JP4288413B2 - 石英ガラスの成形方法及び成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モールド内に石英ガラスを収容して加熱しつつ、加圧して均質な石英ガラスを所定形状に成形するための成形方法及び成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の集積回路パターン転写には、主に投影露光装置(または、光リソグラフィ装置)が用いられる。この装置に用いられる投影光学系には、集積回路の高集積化に伴い、広い露光領域と、その露光領域全体にわたって、より高い解像力が要求される。投影光学系の解像力の向上については、露光波長をより短くするか、あるいは、投影光学系の開口数(NA)を大きくすることが行われる。
【0003】
露光波長については、g線(436nm)からi線(365nm)、KrF(248nm)やArF(193nm)エキシマレーザーへと短波長化が進められている。また、更に高集積化を進めるに当たって、現在、F2(157nm)エキシマレーザ,X線,電子線を光源に用いる方法が検討されている。この中で、これまでの設計思想を生かして作製することが可能なF2エキシマレーザを用いた縮小投影露光装置がにわかに脚光を浴びてきている。
【0004】
一般に、i線より長波長の光源を用いた縮小投影露光装置の照明光学系あるいは投影光学系のレンズ部材として用いられる光学ガラスは、i線よりも短い波長領域では光透過率が急激に低下し、特に250nm以下の波長領域ではほとんどの光学ガラスでは透過しなくなる。そのため、エキシマレーザを光源とした縮小投影露光装置の光学系を構成するレンズの材料には、石英ガラスとフッ化カルシウム結晶のみが使用可能である。この2つの材料はエキシマレーザの結像光学系で色収差補正を行う上で不可欠な材料である。
【0005】
縮小投影露光装置でウェハー上に回路を焼き付けるためのもう一つの重要な要素としてレチクルが挙げられる。このレチクルに用いられる材料としては、エキシマレーザ耐久性はもとより、基板の発熱による熱膨張が大きな問題になるため、耐久性が良好でなおかつ熱膨張係数の小さい、直接法と呼ばれる方法(火炎加水分解により透明石英ガラスを製造する方法)で合成された石英ガラスが用いられている。
【0006】
直接法では、石英ガラス製バーナにて支燃性ガス(酸素含有ガス、例えば酸素ガス)及び可燃性ガス(水素含有ガス、例えば水素ガスあるいは天然ガス)を混合・燃焼させ、前記バーナの中心部から原料ガスとして高純度のケイ素化合物(例えば四塩化ケイ素ガス)をキャリアガス(通常酸素ガス)で希釈して噴出させ、前記原料ガスを周囲の前記酸素ガス及び水素ガスの燃焼により反応(加水分解反応)させて石英ガラス微粒子を発生させ、その前記石英ガラス微粒子を、前記バーナ下方に配置され、回転および揺動および引き下げ運動を行う不透明石英ガラス板からなるターゲット上に堆積させ、同時に前記酸素ガス及び水素ガスの燃焼熱により溶融・ガラス化して石英ガラスインゴットを得ている。
【0007】
この方法によると、比較的大きな径の石英ガラスインゴットを得易いため、インゴットからブロックを切り出して所望の形状,大きさの光学部材を製造することができる。
【0008】
また、近年、大型のレンズやレチクル、或いは大型の液晶ディスプレイ等、広い面積の面を有する光学部材を得るため、予め形成されたインゴット等の石英ガラス塊を加熱加圧成形することにより扁平形状にして面積を拡大する成形方法が利用されている。
【0009】
この成形方法では、石英ガラス塊をモールド内に収容して加熱した状態で、加圧板により加圧することにより成形を行い、その後モールド内で徐冷したり、更にアニール処理を行い、1対向面の面積が拡大された所定形状の成形体を得ることができる。
【0010】
このような加熱加圧成形を行うものとして、例えば、グラファイト製のモールド内で、絶対圧が 0.1Torr以上大気圧以下へのヘリウムガス雰囲気下に、1700℃以上の温度に加熱加圧成形し、ついで1100〜1300℃まで急冷する方法が知られている。また、石英ガラスとモールドの型材との熱膨張率差に起因する応力を緩和する構造を有するグラファイト製のモールドを用いて1600℃〜1700℃で加圧成形する方法(下記、特許文献1参照。)や、そのグラファイト製のモールドが2分割以上の縦型構造である成型装置が提案されている(下記、特許文献2及び3参照。)。更には、黒鉛製のモールド内面に石英粉末からなる被覆層を設けて、1550℃〜1700℃で加圧成形する方法(下記、特許文献4参照。)も知られている。
【0011】
【特許文献1】
特公平4−54626号公報。
【0012】
【特許文献2】
特開昭56−129621号公報。
【0013】
【特許文献3】
特開昭57−67031号公報。
【0014】
【特許文献4】
特開2002−22020号公報。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の加熱加圧成形では、均一に加熱可能なヒータで所定温度に加熱されたチャンバー内に、石英ガラス塊を収容したモールドを所定時間保持して石英ガラスを成形可能温度に昇温していた。そのため、円柱状或いは角柱状の石英ガラス塊を長手方向に加圧して成形する場合、石英ガラス塊の略全体が一様に成形可能温度に昇温されて軟化されているため、加圧途中で石英ガラス塊が中間部分や下部で変形して折れる現象、所謂、座屈を生じることがあった。
【0016】
ところが、座屈を生じて、石英ガラス塊の中間部分や下部から成形されると、座屈部分は境界面となって多数の気泡が発生し、また得られる石英ガラスの残留歪が大きくなり、光学的に不均質になり易いことが明らかになった。
【0017】
特に、昨今の大面積を一括露光するために要求される大型のレンズ、ミラー、レチクル等の光学部材を形成する場合には、より大きな石英ガラス塊を用いて、大型の成形装置のチャンバー内でより長時間加熱しなければならず、更に座屈が生じ易く、光学的に不均質になり易かった。
【0018】
そこで、この発明では、石英ガラス塊を加熱加圧成形する際、座屈などの成形異常を抑制して、残留歪の少ない均質な石英ガラスを成形することができる成形方法及び成形装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、石英ガラス塊をモールド内に収容して加熱し、加圧部を移動させることにより、前記石英ガラス塊を対向部との間で加圧して所定形状に成形する方法において、前記石英ガラス塊の温度分布を、前記加圧部側が前記対向部側より高温となるように制御した状態で、前記加圧部により加圧することを特徴とする。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、前記石英ガラス塊の温度分布の幅が、5℃以上50℃以下であることを特徴とする。
【0021】
更に、請求項3に記載の発明は、石英ガラス塊を収容可能な中空部を有するモールドと、前記中空部に移動可能に配置された加圧部と、前記中空部に収容された前記石英ガラス塊を加熱する加熱手段とを備え、前記石英ガラス塊を前記加熱手段で加熱しつつ、前記加圧部を前記底部側に移動させることにより、該石英ガラス塊を加圧して所定形状に成形する装置であって、前記加熱手段が、前記石英ガラス塊の前記加圧部側を前記モールドの底部側より高温となるように加熱するものであることを特徴とする。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記加熱手段は、前記モールドの側面側に配置され、前記加圧部側と前記底部側とで発熱量を独立して調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
更に、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の構成に加え、前記加熱手段は、前記モールドの底面側に配置されて、前記石英ガラス塊の底面部を加熱する底部ヒータを有することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
【0025】
図1はこの実施の形態の成形装置を示す。
【0026】
この成形装置10は、四塩化ケイ素、シラン、有機ケイ素等のケイ素化合物を原料として製造される合成石英ガラスのインゴットやその一部、または、Ge、Ti、B、F、Al等の屈折率を変化させる成分を添加した合成石英ガラスのインゴットやその一部等の石英ガラス塊から、例えば、大型の液晶用マスク、半導体用マスク等のレチクル(フォトマスク)用基板、結像光学系の大型のレンズ材料などのように広い面を有する板状体やその他の大型ガラスブロックを成形するための装置である。
【0027】
この成形装置10では、金属製の真空チャンバー11の内壁に、全面にわたって設けられた断熱材12と、断熱材12の縦壁内に設けられた加熱手段としての複数のカーボンヒータ13a、13bとが設けられ、更に、真空チャンバー11内部の略中央部に中空部21を有するモールド15が収容されている。ここでは、カーボンヒータ13a、13bはそれぞれ独立して発熱量を調整可能に構成されており、モールド15の側面側の全周囲に上下に並べて配置されている。
【0028】
モールド15は、底板16及び受板17を備えた底部18と、底部18の上部に筒状に形成された側壁部20とを備え、この筒状の側壁部20と底部18とにより中空部21が形成されている。
【0029】
この中空部21には、中空部21の形状に対応する形状の加圧部としての天板23が配置され、天板23の押圧面23b(上面)を、真空チャンバー11の外部に配設された成形手段としての油圧シリンダのシリンダロッド26で押圧することにより、対向面としてのモールド15の底部18側に移動可能となっている。
【0030】
なお、このシリンダロッド26を備えた油圧シリンダは、外部から供給する油圧を調整することにより加圧されて移動するように構成されているが、詳細な図示は省略されている。
【0031】
これらのモールド15及び天板23は、塊状の石英ガラス25の成形時の温度及び圧力に対する耐熱性及び強度を有し、且つ、成形時に塊状の石英ガラス25と接触しても不純物を混入し難い材料から形成されており、ここでは全てグラファイトにより形成されている。
【0032】
次に、以上のような構成の成形装置10を用いて、この実施の形態の方法により、塊状の石英ガラス25を成形する場合について説明する。まず、真空チャンバー11内に底板16、受板17、側壁部20を組合わせてモールド15を形成する。そして、モールド15の中空部21内に塊状の石英ガラス25を配置する。この実施の形態では、塊状の石英ガラス25として合成石英ガラスインゴットを用いており、リードタイムの短縮化のために、モールド15の中空部21に収容する前に、予め300℃未満の温度で余熱したものを用いるのが好ましい。
【0033】
そして、中空部21内に収容した塊状の石英ガラス25の上部に天板23を配置し、更に、天板23の押圧面23bに油圧シリンダのシリンダロッド26の押圧部位26aを当接させてセットする。そして、真空チャンバー11内を不活性ガスで置換し、真空チャンバー11内を圧力を、例えば1×104Pa〜1×105Paとする。
【0034】
次に、カーボンヒータ13a、13bにより、モールド15及びその中空部21に収容された塊状の石英ガラス25を加熱する。この加熱時には、まず、カーボンヒータ13a、13bを発熱させて、真空チャンバー11内を500〜1000℃/hrの昇温速度で昇温する。そして、モールド15の上部側、即ち、天板23側のカーボンヒータ13aの発熱量を増加させて、塊状の石英ガラス25の天板23側(即ち、上部)の温度が受板17側(即ち、下部)よりも高くなるように、カーボンヒータ13a、13bの発熱量を制御する。
【0035】
この状態で、塊状の石英ガラス25の内部まで十分に加熱される程度の時間、例えば15〜45分間保持することにより、塊状の石英ガラス25の温度分布の幅、即ち、天板23側の頂部25aとモールド15の底部18側の底面部25bとの温度差を5℃以上50℃以下とすることができる。ここでは、塊状の石英ガラス25の温度分布が5℃未満であると、十分な座屈抑制効果が小さくなり、一方、50℃より高いと、十分な座屈抑制効果は得られるものの、石英ガラス25の加圧方向の温度勾配が大き過ぎるため、石英ガラス25の加圧変形が狭い範囲で起こり、その結果、加圧変形に要する時間が長くなり、種々の不具合が生じる。例えば、不純物による汚染が大きくなり、また、一回の成形に要するサイクルタイムが長くなることによって生産効率が低下し、更に屈折率の均質性が低下する。
【0036】
更に、この成形に際しては、塊状の石英ガラス25の全体の温度を、結晶化温度以上軟化点以下、具体的には1570℃〜1670℃の成形温度に昇温するのが好ましいが、成形の開始段階で、塊状の石英ガラス25の頂部25a付近を加圧する時点では、少なくとも頂部25a側が、成形温度に到達していればよい。
【0037】
そして、このように塊状の石英ガラス25を加熱した状態で、油圧シリンダへの油圧を制御調整することにより、シリンダロッド26を下方へ移動させて、シリンダロッド26の押圧部位26aで天板23の押圧面23bを押圧する。これにより、天板23がモールド15の底部18側の加圧方向へ移動し、天板23の加圧面23aの底部18との間で塊状の石英ガラス25が加圧される。
【0038】
すると、石英ガラス25は頂部25a側が底面部25b側より高温となっているため、頂部25a側が底面部25b側より変形し易く、天板23の加圧面23aにより加圧されると、頂部25a側から順次変形されることになる。
【0039】
このとき、天板23の下降速度を、例えば5〜15cm/minとすることにより、より頂部25a側から変形させ易くできる。
【0040】
また、成形時に天板23から加える圧力は、成形初期の段階で天板23の圧力を小さくし、最終段階で最大加圧力となるようにするのが好ましく、例えば、初期の段階では天板23の加圧面23aの単位面積当りに換算した圧力を0.3〜1.5Kg/cm2とし、成形の最終段階では1.0〜5.0Kg/cm2とすることができる。このような範囲とすることによっても、頂部25a側から変形させ易くできる。
【0041】
そして、石英ガラス25が所定形状の板状体に成形された段階で、天板23による加圧を終了する。その後、板状に成形された石英ガラス25を、モールド15内に配置した状態のままで冷却し、真空チャンバ11から成形体を取り出すことにより成形が完了する。
【0042】
以上のようにして、塊状の石英ガラス25を成形すれば、モールド15の中空部21に収容された塊状の石英ガラス25を、天板13側の頂部25aをモールド15の底部18側より高温となるようにカーボンヒータ13a、13bで加熱するので、塊状の石英ガラス25の天板23側が底部18側より成形され易く、成形時に天板23で塊状の石英ガラス25を加圧すると、天板23側から順に成形することができる。そのため、成形途中に中空部21内の塊状の石英ガラス25が座屈を生じにくく、得られる板状の石英ガラス25の残留歪みを抑えることができ、均質な板状体が得られる。
【0043】
また、ここでは、発熱量を独立して調整可能なカーボンヒータ13a、13bを、モールド15の側面側加圧方向に並べて配置したので、モールド15の中空部21内に収容された塊状の石英ガラス25を、加圧方向に温度分布を形成するように加熱し易い。
【0044】
なお、上記実施の形態1では、結晶化温度以上軟化点温度以下の温度で成形する例について説明したが、成形温度は石英ガラス25の結晶化温度以上であればよく、例えば一部を軟化点より高い温度にして成形することも可能である。
【0045】
また、上記では、加熱手段として、発熱量が異なる2つのカーボンヒータ13a、13bを用いた例を示したが、3つ以上のヒータを配置することも可能である。また、1つのヒータをモールド15の側面に配置し、部分的に発熱量を異ならせたり、1つの発熱量が均一なヒータを用いて、底面部25b側を遮蔽板等で遮蔽することにより加熱量を異ならせることも可能である。
【0046】
[実施の形態2]
実施の形態2の成形装置では、図2に示すように、断熱材12の縦壁内に、モールド15の天板23側の側面に配置されたカーボンヒータ13と、モールド15の底部18にリング形状に埋設されて塊状の石英ガラス25の底面部25bを加熱する底部ヒータ27とが設けられている。その他は、実施の形態の1と同様に構成されている。
【0047】
このような成形装置10であっても、カーボンヒータ13と底部ヒータ27との発熱量を調整することにより、塊状の石英ガラス15の頂部25a側を底面部25b側より高温となるように加熱することができ、成形途中の塊状の石英ガラス25に座屈が生じることを抑制できる。
【0048】
しかも、このように石英ガラス25の底面部25bを加熱する底部ヒータ27を備えると、塊状の石英ガラス25の内部を加熱し易く、加圧方向と直交する断面が大きい塊状の石英ガラス25であっても、内部まで加熱し易く、成形を容易にすることができる。
【0049】
なお、この実施の形態2では、モールド15の側面側に配置されたカーボンヒータ13は全面で均一に発熱量が得られるものを用いたが、図1のように、モールド15の側面側に複数のカーボンヒータを配置することも可能である。
【0050】
【実施例】
以下、実施例について説明する。
【0051】
実施例1
図1に示すような成形装置を用い、直径50cmで高さが70cmの合成石英ガラスインゴットからなる塊状の石英ガラス25から、一辺が100cmの正方形形状で厚さが13.7cmの板状の石英ガラス25を成形した。
【0052】
この成形では、真空ポンプにて、真空チャンバー11内の圧力を0.67Paまで減圧した後、純粋な窒素ガスを圧力10kPaまで充填させた後、400℃/hrの昇温速度で、塊状の石英ガラス25の頂部25aに相当する部分のモールド15の温度が1640℃、底面部25bに相当する部分のモールド15の温度が1620℃で、分布の幅が20℃となるように制御して昇温し、その後、40分間保持した。
【0053】
このとき、モールド15の温度は二色温度計により測定した。
【0054】
その後、シリンダロッド26により、初期荷重を5ton、プレス速度を1mm/secにて天板23を押圧し、インゴットの成形を行った。プレス荷重が25tonとなった時点で加圧を終了し、冷却した。
【0055】
得られた板状体を直交クロスニコル法により歪を観察したところ、成形途中の座屈に起因するような歪は見られなかった。
【0056】
実施例2
図2に示すような成形装置を用い、頂部25aに相当する部分のモールド15の温度が1650℃、底面部25bに相当する部分のモールド15の温度が1600℃で、分布の幅が50℃となるように昇温した他は、実施例1と同様にして板状体の石英ガラス25を成形した。
【0057】
得られた板状体を直交クロスニコル法により歪を観察したところ、成形途中の座屈に起因するような歪は見られなかった。
【0058】
実施例3
頂部25aに相当する部分のモールド15の温度を1650℃、底面部25bに相当する部分のモールド15の温度を1550℃、分布の幅を100℃とした他は、実施例1と同様にして板状体の石英ガラス25を成形した。
【0059】
得られた板状体のを直交クロスニコル法により歪を観察したところ、成形途中の座屈に起因するような歪は確認できなかったものの、成形前に比べて若干の不純物の混入が認められた。また、屈折率の均質性の悪化が認められた。
【0060】
比較例1
カーボンヒータ13a及び13bに相当する大きさの1つのカーボンヒータを装着している他は、図1と同一の成形装置を用い、カーボンヒータを均一に発熱させることにより昇温する他は、実施例1と同じ手順で板状体の石英ガラスを成形した。この成形時には、頂部25aに相当する部分のモールド15の温度が1670℃、底面部25bに相当する部分のモールド15の温度が1667℃で、分布の幅は3℃となっていた。
【0061】
得られた板状体を直交クロスニコル法により歪を観察したところ、成形途中の座屈に起因するスジ状の歪が確認できた。また、そのスジ状の歪発生部位付近に多数の気泡が面状に連なり発生していた。この部位が座屈部と推測される。
【0062】
比較例2
頂部25a及び底面部25bに相当する部分のモールド15の温度を共に1630℃とした他は、実施例1と同様にして板状体の石英ガラスを成形した。
【0063】
得られた板状体を直交クロスニコル法により歪を観察したところ、成形途中の座屈に起因する スジ状の歪が確認できた。また、そのスジ状の歪発生部位付近に上記の比較例1と同様に面状に連なった多数の気泡が発生していた。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述の通り、請求項1に記載の発明によれば、石英ガラス塊の温度分布を、加圧部側が対向部側より高温となるように調整して加圧するので、石英ガラス塊の加圧部側が対向部側より成形され易くて、加圧時に加圧部側から順に成形することが可能となる。そのため、成形途中で石英ガラス塊の座屈が生じ難く、残留歪みを抑えて均質に石英ガラスを成形し易い。
【0065】
更に、請求項2に記載の発明によれば、石英ガラス塊の温度分布の幅が5℃以上50℃以下であるので、成形途中に座屈が生じることをより確実に抑制することができる。
【0066】
また、請求項3に記載の発明によれば、モールドの中空部に収容された石英ガラス塊を加熱する加熱手段が、石英ガラス塊の加圧部側を底部側より高温となるように加熱するものであるので、成形時に加圧部をモールドの底部側に移動させて石英ガラス塊を加圧すると、加圧部側から順に成形することが可能である。そのため、成形途中にモールドの中空部内で石英ガラス塊が座屈を生じにくく、所定形状に成形した石英ガラスの残留歪みを抑えて、均質に成形体を成形し易い。
【0067】
更に、請求項4に記載の発明によれば、加熱手段がモールドの側面側に配置され、加圧部側と前記底部側とで発熱量を独立して調整可能に構成されているので、モールドの中空部内に収容された石英ガラス塊の温度を調整し易い。
【0068】
また、請求項5に記載の発明によれば、モールドの底面側に配置されて、石英ガラス塊の底面部を加熱する底部ヒータを有しているので、石英ガラス塊の内部まで加熱し易く、加圧方向と直交する断面が大きい石英ガラス塊の場合であっても、内部まで加熱できて成形がより容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の成形装置の一部を示す概略縦断面図である。
【図2】この発明の実施の形態2の成形装置の一部を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
10 成形装置
11 真空チャンバ
13、13a、13b カーボンヒータ
15 モールド
18 底部
20 側壁部
21 中空部
23 天板(加圧板)
25 石英ガラス塊
26 シリンダロッド(成形手段)
27 底部ヒータ
Claims (5)
- 石英ガラス塊をモールド内に収容して加熱し、加圧部を移動させることにより、前記石英ガラス塊を対向部との間で加圧して所定形状に成形する方法において、
前記石英ガラス塊の温度分布を、前記加圧部側が前記対向部側より高温となるように制御した状態で、前記加圧部により加圧することを特徴とする石英ガラスの成形方法。 - 前記石英ガラス塊の温度分布の幅が、5℃以上50℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の石英ガラスの成形方法。
- 石英ガラス塊を収容可能な中空部を有するモールドと、前記中空部に移動可能に配置された加圧部と、前記中空部に収容された前記石英ガラス塊を加熱する加熱手段とを備え、前記石英ガラス塊を前記加熱手段で加熱しつつ、前記加圧部を前記モールドの底部側に移動させることにより、該石英ガラス塊を加圧して所定形状に成形する装置であって、
前記加熱手段が、前記石英ガラス塊の前記加圧部側を前記底部側より高温となるように加熱するものであることを特徴とする石英ガラスの成形装置。 - 前記加熱手段は、前記モールドの側面側に配置され、前記加圧部側と前記底部側とで発熱量を独立して調整可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の石英ガラスの成形装置。
- 前記加熱手段は、前記モールドの底面側に配置されて、前記石英ガラス塊の底面部を加熱する底部ヒータを有することを特徴とする請求項3又は4に記載の石英ガラスの成形装置。
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