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JP4395049B2 - セリウム系研摩材及びセリウム系研摩材の製造方法 - Google Patents

セリウム系研摩材及びセリウム系研摩材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セリウム系研摩材その製造方法に関する。詳しくは、フッ素をほとんど含有しないセリウム系研摩材であって、研摩速度及び研摩面の精度に優れたものに関する。
セリウム系粒子を主成分として含有するセリウム系研摩材は、その優れた研摩作用によって、その用途を急速に広げている。現在では、従来の光学用ガラス研摩用途だけでなく、液晶用ガラス用、ハードディスクなどの磁気記録媒体用ガラス研摩用、フォトマスク用ガラス基板等の電子回路製造用といった分野にも使用されている。
セリウム系研摩材の製造工程は、研摩材原料を粉砕する工程と、粉砕後の原料を高温で加熱して焙焼することで原料粒子同士を適度に焼結させる工程とに大まかに説明され、更に適宜に分級処理する工程を経て所望の粒径、粒度分布の研摩材が得られている。そして、研摩材原料としては、従来はバストネサイト鉱等の天然の希土類精鉱が使用されていたが、近年ではこれに加えて、希土類精鉱を処理して得られるセリウム系希土類炭酸塩(以下、炭酸希土とも称する)、又は炭酸希土を予め高温で仮焼することにより得られるセリウム系希土類酸化物(以下、酸化希土とも称する)を原料とすることが多くなっている。
ところで、従来のセリウム系研摩材においては、フッ素が数%(全希土類酸化物基準(以下、TREOと称する))含まれている。セリウム系研摩材においてフッ素を含有させるのは、セリウム系研摩材の研摩力の確保のためである。即ち、従来のセリウム系研摩材においては、酸化セリウム等からなる研摩材粒子による機械的研摩作用が主ではあるが、これに加えて、含有するフッ素により被研摩材表面にフッ化物を形成させて被研摩材の侵食を促進するという化学的研摩作用も同時に発揮させて研摩力を向上させるためである。また、フッ素は、研摩材原料の焙焼工程時に既に含有されており、フッ素を含有した状態で焙焼して研摩材が製造される。フッ素は、この焙焼工程において研摩材粒子の焼結を適度に進行させ、これにより、研摩力の高い研摩材粒子が得られる。
そして、従来のセリウム系研摩材では、研摩材原料に応じてフッ素濃度が調整されたものが用いられている。即ち、バストネサイト精鉱は、6重量%程度フッ素を含んでいることから、バストネサイト精鉱を研摩材原料とする場合、特段の処理を施さなくてもフッ素含有の研摩材が製造できる。一方、研摩材原料として近年用いられている炭酸希土又は酸化希土は、その製造工程で大部分のフッ素が除去されていることから、研摩材の製造工程においてフッ化物を添加するなどしてフッ素濃度を調整して製品を製造している。
従来のセリウム系研摩材は、上記説明したように、フッ素を含むことで高い研摩速度を確保し、また、優れた鏡面性を有する研摩面を製造できる。しかし、最近になって、環境問題の重視を背景に研摩材中のフッ素の存在が問題視され、フッ素を含有しないセリウム系研摩材の確立が要求されている。これは、研摩材製造時のフッ素の大気への放出や使用済み研摩材スラリーの廃棄処理を考慮するものであるが、これに加え、最近、使用済み研摩材のリサイクルの試みが検討されており、その際にもフッ素の存在が障害になっていることも考慮するものである。

フッ素をほとんど含有しないフッ素フリー型のセリウム系研摩材についての従来技術としては、特許文献1では、酸化セリウム40〜99.5重量%と、少なくとも1種の他の希土類元素の無色の酸化物を0.5〜60重量%含むセリウム系研摩材が開示されている。また、本願出願人は、特許文献2において、0.5wt%以下のフッ素を含有し、かつアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を元素換算で0.3〜5wt%含有することを特徴とする酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材を開示している。
特公昭63−27389号公報 特開2002−155269号公報
これら先行技術に関し、前者は、その構成成分としてフッ素を完全に排除し、これによりガラスに対するリサイクル性を確保するものである。しかし、本発明者等によれば、この研摩材は、研摩特性(研摩速度及び研摩面精度)の改善については別段の配慮がなされておらず、実際、研摩速度が低く、研摩傷を多く発生させ研摩面精度にも劣るという問題がある。一方、後者に関しては、研摩特性の改善には前者の先行技術より成功しており、特に、研摩速度の改善は明確にみられる。しかしながら、後者の研摩材についても改良の余地があり、研摩傷の発生についてはより改善が要求されるレベルにある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、フッ素をほとんど含有しないセリウム系研摩材において、研摩力に加え研摩精度がより改善されたセリウム系研摩材及びその製造方法を提供する。
本発明者等は、後者の先行技術について検討を行い、上記課題を解決可能な研摩材について検討した。その結果、フッ素を含有しない研摩材において、アルカリ金属及び塩素と研摩特性との関係に着目し、それらの好適な範囲を明確とすることで研摩速度と共に研摩精度を向上させることができることを見出し、本発明に想到した。
即ち、本発明は、酸化セリウムを全希土類酸化物(TREO)に対して30重量%以上含有し、TREOに対するフッ素濃度が0.5重量%以下であるセリウム系研摩材において、ナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属をTREOに対して合計で0.01〜3.0重量%含み、更に、TREOに対する塩素濃度が0.3重量%以下であることを特徴とするセリウム系研摩材である。
フッ素を含有しない(ほとんど含有しない)セリウム系研摩材において、その構成成分を希土類酸化物のみにすると、研摩材としての機能が不十分となることは上記で説明した通りである。希土類酸化物に研摩力を付与するためには何らかの添加元素が必要である。本発明では、この添加元素としてナトリウム、カリウム、リチウムといったアルカリ金属が有用であること、及び、塩素濃度低減の必要性を明らかにするものである。
そして、本発明では、研摩材中のアルカリ金属の濃度(ナトリウム、カリウム、リチウムの合計の濃度)を0.01〜3.0重量%(TREO基準)とする。0.01重量%未満では、添加元素を実質的に含まないこととなり、十分な研摩速度が得られないからである。一方、アルカリ金属濃度の増加により、研摩速度の上昇はみられるが、3.0重量%を超えると研摩傷の発生が顕著となり研摩面精度が劣ることとなる。そして、研摩速度と研摩面精度とのバランスの観点からより好ましい範囲は、0.02〜1.0重量%であり、更に好ましいのは、0.03〜0.5重量%である。尚、研摩材中の酸化セリウム含有量が高くなると、アルカリ金属は低濃度でもより効果的に作用することができるようになり、例えば、酸化セリウム含有量が99%(TREO基準)とした場合、アルカリ金属を0.3重量%以下(TREO基準)とすることで十分な研摩特性を発揮する。また、添加されるアルカリ金属としては、ナトリウムが特に好ましい。
一方、塩素の影響に関しては、アルカリ金属含有量が適切であっても、塩素を多く含む研摩材は十分な研摩速度が得られない。本発明者等によれば、研摩材中の塩素濃度は0.5重量%以下(TREO基準)とすることが必要であり、0.1重量%以下が好ましい。
また、本発明に係る研摩材では、酸化セリウム含有量は少なくとも30重量%以上(TREO基準)必要である。30重量%未満の酸化セリウム含有量では、研摩速度が低く実用的でないからである。好ましくは50重量%以上(TREO基準)である。酸化セリウム含有量は、研摩速度の点からは高ければ高い程好ましく、100%に限りなく近いものであっても良いが、コスト面から99重量%以下のものが好ましい。
研摩材中のフッ素濃度はTREOに対して0.5重量%以下(TREO基準)であることが必要である。既に述べたように、フッ素は研摩材の製造、使用時において環境への悪影響が懸念されるからであり、また、研摩材のリサイクルにも障害となる成分だからである。そして、より好ましくは、フッ素濃度は0.1重量%以下のものが好ましい。
本発明に係る研摩材において、研摩粒子の特性について好ましいのは、D50(レーザー回折・散乱法粒度分布測定による体積基準の積算分率における50%径)で示される粒径が0.1〜3.0μmであることが好ましく、0.2〜2.5μmがより好ましく、0.3〜2.0μmが更に好ましい。粒径が小さすぎる場合、十分な研摩速度が得られないからであり、逆に粒径が大きすぎると研摩傷の発生が顕著となるからである。
また、研摩粒子の比表面積については、特に限定はないが、1〜200m/gが好ましい。比表面積と研摩特性との関係は、比表面積が大きいと研摩速度が低下する傾向にあり、比表面積が小さいと研摩傷の発生がみられる。そこで、研摩速度と研摩傷のとのバランスを考慮すると、1〜30m/gが好ましく、2〜25m/gがより好ましい。但し、例えば、仕上げ研摩用の研摩材等では、研摩傷の抑制が何より求められる場合がある。このような場合、研摩粒子の比表面積は、比表面積が30m/gを超えることがあるが、本発明はこのような研摩材においても有効である。即ち、比表面積が大きい研摩材でも、アルカリ金属を含有するものは、含有しないものよりも研摩速度に改善がみられ、高い研摩精度を維持しつつ研摩速度を向上させることができる。
更に、本発明に係る研摩材では、粒径の粗大な粗粒子の少ない研摩材が好ましい。具体的には、ストークス径が5μm以上の粗粒子が1.0重量%以下(研摩材重量基準)であるものが好ましい。粗粒子の存在は、研摩傷の要因となるからである。尚、粗粒子含有量は、0.5重量%以下がより好ましく、更に、0.3重量%以下、0.1重量%以下と低い程好ましい。また、本発明において、ストークス径5μm以上の粗粒子の測定は、研摩材スラリーをストークスの式に従った計算時間沈降させ、上澄み液を捨てる作業を繰り返すことによって、ストークス径5μm以上の粒子を漏れなく分離し、その量を測定する方法により行うのが好ましい。この方法で行うのは、粒度分布測定装置にて1%程度或いは、それ以下しか含有されていない5μm以上の粒子の量を正確に測定することは困難であり、大きな誤差が出る。そして、粒径5μm以上の粒子をもれなく分離し、その量を測定する方法が測定結果の正確性の観点から好ましいからである。尚、粒径5μm以上の粒子を分離して測定する方法としては、上記方法の他、研摩材スラリーを目開き5μm以上の電成ふるいを通過させ、ふるい上の残留粒子を乾燥してその量を測定する方法もあるが、10μm以上のふるいならともかく、5μmのふるいを通過させるのは、かなりの長時間を要し現実的ではない。従って、上記方法が好ましい。
次に、本発明に係るセリウム系研摩材の製造方法について説明する。本発明に係るセリウム系研摩材の製造においては、基本的に従来のセリウム系研摩材の製造方法に準じるものであり、研摩材原料の粉砕工程、粉砕した研摩材原料の焙焼工程、必要に応じて焙焼物を解砕、分級する工程とを含む。但し、本発明においては、第1に製品となるセリウム形研摩材中の酸化セリウム及びフッ素濃度の制御、第2にアルカリ金属濃度の調整において留意する必要がある。以下、これら留意点を踏まえつつ、本発明に係るセリウム系研摩材の製造方法を説明する。
まず、研摩材原料としては、酸化セリウムをTREOに対して30重量%以上含有するものが好ましい。特に、TREOに対するフッ素濃度が製造目的の研摩材のTREOに対するフッ素濃度より0.1重量%を超えて高くないセリウム系希土類炭酸塩を用いるのが好ましい。このように研摩材原料中のTREOに対する酸化セリウム含有量を規定するのは、原料中の酸化セリウムは、その後の焙焼工程等においても減少することなく製品となる研摩材に存在することから、原料の段階から酸化セリウム含有量を規定することは、研摩材中の酸化セリウム含有量を制御することの取って便宜だからである。原料中の酸化セリウム含有量は、製品となる研摩材と同様、50重量%以上(TREO基準)が好ましい。また、高ければ高い程好ましく、100%に限りなく近いものであっても良いが、コスト面から99重量%以下のものが好ましい。
また、研摩材原料として、セリウム系希土類炭酸塩を用いるのは、本発明がフッ素をほとんど含まないことを目標としていることから、バストネサイトのような予めフッ素を含む原料ではなく、フッ素を含んでいない炭酸希土の適用が好ましいからである。そして、そのフッ素濃度を規定するのは、原料中のフッ素は、その後の焙焼工程において多少揮発除去されるものの、基本的にその大部分が製品となる研摩材に残留することから、原料中のフッ素濃度を規制することが研摩材のフッ素濃度を制御するために好ましいからである。更に、原料中のフッ素濃度が製造目的の研摩材のフッ素濃度より0.1重量%を超えて(TREO基準)、高くないようにするのは、前述の焙焼時のフッ素の揮発除去によるフッ素濃度の減少量を考慮する場合、原料中のフッ素濃度にはある程度のマージンをとることができ、そのマージンとしては、焙焼温度が低く、フッ素の揮発が少ない場合でも0.1%であることによるものである。尚、製品となる研摩材のフッ素濃度と原料中のフッ素濃度との関連の例として、以下のような関係がある。
Figure 0004395049
尚、炭酸希土の製造方法としては、例えば、バストネサイト精鉱、モナザイト精鉱、中国複雑鉱精鉱等のセリウム含有希土類精鉱を硫酸分解法やアルカリ分解法によって分解し、分別沈澱や分別溶解等の処理を行って、フッ素、ウラン、トリウム、カルシウム、バリウム、鉄、リン等の不純物を低減・除去することにより希土類溶液を得る。そして、得られた希土類溶液を必要に応じて有機溶媒を用いた溶媒抽出により分離・精製してセリウム含有量を高めた希土類溶液を得る。この溶媒抽出の程度によりCeO/TREOを30質量%〜ほぼ100質量%まで調整することが可能である。特に高純度のものを製造する場合には、希土類溶液に酸化剤を加えてセリウム(III)をセリウム(IV)としてから溶媒抽出を行う場合もある。セリウム(IV)は他の希土類元素(III)と比べて有機溶媒への抽出挙動に大きな差があり分離・精製が容易となる。これらの希土類溶液と炭酸水素アンモニウムを混合して希土類炭酸塩を沈澱させ、濾過や水洗を行ってセリウム系希土類炭酸塩を得る。尚、このようにして製造される希土類炭酸塩は中国およびその他の国から容易に入手可能である。
そして、本発明に係る研摩材の製造においては、上記のようなセリウム系炭酸希土をそのまま用いても良いが、好ましくは、焙焼前に研摩材原料を、乾燥基準の強熱減量が5〜25重量%となるように仮焼するのが好ましい。これにより得られる研摩材の研摩速度の向上が望めるからである。この研摩材原料の仮焼は、300〜800℃の温度で10分〜24時間加熱するのが好ましい。尚、仮焼は、研摩材原料の粉砕前後のいずれで行なっても良く、また、後述のアルカリ金属の化合物を添加する前後のいずれで行なっても良い。また、強熱減量とは、対象物を強熱した際の重量減少率をいう。強熱原料の測定方法としては、予め重量を測定したるつぼに105℃で十分乾燥した研摩材用原料を入れその重量を測定した後、炉中で1000℃で1時間加熱した後乾燥雰囲気下で放冷し、放冷後るつぼの重量を測定し、下記計算式に従うことで求めることができる。
Figure 0004395049
(B:強熱減量(%)、W:加熱前の研摩材用原料とるつぼの重量(g)、W:加熱後の研摩材用原料とるつぼの重量(g)、W:るつぼの重量)
一方、研摩材のアルカリ金属の濃度は、焙焼工程前の原料に対し、ナトリウム、カリウム、リチウムの化合物を少なくとも1種添加することにより行なう。この際の化合物の添加量は、焙焼工程に供する研摩材原料中のナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属のTREOに対する濃度が合計で0.01〜3.0重量%となるような量を添加する。アルカリ金属の化合物を添加するのは、炭酸希土にはこれらアルカリ金属が含有されていないからである。添加するアルカリ金属化合物は、安価なナトリウムの化合物が好ましい。そして、その濃度を0.01〜3.0重量%と研摩材中の最終的なアルカリ金属濃度を同一とするのは、これらのアルカリ金属濃度は、焙焼によっても減少することなく研摩材中に存在することとなるからである。従って、アルカリ金属化合物の添加量は、焙焼工程に供する研摩材原料中のナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属のTREOに対する濃度が0.02〜0.25重量%とするのが好ましく、0.03〜0.20重量とするのがより好ましい。また、アルカリ金属化合物と研摩材原料とを水溶液中で混合し、ろ過することによりアルカリ金属化合物を添加する場合、ろ液中にアルカリ金属が含まれるような場合には、このろ液に残留するアルカリ金属量を考慮して添加するアルカリ金属化合物の量を調整する必要がある。
添加するアルカリ金属化合物としては、研摩特性への塩素の影響を考慮して、塩素とアルカリ金属との重量比(塩素/アルカリ金属)が0.2以下であるものが好ましく、また、その構成元素(化学式に含まれる元素)に塩素を含まないものが好ましい。このようなアルカリ金属化合物を用いることにより、塩素含有量の少ない研摩材を製造できる。アルカリ金属化合物の添加を行なうタイミングは、焙焼工程の前であれば特に限定されることはない。従って、粉砕工程の前後何れで行なっても良く、また、研摩材原料の仮焼を行なう場合にはその前後何れで行なっても良い。尚、添加するアルカリ金属化合物としては、水溶性のものが好ましい。水溶液状態としたほうが研摩材原料との混合を均一に行うことができるからである。好ましい化合物の例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩が挙げられる。特に、水酸化物が好ましい。
アルカリ金属化合物と研摩材原料とを水溶液中で混合し、ろ過することによりアルカリ金属化合物を添加する場合において、水酸化物の水溶液を適用すれば、ろ液中にアルカリ金属が残留せず、アルカリ金属を過剰に添加するおそれがないからである。また、水酸化物を適用することで、研摩速度の良好な研摩材を製造することができる。
焙焼工程前の研摩材原料の粉砕工程としては、通常は粉砕装置により行い、特に湿式粉砕装置により行なうのが一般的である。本発明においても粉砕装置による粉砕は有用であるが、粉砕の手法として、研摩材原料を水を含む溶媒と混合して60〜100℃で加熱して、該研摩材原料を粉砕しても良い(以下、このような粉砕方法を浸漬加熱粉砕と称する。)。この浸漬加熱粉砕を行なうことで、製造される研摩材は研摩傷の少ない高精度の研摩面を形成できるものとなる。浸漬加熱粉砕のタイミングは、焙焼工程の前であれば特に限定されることはない。従って、アルカリ金属化合物添加の前後何れで行なっても良い。また、研摩材原料の仮焼を行なう場合にはその前後何れで行なっても良いが、原料中の炭酸根が多い状態の方が粉砕効果が高いことから、仮焼前の実施が好ましい。尚、浸漬加熱粉砕を行うことは、粉砕装置による粉砕を行なうことを妨げるものではない。従って、両方の粉砕法を適宜に組み合わせて行なっても良い。
尚、本発明においては、フッ素濃度が上記範囲を超えないことを条件として、フッ素濃度の調整を行っても良い。例えば、フッ素濃度が実質的にゼロである研摩材原料を用いる場合、焙焼前にフッ素化合物を添加してフッ素濃度を調整しても良い。フッ素濃度の増大は、研摩傷発生の問題があるが、その一方で研摩速度上昇の効果がある。また、フッ素濃度が上記範囲内にあるのであれば、研摩傷の問題もさほど大きくない。従って、研摩速度を重視してフッ素濃度を調整するのも有用である・フッ素濃度の調整は、フッ素化合物の添加によるのが好ましく、フッ素化合物としてはフッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素酸等が適用できる。また、フッ素濃度調整のタイミングは、焙焼工程前であれば特に限定されるものではない。
以上の、原料の準備(仮焼)及び粉砕工程の後、焙焼工程を経て本発明に係る研摩材が製造される。ここで焙焼工程における焙焼温度は、700〜1100℃とするのが好ましく、より好ましくは750〜1050℃である。また、焙焼時間は0.5〜48時間が好ましく、より好ましくは1〜24時間である。双方の条件共、下限値未満であると酸化セリウム粒子の焼結が不十分で研摩速度の低い研摩材となり、また、上限値を超えると粒成長により研摩傷の多い研摩材となるからである。但し、研摩精度に特に優れた高純度の研摩材を製造する場合、上記温度範囲より低い焙焼温度が適用される場合がある。例えば、酸化セリウムを90重量%以上(TREO基準)含有するセリウム系希土類炭酸塩を原料とし、これを浸漬加熱粉砕してモノオキシ炭酸塩とし、更に、130〜250℃で乾燥させて酸化セリウムとした後に焙焼して製造される研摩材は、研摩精度に優れた研摩材である。この研摩材の製造において、焙焼温度を300〜600℃と上記範囲より低い温度とすることが好ましいが、この研摩材においてもアルカリ金属を添加することで研摩速度の向上がみられる。従って、焙焼温度については、特に限定はないと考えるべきである。尚、原料の仮焼を行う場合、焙焼温度は仮焼温度より高くする必要がある。焙焼温度が仮焼温度以下であると、焼結が進行し難くなるからである。
焙焼工程後の研摩材については、焙焼物の解砕及び分級処理を行なうのが好ましい。凝集して粗大化した研摩材粒子を解砕すると共に、好適な粒度分布の研摩材とするためである。
以上説明したように本発明に係るセリウム系研摩材は、フッ素をほとんど含有しないにもかかわらず、研摩力に優れており、更に、研摩精度も改善された研摩材である。
以下、本発明の好適な実施形態を比較例と共に説明する。本実施形態では原料の粉砕工程、焙焼工程を有する研摩材の製造工程において、浸漬加熱粉砕の有無、仮焼の有無、フッ素濃度調整の有無により、異なる数種類の製造工程を適用して研摩材を製造した。以下、それぞれについて説明する。
製造工程1
この製造工程は、原料である炭酸希土について浸漬加熱粉砕及び仮焼を行いつつ、フッ素濃度調整は行わずに研摩材を製造した。この製造工程の概略を図1に示す。この製造工程により製造される研摩材は、後述の実施例1〜17、実施例24〜31、実施例33〜49、比較例1〜6、比較例8〜11、比較例15、16に該当する。
ここでの研摩材原料は、TREO 45重量%であり、酸化セリウム含有量61重量%、フッ素濃度0.1重量%未満(いずれもTREO基準)の炭酸希土である。尚、この原料のアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)の濃度は、いずれも0.002重量%未満(TREO基準)であった。
また、研摩材中の酸化セリウム含有量による相違を検討するため、酸化セリウム含有量の異なる炭酸希土を調整し、これを研摩材原料とする研摩材の製造も行った。この場合の炭酸希土原料の調整は、酸化セリウム含有量99.99重量%(TREO基準)の炭酸セリウム、酸化ランタン含有量99.99重量%(TREO基準)の炭酸ランタン、酸化プラセオジム含有量99.99重量%(TREO基準)の炭酸プラセオジム、酸化ネオジム含有量99.99重量%(TREO基準)の炭酸ネオジム、酸化サマリウム含有量99.99重量%(TREO基準)の炭酸サマリウム、酸化ガドリニウム含有量99.99重量%(TREO基準)の炭酸ガドリニウムを下記のTREO混合割合で混合して、酸化セリウム含有量25〜99.99重量%の炭酸希土原料を製造した(以下、このように調整された原料を調整原料と称する)。尚、この原料のアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)の濃度も、いずれも0.002重量%未満(TREO基準)であった。
Figure 0004395049
研摩材の製造においては、まず、この研摩材原料を浸漬加熱粉砕した。浸漬加熱粉砕は、原料2000kgを純水5000Lと混合し、これを攪拌しながら蒸気を吹き込み90℃に到達してから4時間、この温度を維持した後に放冷することにより行った。そして、浸漬加熱粉砕後のスラリーをろ過した。この浸漬加熱粉砕は、2回(2バッチ)行っている。但し、調整原料を用いる場合には、TREO相当で90kgの原料を純水400Lと混合し、これについて浸漬加熱粉砕を行った。
次に、得られた浸漬加熱粉砕炭酸希土を仮焼した。この工程は、浸漬加熱粉砕炭酸希土を600℃で2時間加熱した。仮焼後の仮焼炭酸希土は、強熱減量(強熱温度1000℃)は、15重量%であった。
そして、仮焼後の仮焼炭酸希土を純水を用いて5000Lのスラリーとした後に湿式粉砕した。湿式粉砕は、直径1.0mmのジルコニアボールを用いたビーズミルにて3パス行った。粉砕後の5000Lのスラリーを後の試料製造のために100L単位に分割した(一部、後述の工程2での研摩材製造に供している。)。但し、調整原料を用いた場合には、仮焼後の原料を純水を用いて200Lのスラリーとした後、同様に湿式粉砕し、粉砕後のスラリーを2分割した。
粉砕後のスラリーについて、アルカリ金属化合物を添加した。添加するアルカリ金属化合物は、実施例より水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、塩化ナトリウムを用いた。また、添加量も0.0005〜0.5重量%(TREO基準)と変化させたものを製造した。そして、アルカリ金属化合物添加後のスラリーは、ろ過、乾燥した。但し、塩化ナトリウムを添加したものについては、ろ過せずに全量乾燥して次の工程に供した。尚、実施例26、27、及び、比較例28では、Cl/Naの重量比がそれぞれ、0.1、0.2、0.25となるように水酸化ナトリウムと塩化ナトリウムとを混合したものを添加した。また、実施例49では、添加するアルカリ金属化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムの3種を添加した。
以上の浸漬加熱粉砕、仮焼、アルカリ金属添加後の研摩材原料を焙焼した。ここでの焙焼条件は、焙焼温度650〜1150℃とし、時間を12時間とした。最後に、焙焼後の焙焼物を解砕し、分級処理してセリウム系研摩材とした。
製造工程2
この製造工程は、原料である炭酸希土について浸漬加熱粉砕及び仮焼を行い、更にフッ素濃度の調整を行って研摩材を製造した。この製造工程の概略を図2に示す。この製造工程により製造される研摩材は、後述の実施例18〜20、比較例7に該当する。
製造工程2では、製造工程1において製造された粉砕仮焼炭酸希土スラリーを分割したものの一部を用いた。粉砕仮焼炭酸希土スラリー100Lに1mol/Lのフッ化アンモニウムをフッ素濃度が0.2〜0.9重量%(TREO基準)となるように添加し、これをろ過してフッ素添加原料とした。そして、この原料に純水を加えて100Lのスラリーとし、後は上述の製造工程1と同様にアルカリ金属化合物の添加、焙焼、解砕、分級して研摩材とした。
製造工程3(a)〜(c)
この製造工程では、炭酸希土原料について、浸漬加熱粉砕、仮焼の一方又は双方を行わずに研摩材を製造した。フッ素濃度の調整は行っていない。この製造工程の概略を図3(a)〜(c)に示す。この製造工程により製造される研摩材は、後述の実施例21〜23に該当する。
製造工程3(a)(図3(a))では、製造工程1と同様過程にて浸漬加熱粉砕を行った原料をスラリー化し、これを仮焼を行わずに直径1.0mmのジルコニアボールを用いたビーズミルにて3パスの粉砕を行い、このスラリーにアルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム)を添加した。そして、その後の工程は製造工程1と同様として研摩材を製造した。
製造工程3(b)(図3(b))では、製造工程1と同様の炭酸希土原料100kgに純水200Lを混合してスラリーとし、これを浸漬加熱粉砕を行わずに粉砕した。このときの粉砕方法は、直径3.0mmのジルコニアボールを用いたアトライタを循環方式で8時間運転することにより行った。そして、粉砕後のスラリーをろ過した後、製造工程1と同様に、原料を仮焼した後、再度ビーズミルにて粉砕し、アルカリ金属化合物を添加し、焙焼して研摩材を製造した。
製造工程3(c)(図3(c))では、浸漬加熱粉砕も仮焼も行わずに研摩材を製造するものである。ここでは、原料100kgに純水200Lを混合してスラリーとし、まず、直径3.0mmのジルコニアボールを用いたアトライタを循環方式で8時間運転して粉砕を行い、更に、直径1.0mmのジルコニアボールを用いたビーズミルにて3パスの粉砕を行った。そして、この粉砕炭酸希土スラリーについて製造工程1と同様にアルカリ金属化合物を添加し、焙焼して研摩材を製造した。
製造工程4
この製造工程は、上述の特許文献1(実施例2)の内容に従って研摩材を製造するものである。この製造工程により製造される研摩材は、後述の比較例12、13に該当する。
この製造方法では、まず、有効容積20Lの攪拌機付反応槽と、反応槽からのオーバーフローが流入する有効容積20Lの攪拌機付熟成槽とに純水に少量のアンモニア水でpHを7.6に調整した液を張った。そして、液を攪拌しながら、反応層に硝酸セリウム(III)+硝酸ランタン(III)水溶液(TREO 171g/L、CeO/TREO 92重量%、La/TREO 8%)を0.16L/分の速度で添加した。また、この際、3mol/Lのアンモニア水を反応槽内のpHが7.6に保たれるように連続的に添加した。反応槽、熟成槽の液温は20℃であった。そして、熟成槽からのオーバーフローをろ過してろ過ケーキを得た。
そして、ろ過ケーキを半分に分割し、一方を温度分布が入口温度100℃から出口温度1090℃まで段階的に変化している回転炉に導入して乾燥、焙焼を行った。乾燥は100℃〜600℃で2時間、焙焼は600〜1090℃で3時間であった。焙焼後の焙焼物は、製造工程1と同様に、解砕、分級を行い研摩材を製造した(比較例12)。また、もう一方のろ過ケーキを、製造工程1と同様に、乾燥、焙焼(焙焼温度1100℃)、解砕、分級を行い研摩材とした。
製造工程5
この製造工程では、TREO 45重量%であり、酸化セリウム含有量99.9重量%、フッ素濃度0.1重量%未満、アルカリ金属濃度0.002重量%未満(いずれもTREO基準)の高純度炭酸セリウムを原料として用い、段落0031の後半で説明した製造方法にて研摩材を製造した。この製造工程の概略を図4に示す。この製造工程により製造される研摩材は、後述の実施例32、比較例14に該当する。
ここでは、原料200kgを用意し、まず、浸漬加熱粉砕を行なった。浸漬加熱粉砕の条件は、製造工程1と同様とした。そして、これを直径1.0mmのジルコニアボールを用いたビーズミルにて3パスの湿式粉砕を行って、スラリーを2分割した。一方のスラリー(比較例14)は、直ちに200℃ 48時間で乾燥処理し、他方のスラリー(実施例32)については、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウムを添加した後に、乾燥を行なった。乾燥後、500℃ 12時間の焙焼を行い、焙焼物をアトマイザーにて乾式粉砕した。そして、粉砕物を純水にて100Lのスラリーとし、最後に、これを直径0.8mmのジルコニアボールを用いたビーズミルにて6パスの湿式粉砕を行ってスラリー研摩材とした。
各種特性の評価
以上の製造工程により製造されたセリウム系研摩材について、D50の粒径、BET比表面積、粗大粒子含有量の測定を行い、更に、フッ素濃度、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)濃度を測定した。そして、これら研摩材の研摩特性を評価すべく研摩試験を行った。
BET法比表面積の測定は、JIS R 1626−1996(ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法)の「6.2 流動法 の(3.5)一点法」に準拠して測定を行った。その際、キャリアガスであるヘリウムと、吸着質ガスである窒素の混合ガスを使用した。なお、スラリー研摩材についての測定では、当該スラリーを十分に乾燥(105℃に加熱)させることにより得られた乾燥品についてBET法比表面積を測定した。
50粒径の測定は、レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製:LA−920)を使用して粒度分布を測定することにより、小粒径側からの累積質量50質量%における粒径を求めることにより行った
粗大粒子(ストークス径が5μm以上の粒子)の含有率の測定は、まず、測定用の容器に、粉末状の測定対象物を200g入れると共に、0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を容器の上部標線まで入れて十分に混合する。次に、容器を静置し、指定時間静置・沈降させる。指定時間経過後、上部標線から下部標線の間のスラリーを抜き出す。スラリーを抜出し終えると、また新たな0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を容器の上部標線まで注ぎ足して十分に混合し、容器を指定時間、静置・沈降させた後、上部標線から下部標線の間のスラリーを抜き出す。このように、一連の操作(具体的には、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液の注液、静置・沈降、スラリーの抜き出しからなる一連の操作)を繰り返した(本実施形態では更に6回(都合8回)繰り返した)後、最終的に、容器の下部標線以下に残留した粒子を105℃にて十分に乾燥する。このようにして得られた乾燥残留粒子の重量A(g)を精密天秤にて測定した。そして、ストークス径が5μm以上の粗大粒子の含有率S(重量%)を、算出式(S=A÷200×100)を用いて算出した。指定時間(静置・沈降時間)は、上部標線(スラリー上面)の位置にあるストークス径が5μmの粒子が下部標線まで沈降するのに要する時間であり、上部標線と下部標線間の距離をストークスの式から算出される沈降速度で割ることにより算出される。上記一連の操作を1回だけしか行わないとすると、下部標線以下の部分にストークス径が5μm以下の粒子が多く混入してしまうが、多数回繰り返すと混入量が少なくなる。なお、測定対象物がスラリー研摩材の場合にあっては、BET法比表面積測定で乾燥品を得るときに、スラリー重量に対する乾燥品の重量の割合を測定しておき、この割合から、乾燥品200gに相当するスラリー量を分取して試料として用いる。
フッ素濃度の測定は、研摩材をアルカリ溶融して温水抽出し、フッ化物イオン電極法により測定した。アルカリ金属濃度の測定は、研摩材を酸溶解した後、原子吸光法にて測定した。塩素濃度の測定は、研摩材を硝酸にて溶解後、Volhard滴定法にて測定した。また、これらの基準となるTREOは、研摩材を酸溶解し、溶液にアンモニア水を添加して沈殿物を生じさせ、この沈殿物をろ過、洗浄してアルカリ金属を除去した後、これを酸にて再溶解した後、溶液にシュウ酸を添加して沈殿物を生じさせ、この沈殿物を焼成して重量法にて測定した。
そして、研摩材試験については、研摩試験機(HSP−2I型、台東精機(株)製)を用意した。この研摩試験機は、スラリー状の研摩材を研摩対象面に供給しながら、当該研摩対象面を研摩パッドで研摩するものである。研摩試験に当たっては、研摩材と純水とを混合してTREO100g/Lのスラリー状の研摩材を20L調製した。そして、研摩試験では、スラリー状の研摩材を5リットル/分の割合で供給することとし、研摩材を循環使用した。尚、研摩対象物は65mmφの平面パネル用ガラスとした。また、研摩パッドはポリウレタン製のものを使用した。研摩面に対する研摩パッドの圧力は9.8kPa(100g/cm2)とし、研摩試験機の回転速度は100rpmに設定し、30分間研摩した。
研摩特性の評価は、まず、研摩前後のガラス重量を測定して研摩によるガラス重量の減少量を求め、この値に基づき研摩値を求めた。本研摩試験では、この研摩値を用いて研摩速度を評価した。なお、ここでは、比較例1(アルカリ金属を含まない研摩材)によって得られた試料を用いて研摩した場合の研摩値を基準(100)とした。
そして、研摩により得られた被研摩面について、純水で洗浄し、無塵状態で乾燥させた後、傷評価を行った。傷評価は、30万ルクスのハロゲンランプを光源として用いる反射法でガラス表面を観察し、大きな傷および微細な傷の数を点数化し、100点を満点として減点評価する方式で行った。この傷評価では、ハードディスク用あるいはLCD用のガラス基板の仕上げ研摩で要求される研摩精度を判断基準とした。
本実施例で製造した研摩材の分析結果及び研摩試験の結果を表3〜表5に示す。尚、以下の表において、各実施例に係る研摩材のTREOに対するアルカリ金属濃度については、ナトリウム、カリウム、リチウムのうち1種類しか記載されていないが、記載されていない他の2種類については、ナトリウム、カリウム、リチウムの3種を添加した実施例49を除き、全て0.002重量%未満であった。
Figure 0004395049
Figure 0004395049
Figure 0004395049
評価1:アルカリ金属濃度による評価
表3は、アルカリ金属濃度による研摩特性の評価結果を示している。まず、アルカリ金属濃度(ナトリウム濃度)を変化させつつ、焙焼温度を900℃と一定として製造された研摩材(実施例1〜9、比較例1〜3)についてみると、アルカリ金属濃度(ナトリウム濃度)の上昇に伴い、D50粒径、粗粒子含有率が増大し、BET表面積は減少している。そして、ナトリウム濃度の上昇に伴い、研摩速度は上昇する傾向があり、ナトリウム濃度が0.01重量%以上で急激に上昇している。一方、研摩傷評価については、ナトリウム濃度が低い程良好な結果を示している。比較例1、2で傷評価が良くないのは、研摩速度が低すぎるため、一旦傷が発生すると研摩により消すことができないため傷が残留してしまうことによる。
また、表3の下部の結果(実施例4、10〜17、比較例4〜6)は、ナトリウム濃度と焙焼温度を変更しつつ製造された研摩材に関する結果であるが、表1からわかるように、ここで設定された焙焼温度は、研摩材の粒径がほぼ一定になるように調整されたものである。この結果を見るとわかるように、ナトリウムの濃度が所定範囲を外れると、粒径をほぼ同じにしても研摩傷の発生がみられる。逆に、ナトリウム濃度を適正範囲にすることで、焙焼温度の適正範囲が広がることがわかる。
更に、実施例49では、アルカリ金属としてナトリウム、カリウム、リチウムの3種を同時に含むものである。この実施例49と、アルカリ金属濃度を除き同一条件で製造された実施例1〜6、比較例9とを比較すると、アルカリ金属を3種類含んでいてもその濃度が3重量%以下であれば、研摩特性が著しく劣ることはないことがわかる。
以上の結果から、研摩材中のアルカリ金属濃度は、0.01〜3.0重量%(TREO基準)が好ましく、0.02〜1.0重量%(TREO基準)がより好ましく、0.03〜0.5重量%(TREO基準)が更に好ましいことが確認された。
評価2:塩素濃度による評価
表4の中下部(実施例9、実施例26、27、比較例8、9)は、研摩材中の塩素濃度による評価結果を示すものである。この結果から、塩素濃度が増加するに従い、研摩速度が低下するのに加え、傷の発生も多くなる。従って、研摩材中の塩素濃度は、0.3重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましいことが確認された。
評価3:フッ素濃度による評価
表4の上部(実施例4、18〜20、比較例7)は、研摩材中のフッ素濃度による評価結果を示すものである。この結果から、フッ素濃度が増加するに従い、研摩速度の上昇がみられるが、反面、傷発生が多くなる。よって、研摩速度と傷とのバランスを考慮すれば、フッ素濃度は、0.5重量%以下(TREO基準)とすることが必要であり、0.2重量%以下(TREO基準)とが好ましく、0.1重量%以下(TREO基準)とがより好ましい。
評価4:浸漬加熱粉砕及び仮焼の有無による評価
表4の中上部(実施例4、21〜23)は、浸漬加熱粉砕、仮焼の有無による研摩特性を評価するものである。これらの研摩特性をみると、浸漬加熱粉砕及び仮焼は必ずしも必須の工程ではないことがわかる。但し、浸漬加熱粉砕を行うことで粗粒子の発生量が低減されており、研摩傷発生の抑制効果が確認され、また、仮焼の実施により研摩速度向上の効果が確認される。よって、両者を行うことが好ましい。
評価5:アルカリ金属の種類による評価
表4の中央部(実施例4、24、25)は、各種アルカリ金属化合物を添加して製造した研摩材の研摩特性を評価するものである。これらの研摩特性をみると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを用いた場合の効果はほぼ同等である。従って、アルカリ金属の種類による相違はさほどないといえる。尚、塩化ナトリウムを添加した場合には、研摩材中の素粒子含有率が高くなり、傷の発生が若干みられる。
評価6:焙焼温度による評価
表4の下部(実施例4、28〜31、比較例10、11)は、焙焼温度を種々変更して製造した研摩材の研摩特性を評価するものである。この表から、焙焼温度を高くすると、D50粒径、粗粒子含有率が増大し、BET表面積は減少している。そして、焙焼温度の上昇に伴い、研摩速度は上昇するが、傷の発生も多くなる。
従って、同一のアルカリ金属濃度の範囲内においては、焙焼温度は、700〜1100℃が好ましく、750〜1050℃がより好ましい。また、D50粒径は、0.1〜3.0μmであることが好ましく、0.2〜2.5μmが更に好ましい。そして、BET比表面積については、1〜30m/gが好ましく、2〜25m/gがより好ましい。
評価7:酸化セリウム含有量による評価
表5の中央部(実施例33〜40、比較例15)は、焙焼温度を900℃と一定にし、酸化セリウム含有量を変化させた研摩材の評価結果を示す。この結果から、酸化セリウム含有量の上昇に伴い、D50粒径、粗粒子含有率が増大し、BET表面積は減少している。そして、酸化セリウム含有量の上昇に伴い、研摩速度は上昇する傾向があり、30重量%以上で急激に上昇している。一方、研摩傷評価については、酸化セリウム含有量が低く、粗粒子が少ない程、良好な結果を示している。比較例14で粗粒子が少ないにもかかわらず傷評価が良くないのは、研摩速度が低すぎるため、一旦傷が発生すると研摩により消すことができないことよる。
また、表5の下部の結果(実施例41〜48、比較例16)は、酸化セリウム含有量と焙焼温度を変更しつつ製造された研摩材に関する結果であるが、ここで設定された焙焼温度は、研摩材の粒径がほぼ一定になるように調整されたものである。この結果を見るとわかるように、酸化セリウム含有量が低いと、焙焼温度を高めに設定して粒径を揃えても傷の発生が多い研摩材となる。以上を考慮すると、研摩材粒の酸化セリウム含有量は30重量%以上(TREO基準)とすることが好ましい。
比較例12、13に関する評価
比較例12、13は、本発明に係る方法とは全く異なる方法で製造された研摩材であるが、その評価結果(表5最上部)を見るとわかるように研摩傷の発生がみられる上に、研摩速度もさほど高くないことが確認された。また、そもそも、この製造方法は、手間がかかり工業的とはいい難い。
実施例32、比較例14に関する評価
実施例32、比較例14は、他の実施例に係る研摩材とは異なる原料、工程にて製造された研摩材である。その評価結果(表5上部)からわかるように、比較例14の研摩材は、研摩面精度が極めて良好な研摩材であるが、研摩速度が比較的低いという問題がある。そこで、実施例32は、研摩材にアルカリ金属を添加したものであるが、アルカリ金属の添加により、研摩速度の明確な改善が見られた。この際、良好な研摩面精度を損なうことはない。よって、アルカリ金属を含有させることは、かかる研摩材の研摩特性改善にも有効であることが確認された。
本実施形態の製造工程1の工程を示す図。 本実施形態の製造工程2の工程を示す図。 本実施形態の製造工程3(a)〜(b)の工程を示す図。 本実施形態の製造工程5の工程を示す図。

Claims (11)

  1. 炭酸希土からなる研摩材原料から製造され、酸化セリウムを全希土類酸化物(TREO)に対して30重量%〜99重量%含有し、TREOに対するフッ素濃度が0.5重量%以下であるセリウム系研摩材において、
    ナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属をTREOに対して合計で0.01〜3.0重量%含み、
    更に、TREOに対する塩素濃度が0.3重量%以下であることを特徴とするセリウム系研摩材。
  2. フッ素濃度がTREOに対して0.1重量%以下である請求項1記載のセリウム系研摩材。
  3. ナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属をTREOに対して合計で0.02〜1.0重量%含み、TREOに対する塩素濃度が0.1重量%以下である請求項1又は請求項2記載のセリウム系研摩材。
  4. アルカリ金属がナトリウムである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセリウム系研摩材。
  5. 700〜1100℃の温度で焙焼される焙焼工程を経て製造された請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセリウム系研摩材。
  6. 研摩材原料を焙焼する焙焼工程、該焙焼工程前に研摩材原料を粉砕する原料粉砕工程を有するセリウム系研摩材の製造方法において、
    前記研摩材原料として、酸化セリウムをTREOに対して30重量%〜99重量%含有するセリウム系希土類炭酸塩を用い、
    前記焙焼工程の前に、ナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属のTREOに対する濃度が合計で0.01〜3.0重量%となるように、ナトリウム、カリウム、リチウムの化合物を少なくとも1種、研摩材原料に添加する工程を有し、
    添加する前記ナトリウム、カリウム、リチウムの化合物として、塩素とアルカリ金属との重量比(塩素/アルカリ金属)が0.2以下である化合物を用いることを特徴とするセリウム系研摩材の製造方法。
  7. 添加するナトリウム、カリウム、リチウムの化合物として、塩素を構成元素として含まない化合物を用いる請求項6記載のセリウム系研摩材の製造方法。
  8. 焙焼前の研摩材原料を、乾燥基準の強熱減量が5〜25重量%となるように仮焼する工程を有する請求項6又は請求項7記載のセリウム系研摩材の製造方法。
  9. 原料中のナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属のTREOに対する濃度が合計で0.02〜1.0重量%となるように、ナトリウム、カリウム、リチウムの化合物を少なくとも1種添加する請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のセリウム系研摩材の製造方法。
  10. 焙焼工程前にナトリウムの化合物を添加する請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のセリウム系研摩材の製造方法。
  11. 焙焼工程前に、研摩材原料を水を含む溶媒と混合して60〜100℃で加熱して、該研摩材原料を粉砕する請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載のセリウム系研摩材の製造方法。
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