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JP4393055B2 - 固形描画材 - Google Patents

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JP4393055B2 JP2002342608A JP2002342608A JP4393055B2 JP 4393055 B2 JP4393055 B2 JP 4393055B2 JP 2002342608 A JP2002342608 A JP 2002342608A JP 2002342608 A JP2002342608 A JP 2002342608A JP 4393055 B2 JP4393055 B2 JP 4393055B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肌描き用として良好に描画できる固形描画材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、サッカーなどのスポーツイベントやパーティなどにおいて、顔や肌に多種の描画を施すことが多くなってきている。このための描画材としては、いわゆる化粧品やドーランとは別に通常の画材が用いられていることが多く、代表的にはクレヨンや絵の具などが挙げられる。これらの画材は、紙面ばかりでなく肌にも描くことが可能ではあるが、そのままでは種々の問題があり、例えばクレヨンは、材質として着色材の他にワックスを主材としているので、肌に対する定着性は好ましいものの、洗い落とすことが困難であり、また書き味も重く、描画面も鮮やかとはいい難い。そのため、肌描きとして通常は液状の水彩絵の具が好適に使用されているが、これは水溶性であるため洗い落とすことは容易であるものの、逆にイベント中における雨や汗などにより描画面が流れ易くなり、形がくずれて描画状態を保持することが困難になるという問題があり、また絵の具であるため使いがってが面倒である。
【0003】
一方、肌描き可能な固形描画材として、ワックス以外の良好な材料としてゲル形成剤が挙げられる。つまり、ゲル形成剤はチキソトロピー性を有し、通常は固形物として固体性を維持するが、筆記面に筆記した際には、接触部分が押圧および擦過により流動化して筆記面に滑らかに筆記することができ、仮に肌に塗布した場合でもワックスと比べれば書き味が滑らかでその描画面は鮮やかなものとなる。具体的にはゲル形成剤、顔料、高分子重合体、水、有機溶剤などから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特公昭51−17097号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のゲル形成剤を用いた固形描画材は、紙面上の品質向上を目的としたものであって、肌に描かれた場合の定着性や消去性については考慮されておらず、また描画性や書き味も十分なものではない。即ち、肌に描くときに良好な性能をもたらすファクターとして高分子重合体が挙げられるが、通常の熱可塑性樹脂の場合、有機溶剤を用いたり、溶融させたり、あるいは微粉末化して水中に分散させるなどの方法があるものの、肌に使用するため有機溶剤は好ましくなく、溶融して用いるとワックス系の品質になってしまい、微粉末化して使用しても水蒸発時に樹脂粒子同士の融着が生じないため、良好な皮膜が得られ難く、肌に描いてもぼろぼろに崩れてしまう。また水溶性樹脂の場合は、耐水性がないために消去性には優れているものの、定着性に劣る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、肌書きに良好な固形描画材であって、雨や汗などによって描画面がくずれることなく、それでいて水洗浄で容易に洗い落とすことができるというバランスのとれた定着性と消去性を有し、さらに書き味が滑らかで、鮮やかな描画面を顕現する固形描画材を提供するものであって、少なくとも着色材とゲル形成剤と樹脂エマルジョンからなる固形描画材において、前記樹脂エマルジョンの固形分が固形描画材全重量に対し6〜9重量%であること、樹脂エマルジョンの固形分がアクリル系樹脂であること、さらに着色材の平均粒径が0.1〜1.2μmであること、さらにはゲル形成剤が脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩であること、また肌書き用であることを要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の固形描画材は、少なくとも着色材とゲル形成剤と樹脂エマルジョンとから構成され、樹脂エマルジョンの固形分が固形描画材全重量に対し6〜9重量%であることを特徴とする。即ち樹脂エマルジョンは、樹脂粒子表面に乳化剤がとりまいた状態で微粉状に分散しており、この状態のまま固形描画材中に充填されるのであるが、肌に描画した場合、水分の蒸発に伴って粒子間の融着が始まり、連続した皮膜が形成され、肌に対する定着性および消去性の良好な画線が得られるのである。上記樹脂エマルジョンの固形分が6〜9重量%とすることにより、定着性と消去性とが最もバランスのとれた性能を有する固形描画材となるのである。6重量%未満では、消去性は好ましいものの定着性が十分ではなく、雨や汗により描画面が汚くなり易く、また9重量%を超えると定着性は好ましいものの、水洗浄で洗い落とすことが困難となる。
【0008】
樹脂エマルジョンに用いる固形分としては、アクリル系樹脂を用いる。つまり、アクリル系樹脂の持つ適度な粘着性と水分に対する剥離性およびその配合量とが、肌の上では好適に働き、雨や汗では落ちなくても、水洗いで落ちるという微妙な効果をもたらすものと思われる。
【0009】
本発明に用いる着色材としては、従来公知の顔料であればなんでもよく、例えば弁柄、群青、カーボンブラック、マイカなどの無機顔料や、有機顔料としてはフタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系などが用いられ、例えばピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントグリーン7、ピグメントイエロー93、ピグメントレッド144、ピグメントオレンジ5、ピグメントバイオレット19、ピグメントレッド122、ピグメントバイオレット23、ピグメントオレンジ71、ピグメントレッド254などが挙げられる。この他、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナホワイト、サチン白、硫酸バリウムなどの白色顔料なども挙げられ、これらを単独又は組合せて用いる。着色材の配合量としては、描画材全重量に対し2〜30重量%の範囲が好ましい。2重量%以下では発色性が十分ではなく、30重量%以上になると機械的強度が劣化してしまう。なお、上記顔料の他にアルミニウム粉やブロンズ粉などの金属顔料、パール顔料、金属箔片、ガラスフレークに金属や金属酸化物が被覆された光輝性顔料や蛍光顔料なども添加してもよい。
【0010】
本発明の特徴を十分に顕現させるためには、無機顔料、有機顔料あるいは白色顔料の平均粒径が0.1〜1.2μm、特には0.2〜0.8μmの範囲のものが好適である。0.1μm以下であると、非常に細かいために洗浄によっても十分に洗い落とせない恐れが生じ、1.2μm以上では雨や汗による塗布面の汚れが生じる恐れがある。
【0011】
本発明の固形描画材は、着色材および樹脂の他にゲル形成剤を主材として用いる。ゲル形成剤を用いることにより、滑らかな書き味と鮮やかな画線が得られ、さらに特定量の樹脂エマルジョンとの組合せの中で、バランスのとれた性能を有する固形描画材が得られる。ゲル形成剤として、炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩が用いられ、例えばミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウムなどが挙げられ、これらを単独又は組合せて用いる。ゲル形成剤の配合量としては、固形描画材全重量に対し10〜30重量%が好ましい。10重量%以下だと固形化しにくくなり、30重量%以上だと塗布性が劣化する。
【0012】
上記材質以外に、水を添加するのが好ましい。水を加えることにより、より一層滑らかな書き味と鮮やかな画線が得られる。配合量としては、樹脂エマルジョン中の水を加味して固形描画材全重量に対し20〜70重量%、特には40〜60重量%の範囲が好ましい。20重量%以下になると塗布性、描画性が低下し、塗布面が荒れてしまう。また70重量%以上では、機械的強度が劣化し、折れ易くなる。
【0013】
さらに必要に応じて、タルク、シリカ、クレイ、炭酸カルシウムなどの体質材や界面活性剤、グリセリンなどの保湿剤、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤などを各種添加してもよい。
【0014】
本発明の固形筆記体の製造方法として、まず所定量の水にゲル形成剤を混合して溶解させ、次に樹脂エマルジョンおよび着色材と保湿剤などを入れて分散させ、概ね90℃程度に加熱、溶解させて得られたゾル状の液状物を所定の型に充填して冷却固化することにより、ゲル状の固化物を作製し、型より取り出して固形描画材とする。この時着色材として、水分散顔料を用いてもよい。
次に、本発明の実施例を述べる。なお、部は重量部である。
【0015】
【実施例】
(実施例1)
ステアリン酸ナトリウム 20部
ピグメントイエロー93(平均粒径0.4μm) 4.5部
酸化チタン(平均粒径0.28μm) 8部
アクリルエマルジョン(固形分50%) 15部
グリセリン 7部
水 45.5部
上記配合を用いて、まず水中にステアリン酸ナトリウムを入れて溶解させ、次にアクリルエマルジョンおよびピグメントイエロー93、酸化チタン、グリセリンを入れて撹拌させながら約90℃に加熱した。得られた黄色のゾル状液状物を、内径8mmの型に充填して冷却固化する。この円柱状の固化物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmの黄色の固形描画材とした。
【0016】
(実施例2)
ステアリン酸ナトリウム 23部
ピグメントレッド122(平均粒径0.6μm) 4部
アクリルエマルジョン(固形分50%) 16部
グリセリン 10部
水 47部
上記配合を用い、実施例1と同様の工程にて赤色の固形描画材とした。
【0017】
(実施例3)
実施例2のピグメントレッド122の平均粒径を0.05μmとした以外は、実施例2と同様の材料、配合を用い、実施例1と同様の工程にて赤色の固形描画材とした。
【0018】
(実施例4)
実施例2のピグメントレッド122の平均粒径を4μmとした以外は、実施例2と同様の材料、配合を用い、実施例1と同様の工程にて赤色の固形描画材とした。
【0019】
(比較例1)
実施例1のアクリルエマルジョン(固形分50%)を6部、水54.5部とした以外は、実施例1と同様の材料、配合を用い、実施例1と同様の工程にて黄色の固形描画材とした。
【0020】
(比較例2)
実施例1のアクリルエマルジョン(固形分50%)を34部、水26.5部とした以外は、実施例1と同様の材料、配合を用い、実施例1と同様の工程にて黄色の固形描画材とした。
【0021】
(比較例3)
実施例1のアクリルエマルジョン15部をカルボキシメチルセルロース7.5部および水53部とした以外は、実施例1と同様の材料、配合を用い、実施例1と同様の工程にて黄色の固形描画材とした。
【0022】
(比較例4)
市販のワックス系のクレヨンを比較例とした。
【0023】
実施例1、2、3、4および比較例1、2、3、4の固形描画材について、実際に顔に描画した時の書き味、発色、定着性、消去性に対する性能を表1に示す。比較例4については、市販のワックス系のクレヨンを用いて性能比較した。なお定着性については、顔や腕に描画したのち適度の運動で汗を流したあとの状態、および消去性については水洗いしたあとの状態を目視で確認した。
【0024】
【表1】
Figure 0004393055
【0025】
【発明の効果】
以上、本発明の固形描画材は肌に描いたあとの雨や汗による画線の汚れがなく、しかも水洗いにより容易に落とすことができ、さらに滑らかな書き味と鮮やかな画線を有するという顕著な特徴を有する。なお、本発明の固形描画材は肌描きを前提とした構成であるが、通常の紙面にも描画できることは勿論である。

Claims (2)

  1. 少なくとも着色材とゲル形成剤と樹脂エマルジョンからなる固形描画材において、前記ゲル形成剤が脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩であり、前記樹脂エマルジョンとしてアクリル系エマルジョンを用い、さらにアクリル系エマルジョンの固形分が固形描画材全重量に対し6〜9重量%であることを特徴とする肌書き用の固形描画材。
  2. 着色材の平均粒径が0.1〜1.2μmであることを特徴とする請求項1記載の固形描画材。
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