ところで、上記特許文献1のシリンダヘッドは、点火プラグ装着用ホールが気筒の軸線に対して傾倒した軸線を有する特殊な形状を有するため、このシリンダヘッドに適用される放熱リブを一般的な形状を有するシリンダヘッドに直ちに適用することができなかった。すなわち、一般的な形状を有するシリンダヘッドでは、点火プラグ装着用ホールの軸線を気筒の軸線に対して略一致させること等により当該ホールを形成するホール壁が冷却通路内に立設されているが、このホール壁の存在により放熱壁を直線状に配設することができなくなり、上記ホール壁を迂回させるように設けなければならず、シリンダヘッドの剛性低下が懸念されることになる。
この場合、冷却通路内にホール壁が設けられ、このホール壁間を連結する上記放熱壁を気筒列方向に沿って設けることも考えられるが、このように構成すると新たな問題が生じる。すなわち、放熱壁をホール壁に連結させると、当然のことながら、ホール壁における放熱壁との上記連結部分の周辺においては冷却水が滞留し冷却水とホール壁との間の熱交換効率が低下し、比較的高温になりがちなホール壁を効率的に冷却することができなくなる虞がある。
そこで、このホール壁と放熱壁とを連結せずに放熱壁の端部を切り欠くことによりホール壁と放熱壁との間に一定の間隙を設けて配置することも考えられるが、この場合にはホール壁と放熱壁との一体性がなくなって折角向上させたシリンダヘッドの剛性が低下することになる。このようにシリンダヘッドの剛性が低下すると、ガスケットを介したシリンダブロックに対する組み付けが甘くなり、その結果、ガスケットによるシール性が低下することも想定される。
したがって、この種のシリンダヘッドでは、ガスケットによるシール性が低下しないようにシリンダヘッドの剛性を維持ないしは向上させつつ、冷却性を改善させることが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑み、冷却通路内にホール壁が立設されているようなエンジンに適用することができ、冷却性の改善とシリンダヘッドの剛性とを両立させることができるシリンダヘッドおよびこれを用いた水冷エンジンを提供することを目的とする。
本発明に係る水冷エンジンのシリンダヘッドは、直列多気筒エンジンのシリンダーヘッドであって、気筒列方向に並ぶ吸気ポートと気筒列方向に並ぶ排気ポートとが燃焼室を挟んで互いに反対側に配設されたクロスフロー型のエンジンのシリンダーヘッドにおいて、気筒列方向の一端側に設けられた冷却水導入口から他端側に設けられた冷却水導出口まで連通して気筒列方向に冷却水を流通させる冷却通路が設けられ、この冷却通路内に点火プラグ装着用またはインジェクタ装着用のホールを形成する装着用ホール壁が上記各気筒に対応して立設されるとともに、上記冷却通路の上下両面壁の所定箇所には上下方向に延出しかつ先端部が互いに所定の間隙を設けた状態で対向する上下整流リブが気筒列方向に沿って延設され、この下側整流リブと上記装着用ホール壁の周面との間に間隙を設けることにより下側整流リブによって仕切られた冷却水通路を上記装着用ホール壁周りで互いに連通させる下部連通路が設けられ、一方、上記上側整流リブは装着用ホール壁に連結されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、気筒列方向の一端側から他端側まで連通する冷却通路が設けられるとともに、この冷却通路に気筒列方向に沿って設けられた下側整流リブと、冷却通路内に立設されて点火プラグ装着用またはインジェクタ装着用のホールを形成する装着用ホール壁の周面との間に間隙を設けることにより、下側整流リブによって仕切られた冷却通路を互いに連通させる下部連通路が設けられているので、この下部連通路および上記冷却通路によって装着用ホール壁の全周に冷却水を流通させることができ、これにより装着用ホール壁を効率的に冷却することができ、ひいてはシリンダヘッドの全体の冷却性を改善することができる。したがって、冷却通路内に点火プラグ装着用またはインジェクタ装着用のホールを形成する装着用ホール壁が上記各気筒に対応して立設される場合でもシリンダヘッドを効率的に冷却することができる。
ここで、上記下側整流リブと装着用ホール壁の周面との間に間隙が設けられると両者の一体性がなくなり、シリンダヘッドの剛性の低下が懸念されるが、この発明によれば、上記冷却通路の上面壁の所定箇所に下方向に延出しかつ先端部が下側整流リブの先端部に対して所定の間隙を設けた状態で対向する上側整流リブが気筒列方向に沿って延設されるとともに、この上側整流リブは装着用ホール壁に連結、言い換えると下部連通路の上方で上側整流リブが装着用ホール壁に連結されるので、この上側整流リブが補強リブとして機能してシリンダヘッドの剛性を良好なまま維持することができ、これによりシリンダブロックとの間のシール性を良好なまま維持することができる。
しかも、これらの上下整流リブによって冷却通路を仕切るとともに、上下整流リブ間の間隙において吸排気各側の通路間で冷却水の往来をある程度許容することにより、冷却通路を流通する冷却水を整流することができ、クロスフロー型のエンジンにおいて排気ポート側の通路を増大させて比較的高温になる排気ポート側の側部を効率的に冷却することができる。
ここで、上記のようなシリンダヘッドでは、冷却通路等を形成するために製造時に中子が用いられ、このような中子を支持するため中子と一体に形成された幅木が設けられることが多い。このような場合には、シリンダヘッドにおいてこの幅木の跡が製造時中子支持用ホールとして冷却通路の上面壁に臨んだ状態で残存することから、この製造時中子支持用ホールは閉塞されることにより使用に供される。ところが、上記のように冷却通路に上側整流リブが設けられると、この製造時中子支持用ホールに対応する上側整流リブの製造が煩雑になる。したがって、この発明において、上記冷却通路の上面壁には、閉塞された製造時中子支持用ホールが臨み、この製造時中子支持用ホールに対応して、上記上側整流リブに製造時中子支持用ホールに繋がる欠如部が設けられているのが好ましい(請求項2)。
このように構成すれば、上側整流リブの製造が容易になるばかりでなく、この欠如部を利用して、上側整流リブによって仕切られた冷却通路を上部で互いに連通させることができ、この欠如部を冷却水に含まれる空気抜き用の通路として有効に利用することができる。
上記下側整流リブは、気筒列方向についてその高さが全長に亘って一定のものや、周期的に変化するもの等であってもよく、また、気筒列方向の両端部についても、一定の高さを保つように形成されるもの等であってもよいが、上記下側整流リブは、気筒列方向の両端部における高さが気筒列方向外側に向かうにしたがって低くなるように形成されているのが好ましい(請求項3)。
このように、気筒列方向両端部の下側整流リブを省略するのではなく、順次低くなるように形成されるので、シリンダヘッドの剛性を保ったまま、冷却水導入口側の端部については、冷却水の整流が可能となり、一方、冷却水導出口側の端部については、冷却水の適正な合流混合が可能となる。
この場合、上記下側整流リブは、気筒列方向の両端部のうち、上記冷却水導入口側の一端部が冷却水導出口側の他端部に比べて高く形成されているのが好ましい(請求項4)。
このように構成すれば、気筒列方向について、冷却水導入口側の端部については、冷却水をより効果的に整流することが可能となり、一方、冷却水導出口側の端部については、上下整流リブによって仕切られた冷却通路を流通してきた冷却水をより効果的に混合することができる。
また、この発明において、上記冷却通路の冷却水導出口側であって、上記下側整流リブによって仕切られた上記冷却通路の上記吸気ポート側の下面壁に、上記下側整流リブに並設された流量調整用のサブリブが設けられているのが好ましい(請求項5)。
このように構成すれば、上記サブリブが抵抗となって、上下整流リブによって仕切られた冷却通路の各側の流通路のうち、上記吸気ポート側の流通路の冷却水流量が低下するとともに、これにともなって排気ポート側の流通路の流量が増加して、比較的高温になりがちなシリンダヘッドの排気側端部を効率的に冷却することができる。
上記上下整流リブは、ともに排気ポート側に変位したものや、上下整流リブの少なくとも一方が排気ポート側に若干変位したものであってもよいが、上記上下整流リブは、シリンダヘッドの中心線に沿って設けられているのが好ましい(請求項6)。
このように構成すれば、比較的シール性が低下しやすい気筒間の壁部付近の剛性を効果的に向上させることができ、これによりガスシール性をより一層向上させることができる。
また、他の発明に係る水冷エンジンは、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシリンダヘッドと、このシリンダヘッドの上記冷却水導入口を通じて上記冷却通路に連通するブロック側冷却通路が設けられたシリンダブロックとを備える水冷エンジンであって、上記ブロック側冷却通路は、シリンダブロック内に冷却水を導入する冷却水流入ポートから当該シリンダブロックにおける排気ポート側の側部を気筒列方向に延び、上記冷却水流入ポート側と反対側の端部を介してシリンダブロックにおける吸気ポート側の側部を気筒列方向に戻り、この下流側の戻り端部で上記シリンダヘッドの冷却水導入口に連通するとともに上流側の所定部分においても上記シリンダヘッドの冷却水導入口に連通するように構成されていることを特徴とするものである(請求項7)。
この発明によれば、ブロック側冷却通路において一方向に冷却水が流通するので、冷却水の澱みを改善して各気筒温度の均一化を図ることができる。しかも、このブロック側冷却通路においては、まず排気ポート側に冷却水が流入するので、比較的高温の排気ポート側の側部の冷却性を改善することができる。さらに、シリンダヘッドの冷却水導入口がブロック側冷却通路の上流側の所定部分に連通しているので、当該シリンダヘッドにおいて、比較的低温の冷却水を確保することができるとともに、上記各作用効果を奏することになるので、ガスシール性を維持、向上させたまま、水冷エンジン全体の冷却性を十分に改善することができる。
この発明に係る水冷エンジンのシリンダヘッドによれば、装着用ホール壁の全周に冷却水を流通させることができ、これにより冷却通路内に点火プラグ装着用またはインジェクタ装着用のホールを形成する装着用ホール壁が上記各気筒に対応して立設される場合でもシリンダヘッドを効率的に冷却することができるとともに、上側整流リブが補強リブとして機能し、これによりシリンダヘッドの剛性を良好なまま維持向上することができるという利点がある。すなわち、このシリンダヘッドによれば、冷却性の改善とシリンダヘッドの剛性維持ないしは強化を両立することができる。しかも、クロスフロー型のエンジンにおいて排気ポート側の通路を増大させて比較的高温になる排気ポート側の側部を効率的に冷却することができる。
他の発明に係る水冷エンジンによれば、冷却水の澱みを改善して各気筒温度の均一化を図ることができるとともに、エンジンの剛性を保つことによりガスシール性を維持させつつ、比較的高温の排気ポート側の側部の冷却性を効果的に改善することができるという利点がある。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る水冷エンジンの概略構成を示す斜視図であり、図2は、エンジンの概略断面図である。
エンジン1は、車両前部であってボンネット下方のエンジンルーム内に横置きに搭載、つまり、クランク軸方向が車幅方向に沿うように搭載されている。このエンジン1は、クランク軸方向に沿って4つの気筒が直列配置された直列4気筒エンジンであり、各気筒10A〜10D上部の燃焼室に開口する吸気ポート11と排気ポート12とがそれぞれ気筒列方向に並設されるとともにこれらの吸気ポート11と排気ポート12とが上記燃焼室を挟んで互いに反対側に配設された、いわゆるクロスフロー型のエンジンである(図4参照)。この結果、図4に示すように、各吸気ポート11は、エンジン1に対して車両前後方向前側に配置され、一方、各排気ポート12は、エンジン1に対して車両前後方向後側に配置されている。
また、このエンジン1は、各気筒10A〜10Dにおける燃焼によって発生した熱を大気中に放出するための媒体に冷却水などの液体を用いる水冷式エンジンであり、ラジエータ5等からなる冷却系統に組み込まれている。すなわち、この冷却系統は、相互に連通するウォータジャケット23,24が設けられたエンジン本体2と、エンジン1の前方に配設されたラジエータ5と、エンジン1の後方に配設され燃焼エネルギーを利用して車室内を温めるヒータユニット6と、これらのラジエータ5およびヒータユニット6に冷却水を送るためのインレットパイプ19,18と、これらのラジエータ5およびヒータユニット6において熱交換された冷却水をエンジン本体2に送るためのアウトレットパイプ16,17と、これらのラジエータ5およびヒータユニット6をバイパスするバイパスパイプ15と、冷却水を強制的に循環させるウォータポンプ7とを備え、サーモスタット(図示せず)によって、冷却水をラジエータ5とエンジン本体2との間で循環させるラジエータ経路と、このラジエータ5をバイパスするバイパス経路とを切換可能に構成されている。また、この冷却系統では、ヒータユニット6とエンジン本体2との間で循環させるヒータ経路が設けられるとともに、エンジン本体2を通過することにより昇温した冷却水を利用して車室内を暖房可能に構成されている。なお、このサーモスタットは公知のサーモスタットが用いられ、ここではワックスタイプのものが用いられている。
具体的には、エンジン1は、図1に示すように、各気筒を形成するエンジン本体2と、このエンジン本体2にその下側から組み付けられたオイルパン3と、エンジン本体2にその上側から組み付けられたシリンダヘッドカバー4とを備えている。エンジン本体2は、鋳鉄やアルミニウム合金製の鋳造品であり、気筒の本体部を構成するシリンダブロック21と、このシリンダブロック21の上側にガスケット(図示せず)を介して取り付けられ気筒の上部を構成するシリンダヘッド22とを備えている。これらのシリンダブロック21およびシリンダヘッド22の内部は、それぞれ冷却通路をなすブロック側およびヘッド側ウォータジャケット23,24が形成され、エンジン本体2内に冷却水が循環可能に構成されている(図3ないし図5参照)。このシリンダブロック21およびシリンダヘッド22の詳細は、これらのウォータジャケット23,24とともに後に説明する。
エンジン本体2のウォータジャケット23,24の上流側には上記ウォータポンプ7が配設されている。このウォータポンプ7は、シリンダブロック21の前面上部における一側端部(図例では車両の前後方向を基準にして前面右上端部)に取り付けられている。このウォータポンプ7は、渦巻き型の遠心式ポンプであり、シリンダブロック21の一側面下端部に配設されたクランクプーリ55にVベルト(図示せず)を介して接続され、クランクプーリ55の回転駆動力を利用して駆動するように構成されている。
このウォータポンプ7の上流側には冷却水の循環経路をラジエータ経路とバイパス経路との間で切り換える上記サーモスタットが配設され、このサーモスタットはウォータポンプ7に隣接してシリンダブロック21の前面に取り付けられたサーモスタットハウジング8内に収納されている。なお、このサーモスタットハウジング8に隣接して吸気マニホールド9がエンジン本体2の前面側に取り付けられている。
サーモスタットハウジング8には、その上面に開口したバイパス流入ポート8aと、その正面に開口したヒータ流入ポート8bおよびラジエータ流入ポート8cとが設けられている。バイパス流入ポート8aには、上記バイパス経路を構成するバイパスパイプ15が接続されている。また、ヒータ流入ポート8bにはヒータユニット6において熱交換された冷却水をエンジン本体2に戻すためのヒータアウトレットパイプ17が接続され、一方、ラジエータ流入ポート8cにはラジエータ5において熱交換された冷却水をエンジン本体2に戻すためのラジエータアウトレットパイプ16が接続されている。
なお、当実施形態では、上記バイパスパイプ15によって構成されるバイパス経路中にエンジンオイルを冷却するオイルクラー50やエンジン1の側方に配設された自動変速機51のためのオイルを温めるATFウォーマ52が配設されている(図10,11参照)。
エンジン本体2のウォータポンプ7が設けられた車幅方向一端側(図例では右側)と反対側の側面上部(シリンダーヘッド22の側面上部)には、ウォータアウトレット部材20が設けられている。このウォータアウトレット部材20は、冷却水流れに対する上流端がシリンダヘッド22の冷却水導出口247を通じてヘッド側ウォータジャケット24に連通するように構成されている。一方、ウォータアウトレット部材20の冷却水流れに対する下流端部は、その各分岐端にそれぞれラジエータ流出ポート、ヒータ流出ポート、バイパス流出ポートの3つのポートが設けられている。各ポートには、それぞれエンジン本体2において昇温した冷却水をラジエータ5やヒータユニット6に流入させるためのラジエータインレットパイプ18やヒータインレットパイプ19が接続されるとともに、バイパス流出ポートにはバイパスパイプ15が接続されている。
ここで、エンジン本体2のシリンダブロック21やシリンダヘッド22に形成されたウォータジャケット23,24について詳しく説明する。図2はシリンダブロックの断面図であり、図3は同ブロックの平面図である。また、図4はシリンダヘッドの横断面図であり、図5はシリンダヘッドの縦断面図である。なお、図中、一点鎖線で示すC1は、各気筒の中心点を結ぶ中心線である。そして、説明の便宜上、必要に応じてこの中心線C1に対して前側を吸気側といい、後側を排気側という。当実施形態では吸気側が反スラスト側、排気側がスラスト側となるようにクランク軸が回転されるように構成されている。
各ウォータジャケット23,24は、シリンダブロック21またはシリンダヘッド22における気筒10A〜10Dの周囲に形成された空隙であり、冷却水を流通させるための通路(冷却通路)を構成している。このウォータジャケット23,24における冷却水の循環方式には種々あるが、当実施形態では、ブロック側ウォータジャケット23については気筒10A〜10Dの周囲を一方向に冷却水を周回循環させるUターン方式が採用され、一方、ヘッド側ウォータジャケット24についてはシリンダヘッド22の一端側から他端側に気筒列方向に沿って冷却水を並列的に流通させる軸流方式が採用されている。
すなわち、ブロック側ウォータジャケット23は、図2および図3に示すように、シリンダブロック21の外周部であって気筒10A〜10Dの周囲を囲むように設けられ、その一端がシリンダブロック21の前面側一端部(図例では前面右端部)に設けられた冷却水流入ポート231に連通するとともに、その他端がシリンダヘッド22の後述する第4冷却水導入口244に連通するように構成されている。
具体的には、ブロック側ウォータジャケット23は、冷却水流入ポート231から当該シリンダブロック21の長手方向一側部(図例では右側部)を後方に延びる第1冷却通路232と、この第1冷却通路232に連通してシリンダブロック21の後側部、言い換えるとシリンダブロック21の排気側部を気筒列方向に沿って当該シリンダブロック21の長手方向他端側(図例では左側)まで延びる第2冷却通路233と、第2冷却通路233に連通してシリンダブロック21の他端部(図例では左側部)を前方に延びる第3冷却通路234と、この第3冷却通路234に連通してシリンダブロック21の前側部、言い換えるとシリンダブロック21の吸気側部を気筒列方向に沿って当該シリンダブロック21の一端側(図例では右側)に戻る第4冷却通路235とを備える。第1冷却通路232と第4冷却通路235とは仕切壁236によって仕切られてその間で直接冷却水が流通しないようになっている。
なお、このシリンダブロック21は、その外周縁部であってブロック側ウォータジャケット23の外側に、適宜間隔置きに雌ねじ孔25が穿設されている。この雌ねじ孔25は、シリンダブロック21にシリンダヘッド22を組み付ける際に組付用ボルトを螺着するためのものであり、中心線C1に対して略線対称に設けられている。
このブロック側ウォータジャケット23の上方は、図3に示すように、シリンダブロック21のトップデッキ21aによって覆われている。すなわち、このシリンダブロック21は、クローズドデッキタイプのシリンダブロックである。このトップデッキ21aには、ブロック側ウォータジャケット23における第1冷却通路232に開口する第1および第2連通孔237,238が設けられるとともに、第2冷却通路233の上流端部に開口する第3連通孔239および第4冷却通路235の下流端部に開口する第4連通孔240が設けられる。つまり、第1〜第4連通孔237〜240は、シリンダブロック21の一端部(図例では右端部)側に固まって設けられている。これらの第1〜第4連通孔237〜240は、他端がヘッド側ウォータジャケット24の後述する第1〜第4冷却水導入口241〜244に連通してブロック側ウォータジャケット23内の冷却水をヘッド側ウォータジャケット24に導入するように構成されている。したがって、第1〜第4連通孔237〜240がシリンダブロック21の一端部側に固まって設けられている結果、ヘッド側ウォータジャケット24の一端部側に冷却水が導入されることになる。
なお、各連通孔237〜240および各冷却水導入口241〜244を通じてブロック側ウォータジャケット23からヘッド側ウォータジャケット24に流入する冷却水の流入量は、第2、第1、第4、第3冷却水導入口242,241,244,243を通じて流入する量の順で多くなるように、当実施形態では連通孔237〜240および各冷却水導入口241〜244の開口面積を調整している。
また、トップデッキ21aの製造時中子支持用ホール27に対応して、ガスケット(図示せず)には冷却水中のエア溜まりを防止するためのエア抜き小孔251が各冷却通路232〜235に沿って複数個設けられている。ここでは簡略化のため、図3では製造時中子支持用ホールを省略し、ガスケットのエア抜き小孔251を示している。これらのエア抜き小孔251は、ブロック側ウォータジャケット23とヘッド側ウォータジャケット24とを連通させるものであり、この小孔251を通じて冷却水をブロック側ウォータジャケット23からヘッド側ウォータジャケット24に導入させるとともに、ブロック側ウォータジャケット23の空気抜き孔としても機能する。なお、このエア抜き小孔251の開口面積は、上記第1〜第4連通孔237〜240の開口面積よりも小さく設定されている。
次に、シリンダヘッド22に設けられたヘッド側ウォータジャケット24について図4ないし図8を用いて説明する。図6ないし図8は、図4のVI−VI線、VII−VII線、VIII−VIII線断面図である。なお、一点鎖線で示すC2は、各気筒の軸心である。そして、説明の便宜上、必要に応じてこの中心線C2に対して前側を吸気側といい、後側を排気側という。
ヘッド側ウォータジャケット24は、上記したように、冷却水を気筒列方向10A〜10Dに沿って、シリンダヘッド22の一端側から他端側に流通させる軸流式の循環方式が採用されている。すなわち、このヘッド側ウォータジャケット24は、図4および図5に示すように、その上下両面壁を構成するシリンダヘッド22のボトムデッキ223とミドルデッキ222との間を当該シリンダヘッド22の一端側から他端側に延び、一端部がシリンダブロック23の第1〜第4連通孔237〜240に連通する第1ないし第4冷却水導入口241〜244を通じてブロック側ウォータジャケット23に連通しているとともに、他端部が冷却水導出口247を通じてウォータアウトレット部材20に連通し、ブロック側ウォータジャケット23から流入した冷却水をウォータアウトレット部材20に導出するものとなされている。
このヘッド側ウォータジャケット24内には、図4および図5に示すように、気筒列方向に沿って複数個(当実施形態では4個)の点火プラグボス225が立設されている。この点火プラグボス225は、点火プラグ(図示せず)を装着するための略断面円形の保持孔225aを形成するものであり、各気筒10A〜10Dに対応してその軸心が気筒10A〜10Dの軸心と一致するように配置されるとともに、ボトムデッキ223とミドルデッキ222とを連結するように設けられている。
また、上記点火プラグボス225の周囲には、図4および図7に示すように、燃焼室を挟んで各々逆方向(前または後方向)に延びる吸気ポート11および排気ポート12を形成するための吸気および排気ポート形成壁227,228がヘッド側ウォータジャケット24を斜めに横切る状態で設けられている。なお、吸気、排気各ポート11,12には各ポート11,12の気筒10A〜10D側開口部を開閉する吸気弁または排気弁(ともに図示せず)を取り付けるための弁取付孔229,230が開口し、この弁取付孔229,230の他端はシリンダヘッド22のトップデッキ221に開口している。
以上のように、ヘッド側ウォータジャケット24内には点火プラグボス225、吸気通路形成壁227および排気通路形成壁228が配置されており、このためヘッド側ウォータジャケット24を流通する冷却水はこれらのボス225や形成壁227,228を前後に迂回するように流通する。
また、ヘッド側ウォータジャケット24の上面壁であるミドルデッキ222には、鋳造時の中子を支持するための幅木を挿通させるための製造時中子支持用ホール27が臨んでいるとともに、この製造時中子支持用ホール27は、下端部がねじ切りされて円柱状の栓部材28によって閉塞されている。すなわち、このようなシリンダヘッド22では、ヘッド側ウォータジャケット24を形成するために中子が用いられ、このような中子を支持するために中子と一体に形成された幅木が用いられることが多い。このような場合には、シリンダヘッド22においてこの幅木の跡が製造時中子支持用ホール27としてウォータジャケット24の上面壁に臨んだ状態で残存することから、この中子支持用ホール27を栓部材28によって閉塞している。なお、図5中に29で示される部分も製造時中子支持用ホール29であり、栓部材30によって閉塞されている。
ここで、図6ないし図8に示すように、ヘッド側ウォータジャケット24の下面壁であるシリンダヘッド22のボトムデッキ223の上面には、中心線C2に沿って上方に延びる下側整流リブ31が設けられ、一方、ヘッド側ウォータジャケット24の上面壁であるミドルデッキ222の下面には、中心線C2に沿って下方に延びる上側整流リブ32が設けられている。下側整流リブ31と上側整流リブ32とは、その先端が互いに所定の間隙を設けた状態で対向配置され、ヘッド側ウォータジャケット24を前側の吸気側冷却通路24aと後側の排気側冷却通路24bとに実質的に仕切るとともに上記各リブ31,32間の間隙を通して冷却水の若干の往来を許容しつつ冷却水を整流するものとなされている。なお、第1および第4冷却水導入口241,244は吸気側冷却通路24aに開口し、一方、第2および第3冷却水導入口242,243は排気側冷却通路24bに開口している。
具体的には、下側整流リブ31は、図4および図5に示すように、気筒列方向に沿ってヘッド側ウォータジャケット24の略全長に亘って形成されている。このように下側整流リブ31が中心線C1上に気筒列方向に沿って形成されることにより、当該下側整流リブ31が気筒列方向に沿って点火プラグボス225と同一直線上に配設されることになる。この場合、下側整流リブ31を点火プラグボス225に連結するように設けることも考えられるが、このように構成すると、下側整流リブ31と点火プラグボス225との連結部分に冷却水を流通させることができなくなり、これにより比較的高温になりがちな点火プラグボス225の下部を冷却水に直接晒して冷却効率を高めることができなくなる。
そこで、当実施形態では、下側整流リブ31と点火プラグボス225との周面との間に所定の間隙を設けて、つまり下側整流リブ31の点火プラグボス225に面した端部と当該点火プラグボス225の周面との間に冷却水を通水するための下部連通路35(図10参照)を形成するための間隙を設けて点火プラグボス225の周囲を直接冷却水に晒すことができるように構成されている。より具体的には、下側整流リブ31の点火プラグボス225に面した端部は、当該点火プラグボス225側に向かうにしたがってその高さが低くなる傾斜部31aとして形成されている。この傾斜部31aを設けることにより、ヘッド側ウォータジャケット24は、その下部において点火プラグボス225の周りに冷却水を流通させる下部連通路35を設けることができ、これにより点火プラグボス225の下部を効率的に冷却してシリンダヘッド22の冷却性を改善することができる。
また、この下側整流リブ31は、その気筒列方向の両端部のうち、第1ないし第4冷却水導入口241〜244側の上流側一端部が冷却水導出口247側の下流側他端部に比べて高く形成されているとともに、各両端部がそれぞれ気筒列方向外側に向かうにしたがって低くなるように形成されている。
具体的には、図5および図6に示すように、下側整流リブ31の気筒列方向一端部(上流端部)は、その高さHeが気筒列方向中央部の高さと略同等に形成されるとともに、気筒列方向内側(図例では左側)に向かうにしたがって上方に傾斜する傾斜分流部31bが設けられている。この傾斜分流部31bは、第1ないし第4冷却水導入口241〜244から導入された冷却水を吸気側冷却通路24aと排気側冷却通路24bとに振り分ける機能を有し、後述する傾斜合流部31cと比べてその傾斜角度が大きく設定されている。
一方、下側整流リブ31の気筒列方向他端部(最下流端部)は、図5および図8に示すように、その高さHoが気筒列方向中央部の高さよりも低く形成されるとともに、気筒列方向外側に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜合流部31cが設けられている。この傾斜合流部31cは、吸気側冷却通路24aと排気側冷却通路24bとを流通する冷却水を合流させるため、気筒列方向外側に向かうにしたがって低くなるように設定されている。
このように下側整流リブ31の気筒列方向両端部について下流側端部が上流側端部に比べて低く設定されるとともに各端部に傾斜部31b,31cが設けられることにより、シリンダヘッド22の剛性を高く維持したまま冷却水の分流、合流を効果的に実行できるようになっている。
また、ヘッド側ウォータジャケット24の吸気側冷却通路24aの下流端部には、図8および図9に示すように、ボトムデッキ223の上面から上方に延びるサブリブ33が配設されている。このサブリブ33は、吸気側冷却通路24aにおける流水抵抗として機能するものであり、下側整流リブ31の下流端部に対して並設され、当該下側整流リブ31の高さよりも高く形成されている。このサブリブ33の気筒列方向の長さは、特に限定されるものではないが、当実施形態ではその上流端部は気筒10Dの下流端に略対応して配置されている。このサブリブ33も図9に示すように下流側端部が気筒列方向外側に向かうにしたがって下方に傾斜するサブ傾斜合流部33aが設けられ、吸気側冷却通路24aと排気側冷却通路24bとを流通する冷却水の合流が円滑に行われるように構成されている。
一方、上側整流リブ32は、図5に示すように、略全長に亘って、より詳しくは気筒10Dに対応する点火プラグボス225の下流側を除く略全長に亘って形成されている。このように上側整流リブ32が中心線C1上に気筒列方向に沿って形成されることにより、当該上側整流リブ32も下側整流リブ31と同様に気筒列方向に沿って点火プラグボス225と同一直線上に配設されることになる。この場合、上側整流リブ32も、下側整流リブ31と同様に、点火プラグボス225に対して間隔を設けて配置することも考えられるが、このように構成すると、点火プラグボス225はヘッド側ウォータジャケット24内において上下両側の整流リブ31,32に連結されない独立したものとなり、これによりシリンダヘッド22の剛性の低下が懸念される。
ここで、点火プラグボス225の上部は、その下部に比べて、気筒10A〜10Dの上部の燃焼室から離れた位置にあるため、燃焼による温度上昇がその下部に比べて小さく、しかも下部連通路35によって点火プラグボス225の下部周りを効率的に冷却しているので、上部に伝達される熱量が小さくなっている。そこで、本件発明者は、点火プラグボス225の上部においてはその下部に比べて放熱効率を向上させることの要求が少ないことに着目して、この点火プラグボス225の上部に上記上側整流リブ32を連結させることによりシリンダヘッド22の剛性低下を効果的に抑制可能であることを知見した。
すなわち、上側整流リブ32は、図11に示すように、点火プラグボス225側の端部が当該点火プラグボス225の周面に連結するように構成されている。より具体的には、上側整流リブ32は点火プラグボス225と一体形成され、これにより上側整流リブ32を補強リブとして機能させてシリンダヘッド22の剛性を維持ないしは向上させるように構成されている。
また、上側整流リブ32には、ヘッド側ウォータジャケット24に開口する製造時中子支持用ホール27に対応して上側整流リブ32を構成する仕切壁が設けられていない欠如部32aが設けられている。この欠如部32aは、製造時中子支持用ホール27に繋がった状態で設けられている。すなわち、上側整流リブ32を気筒列方向に沿ってヘッド側ウォータジャケット24の略全長に亘って設けることとすると、当該製造時中子支持用ホール27を跨ぐ上側整流リブ32の部分についてはシリンダヘッド22の鋳造時に形成することが困難となる。したがって、当実施形態のように、上側整流リブ32について、この製造時中子支持用ホール27に対応して欠如部32aが設けられることにより容易に製造することができるようになされている。しかも、この欠如部32aを設けることにより、欠如部32aを通して吸気側冷却通路24aと排気側冷却通路24bとの間で冷却水が往来することができ、これにより各冷却通路24a,24bの流水量の微調整を行うことができて効率的にシリンダヘッド22を冷却することができる。特に、吸気側冷却通路24aにサブリブ33が設けられている当実施形態では、欠如部32aが設けられることにより相乗的な効果を奏することができる。また、例えばエンジン1がスラントして搭載されている場合に、ヘッド側ウォータジャケット24のエア溜まりを効果的に防止することができるという利点もある。
なお、このシリンダヘッド22にも、シリンダブロック21の雌ねじ孔25と対向する位置にボルト挿通孔26が設けられ、シリンダブロック21に対してガスケットを介して組み付けることができるようになされている。
次に、以上のように構成されたエンジン1における冷却水の流れを図10および図11を用いて説明する。図10はエンジン1を含めた冷却系統を示す模式図であって、シリンダヘッド22におけるヘッド側ウォータジャケット24の冷却水流れは当該ヘッド側ウォータジャケット24の下部の冷却水流れを示している。図11はエンジン1を含めた冷却系統を示す模式図であって、シリンダヘッド22におけるヘッド側ウォータジャケット24の冷却水流れは当該ヘッド側ウォータジャケット24の上部の冷却水流れを示している。
図10に示すように、この冷却系統では、ウォータポンプ7によって冷却水が強制的に循環され、この冷却水がまず冷却水流入ポート231を通してエンジン本体2のシリンダブロック21内部のブロック側ウォータジャケット23に導入される。このシリンダブロック21のブロック側ウォータジャケット23では、流入された冷却水の一部が、流入直後に第1〜第3連通孔237〜239および第1〜第3冷却水導入口241〜243を通じて、ヘッド側ウォータジャケット24に送り込まれる。このようにブロック側ウォータジャケット23の上流部からヘッド側ウォータジャケット24の上流部に繋がる短絡冷却通路を設けることにより、ヘッド側ウォータジャケット24において比較的低温の冷却水を確保することができ、これによりシリンダヘッド22を効率的に冷却することができる。
残りの冷却水は、第2冷却通路233を流通することにより、シリンダブロック21の排気側(または反スラスト側)の側部を冷却するとともに、第3冷却通路234を介してシリンダブロック21の吸気側に送られ、第4冷却通路235を流通することにより当該シリンダブロック21の吸気側(またはスラスト側)の側部を冷却して、第4連通孔240および第4冷却水導入口244を介してヘッド側ウォータジャケット24の吸気側冷却通路24aに送られる。このように冷却水流入ポート231から流入した冷却水を気筒10A〜10D周りを一方向に周回させることにより、冷却水流れの澱みを抑制することができ、各気筒10A〜10Dの温度の均一化を図ることができる。さらに、当該低温の冷却水をまず排気側の第2冷却通路233に送ることにより、吸気側(または反スラスト側)よりも高温になりがちなシリンダブロック21の排気側(またはスラスト側)側部の冷却性を改善することができる。しかも、シリンダブロック21をUターン冷却した後の冷却水を、排気側に比べて冷却要求の小さい吸気側冷却通路24aに送るので、シリンダヘッド22の冷却効率を向上させることができる。
シリンダヘッド22のヘッド側ウォータジャケット24では、専らその気筒列方向の一端部にブロック側ウォータジャケット23から冷却水が導入され、この冷却水が気筒列方向に沿って他端側に流通される。具体的には、ヘッド側ウォータジャケット24では、上下側整流リブ31,32によって吸気側および排気側冷却通路24a,24bに区画され、第1および第4冷却水導入口241,244を通じて流入した冷却水は専ら吸気側冷却通路24aに導入され、一方、第2および第3冷却水導入口242,243を通じて流入した冷却水は専ら排気側冷却通路24bに導入される。したがって、排気側冷却通路24bには吸気側冷却通路24aに比べて低温の冷却水が確保されることになり、これにより比較的高温になりがちなシリンダヘッド22における排気側の側部を効率的に冷却することができる。
また、吸気側および排気側各冷却通路24a,24bを流通する冷却水は、図10に示すように、下部連通路35を通じて点火プラグボス225と下側整流リブ31との間を流れる。したがって、点火プラグボス225の周面は全周に亘って直接冷却水に晒されることになり、これにより燃焼室の上方に設けられた点火プラグボス225の下部を効率的に冷却することができ、ひいてはシリンダヘッド22の全体の冷却性を改善することができる。
この場合に下部連通路35が設けられることにより下側整流リブ31と点火プラグボス225とが気筒列方向について分離してシリンダヘッド22の剛性の低下が懸念されるが、当実施形態のシリンダヘッド22では、上記したように、ヘッド側ウォータジャケット24の上面壁に上側整流リブ32が設けられ、当該上側整流リブ32が下部に比べて昇温が小さい点火プラグボス225の上部に連結されているので、冷却性の悪化を抑制しつつシリンダヘッド22の剛性を向上させることができる。したがって、シリンダヘッド22の剛性を良好なまま維持できるので、シリンダブロック21に対するガスシール性を良好なまま維持することができる。
このヘッド側ウォータジャケット24の上部では、図11に示すように、冷却水は点火プラグボス225の側方を通過することになるが、点火プラグボス225はその下部で冷却水によって冷却されるとともに燃焼室から比較的離れているので、当該点火プラグボス225を十分に冷却することができる。
そして、シリンダヘッド22の気筒列方向他端部にまで到達した冷却水は、冷却水導出口247を通じてウォータアウトレット部材20に吐出されるとともに、このウォータアウトレット部材20からラジエータ5等を通過して冷却されてから再びウォータポンプ7に導入される。なお、エンジン1が十分に暖まるまでは、冷却水はラジエータ5をバイパスするバイパス経路を流通してウォータポンプ7に導入されることになる。
なお、以上に説明した水冷エンジン1およびシリンダヘッド22は、本発明に係るエンジン等の一実施形態であり、その具体的構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、その変形例を説明する。
(1)上記実施形態では、ヘッド側ウォータジャケット24に点火プラグボス225が立設されている場合について説明したが、この点火プラグボス225に代えて燃焼室に開口するインジェクタ装着用ホールを形成するインジェクタボスについても同様に適用することができる。
(2)上記実施形態では、ブロック側ウォータジャケット23についてUターン方式の流水方式を採用しているが、気筒列方向一端側から他端側に並列的に冷却水を流通させる軸流方式等、その他の流水方式を採用するものであってもよい。