JP4383045B2 - パワートレインの検査システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に用いられるパワートレインを検査するパワートレインの検査システムの技術分野に属する。なお、パワートレインの例として、自動変速機(以下、A/Tともいう)、無段変速機(以下、CVTともいう)、半自動変速機(セミオートマ)、電気モータを駆動源とする車両における電気モータ、ハイブリッド車におけるエンジン、電気モータ等である。また、電気モータの場合、電気モータに係る特性の例として、モータ出力トルクに対する制御装置からの制御信号としての電流指令値または電圧指令値である。
【0002】
【従来の技術】
従来、A/Tにより変速制御される車両においては、A/Tを車両に搭載した状態で、エンジンを駆動してタービンを回転させ、すべての摩擦係合要素を学習するため、エンジン回転数を一定にした状態で摩擦係合要素をストロークし、タービン回転数が下がった時点で摩擦係合要素がトルク伝達状態になったとしてストロークを把握し、そのストローク値をA/Tの変速制御に用いるためメモリに保存する自動変速機のコントロールシステムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、自動車のA/Tの最終試験台で、入力回転数、出力回転数、入力トルク、出力トルクと時間から、クラッチに対しての油の充填時間、油の充填圧力、反応時間が決定され、ピストンストローク圧の時間、待機圧の時間、切換圧力を補正し、その補正値を試験台のメモリに記憶させ、A/Tが自動車に組み込まれた後、A/Tの制御装置がこの補正値を読み取り、A/Tの変速制御に用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
更に、運転領域の圧力公差を計測によって検出し、基準特性曲線に対する偏差から補正量を作成し、この補正量をA/Tの制御装置に書き込むA/Tの制御装置が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【特許文献1】
米国特許第5456647号明細書
【特許文献2】
特表2001−502405号公報
【特許文献3】
ドイツ国特許公開第19943069号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特許文献1に開示されている自動変速機のコントロールシステムでは、自動変速機が組み上がってからすべての摩擦係合要素を学習し、その学習値をメモリに保存する。このため、すべての摩擦係合要素を学習するためには、操作を多くの回数行わなければならず、組み上がった自動変速機の最終検査が終了するまでに長い時間を要するという問題がある。
また、自動変速機の最終検査をA/Tの車両搭載状態で行うため、車両工場には摩擦係合要素の学習を行うためのスペースが必要となる。たとえ、A/Tを車両に搭載せずに、摩擦係合要素の学習をA/T単体で行うとしても、やはりスペースが必要となる。
【0006】
また、前述の特許文献2に開示されている方法も、最終試験台で、組み上がった自動変速機で学習されるので、基本的に前述の特許文献1の場合と同様の問題がある。
更に、前述の特許文献3に開示されている自動変速機の制御装置では、特定のポイントでは特性値を良好に補正することができるが、その他のポイントではうまく補正されない。このため、A/Tの制御が必ずしも高精度に行われるとは言えない。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、パワートレインの検査をできるだけ短時間に行うことができるようにしつつ、車両工場にパワートレインの学習のためのスペースを不要にするパワートレインの検査システムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1にかかる発明のパワートレインの検査システムは、パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品に所定値に対応した部品の駆動指令信号を出力し、前記部品が出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品の特性値として取得する部品テスタと、該部品テスタにより得られた特性値を記憶する記憶媒体と、前記パワートレインの完成品検査工程時に、前記記憶媒体に記憶されている前記特性値を用いて完成品の駆動指令信号を補正して前記完成品の前記部品に出力し、前記完成品が出力した実測値を測定し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲内にあるときは合格と判断し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲外にあるときは不合格と判断することで前記パワートレインの完成品を検査する完成品テスタとを備えていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2にかかる発明のパワートレインの検査システムは、前記パワートレインの完成品が、部品単体の集合体である部品アッシーの集合体からなり、前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品アッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、該部品アッシーテスタにより、前記特性値を取得していない部品からなる部品アッシーの特性値を取得し、前記パワートレインを制御する制御装置を備え、該制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて 一対として 前記部品の特性値を取得することを特徴としている。
【0010】
更に、請求項3にかかる発明のパワートレインの検査システムは、前記パワートレインの完成品は、部品単体の集合体である部品アッシーの集合体からなり、前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品アッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、前記部品テスタにより、前記部品アッシーを構成する少なくとも1つの部品の特性値を取得するとともに、該少なくとも1つの部品の特性値を用いて、前記部品アッシーテスタにより前記部品アッシーの特性値を取得し、前記パワートレインを制御する制御装置を備え、該制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて一対として前記部品の特性値を取得することを特徴としている。
【0011】
更に、請求項4にかかる発明のパワートレインの検査システムは、前記パワートレインを制御する制御装置を備え、前記完成品テスタにより、前記記憶媒体に記憶された前記特性値が前記制御装置に書き込まれるとともに、前記パワートレインの完成品の検査が行われることを特徴としている。
【0012】
更に、請求項5にかかる発明のパワートレインの検査システムは、パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品に所定値に対応した部品の駆動指令信号を出力し、前記部品が出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品の特性値として取得する部品テスタと、パワートレインを制御するとともに、該部品テスタにより得られた特性値を記憶する制御装置と、前記パワートレインの完成品検査工程時に、前記制御装置に記憶されている前記特性値を用いて完成品の駆動指令信号を補正して前記完成品の前記部品に出力し、前記完成品が出力した実測値を測定し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲内にあるときは合格と判断し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲外にあるときは不合格と判断することで前記パワートレインの完成品を検査する完成品テスタとを備えていることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項6にかかる発明のパワートレインの検査システムは、前記パワートレインの完成品が、例えばソレノイド、バルブ、バルブボディケース等の部品単体の集合体であるバルブボディアッシー等の部品アッシーの集合体からなり、前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品アッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、前記部品アッシーテスタにより、前記特性値を取得していない部品からなる部品アッシーの特性値を取得し、前記制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて一対として前記部品の特性値を取得することを特徴としている。
【0014】
更に、請求項7にかかる発明のパワートレインの検査システムは、前記パワートレインの完成品は、例えばソレノイド、バルブ、バルブボディケース等の部品単体の集合体であるバルブボディアッシー等の部品アッシーの集合体からなり、前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品アッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、前記部品テスタにより、前記部品アッシーを構成する少なくとも1つの部品の特性値を取得するとともに、該少なくとも1つの部品の特性値を用いて、前記部品アッシーテスタにより前記部品アッシーの特性値を取得し、前記制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて一対として前記部品の特性値を取得することを特徴としている。
【0019】
【発明の作用及び効果】
このように構成された請求項1ないし4にかかる発明のパワートレインの検査システムにおいては、完成されたパワートレインの検査つまりパワートレインの完成品検査工程に至る前にパワートレインを構成する部品、部品の集合体である部品アッシーおよび部品アッシーの集合体の各特性が部品テスタ、部品アッシーテスタによって測定される。その場合、パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品に所定値に対応した部品の駆動指令信号を出力し、部品が出力した実測値を測定し、実測値と所定値との誤差をパワートレインを構成する部品の特性値として取得される。そして、この特性値または特性値が必要に応じて補正された補正値がIDカード等の記憶媒体にパワートレイン固有の部品の特性値として記憶される。また、完成品検査工程で、記憶媒体に記憶されたパワートレインの部品の特性値を用いて、完成したパワートレインが検査される。すなわち、パワートレインの完成品検査工程時に、記憶媒体に記憶されている部品の特性値を用いて完成品の駆動指令信号を補正して完成品の前記部品に出力し、完成品が出力した実測値を測定し、完成品の実測値が予め設定された所定範囲内にあるときは合格と判断し、完成品の実測値が予め設定された所定範囲外にあるときは不合格と判断する。こうして、完成したパワートレインが検査される。
【0020】
また、請求項5ないし7にかかる発明のパワートレインの検査システムにおいては、完成されたパワートレインの検査つまりパワートレインの完成品検査に至る前にパワートレインを構成する部品、部品の集合体である部品アッシーおよび部品アッシーの集合体の各特性が部品テスタ、部品アッシーテスタによって測定される。その場合、パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品に所定値に対応した部品の駆動指令信号を出力し、部品が出力した実測値を測定し、実測値と所定値との誤差をパワートレインを構成する部品の特性値として取得される。そして、この特性値または特性値が必要に応じて補正された補正値がパワートレインを制御する制御装置にパワートレイン固有の部品の特性値として記憶される。また、完成品検査工程で、制御装置に記憶されたパワートレインの部品の特性値を用いて、完成したパワートレインが検査される。すなわち、パワートレインの完成品検査工程時に、制御装置に記憶されている部品の特性値を用いて完成品の駆動指令信号を補正して完成品の前記部品に出力し、完成品が出力した実測値を測定し、完成品の実測値が予め設定された所定範囲内にあるときは合格と判断し、完成品の実測値が予め設定された所定範囲外にあるときは不合格と判断する。こうして、完成したパワートレインが検査される。
【0021】
このように、完成品検査工程時に、この完成品検査工程に至る前に取得されあるいは必要に応じて補正されたパワートレイン固有の特性値を用いて、完成したパワートレインを検査することで、完成品検査の機能は実質的に検査だけとなる。したがって、パワートレインの完成品検査に要する時間を短縮することができる。
【0022】
また、部品、部品アッシーおよび部品アッシーの集合体の各特性値またはその補正値により、完成されたパワートレインの検査を行うようになるが、これらの特性値または補正値はばらつきが低減されているため、パワートレインの検査を高精度に行うことができる。これにより、シフトクオリティのばらつきの少ないパワートレインを、不良率の増加を伴うことなく生産できるようになる。しかも、シフトクオリティのばらつきが少なくなることから、完成品検査工程では、Lock−up制御時のFF制御初期圧をほぼ設計値にして検査を行うことができるようになる。したがって、安定した検査が可能となり、また実車においては、Lock−upスリップ時にブーミングノイズ等を低減できる。
このように、パワートレインの最終検査を高精度に行うことができるので、完成品検査工程では、パワートレインを車両に搭載せずにパワートレインの最終検査を行ってもほとんど問題はない。したがって、車両工場にパワートレインの学習を行うためのスペースを設ける必要はなくなる。
【0023】
更に、部品、部品アッシーおよび部品アッシーの集合体の各特性値または補正値が記憶媒体に記憶されることで、部品テスタおよび部品アッシーテスタによる部品、部品アッシーおよび部品アッシーの集合体の特性の測定が完成品検査場所以外のどのような場所で行われてもこの記憶媒体を完成品検査場所に簡単に持ち運ぶことができる。したがって、完成品検査工程時に記憶媒体に記憶された部品の特性の実測値または補正値を用いて完成品検査を行うことで、パワートレインの検査をより高精度に行うことができる。
【0024】
特に、請求項2、4、および6にかかる発明においては、部品アッシーで特性値を取得するため、部品テストの工程を省けるようになる。しかも、制御装置と部品、および/または制御装置と部品アッシー、および/または制御装置とパワートレインの完成品とを対応させて一対として部品の特性値を取得パワートレインまたはパワートレインを構成する部品とそれらの制御装置とが一対にされて検査されるようになるので、更に一層高精度に検査を行うことができる。したがって、完成品検査工程時に高精度の検査によって合格と判断されて工場から出荷されるパワートレインをきわめて高品質のものにできる。
【0025】
更に、請求項3、4、および7にかかる発明においては、部品段階において特性値を取得しているため、最終工程または部品アッシー工程で不合格となった場合、どこが悪いのかがわかる。しかも、制御装置と部品、および/または制御装置と部品アッシー、および/または制御装置とパワートレインの完成品とを対応させて一対として部品の特性値を取得パワートレインまたはパワートレインを構成する部品とそれらの制御装置とが一対にされて検査されるようになるので、更に一層高精度に検査を行うことができる。したがって、完成品検査工程時に高精度の検査によって合格と判断されて工場から出荷されるパワートレインをきわめて高品質のものにできる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明にかかるパワートレインの検査システムの実施の形態の一例であって、自動変速機に適用した一例を模式的に示す図である。なお、本発明では、「完成品検査」は、組み立てられて完成された変速機を工場から出荷する際に最終的に行う検査をいう。また、変速機を構成する「部品」は、リターンスプリングのような単体部品、および、クラッチドラム、ブレーキドラム、プレート、スナップリング、ピストン等の単体部品が組み立てられた摩擦係合要素アッシー(ASSY)、同様に単体部品が組み立てられたバルブボディアッシー(ASSY)9等の集合体部品をいう。更に、「特性値」は部品の測定によって得られた実側値または後述のパターン(例えば図5)によって得られる補正値からなる。また、学習値とは、パワートレインが出荷された後、例えばユーザによって車両が運転される状況において、特性値またはその補正値を基準として学習補正される値をいう。
【0029】
図1に示すように、この例のパワートレインの検査システム1は、A/T2を制御する制御装置である電子制御装置(以下、ECUともいう)3が一体に組み付けられたA/T2の検査システムであり、A/T2の完成品を組み立てるメインラインML、A/T2のクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素4と、圧油を供給することでこの摩擦係合要素4を係合し、リターンスプリング(以下、リターンSPともいう)5のばね力により圧油を排出することで摩擦係合要素4の係合を解除する油圧サーボ6とを組み付けるとともに、リニアソレノイドバルブ7および種々のバルブ8を組み付けてバルブボディアッシー(以下、V/B ASSYともいう)9を形成し、更に、V/B ASSY9のV/B ASSY検査を行うサブラインSL、A/T2の組立工場とは更に別の工場におけるリニアソレノイドバルブ7を組み立てるとともにリニアソレノイドバルブ7の電流−油圧特性(以下、I−P特性ともいう)の油圧調整を行うリニアラインLL、およびA/T2の組立工場とは更に別の工場におけるECU3を組み立てるECUラインELから構成されている。
【0030】
なお、この例では、メインラインML、サブラインSL、リニアラインLL、およびECUラインELをそれぞれ別の工場に設定するものとしているが、これに限定するものではなく、すべてのラインML,SL,LL,ELを1つの工場に設定することもできるし、また、これらのラインML,SL,LL,ELのうち、2つまたは3つのラインを1つの工場に設定することもできる。
【0031】
ECUラインELでは、ECU3の電流値調整が行われる。本発明のECU3の電流値調整の説明に先駆けて、まず、従来のECU3の電流値調整について説明する。従来では、ECU3が組み立てられた後のECU3の検査工程において、ECU3の駆動回路に電流指令値を入力してECU3の駆動回路から出力される実電流値が電流計10で測定される。そして、測定された実電流値が入力した電流指令値またはこの電流指令値に対応した所定値となるように、実電流値の誤差を補正するとともに、その補正値(ECU3の特性値)をECU3に記憶させることで、ECU3の電流値調整が行われる。その場合、ECU3とA/T2とが別体であり、これらのECU3とA/T2はA/T2を車両に組み付ける車両工場において初めて互いに出会うため、ECU3の特性値はECU3のみに記憶させるしかない。また、従来のECUの電流値調整は、ECUラインELではECU3をA/T2と独立させた状態で行い、A/T2の完成品検査で始めてECU3とA/T2とが一体にセットにされて検査が行われるため、ECUの電流値調整の規格が厳しく設定されている。更に、ECU3の実電流値が電流指令値の大きさによって変わるため、ECU3の電流値調整が比較的困難である。
【0032】
これに対して、本発明のA/T2の検査システム1では、ECUラインELにおけるECU3の電流値調整は、次の3つの方法のいずれかが設定される。すなわち、
(a) ECU3の実電流値の測定は前述の従来と同じであり、またECU3の電流値調整も同じである。しかし、本発明のA/T2の検査システム1では、この電流値調整については後述するように後でECU3を用いたV/B ASSY9の総合的な微調整を行うことから、従来のECU3の電流値調整の場合に比べて、電流値調整を、その規格を比較的ラフに設定して粗調整(ラフ調整)に設定する。この粗調整における実電流値と電流指令値またはこの電流指令値に対応した所定値との誤差を補正値(ECU3の特性値)としてECU3に直接記憶させるかまたは後述するIDカードやバーコード等の記憶媒体16に記憶させる。
このように、ECU3の調整を粗調整で済むようにしていることから、ECU3の駆動回路は従来より比較的安価なものを使用することができるとともに、このときのECU3の調整が従来より容易にかつ短時間で行うことができるようになる。
【0033】
(b) ECU3の実電流値の測定、ECU3の電流値調整および電流値調整の規格は前述の従来と同じである。ただし、ECU3の特性値は従来と同様にECU3に直接記憶させるか、または後述するIDカードやバーコード等の記憶媒体16に記憶させる。このようにすれば、後述するECU3とV/B ASSY9とをセットにした微調整がより簡単になる。
(c) ECU3の実電流値の測定は行わず、ECU3の実電流値調整はECU3とV/B ASSY9とをセットにした調整で行う。この場合には、ECU3の測定自体がなくなるため、検査に要する時間が短縮できる。
【0034】
また、このECUラインELでは、ECU3にA/T検査工程用の検査ソフトウェアの書き込みが行われる。この検査ソフトウェアは、後述するV/B ASSY検査工程および完成品検査工程の両方に共用できるソフトウェアである。
【0035】
図2に示すように、この検査ソフトの基本構造は、プラットホーム、タスク管理、および各種処理からなっている。
タスク管理では、CAN受信データPFから取得処理、テスタ接続判断処理、工程検査ロジック関数コール、および通常製品ロジック関数コールを行う。すなわち、タスク管理では、プラットホームからの出力信号に基づいてCAN受信データPFを取得し、このデータPFからECU3がテスタに接続されているか否かが判断される。テスタに接続されていると判断されると、工程検査ロジック関数が呼び出され、また、テスタに接続されていないと判断されると、通常製品ロジック関数が呼び出される。
【0036】
各種処理では、工程検査ロジック関数が呼び出されると、テスタ接続相手が判断される。V/BテスタがECU3に接続されていると判断されると、V/Bテスタ通信手順管理処理が行われる。V/Bテスタ通信手順管理処理では、I−P特性のIP油圧補正記憶処理が行われ、また、IP油圧補正EEPROM書きこみ命令処理およびIP油圧補正EEPROM読み込み命令処理が行われ、それぞれ書きこみ命令および読みこみ命令がプラットホームに出力される。
【0037】
更に、後述する完検テスタがECU3に接続されている場合と共通の処理である、CAN送信データPF出力処理、機種コード送信処理、駆動パターン記憶処理、および駆動パターン出力処理が行われる。CAN送信データ出力処理では、CAN送信データPFがプラットホームに出力される。また、駆動パターン出力処理では駆動パターンが出力され、駆動パターンが出力されると、IP補正係数による油圧指令補正処理が行われる。この油圧指令補正処理では油圧補正指令が出力され、油圧補正指令が出力されると、ソレノイド指令PF出力処理が行われる。ソレノイド指令PF出力処理ではソレノイド指令PFがプラットホームに出力される。
【0038】
一方、完検テスタがECU3に接続されていると判断されると、完検テスタ通信手順管理処理が行われる。完検テスタ通信手順管理処理では、ピストン補正記憶処理が行われ、また、ピストン補正EEPROM書きこみ命令処理およびピストン補正EEPROM読み込み命令処理が行われ、それぞれ書きこみ命令および読みこみ命令がプラットホームに出力される。
【0039】
更に、前述のV/BテスタがECU3に接続されている場合と同様に、CAN送信データPF出力処理、機種コード送信処理、駆動パターン記憶処理、駆動パターン出力処理、IP補正係数による油圧指令補正処理、ソレノイド指令PF出力処理がそれぞれ行われる。
【0040】
図1に示すように、リニアラインLLでは、リニアソレノイドバルブ7がリニアソレノイド7aとバルブ7bとから組み立てられる。
そして、このリニアラインLLにおいて、リニアソレノイドバルブ7の電流Iに対する圧力Pの特性(つまり、I−P特性)の調整が行われる。このリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整について説明する。その場合、リニアラインLLでの本発明のリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整の説明に先駆けて、まず、従来のリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整について説明する。
【0041】
従来のリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整では、組み立てられたリニアソレノイドバルブ7のリニアソレノイド7aに所定の電流を供給して、リニアソレノイドバルブ7から出力される信号圧を圧力計11で測定し、測定した信号圧が供給した所定の電流に対応した圧力値となるように、リニアソレノイドバルブ7におけるI−P特性の調整が行われる。その場合、このI−P特性の調整は、リニアソレノイド7aのスクリューを回してリニアソレノイド7aのスプリング力を調整することで出力油圧をきめ細かく調整している。このため、I−P特性の調整は面倒でありかつ長時間を要している。
【0042】
これに対して、本発明のリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整は、次の4つの方法のいずれかが設定される。すなわち、
(d) リニアソレノイドバルブ7から出力される信号圧の測定は前述の従来と同じであり、またI−P特性の調整も従来と同様にリニアソレノイド7aのスクリューを回してリニアソレノイド7aのスプリング力を調整する。その場合、I−P特性の調整は前述のECU3の電流値調整の場合と同様に後でECU3を用いたV/B ASSY9の総合的な微調整を行うことから、従来のリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整の場合に比べて比較的ラフに行う粗調整(ラフ調整)にする。測定した所定の電流値および圧力値(つまり、I−P特性の特性値)はECU3および記憶媒体16のいずれにも記憶させない。
このように、リニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整を粗調整にしていることから、リニアソレノイドバルブ7も従来より比較的安価なものを使用することができるとともに、このときの調整が従来より容易にかつ短時間で行うことができる。
【0043】
(e) リニアソレノイドバルブ7から出力される信号圧の測定は前述の従来と同じであり、またI−P特性の調整は前述の(d)と同じであるが、測定した所定の電流値と圧力値(つまり、I−P特性の特性値)はECU3または記憶媒体16に記憶させる。この場合にも、リニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整を粗調整にしていることから、リニアソレノイドバルブ7も従来より比較的安価なものを使用することができ、かつ調整が従来より容易にかつ短時間で行うことができる。
【0044】
(f) リニアソレノイドバルブ7から出力される信号圧の測定は前述の従来と同じであるが、ECU3を用いたV/B ASSY9の総合的な微調整を行うことから、I−P特性の調整は行わない。その場合、測定した所定の電流値と圧力値(つまり、I−P特性の特性値)はECU3または記憶媒体16に記憶させておく。このようにすれば、スクリューを回すことによるI−P特性の調整がなくなるので、前述のI−P特性のラフ調整を行う場合よりも更に時間を短縮できる。
【0045】
(g) ECU3を用いたV/B ASSY9の総合的な微調整を行うことから、リニアソレノイドバルブ7から出力される信号圧の測定およびI−P特性の調整はいずれも行わない。これにより、前述のI−P特性のラフ調整を行う場合よりも更に一層時間を短縮できるようになる。この場合には、単に測定および調整のいずれも行われないが、更に、リニアラインLLでのリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の調整工程自体を廃止することができる。
【0046】
サブラインSLでは、A/T2のクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素4、リターンSP5、および油圧サーボ6が組み立てられる。このとき、A/T2の機種によって摩擦係合要素4の摩擦プレート4aの種類の組換えが行われる。また、リターンSP5は油圧サーボ6のピストン6aとリテーナ6bとの間に縮設される。
【0047】
そして、後述するメインラインMLでの完成品検査に至る前に、組み付けられたリターンSP5のばね荷重(SP5のセット荷重)が測定されてばね荷重の実測値が求められるとともに、油圧サーボ6のピストン6aが摩擦係合要素4を係合するまでのピストンストロークaが測定されてピストンストロークaの実測値が求められる。
【0048】
本発明におけるリターンSP5のばね荷重(SP5のセット荷重)の測定方法について説明する。
本発明のA/T2の検査システム1では、リターンSP5のばね荷重の実測値は、例えばロードセル等の荷重計(不図示)で直接測定して求めるか、あるいは予め測定したリターンSP5のばね定数に、同じく測定したピストン6aとリテーナ6bとの距離を乗じて求める。もちろん、公知の他の方法で求めることもできる。なお、従来は、リターンSP5のばね荷重(SP5のセット荷重)の測定および調整は行われていなかった。
【0049】
次に、本発明における油圧サーボ6のピストンストロークaの測定方法について説明する。まず、従来の油圧サーボ6のピストンストロークaの測定方法について説明する。クラッチやブレーキ等の摩擦係合要素において、それぞれ微妙に異なる傾きのクッションプレート4b(図1に図示)が複数枚用意されている。そして、これらのクッションプレート4bのうち、最も適切と思われる1枚を採用して摩擦係合要素ASSYを組み立てた後、ピストンストロークaを測定する。このピストンストロークaの実測値は、予めクッションプレート4bとリターンSP5とがつぶれ切ったときのエア圧を測定しておき、実際にそのエア圧をピストン6aにかけたときのピストン6aのストロークをダイヤルゲージ(不図示)で測定することで求める。
【0050】
そして、ピストンストロークaの実測値が予め設定された所定範囲内にあれば、合格であると判断し、ストローク調整は行わない。また、ピストンストロークaの実測値が所定範囲内でない場合、傾きの異なる他のクッションプレート4bを適宜選択して組み換え、再度同様の方法でピストン6aのストローク測定を行う。そして、ピストンストロークaの実測値が所定範囲内になるまで、傾きの異なる他のクッションプレート4bの選択的な組み換えを繰り返すことで、ストロークを調整する。このとき、従来のストローク調整は、所定範囲が比較的狭く設定されていて厳しい精度で行われるため、クッションプレート4bの選択的組み換えの繰り返し回数が多くなり、調整に多くの時間を要する。
【0051】
これに対して、本発明のA/T2の検査システム1では、摩擦係合要素4のピストンストローク調整は、次の2つの方法のいずれかが設定される。すなわち、
(h) 前述の従来のピストンストローク調整と同様に摩擦係合要素ASSYを組み立て、ピストンストロークを測定するとともに、クッションプレート4bの選択的組み換えの繰り返しを行う。その場合、後でECU3を用いたV/B ASSY9の総合的な微調整を行うことから、前述の所定範囲の幅を従来より広げることで、ピストンストローク調整を粗調整(ラフ調整)にする。所定範囲内になったストロークの実側値をECU3または記憶媒体16に記憶する。これにより、クッションプレート4bの選択的組み換えの回数を低減できるので、ストローク調整に要する時間を従来より短縮できる。
【0052】
(i) 前述の従来のピストンストローク調整の一部分と同様に、異なる傾きの複数枚のクッションプレート4bのうち、最も適切と思われる1枚を採用して摩擦係合要素ASSYを組み立て、ピストンストロークaを測定する。この場合、後でECU3を用いたV/B ASSY9の総合的な微調整を行うことから、前述のようなクッションプレート4bの選択的組み換えによるストローク調整は行わない。ストロークの実側値をECU3または記憶媒体16に記憶する。これにより、ストローク調整が行われないので、摩擦係合要素の検査は前述の(h)のラフ調整より時間を更に短縮できる。
なお、図示しないが、ばね荷重テスタおよびピストンストロークテスタ(いずれのテスタも本発明の部品テスタに相当)により、それぞれ、ばね荷重の実測値およびピストンストロークの実測値を検査して補正することもできる。
【0053】
更に、このサブラインSLでは、リニアラインLLから搬送されてきたリニアソレノイドバルブ7と種々のバルブ8とを組み付けてV/B ASSY9が組み立てられる。そして、バルブ8のスリーブを回してバルブ8を調整する。このバルブ8の調整は前述と同様に後でECU3を用いたV/B ASSY9の総合的な微調整を行うことから、従来のバルブ8の調整の場合に比べて比較的ラフに行う粗調整(ラフ調整)でよい。
このように、バルブ8の調整を粗調整で済むことから、バルブ8も従来より比較的安価なものを使用することができるとともに、このときの調整が従来より容易にかつ短時間で行うことができるようにしている。
【0054】
また、V/B ASSY9のリニアソレノイド7aとECUラインELから搬送されてきたECU3とが一体に組み付けられるかまたは別体にして電気的に接続される。更に、ECU3にV/B ASSY検査に使用されるV/Bテスタ12(本発明の部品アッシーテスタに相当)が電気的に接続されるとともに、V/B ASSY9のバルブ8の出力側がV/Bテスタ12の圧力計12aに接続される。このようにして、ECUラインELからのECU3とV/B ASSY9とがセットにされてV/Bテスタ12に取り付けられる。
【0055】
そして、V/Bテスタ12によりV/B ASSY9の検査工程が行われる。図3はV/B ASSY9の検査工程を行うシステムの一例を示し、(a)は本発明におけるECU3と一体に行うV/B ASSY9の検査工程を示す図、(b)は従来におけるECU3を用いずこのECU3の検査とは別に行うV/BASSY9の検査工程を示す図である。なお、前述のリニアラインLLにおけるI−P特性の特性値をIDカード等の記憶媒体16に記憶させた例について説明する。
【0056】
サブラインSLでの本発明のV/B ASSY9の検査工程の説明に先駆けて、まず、従来のV/B ASSY9の検査工程について説明する。従来のV/BASSY検査工程では、図3(b)に示すシステムが採用されている。この従来のシステムは、ECU3を用いずに、ECU3の検査とは別に行うV/B ASSY9単体で検査を行うシステムである。
【0057】
すなわち、図3(b)に示すように従来のV/B ASSY検査システムは、V/Bテスタ12、V/B ASSY9にA/T2のオイル(以下、ATFともいう)を供給する電動オイルポンプ13、V/B ASSY9のマニュアルバルブ(不図示)のマニュアルポジションを制御するためにマニュアルバルブを作動制御するためのモータ14を備えている。
V/Bテスタ12には検査パターンおよび検査判定のソフトウェアが格納されている。
【0058】
そして、オイル流量調整のために電動オイルポンプ13がV/Bテスタ12に電気的に接続される。また、マニュアルポジション制御のためにモータ14がV/Bテスタ12に電気的に接続されるとともに、モータ14の出力軸がV/B ASSY9のマニュアルバルブに接続される。更に、V/Bテスタ12からV/B ASSY9のリニアソレノイド7aにソレノイド駆動指令信号を出力するために、V/Bテスタ12とV/B ASSY9とが電気的に接続されている。更に、V/B ASSY9で発生した油圧を測定した油圧信号をV/Bテスタ12に出力するために、V/Bテスタ12とV/B ASSY9とが電気的に接続されている。更に、電動オイルポンプ13で吸い上げられたATFの油温を測定した測定データ信号をV/Bテスタ12に出力するために、V/Bテスタ12とV/B ASSY9とが電気的に接続されている。この従来のV/B ASSY検査システムでは、V/Bテスタ12とV/B ASSY9の間には、ECU3は介在していない。
【0059】
従来のV/B ASSY検査システムでは、V/B ASSY9の油圧測定値を見ながら、リニアソレノイドバルブ7のスクリューを回動することによりリニアソレノイドバルブ7をきめ細かく調整している。そして、V/Bテスタ12から所定の電流値がV/B ASSY9のリニアソレノイド7aに出力される。すると、調整されたリニアソレノイバルブ7から、この電流値に基づいて油圧がV/Bテスタ12に出力され、V/Bテスタ12によりこの油圧が測定される。測定された油圧が所定の範囲内でない場合は、バルブ8のスリーブを回してバルブ8のスプリング力をきめ細かく調整することで、油圧が調整される。
【0060】
この従来のV/B ASSY検査システムでは、V/B ASSY9の調整をECU3の調整とは別に行うため、このようにV/B ASSY9の調整をきめ細かく行っても、ECU3とV/B ASSY9とを接続したときの調整は必ずしも高精度には行われてはいない場合がある。したがって、リニアソレノイドバルブ7の調整およびバルブ8の調整をラフに行うことができず、これらの調整をより高精度に行う必要があり、調整に要する時間が長くなる。しかも、ECU3の駆動回路をV/B ASSY9の調整と一体に調整しないので、比較的精度の高いより高価な駆動回路のECU3を採用することを余儀なくされている。
また、従来はA/T2とECU3の検査を個別に行っており、このため、A/T2の各部品が十分なレベルの精度で製造されていても、これらの部品の組合せによってはばらついてしまい、A/T一体ECUのトータルのばらつきが生じてしまう。
【0061】
これに対して、本発明のV/B ASSY9の検査工程のシステムは、図3(a)に示すように、従来と同様にV/Bテスタ12、電動オイルポンプ13、V/B マニュアルバルブを作動制御するためのモータ14を備えている。また、前述と同様にV/Bテスタ12には検査パターンおよび検査判定のソフトウェアが格納されている。
【0062】
また、データ信号のやりとりのためにECU3がV/Bテスタ12にCAN通信により双方向に通信可能に接続されるとともに、V/B ASSY9のリニアソレノイド7aへの駆動信号出力のためにECU3がリニアソレノイド7aに電気的に接続される。したがって、V/Bテスタ12とV/B ASSY9との間のソレノイド駆動指令信号のための従来の電気的接続は削除されている。V/Bテスタ12とV/B ASSY9との他の接続は前述の図3(b)に示す従来と同じである。
【0063】
そして、V/Bテスタ12からECU3へはリニアソレノイド7aの駆動指令信号がCAN通信で出力される。一方、ECU3からV/Bテスタ12へは、V/B ASSY9の内のATF油温のデータ信号、回転数{タービン回転数(NT)、タービン以外の回転数(NOUT)}のデータ信号、マニュアルポジションのデータ信号、リニアソレノイド7aの電流、およびこれらのパラメータのフェール情報信号がそれぞれCAN通信で出力される。
また、ECU3には前述のように完成品検査工程およびV/B ASSY検査工程の両方に共用できる検査ソフトウェアが入っている。
【0064】
更に、V/B ASSY9のバルブ8の出力側がV/Bテスタ12の圧力計12a{図3(a)には不図示;図1に図示}に接続されて、バルブ8から出力される油圧が圧力計12aに導入されるようになっている。
更に、V/B ASSY9から吸い上げられたATF油温を測定する図示しない温度計がV/Bテスタ12に電気的に接続される。
【0065】
そして、本発明のV/B ASSY検査工程では、次の3つの方法のいずれかが設定される。すなわち、
(j) V/B ASSY9に、前述のリニアラインLLにおける(e)のリニアソレノイドバルブ7を採用する。このV/B ASSY9をECU3とセットにしてV/Bテスタ12に取り付ける。そして、V/Bテスタ12からの駆動信号で電動オイルポンプ13が駆動されて、V/B ASSY9からATFが吸い上げられるとともに、吸い上げられたATFが再びV/B ASSY9に環流される。このとき、V/Bテスタ12により電動オイルポンプ13のオイル流量が調整される。
【0066】
V/Bテスタ12側からECU3にソレノイド駆動指令信号である電流指令値(理想値)がCAN通信で送信される。すると、ECU3はその駆動回路からV/B ASSY9のリニアソレノイド7aに、V/Bテスタ12側から送信された電流指令値に対応した実電流値を出力する。これにより、リニアソレノイド7aが駆動して、リニアソレノイドバルブ7が信号圧を出力し、この信号圧によりV/B ASSY9のバルブ8が作動してこの信号圧に対応して調整された油圧がV/Bテスタ12に出力される。
【0067】
V/Bテスタ12は出力された油圧を圧力計12aで測定するとともに、その実測値をECU3に送信した電流指令値に対応する圧力値と比較して、油圧の実測値と指令値に基づく圧力値とのずれを検出することで検査判定をする。そして、V/Bテスタ12は検出したずれに基づいてI−P特性の油圧を補正する特性値を算出する。V/B ASSY検査工程でこの特性値がECU3に送信されてECU3に書き込まれることにより、ECU3内の自動変速制御に関するソフトに対する補正値の書き込みが行われる。これにより、ECU3を用いた、V/BASSY9におけるI−P特性の油圧調整が総合的に行われ、ECU3とV/B ASSY9とが一体にソフト上で微調整される。
【0068】
そして、書き込んだ特性値が正しいかどうかを確認するために、ECU3とセットにしたV/B ASSY9単体が検査される。書き込んだ特性値が正しいければ、V/B ASSY9単体は予め設定された規格内にあることがわかる。したがって、V/B ASSY検査工程で特性値をECU3に書き込むことは、最後のA/T2の完成品検査でA/T2が不合格(NG)になった場合に、A/T2おけるV/B ASSY9以外の部分に問題があることがわかるというメリットが得られる。なお、書き込んだ特性値が正しくなければ、再度、前述の測定を行って新たに特性値を算出し、この特性値をV/B ASSY検査工程でECU3に書き込む。
【0069】
なお、本発明のV/B ASSY検査工程では、V/B ASSY9の内のATF油温の測定データ信号がECU3を介してCAN通信でV/Bテスタ12に出力されるとともに、従来と同様に電動オイルポンプ13で吸い上げられたATFの油温を測定した測定データ信号がECU3を介さずにV/Bテスタ12に出力される。このように、油温の2つの測定データ信号がV/Bテスタ12に出力されるようにしている理由は、単にATFの油温を測定するだけではなく、V/B ASSY9内に設置されている油温センサのチェックも兼ねているためである。すなわち、ECU3を介する油温とECU3を介さない油温とがあまりにも大きく異なる場合は、ECU3および油温センサのいずれかがフェールしていることを検出可能にしている。なお、油温の2つの測定データ信号のうち、いずれか1つだけをV/Bテスタ12に出力するようにしても、特に問題はない。
【0070】
(k) 前述の(j)では特性値をV/B ASSY検査工程でECU3に書き込むのに対して、このV/B ASSY検査工程は特性値をこの検査工程ではECU3に書き込まずに、ICカード等の記憶媒体16に記憶しておく。そして、リターンSP5のばね力の実測値や油圧サーボ6におけるピストン6aのストロークの実測値をメインラインMLでECU3に書き込むときに、この特性値をこれらと一緒にECU3に書き込む。このV/B ASSY検査工程における他の処理は(j)と同じである。
【0071】
このようにすれば、特性値や実測値をECU3に書き込む回数が1回で済むため、検査の時間が短縮できるというメリットが得られる。しかし、この場合には、V/B ASSY検査工程で、特性値を書き込まれたECU3とセットにしたV/B ASSY9単体の検査が行うことができないので、最後のA/T2の完成品検査でA/T2が不合格(NG)になった場合に、V/B ASSY9を含むA/T2のどの部分に問題があるのかを知ることはできない。
【0072】
(m) V/B ASSY9に、前述の(j)で採用されたリニアラインLLにおける(e)のリニアソレノイドバルブ7以外のリニアソレノイドバルブ7を採用する。このV/B ASSY9をECU3とセットにしてV/Bテスタ12に取り付ける。特性値がリニアラインLLにおいてECU3または記憶媒体16に記憶された場合には、一番最初に特性値をV/Bテスタ12で読み取り、V/Bテスタ12からその特性値をECU3に書き込む(なお、ECU3に特性値が記憶された場合には、この書き込みは行われない)。その後、前述の(h)または(i)と同様のV/BASSY検査を行う。最後に得られた特性値をECU3に書き込む。この場合、V/BASSY検査で得られる特性は、V/B ASSY9単体の特性となる。
【0073】
本発明によれば、前述のようにV/B ASSY検査工程において、ECU3とV/B ASSY9とを接続した状態でV/Bテスタ12によりV/B ASSY検査を行って、ECU3とV/B ASSY9とを一体に微調整することで、粗調整されたECU3の駆動回路のばらつき、粗調整されたV/B ASSY9のリニアソレノイド7aのばらつき、およびV/B ASSY9のバルブ8のばらつきを総合的によりきめ細かく補正して、これらのばらつきを吸収し、A/T一体ECUのトータルのばらつきを小さくできる。
【0074】
そして、ECU3を用いて、ECU3とV/B ASSY9とを一体に総合的に調整しているため、前述のようにリニアソレノイドバルブ7の調整およびバルブ8の調整をラフに行うことができる。これにより、これらの調整に要する時間が短縮できるとともに、不良品発生率も低減でき、直交率をアップすることができる。更に、ECU3の駆動回路も補正できるので、前述のように比較的精度の低い安価な駆動回路のECU3をも採用することができる。
【0075】
また、図3(a)に示す本発明のV/Bテスタ12は、ECU3を用いない従来のA/TのV/B ASSY検査パターンおよびV/B ASSY検査判定機能を有し、本発明のA/T一体ECU3のV/B ASSY検査とともに、従来のV/B ASSY検査も行うことができるようにしている。つまり、V/Bテスタ12は、A/T一体ECU3のV/B ASSY検査と従来のV/B ASSY検査とを設定する手段を備えている。
【0076】
具体的には、従来のV/B ASSY検査を行うことができるようにするために、図3(b)に示す従来のV/Bテスタ12の、図3(a)に示すV/B ASSY検査のためのV/Bテスタ12にないソレノイド駆動指令信号を送信するための通信線の代わりに、ECU3を介するCAN通信でソレノイド駆動指令信号を送信するようにしている。
【0077】
したがって、図3(a)に示すV/Bテスタ12により、前述のようにA/T一体ECU3のV/B ASSY検査を行うとともに、従来のA/T2のV/BASSY検査も行うことができるようになる。このように、A/T一体ECU3のV/B ASSY検査も従来のA/T2のV/B ASSY検査も行うことができることから、設備稼働率を向上できるとともに、従来設備の改造により、開発費を安価にできる。
【0078】
次に、ECU3とV/B ASSY9とを一体に微調整してV/B ASSY9におけるI−P特性の油圧調整を総合的に行う方法の一例を説明する。
リニアソレノイドバルブ7はリニア(線形)と称しても、ミクロ的に見ると必ずしもI−P特性が完全なリニアではなくわずかにノンリニア(非線形)であり、しかも、リニアソレノイド7aの供給電流の上げ側と下げ側とで異なりヒシテリシスを有する。このため、ECU3を用いたV/B ASSY9のI−P特性の油圧調整を行う本発明では、より高精度に調整するようにしている。
【0079】
すなわち、図4(a)に示すように狙い油圧(目標油圧)Pt(kpa)が実圧値(油圧の実測値)となるように、リニアソレノイド7aの供給する電流を階段状に徐々に高めて、油圧P(kpa)を階段状に徐々に高める。そして、実圧値が狙い油圧Pt(kpa)となったときの狙い電流値Itを見つける。この電流値Itを見つけることにより、油圧の補正ポイントをこのときの実圧値Pt(kpa)とすることができる。ただし、この場合この調整工程時間を短縮するために、狙い電流値It以外では、実圧値がオーバーシュートあるいはアンダーシュートせずに油圧が追従する程度の時定数τでリニアソレノイド7aの供給電流をスィープさせる。
【0080】
従来は、図4(b)に示すようにリニアソレノイド7aに供給する指令電流IB(A)が一気に出力されたとき、出力された実圧値PB(kpa)を補正ポイントとしている。しかし、前述のようにリニアソレノイドバルブ7がわずかながらノンリニア(非線形)であり、しかもヒシテリシスを有することから、指令電流IB(A)を一気に出力すると、指令電流IB(A)が大きい場合は狙い油圧であるPB(kpa)をオーバーシュートして、出力された実圧値が狙い油圧からずれたPC(kpa)となる場合があったり、また、指令電流IB(A)が小さい場合は狙い油圧であるPB(kpa)をアンダーシュートして、出力された実圧値が狙い油圧からずれたPA(kpa)となる場合がある。そして、これらの実圧値PA(kpa),PC(kpa)を補正ポイントとしているため、精度があまり良くなかった。
【0081】
しかし、本発明では、前述のように油圧の補正ポイントを実圧値Pt(kpa)とすることができるので、V/B ASSY9のI−P特性の油圧調整をより高精度に行ことができる。これにより、変速フィーリングを向上することができる。
【0082】
ところで、従来のA/T2には、クラッチやブレーキ等の摩擦係合要素4の油圧サーボ6のピストン6aのピストンストローク時間を低減するために、ファーストフィル制御を採用しているA/T2がある。このファーストフィル制御は、ピストン6aがストロークを開始して摩擦係合要素4を係合開始するまでのロスストロークの時間をより短くするために、このロスストロークの間、油圧サーボ6にATFを比較的速く供給する制御である。
しかし、ピストン6aのピストンストロークaは、摩擦係合要素4や油圧サーボ6等のA/T2の部品の精度によりばらつきを有しているため、ピストンストローク時間もばらつきを生じている。
【0083】
そこで、後述するメインラインMLでの完成品検査に至る前に、前述のように測定したピストンストロークaの実測値に対して、同様に完成品検査に至る前に、前述のV/Bテスター12を用いて、予め設定された基準値(例えば、予め設定されている規格の中央値等)に対するATFの油圧サーボ6へのファーストフィル時間およびファーストフィル油圧を補正し、これらの補正に基づく係合油圧も同様に補正する。この補正は、先に測定したピストンストロークaの実測値に対して補正し、その補正値をECU3に書き込むようにしている。
【0084】
具体的には、図5に示すように係合油圧の補正Aは次のようにして行われる。V/Bテスター12で油圧サーボ6の係合油圧をリニアソレノイド7aの信号圧SLS(kpa)に対応した油圧を測定する。この油圧測定は、同一のSLS(kpa)に対して所定回数行ってそれらの平均値を測定値(計測値)とする。そして、その測定値(計測値)の、SLS(kpa)に対応するPPC規格の中央値からのずれを算出し、油圧補正データとして展開する。図示例では、SLS(kpa)の3つの値、130(kpa)、250(kpa)、および375(kpa)について測定している。
【0085】
SLS(kpa)が130(kpa)のときの計測値の平均が130(kpa)であり、このときのPPC規格中央値が102.50(kpa)であるから、補正データ(補正値)は27.5(kpa)である。また、SLS(kpa)が250(kpa)のときの計測値の平均が325(kpa)であり、このときのPPC規格中央値が296.25(kpa)であるから、補正データ(補正値)は28.8(kpa)である。更に、SLS(kpa)が375(kpa)のときの計測値の平均が590(kpa)であり、このときのPPC規格中央値が555.00(kpa)であるから、補正データ(補正値)は35.0(kpa)である。
【0086】
また、図5に示すようにファーストフィル時間の補正Bは次のようにして行われる。V/Bテスター12でピストンストロークaを測定する。このピストンストローク測定は所定回数行ってそれらの平均値をストロークデータ(計測値)とする。そして、予め設定されたストローク長さ(mm)と TimeServo Aの補正値(msec)との規格の図5に示す中央値からストロークデータ(mm)に対応する TimeServo Aの補正値(msec)を算出し、ストローク補正値として展開する。
図示例では、測定したストロークデータが6.1mmであり、このときの TimeServo Aの補正値は、図5に示す規格の中央値から、−16msecであり、この時間−16msecがファーストフィル時間の補正値となる。
【0087】
そして、図5の右側中央に示すように、ATFの導入開始時のファーストフィル制御において、ファーストフィル時間の補正Bが行われ、ファーストフィル油圧を少し下げてファーストフィル時間を前述の補正値になるように長く補正される。したがって、補正された油圧は実測値よりもファーストフィル油圧を下げた分低くなり、その油圧の変動もファーストフィル時間を長くした分時間的に遅くなる。そして、ファーストフィル制御が終了して摩擦係合要素が係合開始するまで油圧は低圧待機圧状態となった後、油圧が係合油圧になると、係合油圧の補正Aが行われ、前述の補正データに基づいて係合油圧が補正される。
【0088】
また、係合油圧およびピストンストロークを学習してECU3に記憶させるようにしている。図5に示すように、係合油圧の学習方法は、例えば変速時間が短い時は、変速時間に応じて係合油圧を減らし、また、変速時間が長い時は、変速時間に応じて係合油圧を増やすように学習する。そして、この学習値(データ)は変速トルク毎に持つようにする。また、ピストンストローク学習の方法は、エンジンの吹きが検出されたときはこの吹き検出量に応じて TimeServo Aの補正値(msec)を増やし、また、タイアップが検出されたときはこのタイアップ検出量に応じて TimeServo Aの補正値(msec)を減らすように学習する。これらの学習で得られた学習値はいずれもECU3に書き込む。
【0089】
このように、ファーストフィル時間およびファーストフィル油圧が予め補正されることで、ピストンストローク時間が変速制御の初期から適正になるため、初期のシフトクオリティのばらつきを低減することができる。
【0090】
また、A/T2の完成品検査前にこれらの補正を実施することで、完成品検査の規格に対する不良率も低減することができる。
更に、リターンSP5のばね荷重を測定し、測定したばね荷重を用いて係合油圧の補正Aあるいは油圧サーボ6の低圧期待圧(図5に図示)の補正も行うことで、初期のシフトクオリティのばらつきおよび完成品検査の規格に対する不良率をともにより一層低減することができる。
【0091】
メインラインMLでは、リターンSP5および油圧サーボ6が組み付けられたクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素4およびV/B ASSY9がそれぞれパレット15上に搭載され、そのA/T2の機種に対応したA/Tケース2a内に組み込まれるとともに、V/B ASSY9に電気的に接続されたECU3がA/Tケース2aに一体に取り付けられる。V/B ASSY検査のため、一旦互いに電気的に接続されたV/B ASSY9とECU3とを切り離し、V/B ASSY9をA/Tケース2a内に組み込むとともに、ECU3をA/Tケース2aに取り付けた後、両者を互いに電気的に接続してもよい。こうして、ECU3が一体に取り付けられたA/T2が組み立てられて、A/T2の完成品が形成される。
【0092】
また、前述のように求めたリターンSP5のばね荷重の実測値または補正値、油圧サーボ6のピストンストロークaの実測値または補正値、および油圧調整されたV/B ASSY9のリニアソレノイドバルブ7のI−P特性の油圧の各データ(つまり、A/T2の特性値)が、それぞれ、同じパレット15上に搭載されたそのA/T2の機種に対応したIDカードやバーコード等の記憶媒体16に記憶される。
【0093】
そして、ECU3一体のA/T2の完成品およびその記憶媒体16がパレット15によって、メインラインMLの完成品検査場に搬送される。完成品検査場に搬送されたA/T2は完成品検査工程が行われる。
完成品検査工程のために、A/T2の入力回転軸(不図示)に電気モータ17が接続されて、この電気モータ17によりA/T2の入力回転軸が回転駆動可能状態にされる。また、完成品検査場に備えられた完検テスタ18(本発明の完成品テスタに相当)がA/T2一体のECU3および電気モータ17にそれぞれ電気的に接続される。
【0094】
完検テスタ18によりA/T2の完成品の検査が行われる。この完成品検査では、ECU3と完検テスタ18との間で、CAN通信によるデータ信号のやりとりが行われる。すなわち、A/T2の完成品検査においては、記憶媒体16に記憶され、完成品検査に至る前に測定された実測値や完成品検査に至る前に補正された補正値からなる前述の各データが読み込まれてそれぞれ制御パラメータに変換されて、完検テスタ18のサーバー(不図示)に記憶される。
【0095】
完検テスタ18側はサーバーから各データを読み取ってECU3にCAN通信で送信し、これらのデータがECU3に書き込まれる。また、完検テスタ18側からECU3に完成品検査パターンがCAN通信で送信される。
【0096】
そして、完検テスタ18から完成品検査パターンにしたがった駆動電流が電気モータ17へ供給されて、この電気モータ17がこの検査パターンにしたがって駆動制御される。これにより、A/T2が完成品検査パターンにしたがって駆動制御されるとともに、ECU3が書き込まれたデータを用いて完成品検査パターンにしたがって、リニアソレノイドバルブ7等のV/B ASSY9内の各バルブを作動制御して各摩擦係合要素の係合および係合解除を制御することで、このA/T2の変速特性確認等の検査が行われる。このとき、補正されたデータを用いているので、ほとんど再度補正する必要はなく、完成品検査工程では実質的に検査のみが行われる。
【0097】
なお、予め完検テスタ18のサーバーに、前述の検査工程内で測定されたピストンストローク、油圧、およびリターンSP荷重等のA/T2の特性値を、A/T2の機種毎に予め記憶させておき、前述のIDコードやバーコード等の記憶媒体16に書き込まれたA/T2の機種に対応するサーバー内の特性値を識別し、完成品査工程で識別した特性値をECU3に書き込ませることもできる。
【0098】
このように、A/T2の特性値を用いてピストンストローク、油圧、およびリターンSP荷重等を補正することにより、初期のシフトクオリティのばらつきを低減することができる。
更に、完検テスタ18のサーバーに、A/T2の機番とこの機番のA/T2にひも付きとなった特性値が記憶されているため、A/T2の組立工場において特性値をECU3に書き込むことにより、A/T2とECU3とを一体に補正可能となる。
【0099】
従来のようにA/T2とECU3とを別にして検査する場合は、ECU3に前述のA/T2の特性値を記憶させていないが、A/T2とECU3とを一体に検査する場合など、ECU3にA/T2の特性値を記憶させる場合、A/T2の特性値の測定工程にてECU3に書き込む必要があるが、前述のようにA/T2の組立工場において完検テスタ18のサーバーに記憶されている特性値をECU3に書き込むことにより、A/T2の特性値の測定工程にてECU3に書き込む必要がなくなり、ライン設計にほとんど制約を与えないようにすることができる。
【0100】
図6はA/T2の完成品検査工程を行うシステムを示し、(a)は本発明におけるECU3を用いてこのECU3と一体に行うA/T2の完成品検査工程を示す図、(b)は従来におけるECU3を用いずこのECU3の検査とは別に行うA/T2の完成品検査工程を示す図である。
【0101】
図6(a)に示すように、このA/T2の検査工程のシステムは、前述の完検テスタ18、A/T2を駆動する(つまり、A/T2の入力軸に回転入力を加える)電気モータ17、A/T2におけるV/B ASSY9のマニュアルバルブのマニュアルポジションを制御するためにマニュアルバルブを作動制御するためのモータ14を備えている。
前述のように、完検テスタ18には検査パターンおよび検査判定のソフトウェアが格納されている。
【0102】
そして、モータ制御のために電気モータ17が完検テスタ18に電気的に接続される。また、マニュアルポジション制御のためにモータ14が完検テスタ18に電気的に接続されるとともに、モータ14の出力軸がV/B ASSY9のマニュアルバルブに接続される。更に、データ信号のやりとりのために、A/T2に一体のECU3が完検テスタ18にCAN通信により双方向に通信可能に接続される。
【0103】
CAN通信は、前述のV/B ASSY検査の場合と同様に、完検テスタ18からECU3へはリニアソレノイド7aの駆動指令信号およびI−P特性の油圧の補正値が出力される。一方、ECU3から完検テスタ18へは、V/B ASSY9の内のATF油温のデータ信号、回転数(NT,NOUT)のデータ信号、マニュアルポジションのデータ信号、リニアソレノイド7aの電流、およびこれらのパラメータのフェール情報信号がそれぞれ出力される。
【0104】
更に、V/B ASSY検査の場合と同様に、V/B ASSY9のバルブ8の出力側が完検テスタ18の圧力計(不図示)に接続されて、バルブ8から出力される油圧が圧力計に導入されるようになっている。
【0105】
完成品検査工程では、前述のように電気モータ17が駆動されて、A/T2が駆動される。このとき、完検テスタ18により電気モータ17が制御されるが、完検テスタ18側からECU3にソレノイド駆動指令信号である電流指令値(理想値)がCAN通信で送信される。すると、ECU3はV/B ASSY9のリニアソレノイド7aに、完検テスタ18側から送信された電流指令値の電流を供給する。これにより、リニアソレノイド7aが駆動して、リニアソレノイドバルブ7が信号圧を出力し、この信号圧によりV/B ASSY9のバルブ8が作動してこの信号圧に対応して調整された油圧が完検テスタ18に出力される。
【0106】
完検テスタ18は出力された油圧を圧力計12aで測定するとともに、その実測値をECU3に送信した電流指令値に対応する圧力値と比較して、油圧の実測値と指令値に基づく圧力値とのずれを検出することで検査判定をする。
この検査判定の結果、前述のずれが予め設定された所定範囲内にあるときは、合格と判断して、このA/T2は工場から出荷される。また、検査判定の結果、前述のずれが予め設定された所定範囲外にあるときは、不合格と判断して、このA/T2は工場から出荷されない。不合格と判断されたA/T2はその不良個所を調査して不良個所が判定された後、各部品毎に解体される。そして、不良個所のある部品は、対応する前述の各ラインSL,LL,ELにおける調整を行った後、再び不良と判断されたA/T2に搭載され、前述と同様に記憶媒体16の各データが記録され、完検テスタ18で記憶媒体16の各データが読み込まれる。以下、前述と同様に完成品検査が行われる。
なお、前述のように補正されたデータを用いているので、完成品検査工程では実質的に検査のみが行われる。
【0107】
ところで、従来のA/T2の完成品検査工程では、図6(b)に示すシステムが採用されている。この従来のシステムは、本発明の完成品検査工程のシステムとは異なり、ECU3を用いずに、ECU3の検査とは別に行うA/T2の完成品検査のシステムである。
【0108】
すなわち、図6(b)に示すように従来のA/T2の完成品検査システムは、前述の本発明の完成品検査システムに対して、完検テスタ18とA/T2との間にECU3はなく、完検テスタ18からA/T2のV/B ASSY9のリニアソレノイド7aにソレノイド駆動指令信号を出力するために、完検テスタ18とA/T2のV/B ASSY9とが電気的に接続されている。また、A/T2から完検テスタ18にタービンの回転数(NT)およびタービン以外の回転数(NOUT)の信号を出力するために、A/T2と完検テスタ18とが電気的に接続されている。更に、A/T2から完検テスタ18にATFの油温信号を出力するために、A/T2と完検テスタ18とが電気的に接続されている。完検テスタ18とA/T2との他の接続は前述の図6(a)に示す本発明と同じである。
【0109】
そして、従来のA/T2の完成品検査システムでは、ECU3を用いずにA/T2の検査は必ずしも高精度には行われてはいない場合がある。
しかし、本発明によれば、前述のようにA/T2の完成品検査工程においては、ECU3とA/T2とが一体に検査されるので、高精度に検査が行われる。
【0110】
また、図6(a)に示す本発明の完検テスタ18は、ECU3を用いない従来のA/Tの検査パターンおよび検査判定機能を有し、本発明のA/T一体ECU3の完成品検査とともに、従来のA/Tの完成品検査も行うことができるようにしている。つまり、完検テスタ18は、A/T一体ECU3の完成品検査と従来のA/Tの完成品検査とを設定する手段を備えている。
【0111】
具体的には、従来のA/Tの完成品検査を行うことができるようにするために、図6(b)に示す従来の完検テスタ18の、図6(a)に示すA/T一体ECU3の完成品検査のための完検テスタ18にないソレノイド駆動指令信号を送信するための通信線の代わりに、ECU3を介するCAN通信でソレノイド駆動指令信号を送信するようにしている。
【0112】
したがって、図6(a)に示す完検テスタ18により、前述のようにA/T一体ECU3の完成品検査を行うとともに、従来のA/T2の完成品検査も行うことができるようになる。このように、A/T一体ECU3の完成品検査も従来のA/T2の完成品検査も行うことができることから、設備稼働率を向上できるとともに、従来設備の改造により、開発費を安価にできる。
【0113】
更に、A/T2の完成品検査工程においては、A/T2固有の特性値である、各摩擦係合要素4を係合する油圧サーボ6におけるピストン6aのストローク終了油圧(ストロークエンド圧)およびA/T2の油圧制御回路のアキュームレータのアキューム終了油圧(アキュームエンド圧)を、完検テスタ18により測定された油圧の実測値に基づいて推定している。
【0114】
この推定は次のようにして行われる。完検テスタ18で実油圧を常時監視した状態で、ECU3からリニアソレノイド7aに所定のソレノイド電流値、つまり電流指令値を加える。この電流指令値はばらつきを考慮してアキューム終了油圧以上の油圧が発生する大きさに設定される。リニアソレノイド7aにこの電流指令値を加えたときのリニアソレノイドバルブ7で発生する油圧の挙動(例えば、時間的変化)を見る。例えば、図7に示すように油圧が最初所定圧上昇してほぼ一定となった状態から、時間t(sec)が経過して油圧の傾きが変わったA点の油圧を記憶するとともに、更に時間t(sec)が経過して油圧の傾きが再び変わったB点の油圧を記憶する。そして、A点の油圧をストロークエンド圧として実際の変速制御に使用するとともに、B点の油圧をアキュームエンド圧として実際の変速制御に使用する。その場合、これらのストロークエンド圧およびアキュームエンド圧はほとんどばらつきのないものとなっている。
【0115】
ECU3とは別に行う従来のA/T2の完成品検査では、ストロークエンド圧やアキュームエンド圧等のA/Tの特性値がECU3に記憶させていないので、A/T2の部品精度によってばらついたストロークエンド圧やアキュームエンド圧がECU3内の初期データと合わない場合、引き込みによるショックや変速開始までのタイムラグが長い等の問題がある。
しかし、本発明によれば、ほとんどばらつきのないストロークエンド圧およびアキュームエンド圧が変速制御の初期から出力されるので、従来のようにストロークエンド圧のばらつきやアキュームエンド圧のばらつきにより生じる引き込みショックあるいは変速開始までのタイムラグ等のシフトクオリティのばらつきを低減することが可能となる。
【0116】
また、これらのストロークエンド圧およびアキュームエンド圧を用いてA/T2の完成品検査を行うことにより、完成品規格に対する不良率も低減することができる。
更に、A/T一体ECUの完成品検査を行うことにより、ECU3の電流指令値に対する実電流のばらつきも補正されるようになる。
更に、前述のように油圧により監視(チェック)することにより、リターンSP5のばね荷重等の部品のばらつきを測定する必要がなく、比較的精度の低い部品をも使用可能となり、安価にA/T2を製造することができる。
【0117】
このように、A/T2の完成品検査工程においては、ECU3とA/T2とが一体に検査されるので、高精度に検査が行われる。そして、ECU3を用いてこのECU3の調整とV/B ASSY9の調整とが一体に行われて、これらECU3およびV/B ASSYとが高精度に調整されているので、この高精度の検査によって良(合格)と判断されて工場から出荷されるA/T2は、きわめて高品質のものにできる。
【0118】
しかも、A/T2と一体のECU3には、補正されたばらつきの少ないA/T2固有の特性値、シフトタイムおよびピストンストローク時間等のA/T2の特性値が記憶されていて、変速制御時にこれらのデータを用いて行うことで、A/T2は高精度の変速制御を行うことができるとともに、変速フィーリングを向上することができる。
【0119】
また、IDカードやバーコード等の記憶媒体16に記憶されたA/T2固有の特性値、シフトタイムおよびピストンストローク時間等のA/T2の特性値を完成品検査工程で検査することにより、完成品検査の機能は検査だけとなり、完成品検査に要する時間が増加しない。
【0120】
更に、完成品検査工程では、V/B ASSY検査工程で補正された値により検査を行うので、記憶媒体16に記憶されたA/T2の特性値、シフトタイムおよびピストンストローク時間等のばらつきが低減されており、シフトクオリティのばらつきの少ないA/T2が、不良率の増加を伴うことなく生産できるようになる。しかも、シフトクオリティのばらつきが少ないことから、完成品検査工程では、Lock−up制御時のFF制御初期圧がほぼ設計値にて検査が行われるため、安定した検査が可能となり、また実車においては、Lock−upスリップ時にブーミングノイズ等が低減される。
このように、A/T2の完成品検査を安定して高精度に行うことができるので、完成品検査工程では、A/T2を車両に搭載せずに変速機の最終検査を行ってもほとんど問題はない。したがって、車両工場にA/T2の学習を行うためのスペースを設ける必要はなくなる。
【0121】
図8は、ECU3一体のA/T2の検査工程におけるECU3とV/Bテスタ12および完検テスタ18の各検査テスタとの間のCAN通信による信号のやりとりのフローの一例を示す図である。
図8において、左側の下向きの太い矢印の下に示す各処理がECU3で行われる処理であり、また右側の下向きの太い矢印の下に示す各処理がV/Bテスタ12および完検テスタ18の検査テスタで行われる処理である。
【0122】
ECU3一体のA/T2の検査のうち、まずV/B ASSY検査について説明する。V/B ASSY検査では、前述のようにV/Bテスタ12とECU3とが電気的に接続されて、これらのV/Bテスタ12とECU3との間でCAN通信による信号のやりとりが行われる。
【0123】
すなわち、まずV/Bテスタ12側でA/T一体ECU検査開始工程が行われる。このA/T一体ECU検査開始工程では、ステップS1でV/Bテスタ12が検査開始信号を受信すると、ステップS2でA/T一体ECUの検査か否かが判断される。A/T一体ECUの検査ではないと判断されると、ECU3と一体でないA/T2の従来の検査が行われる。
【0124】
ステップS2でA/T一体ECUの検査であると判断されると、ステップS3でCAN通信の開始処理が行われる。これにより、ECU3とV/Bテスタ12の両側でA/T機種コード確認工程が行われる。このA/T機種コード確認工程では、ステップS4でV/Bテスタ12からECU3へA/T機種コード要求信号がCAN通信により送信される。すると、ステップS5でECU3がこのA/T機種コード要求信号を受信し、ステップS6でECU3からV/Bテスタ12へA/T機種コード信号がCAN通信により送信される。ステップS7でV/Bテスタ12がこのA/T機種コード信号を受信し、ステップS8でV/Bテスタ12はA/T機種コードを確認する。
【0125】
これにより、ECU3とV/Bテスタ12の両側で検査モード選択工程が行われる。この検査モード選択工程では、ステップS9でV/Bテスタ12からECU3へ当該A/T機種の検査モード信号、つまりV/B ASSY検査モード信号がCAN通信により送信される。すると、ステップS10でECU3がこの当該A/T機種の検査モード信号を受信し、ステップS11でECU3は当該A/T機種の検査モード、つまりV/B ASSY検査モードを確認し、その確認信号がECU3からV/Bテスタ12へCAN通信により送信される。ステップS12でV/Bテスタ12が当該A/T機種の検査モードの確認信号を受信する。
【0126】
これにより、ECU3とV/Bテスタ12の両側で検査工程が行われる。この検査工程では、ステップS13でV/Bテスタ12からECU3へ、V/Bテスタ12に設定されている検査パターンから必要なECU出力信号(つまり、リニアソレノイド指令信号)がCAN通信により送信される。すると、ステップS14でECU3がこのECU出力信号を受信し、ステップS15でECU3は検査に必要な情報(例えば回転数、ATFの油温、リニアソレノイド電流等)の信号がECU3からV/Bテスタ12へCAN通信により送信される。ステップS16でV/Bテスタ12がこの情報に基づいて、V/Bテスタ12に設定されている検査判定により、合否を判定する。これにより、A/T一体ECU検査の1つであるV/B ASSY検査が終了する。なお、検査判定結果、不合格の判定であれば、前述のV/B ASSY検査工程における補正値を算出し、この補正値がECU3にCAN通信により送信されてECU3に書き込まれる。
【0127】
次に、ECU3一体のA/T2の検査のうち、完成品検査について説明する。完成品検査では、前述のように完検テスタ18とECU3とが電気的に接続されて、これらの完検テスタ18とECU3との間でCAN通信による信号のやりとりが行われる。
【0128】
すなわち、図8に示すようにまず完検テスタ18側でA/T一体ECU検査開始工程が行われる。このA/T一体ECU検査開始工程では、ステップS1で完検テスタ18が検査開始信号を受信すると、ステップS2でA/T一体ECUの検査か否かが判断される。A/T一体ECUの検査ではないと判断されると、ECU3と一体でないA/T2の従来の検査が行われる。
【0129】
ステップS2でA/T一体ECUの検査であると判断されると、ステップS3でCAN通信の開始処理が行われる。これにより、ECU3と完検テスタ18の両側でA/T機種コード確認工程が行われる。このA/T機種コード確認工程では、ステップS4で完検テスタ18からECU3へA/T機種コード要求信号がCAN通信により送信される。すると、ステップS5でECU3がこのA/T機種コード要求信号を受信し、ステップS6でECU3から完検テスタ18へA/T機種コード信号がCAN通信により送信される。ステップS7で完検テスタ18がこのA/T機種コード信号を受信し、ステップS8で完検テスタ18はA/T機種コードを確認する。
【0130】
これにより、ECU3と完検テスタ18の両側で検査モード選択工程が行われる。この検査モード選択工程では、ステップS9で完検テスタ18からECU3へ当該A/T機種の検査モード信号、つまり完成品検査モード信号がCAN通信により送信される。すると、ステップS10でECU3がこの当該A/T機種の検査モード信号を受信し、ステップS11でECU3は当該A/T機種の検査モード、つまり完成品検査モードを確認し、その確認信号がECU3から完検テスタ18へCAN通信により送信される。ステップS12で完検テスタ18が当該A/T機種の検査モードの確認信号を受信する。
【0131】
これにより、ECU3と完検テスタ18の両側で検査工程が行われる。この検査工程では、ステップS13で完検テスタ18からECU3へ、完検テスタ18に設定されている検査パターンから必要なECU出力信号(つまり、リニアソレノイド指令信号)がCAN通信により送信される。すると、ステップS14でECU3がこのECU出力信号を受信し、ステップS15でECU3は検査に必要な情報(例えば回転数、ATFの油温、リニアソレノイド電流等)の信号がECU3から完検テスタ18へCAN通信により送信される。ステップS16で完検テスタ18がこの情報に基づいて、完検テスタ18に設定されている検査判定により、合否を判定する。これにより、A/T一体ECU検査、つまり完成品検査が終了する。なお、検査判定結果、不合格の判定であれば、前述のV/B ASSY検査工程における補正値を算出し、この補正値がECU3にCAN通信により送信されてECU3に書き込まれる。
【0132】
更に、V/B ASSY検査工程およびA/T2の完成品検査工程における油圧の測定の一例として、次の測定方法が採用される。
すなわち、V/B ASSY検査工程およびA/T2の完成品検査工程においては、前述のようにリニアソレノイド7aへの所定の電流値に対して、所望の油圧値が発生しているかを確認しているが、この確認を実際に制御に用いる所定の電流値で行う。その場合、油圧値の振れを考慮してサンプリングからなました油圧値を所望の油圧値としている。
【0133】
具体的には、V/Bテスタ12の圧力計12aおよび完検テスタ18の圧力計で測定された油圧の実圧値の電気信号の測定データに例えばローパスフィルタ等の特殊なフィルタを用いることで、測定時のデータのばらつきを低減して実圧値を決定している。
例えば、図9(a)および(b)に示すように油圧の上げ側および下げ側とも、例えばストップ後1250sec〜1400sec間のなました測定データで、5Hzのローパスフィルタによりこの測定データのばらつきを低減した実測値の126個の平均値を所望の実圧値と決定している。
【0134】
A/T2の油圧検査時に、例えば単に油圧のサンプリングの平均のみで実圧値と決定する従来の油圧測定方法では、測定時のばらつきが大きくなるとともに、その実圧値を基に油圧補正を行うことで補正誤差が大きくなり、補正によるシフトクオリティのばらつきの低減効果が少なくなるという問題があるが、本発明のこの油圧の測定方法によれば、測定データのばらつきが低減されるので、補正誤差を小さくでき、補正によるシフトクオリティのばらつきの低減効果をより確実に得ることができる。
【0135】
更に、A/T2の完成品検査工程が終了し、合格したA/T2は車両工場で車両に搭載されて出荷される。そして、その後車両を走行させるとともに変速制御が行われるが、このとき、A/T2の特性が学習されて、その学習値がECU3に書き込まれる。これにより、工場出荷後にA/T2の特性に経時変化が生じても、ECU3がこの学習値を用いてA/T2を制御することで、変速ショックの抑制された良好な変速制御が行われるようになる。
【0136】
なお、前述の各例では、いずれも本発明をA/Tに適用して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、A/T以外の、例えばCVT等の他の変速機や、前述の他のパワートレインにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるパワートレインの検査システムの実施の形態の一例で、自動変速機に適用した例を模式的に示す図である。
【図2】 この例の自動変速機の検査システムにおける検査ソフトウェアの基本構造を説明する図である。
【図3】 自動変速機のバルブボディアッシーの検査工程を行うシステムの一例を示し、(a)は本発明における制御装置を用いてこの制御装置と一体に行うバルブボディアッシーの検査工程を示す図、(b)は従来における制御装置を用いずこの制御装置の検査とは別に行うバルブボディアッシーの検査工程を示す図である。
【図4】 自動変速機のバルブボディアッシーの電流ー油圧(I−P)特性の油圧調整を説明する図である。
【図5】 油圧サーボへのATFのファーストフィル制御におけるファーストフィル油圧の補正を説明する図である。
【図6】 自動変速機の完成品検査工程を行うシステムの一例を示し、(a)は本発明における制御装置を用いてこの制御装置と一体に行う完成品検査工程を示す図、(b)は従来における制御装置を用いずこの制御装置の検査とは別に行う完成品検査工程を示す図である。
【図7】 油圧サーボにおけるピストンのストローク終了油圧(ストロークエンド圧)の推定および自動変速機の油圧制御回路のアキュームレータのアキューム終了油圧(アキュームエンド圧)の推定を、完検テスタ18により測定された油圧の実測値に基づいて推定を説明する図である。
【図8】 ECUA/T一体ECUの検査工程におけるECUとV/Bテスタおよび完検テスタの各検査テスタとの間のCAN通信による信号のやりとりのフローの一例を示す図である。
【図9】 V/Bテスタの圧力計および完検テスタの圧力計で測定された油圧の実圧値の決定を説明する図である。
【符号の説明】
1…自動変速機の検査システム、2…自動変速機(A/T)、3…電子制御装置(ECU)、4…摩擦係合要素、5…リターンSP、6…油圧サーボ、6a…ピストン、7…リニアソレノイドバルブ、7a…リニアソレノイド、8…バルブボディアッシー内のバルブ、9…バルブボディアッシー(V/B ASSY)、10…電流計、11…圧力計、12…V/Bテスタ(部品テスタ)、12a…圧力計、13…電動オイルポンプ、14…モータ、16…記憶媒体、17…電気モータ、18…完検テスタ(完成品テスタ)
Claims (7)
- パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品に所定値に対応した部品の駆動指令信号を出力し、前記部品が出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品の特性値として取得する部品テスタと、
該部品テスタにより得られた特性値を記憶する記憶媒体と、
前記パワートレインの完成品検査工程時に、前記記憶媒体に記憶されている前記特性値を用いて完成品の駆動指令信号を補正して前記完成品の前記部品に出力し、前記完成品が出力した実測値を測定し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲内にあるときは合格と判断し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲外にあるときは不合格と判断することで前記パワートレインの完成品を検査する完成品テスタと、
を備えていることを特徴とするパワートレインの検査システム。 - 前記パワートレインの完成品は、部品単体の集合体である部品アッシーの集合体からなり、
前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品アッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、
該部品アッシーテスタにより、前記特性値を取得していない部品からなる部品アッシーの特性値を取得し、
前記パワートレインを制御する制御装置を備え、
該制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて一対として前記部品の特性値を取得することを特徴とする請求項1に記載のパワートレインの検査システム。 - 前記パワートレインの完成品は、部品単体の集合体である部品アッシーの集合体からなり、
前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品アッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、
前記部品テスタにより、前記部品アッシーを構成する少なくとも1つの部品の特性値を取得するとともに、該少なくとも1つの部品の特性値を用いて、前記部品アッシーテスタにより前記部品アッシーの特性値を取得し、
前記パワートレインを制御する制御装置を備え、
該制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて一対として前記部品の特性値を取得することを特徴とする請求項1に記載のパワートレインの検査システム。 - 前記パワートレインを制御する制御装置を備え、前記完成品テスタにより、前記記憶媒体に記憶された前記特性値が前記制御装置に書き込まれるとともに、前記パワートレインの完成品の検査が行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載のパワートレインの検査システム。
- パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品に所定値に対応した部品の駆動指令信号を出力し、前記部品が出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品の特性値として取得する部品テスタと、
パワートレインを制御するとともに、該部品テスタにより得られた特性値を記憶する制御装置と、
前記パワートレインの完成品検査工程時に、前記制御装置に記憶されている前記特性値を用いて完成品の駆動指令信号を補正して前記完成品の前記部品に出力し、前記完成品が出力した実測値を測定し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲内にあるときは合格と判断し、前記完成品の実測値が予め設定された所定範囲外にあるときは不合格と判断することで前記パワートレインの完成品を検査する完成品テスタと、
を備えていることを特徴とするパワートレインの検査システム。 - 前記パワートレインの完成品は、例えばソレノイド、バルブ、バルブボディケース等の部品単体の集合体であるバルブボディアッシー等の部品アッシーの集合体からなり、
前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品アッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、
前記部品アッシーテスタにより、前記特性値を取得していない部品からなる部品アッシーの特性値を取得し、
前記制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて一対として前記部品の特性値を取得することを特徴とする請求項5に記載のパワートレインの検査システム。 - 前記パワートレインの完成品は、例えばソレノイド、バルブ、バルブボディケース等の部品単体の集合体であるバルブボディアッシー等の部品アッシーの集合体からなり、
前記パワートレインの完成品検査工程前に、前記パワートレインを構成する部品アッシーに所定値に対応した部品アッシーの駆動指令信号を出力し、前記部アッシーが出力した実測値を測定し、該実測値と前記所定値との誤差を前記パワートレインを構成する部品ア
ッシーの特性値として取得する部品アッシーテスタを有し、
前記部品テスタにより、前記部品アッシーを構成する少なくとも1つの部品の特性値を取得するとともに、該少なくとも1つの部品の特性値を用いて、前記部品アッシーテスタにより前記部品アッシーの特性値を取得し、
前記制御装置と前記部品、および/または前記制御装置と前記部品アッシー、および/または前記制御装置と前記パワートレインの完成品とを対応させて一対として前記部品の特性値を取得することを特徴とする請求項5に記載のパワートレインの検査システム。
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