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JP4374964B2 - 石英ガラスの成形方法及び成形装置 - Google Patents

石英ガラスの成形方法及び成形装置 Download PDF

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Description

この発明は、石英ガラスをモールド内に収容して加熱加圧成形することにより、所定形状に成形する方法に係り、特に、複数の石英ガラスを成形するのに好適な石英ガラスの成形方法及び成形装置に関する。
i線より短波長の光源を用いた投影露光装置の照明光学系あるいは投影光学系
のレンズ、ミラー、レチクル等の光学部材では、材料として石英ガラスが多用されている。この石英ガラスは、例えば、火炎加水分解により透明石英ガラスを製造する直接法などの方法で合成されている。
直接法では、石英ガラス製バーナにて支燃性ガス(酸素含有ガス、例えば、酸素ガス)及び可燃性ガス(水素含有ガス、例えば、水素ガスあるいは天然ガス)を混合・燃焼させ、前記バーナの中心部から原料ガスとして高純度のケイ素化合物(例えば、四塩化ケイ素ガス)をキャリアガス(通常酸素ガス)で希釈して噴出させ、前記原料ガスを周囲の前記酸素ガス及び水素ガスの燃焼により反応(加水分解反応)させて石英ガラス微粒子を発生させ、その前記石英ガラス微粒子を、前記バーナ下方に配置され、回転および揺動および引き下げ運動を行う不透明石英ガラス板からなるターゲット上に堆積させ、同時に前記酸素ガス及び水素ガスの燃焼熱により溶融・ガラス化して石英ガラスインゴットを得ている。
この方法によると、比較的大きな径の石英ガラスインゴットを得易いため、インゴットからブロックを切り出して所望の形状、大きさの光学部材を製造することができる。
また、近年、大型のレンズやレチクル、或いは大型の液晶ディスプレイ等、広い面を有する光学部材を得るため、予め形成されたインゴット等の石英ガラス塊を加熱加圧成形することにより扁平形状にして面積を拡大する成形方法が利用されている。
この成形方法では、石英ガラス塊をモールド内に収容して加熱した状態で、加圧部により加圧することにより成形を行い、その後モールド内で徐冷するなど、更にアニール処理を行い、1対向面の面積が拡大された所定形状の成形体を得ている。
このような加熱加圧成形を行うものとしては、例えば、グラファイト製のモールド内で、絶対圧が 0.1Torr以上大気圧以下のヘリウムガス雰囲気下に、1700℃以上の温度に加熱加圧成形し、ついで1100〜1300℃まで急冷する方法が知られている。また、石英ガラスとモールドの型材との熱膨張率差に起因する応力を緩和する構造を有するグラファイト製のモールドを用いて1600℃〜1700℃で加圧成形する方法(下記、特許文献1参照)や、そのグラファイト製のモールドが2分割以上の縦型構造である成型装置が提案されている(下記、特許文献2及び3参照)。更には、黒鉛製のモールド内面に石英粉末からなる被覆層を設けて、1550℃〜1700℃で加圧成形する方法(下記、特許文献4参照)も知られている。
特公平4−54626号公報。 特開昭56−129621号公報。 特開昭57−67031号公報。 特開2002−22020号公報。
石英ガラスの加熱加圧成形は、モールド内に収容した石英ガラスをモールドと共に極めて高い温度に昇温して行われるが、その昇温時には、石英ガラスの内部まで出来るだけ均一な温度となるように昇温速度を調整して昇温しなければならず、また、冷却時には、熱的な残留歪を出来るだけ小さくするために冷却速度を調整して冷却しなければならない。そのため、昇温及び冷却に長時間を要し、一回の成形に半日程度を費やすなど、生産性が悪いという問題点があった。
また、モールドとして、不純物の混入を防止して耐熱強度を確保するためにグラファイトからなるものが使用されるが、成形時には、昇温された石英ガラスを高い成形圧力でモールド内面に押し付けて成形するため、モールドは強固な構造である必要があり、その一方で、モールドの材料の膨張係数が石英ガラスの膨張係数より著しく大きいため、成形後の冷却時に熱膨張率差に起因して生じる各種の応力を緩和できる構造である必要がある。ところが、これらの条件を同時に満足することは容易でなく、成形途中にモールドが分解したり、冷却時にモールドの収縮量が大きくてモールドや石英ガラスが圧迫されて歪や割れが生じるなどの問題点もあった。
そこで、この発明は、石英ガラスの加熱加圧成形において、生産性を向上することが可能な成形方法及び成形装置を提供することを課題とし、更に、成形時や冷却時にモールドや石英ガラスの歪や割れが生じ難い石英ガラスの成形方法及び成形装置を提供することを他の課題とする。
上記課題を解決する請求項1に記載の石英ガラスの成形方法は、モールドの中空部内に石英ガラスを収容し、該石英ガラスを加熱しつつ、加圧部により加圧することにより所望形状に成形する方法であって、前記中空部の内部に移動可能に仕切部を配置して該中空部を複数の分割中空部に区画するとともに、該複数の分割中空部のそれぞれに前記石英ガラスを収容して前記加圧部により複数の前記石英ガラスを同時に成形する石英ガラスの成形方法において、前記モールドが、前記石英ガラスより膨張係数の大きい材料からなり、互いに当接した状態で組合されて前記中空部を形成する複数の側板と、該組合された複数の側板の周囲に嵌合される嵌合手段とを備え、成形時には嵌合状態を維持するとともに、成形後の冷却時には前記モールドと前記石英ガラスとの膨張係数の相違に基づいて前記複数の側板に与えられる外方向の力により嵌合状態を解除して前記複数の側板を離間するように、前記複数の側板と前記嵌合手段との嵌合面にテーパ形状を有するものであり、前記成形時に前記複数の石英ガラスによる前記各側板に対する押圧力が所定値以下となるように、前記加圧部による最大加圧力を調整して前記複数の石英ガラスを成形することを特徴とする。
請求項に記載の石英ガラスの成形装置は、石英ガラスを収容可能な中空部を有するモールドと、前記中空部の内部に移動可能に配置された加圧部と、前記中空部に収容された前記石英ガラスを加熱する加熱手段とを備え、前記中空部内に前記石英ガラスを収容して前記加熱手段で加熱しつつ前記加圧部により加圧することにより前記石英ガラスを所望形状に成形する成形装置であって、前記中空部の内部に移動可能に仕切部を配置して該中空部を複数の分割中空部に区画するとともに、該複数の分割中空部のそれぞれに前記石英ガラスを収容して前記加圧部により複数の前記石英ガラスを同時に成形可能に構成した石英ガラスの成形装置において、前記モールドが、前記石英ガラスより膨張係数の大きい材料からなり、互いに当接した状態で組合されて前記中空部を形成する複数の側板と、該組合された複数の側板の周囲に嵌合される嵌合手段とを備え、成形時には嵌合状態を維持するとともに、成形後の冷却時には前記モールドと前記石英ガラスとの膨張係数の相違に基づいて前記複数の側板に与えられる外方向の力により嵌合状態を解除して前記複数の側板を離間するように、前記複数の側板と嵌合手段との嵌合面にテーパ形状を有するものであり、異なる成形工程において、前記成形時に前記複数の石英ガラスによる前記各側板に対する押圧力が所定値以下となるように、前記加圧部による最大加圧力を調整可能としたことを特徴とする。
請求項1又は請求項に記載の発明によれば、中空部の内部に移動可能な仕切部を配置して複数の分割中空部に区画し、その分割中空部のそれぞれに石英ガラスを収容して加圧するので、一つのモールドで複数の石英ガラスを纏めて成形することができ、複数個の石英ガラスを成形する際、別々に昇温、加圧、冷却等を行う必要がなく、これらに要する時間を短縮することができる。そのため、生産性を向上することが可能である。また、モールドの複数の側板と嵌合手段との嵌合面に、成形時には嵌合状態が維持されるとともに、成形後の冷却時には、モールドと石英ガラスとの膨張係数の相違に基づいて側板に与えられる外方向の力により嵌合状態が解除されるテーパ形状が形成されているので、冷却時にモールドが圧迫されることがなく、モールドや石英ガラスの歪や割れを防止することができる。
しかも、モールドの嵌合状態を解除できる構成にしていても、成形時の加圧部による最大加圧力を、各側板に対する押圧力が所定値以下となるように調整して成形するので、成形中に中空部の形状が変化するようなことを確実に防止することができ、石英ガラスの成形不良を防止することが可能である。
以下、この発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2はこの実施の形態の成形装置を示す。
この成形装置10は、四塩化ケイ素、シラン、有機ケイ素等のケイ素化合物を原料して製造される合成石英ガラスのインゴットやその一部、または、Ge、Ti、B、F、Al等の屈折率を変化させる成分を添加した合成石英ガラスのインゴットやその一部等の石英ガラスから、例えば、大型の液晶用マスク、半導体用マスク等のレチクル(フォトマスク)用基板、結像光学系に用いる大型のレンズ材料などのように広い面を有する板状体やその他の大型ガラスブロックの成形に用いられる。
この成形装置10では、金属製の真空チャンバー11の内壁に、全面にわたって設けられた断熱材12と、断熱材12の縦壁内に設けられた加熱手段としてのカーボンヒータ13とが設けられ、更に、真空チャンバー11内部の略中央部に中空部21を有するモールド15が収容されている。
このモールド15は、底板16及び受板17を備えた底部18と、この底部18の上部に配置された側壁部20とを備え、この側壁部20の内側に中空部21が形成されている。
側壁部20は、複数の側板19と、嵌合手段としての支持リング24とから組立てられたものである。側板19は、一方の面が中空部21の壁面を構成する内面19aとなり、他方の面が側壁部20の外表面を構成する外面19bとなる4角形状の板材である。この側板19の両側には、内面19a側に配向する傾斜側面19cを有し、上端部19d及び下端部19eには、それぞれ外面19b側に配向するテーパ形状の嵌合面19f、19gを有している。
支持リング24は、中空に形成された4角形状の枠であり、側板19の嵌合面19fと一致するテーパ形状の嵌合面24aを内側に有している。
そして、側壁部20は、傾斜側面19c同士を面接触させて当接させて4枚の側板19を四角筒状に組合わせ、この状態で4枚の側板19の周囲に支持リング24を装着して、側板19の嵌合面19fに支持リング24の嵌合面24aを嵌合させることにより形成されている。
また、底部18の底板16には、側壁部20の下端部19gを挿入可能に嵌合手段としての凹部16aが形成されている。この凹部16aには、4枚の側板19の嵌合面19gと一致するテーパ形状の嵌合面16bが形成されている。
そして、前記のように組立てられた状態の側板19の下端部19e側をこの凹部16aに挿入することにより、嵌合面19gの周囲に凹部16の嵌合面16bを嵌合させ、更に、中空部21内の下端部19g側に受板17を配置することにより、モールド15が形成されている。
モールド15の中空部21の内部には、加圧部としての天板23が上下動可能に配置されているとともに、この天板23と底部18との間に仕切部としての中板27が上下動可能に配置され、中板27の上下に複数の分割中空部21a、21bが形成されている。
天板23は、押圧面23b(上面)を、真空チャンバー11の外部に配設された成形手段としての油圧シリンダのシリンダロッド26で押圧することにより下降するように構成されている。なお、シリンダロッド26を備えた油圧シリンダは、外部から供給する油圧を調整することにより加圧されて移動するように構成されているが、詳細な図示は省略されている。
中板27は、平面視において受板17及び天板23と同一の形状を有しており、側面が中空部21の内壁面に当接した状態で摺動することにより、受板17及び天板23と平行状態を維持したまま、上下動可能に構成されている。また、側壁部20の内壁面に加圧方向に延長する溝を設け、天板23及び中板27に溝に対応した凸部を設けることにより、天板23及び中板27を受板17と平行に保ったまま上下動することができる。 これらの底板16、受板17、側板19、支持リング24、天板23、及び中板は、何れも石英ガラス25の成形時の温度及び圧力に対する耐熱性及び強度を有し、且つ、成形時に石英ガラス25と接触しても不純物を混入しにくい材料から形成されており、ここでは全て、石英ガラスの膨張係数より大きい膨張係数を有するグラファイトにより形成されている。
成形時には、このようなモールド15の中空部21に、最上部の天板23がモールドの側板19の上端を超えない高さで、塊状の石英ガラス25a、25bと中板27とが交互に積み上げられて収容される。そして、最上部の天板23をシリンダロッド26で押圧すると、分割中空部21a内の石英ガラス25aが加圧され、この石英ガラス25aを介して中板27が加圧され、更に、中板27により分割中空部21b内の石英ガラス25bが加圧されるようになっている。
更に、このモールド15では、側板19と底板16との間の嵌合面19g、16b、並びに側板19と支持リング24との間の嵌合面19f、24aが、成形時に石英ガラス25a、25bが天板23及び中板27により加圧されて変形することにより生じる側板19の外方向の力に対して、摩擦力により嵌合状態を維持できるテーパ形状となっている。
また、この嵌合面19f、24a並びに嵌合面19g、16bのテーパ形状は、成形後の冷却時に、モールド15と石英ガラス25との膨張係数の相違による収縮量の差から各側板19に支持リング24及び凹部16aに対して外方向となる力が作用した場合には、各嵌合面19f、24a間、並びに嵌合面19g、16b間が摺動して、嵌合状態が解除される形状となっている。
このようなテーパ形状は、各嵌合面の性状等により適宜傾斜角度を選択することが可能である。
次に、以上のような構成の成形装置10を用いて、複数の塊状の石英ガラス25a、25bを加熱加圧成形する方法について説明する。まず、図1に示すように、真空チャンバー11内に底板16、受板17、側板19及び支持リング24を組み合わせてモールド15を形成する。そして、モールド15の中空部21内に塊状の石英ガラス25a、25bと中板27を交互に配置し、その上部に天板23を配置し、更に、天板23の押圧面23bに油圧シリンダのシリンダロッド26の押圧部位26aを当接させてセットする。この実施の形態では、塊状の石英ガラス25a、25bとして合成石英ガラスインゴットを用いている。
そして、真空チャンバー11内を不活性ガスで置換し、カーボンヒータ13により中空部21内の塊状の石英ガラス25を加熱して成形を行う。
成形時には、各油圧シリンダのシリンダロッド26を油圧で下方へ移動させて、シリンダロッド26の押圧部位26aで天板23の押圧面23bを押圧する。これにより、天板23が底部側の加圧方向に移動し、天板23の加圧面23aにより分割中空部21a内の石英ガラス25aが加圧されるとともに、中板27を介して、分割中空部21b内の石英ガラス25bが加圧され、天板23の加圧力により複数の石英ガラス25a、25bが変形させられる。
天板23により石英ガラス25a、25bを加圧する間、複数の側板19には、石英ガラス25a、25bを介して天板23の押圧力が外方向の力として与えられる。成形の最終段階では、図4に示すように、予め設定された所定量分シリンダロッド26及び天板23が移動するとともに中板27が移動することにより、分割中空部21a、21bの体積が石英ガラス25a、25bの体積となり、内部に空隙が無くなる。このとき、複数の側板19には、石英ガラス25a、25bの接触する面積に応じて、天板23からの圧力が負荷される。
ここでは、成形初期の段階で天板23の圧力を小さくし、最終段階で最大加圧力となるようにしており、成形時の側板19に対する押圧力が、側板19と受板16との嵌合状態や側板19と支持リンク24との嵌合状態を維持できる所定値以下となるように天板23の最大加圧力を調整している。
この天板23の最大加圧力の調整は、異なる数の石英ガラスを成形したり、異なる厚さや形状の石英ガラスを成形する際においても、同様に行う必要があり、何れの成形工程であっても、側板19に対する押圧力が所定値以下に維持されるように調整する必要がある。この実施の形態では、具体的には、複数の石英ガラス25a、25bと各側板19との接触面積の増減に対応して、天板23の最大加圧力を反比例するように調整している。
例えば、一つの石英ガラス25aを初期の段階では天板23の加圧面23aの単位面積当りに換算した圧力を0.1〜0.2kg/cm程度とし、成形の最終段階では0.6〜1.0kg/cmとして成形していた場合、同じ大きさの2つの石英ガラス25a、25bを成形するには、最終段階で0.3〜0.5kg/cmとする。即ち、石英ガラス25a、25bからモールド15の側板19に荷重が与えられる接触面積が2倍であるため、天板23から加える単位面積あたりの圧力を半分にすることにより、側板19全体に負荷される圧力を同じにしている。
このような調整により、側板19全体が石英ガラス25a、25bより受ける圧力を所定値以下にして、側板19と支持リンク24及び底板16の凹部16aとの嵌合部分に負荷される力を所定の力以下にすることができる。そのため、嵌合状態を維持して側板19の上昇を防いで、中空部21の形状を保つことが可能となり、複数個を成形する場合であっても、成形不良を防止することが可能となるのである。
次に、このようにして所定形状に成形された石英ガラス25a、25bを冷却する。この成形直後の石英ガラス25a、25bはモールド15の中空部21の内壁に密着した状態で配置されており、この状態から温度が低下すると、温度変化に応じた石英ガラス25及びモールド15とが熱収縮を起こす。このときの収縮量はそれぞれの膨張係数に応じたものとなるため、モールド15の収縮量が石英ガラス25より大きくなる。
そのため、枠状の支持リング24が収縮すると、その内周の嵌合面24aに当接する側板19の上端部19dの嵌合面19fを内側に圧迫する。しかし、石英ガラス25の収縮が少ないため、側板19の上端部19dは内側に移動できず、その結果、支持リング24に側板19から外方向の力が負荷される。これにより、側板19の嵌合面19fと支持リング24の嵌合面24aとの嵌合状態が解除されて、支持リング24が側板19から上側の抜け方向に移動する。
以上のようにして石英ガラス25a、25bを成形すれば、中空部21の内部に移動可能に中板27を配置して複数の分割中空部21a、21bに区画し、その分割中空部21a、21bのそれぞれに石英ガラス25a、25bを収容して加圧することにより複数個を同時に成形するので、複数の石英ガラス25a、25bの昇温及び冷却の作業を纏めて行うことができるとともに、天板23により纏めて加圧することができ、生産性を向上することが可能である。
また、モールド15が、互いに当接した状態で組合されて中空部21を形成する複数の側板19と、この複数の側板19の外側に嵌合する底板16の凹部16aまたは支持リング24とを有し、これらが成形時に嵌合状態を維持するとともに、成形後の冷却時に嵌合状態を解除できるように構成されているため、成形時には、中空部21の形状を維持して、成形することが容易であり、成形後の冷却時には、複数の側板19が離間されて応力を解放することができ、モールド15や石英ガラス25a、25bの歪や割れなどを抑制することができる。
同時に、モールド15のサイズと、側板の自重と、成形後の石英ガラス25a、25bの厚さから、側板19が上昇しない圧力を算出することができるため、成形圧力の設定が容易であり、意図しないモールド15の嵌合状態の解除を無くして生産性を向上することができる。
なお、上記の実施の形態では、板状の石英ガラス25a、25bを成形する例について説明したが、板状体以外の成形体であっても、この発明は適宜適用可能である。
また、上記では、2つの石英ガラス25a、25bを成形する例について説明したが、仕切板27を複数用いることにより分割中空部を3個以上設けて、3個以上の石英ガラスを成形することも可能である。その場合、天板23の加圧力を側板19と石英ガラス25a、25bとの接触面積の増加分に反比例するように少なくすれば、モールド15の中空部21の形状を維持して、成形を行うことが可能である。
更に、上記では、天板23を1本の油圧シリンダのシリンダロッド26で押圧する例について説明したが、複数のシリンダロッド26を用いて天板23を押圧してもよく、更に、油圧シリンダでなく、他の機械的な成形手段を用いることも可能である。
また、上記では、結晶化温度以上軟化点温度以下の温度で成形する例について説明したが、石英ガラス25a、25bの結晶化温度以上で成形すればよく、例えば軟化点より高い温度であってもよい。
[実施例1]
図1に示すような成形装置10を用い、四塩化ケイ素を原料として直接法により製造された直径400mm、長さ216.5mm、重さ59.8kgの2つの合成石英インゴットの成形を行った。このインゴットを500mm×590mmの四方形状を有する四つ割のグラファイト製モールド15に入れ、成形装置10にセットした。インゴットの下面に厚さ30mmの底板16を置き、インゴット25aの上面に厚さ30mmの中板27を置いた。そして、2つ目のインゴット25bを中板27の上に置き、その上面に中板27と同形の30mmの天板23を置いた。更に、天板23にシリンダロッド26を配置した。
この後、真空ポンプにて、真空チャンバー11内の圧力を2Pa程度まで減圧し、純粋な窒素ガスを常圧まで充填させた。
そして、昇温を開始し、2.5時間で1605℃まで昇温させ、30分保持した。
その後、シリンダロッド26により、初期荷重0.5ton、最大荷重1.25tonにて天板23を押圧し、インゴットの成形を行った。シリンダロッド26の変位ストロークが最上部の天板23より下側の中空部21aと21bに空隙が無くなる計算上の位置に達したところで加圧を終了し、カーボンヒータ13での加熱を停止し、室温まで炉冷した。
この後、モールド15を成形装置10から搬出・解体し、成形品を取り出した。モールド15の嵌合構造により若干側板の上昇が見られたが、成形品を観察したところ、四隅に割れは確認できず、上下の石英ガラスの形状に違いはなかった。
成形品は500mm×590mmで、1枚あたりの石英ガラスの高さは92.25mmの板状体が2ヶ採取できた。
この実施例では、2枚の石英ガラスを成形しており、後述する参考例に比べて石英ガラス25a、25bと側板19との接触面積は2倍となっているが、成形時の天板23からの荷重を半分程度に設定しているため、各側板19全体に負荷される荷重は参考例と同様の値となっている。そのため、成形時には、モールド15の中空部21の形状を確実に維持して成形することができた。
[参考例]
実施例と同一の成形装置10を用い、直径400mm、長さ216.5mm、重さ59.8kgの、四塩化ケイ素を原料として直接法により製造された1つの合成石英インゴットの成形を行った。この成形では、500mm×590mmの四方形状を有する四つ割のグラファイト製モールド15に入れ、底板16、石英ガラス25、天板23を置いた。更に天板23にシリンダロッド26を配置した。
昇温後の保持時間は20分とし、初期荷重は1.20ton、最大荷重2.50tonで成形した。その他の運転は実施例1と同様の条件で行った。
この後、モールド15を成形装置10から搬出して、成形品を取り出した。成形品は500mm×590mm、高さ92.25mmの板状体の石英ガラスが採取できた。
成形品を観察したところ、四隅に割れや20mm/cm以上の大きな歪は確認できなかった。この成形品からは有効角材として最大460mm×550mm、厚さ92.25mmの板状体が採取できた。
この発明の実施の形態の成形装置の概略縦断面図である。 同実施の形態の成形装置に用いられるモールドの概略縦断面図である。 同実施の形態の成形装置の側壁部の横端面図である。 同実施の形態の成形装置の成形後の状態を示す概略縦断面図である。
符号の説明
10 成形装置
11 真空チャンバー
12 断熱材
13 カーボンヒータ
15 モールド
16 底板
17 受板
18 底部
19 側板
20 側壁部
21 中空部
23 天板(加圧部)
24 支持リング(嵌合手段
25 石英ガラス
26 シリンダロッド(成形手段)
27 中板(仕切部)

Claims (2)

  1. モールドの中空部内に石英ガラスを収容し、該石英ガラスを加熱しつつ、加圧部により加圧することにより所望形状に成形する方法であって、
    前記中空部の内部に移動可能に仕切部を配置して該中空部を複数の分割中空部に区画するとともに、該複数の分割中空部のそれぞれに前記石英ガラスを収容して前記加圧部により複数の前記石英ガラスを同時に成形する石英ガラスの成形方法において、
    前記モールドが、前記石英ガラスより膨張係数の大きい材料からなり、互いに当接した状態で組合されて前記中空部を形成する複数の側板と、該組合された複数の側板の周囲に嵌合される嵌合手段とを備え、成形時には嵌合状態を維持するとともに、成形後の冷却時には前記モールドと前記石英ガラスとの膨張係数の相違に基づいて前記複数の側板に与えられる外方向の力により嵌合状態を解除して前記複数の側板を離間するように、前記複数の側板と前記嵌合手段との嵌合面にテーパ形状を有するものであり、
    前記成形時に前記複数の石英ガラスによる前記各側板に対する押圧力が所定値以下となるように、前記加圧部による最大加圧力を調整して前記複数の石英ガラスを成形することを特徴とする石英ガラスの成形方法。
  2. 石英ガラスを収容可能な中空部を有するモールドと、前記中空部の内部に移動可能に配置された加圧部と、前記中空部に収容された前記石英ガラスを加熱する加熱手段とを備え、前記中空部内に前記石英ガラスを収容して前記加熱手段で加熱しつつ前記加圧部により加圧することにより前記石英ガラスを所望形状に成形する成形装置であって、
    前記中空部の内部に移動可能に仕切部を配置して該中空部を複数の分割中空部に区画するとともに、該複数の分割中空部のそれぞれに前記石英ガラスを収容して前記加圧部により複数の前記石英ガラスを同時に成形可能に構成した石英ガラスの成形装置において、
    前記モールドが、前記石英ガラスより膨張係数の大きい材料からなり、互いに当接した状態で組合されて前記中空部を形成する複数の側板と、該組合された複数の側板の周囲に嵌合される嵌合手段とを備え、成形時には嵌合状態を維持するとともに、成形後の冷却時には前記モールドと前記石英ガラスとの膨張係数の相違に基づいて前記複数の側板に与えられる外方向の力により嵌合状態を解除して前記複数の側板を離間するように、前記複数の側板と嵌合手段との嵌合面にテーパ形状を有するものであり、
    異なる成形工程において、前記成形時に前記複数の石英ガラスによる前記各側板に対する押圧力が所定値以下となるように、前記加圧部による最大加圧力を調整可能としたことを特徴とする石英ガラスの成形装置
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