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JP3778250B2 - 石英ガラスの成形方法 - Google Patents

石英ガラスの成形方法 Download PDF

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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石英ガラスを成形するに際し、泡の巻き込みを少なくして所望の形状に成形することが可能な石英ガラスの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
石英ガラスは、半導体用フォトマスクや光学系におけるレンズ、ミラー等の光学部品の材料として、欠くことのできない重要な素材である。また、求められる光透過率や耐熱性等から高純度な石英ガラスが求められ、ガラス原料の純化や大がかりな製造装置のため、成形時に得られる石英ガラスの歩留まりは当然のごとく重要である。
【0003】
実際に求められる成形形状は、その後の工程において得られるフォトマスク、レンズ、ウェハーの形状に合わせて、角棒状又は円柱状に成形されるため、そのガラスインゴットの上部又は下部も平坦に成形されるか否かによって、歩留まりが直接的に大きく関与するものである。従って、成形に際しては、型に則して各コーナーまで溶融成形されなければ、マスク、レンズ又はウェハーの形状にスライスされるとき、ガラスインゴット上下部が所望の形状にならず、歩留まりを下げることになる。
【0004】
石英ガラスの成形方法としては、石英ガラスを作業点以上の温度に加熱し、一旦溶融させて所望の形状に成形するが、大気中では使用する炭素又は黒鉛の型材や炉内のカーボンヒーター等が酸化燃焼してしまうため、真空又は減圧にして不活性ガスの封入を行うことが一般的である。また、型内の形状に沿って正確に成形されなければならず、加熱だけではなく、加圧する方法も知られている(特開昭56−129621号公報)。
【0005】
しかし、従来の方法では、ガラス表面と型又はその間に入れる黒鉛又はカーボン製のシートの間にガスが残留し、結果としてガラス形状が型内の形状に沿った所望の形状にならない場合があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、泡の巻き込みを少なく、かつ所望の形状に成形することができる石英ガラスの成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、成形された石英ガラス外周又はコーナー部付近が所望の形状にならないのは、成形の際に型内壁又はカーボン等のシート、繊維、粉といった介在物と石英ガラス表面との間の残留ガスが原因であることを見出した。そして、この残留ガスを排出すべく、黒鉛又は炭素製の型に必要によりその内側に通気性を有するカーボン又は黒鉛のシート等の介在物を装着し、その中に石英ガラスを入れて成形する場合において、型の内面全面に溝を施すことにより、泡の巻き込みを少なく、かつ所望の形状に成形することができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は、下記の石英ガラスの成形方法を提供する。
請求項1:
筒状体の上下端部を閉塞してそれぞれ天板及び底板が設けられた黒鉛又は炭素製の型内で石英ガラスを加熱、溶融して成形するに際し、上記筒状体の内周面全面に上下方向に沿って上端から下端に連続して深さ0.5〜10mm、幅1〜3mmの溝を複数本形成すると共に、上記天板及び底板の内面にそれぞれ深さ0.5〜10mm、幅1〜3mmの溝を一端から他端まで連続して放射状、格子状又は互いにほぼ平行して複数本形成した型を用い、上記成形時に型内の残留ガスを上記溝より外部に排出するようにしたことを特徴とする石英ガラスの成形方法。
請求項
互いにほぼ平行する複数本の溝間の間隙が30mm以下となるように溝を形成した請求項記載の成形方法。
請求項
1400℃以上からの昇温速度が20℃/分以下である請求項1又は2記載の成形方法。
請求項
天板が上下方向移動可能に配設され、この天板を介して型内に仕込まれる石英ガラスにこの石英ガラスの重量の2倍以下の荷重を負荷して成形するようにした請求項1乃至のいずれか1項記載の成形方法。
請求項
型内面と石英ガラスとの間に通気性を有する介在物を介在して成形を行うようにした請求項1乃至のいずれか1項記載の成形方法。
【0009】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の石英ガラスの成形方法は、円筒状、四角筒状等の筒状体の上下端部を閉塞して、それぞれ天板及び底板が設けられた黒鉛又は炭素製の型を用いて行う。
【0010】
この場合、本発明においては、上記筒状体の内周面全面、天板及び底板の内面にそれぞれ複数本の溝を形成した型を使用することを特徴とするものである。
【0011】
図1は、本発明に用いる型1の一例を示すものであり、この例にあっては、四角筒状体2の上下端部を閉塞して天板3及び底板4が配設された四角箱型形状を有するものであるが、本発明の型はこれに制限されるものではない。
【0012】
また、上記筒状体2の内周面(各側板2aの内面)並びに天板3の内面及び底板4の内面には、それぞれ複数本の溝5が形成されている。
【0013】
このように、本発明に用いられる型は、その内面全面に溝5を形成したものであり、型内面に溝が設けられていない場合、あるいは筒状体内面のみ又は天板、底板の内面のみに溝を設け、他の内面に溝を設けない等、溝が全面に形成されていない場合には、ガラス表面と型又はその間に入れる黒鉛又はカーボン製のシート等の介在物との間にガスが残留し、型内の形状に正確に即して成形されず、泡となってガラス外周部に残ることがある。
【0014】
また、溝の形成態様は、放射状、格子状、縦横又は斜めのいずれか一方向などいずれであってもよく、また型の内面全面が同一の形成態様であっても異なっていてもよく、更には筒状体の内周面において(即ち、側板同士)異なった形成態様であってもよいが、残留ガスが上下面に対しては放射状に、筒状体内周面(側面)に対しては上下方向から抜けると考えられるため、天板、底板(上下面)に対しては放射状、格子状、縦横又は斜めのいずれか一方向、筒状体内周面(側面)に対しては縦方向であることが好ましい。
【0015】
図1の例にあっては、筒状体2(各側板2a)に上下方向に沿って溝5が設けられており、天板3、底板4にはそれぞれ格子状の溝5が設けられている。この場合、図示したように、各溝5は、一端から他端まで連続した状態で形成することが好ましく、また、筒状体2の溝と天板3、底板4の溝とは互いにその端部において連通するように形成することが残留ガスの抜けの点から好ましい。
【0016】
なお、上記型1は、図示したように、固定用土台治具6上に載置され、型1内に石英ガラスインゴット7を入れ、これを加熱、溶融、成形するものであるが、この場合、天板3は、筒状体2内に上下方向摺動可能に配設することができ、天板3上に錘8を乗せて成形されるべき石英ガラスに荷重を負荷することが好適である。なお、図中9は固定用治具である。このように天板3を上下方向摺動可能に配設するなどして、成形時に天板3を筒状体2の上端縁より下方に配置するようにすると、上述したように、筒状体2の上下方向に沿って上端から下端に連続した溝が、その上端部分において上方に開放されて該溝内の残留ガスが外部に抜け、また天板3、底板4の溝が筒状体2の溝と連通している場合は、これら溝内の残留ガスも外部に抜けることが可能になる。
【0017】
ここで、本発明の型の内面に施される溝の大きさ等は、さ0.5〜10mm、好ましくは1〜3mm、幅1〜3mm、好ましくは1.5〜2mm、互いにほぼ平行状態にある各溝の間が30mm以下、好ましくは20mm以下で、5mm以上、特に10mm以上であることが好適である。また、放射状の溝の場合、溝間の角度は10〜30度、特に15〜20度であることが好ましい。溝の深さが0.5mm未満の場合又は溝の幅が1mm未満の場合では、ガスの排出が容易に行われず、結果として残留ガスにより所望の形状に成形できない場合が生じる。また、溝の深さが10mmを超えた場合又は幅が3mmを超えた場合は、石英ガラスが溝に入り込み、成形された石英ガラスの表面に溝の跡が残ってしまい、所望の形状に成形できない場合が生じる。
【0018】
なお、型の厚さは、通常用いられる範囲であれば特に限定されないが、10mm以上、好ましくは20mm以上のものが用いられる。
【0019】
本発明においては、上記型を用いる以外は通常の方法で石英ガラスの成形を行うことができ、通常、上記黒鉛又は炭素製の型の中で、溶融された石英ガラスを1400℃以上、好ましくは1700℃以上の温度にて真空又は減圧下、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス下で成形を行う方法で行われる。
【0020】
この場合、上記型内に石英ガラスインゴットを入れ、1400〜1900℃の温度で加熱、溶融、成形を行うことができるが、この際、昇温速度を好ましくは20℃/分以下、より好ましくは15℃/分以下で、1℃/分以上にすることにより、残留ガスを容易に排出することができる。
【0021】
また、型に仕込まれる石英ガラスにその重量の2倍以下、好ましくは0.5〜2倍、より好ましくは同じ重量の荷重を負荷することにより、型内面の溝にガラスが溶け込むことなく、型内面に沿った所望の形状に成形することができる。
【0022】
なお、成形に際して、型内面に通気性を有する介在物、例えば黒鉛やカーボンの通気性を有するシートを配設し、型内面と成形される石英ガラスとの間に上記介在物を介装して成形を行うことができる。
【0023】
本発明の石英ガラスの成形方法は、レンズやフォトマスク用の石英ガラスの成形に利用されるだけでなく、一般のガラスの成形にも応用することができるものである。
【0024】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0025】
[実施例1]
縦横一辺の長さが200mmの正方形状を有し、高さが800mmの四角柱状の中空部を有する筒状体の下端開放部を閉塞して底板を配設すると共に、上端開放部を閉塞し、かつ上記中空部内を上下方向摺動可能に天板を配設することにより内部の高さを800mmまで可変にした厚さ10mmの四角箱型の図1に示す形状を有し、かつ図1に示したように筒状体の内周面(型の内側面)に対しては上下方向に、天板、底板内面に対しては格子状に深さ0.5mm、幅1mmの溝を溝間の間隔が20mmとなるように、しかも筒状体の溝と天板、底板の溝が連通するように設け、更に型内面全面に通気性を有する厚さ1mmの炭素製シートを装着した型を用い、石英ガラスの成形を行った。
【0026】
まず、上記型内に、高さ700mm、直径195mmの円柱状の43.9kgの石英ガラスを入れ、天板上に重さ20kgの錘を乗せ、最大出力60KWの炉にセットした。真空ポンプを稼働させ、5×10-5Torrまで炉内を減圧にした後、昇温を開始した。
【0027】
1400℃までは30分で昇温し、その後、1850℃までは18℃/分で昇温し、その後も1850℃で120分間保持した。この時、真空ポンプと拡散ポンプを用いて0.5Torrに維持させた。
【0028】
その後、電力を下げて30分間で1300℃とし、この後の電力は直線的に下げて、室温になったところで炉を開放して、高さ520mm、一辺が200mmの正方形状の角棒状石英ガラス43kgを得た。得られた角棒状石英ガラスは、各コーナーも上記型の内形状に沿って正確に形取られ、更に泡の巻き込みも見られなかった。
【0029】
[実施例2]
型内側の側面に対しては縦方向(上下方向)に、上下面に対しては横方向に深さ10mm、幅3mm、間隔が20mmの溝を施した厚さ10mmの炭素製型を用いた以外は実施例1と同様に成形したところ、得られた角棒状石英ガラスは、各コーナーもこの型の内形状に沿って正確に形取られ、更に泡の巻き込みも見られなかった。
【0030】
[比較例1]
型内側全面に溝を設けていない実施例1と同様な炭素製型を用いて実施例1と同様に成形したところ、得られた角棒状石英ガラスは、各コーナーがこの型の内形状に沿って正確に形取られず、更に泡の巻き込みが見られた。
【0031】
【発明の効果】
本発明の石英ガラスの成形方法によれば、石英ガラスを成形するに際し、泡の巻き込みが少なく、かつ所望の形状に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる成形用型の一例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 型
2 筒状体
3 天板
4 底板
5 溝
6 固定用土台治具
7 石英ガラスインゴット
8 錘
9 固定用治具

Claims (5)

  1. 筒状体の上下端部を閉塞してそれぞれ天板及び底板が設けられた黒鉛又は炭素製の型内で石英ガラスを加熱、溶融して成形するに際し、上記筒状体の内周面全面に上下方向に沿って上端から下端に連続して深さ0.5〜10mm、幅1〜3mmの溝を複数本形成すると共に、上記天板及び底板の内面にそれぞれ深さ0.5〜10mm、幅1〜3mmの溝を一端から他端まで連続して放射状、格子状又は互いにほぼ平行して複数本形成した型を用い、上記成形時に型内の残留ガスを上記溝より外部に排出するようにしたことを特徴とする石英ガラスの成形方法。
  2. 互いにほぼ平行する複数本の溝間の間隙が30mm以下となるように溝を形成した請求項記載の成形方法。
  3. 1400℃以上からの昇温速度が20℃/分以下である請求項1又は2記載の成形方法。
  4. 天板が上下方向移動可能に配設され、この天板を介して型内に仕込まれる石英ガラスにこの石英ガラスの重量の2倍以下の荷重を負荷して成形するようにした請求項1乃至のいずれか1項記載の成形方法。
  5. 型内面と石英ガラスとの間に通気性を有する介在物を介在して成形を行うようにした請求項1乃至のいずれか1項記載の成形方法。
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