気密で強固に一体結合しておく。なお、この筒状部材7の上端部には吊り係合部13などを設け、図の二点鎖線で示すように、可撓膜体5を貯槽上部に吊り上げて搬入し、該可撓膜体5の周縁を側壁3上部に気密固定する際に使用する。
【0014】
上記のように筒状部材7を設けた可撓膜体5は、膜材の貫通部周縁近傍に補強膜を当てて溶着したり或いは周縁を括って環状に纏めて筒状部材7と結合することによって、中央の開口部周縁の強度が向上する。また、図の二点鎖線で示すように、筒状部材7上端縁の吊り係合部13にワイヤを係合し、可撓膜体5を吊り上げて貯槽の中心上方に移動する際に、筒状部材7周縁結合部全体でその荷重を分散するので、可撓膜体5の周縁部に無理な力がかかることなく損傷などの心配がない。また、可撓膜体5の中心の位置決めがし易く、中央にかかる張力を筒状部材7で平均に受け、均一な力で引っ張ることができるので、可撓膜体5周縁を側壁3上部に固定設置する際の作業性が良い。なお、緊張材10を放射状に設けその中央部を筒状部材7の下端部に接続した場合には、筒状部材7を中心にして緊張材10に平均に張力がかかるため、緊張材10の中央部の重心が安定し均一な形状が得られる。そして、可撓膜体5を側壁3周縁に気密固定した後には、この筒状部材7の開口部に、図の網線で示す遮閉蓋14を設けて閉塞し、次いで気密固定した可撓膜体5下部の貯槽内を減圧してカテナリー状に張設する。この減圧して張設する際にも、筒状部材7によって可撓膜体5の中央部の重心が安定するため、均一で美観に優れたカテナリー形状を得ることができる。
【0015】
次いで、上記カテナリー状に緊張させた状態の可撓膜体5の上面に、設置後剛体化する被覆強度材6を設ける。この際に筒状部材7の外周部は、被覆強度材6内の鉄筋など(図示省略)に溶接或いは接合部材などを介して一体に結合する。次いで、被覆強度材6が剛体化した後、貯槽本体1内の減圧を解除して、カテナリー状を呈した貯槽屋根4を形成する。この減圧解除の際に、減圧によってカテナリー形状の緊張状態を呈していた可撓膜体5、およびこの可撓膜体5に抑えられて下方にカテナリー形状の緊張状態を呈していた緊張材10が、中央の筒状部材7を中心にして平均に浮き上がり元のカテナリー形状に復元しようとして、剛体化した被覆強度材6に下方から上方に向けて押上げ力を加える。そして、その押上げ力が付勢することによって、緊張材10と可撓膜体5と被覆強度材6の一体化剛性力は増し、さらに屋根中央の筒状部材7との一体化によって屋根中央部の結合力が一層向上する。この一体化し結合力の向上した貯槽屋根4は、上記押上げ力にも助けられて、貯槽屋根4の上に加わる荷重、例えば積雪荷重や滞留雨水荷重などの外部荷重に強い、優れた強度を備えたカテナリー形状の貯槽屋根4となる。
【0016】
上記貯槽屋根4の形成に用いる可撓膜体5に設けた筒状部材7は、図1に示すように、上記遮閉蓋14を取り除いて閉塞を開放し、突出した筒状部材7そのまま、或いは筒状部材7上部に配管材等を継ぎ足し、さらに外周部を被覆強度材6とも結合し、その上端縁を貯槽屋根4の上に突出させ溢流ノズル8に形成する。このように、可撓膜体5と一体化している筒状部材7を、溢流ノズル8の全体或いは一部の部材として使用することにより、可撓膜体5と溢流ノズル8及び被覆強度材6の一体化が図られ、かつ溢流ノズル8周縁部の強度が高くなって貯槽屋根4中央部の耐久性が向上する。
【0017】
上記貯槽屋根4に形成する溢流ノズル8は、水より比重の大きい土砂などの夾雑物11をせき止め沈降させるように、例えば数センチメートル乃至数十センチメートル程度の突出高さとして、金属製材料、コンクリート製材料、或いは合成樹脂製材料などよりなる管材や板材、或いはパネル材などを用いて形成する。また、上記溢流ノズル8の上部を被覆する夾雑物ろ過器9は、金属製材料又は合成樹脂材料などよりなる網体を使用し、落葉やゴミなどの粗大な夾雑物11を通過させないように、例えば数ミリメートル程度の網目間隔として、さらに、夾雑物11を周囲に落ち易くするように、補強枠材などを用いて中央部を盛り上げ、その外周縁を溢流ノズル8の上端部に固着形成する。
【0018】
上記のように、貯槽屋根4の中央部に突出する溢流ノズル8を設けたので、貯槽屋根4上に降る雨水12は、中央部に集まり一旦溢流ノズル8にせき止められて、水より比重の大きい土砂などの夾雑物11を沈降分離した後、溢流ノズル8を越えて貯槽内部へと自然流下によって流入する。また、上記溢流ノズル8の上部を被覆する夾雑物ろ過器9を設けた場合には、風や雨水12などによって貯槽屋根4上の中央部に集まる落葉などの粗大な夾雑物11は、夾雑物ろ過器9に遮られて貯槽内部へ侵入することがない。よって、雨水12を貯槽屋根4上に滞留させることなく貯槽内部へ簡単容易に排水することができ、また夾雑物11の侵入による貯蔵物の汚染もなく清浄を維持することができる。
【0019】
そして、上記せき止める溢流ノズル8の突出高さを高くすることによって、水より比重の大きい土砂などの夾雑物11は沈降させ充分に分離させ、また、被覆する夾雑物ろ過器9全体の表面積を広くし、中央部を盛り上げ傾斜を与えるなどして、落葉やゴミなどの粗大な夾雑物11を周囲に落ち易くし、目詰まりや上部への堆積をなくすことによって、雨水量が多い場合でも排水が間に合わなくことはない。また、貯槽屋根4上の落葉や土砂などの夾雑物11の除去や掃除などのメンテナンスは、中央部に掻き集めた状態で簡単容易に行える。
【0020】
図3は、溢流ノズル8の上端縁にフロート16付き蓋状弁15を設けて形成した貯槽屋根4を一部欠徐して示す実施形態例である。カテナリー形状の貯槽屋根4の中央部を貫通する溢流ノズル8の上端縁に蓋状弁15を設け、この蓋状弁15は、浮力で開きかつ重力で閉じるように、蓋状弁15の周囲に浮力体のフロート16を設ける。さらに、上記溢流ノズル8の周囲には、該溢流ノズル8の高さより高い堰板17を、可撓膜体5及び被覆強度材6と一体化するように立設し、この堰板17の上部を被覆する金網などの夾雑物ろ過器9を、例えば山形コーン状に傾斜させて設ける。
【0021】
上記溢流ノズル8の上端縁に設ける蓋状弁15は、金属製材料又は合成樹脂材料よりなる平板材、或いはブロック材などを使用して蓋状に形成する。なお、この蓋状弁15下面の溢流ノズル8との接触部端縁に、合成ゴムなどのパッキンなどを設けた場合には、上記重力による密着のシール性が良くなる。また、蓋状弁15の周囲に設けるフロート16は、合成樹脂材、合成ゴム材よりなるブロック体、或いは合成樹脂材、ステンレス材などを用いた中空体などを使用して浮力体に形成する。
【0022】
このように形成した場合には、雨水12が堰板17を越えて侵入し、堰板17と溢流ノズル8に囲まれた内側に溜った時に、雨水12から受ける浮力でフロート16が浮上して蓋状弁15を平均に開口させ、雨水12は溢流ノズル8の上端部から貯槽内へと流入する。雨水12の量が少ない時や降雨がない通常使用時にはフロート16及び蓋状弁15は、その重力で水平を保ち平均に押圧して、溢流ノズル8の上端部を閉塞する。また、雨水12や風などとともに屋根4の中央に集まってくる水より比重の大きい土砂など11bは、堰板17によってせき止められ沈降して堆積し、落葉など水に浮く粗大物11aは夾雑物ろ過器9によって遮られる。このように落葉や土砂などの夾雑物11が堰板17及び夾雑物ろ過器9から侵入しないので、その内部に位置するフロート16及び蓋状弁15は、夾雑物11の介在による作動障害を受けることなく安全確実に作動する。
【0023】
上記のように、屋根4上の雨水12は中央部に集まり堰板17を越え夾雑物ろ過器9を通過してフロート16を浮上させ、フロート16の浮力で蓋状弁15を開口させるため、溢流ノズル8から安全確実に雨水12を貯槽内部へ排出することができる。なお、雨水12が排出された後などの通常使用時には、蓋状弁15はフロート16及び蓋状弁15の重力によって溢流ノズル8を閉塞するので、貯槽内のガスは蒸発して大気中に流出することがない。
【0024】
図4は、溢流ノズル8の下端部に貯槽外部へ至る排水管18を設けて形成した貯槽屋根4を一部欠徐して示す実施形態例である。カテナリー形状の貯槽屋根4の中央部を貫通する溢流ノズル8から貯槽の気層部を通って貯槽外部に至るように、該溢流ノズル8の下端部に排水管18を設け、さらに、この溢流ノズル8の周囲に堰板17を立設し、その上部を被覆する金網などの夾雑物ろ過器9を、例えばドーム状に傾斜させて設けたものである。
【0025】
この排水管18には、特別な弁体などを取付ける必要はなく、例えば、硬質塩化ビニル管、ポリエチレン管、ライニング鋼管などの耐食性を有する軽量な管材を使用する。なお、排水管18の接続部19は、溢流ノズル8を上部から差し込む構造、或いはねじ込む構造などの着脱容易な接続構造とした場合には、貯槽屋根4の上部から点検や掃除などを行うメンテナンス作業が容易となる。
【0026】
上記のように形成した場合には、貯槽屋根4上の中央部に集まった雨水12は、溢流ノズル8から排水管18内を重力によって自然に流下し、貯槽外部へと排出除去される。また、夾雑物11は、堰板17及び夾雑物ろ過器9に遮断されて、排水管18内部へ侵入することがなく詰まりも生じない。そして、貯槽内のベーパーやガスも大気中へ放出されることがない。
【0027】
このように雨水12は排水管18によってタンク外部へ排出されるため、貯蔵物が雨水12の侵入によって汚染され品質低下することがない。また、排水管18は、貯蔵物内を通過していないので、貯蔵物が排水管18の通過によって汚れることなく、貯蔵物が排水管18内へ侵入することもないので雨水12との混合の心配も生じない。よって、雨水12の混入が好ましくない上水道水、油等の液体、或いは穀物や石炭等の粉粒体、若しくは乾燥ごみ等の貯蔵物などを貯蔵する大形貯槽の貯槽屋根4に設ける排水構造に適したものとなる。
【0028】
なお、図1乃至図4の実施形態例は、貯槽屋根がコンクリート構造の場合について示したが、コンクリート以外の金属や合成樹脂などの構成部材で形成した大形カテナリー形状の貯槽屋根においても、上記と同様に適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
上述の説明で明らかなように、この発明に係る貯槽屋根は、側壁上部に端縁を固定しカテナリー状に掛け渡して緊張材を設け、該緊張材の上に設け貯槽本体を被覆する可撓膜体は中央部を貫通して上方に突出する筒状部材からなる溢流ノズルを設けてなり、該可撓膜体をカテナリー状の緊張状態下で、該可撓膜体の上面に設置する被覆強度材を剛体化せしめて形成したので、上記筒状部材を設けた可撓膜体中央部の強度が向上し、また、この筒状部材を使用した可撓膜体の吊り上げ及び取付けは作業性が良く、可撓膜体中央部が安定し平均に張設され、可撓膜体と被覆強度材と溢流ノズルとの一体化が向上し美観に優れたカテナリー形状となる。よって、仮設費用が少なく、かつ多くの熟練工も必要とせず、さらに作業能率良く短い工期で、より安全に構築できるとともに、形状に優れ高い強度を備えた大形カテナリー形状の貯槽屋根とすることができる。さらに、溢流ノズルの周囲には、該溢流ノズルの高さより高い堰板を、可撓膜体及び被覆強度材と一体化するように立設し、この堰板の上部を被覆する金網などの夾雑物ろ過器を設けたので、雨水や風などとともに屋根の中央に集まってくる水より比重の大きい土砂などは、堰板によってせき止められ沈降して堆積し、落葉など水に浮く粗大物は夾雑物ろ過器によって遮られ、その内部に位置するフロート及び蓋状弁は、夾雑物の介在による作動障害を受けることなく安全確実に作動する。
【0030】
また、上記溢流ノズルの上端縁に蓋状弁を設け、かつ該蓋状弁は浮力で開き重力で閉じるようにフロートを設けて形成した貯槽屋根にあっては、屋根上の中央部に溜った雨水でフロートを浮上させ、その浮力で蓋状弁を開口させるため、雨水を確実容易に貯槽内部へ排出することができる。そして、雨水が排出された後の通常使用状態の蓋状弁は、フロート及び蓋状弁の重力によって閉塞されるので、貯槽内ガスと大気の出入りがないため、貯槽内を気密に保持した貯槽屋根となる。また、貯槽屋根の中央部に集まる落葉や土砂などの夾雑物は、突出した溢流ノズルによって遮られるため、フロート及び蓋状弁に作動障害を与えることがなく、貯槽内へ夾雑物が侵入することもなく貯蔵物を清浄な状態に維持する貯槽屋根となる。
【0031】
また、上記溢流ノズルの下端部に排水管を設け、該排水管は貯槽の気層部を通って貯槽外部に至るように形成した貯槽屋根にあっては、貯蔵物が雨水の侵入によって汚染されることはなく、この排水管は、貯蔵物内を通過していないので、貯蔵物が排水管の通過によって汚れることなく、また貯蔵物が排水管内へ侵入することもない。このように、雨水と貯蔵物との混合の心配がないので、雨水との混合が好ましくない上水道等の液体、或いは穀物等の粉粒体などの貯蔵物を貯蔵する貯槽屋根に適したものとなる。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る貯槽屋根の一実施形態例を一部簡略化して示す縦断面説明図である。
【図2】 図1の貯槽屋根を一部切り欠いて示す斜視説明図である。
【図3】 溢流ノズルの上端縁にフロート付き蓋状弁を設けた貯槽屋根を一部欠除して示した側断面説明図である。
【図4】 溢流ノズルの下端部から貯槽外部へ至る排水管を設けた貯槽屋根を一部欠除して示した側断面説明図である。
【符号の説明】
1 貯槽本体 2 底壁 3 側壁
4 貯槽屋根 5 可撓膜体 6 被覆強度材
7 筒状部材 8 溢流ノズル 9 夾雑物ろ過器
10 緊張材 11 夾雑物 11a 粗大物
11b 土砂など 12 雨水 13 吊り係合部
14 遮閉蓋 15 蓋状弁 16 フロート
17 堰板 18 排水管 19 接続部
Claims (1)
- 底壁と側壁とよりなる貯槽本体の該側壁上部に端縁を固定しカテナリー状に掛け渡して緊張材を設け、該緊張材の上に設け上記貯槽本体を被覆する可撓膜体は、該可撓膜体の中央部を貫通して上方に突出する筒状部材からなる溢流ノズルを設けてなり、該可撓膜体をカテナリー状の緊張状態下で、該可撓膜体の上面に設置する被覆強度材を剛体化せしめて形成し、
さらに、上記溢流ノズルの周囲には、該溢流ノズルの高さより高い堰板を、上記可撓膜体及び前記被覆強度材と一体化するように立設し、該堰板の上部を被覆するろ過器を設け、
さらに、上記形成した貯槽屋根上に突出する溢流ノズルの上端縁に蓋状弁を設け、かつ該蓋状弁は浮力で開き重力で閉じるようにフロートを設け、
さらに、上記形成した貯槽屋根上に突出する溢流ノズルの下端部に排水管を設け、該排水管は貯槽の気層部を通って貯槽外部に至るように形成したことを特徴とする貯槽屋根。
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