JP4344528B2 - 医療用容器および医療用容器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、遠心分離器、ダイアライザー、輸液フィルター、白血球除去フィルター、人工肺、熱交換器、リザーバー等の血液処理用容器やケーシングのような各種の医療用容器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
採血を行う場合、現在では、血液の有効利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者に返還する成分採血が行われている。
【0003】
このような成分採血において、血小板製剤を得る場合、供血者から採血した血液を血液成分分離回路に導入し、該血液成分分離回路に設置された遠心ボウルと呼ばれる遠心分離器により、血漿、白血球、血小板および赤血球の4成分に分離し、そのうちの血小板をバッグに回収して血小板製剤とし、残りの血漿、白血球および赤血球は、供血者に返血することが行われる。そして、目標とする血小板数を確保するために、上記採血、採血血液の遠心分離、血小板の回収および返血よりなる一連の血液処理工程が複数回行われる。
【0004】
遠心ボウル(遠心分離器)は、血液の流入口と血液成分の排出口とを有するステーターと、内部に円環状の貯血空間を有し、ステーターに対し回転可能に支持されたローターとで構成されており、前記流入口より貯血空間内へ血液を供給しつつ、ローターを高速回転させることにより、前記貯血空間内の血液が遠心分離され、回転中心に近い側から血漿層、バフィーコート層および赤血球層に分離されるよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この場合、ローターは、貯血空間を画成する容器(医療用容器)を構成するものであり、頂部側に血液成分の流出部を有する釣り鐘状(ベル状)の容器本体と、該容器本体の底部開口を塞ぐ円板状の底板(遮蔽部材)とを備え、容器本体と底板とは、いずれも、硬質樹脂で構成されている。そして、容器本体の側壁の端部と底板の外周部とが液密に融着されて固着されている。
【0006】
この容器本体と底板との融着は、熱融着または超音波融着により行われているが、熱融着による方法では、融着部の形状に依存した熱の伝搬性にムラが生じることから、均一な融着が困難で、融着強度が部分的に低下する部位が生じるという欠点がある。さらに、ピンホール、部分剥離、気泡の混入等の融着欠陥が生じることもある。
【0007】
また、超音波融着による方法では、前記のような融着欠陥が生じ易いという欠点がある他、融着部の超音波振動により、かすが発生するので、融着完了後、容器内を洗浄してかすを取り除かねばならず、洗浄や洗浄後の乾燥等の操作が煩雑であるという欠点がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−108594号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、均一で効率の良い融着ができ、融着強度が高く、また、融着時にかすが生じない医療用容器および医療用容器の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
【0011】
(1) 貯血空間を有し、該貯血空間内の血液を遠心分離する機能を有する遠心分離器またはそのローターを構成する医療用容器であって、
硬質の樹脂材料で構成された周壁を有する容器本体と、硬質の樹脂材料で構成され、前記容器本体の端部開口を遮蔽する遮蔽部材とを備え、
前記容器本体の周壁の端部と前記遮蔽部材の外周付近の内面とが、光吸収材を介在させた状態でレーザ光を照射することにより融着されており、
前記レーザ光の照射により形成された融着部の内周側に、前記融着部の内周の全周に渡って凹凸嵌合部が形成されていることを特徴とする医療用容器。
【0012】
(2) 前記凹凸嵌合部は、前記遮蔽部材の前記融着部の内周部に全周に渡って形成された円環状の溝で構成された凹部と、前記容器本体の側壁の下端内周部に全周に渡って形成された円環状の突起で構成され、前記凹部に嵌合し得る凸部とで構成されている上記(1)に記載の医療用容器。
【0019】
(3) 貯血空間を有し、該貯血空間内の血液を遠心分離する機能を有する遠心分離器またはそのローターを構成する医療用容器の製造方法であって、
前記医療用容器は、硬質の樹脂材料で構成された周壁を有する容器本体と、硬質の樹脂材料で構成され、前記容器本体の端部開口を遮蔽する遮蔽部材とを備え、
前記医療用容器の融着すべき部位の内周側に、この融着すべき部位の内周の全周に渡って凹凸嵌合部が形成されており、
前記容器本体の周壁の端部と前記遮蔽部材の外周付近の内面とを、それらの間に光吸収材を介在させた状態でレーザ光を照射することにより融着することを特徴とする医療用容器の製造方法。
【0020】
(4) 前記凹凸嵌合部は、前記遮蔽部材の前記融着部の内周部に全周に渡って形成された円環状の溝で構成された凹部と、前記容器本体の側壁の下端内周部に全周に渡って形成された円環状の突起で構成され、前記凹部に嵌合し得る凸部とで構成されている上記(3)に記載の医療用容器の製造方法。
【0022】
(5) 前記容器本体を保持具により保持した状態で前記融着を行う上記(3)または(4)に記載の医療用容器の製造方法。
【0024】
(6) 加圧具により融着すべき部位を加圧しつつ前記融着を行う上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0025】
(7) 前記加圧具の融着部に対応する部位は、レーザ光透過性を有する材料で構成され、融着の際、レーザ光を該部位を透過させて照射する上記(6)に記載の医療用容器の製造方法。
【0026】
(8) 前記容器本体および前記遮蔽部材を回転させつつ前記レーザ光の照射を行い、全周に渡って融着する上記(3)ないし(7)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0030】
(9) 前記レーザ光の照射は、前記遮蔽部材の全周に対しほぼ等しい照射角度で行われる上記(3)ないし(8)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の医療用容器および医療用容器の製造方法を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の医療用容器を遠心分離器(遠心ボウル)に適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。まず、図1に基づき、本発明の医療用容器である遠心分離器の構成について説明する。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、「上部」または「上端」、下側を「下」、「下部」または「下端」と言う。
【0035】
遠心分離器4は、ステーター40と、ステーター40に対し回転可能なローター50とで構成されている。ステーター40の上部には、ボウルヘッド41が設けられ、該ボウルヘッド41には、互いに反対方向へ向けて突出する流入口43および流出口44が形成されている。ボウルヘッド41の長手方向中央部付近には、後述するシール機構48を収納するスカート状のカバー42が形成されている。
【0036】
ボウルヘッド41の下端部には、下方へ向けて拡開する上部流出管45が液密に嵌入されている。また、ボウルヘッド41の内腔および上部流出管45の内腔には、下部流入管46が挿入されており、2重管構造をなしている。
【0037】
下部流入管46の上端461は、流出口44より上方へ突出し、流入口43に連通している。また、下部流入管46の途中には、上部流出管45の下面に対面する形状のフランジ部462が形成されている。
【0038】
上部流出管45とフランジ部462との間には、幅狭の流路463が形成され、この流路463は、ボウルヘッド41の内面と下部流入管46の外面との間に形成される流路464を介して、流出口44に連通している。
【0039】
下部流入管46の下端には、鉛直方向に延出する直管状の流入管47が接続されている。流入管47の下端は、ローター50内の底部付近に位置している。
【0040】
シール機構48は、ローター50の上端部を液密にシールするものであり、リング481と、内周縁部がボウルヘッド41に固着されたシール部材482と、シール部材482の外周縁部をリング481との間で挟持固定する押え部材483とで構成されている。
【0041】
リング481は、ローター50の回転時に、ローター50側に固定された摺動部材58と接触して摺動する凸部484を有している。シール部材482は、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム等の各種ゴムや各種熱可塑性エラストマー等の弾性材料よりなる膜で構成されている。
【0042】
一方、ローター50は、釣り鐘状(または俵状でもよい)をなす容器本体(ボウル本体)51と、容器本体51の下端開口を遮蔽する底板(板状の遮蔽部材)52と、容器本体51内に位置する釣り鐘状(ベル状)の外核53と、外核53の内側に嵌合された筒状の内核54とで構成され、これらを組み立てたものである。容器本体51および底板52は、いずれも回転体形状をなしており、底板52は、容器本体51に対し、融着により液密に固着されている。これについては、後に詳述する。
【0043】
内核54の内側には、前記流入管47が挿通され、ローター50は、流入管47の管軸(回転中心軸500)を中心として回転する。
【0044】
容器本体51の側壁511の内周面と、外核53の外周面との間には、円環状の貯血空間(懸濁液貯留空間)55が形成されている。また、容器本体51の肩部内面と、外核53の上部外面との間には、貯血空間55の上部に連通し、そこからローター50の回転中心軸500方向に向かう幅狭の流路56が形成されている。
【0045】
底板52は、ほぼ円板状の部材であり、その中心部には、流入管47を流下した血液を受ける凹部521が形成されている。また、内核54の下面と底板52の上面(内面)との間には、ほぼ円盤状の流路57が形成されている。この流路57の内周側は、凹部521および流入管47内に連通し、外周側は、貯血空間55の下部に連通している。
【0046】
これにより、貯血空間55の下部は、流路57、流入管47の内腔および下部流入管46の内腔を介して、流入口43に連通し、貯血空間55の上部は、流路56、流路463および流路464を介して、流出口44に連通する。
【0047】
容器本体51の上部には、縮径部515が形成されており、該縮径部515内に、前記上部流出管45およびフランジ部462が収納されている。また、縮径部515の上端部には、例えばセラミックスで構成されたリング状の摺動部材58が嵌入固定されている。
【0048】
貯血空間55は、図1中上方へ向かってその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしている。特に、貯血空間55の上部は、ローター50の回転中心軸500へ向かって湾曲し、幅狭の流路56に至っている。この湾曲部分を肩部59といい、流路56の最内周の部分をダム部60という。ダム部60は、遠心分離操作時に血液成分がこれを越える(回転中心軸500側へ移行する)と、縮径部515の内面に沿って流れ、さらに流路463、464を経て流出口44より流出し、これを越えなければローター50の回転数を下げること等により血液成分を貯血空間55内に戻すことが可能な境界部である。
【0049】
また、このローター50において、貯血空間55の容積Vは、特に限定されないが、通常、50〜1000[ml]程度とするのが好ましく、100〜300[ml]程度とするのがより好ましい。
【0050】
容器本体51、底板52、外核53および内核54は、それぞれ、硬質の樹脂材料で構成されている。この硬質の樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレンが挙げられる。
【0051】
容器本体51および底板52の構成材料(硬質の樹脂材料)の融点は、特に限定されないが、200〜400℃程度のものが好ましく、250〜350℃程度のものがより好ましい。このような材料を用いることにより、融着後の固定が早くなり、融着部5の融着性、融着の均一性がより向上する。
【0052】
また、容器本体51、底板52、外核53および内核54のうちの少なくとも容器本体51は、貯血空間55の視認性を確保するために、実質的に透明な材料で構成されているのが好ましい。
【0053】
特に、容器本体51と底板52とは、後述する融着部の融着強度を高めるために、同一または同種の材料、あるいは相溶性に優れる材料であるのが好ましい。
【0054】
以上のようなローター50は、回転駆動装置7(図2参照)により予め設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転される。この遠心条件により、ローター50内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。本実施形態では、血液が貯血空間55内で内層より血漿層、バフィーコート層および赤血球層に分離されるように遠心条件を設定することができる。バフィーコート層は、血小板と白血球とを含んでいる。このバフィーコート層は、血漿層および赤血球層に比べて少量であるが、ローター50が前述したような寸法条件を満たすことにより、バフィーコート層が貯血空間55から流路56内へ移行したとき、十分に広げられるので、血小板と白血球とをより明確に分離することができる。
【0055】
図4〜図6は、それぞれ、ローター50の容器本体51と底板52との融着部5を拡大して示す縦断面図である。底板52は、容器本体51に対し、融着されて固定される。すなわち、図4に示す構成では、容器本体51の側壁511の下端面513と、底板52の外周付近の内面(上面)522とが、ローター50の全周に渡って融着され、底板52の外面(下面)523側から見て円環状の融着部5を形成している。
【0056】
この場合、融着部5の幅(半径方向の長さ)は、特に限定されないが、必要かつ十分な融着強度を得ることを考慮して、1.5〜4mm程度が好ましく、2〜3mm程度がより好ましい。
【0057】
また、底板52の融着部5付近の厚さは、特に限定されないが、底板52の強度とレーザ光Lの透過性の両立を考慮して、0.05〜0.3mm程度が好ましく、0.1〜0.2mm程度がより好ましい。
【0058】
底板52の外周面は、内面522側から外面523側に向けて回転中心軸500(容器本体51の中心軸)に近づくように傾斜したテーパ面524で構成されている。このようなテーパ面524を形成することにより、回転駆動装置7への装着を確実かつ容易にすることができる。
【0059】
このテーパ面524と回転中心軸500とのなす角度(テーパ角度)は、特に限定されないが、通常、1〜40°程度とされる。なお、本発明では、このテーパ面524が形成されていないもの(テーパ角度=0)であってもよいことは、言うまでもない。
【0060】
融着部5の内周側には、凹凸嵌合部501が形成されている。この凹凸嵌合部501は、底板52側に形成された凹部502と、容器本体51側に形成され、前記凹部502に嵌合し得る凸部503とで構成されている。このような凹凸嵌合部501を設けることにより、融着部5の接合強度をより高めることができる。
【0061】
図4に示す構成では、凹部502は、底板52の融着部5の内周部に全周に渡って形成された円環状の溝で構成されており、凸部503は、容器本体51の側壁511の下端面513の内周部に全周に渡って形成された円環状の突起で構成されている。すなわち図4に示す構成では、凹凸嵌合部501は、融着部5の内周の全周に渡って形成されたものである。なお、容器本体51の側壁511の内周面には、複数のリブ512が、周方向に沿って間欠的(断続的)に形成されている。このリブ512は、容器本体51の補強効果、または貯血空間55内の血液の攪拌作用を与えるものである。
【0062】
図5に示す構成では、容器本体51の側壁511の内周面に、前記と同様のリブ512が形成されており、凸部503は、リブ512の下端に形成され、凹部502は、凸部503に対応する位置に形成されている。すなわち図5に示す構成では、凹凸嵌合部501は、融着部5の内周に沿って間欠的(断続的)に形成されている。
【0063】
図6に示す構成では、凹部502は、底板52の融着部5より内周側に全周に渡って形成された円環状の溝で構成されている。一方、容器本体51の側壁511の下端部そのものが、凸部503を構成し、この凸部503が前記凹部502に嵌合する。そして、融着部5は、凸部503の外周面(側面)および先端面に形成される。すなわち図6に示す構成では、凹凸嵌合部501は、融着部5の内周の全周に渡って形成されたものである。なお、前記図4の構成と同様に、容器本体51の側壁511の内周面には、複数のリブ512が、周方向に沿って間欠的(断続的)に形成されている。
【0064】
融着部5は、底板52の外面523側またはテーパ面524側(図6の場合)からレーザ光Lを照射することにより形成されたものである。より詳しくは、レーザ光Lをスポット状に照射し、この照射スポットを底板52の半径方向(図6の場合、テーパ面524の板厚方向)および周方向に連続的または断続的に移動するようにして、融着部5全体を形成する。
【0065】
また、図4および図6に示す構成では、凹凸嵌合部501が融着部5の内周の全周に渡って、形成されていることにより、貯血空間55と融着部5が凹凸嵌合部501によって完全に仕切られている。このため、貯血空間55内の血液が後述する光吸収材505に接することがないので、安全性の観点から優れている。
【0066】
このように、本発明では、レーザ光Lの照射により融着するので、熱融着に比べて、融着ムラが少なく、周方向に沿って均一な融着が可能となり、ピンホール、部分剥離、気泡の混入等の融着欠陥も生じ難い。その結果、融着部5は、高い融着強度(接合強度)が得られる。また、超音波融着のように、融着の際にかすが生じることがないので、遠心分離器4の製造に際し、かすを取り除くために遠心分離器4を洗浄する工程(洗浄や洗浄後の乾燥等を含む)を行わずに済み、簡単かつ少ない工程で製造することができる。
【0067】
照射するレーザ光Lの種類としては、特に限定されず、例えば、半導体レーザ、CO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等が挙げられるが、その中でも特に、半導体レーザがエネルギー効率が良く、寿命が長いという理由で好ましい。
【0068】
照射するレーザ光Lの波長は、概ね、前記レーザ光Lの種類に依存するが、半導体レーザの場合、波長は、800〜1000nm程度であるのが好ましい。
【0069】
融着部(融着すべき部位)5へのレーザ光Lの照射方向(照射角度)は、特に限定されないが、各図の構成では、融着部5の領域(面)に対しほぼ直交する方向とされる。すなわち、図4および図5の構成では、ローター50の回転中心軸500とほぼ平行な方向とされ、図6の構成では、底板52の外周面(テーパ面524)に対しほぼ直交する方向とされる。その他、レーザ光Lの照射方向は、融着部5の領域(面)に対し所定角度傾斜した方向であってもよい。
【0070】
なお、融着部5へのレーザ光Lの照射角度は、底板52の全周に対しほぼ等しい角度であるのが好ましい。これにより、融着部5は、周方向に沿ってより均一な融着がなされ、さらに高い融着強度(接合強度)が得られる。
【0071】
このような融着(融着部5の形成)は、容器本体51を保持具により保持した状態で行うのが好ましい。図3は、遠心分離器4の製造方法(組立方法)、すなわち容器本体51を保持具300により保持した状態で融着を行っている状態を示す縦断面図である。
【0072】
図3に示すように、保持具300は、有底筒状の外筒301と、この外筒301内に設置された筒状の内筒302とを有する2重筒構造をなしている。内筒302は、外筒301に対し固定的に設置されているのが好ましい。この場合、内筒302は、外筒301と同心的に設置されている。また、内筒302の長さは外筒301の長さより短く設定されている。
【0073】
外筒301の図3中上端部内面には、遠心分離器4を保持したとき、容器本体51の側壁(側板)511の下端部外周面が当接するテーパ状の当接面303が形成されている。
【0074】
保持具300を以上のような構成とすることにより、遠心分離器4を安定的に保持することができる。
【0075】
このような保持具300は、遠心分離器4を図1とは上下を逆にして挿入し、保持する。この場合、遠心分離器4は、容器本体51の側壁511の下端部外周面が当接面303に当接するとともに、容器本体51の肩部59付近の外面が内筒302の図3中上端に当接(または接近)し、流入口43および流出口44を含むボウルヘッド41の頂部が外筒301内の底面に接触しないような状態で保持される。
【0076】
また、融着(融着部5の形成)は、容器本体51を保持具により保持した状態で行うとともに、加圧具350により融着すべき部位を加圧しつつ行うのが好ましい。図3に示すように、加圧具350は、中心部に軸352を有する円盤状の加圧具本体351と、この加圧具本体351の外周部に固着された加圧板353とで構成され、図3中の矢印Pで示す方向に加圧される。
【0077】
加圧板353は、遠心分離器4の融着部(融着すべき部位)5に対応する形状、すなわちリング状(図6に示す構成の場合、さらに加圧板353の外縁部が折れ曲がった形状)をなしている。これにより、融着部5の全周に渡って、均一な加圧力を作用させることができ、均一かつ強固な融着に寄与する。
【0078】
なお、図6に示す構成の加圧板353では、図3中の矢印P方向に加圧力が作用した場合、そのうちのテーパ面524に垂直な方向のベクトル成分に相当する加圧力が融着部5に作用する。
【0079】
また、加圧板353は、融着に用いるレーザ光Lの透過性を有する材料、例えば、各種ガラス、各種樹脂等の透明な材料で構成されている。そして、融着部(融着すべき部位)5へのレーザ光Lの照射は、この加圧板353を透過させて行う。
【0080】
このように、加圧板353で加圧しつつそこにレーザ光Lを照射して融着することができるので、融着作業を容易かつ確実に行うことができ、容器本体51と底板52との位置ズレも防止することができる。特に、加圧板353が透明な部材で構成されているので、加圧板353の上から遠心分離器4のレーザ光Lを照射する位置を容易に視認することができ、位置合わせが容易かつ正確に行えるとともに、レーザ光Lの照射後の融着点や融着状態を視認することもできるという利点がある。
【0081】
また、加圧板353による加圧力は、融着開始時および融着進行中の融着部5に伝達され、容器本体51の側壁511の下端面513と、底板52の外周付近の内面(上面)522とがそれぞれ光吸収材505に密着した状態で融着がなされるので、融着部5に気泡(ボイド)等が残存することもなく、より均一かつ強固に融着がなされる。
【0082】
加圧具350による加圧力(押え圧力)は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜5MPa程度、より好ましくは0.3〜3MPa程度とされる。
【0083】
また、加圧板353を透過する際の吸収や反射によるレーザ光Lの損失は、できるだけ少ないほうがよいので、加圧板353におけるレーザ光Lの透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とされる。
【0084】
このような融着(融着部5の形成)は、遠心分離器4を固定し、レーザ光Lの照射装置(光源)を回転させて行うこともできるが、装置の構成の簡素化、小型化を図ることができるという利点から、容器本体51および底板52を回転中心軸500を中心として回転させつつレーザ光Lの照射を行い、全周に渡って融着するのが好ましい。本実施形態では、遠心分離器4全体を保持具300毎回転させつつレーザ光Lの照射を行い、リング状の融着部5を形成する。
【0085】
この場合、図3に示すように、保持具300を回転中心軸500と同心的に回転するターンテーブル380の上に載置し、このターンテーブル380を図示しないモータ等の駆動源により回転駆動して、保持具300およびこれに保持された遠心分離器4ならびに加圧具350(また加圧具350の加圧具本体351および加圧板353)を回転する。
【0086】
底板52の全周に渡って融着部5へのレーザ光Lの照射角度がほぼ等しい角度であるのが好ましいことは既に述べたが、このように、容器本体51および底板52を回転させつつレーザ光Lの照射を行う構成では、レーザ光Lの照射装置(光源)側の角度を固定し、遠心分離器4側を回転させれば、全周に渡って等しい照射角度を容易に得ることができるので、好ましい。
【0087】
このような融着(融着部5の形成)に際し、本発明では、容器本体51の側壁511の下端面513と、底板52の外周付近の内面(上面)522との間に光吸収材(光吸収物質)505を介在させた状態で、レーザ光Lの照射を行う。これにより、照射されたレーザ光Lは、効率良く光吸収材505に吸収され、熱に変わるので、より低出力で効率的な融着が可能となる。また、ピンホール、部分剥離等の融着欠陥も生じ難い。その結果、さらなる融着強度(接合強度)の向上を図ることができる。
【0088】
特に、別途用意された光吸収材505を用いることにより、レーザ光を吸収させるために容器本体51や底板52そのものを着色する必要がなく、容器本体51や底板52を実質的に透明なものとすることができるので、内部(貯血空間55)の視認性を十分に確保することができる。
【0089】
光吸収材505としては、例えば、カーボンブラック等の粉末、該粉末や後述する染料を含むペースト状のもの、または該粉末や該染料を含むシート状(層状)のものが挙げられる。
【0090】
例えば、ペースト状の光吸収材505を用いる場合、側壁511の下端面513または底板52の外周付近の内面522の少なくとも一方に光吸収材505を均一に塗り、該光吸収材505を介して側壁511の下端面513と底板52の外周付近の内面522とを接合し、好ましくは加圧具350による加圧状態(例えば押え圧力:0.3〜3MPa程度)で、レーザ光Lを前記の条件で照射してこれらを融着する。
【0091】
ペースト状の光吸収材505は、その形状が自由に変えられるため、例えば図6に示すような、融着部5が湾曲、屈曲した異形の場合に適している。
【0092】
また、例えば、シート状の光吸収材505を用いる場合、融着部5の形状と同形状(円環状)に打ち抜かれた(切り取られた)シート状の光吸収材505を用意し、これを側壁511の下端面513と底板52の外周付近の内面522との間に挟み、好ましくは加圧具350による加圧状態(例えば押え圧力:0.3〜3MPa程度)で、レーザ光Lを前記の条件で照射してこれらを融着する。
【0093】
シート状の光吸収材505を用いる場合、予め融着部5に対応する形状のものを用意(製造)しておき、それを目的部位に装着すればよいので、ペースト状の光吸収材505を用いる場合に比べ、その操作が簡単であるという利点がある。
【0094】
また、光吸収材505を構成する光吸収物質(レーザ光吸収物質)として、次に挙げるような、融着部5の透明度をできるだけ低下させないものを用いることができる。このような光吸収物質(レーザ光吸収物質)としては、可視光領域(0.4μm以上0.7μm未満)の吸収が少なく、0.7〜2.5μmのレーザ光波長領域において狭い吸収帯で高いモル吸光度係数を示すものが好ましく、例えば、シアニン染料、スクウォリリウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
【0095】
具体例を挙げて説明すると、例えば、シアニン染料としては、下記化学式1で示される化合物、スクウォリリウム染料としては、下記化学式2で示される化合物、クロコニウム染料としては、下記化学式3で示される化合物を用いることができる。
【0096】
【化1】
【0097】
【化2】
【0098】
【化3】
【0099】
以上のような光吸収物質(レーザ光吸収物質)を用いることにより、融着部5の透明度の低下を極力抑えることができるので、透明な材料で構成される容器本体51および底板52に対し、融着部5が着色されて目立ってしまい、外観上の統一感を損なうということも防止される。
【0100】
図2は、図1に示す遠心分離器4を備えた血液成分採取回路の実施形態を示す構成図である。以下、この血液成分採取回路の構成について、図2を参照しつつ説明する。
【0101】
血液成分採取回路1は、血液成分採取装置に装着されて、血液(全血)から血小板(目的とする血液成分)を採取(回収)するための回路であって、遠心分離器(遠心ボウル)4と、遠心分離器4に血液または血液成分を導入する第1のライン(血液導入ライン)2と、遠心分離器4にて分離された血液成分を回収する第2のライン(血液成分回収ライン)3と、第3のライン(採血・返血ライン)10とにより構成されている。
【0102】
血液成分採取装置は、遠心分離器4のローター50を回転する回転駆動装置7と、光学センサー61、62と、第1のライン2に設置されるポンプ9と、第3のラインに設置されるポンプ107と、バルブ83、84、85、86と、光学センサー61、62からの検出信号等に基づいてポンプ9、回転駆動装置7および各バルブ83〜86の作動を制御する制御手段(図示せず)とを有する。
【0103】
図2に示すように、第3のライン10は、主に、チューブ101と、チューブ101の先端に接続された採血針104と、チューブ101の途中にY字状の分岐コネクタ102を介して接続されたチューブ103と、チューブ103の先端に接続された瓶針108と、チューブ103の途中に接続された点滴筒105および除菌フィルター106とで構成されている。チューブ103の途中には、ローラポンプよりなる送液用のポンプ107が設置されている。
【0104】
チューブ101の基端は、T字状の分岐コネクタ12を介してチューブ13および20の一端と接続されている。チューブ101の途中には、チューブ101の内部流路を遮断・解放し得る流路開閉手段であるバルブ83が設置されている。
【0105】
第1のライン2は、チューブ13およびその一端に接続された分岐コネクタ12により構成されている。チューブ13の他端は、遠心分離器4の流入口43に接続され、チューブ13の途中には、例えばローラポンプよりなる送血用のポンプ9が設置されている。
【0106】
遠心分離器4の流出口44には、チューブ14の一端が接続され、チューブ14の他端は、T字状の分岐コネクタ15を介してチューブ16および18の一端と接続されている。
【0107】
チューブ16の他端は、血小板を貯留する血小板バッグ17に接続され、チューブ16の途中には、チューブ16内の流路を開閉するバルブ85が設置されている。
【0108】
また、チューブ18の他端は、血漿バッグ21に接続され、チューブ18の途中には、チューブ18内の流路を開閉するバルブ86が設置されている。
【0109】
一端が分岐コネクタ12に接続されているチューブ20の他端は、血漿バッグ21に接続され、チューブ20の途中には、チューブ20内の流路を開閉するバルブ84が設置されている。
【0110】
このような構成において、チューブ14、16、18、20、分岐コネクタ15、血小板バッグ17および血漿バッグ21により、第2のライン3が構成されている。このうち、チューブ14、18および血漿バッグ21は、血漿を回収するための血漿回収用分岐ラインを構成し、チューブ14、16および血小板バッグ17は、血小板を回収するための血小板回収用分岐ラインを構成する。
【0111】
回転駆動装置7は、例えば、遠心分離器4を収納するハウジングと、遠心分離器4のローター50を保持する円盤状の固定台と、この固定台を回転駆動するモータ(いずれも図示せず)とで構成されている。
【0112】
光学センサー61は、ローター50内の分離された血液成分の界面、すなわち、バフィーコート層と赤血球(濃厚赤血球)層との界面の位置を光学的に検出するもので、ローター50の外周面に対面するように設置されている。
【0113】
この光学センサー61は、LEDのような発光素子とフォトダイオードのような受光素子とを有し、発光素子から発っせられた光の血液成分での反射光を受光素子により受光し、その受光光量を光電変換するように構成されている。分離されたバフィーコート層と赤血球層とで反射光の強度が異なるため、受光光量すなわち出力電圧が変化した受光素子に対応する位置が、界面の位置として検出される。
【0114】
チューブ14の流出口44と分岐コネクタ15との間には、チューブ14内を流れる血液成分中の血小板の濃度を検出し得る光学センサー62が設置されている。この光学センサー62は、チューブ14を介して対向配置された投光部(光源)63および受光部(フォトダイオード)64で構成されている。投光部63から発せられた光(例えばレーザ光)は、チューブ14を透過して受光部64で受光され、その受光光量に応じた電気信号に変換されるが、チューブ14内を流れる血液成分中の血小板濃度に応じて透過率が変化し、受光部64での受光光量が変動するため、この変動を受光部64からの出力電圧の変化として検出することができる。
【0115】
前記各バルブ83〜86は、例えば、ソレノイド、電動モータ、またはシリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動し、該駆動源は、後述する制御手段からの信号に基づいて作動する。
【0116】
なお、血液成分採取回路1は、図2に示す構成のものに限定されないことは、言うまでもない。
【0117】
次に、図2に示す血液成分採取回路1の作用の好適例について説明する。
[1] 血液成分採取回路1を血液成分採取装置に装着する。そして、ドナー(供血者)の血管に採血針104を穿刺し、チューブ103をクレンメで閉塞し、バルブ83、85を開、その他のバルブを閉とした状態で、ポンプ9を作動(正転)する。これにより、ドナーからの血液は、チューブ101および13を介して移送され、遠心ボウル4の流入口43より流入し、流入管47および流路57を経て貯血空間55内に導入される。なお、ポンプ9の回転速度は、血液吐出量(血液供給速度)が例えば20〜100ml/min 程度となるように設定される。
【0118】
[2] また、前記工程[1]の血液移送と同時に、ポンプ107を作動して瓶針108を介して抗凝固剤(例えばACD−A液)を添加するとともに回転駆動装置7を作動して、ローター50を好ましくは3000〜6000rpm(例えば、4800rpm)で回転する。流入管47の下端開口より流出した血液は、一旦凹部521で受けられ、ローター50の回転による遠心力により、流路57を外周方向へ向けて放射状に流れ、貯血空間55に集められ、該貯血空間55において回転中心軸500側より血漿層、バフィーコート層および赤血球層に分離される。
【0119】
なお、前述したように、ローター50の融着部5は、ピンホール等の融着欠陥がなく良好かつ均一に融着され、融着強度も高いため、前述のような高速でローター50を回転しても、融着部5に亀裂や破損等が生じることはなく、十分な耐久性が確保されている。
【0120】
[3] 前記工程[1]、[2]を継続しつつ、血漿層が肩部59に到達し、さらに流路56を経てダム部60に到達したら、バルブ85を閉じ、バルブ86を開く。流路56内の血漿は、ダム部60を越え、流路463、464を経て流出口44より流出し、チューブ14、18を介して血漿バッグ21内に回収される。
【0121】
[4] ローター50内からの血漿の排出に伴い、バフィーコート層と赤血球層との界面も徐々に回転中心軸500側へ移動する。この界面は、光学センサー61により随時検出されており、界面が所定レベル(サージ開始レベル)に到達したことが検出されると、制御手段は、その検出信号(界面位置検出情報)に基づき、ポンプ9の回転を停止するよう制御する。これにより、血液の移送および血漿の回収が終了する。
【0122】
なお、前記サージ開始レベルは、貯血空間55の容積Vに対する貯血空間55内に存在する赤血球層の体積の比率が好ましくは84〜97%、より好ましくは90〜95%に達したときのレベルとする。前記比率が84%未満であると、サージ工程において血小板の回収率が低くなる。また、前記比率が97%を超えると、作用する遠心力が小さ過ぎるため、サージ工程での血漿供給速度等の条件によっては、血小板が白血球を伴って浮上し、回収された血小板中の白血球の除去率が低下する。
【0123】
[5] 続いて、制御手段の制御により、バルブ84、85を開、その他のバルブを閉とし、かつ再度ポンプ9を作動(正転)するとともに、血漿バッグ21内の血漿を、所定の血漿供給速度で、チューブ20、13、流入口43、流入管47および流路57を介して貯血空間55の下部へ供給する。供給された血漿は、貯血空間55内を上昇し、さらに流路56を回転中心軸500方向へ向かって流れる。これにより、流路56内にあるバフィーコート層中の血小板が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、流路463、464を経て流出口44より流出し、チューブ14および16を介して血小板バッグ17内に回収される(サージ工程)。
【0124】
このサージ工程において、制御手段は、ポンプ9の回転速度(血漿吐出量)を制御することにより、ローター50内への血漿の供給速度を好ましくは10〜90ml/min程度、より好ましくは25〜70ml/min程度に設定する。血漿供給速度が10ml/min未満では、血小板の回収に要する時間が長くなり、90ml/minを超えると、血小板とともに白血球の浮上量が増え、回収された血小板中の白血球の除去率が低下し易くなる。
【0125】
[6] ローター50内からの血小板の流出に伴い、光学センサー62により検出される血小板濃度は、上昇傾向を示し、その血小板濃度が所定値に達したら、制御手段の制御により、ポンプ9の回転数を例えば30〜85%程度に下げて、ローター50内への血漿の供給速度を低減させる。なお、血漿の低速供給の継続に従い、光学センサー62により検出される血小板濃度は増加し、ピークに達した後、減少に転じる。
【0126】
[7] 光学センサー62により検出される血小板濃度が予め設定された基準値以下となったら、血小板バッグ17への血小板の回収が終了したものとみなし、制御手段の制御により、ポンプ9を停止してローター50内への血漿の供給を停止し、さらに回転駆動装置7を停止する。これにより、血小板の回収が終了する。
【0127】
[8] バルブ83、85を開、その他のバルブを閉とし、ポンプ9を逆回転する。これにより、遠心ボウル4内に残った赤血球、白血球および少量の血漿が、流入管47、流入口43、チューブ13、101を介して、ドナーに返血される。
【0128】
また、本工程の後またはその途中で、バルブ84、86を開、その他のバルブを閉としてポンプ9を作動(正転)し、血漿バッグ21内の血漿をチューブ20、13、流入口43、流入管47を介してローター50内に入れ、続いて、バルブ83、85を開、その他のバルブを閉としてポンプ9を逆回転し、血漿バッグ21から移したローター50内の血漿を、流入管47、流入口43、チューブ13、101を介して、ドナーに返血してもよい。
【0129】
[9] ポンプ9を作動(正転)して、前記工程[1]を行い、さらに前記工程[2]〜[8]を行う。これにより、採血血液に対し、血小板バッグ17への血小板の回収およびその他の血液成分のドナーへの返血がなされる。
【0130】
[10] 血小板バッグ17付近のチューブ16を例えば融着により封止し、さらにこの封止部を切断、分離することにより、血小板製剤入りの血小板バッグ17が得られる。
【0131】
なお、上記[5]のサージ工程に代わり、第3のライン10および第1のライン2を介して、より低速で貯血空間55の下部へ血液を供給し、血液成分の界面を回転中心軸500方向へ移動させて血小板をダム部60から流出させる操作を行ってもよい。
【0132】
以上のように、本実施形態の血液成分採取回路1では、血漿等の血液成分や血液を貯血空間55に下方より供給して、分離された血液成分の界面を緩徐に移動させるので、界面を乱すことなく、バフィーコート層中からの血小板の取り出しを確実に行うことができ、血小板の収率および回収された血小板中の白血球の除去率が向上する。
【0133】
特に、血小板排出時における血液成分の供給速度の設定により、血小板の排出条件が最適に調整され、よって、白血球の除去率が極めて高い高品質の血小板製剤が得られる。しかも、光学センサー61や62による検出値に基づいて、装置の諸動作、特に血液成分の供給開始のタイミングや供給速度等を制御するため、自動化とともにより高精度の制御が可能となり、血小板の回収率および回収された血小板中の白血球の除去率がさらに向上する。このようなことから、該血小板製剤を用いた場合、肝炎、エイズ、GVHD等の感染をより高い確率で防止することができ、安全性が高い。
【0134】
以上、本発明を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明の医療用容器は、図示のものに限定されないことは言うまでもない。上述した医療用容器の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができ、また任意の構成を付加することができる。
【0135】
また、上記では、本発明の医療用容器を、遠心分離器(遠心ボウル)を例にして説明したが、本発明の医療用容器は、これに限定されず、例えば、ダイアライザー、輸液フィルター、白血球除去フィルター等のフィルター類、人工肺、熱交換器、リザーバー等の血液処理用容器や医療用機器のケーシングのような各種の医療用容器に適用することができる。
【0136】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、医療用容器の融着部を均一に融着することができ、ピンホール、部分剥離、気泡の混入等の融着欠陥が生じ難く、融着強度が高い。
【0137】
特に、容器本体や遮蔽部材とは別途の光吸収材を用いるので、容器本体や遮蔽部材自体を着色することなく、前述のような優れた融着部を得ることができる。
【0138】
また、融着時にかすが生じないため、洗浄工程等が不要であり、医療用容器を容易に(効率良く)組み立てまたは製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用容器を遠心分離器に適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す遠心分離器を備える血液成分採取回路の実施形態を模式的に示す構成図である。
【図3】図1に示す医療用容器(遠心分離器)の製造方法(融着方法)の一例を示す縦断面図である。
【図4】本発明の医療用容器における容器本体と底板との融着部付近の構成例を拡大して示す縦断面図である。
【図5】本発明の医療用容器における容器本体と底板との融着部付近の構成例を拡大して示す縦断面図である。
【図6】本発明の医療用容器における容器本体と底板との融着部付近の構成例を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 血液成分採取回路
2 第1のライン
3 第2のライン
4 遠心分離器(遠心ボウル)
40 ステーター
41 ボウルヘッド
42 カバー
43 流入口
44 流出口
45 上部流出管
46 下部流入管
461 上端
462 フランジ部
463、464 流路
47 流入管
48 シール機構
481 リング
482 シール部材
483 押え部材
484 凸部
5 融着部
50 ローター
500 回転中心軸
501 凹凸嵌合部
502 凹部
503 凸部
505 光吸収材
51 容器本体
511 側壁
512 リブ
513 下端面
515 縮径部
52 底板
521 凹部
522 内面(上面)
523 外面(下面)
524 テーパ面
53 外核
54 内核
55 貯血空間
56、57 流路
58 摺動部材
59 肩部
60 ダム部
61、62 光学センサー
63 投光部
64 受光部
7 回転駆動装置
83〜86 バルブ
9 ポンプ
10 第3のライン
101 チューブ
102 分岐コネクタ
103 チューブ
104 採血針
105 点滴筒
106 除菌フィルター
107 ポンプ
108 瓶針
12 分岐コネクタ
13、14 チューブ
15 分岐コネクタ
16 チューブ
17 血小板バッグ
18 チューブ
20 チューブ
21 血漿バッグ
300 保持具
301 外筒
302 内筒
303 当接面
350 加圧具
351 加圧具本体
352 軸
353 加圧板
380 ターンテーブル
L レーザ光
P 加圧力
Claims (9)
- 貯血空間を有し、該貯血空間内の血液を遠心分離する機能を有する遠心分離器またはそのローターを構成する医療用容器であって、
硬質の樹脂材料で構成された周壁を有する容器本体と、硬質の樹脂材料で構成され、前記容器本体の端部開口を遮蔽する遮蔽部材とを備え、
前記容器本体の周壁の端部と前記遮蔽部材の外周付近の内面とが、光吸収材を介在させた状態でレーザ光を照射することにより融着されており、
前記レーザ光の照射により形成された融着部の内周側に、前記融着部の内周の全周に渡って凹凸嵌合部が形成されていることを特徴とする医療用容器。 - 前記凹凸嵌合部は、前記遮蔽部材の前記融着部の内周部に全周に渡って形成された円環状の溝で構成された凹部と、前記容器本体の側壁の下端内周部に全周に渡って形成された円環状の突起で構成され、前記凹部に嵌合し得る凸部とで構成されている請求項1に記載の医療用容器。
- 貯血空間を有し、該貯血空間内の血液を遠心分離する機能を有する遠心分離器またはそのローターを構成する医療用容器の製造方法であって、
前記医療用容器は、硬質の樹脂材料で構成された周壁を有する容器本体と、硬質の樹脂材料で構成され、前記容器本体の端部開口を遮蔽する遮蔽部材とを備え、
前記医療用容器の融着すべき部位の内周側に、この融着すべき部位の内周の全周に渡って凹凸嵌合部が形成されており、
前記容器本体の周壁の端部と前記遮蔽部材の外周付近の内面とを、それらの間に光吸収材を介在させた状態でレーザ光を照射することにより融着することを特徴とする医療用容器の製造方法。 - 前記凹凸嵌合部は、前記遮蔽部材の前記融着部の内周部に全周に渡って形成された円環状の溝で構成された凹部と、前記容器本体の側壁の下端内周部に全周に渡って形成された円環状の突起で構成され、前記凹部に嵌合し得る凸部とで構成されている請求項3に記載の医療用容器の製造方法。
- 前記容器本体を保持具により保持した状態で前記融着を行う請求項3または4に記載の医療用容器の製造方法。
- 加圧具により融着すべき部位を加圧しつつ前記融着を行う請求項3ないし5のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
- 前記加圧具の融着部に対応する部位は、レーザ光透過性を有する材料で構成され、融着の際、レーザ光を該部位を透過させて照射する請求項6に記載の医療用容器の製造方法。
- 前記容器本体および前記遮蔽部材を回転させつつ前記レーザ光の照射を行い、全周に渡って融着する請求項3ないし7のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
- 前記レーザ光の照射は、前記遮蔽部材の全周に対しほぼ等しい照射角度で行われる請求項3ないし8のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
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