JP4306750B2 - 撮像装置、撮像方法、露光制御方法、プログラム - Google Patents
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Description
これを応用したものとして、ダイナミックレンジの広い画像を撮影可能な装置(ワイドダイナミックレンジカメラ)があり、その合成画像の品質を向上させる装置・方法が上記特許文献2,3に開示されている。
そこで本発明では、合成後の画像における黒つぶれや白とびの解消を、より有効に実現できる手法を提供することを目的とする。
或いは上記制御部は、目標輝度積算値の収束目標との差分値を算出し、現在の目標輝度積算値と上記差分値との演算により新たな目標輝度積算値を設定する。
また上記検波部は、上記輝度ヒストグラムとして、少なくとも輝度レベルを、黒レベル、中間レベル、白レベルに分けて輝度分布を示す情報を生成するとともに、上記制御部は、上記目標輝度積算値の設定に、上記中間レベルの情報を用いる。
また上記制御部は、現在の短時間露光時間と固定値との演算により新たな短時間露光時間を設定する。
或いは上記制御部は、短時間露光時間の収束目標との差分値を算出し、現在の短時間露光時間と上記差分値との演算により新たな短時間露光時間を設定する。
また上記検波部は、上記輝度ヒストグラムとして、少なくとも輝度レベルを、黒レベル、中間レベル、白レベルに分けて輝度分布を示す情報を生成するとともに、上記制御部は、上記短時間露光時間の設定に、上記中間レベルの情報を用いる。
また本発明のプログラムは、このような露光補正のための処理を演算処理装置に実行させるプログラムである。即ち上記合成画像信号についての輝度積算値と輝度ヒストグラムを取得するステップと、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出するステップと、黒つぶれの検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定するステップと、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出するステップと、白とびの検出結果に基づいて短時間露光時間を設定するステップと、上記目標輝度積算値及び上記短時間露光時間を用いて露光補正制御を行うステップとを演算処理装置に実行させ、上記露光補正制御ステップは、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出し、検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定し、該目標輝度積算値を用いて、上記長時間露光画像信号に関する露光補正制御と、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出し、検出結果に基づいて短時間露光時間を設定し、該短時間露光時間を用いて上記短時間露光画像信号に関する露光補正制御を行い、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正制御と白とびに対応した露光補正制御の一方を行うとともに、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正動作が安定しているか否かを判別し、安定していなければ黒つぶれに対応した露光補正制御を行い、安定していれば白とびに対応した露光補正制御を演算処理装置に実行させるプログラムである。
また、この露光補正処理は、あくまで合成画像信号に基づくものであり、合成前の長時間露光画像信号と短時間露光画像信号の処理に依存しない。各種のワイドダイナミックレンジカメラシステムにおいては合成までの処理に各種の違いがあるが、そのような各機種での処理の差異にかかわらず、本発明はワイドダイナミックレンジカメラシステムに広く適用できる。
[1.ワイドダイナミックレンジカメラの概要]
[2.撮像装置の構成]
[3.撮像装置の全体動作]
[4.露光補正処理]
[5.露光補正処理の他の例]
[6.黒つぶれ補正の他の例]
[7.白とび補正の他の例]
[8.実施の形態の効果、及びプログラム]
本実施の形態の撮像装置1は、ワイドダイナミックレンジカメラとしての撮像装置であり、例えば監視カメラなどとして好適に用いられる。もちろん一般ユーザが通常用いるデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなどとしても適用可能である。
ここではまず、ワイドダイナミックレンジカメラについて述べておく。
図2は、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサアレイとしての撮像素子部での、1フィールド内の露光時間と蓄積される露光量(電荷量)を示している。
本例では、1/60秒の1フィールド期間において、例えば1/64秒の長時間露光と、例えば1/2000秒の短時間露光を行う。なお、長時間露光時間と短時間露光時間は可変制御可能である。
この長時間露光と短時間露光を行うことで、1フィールド期間に、長時間露光画像信号と短時間露光画像信号を得る。そしてこの両画像信号を合成する。
合成処理においては、例えば所定の輝度値を切替ポイントSPとする。そして切替ポイントSPよりも低輝度の画素は、長時間露光画像信号の画素信号を採用する。一方、切替ポイントSPよりも高輝度の画素については、短時間露光画像信号の画素信号を採用する。このとき、長時間露光画像と短時間露光画像との露光比を短時間露光画像に乗算することで双方の画像のレベル合わせを行う。
仮に長時間露光画像と短時間露光画像との露光比が10:1であるとすると、短時間露光画像の露光は長時間露光画像の10分の1である。しかし存在する光の量としては短時間露光画像の輝度信号レベルの10倍は光量がある。したがって短時間露光画像信号に10を乗算することによりレベルを合わせる。
このように短時間露光画像信号についてゲイン乗算を行い、図に示すように長時間露光画像信号特性とレベルの合った特性kBを得る。
結果として、特性A−kBの合成画像を生成する。即ち合成画像では、被写体内で比較的暗い領域は長時間露光画像信号による黒つぶれのない画像が得られ、比較的明るい領域は短時間露光画像信号による白とびのない画像が得られる。
例えば画素単位に感度を変えて撮像素子から同じ露光条件の信号のみを抜き出して画像を再生し、露光条件の異なる1又は2以上の画像を合成する方法もある。
またはプリズムにより入射光を分けて、撮像素子と、透過する光を全波長に渡って減少させる、つまり入射光量を等しく減少させるNDフィルタ(Neutral Density Filter:光量調節フィルタ)のような減光機能を持つものとを張り合わせた撮像素子から出力される信号を合成する方法などもある。
例えば銀行などの店舗の出入口、または交通状況の把握のために交通道路など、日中、夜間など撮像される時間帯によりダイナミックレンジが大きく異なる場合において撮像することが多いカメラ、特に監視カメラなどに好適となる。
図1に本例の撮像装置の構成を示す。本例の撮像装置は、撮像光学系1、撮像素子部2,前処理部3、信号処理部4、出力部5,検波部6、タイミングジェネレータ7、光学部品駆動部8、制御部10を備える。
撮像素子部2は、例えばCCDセンサアレイ、CMOSセンサアレイなどの固体撮像素子部として構成される。この撮像素子部2は撮像光学系1を介して導かれた光を光電変換し、撮像画像としての電気信号を出力する。本例の場合、撮像素子部2では1フィールド期間に上述した長時間露光と短時間露光を行い、長時間露光画像信号と短時間露光画像信号としての電気信号を時分割出力する。
なお、撮像素子部2は、固体撮像素子を用いる構成に限られない。例えば撮像管のような非固体撮像素子を用いる構成でもよい。非固体撮像素子についても、メカニカルシャッタ、液晶シャッタ等を利用して、長時間露光と短時間露光を行うことは可能である。
前処理部3は、いわゆるアナログフロントエンドであり、撮像素子部2から出力される撮像画像としての電気信号に対してCDS(correlated double sampling :相関2重サンプリング)処理、プログラマブルゲインアンプによるゲイン処理、A/D変換処理を行う。そしてこれらの処理を行った長時間露光画像信号と短時間露光画像信号を信号処理部4に供給する。
信号処理部4は、生成した合成画像信号を出力部5及び検波部6に出力する。
検波部6は、信号処理部4からの合成画像信号についての輝度分析処理を行い、輝度積算値と輝度ヒストグラムの情報を生成し、制御部10に供給する。
また撮像素子部2の駆動の調整により、図2のような露光時間が相対的に長い長時間露光画像信号と、露光時間が相対的に短い短時間露光画像信号とを出力させることが可能である。また長時間露光画像信号と短時間露光画像信号について、露光時間を可変することも可能である。
光学部品駆動部8は、撮像光学系1における光学部品の駆動を行う。本例に関していえば、少なくとも絞り1aを駆動し、入射光量を調節するための駆動回路部とされる。
以下、本例の撮像装置で実行される露光補正に関する動作を説明する。まずここでは撮像装置において露光補正を含む全体的な撮像動作を述べる。
図4は撮像動作の流れを示している。
この図4の処理が一定間隔で繰り返されることで、出力される映像信号において黒つぶれ、白とびのない画像に徐々に近づけ、ワイドダイナミックレンジカメラの画質を向上させる。
タイミングジェネレータ7は、異なる二つの電子シャッタースピードを設定することが可能であり、1フィールド期間に図2で述べたような長時間露光と短時間露光を撮像素子部2に実行させる。これにより露光量の違う二つの撮像画像信号(露光時間1/64秒の長時間露光画像信号と、露光時間1/2000秒の短時間露光画像信号)が得られる。上記のとおり、長時間露光画像信号と短時間露光画像信号はそれぞれ前処理部3で処理されて信号処理部4に供給される。
信号処理部4は、前処理部3でデジタル化された長時間露光画像信号と短時間露光画像信号を図3で述べた手法で合成し、ダイナミックレンジを拡大させた合成画像信号を生成する。この合成画像信号は、出力部5から例えばモニタディスプレイでの表示のために出力される。
合成画像信号は検波部6にも供給される。検波部6は、合成画像信号の輝度積算値と輝度ヒストグラムを生成し、それをフィールド毎に制御部10に送信する。
図5に検波部6の検波処理を示すが、ステップST31で1フィールドの合成画像信号の輝度積算を行う。またステップST32で輝度ヒストグラムを生成する。
図6に輝度ヒストグラムの例を示す。この例では、輝度について黒レベルBから白レベルWまでを、「B」「mb1」「mb2」「mb3」「mw3」「mw2」「mw1」「W」という8段階の輝度に分け、この8段階の各輝度についての1フィールド画像内での割合(%)を示すものとしている。
例えば図6(a)は合成画像信号の比較的暗めの画像となったフィールドの輝度ヒストグラムの例であり、図6(b)は比較的明るめの画像となったフィールドの輝度ヒストグラムの例である。
制御部10は、輝度ヒストグラムを検査し、黒つぶれ、白とびがなくなるような画像になるように、目標輝度積算値および短時間露光時間を決定する。
黒つぶれの補正は、輝度ヒストグラムの黒部分(B)の比率を検査することで黒つぶれを検出し、黒部分(B)が一定の割合になる様に、目標輝度積算値を設定する。
白とびの補正は、輝度ヒストグラムの白部分(W)の比率を検査することで白とびを検出し、白部分(W)が一定の割合になる様に短時間露光時間を設定する。
制御部10は、上記露光補正処理として決定した目標輝度積算値および短時間露光時間を用いて露光制御を行う。
黒つぶれに対応する長時間露光量については、検波部6から受信した現在の輝度積算値と、上記露光補正処理で設定した新たな目標輝度積算値の差分に基づいて、絞り1aの開口量、撮像素子部2の長時間露光時間、前処理部3のPGA(プログラマブルゲインアンプ)のゲインについて、それぞれ必要な制御量を計算する。そして光学部品駆動部8に絞り1aの駆動を実行させ、またタイミングジェネレータ7に長時間露光時間を指示し、また前処理部3にPGAのゲインを指示する。なお、これらの3つの制御を全て行う他、これらの内の1つ又は2つの制御を行うようにしても良い。
白とびに対応する短時間露光量については、上記露光補正処理で設定された短時間露光時間をタイミングジェネレータ7に指示し、撮像素子部2の短時間露光時間を変化させることとで、必要な露光量を得る。
なお、絞り1aの開口量やPGAゲインは、短時間露光量にも影響を与えるが、合成画像としては長時間露光画像信号側が支配的となるため、絞り1aやPGAゲインについては長時間露光量の補正に用いるようにしている。但し、短時間露光量の調節に絞り1aやPGAゲインを利用してもよい。
上記図4のステップST4の露光補正処理を、図7,図8,図9に詳細に示す。
ステップST4の露光補正処理としては、1フィールド期間に図7の処理が行われる。即ち制御部10はステップF10において輝度ヒストグラムを検査し、黒つぶれを検出する。そしてステップF20で目標輝度積算値Ytを決定する。このステップF10,F20が黒つぶれ補正の処理となる。
また制御部10は、ステップF50で輝度ヒストグラムを検査し、白とびを検出する。そしてステップF60で目標短時間露光時間Ttを決定する。このステップF50,F60が白とび補正の処理となる。
ステップF10の、輝度ヒストグラムから黒つぶれを検出する処理としてステップF101,F102が行われ、ステップF20の目標輝度積算値Ytを決定する処理としてステップF201,F202,F203が行われる。
即ち制御部10は、まずステップF101で輝度ヒストグラムの黒部分(B)の比率が10%以上であるか否かを判断する。10%以上であれば、合成画像信号において黒つぶれが発生していると判断し、ステップF201に進んで、目標輝度積算値Ytを、現在の目標輝度積算値Ytに固定値Cyを加算した値に更新する。つまり、露光量を多くする方向に更新する。
また、輝度ヒストグラムの黒部分(B)の比率が10%未満であった場合は、ステップF102で、黒部分(B)の比率が5%以下であるかを判断する。5%以下であれば、ステップF202に進んで、目標輝度積算値Ytを、現在の目標輝度積算値Ytから固定値Cyを減算した値に更新する。つまり露光量を少なくする方向に更新する。
ステップF102で5%以下ではない、つまり黒部分(B)が5〜10%の範囲であった場合は、適正な露光量であるとしてステップF203に進み、目標輝度積算値Ytを現状のまま維持する。
ステップF50の、輝度ヒストグラムから白とびを検出する処理としてステップF501,F502が行われ、ステップF60の短時間露光時間Ttを決定する処理としてステップF601,F602,F603が行われる。
即ち制御部10は、まずステップF501で輝度ヒストグラムの白部分(W)の比率が10%以上であるか否かを判断する。10%以上であれば、合成画像信号において白とびが発生していると判断し、ステップF601に進んで、短時間露光時間Ttを、現在の短時間露光時間Ttから固定値Ctを減算した値に更新する。つまり、露光量を少なくする方向に更新する。
また、輝度ヒストグラムの白部分(W)の比率が10%未満であった場合は、ステップF502で、白部分(W)の比率が5%以下であるかを判断する。5%以下であれば、ステップF602に進んで、短時間露光時間Ttを、現在の短時間露光時間Ttに固定値Ctを加算した値に更新する。つまり露光量を多くする方向に更新する。
ステップF602で5%以下ではない、つまり白部分(W)が5〜10%の範囲であった場合は、適正な露光量であるとしてステップF603に進み、短時間露光時間Ttを現状のまま維持する。
このような露光補正処理(ST4)、露光制御処理(ST5)を含む図4の処理がフィールド期間毎に繰り返されることで、合成画像信号において黒つぶれや白とびが発生しない露光状態に収束されていく。
なお、図8,図9に示したように、現在の目標輝度積算値と固定値との演算により新たな目標輝度積算値を設定し、また現在の短時間露光時間と固定値との演算により新たな短時間露光時間を設定することで、露光量が緩やかにを変化されながら合成画像信号の輝度が調節されることになる。
ところで上記図7は、各フィールド期間に、黒つぶれと白とびの双方に対応した露光補正制御を行うものとした場合の露光補正処理であるが、各フィールド期間に、黒つぶれに対応した露光補正制御と白とびに対応した露光補正制御の一方を行うようにしてもよい。つまり1フィールドの期間に黒つぶれに対応した露光補正制御と白とびに対応した露光補正制御を同時には行わないようにしてもよい。この例を図10,図11に示す。
図4のステップST4として露光補正処理が開始されると、制御部10は図10のステップF00として、現在の目標輝度積算値を保存する。即ち、前回のフィールド期間に設定した目標輝度積算値Ytを、前回の目標輝度積算値Yoとして保存する。
そしてステップF10、F20で、例えば上記図8の黒つぶれ補正処理を行い、目標輝度積算値Ytを決定する。
今回の目標輝度積算値Ytが前回の目標輝度積算値Yoとは異なる値となった場合は、ステップF30から露光補正処理を終了する。即ち白とび補正としての処理を行わずに図4のステップST5の露光制御処理に進むことになる。
この場合制御部10は、ステップST5の露光制御処理では、目標輝度積算値Ytと、現在の輝度積算値を用いた、長時間露光量の制御を行い、短時間露光量の制御は行わないようにする。
そして図4のステップST5の露光制御処理に進むことになる。この場合制御部10は、ステップST5の露光制御処理では、短時間露光時間Ttを用いた短時間露光量の制御を行い、長時間露光量の制御は行わないようにする。
そしてこの場合、黒つぶれ補正と白とび補正を同時(同一フィールド期間内)に行わないことで、出力映像の輝度変化はより緩やかになる。
図11において、ステップF00、F10、F20、F30、F50、F60は図10と同様であるが、ステップF40,F41,F42の処理が追加されたものとなる。
即ち制御部10は、ステップF30で今回の目標輝度積算値Ytが前回の目標輝度積算値Yoとは異なる値であると判別した場合は、ステップF40で内部カウンタをカウントアップする。そしてステップF41で、カウント値が所定値Nを越えているか否かを判別し、越えていなければ露光補正処理を終了する。
一方、ステップF41で、カウント値が所定値Nを越えていると判断した場合は、ステップF42でカウンタをゼロにリセットした上で、ステップF50,F60の白とび補正を行う。
この処理によれば、長時間露光量が安定していなくとも、Nフィールドの期間続けて長時間露光量の補正が行われた後は、短時間露光量の補正制御が行われることになる。つまり黒つぶれ補正がなかなか収束しないような場合が生じても、白とび補正が少なくともNフィールドを経過したタイミングで行われるため、白とび補正がなかなか実行されないような事態を回避できる。
図4のステップST4の露光補正処理において実行される黒つぶれ補正(図7又は図10又は図11のステップF10、F20)の処理例として図8の処理を述べたが、この黒つぶれ補正の他の例を図12,図13で説明する。
図12のステップF100では、制御部10は、輝度ヒストグラムのM1部が40%以下であるか否かを判別する。
M1部とは、図6の輝度ヒストグラムにおける、mb1部、mb2部、mb3部(つまり中間輝度の低輝度側)のことであり、mb1部、mb2部、mb3部の合算値が40%を越えているか否かを判別する。
このM1部となる中間部分の輝度が十分に取れている場合は、黒つぶれを解消することにより、新たな白とびを発生させる可能性があるため、補正を行わないようにする。
即ち、M1部が40%を越えている場合は、ステップF203に進み、目標輝度積算値Ytは現状の値を維持する。
M1部が40%以下であったら、ステップF101に進む。ステップF101,F102、F201,F202,F203の処理は図8と同様である。
このような処理によれば、黒つぶれ補正によって白とびが発生してしまうような事態を避けることができる。
この図13の処理では、制御部10はまずステップF110で輝度ヒストグラムにおける黒部分(B)の割合X%を取得する。
そしてステップF111で、黒部分(B)の割合を7%にするために必要な輝度積算差分値ΔSを算出する。輝度積算差分値ΔSは、輝度ヒストグラムの黒部分(B)の割合を7%にするために必要な目標輝度積算値Ytの補正量としての値であり、これは現在の黒部分(B)の割合X%から関数Fにより求められることとする。また7%は適正な黒部分(B)の割合としての設定値の一例である。
そしてステップF112で、目標輝度積算値Ytを、現在の目標輝度積算値Ytに輝度積算差分値ΔSを加算した値に更新する。
図4のステップST4の露光補正処理において実行される白とび補正(図7又は図10又は図11のステップF50、F60)の処理例として図9の処理を述べたが、この白とび補正の他の例を図14,図15で説明する。
図14のステップF500では、制御部10は、輝度ヒストグラムのM2部が40%以下であるか否かを判別する。
M2部とは、図6の輝度ヒストグラムにおける、mw1部、mw2部、mw3部(つまり中間輝度の高輝度側)のことであり、mw1部、mw2部、mw3部の合算値が40%を越えているか否かを判別する。
このM2部となる中間部分の輝度が十分に取れている場合は、白とびを解消することにより、新たな黒つぶれを発生させる可能性があるため、補正を行わないようにする。
即ち、M2部が40%を越えている場合は、ステップF603に進み、短時間露光時間Ttは現状の値を維持する。
M2部が40%以下であったら、ステップF501に進む。ステップF501,F502、F601,F602,F603の処理は図9と同様である。
このような処理によれば、白とび補正によって黒つぶれが発生してしまうような事態を避けることができる。
この図15の処理では、制御部10はまずステップF510で輝度ヒストグラムにおける白部分(W)の割合X%を取得する。
そしてステップF511で、白部分(W)の割合を7%にするために必要な短時間露光時間差分値ΔTを算出する。短時間露光時間差分値ΔTは、輝度ヒストグラムの白部分(W)の割合を7%にするために必要な短時間露光時間Ttの補正量としての値であり、これは現在の白部分(W)の割合X%から関数Fにより求められることとする。また7%は適正な白部分(W)の割合としての設定値の一例である。
そしてステップF512で、短時間露光時間Ttを、現在の短時間露光時間Ttに短時間露光時間差分値ΔTを加算した値に更新する。
以上の実施の形態によれば、合成後の画像の輝度積算値と輝度ヒストグラムから白とびや、黒つぶれがないかを判断し、それらを解消するように自動露光制御することで、合成後の画質を向上させることが可能となる。
これはモニタディスプレイに出力される映像の画質を向上させていることに等しく、モニタディスプレイを見る利用者の観点での画質向上が可能となるものである。
ワイドダイナミックレンジカメラにおいては、ダイナミックレンジといった数値的な観点も重要であるが、利用者は最終映像の仕上がりを重視する面もあり、最終段階での画像を最適化できることの効果は大きい。
また合成のタイミング(1フィールドもしくは2フィールドで二つの異なる露光量の画像を得るのか)にも影響を受けないため、装置全体に対する依存率が下がり、より多くのワイドダイナミックレンジカメラシステムに適応できる。
また、検波部6は合成画像信号を扱うため、1系統の検波部だけがあればよく、長時間露光画像信号と短時間露光画像信号のそれぞれに対して検波部を設ける必要もないため装置全体を簡素化できる利点がある。
また、例えばノンインターレーススキャン方式の撮像を行う場合、上述してきたフィールド期間の処理はフレーム期間の処理として考えればよい。
もちろん、スキャン方式に限らず、画像信号の単位期間とは、フィールド期間、フレーム期間、複数フィールド期間、複数フレーム期間などとして、多様に考えられる。例えば複数フレーム期間ごとに1回の割合で、検波処理、露光補正処理、露光制御処理が行われるような動作例も考えられる。
このようなプログラムは、パーソナルコンピュータや、撮像装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROMやフラッシュメモリ等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、本発明のプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
Claims (12)
- 被写体からの入射光から撮像画像信号を生成するとともに、上記撮像画像信号として、露光時間が相対的に長い長時間露光画像信号と露光時間が相対的に短い短時間露光画像信号を出力する撮像部と、
上記長時間露光画像信号と上記短時間露光画像信号とを合成することにより、少なくとも上記長時間露光画像信号又は上記短時間露光画像信号のダイナミックレンジいずれかよりも相対的にダイナミックレンジが広い合成画像信号を生成する信号処理部と、
上記合成画像信号についての輝度積算値と輝度ヒストグラムを生成する検波部と、
上記輝度積算値と上記輝度ヒストグラムを用いて、上記撮像部の露光補正制御を行う制御部と、
を備え、
上記制御部は、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出し、検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定し、該目標輝度積算値を用いて、上記撮像部の上記長時間露光画像信号に関する露光補正制御と、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出し、検出結果に基づいて短時間露光時間を設定し、該短時間露光時間を用いて上記撮像部の上記短時間露光画像信号に関する露光補正制御を行い、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正制御と白とびに対応した露光補正制御の一方を行うとともに、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正動作が安定しているか否かを判別し、安定していなければ黒つぶれに対応した露光補正制御を行い、安定していれば白とびに対応した露光補正制御を行う
撮像装置。 - 上記制御部は、黒つぶれに対応した露光補正制御の回数をカウントし、黒つぶれに対応した露光補正制御を所定回数実行した後は、白とびに対応した露光補正制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記制御部は、上記長時間露光画像信号に関する露光補正制御として、絞り補正、又は長時間露光時間補正、又は長時間露光画像信号に対するゲイン補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記制御部は、現在の目標輝度積算値と固定値との演算により新たな目標輝度積算値を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記制御部は、目標輝度積算値の収束目標との差分値を算出し、現在の目標輝度積算値と上記差分値との演算により新たな目標輝度積算値を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記検波部は、上記輝度ヒストグラムとして、少なくとも輝度レベルを、黒レベル、中間レベル、白レベルに分けて輝度分布を示す情報を生成するとともに、
上記制御部は、上記目標輝度積算値の設定に、上記中間レベルの情報を用いることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 - 上記制御部は、現在の短時間露光時間と固定値との演算により新たな短時間露光時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記制御部は、短時間露光時間の収束目標との差分値を算出し、現在の短時間露光時間と上記差分値との演算により新たな短時間露光時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記検波部は、上記輝度ヒストグラムとして、少なくとも輝度レベルを、黒レベル、中間レベル、白レベルに分けて輝度分布を示す情報を生成するとともに、
上記制御部は、上記短時間露光時間の設定に、上記中間レベルの情報を用いることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 - 被写体からの入射光から撮像画像信号を生成するとともに、上記撮像画像信号として、露光時間が相対的に長い長時間露光画像信号と露光時間が相対的に短い短時間露光画像信号を出力するステップと、
上記長時間露光画像信号と上記短時間露光画像信号とを合成することにより、少なくとも上記長時間露光画像信号又は上記短時間露光画像信号のダイナミックレンジいずれかよりも相対的にダイナミックレンジが広い合成画像信号を生成するステップと、
上記合成画像信号についての輝度積算値と輝度ヒストグラムを生成するステップと、
上記輝度積算値と上記輝度ヒストグラムを用いて露光補正制御を行う露光補正制御ステップと、
を実行し、
上記露光補正制御ステップは、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出し、検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定し、該目標輝度積算値を用いて、上記長時間露光画像信号に関する露光補正制御と、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出し、検出結果に基づいて短時間露光時間を設定し、該短時間露光時間を用いて上記短時間露光画像信号に関する露光補正制御を行い、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正制御と白とびに対応した露光補正制御の一方を行うとともに、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正動作が安定しているか否かを判別し、安定していなければ黒つぶれに対応した露光補正制御を行い、安定していれば白とびに対応した露光補正制御を行う
撮像方法。 - 露光時間が相対的に長い長時間露光画像信号と露光時間が相対的に短い短時間露光画像信号を得、上記長時間露光画像信号と上記短時間露光画像信号とを合成することにより、少なくとも上記長時間露光画像信号又は上記短時間露光画像信号のダイナミックレンジいずれかよりも相対的にダイナミックレンジが広い合成画像信号を生成して出力する撮像装置の露光補正方法として、
上記合成画像信号についての輝度積算値と輝度ヒストグラムを取得するステップと、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出するステップと、
黒つぶれの検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定するステップと、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出するステップと、
白とびの検出結果に基づいて短時間露光時間を設定するステップと、
上記目標輝度積算値及び上記短時間露光時間を用いて露光補正制御を行う露光補正制御ステップと、
を実行し、
上記露光補正制御ステップは、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出し、検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定し、該目標輝度積算値を用いて、上記長時間露光画像信号に関する露光補正制御と、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出し、検出結果に基づいて短時間露光時間を設定し、該短時間露光時間を用いて上記短時間露光画像信号に関する露光補正制御を行い、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正制御と白とびに対応した露光補正制御の一方を行うとともに、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正動作が安定しているか否かを判別し、安定していなければ黒つぶれに対応した露光補正制御を行い、安定していれば白とびに対応した露光補正制御を行う
露光制御方法。 - 露光時間が相対的に長い長時間露光画像信号と露光時間が相対的に短い短時間露光画像信号を得、上記長時間露光画像信号と上記短時間露光画像とを合成することにより、少なくとも上記長時間露光画像信号又は上記短時間露光画像信号のダイナミックレンジいずれかよりも相対的にダイナミックレンジが広い合成画像信号を生成して出力する撮像装置の露光補正のためのプログラムとして、
上記合成画像信号についての輝度積算値と輝度ヒストグラムを取得するステップと、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出するステップと、
黒つぶれの検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定するステップと、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出するステップと、
白とびの検出結果に基づいて短時間露光時間を設定するステップと、
上記目標輝度積算値及び上記短時間露光時間を用いて露光補正制御を行う露光補正制御ステップと、
を演算処理装置に実行させ、
上記露光補正制御ステップは、
上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における黒つぶれを検出し、検出結果に基づいて目標輝度積算値を設定し、該目標輝度積算値を用いて、上記長時間露光画像信号に関する露光補正制御と、上記輝度ヒストグラムから上記合成画像信号における白とびを検出し、検出結果に基づいて短時間露光時間を設定し、該短時間露光時間を用いて上記短時間露光画像信号に関する露光補正制御を行い、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正制御と白とびに対応した露光補正制御の一方を行うとともに、画像信号の各単位期間に、黒つぶれに対応した露光補正動作が安定しているか否かを判別し、安定していなければ黒つぶれに対応した露光補正制御を行い、安定していれば白とびに対応した露光補正制御 を演算処理装置に実行させるるプログラム。
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