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JP4301871B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物 Download PDF

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JP4301871B2
JP4301871B2 JP2003172964A JP2003172964A JP4301871B2 JP 4301871 B2 JP4301871 B2 JP 4301871B2 JP 2003172964 A JP2003172964 A JP 2003172964A JP 2003172964 A JP2003172964 A JP 2003172964A JP 4301871 B2 JP4301871 B2 JP 4301871B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は硬化性組成物に関する。より具体的には、分子内に加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体を主成分とした、薄層塗布時の硬化性に優れており、シーリング材に好適な硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加水分解性シリル基を有する有機重合体を含んだ2液型のシーリング材では、硬化触媒として、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の2価の錫(Sn2+)を含む化合物が錫触媒として使用されている。硬化触媒として、ジ−n−ブチル錫−ジ−ラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテートや、特許文献1に記載されている式Q2 Sn(OZ)2 、[Q2 Sn(OZ)]2 O(式中Qは炭素数1〜20の1価の炭化水素基を、Zは炭素数1〜20の1価の炭化水素基または自己内部にSnに対して配位結合を形成し得る官能性基を有する有機基を表す)で表される4価の錫化合物を硬化触媒として使用すると、触媒の活性が長期にわたって持続するため、シーリング材の施工後も時間の経過とともに架橋反応が進んで、施工箇所の気温変化による伸びにシーリング材が追従できず割れが生じる等、長期の耐久性が問題となる。これに対し、2価の錫化合物を触媒として使用した場合、空気中の水分により触媒が失活するため、施工後ある程度時間が経過した段階で架橋反応が停止するため、上記のような伸びに対する追従性による問題は生じない。
しかし、2価の錫化合物は、空気中の水分により失活するので、例えば厚さ20μm等の薄層塗布して使用する場合、十分に架橋が進行する前に触媒が失活し、薄層部分が未硬化状態のままになる問題がある。このような問題は、特に夏季のような高温多湿時に顕著である。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−41360号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、分子内に加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体を主成分とし、薄層塗布した場合でも錫触媒の失活による未硬化問題が生じず、かつ長期耐久性が優れており、シーリング材に好適な硬化性組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決するため、
分子内に加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体100質量部と、
2価の錫化合物0.01〜10質量部と、
下記(1)、(2)式のいずれかで示されるスルフィドシランまたはポリスルフィドシラン0.01〜10質量部とを含む硬化性組成物を提供する。
HSX −Cn 2n−(SiR1 Y (OR2 Z )…(1)
(R1 Y (OR2 Z Si)−Cn 2n−SX −Cn 2n−(SiR1 Y (OR2 Z )…(2)
(上記(1)、(2)式において、Xは1〜20であり、Yは0〜2、Zは1〜3、Y+Z=3であり、nは0〜20であり、R1 、R2 は炭素数1〜5までの飽和炭化水素である。)
【0006】
本発明の硬化性組成物は、さらにアミン系の硬化触媒を0.01〜10質量部含むことが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の硬化性組成物は、分子内に加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体を主成分とする。加水分解性シリル基は、下記式(3)で表される、シラノール基またはケイ素に加水分解性基が結合した基である。
【0008】
【化1】
Figure 0004301871
【0009】
式中、R1 およびR2 は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3 SiO−(R′は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR′は同一であっても異なっていてもよい。)で示されるトリオルガノシロキシ基を表し、R1 およびR2 が2個以上存在するとき、それらは同一であっても異なっていてもよい。
Xはヒドロキシ基または加水分解性基を表し、2個以上存在するときは、それらは同一であっても異なっていてもよい。
aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、pは0〜19の整数であり、a+pb≧1である。
また、上記式(3)中に示される、下記式(4)で表されるp個の
【0010】
【化2】
Figure 0004301871
【0011】
におけるbは同一である必要はない。
【0012】
一般式(3)における加水分解性基としては、特に限定されず、従来既知の加水分解性基でよいが、具体例としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシム基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、加水分解性が温和で取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ましい。
【0013】
この加水分解性基やヒドロキシ基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+pb)は1〜5の範囲であることが好ましい。加水分解性基やヒドロキシ基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であっても、異なってもよい。
【0014】
この加水分解性シリル基を形成するケイ素原子は、分子内に少なくとも1個あればよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個以上のものまであるのが好ましい。特に下記式(5)で表される加水分解性シリル基が入手容易であるので好ましい。
【0015】
【化3】
Figure 0004301871
【0016】
(式中、R2 、Xおよびaは前記と同じである。)
【0017】
加水分解性シリル基を有する有機重合体の骨格をなす重合体は、特に限定されないが、通常は飽和炭化水素系重合体またはゴム系有機重合体である。飽和炭化水素系重合体とは、芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体である。ゴム系有機重合体としては、たとえば後述するようなポリエーテル、ポリエステル、エーテル−エステルブロツク共重合体、オレフィンおよび/または共役ジエン系ゴム、その水添物、ポリクロロプレンなどのハロゲン化ゴム、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ(メタ)アクリレート、ポリサルファイド系重合体などが挙げられる。
【0018】
上記ポリエーテルは、式−RO−中の2価の有機基Rが、実質的に炭素数1〜20好ましくは1〜8の炭化水素基であるアルキレンオキシド重合体であることが好ましい。具体的に、Rはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、テトラメチレンなどが好ましく、特にプロピレンが好ましい。Rはこれらの1種または2種以上の組合わせであってもよい。
上記ポリエステルとしては、アジピン酸、無水マレイン酸などの2塩基酸とグリコールとの縮合またはラクトン類などの環状エステルの開環重合などで得られるポリエステル系重合体などが挙げられる。
【0019】
上記した有機重合体のうち、飽和炭化水素系重合体は、次の方法によって得ることができる。
(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等の炭素数が1〜6のオレフィン系化合物を主単量体として重合させる方法。
(2)ブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサンジエン等のジエン系化合物を単独重合させるか、上記オレフィン化合物とジエン系化合物とを共重合させた後、水素添加する方法。
【0020】
これらの重合体のうち、末端に官能基を導入しやすい、分子量を制御しやすい、末端官能基の数を多くすることができる等の点から、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体であるのが好ましい。
【0021】
上記イソブチレン系重合体は、イソブチレンモノマーで形成されていてもよく、イソブチレンと共重合性を有する他のモノマーをイソブチレン系重合体中の好ましくは50%(質量%、以下同様)以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下の範囲で含有していてもよい。
【0022】
このような他のモノマー成分としては、例えば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。
【0023】
このような共重合体の具体例としては、例えば、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン等のオレフィン;
スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン等の芳香族ビニル化合物;
ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン等のビニルシラン類;
アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアリルシラン類等が挙げられる。
【0024】
これらのイソブチレンと共重合性の単量体としてビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると重合体のケイ素含有量が増大し、シランカップリング剤として作用しうる基が多くなって、得られる組成物の接着性が向上する。
【0025】
さらに、水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、イソブチレン系重合体の場合と同様に、主成分となるモノマーのほかに、他のモノマーを含有させてもよい。
【0026】
また、本発明に用いる飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲で、ブタジエン、イソプレン等のポリエン化合物のような重合後に二重結合の残る単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらには5%以下、特に1%以下の範囲で含有させてもよい。
【0027】
本発明の加水分解性シリル基を有する有機重合体では、このような飽和炭化水素計重合体に、上記した加水分解性シリル基が結合している。
加水分解性シリル基は、飽和炭化水素系重合体の1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在する。分子中に含まれる反応性官能基の数が1個未満になると、硬化性が不十分になり良好なゴム弾性挙動を発現し難くなる。
【0028】
上記加水分解性シリル基は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端に存在していてもよく、内部に存在していてもよく、両方に存在していてもよい。特に加水分解性シリル基が末端に存在する場合には、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなる等の点から好ましい。また、これらの飽和炭化水素系重合体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
この飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は、500〜100,000程度であるのが好ましく、特に1,000〜30,000程度の液状ないし流動性を有するものが取り扱いやすい等の点から好ましい。さらに、分子量分布(Mw /Mn )に関しては、同一分子量における粘度が低くなるという点でMw /Mn が狭いほど好ましい。
【0030】
上記の加水分解性シリル基を有する有機重合体の製造方法については、特開平6−41360号公報等に詳細に記載されており、これらの記載を参照することができる。
飽和炭化水素系重合体としては、市販品が利用でき、例えば、鐘淵化学工業(株)製のEPION(103S)、旭化成工業社製のNEO等が挙げられる。
【0031】
一方、有機重合体の骨格がゴム系有機重合体である場合、主鎖骨格として上記のうちでも、ポリエーテル、ポリエステル、エーテル−エステルブロツク共重合体などを有していることが好ましく、特にポリエーテル骨格を含有していることが好ましい。また、ポリイソブチレンに代表される飽和炭化水素であることが好ましい。主鎖骨格の分子量は特に限定されないが、300〜200,000程度、さらには500〜100,000程度であることが好ましい。
【0032】
ポリエーテルを主鎖骨格とし、加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体は、たとえば上記した一般式(3)で示される加水分解性シリル基と、一般式(6)で示されるエチレン性二重結合を有する基を含むポリエーテルとが結合している。
【0033】
【化4】
Figure 0004301871
【0034】
式(6)中、R13は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子が好ましい。Zは、2価の炭化水素基またはエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合もしくはカルボニル基を含む2価の基であり、具体的に下記で示される。cは0または1である。
【0035】
【化5】
Figure 0004301871
【0036】
上記R14は炭素数1〜20の2価の炭化水素基から選ばれ、2以上のR14は同一であっても異なっていてもよい。
Zは、これらのうちでもメチレン基であることが好ましい。
このような式(6)で示されるエチレン性二重結合を有する基を含むポリエーテルは、公知の方法によりポリエーテル側鎖にエチレン性二重結合を導入すればよく、たとえば上記特開昭54−6097号公報に記載された方法、あるいはエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのエポキシ化合物と、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物とを共重合させる方法などにより製造することができる。
【0037】
また一般式(3)で表される加水分解性シリル基と、一般式(6)で示されるポリエーテルとを結合させた後、式(3)中のXの一部または全部を、さらに他の加水分解性基またはヒドロキシ基に変換してもよい。たとえばXがハロゲン原子、水素原子の場合には、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基、ヒドロキシ基などに変換して使用することが好ましい。
【0038】
上記の有機重合体は、上記に加えてさらにエチレン性二重結合を有する上記以外の重合性化合物から導かれる単位を含有していてもよい。このような他の重合性化合物としては、具体的にたとえばエチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ピリジン、スチレン、クロルスチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ベンジル、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ベンジル、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−メチロールアクリルアミド、さらに以下に示すようなケイ素含有化合物などを挙げることができる。
【0039】
【化6】
Figure 0004301871
【0040】
有機重合体の製造時には、上記した一般式(3)で示される加水分解性基と、式(6)で示される基を含むポリエーテルを結合させる際に、さらに他の重合性化合物をそれぞれ独立に1種または2種以上用いてもよい。他の重合性化合物を用いた有機重合体は、特開昭59−78223号公報、特開昭60−228516号公報、特開昭60−228517号公報などに記載された方法を利用して製造することができる。
【0041】
本発明の硬化性組成物は、硬化触媒として、2価の錫化合物を含む。ここで2価の錫化合物は、通常シラノール縮合触媒として使用されるものを広く含む。具体的には、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ネオデカン酸錫等が挙げられる。これらの錫触媒は、1種または2種以上を使用してもよい。
【0042】
本発明において、上記の2価の錫化合物は、硬化性組成物中に、加水分解性シリル基を有する有機重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部含有される。2価の錫化合物は、より好ましくは0.1〜5質量部含有し、さらに好ましくは1〜5質量部である。錫化合物の含有量が上記の範囲であれば、触媒効果が十分に発揮される。
【0043】
本発明の硬化性組成物は、下記(1)、(2)式のいずれかで示されるスルフィドシランまたはポリスルフィドシランを含有する。
HSX −Cn 2n−(SiR1 Y (OR2 Z )…(1)
(R1 Y (OR2 Z Si)−Cn 2n−SX −Cn 2n−(SiR1 Y (OR2 Z )…(2)
(上記(1)、(2)式において、Xは1〜20であり、Yは0〜2、Zは1〜3、Y+Z=3であり、nは0〜20であり、R1 、R2 は炭素数1〜5までの飽和炭化水素である。)
【0044】
このようなスルフィドシランまたはポリスルフィドシランとしては、具体的には、例えばビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファンが例示される。ポリスルフィドシランとしては、市販品も利用することができ、例えば、デグサ・ヒュルスジャパン社のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン)や日本ユニカー社のA1289(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン)、A1589(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン)が例示される。
【0045】
本発明において、上記のスルフィドシランまたはポリスルフィドシランは、硬化性組成物中に、加水分解性シリル基を有する有機重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部含有される。上記のスルフィドシランまたはポリスルフィドシランは、より好ましくは0.01〜1質量部含有し、0.1〜0.5質量部含有するのが特に好ましい。スルフィドシランまたはポリスルフィドシランを上記の範囲で含有すれば、高温多湿時においても薄層未硬化の問題が解消されるので好ましい。
【0046】
本発明の硬化性組成物は、さらに硬化触媒としてアミン系のシラノール縮合触媒を含むことが好ましい。このようなアミン系の硬化触媒としては、具体的には、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物またはこれらとカルボン酸等との塩等が例示される。
【0047】
本発明において、アミン系の硬化触媒は、加水分解性シリル基を有する有機重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部含有される。アミン系の硬化触媒は、好ましくは0.1〜5質量部含有され、0.2〜1.5質量部含有されるのが特に好ましい。前記範囲内にすることによって、硬化性と貯蔵安定性をより向上させることが可能になるので好ましい。
【0048】
本発明の硬化性組成物は、上記の必須成分に加えて粘度、物性等を調整するために必要に応じて、架橋助剤、充填剤、可塑剤、溶剤、接着付与剤、安定剤、着色剤等を配合してもよい。
【0049】
架橋助剤としては、Na2 SO4 ・10H2 O、Na2 SO3 ・7H2 O、CaCl2 ・4H2 O、Na2 CO3 ・10H2 O、Na2 2 3 ・5H2 O、H2 O等が例示される。
【0050】
可塑剤としては、プロセスオイルまたは他の炭化水素類でポリマーと相溶するものであれば特に限定されるものではなく、公知各種の可塑剤が使用可能である。例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族2塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;塩化パラフィン類;アルキルジフェニル;部分水添ターフェニル等の炭化水素油;プロセスオイル類;アルキルベンゼン類等が挙げられる。中でも、プロセスオイル類を使用するのが、ポリマーとの相溶性が良好な点から好ましい。具体的には、PS−32(出光興産社製)が好適に例示される。
可塑剤は、加水分解性シリル基を有する有機重合体100質量部に対して、30〜200質量部添加するのが好ましいが、さらに好ましくは50〜150質量部である。この範囲内とすると作業性に適した粘度となるのでよい。
【0051】
充填剤としては、例えば、通常の炭酸カルシウム、カーボンブラック、クレータルク、カーボンブラック、酸化チタン、生石灰、カオリン、ゼオライト、珪藻土、塩化ビニルペーストレジン、ガラスバルーン、塩化ビニリデン樹脂バルーン、アクリロニトリル・メタクリロニトリル樹脂バルーン等が挙げられ、単独または混合して使用できる。
【0052】
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ガソリンから灯油留分に至る石油系溶剤類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル等が挙げられる。
【0053】
接着付与剤として、シランカップリング剤等、安定剤としてヒンダードフェノール系化合物、トリアゾール系化合物等を使用することができる。着色剤としては、チタンホワイト、カーボンブラック、ベンガラ等が挙げられる。
【0054】
<組成物の調製>
本発明の硬化性組成物は、湿気硬化型であり、1液型の硬化性組成物として使用することができる。また、必要に応じて、主に加水分解性シリル基を有する有機重合体を主剤側とし、主に2価の錫化合物を硬化剤側とした2液型としてもよい。
本発明の硬化性組成物の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは上述の各成分を減圧下に混合ミキサー等の攪拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させて組成物とするのがよい。
以上のようにして得られた本発明の硬化性組成物は、湿気硬化型であるので、大気中の湿気の存在により、加水分解性シリル基が加水分解し、これにより加水分解性シリル基を有する有機重合体が縮合反応を起こして架橋硬化する。
【0055】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(実施例1〜8、比較例1〜2)
まず、第1表および第2表に示される配合量(質量部)の以下に示される原料を、5Lプラネタリー(万能攪拌機)を用いて攪拌混合して、主剤および硬化剤を調製した。
【0056】
[主剤]
ポリイソブチレンポリマー(加水分解性シリル基を有する重合体:鐘淵化学工業製)
飽和炭化水素系オイル(可塑剤:出光興産製)
【0057】
[硬化剤]
オクチル酸錫(2価の錫触媒:日東化成製)
ラウリルアミン(アミン系の硬化触媒:花王製)
飽和炭化水素系オイル(可塑剤:出光興産製)
Si69(スルフィドシラン(ビス3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルファン):デグサ・ヒュルスジャパン社製)
A1289(スルフィドシラン(ビス3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルファン):日本ユニカー製)
A1589(スルフィドシラン(ビス3−トリエトキシシリルプロピルジスルファン):日本ユニカー製))
【0058】
実施例、比較例で得られた硬化性組成物を、以下の条件で評価した。
<可使時間>
20℃において、主剤と硬化剤を混合した後、混合後の粘度が100Pa・sになるまでの時間を測定した。これは、支障なく塗工できる限度の時間を表す。
【0059】
<薄層未硬化>
主剤と硬化剤を混合した後、被着体(ガラス板)に厚さ(t)16μmまたは60μmで塗布し、温度35℃、湿度70%の条件で1日目および3日目の塗布面の硬化状態を、指先で触れることにより確認した。表には3日目の評価結果を示した。判定基準は以下の通りである。
○:架橋が進みタックがなく、且つ指でこすってもシーリング材が伸びない。
○(×):架橋が進み指でこすってもシーリング材は伸びないがタックがある。
△(○):架橋が進み指でこすると少しシーリング材が伸びる。
△:架橋は進んでいるが、指でこすると多少シーリング材が伸びる。
△(×):架橋が進んでいるが指でこするとシーリング材が大きく伸びる。
【0060】
<Eb (破断時最大伸び率)および破壊状況>
JIS A 5758 引張接着性試験(H型)
23℃×7日+50℃×7日の養生のみ
なお、第1表および第2表中、破壊状況の欄の「CF」は、組成物が凝集破壊したことを示す。
【0061】
【表1】
Figure 0004301871
【0062】
【表2】
Figure 0004301871
【0063】
第1表および第2表から明らかなように、本発明の硬化性組成物(実施例1〜8)では、可使時間、破断時最大伸び率および破壊状況といった硬化性組成物の物性を損なうことなく、薄層未硬化が解消されている。
【0064】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は、シーリング材等の硬化性組成物に求められる物性を損なうことなく、薄層未硬化の問題を解消している。本発明の硬化性組成物は、建築用シーリング材として好適であり、特に高温多湿時に使用される建築用シーリング材として好適である。

Claims (2)

  1. 分子内に加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体100質量部と、
    2価の錫化合物0.01〜10質量部と、
    下記(2)式で示されるポリスルフィドシラン0.01〜10質量部と、を含む硬化性組成物。
    (R1 Y(OR2ZSi)−Cn2n−SX−Cn2n−(SiR1 Y(OR2Z)…(2)
    上記(2)式において、Xは〜20であり、Yは0〜2、Zは1〜3、Y+Z=3であり、nは0〜20であり、R1、R2は炭素数1〜5までの飽和炭化水素である。)
  2. さらに、アミン系硬化触媒を0.01〜10質量部含む請求項1に記載の硬化性組成物。
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