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JP4359315B2 - 車両の全輪操舵装置 - Google Patents

車両の全輪操舵装置 Download PDF

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JP4359315B2 JP2007080485A JP2007080485A JP4359315B2 JP 4359315 B2 JP4359315 B2 JP 4359315B2 JP 2007080485 A JP2007080485 A JP 2007080485A JP 2007080485 A JP2007080485 A JP 2007080485A JP 4359315 B2 JP4359315 B2 JP 4359315B2
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Description

本発明は、前輪の転舵角と車速にもとづいて、後輪の転舵角を作動制御する車両の全輪操舵装置に関し、特に前輪の転舵を補助する電動パワーステアリング装置を組合わせた車両の全輪操舵装置に関する。
後輪の転舵角の駆動制御(RTC:Rear Toe Control)により、車両特性の制御を行う車両の全輪操舵装置において、RTCによる駆動制御が失陥する場合がある。その場合には、後輪を制御できず、後輪のトー角が固定される状態になるため、車両のヨーレートゲインに変化が生じてしまう。特に、トーアウトや逆相失陥といったヨーレートゲインの高い状態における失陥の場合には、車両が不安定になり易いので、車両の安定化を達成する必要がある。
ヨーレート等の車両特性をフィードバックして、そのフィードバックによる反力を用いて電動パワーステアリング装置による制御を行うことで、車両の安定化を達成する旨はすでに知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−81117号公報
しかし、特許文献1等の従来の技術では、ヨーレート等のフィードバックにおいて、単に車速毎にそのフィードバックによる反力値を決める構成としていた。そのため、本来、車両特性に合わせて設定すべきであるフィードバックによる反力値を適切に変えることができなかった。RTCによる駆動制御の失陥により、車両特性が変化してしまった場合には、車両が不安定になり易い状態になってしまうが、もはや従来の技術ではその変化に対応できず、車両の十分な安定化を達成することはできなかった。
そこで、本発明は、後輪の転舵角の駆動制御の失陥により車両が不安定になり易い状態でも、車両の安定化を達成することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも操舵トルクに応じて、電動機が補助トルクを発生し、該補助トルクを前輪のステアリング系に伝達する電動パワーステアリング装置と、少なくとも前輪の転舵角及び車速に基づいて左右の後輪の転舵角を制御する後輪転舵装置と、並びに前記電動パワーステアリング装置及び前記後輪転舵装置を制御する操舵制御装置とを備える車両の全輪操舵装置において、前記操舵制御装置は、前記車両のヨーレートを検知する手段と、前記後輪転舵装置の失陥状態を判断する手段と、前記失陥状態におけるヨーレートゲインを算出する手段と、前記ヨーレート、前記車速及び前記失陥状態におけるヨーレートゲインに基づいて前記失陥状態におけるヨーレートフィードバックトルク補正値を算出する手段と、前記補助トルクの目標値を、前記ヨーレートフィードバックトルク補正値で修正する手段と、を備えることを特徴とする。
本発明により、後輪の転舵角の駆動制御の失陥により車両が不安定になり易い状態でも、車両の安定化を達成することができる。
以下、本発明の車両の全輪操舵装置を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。説明の際には、添付した図面を適宜参照する。なお、図1は本実施形態に係る全輪操舵装置を適用した4輪車両の概略図であり、図2は電動パワーステアリング装置の構成図であり、図3は左後輪側の後輪転舵装置の構成図であり、図4は後輪転舵装置のアクチュエータの構成図である。
1.全輪操舵装置の構成
図1に示すように、全輪操舵装置100は、前輪1L・1Rを転舵させる操向ハンドル3による操舵を補助する電動パワーステアリング装置110、前輪1L・1Rの転舵角と車速に応じて後輪2L・2Rをそれぞれ独立に転舵させる後輪転舵装置120L・120R、電動パワーステアリング装置110及び後輪転舵装置120L・120Rを制御する操舵制御装置(以下、「操舵制御ECU(Electronic Control Unit)」と称する。)130、車速センサS、ヨーレートセンサS、横加速度センサSGSなど各種センサを含んで構成されている。
2.電動パワーステアリング装置の構成
電動パワーステアリング装置110は、図2に示すように操向ハンドル3が設けられたメインステアリングシャフト3aと、シャフト3cと、ピニオン軸7とが、2つのユニバーサルジョイント(自在継手)3bによって連結され、また、ピニオン軸7の下端部に設けられたピニオンギア7aは、車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラック歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9、9を介して左右の前輪1L・1Rが連結されている。この構成により、電動パワーステアリング装置110は、操向ハンドル3の操舵時に車両の進行方向を変えることができる。ここで、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9、9は転舵機構を構成する。なお、ピニオン軸7はその上部・中間部・下部を軸受3d・3e・3fを介してステアリングギアボックス6に支持されている。
また、電動パワーステアリング装置110は、操向ハンドル3による操舵力(操舵トルク)を軽減するための補助操舵力(補助トルク)を供給する電動機4を備えており、この電動機4の出力軸に設けられたウォームギア5aが、ピニオン軸7に設けられたウォームホイールギア5bに噛合している。すなわち、ウォームギア5aとウォームホイールギア5bとで減速機構が構成されている。また、電動機4の回転子と電動機4に連結されているウォームギア5a、ウォームホイールギア5b、ピニオン軸7、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9、9などにより、ステアリング系が構成される。
電動機4は、複数の界磁コイルを備えた固定子(図示せず)とこの固定子の内部で回動する回転子(図示せず)からなる3相ブラシレスモータであり、電気エネルギーを機械的エネルギー(P=ωT)に変換するものである。ここで、ωは電動機4の回転速度であり、Tは電動機4の発生トルクである。また、発生トルクTと実際に出力として取り出すことができる出力トルクT との関係は、次式によって表現される。(i:ウォームギア5aとウォームホイールギア5bとの減速比)
=T−(cdθ/dt+Jθ/dt)i・・・(1)
この式より、出力トルクT と電動機回転角θとの関係は、電動機4の回転子の慣性モーメントJと粘性係数cとによって規定され、車両特性や車両状態に無関係である。
ここで、操向ハンドル3に加えられる操舵トルクをTs、減速機構を介して倍力された電動機4の発生トルク(補助トルク)によりアシストするアシスト量Aの係数を、例えば、車速Vの関数として変化するk(V)とする。この場合、A=k(V)×Tsであるから、路面負荷であるピニオントルクをTpは、
Tp=Ts+A
=Ts+k(V)×Ts
となる。これより、操舵トルクTsは、
Ts=Tp/(1+k(V))・・・(2)
と表現される。
したがって、操舵トルクTsは、ピニオントルクTp(負荷)の1/(1+k(V))倍に軽減される。例えば、車速V=0のときにk(0)=2ならば、操舵トルクTsは、ピニオントルクTpの1/3の軽さに制御され、車速V=100km/hのときに、k(100)=0ならば、操舵トルクTsは、ピニオントルクTpと等しくなり、マニュアルステアリングと同等のしっかりとした重さの操舵感に制御される。すなわち、車速Vに応じて操舵トルクTsを制御することにより、低速走行時には軽やかに、高速走行時にはしっかりとした安定な操舵感が付与される。
また、一般的に操舵トルクTsは、
Ts=J・dθ/dt+C・dθ/dt+K(θ−θ)・・・(3)
となることがわかっている。
ここで、θは操舵回転角であり、θは、電動機回転角θを減速機構の回転比nで除した値である。また、Jはステアリング系の慣性係数(イナーシャ)であり、Cはステアリング系の粘性係数(ダンパ)であり、Kはベース信号係数である。この式も(1)式と同様に車両特性や車両状態に無関係である。
このとき、操舵フィーリングを評価するにあたり、慣性モーメントの有無による操舵反力の差異に着目し、入力トルクと反力トルク(慣性トルク)との比Evを評価関数として慣性モーメントを評価することができる。この評価関数を用いた評価結果により、ステアリング系の慣性係数J、および、ステアリング系廻りの粘性を無視した点Ev0の周辺に操舵フィーリング評価の高い領域があることがわかった。
ここで、比Evは、
Ev=Tdet/Ts=K(θ−θ)/Ts・・・(4)
である。これにより、TsからTdet=K(θ−θ)までの伝達関数のゲイン特性をEv0以下とするような補償器H(S)を求めることができる。
H∞制御により求められる補償器は、対象モデルおよび周波数重み関数の次数により決まるため、通常のマイクロコンピュータでは実現困難な高い次数の補償器となる。そこで、ステアリング系を制御する上で必要な周波数帯に焦点を絞って補償器の次数を低減することにした。
例えば、零点・極をそれぞれ4個ずつ持つように、伝達関数Hf(S)を、
Hf(S)=8.88(S+140)(S+65.1)(S+30.1)(S+1.77)/{(S+1730)(S+209)(S+37.1)(S+15.6)}
に設定することができる。なお、伝達関数Hf(S)のゲイン特性は微分特性を備えている。
また、電動パワーステアリング装置110は、電動機4を駆動する電動機駆動回路23と、レゾルバ25と、ピニオン軸7に加えられるピニオントルクTpを検出するトルクセンサSと、トルクセンサSの出力を増幅する差動増幅回路21と、車速センサSとを備えている。そして、全輪操舵装置100の操舵制御ECU130は、電動パワーステアリング装置110と不離一体の機能部である電動機4を駆動制御する、前輪転舵角制御部130a及び後輪転舵角制御部130b(図5参照)を有している。
電動機駆動回路23は、例えば、3相のFETブリッジ回路のような複数のスイッチング素子を備え、前輪転舵角制御部130aからのDUTY(DU、DV、DW)信号を用いて、矩形波電圧を生成し、電動機4を駆動するものである。また、電動機駆動回路23は図示しないホール素子を用いて3相の電動機電流I(IU、IV、IW)を検出する機能を備えている。レゾルバ25は、電動機4の電動機回転角θを検出し、角度信号θを出力するものであり、例えば、磁気抵抗変化を検出するセンサを周方向に等間隔の複数の凹凸部を設けた磁性回転体に近接させたものがある。
トルクセンサSは、ピニオン軸7に加えられるピニオントルクTpを検出するものであり、ピニオン軸7の軸方向2箇所に逆方向の異方性となるように磁性膜が被着され、各磁性膜の表面に検出コイルがピニオン軸7に離間して挿入されている。差動増幅回路21は、検出コイルがインダクタンス変化として検出した2つの磁性膜の透磁率変化の差分を増幅し、トルク信号Tを出力するものである。
車速センサSは、車両の車速Vを単位時間あたりのパルス数として検出するものであり、車速信号VSを出力する。
操舵制御ECU130の機能構成については、電動パワーステアリング装置110の制御および後輪転舵装置120L・120Rの制御とまとめて後記する。
3.後輪転舵装置の構成
次に、図3及び図4を参照しながら後輪転舵装置の構成を説明する。
図3は左後輪側の後輪転舵装置を示す平面図であり、図4は後輪転舵装置のアクチュエータの構造を示す概略断面図である。
後輪転舵装置120L・120Rは、車両の左右の後輪2L・2Rにそれぞれ取り付けられるものであり、図3では、左後輪2Lを例にとり後輪転舵装置120Lを示している。後輪転舵装置120L・120Rは、アクチュエータ30、後輪転舵駆動制御装置(以下、「後輪転舵駆動制御ECU」と称する。)37を備えている。なお、図3は、左側の後輪2Lのみを示しているが、右側の後輪2Rについても同様(対称)にして取り付けられている。
車体のリアサイドフレーム11に略車幅方向に延びるクロスメンバ12の車幅方向端部が弾性支持されている。そして、略車体前後方向に延びるトレーリングアーム13の前端がクロスメンバ12車幅方向端部近くで支持されている。トレーリングアーム13の後端に後輪2Lが固定されている。
トレーリングアーム13は、クロスメンバ12に装着される車体側アーム13aと、後輪2Lに固定される車輪側アーム13bとが、略鉛直方向の回動軸13cを介して連結されて構成されている。これにより、トレーリングアーム13が車幅方向へ変位することが可能となっている。
前記アクチュエータ30は、その一端が車輪側アーム13bの回転軸13cから前方側の前端部にボールジョイント16を介して取り付けられ、他端がクロスメンバ12にボールジョイント17を介して取り付けられている。
図4に示すように、アクチュエータ30は、電動機31、減速機構33、送りねじ部35などを備えて構成されている。
電動機31は、正逆両方向に回転可能なブラシモータやブラシレスモータなどで構成されている。
減速機構33は、例えば、2段のプラネタリギア(図示せず)などが組み合わされて構成されている。
送りねじ部35は、円筒状に形成されたロッド35aと、スクリュー溝35bが形成されてロッド35aの内部に挿入されるナット35cと、スクリュー溝35bと噛合してロッド35aを軸方向に移動可能に支持するスクリュー軸35dとを備えて構成されている。スクリュー軸35dは、減速機構33および電動機31とともに細長形状のケース本体34内に収容され、減速機構33の一端が電動機31の出力軸と連結され、他端がスクリュー軸35dと連結されている。
電動機31からの動力が、減速機構33を介してスクリュー軸35dに伝達されてスクリュー軸35dが回転することで、ロッド35aがケース本体34に対して図示左右方向(軸方向)に伸縮自在に動作するようになっている。また、アクチュエータ30にはブーツ36が取り付けられて、外部からの埃や水などの異物が浸入しないようなっている。
また、アクチュエータ30には、ロッド35aの位置(伸縮量)を検出するストロークセンサ38が設けられている。このストロークセンサ38は、例えば、マグネットが内蔵され、磁気を利用して位置を検出できるようになっている。このように、ストロークセンサ38を用いて位置を検出することにより、後輪2L・2Rのトーイン、トーアウトの舵角(トー角)を個別に高精度に検出できるようになっている。
このように構成されたアクチュエータ30は、ロッド35aの先端に設けられたボールジョイント16がトレーリングアーム13の車輪側アーム13b(図3参照)に回動自在に連結され、ケース本体34の基端に設けられたボールジョイント17がクロスメンバ12(図3参照)に回動自在に連結されている。電動機31の動力によってスクリュー軸35dが回転してロッド35aが伸びる(図4の左方向)と、車輪側アーム13bが車幅方向外側(図3の左方向)に押圧されて、後輪2Lが左方向に旋回し、またロッド35aが縮む(図4の右方向)と、車輪側アーム13bが車幅方向内側(図3の右方向)に引かれて、後輪2Lが右方向に旋回する。
なお、アクチュエータ30のボールジョイント16が取り付けられる場所は、ナックルなど後輪2Lのトー角を変更できる位置であれば、車輪側アーム13bに限定されるものではない。また、本実施形態において後輪転舵装置120L・120Rはセミトレーリングアーム型独立懸架方式のサスペンションに対して適用した場合の例で示したが、それに限定されるものではなく、他の懸架方式のサスペンションにも適用できる。
また、アクチュエータ30には、後輪転舵駆動制御ECU37が一体に構成されている。後輪転舵駆動制御ECU37は、アクチュエータ30のケース本体34に固定され、ストロークセンサ38とコネクタなどを介して接続されて構成されている。
後輪転舵駆動制御ECU37には、車両に搭載された図示しないバッテリなどの電源から電力が供給される。また、操舵制御ECU130、電動機駆動回路23にも前記とは別系統でバッテリなどの電源から電力が供給される(図示せず)。
4.操舵制御ECUの機能構成
次に、図5から図8を参照しながら操舵制御ECUの機能を説明する。
図5は操舵制御ECUと後輪転舵駆動制御ECUとの機能関係も示す操舵制御ECU全体の機能ブロック図であり、図6はベース信号演算部およびダンパ補償信号演算部の特性を示す図であり、図7は図5におけるヨーレートフィードバックトルク補正演算部の詳細な機能ブロック図であり、図8はヨーレートフィードバックトルク補正演算部の特性を示す図である。
操舵制御ECU130は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えるコンピュータおよびプログラム、周辺回路などからなり、図5の機能構成図に記載される機能を実現する。
図5に示すように操舵制御ECU130は、電動パワーステアリング装置110を制御する前輪転舵角制御部130aと、後輪2L・2Rのトー角を制御する後輪転舵角制御部130bを備えている。
4.1.前輪転舵角制御部
まず、図5、図6を参照しながら適宜図2を参照して前輪転舵角制御部130aについて説明する。
前輪転舵角制御部130aは、ベース信号演算部51と、ダンパ補償信号演算部52と、イナーシャ補償信号演算部53と、Q軸(トルク軸)PI制御部54と、D軸(磁極軸)PI制御部55と、2軸3相変換部56と、PWM変換部57と、3相2軸変換部58と、電動機速度算出部67と、励磁電流生成部59とを備える。
3相2軸変換部58は、電動機駆動回路23が検出する、電動機4(図2参照)の3相電流IU・IV・IWを、電動機4の回転子の磁極軸であるD軸と、このD軸に対して電気的に90度回転した軸であるQ軸との2軸に変換するものであり、Q軸電流IQは電動機4の発生トルクTに比例し、D軸電流IDは励磁電流に比例する。電動機速度算出部67は、電動機4の角度信号θを微分演算して角速度信号ωを生成する。励磁電流生成部59は、電動機4(図2参照)の励磁電流の目標信号を生成するが、必要に応じD軸電流とQ軸電流とを略等しくすることにより、弱め界磁制御を行うことができる。
ベース信号演算部51は、トルク信号Tと車速信号VSとから出力トルクT の目標信号IMの基準となるベース信号Dを生成する。この信号生成は、予め実験測定などによって設定されたべーステーブル51aをトルク信号Tと車速信号VSとにもとづいて参照することによって行われ、図6(a)にべーステーブル51aに格納されているベース信号Dの関数を示す。ベース信号演算部51は、トルク信号Tの値が小さいときはベース信号Dがゼロに設定される不感帯N1が設けられ、トルク信号Tの値がこの不感帯N1よりも大きくなるとゲインG1で直線的に増加する特性を備えている。また、ベース信号演算部51は、所定のトルク値の範囲内では、出力はゲインG2で増加し、さらにトルク値が増加すると出力が飽和する特性を備えている。
また、一般に車両は、走行速度に応じて路面の負荷(路面反力)が異なるため、車速信号VSによりゲインが調整される。車速ゼロの据え切り操作時が最も負荷が重く中低速では比較的負荷が軽くなる。このため、ベース信号演算部51は、車速Vが大きく高速になるにしたがってゲイン(G1、G2)を低く、かつ、不感帯N1を大きく設定して、マニュアルステアリング領域を大きくとって路面情報を運転者に与える。すなわち、車速Vの増大に応じてしっかりとした操舵トルクTsの手応え感が付与される。このとき、マニュアルステアリング領域においてもイナーシャ補償がなされることが必要である。
図5に戻り、ダンパ補償信号演算部52は、ステアリング系が備える粘性を補償するため、また車両が高速走行時に収斂性が低下する際にこれを補償するステアリングダンパ機能を有するために設けられるものであり、角速度信号ωに基づいてダンパテーブル52aを参照することによって行われる。図6(b)は、ダンパテーブル52aの特性関数を示す図であり、電動機4(図2参照)の回転速度ωが増加するほど補償値Iが直線的に増加し、所定速度で補償値が急激に増加する特性を備えている。また、車速信号VSの値が高いほど、つまり、車速Vが大きいほど、ゲインを大きくして電動機4の回転速度、すなわち、転舵速度に応じて電動機4の出力トルクT を減衰させている。言い換えれば、電動機4に大きな電流が供給されて回転速度が速くなるのを回避するために、ダンパ補償信号演算部52は、電動機4の回転速度を抑制制御している。このステアリングダンパ効果により、操向ハンドルの収斂性を向上させ、車両特性を安定化させることができる。
再び図5に戻り、加算器61は、ベース信号演算部51の出力信号Dからダンパ補償信号演算部52の出力信号(補償値I)を減算するものであり、加算器62は、加算器61の出力信号とイナーシャ補償信号演算部53の出力信号とを加算するものである。
なお、ベース信号演算部51とダンパ補償信号演算部52と加算器61とでアシスト制御が行われる。
イナーシャ補償信号演算部53は、ステアリング系の慣性による影響を補償するものであり、トルク信号Tがイナーシャテーブル53aを参照することによって演算され、格納されているテーブルの伝達関数Hf(S)は、例えば、
Hf(S)=8.88(S+140)(S+65.1)(S+30.1)(S+1.77)/{(S+1730)(S+209)(S+37.1)(S+15.6)}
である。
また、イナーシャ補償信号演算部53は、電動機4の回転子の慣性による応答性の低下を補償している。言い換えれば、電動機4は正回転から逆回転に、または、逆回転から正回転に回転方向を切り替える際、慣性によってその状態を持続させようとするので直ぐには回転方向が切り替わらない。そこで、イナーシャ補償信号演算部53は、電動機4の回転方向の切り替わりが操向ハンドル3の回転方向が切り替わるタイミングに一致するように制御している。このようにして、イナーシャ補償信号演算部53は、ステアリング系の慣性や粘性による操舵の応答遅れを改善してすっきりした操舵感を付与している。
また、FF(Front engine Front wheel drive)やFR(Front engine Rear wheel drive)車、RV(Recreation Vehicle)やセダンなどの車両特性や車速、路面などの車両状態によって異なる操舵特性に対して、実用上十分な特性が付与される。
加算器62の出力信号IMは、電動機4(図2参照)のトルクを規定するQ軸電流の目標信号である。
加算器63は、出力信号IMに対して、ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72から出力される、現在の前輪の転舵角(タイヤ角とも言う)δとヨーレートγなどに応じて設定されるヨーレートゲインを反映し、ヨーレートγ、車速Vにもとづいて算出されるヨーレートフィードバックトルク補正値I(以下、単に「補正値I」と称する場合がある。)を減算して、出力信号IMを加算器64に出力する。
ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72の詳細な説明は後記する。
加算器64は出力信号IMからQ軸電流IQを減算し、偏差信号IEを生成する。Q軸(トルク軸)PI制御部54は、偏差信号IEが減少するように、P(比例)制御およびI(積分)制御を行う。
加算器65は、励磁電流生成部59の出力信号からD軸電流IDを減算するものである。D軸(磁極軸)PI制御部55は、加算器65の出力信号が減少するようにPI帰還制御を行う。
2軸3相変換部56は、Q軸(トルク軸)PI制御部54の出力信号VQとD軸(磁極軸)PI制御部55の出力信号VDとの2軸信号を3相信号UU・UV・UWに変換する。PWM変換部57は、3相信号UU・UV・UWの大きさに比例したパルス幅のON/OFF信号[PWM(Pulse Width Modulation)信号]であるデューティ信号(DU、DV、DW)を生成する。
なお、2軸3相変換部56、及びPWM変換部57は、電動機4(図2参照)の角度信号θが入力され、回転子の磁極位置に応じた信号が出力される。
4.2.後輪転舵角制御部
次に、図5、図7及び図8を参照しながら後輪転舵角制御部130bについて説明する。図5に示すように後輪転舵角制御部130bは、前輪転舵角演算部68、後輪目標転舵角診断部73、後輪目標転舵角演算部71、ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72を有する。
4.2.1.前輪転舵角演算部
前輪転舵角演算部68は、レゾルバ25から出力される回転角から前輪の転舵角δを算出し、後輪目標転舵角演算部71とヨーレートフィードバックトルク補正演算部72に入力する。
後輪目標転舵角演算部71は、車速信号VSと、前輪1L・1Rの転舵角δとその転舵角速度に比例する電動機4の回転速度ωとから後輪2L・2Rのそれぞれのトー角の目標値を生成する。この目標値生成は、予め設定された後輪転舵角テーブル71aを転舵角δ、車速VS、回転速度ωとにもとづいて参照することによって行なわれる。
車速が所定の低速の範囲では、転舵角δに応じて後輪2L・2Rが逆位相に、小回りがしやすいように各後輪のトー角の目標値が生成される。
前記所定の低速の範囲を超える高速の範囲では、回転速度ωの絶対値が所定の値以下で、かつ、転舵角δが左右の所定の範囲以内の場合は、転舵角δに応じて同位相に各後輪のトー角の目標値が設定される。つまり、レーンチェンジにおける横すべり角βを小さくするように各後輪のトー角の目標値が設定される。しかし、前記所定の低速の範囲を超える高速の範囲で、回転速度ωの絶対値が所定の値を超えるか、または、転舵角δが左右の所定の範囲を超える場合は、転舵角δに応じた逆位相に各後輪のトー角の目標値が設定される。後輪目標転舵角演算部71で生成されたトー角の目標値はヨーレートフィードバックトルク補正演算部72と後輪転舵装置120L・120Rのそれぞれの後輪転舵駆動制御ECU37に入力される。
なお、後輪目標舵角演算部71で生成されるトー角の目標値は、アッカーマン・ジャントのジオメトリに従うようになっている。
4.2.2.ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72
ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72の詳細な構成を、図7を参照しながら説明する。ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72は、ヨーレートゲイン算出部72a、ヨーレートフィードバックトルク補正値算出部72b、ヨーレートフィードバックマップ72cを備えている。
ヨーレートゲイン算出部72aは、車速V、ヨーレートγ、前輪の転舵角δ、及び後記する後輪目標転舵角断部73から受信する失陥信号αに基づいて、後輪転舵装置120R・120Lの失陥状態におけるヨーレートゲインGを算出する。このヨーレートゲインGの算出は、失陥信号αを受信したことにより、後輪転舵装置120R・120Lが失陥状態にあると判断された場合に開始され、車速V、ヨーレートγ及び前輪の転舵角δに基づいて行われる。つまり、ヨーレートゲイン算出部72aは、失陥状態において目標とするヨーレートを定めるために、車速Vを適宜変えつつ、前輪の転舵角δ及びヨーレートγとの関係からヨーレートゲインGを算出する。算出したヨーレートゲインGは、ヨーレートフィードバックトルク補正値算出部72bに出力され、後記する補正値Iの算出に用いられる。また、算出したヨーレートゲインGは、ヨーレートフィードバックマップ72cに出力され、当該マップの作成及び更新に用いられる。
ヨーレートフィードバックトルク補正値算出部72bは、車速V、ヨーレートγ、ヨーレートゲインG、及び失陥信号αに基づいて、電動パワーステアリング装置110によるアシスト力の反力として作用するヨーレートフィードバックトルク補正値Iを算出する。このヨーレートフィードバックトルク補正値Iの算出は、失陥信号αを受信したことにより、後輪転舵装置120R・120Lが失陥状態にあると判断された場合に開始され、車速V、ヨーレートγ及びヨーレートゲインGに基づいて行われる。つまり、ヨーレートフィードバックトルク補正値算出部72bは、出力信号IM(図5参照)で規定される電動機4(図2参照)のトルクを、失陥状態に応じて補正するために、入力されたヨーレートγに対し、車速Vに応じて定められているヨーレートフィードバックマップ72cを参照してヨーレートフィードバックトルク補正値Iを算出する。算出したヨーレートフィードバックトルク補正値Iは、電動機4(図2参照)のトルクの補正電流として、加算器63に出力される。
ヨーレートフィードバックマップ72cは、ヨーレートγとヨーレートフィードバックトルク補正値Iとの対応関係をヨーレートゲインG及び車速Vによって規定したものである。図8に、その対応関係を定めたヨーレートフィードバックトルク補正演算部72の特性を一例として示す。
図8(a)において、原点Oを含む所定の範囲内では、ヨーレートγが正方向に増加するにつれてヨーレートフィードバックトルク補正値Iは所定の傾きをもって直線的に増加している。ヨーレートゲインGはその傾きを定める値である。なお、ヨーレートγの正方向とは、コーナリングする車両を上から見た場合に、車両の旋回方向への回転角の変化する速度の向きが、その回転角の変化の向きと同じであることをいい、その速度が増大する状態にあることを意味する。
ヨーレートγが正方向に増加して所定の範囲内を超えた場合には、ヨーレートフィードバックトルク補正値Iは増加することなく一定の値を維持するように設定する。このように設定することで、電動機4(図2参照)のトルクに対する過度の補正を抑制し、パワーステアリング装置110によるアシスト制御の機能を確保する。
図8(a)の直線の傾きは、車速Vが増大するにつれて大きくなる。つまり、ヨーレートフィードバックトルクは車速Vの増大に伴い大きくなるように設定する。このように設定して、車両が高速で走行する場合には、走行安定性を重視するために、電動機4(図2参照)のトルクの反力となるヨーレートフィードバックトルク補正値Iを大きくしてパワーステアリング装置110によるアシスト力を小さくし、操向ハンドル3(図1参照)の操舵を重くさせる。また、車両が低速で走向する場合には、操向ハンドル3(図1参照)の操舵感を重視するために、補正値Iを小さくしてパワーステアリング装置110によるアシスト力を大きくし、操向ハンドル3(図1参照)の操舵を軽くさせる。
ある車速Vの条件において、後輪転舵装置120R・120Lが失陥した状態でのヨーレートゲインGが、失陥していない、正常時(図8(b)参照)の状態でのヨーレートゲインGY0に比べて大きくなった場合には、図8(b)の(A)のようにヨーレートフィードバックトルクを大きくし、車両の走行安定性を高くする。反対に失陥した状態でのヨーレートゲインGが、失陥していない、正常時(図8(b)参照)でのヨーレートゲインGY0に比べて小さくなった場合には、図8(b)の(B)のようにヨーレートフィードバックトルクを小さくし、操舵力を軽くすることで操作性(操縦性)を向上させる。
4.2.3.後輪目標転舵角診断部
次に後輪目標転舵角診断部73について説明する。後輪目標転舵角診断部73は後輪転舵装置120L・120Rの後輪転舵駆動制御ECU37の後記する自己診断部81d(図9参照)から失陥信号αを受信したとき、後輪転舵装置120R・120Lが失陥状態にあると判断する。そして、後輪目標転舵角診断部73はその判断に応じて、ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72に対し、失陥信号αとともに、ヨーレートフィードバックトルクの補正演算をして、補正信号(補正値I)を出力するように指令する。また、後輪目標転舵角診断部73は、失陥信号αをベース信号演算部51にも送信し、後輪転舵装置120R・120Lの失陥状態に応じたベース信号Dに関する演算をすることが可能である。
4.3.後輪転舵駆動制御ECU
次に、図9の機能ブロック図を参照しながら後輪転舵駆動制御ECUの詳細について説明する。
図9に示すように、後輪転舵駆動制御ECU37はアクチュエータ30を駆動制御する機能を有し、制御部81と電動機駆動回路83とで構成されている。また、各後輪転舵駆動制御ECU37は、操舵制御ECU130と通信線を介して接続され、他方の後輪転舵駆動制御ECU37とも通信線を介して接続されている。
制御部81は、CPU、RAM、ROMなどを有して構成され、目標電流算出部81a、補正電流設定部81b、電動機制御信号生成部81c、自己診断部81dを備えている。
目標電流算出部81aは、操舵制御ECU130の後輪目標転舵角演算部71から入力される後輪2L(または後輪2R)のトー角の目標値の信号にもとづいて、目標電流信号を算出して、加算器81eを介して電動機制御信号生成部81cに出力する。目標電流信号とは、アクチュエータ30を所望の作動量(後輪2L・2Rを所望のトー角にする伸縮量)に設定するのに必要な電流信号であり、参照信号として補正電流設定部81bにも入力される。
補正電流設定部81bは、トー角の目標値信号とストロークセンサ38から入力される位置情報と参照信号である目標電流信号とにもとづいて、目標電流が指示するトー角に対する偏差から目標電流信号を補正するための補正電流信号を加算器81eに出力する。加算器81eは、補正電流信号を目標電流信号から減算し、補正後の目標電流信号を電動機に出力する。
このように目標電流算出部81aからの目標電流信号を補正することにより、後輪2L(または2R)の転舵に要する電流値が車速V、路面環境、車両の運動状態、タイヤの磨耗状態などによって変化するのをフィードバックして、目標のトー角に設定制御することができる。
電動機制御信号生成部81cは、目標電流算出部81aから加算器81eを介して目標電流信号が入力され、電動機駆動回路83に電動機制御信号を出力する。この電動機制御信号は、電動機31に供給する電流値と電流を流す方向を含む信号である。
電動機駆動回路83は、FET(Field Effect Transistor)のブリッジ回路などで構成され、電動機制御信号に基づいて電動機31に電動機電圧を印加する。
また、図9に示すように、本実施形態の車両の全輪操舵装置100では、制御部81の自己診断部81dが、ストロークセンサ38の位置情報や電動機駆動回路83の状態の信号、目標電流算出部81aからの目標電流信号、及び補正電流設定部81bからの補正電流信号を受信し、また、自分が所属していない他方の後輪転舵駆動制御ECU37からの失陥信号αを受信をしていないかチェックする。つまり、自身の後輪転舵駆動制御ECU37に対応する電動機31や電動機駆動回路83が健全に動いているか否かを示す信号を受信して監視しているとともに、他方の後輪転舵駆動制御ECU37に対応する電動機31や電動機駆動回路83が健全に動いているか否かを示す信号を監視している。自己診断部81dは、監視した信号から、電動機31、ストロークセンサ38、電動機駆動回路83、目標電流算出部81a、又は補正電流設定部81bの少なくとも1つが健全に動いていない失陥状態にあると判断すれば、自己診断部81dは、自分が属している後輪転舵駆動制御ECU37ではない他方の後輪転舵駆動制御ECU37の自己診断部81dに失陥信号αを送る。また、操舵制御ECU130の後輪目標転舵角診断部73にも信号線を通じて失陥信号αを送信する。自己診断部81dが判断する、健全に動いていない失陥状態とは、例えば、例えば、目標電流信号に対応するトー角に対して、ストロークセンサ38の示すトー角が所定値以上離れている状態が所定時間以上継続している状態をいう。電動機31の過熱などによるアクチュエータ30転舵機能低下により、このような状態が起こりうる。
本実施形態では、後輪転舵駆動制御ECU37に目標電流を算出させるとともに、アクチュエータ30と一体に構成し、操舵制御ECU130と別個に配置して構成することで、ストロークセンサ38からの検出値(位置情報)を操舵制御ECU130に戻すことなく後輪転舵駆動制御ECU37内で位置制御および電流制御のフィードバック処理が可能になる。よって、後輪転舵装置120L・120R側のみでフィードバックループが形成されるので、個々のアクチュエータ30のバラツキに合わせて設定が可能になり(操舵制御ECU130に合わせて設定しなくても済み)、処理速度を上げることが可能になる。つまり、操舵制御ECU130は、各後輪転舵駆動制御ECU37に対してどれだけ移動してほしいのかという指示を出さず、目標トー角の信号を出力するだけで良いので、操舵制御ECU130の負荷を最小にすることが可能になる。また、これにより、車両の種類に応じた操舵力を持つアクチュエータ30に対応した電動機駆動回路83を有する後輪転舵駆動制御ECU37への交換が容易になる。
また、アクチュエータ30の電動機31と操舵制御ECU130とを接続すると、フィードバックループが非常に長くなり、フィードバックループが長くなることによって位相遅れが大きくなり、制御精度が低下するという問題がある。これに対して、本実施形態では、後輪転舵駆動制御ECU37の制御部81自身が目標電流を算出できるようにしたので、フィードバックループを最短にすることが可能になり、制御精度を向上できるようになる。
5.まとめ
以上説明したように、本実施形態によれば、電動パワーステアリング装置110を用いた全輪操舵装置100を適用した車両において、後輪転舵装置120R・120Lが失陥状態にあって車両が不安定になったとしても、電動パワーステアリング装置110によるその失陥状態に応じたアシスト制御を行うことで車両の安定化を達成することができる。ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72において、後輪転舵装置120R・120Lが失陥状態にあるときのヨーレートゲインGを算出して学習しておき、そのヨーレートゲインGを用いて算出したヨーレートフィードバックトルク補正値Iを加算器63に入力し、電動パワーステアリング装置110によるアシスト力の反力として作用するように制御するからである。
特に、元々ヨーレートゲインの高い車両においては、操向ハンドル3(図1参照)の操舵入力が大きくなれば、より大きなヨーレートが発生するので車両が不安定に陥り易い。失陥状態にある場合は尚更である。そこで、電動パワーステアリング装置110によるアシスト力の反力として作用するヨーレートフィードバックトルク補正値Iを定めるヨーレートゲインGを増大させることで、アシスト力を抑え、操向ハンドル3(図1参照)の操舵入力を小さくすることで、このような車両であっても、車両の安定化を実現することができる。
なお、上記した形態は、本発明を実施するための最良のものであるが、かかる形態に限定する趣旨ではない。従って、本発明の要旨を変更しない範囲内において、その実施形式を種々変形することが可能である。
例えば、上記形態のように、失陥状態にある車両のヨーレートに関するフィードバックトルクの補正値を用いて補助トルクを補正する代わりに、失陥状態にある車両の、横加速度、横すべり角等の車両特性を現すパラメータに関するフィードバックトルクの補正値を用いて補助トルクを補正するようにしても良い。
また、ヨーレートフィードバックトルク補正演算部72における、後輪転舵装置120R・120Lが失陥状態にあるという判断は、失陥信号αの受信だけでなく、後輪目標転舵角演算部71で生成されたトー角の目標値を用いて判断しても良い。つまり、失陥信号αの受信において、後輪転舵装置120R・120Lで設定されたトー角がその目標値に達していない場合には失陥状態にあると判断しても良い。
本実施形態に係る全輪操舵装置を適用した4輪車両の概略図である。 電動パワーステアリング装置の構成図である。 左後輪側の後輪転舵装置の構成図である。 後輪転舵装置のアクチュエータの構成図である。 操舵制御ECUと後輪転舵駆動制御ECUとの機能関係も示す操舵制御ECU全体の機能ブロック図である。 ベース信号演算部およびダンパ補償信号演算部の特性を示す図である。 ヨーレートフィードバックトルク補正演算部の詳細な機能ブロック図である。 ヨーレートフィードバックトルク補正演算部の特性を示す図である。 後輪転舵駆動制御ECUの機能ブロック図である。
符号の説明
1L、1R 前輪
2L、2R 後輪
3 操向ハンドル
4 電動機
GS 横加速度センサ
操舵トルクセンサ
車速センサ
ヨーレートセンサ
11 リアサイドフレーム
12 クロスメンバ
13 トレーリングアーム
13a 車体側アーム
13b 車輪側アーム
13c 回転軸
16、17 ボールジョイント
23 電動機駆動回路
30 アクチュエータ
31 電動機
33 減速機構
34 ケース本体
35 送りねじ部
35a ロッド
35b スクリュー溝
35c ナット
35d スクリュー軸
36 ブーツ
37 後輪転舵駆動制御ECU
38 ストロークセンサ
100 全輪操舵装置
110 電動パワーステアリング装置
120L、120R 後輪転舵装置
130 操舵制御ECU
130a 前輪転舵角制御部
130b 後輪転舵角制御部
61、62、63、64、65 加算器
68 前輪転舵角演算部
71 後輪目標転舵角演算部
72 ヨーレートフィードバックトルク補正演算部
72a ヨーレートゲイン算出部
72b ヨーレートフィードバックトルク補正値算出部
72c ヨーレートフィードバックマップ
73 後輪目標転舵角診断部

Claims (1)

  1. 少なくとも操舵トルクに応じて、電動機が補助トルクを発生し、該補助トルクを前輪のステアリング系に伝達する電動パワーステアリング装置と、少なくとも前輪の転舵角及び車速に基づいて左右の後輪の転舵角を制御する後輪転舵装置と、並びに前記電動パワーステアリング装置及び前記後輪転舵装置を制御する操舵制御装置とを備える車両の全輪操舵装置において、
    前記操舵制御装置は、
    前記車両のヨーレートを検知する手段と、
    前記後輪転舵装置の失陥状態を判断する手段と、
    前記前輪の転舵角、前記ヨーレート及び前記車速に基づいて、前記失陥状態におけるヨーレートゲインを算出する手段と、
    前記ヨーレート、前記車速及び前記失陥状態におけるヨーレートゲインに基づいて前記失陥状態におけるヨーレートフィードバックトルク補正値を算出する手段と、
    前記補助トルクの目標値を、前記ヨーレートフィードバックトルク補正値で修正する手段と、
    を備えることを特徴とする車両の全輪操舵装置。
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