JP4232602B2 - 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両 - Google Patents
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Description
本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の構成を示すシステム図であり、図2は、車両用運転操作補助装置1を搭載した車両の構成図である。
図9(a)に示すように、自車両前方に仮想的な弾性体を設けたと仮定し、この仮想的な弾性体が前方車両に当たって圧縮され、自車両に対する擬似的な走行抵抗を発生するというモデルを考える。ここで、障害物に対するリスクポテンシャルRPは、図9(b)に示すように仮想弾性体が前方車両に当たって圧縮された場合の圧縮量と定義する。リスクポテンシャルRPは、以下の(式1)で表すことができる。
RP=l−D ・・・(式1)
l=Th×Vh ・・・(式2)
制御パラメータThは、例えば1secとする。図9(b)に示すように、自車両と前方車両との車間距離Dが短い場合には、仮想弾性体の長さlよりも前方車との車間距離Dが小さくなり、リスクポテンシャルRPは大きな値となる。なお、車間距離Dが弾性体の長さl以上の場合、リスクポテンシャルRP=0とする。
Fc=k×RP ・・・(式3)
ここで、kは、仮想的な弾性体の弾性定数であり、適切な制御効果が得られるように予め適切に調整される制御パラメータである。
まず、ステップS401で、自車両の前方に仮想的に設けた弾性体の反発力Fcを、上述した(式3)を用いて算出する。ステップS402では、ドライバ要求駆動力Fdaを推定する。コントローラ50内には、駆動力制御装置63内に記憶されたドライバ要求駆動力算出マップ(図4)と同一のものが用意されている。そこで、コントローラ50は、図4に示すマップに従って、アクセルペダル操作量SAに応じたドライバ要求駆動力Fdaを推定する。
ステップS500では、前方車両に対するリスクポテンシャルRPに基づいて、アクセルペダル反力制御装置60へ出力する反力制御指令値FAと、ブレーキペダル反力制御装置90へ出力する反力制御指令値FBとを算出する。具体的には、ステップS300で算出した現在の走行状況に基づくリスクポテンシャルRPに対して所定時間Δtだけ先行するリスクポテンシャル(以降、予測リスクポテンシャルと呼ぶ)RPforeを算出し、この予測リスクポテンシャルRPforeに基づいてアクセルペダル反力制御指令値FAとブレーキペダル反力制御指令値FBとを算出する。
ステップS501では所定時間Δtだけ先のリスクポテンシャルRPforeを、以下の(式4)を用いて算出する。
RPfore=lfore−Dfore ・・・(式4)
lfore=Th×(Vh+a×Δt) ・・・(式5)
Dfore=D+Vr×Δt ・・・(式6)
なお、Thは、上述した(式2)で用いた制御パラメータであり、例えば1secとする。
ステップS600では、ステップS400で算出した駆動力補正量ΔDa、及び制動力補正量ΔDbをそれぞれ駆動力制御装置63、及び制動力制御装置93に出力する。駆動力制御装置63は、駆動力補正量ΔDaと要求駆動力Fdaとから目標駆動力を算出し、算出した目標駆動力を発生するようにエンジンコントローラを制御する。また、制動力制御装置93は、制動力補正量ΔDbと要求制動力Fdbとから目標制動力を算出し、目標制動力を発生するようにブレーキ液圧コントローラを制御する。
(1)コントローラ50は、自車両周囲の障害物状況に基づいて、障害物に対するリスクポテンシャルRPを算出し、算出したリスクポテンシャルRPに基づいて、運転操作装置に発生する操作反力を制御するとともに、自車両に発生する駆動トルクを減少するよう制御する。自車両周囲のリスクポテンシャルに応じて操作反力制御を行うことにより、運転者による自車両の加減速操作を補助して適切にアシストすることができる。リスクポテンシャルRPが大きくなると駆動トルクが減少するので、加速感の低下または減速感を警報として運転者に与えることができる。さらに、コントローラ50は操作反力制御を駆動トルク制御に対して先行して行うので、運転者は駆動トルクの減少量を運転操作装置の操作反力として前もって知覚することができる。
(2)コントローラ50は、将来制御する駆動トルクの補正量を、運転操作装置の操作反力として発生する。自車両周囲の障害物を検出するレーザレーダ10や車速センサ20等の検出器は、100%の信頼性を得られるものではなく、自車両前方に障害物が存在しないにも関わらず周辺の物体を障害物であると誤認識してしまうことがある。操作反力によって駆動トルクの補正量を前もって運転者に知らせることにより、誤認識した物体を対象として駆動トルク制御が作動したような場合でも、運転者は意図しない駆動トルクの変化に対して余裕を持って対応することができる。
(3)コントローラ50は、自車両周囲の現在の障害物状況に基づいて、現在のリスクポテンシャルRPを算出するとともに、将来のリスクポテンシャルRPforeを予測する。コントローラ50は、現在のリスクポテンシャルRPに基づいて駆動トルクを補正し、将来のリスクポテンシャルRPforeに基づいて操作反力を制御する。これにより、駆動トルクの補正量を操作反力として発生し、駆動トルクの変化を前もって運転者に知らせることができる。
(4)コントローラ50は、現在のリスクポテンシャルRPに基づいて駆動トルク補正量ΔDaを算出し、将来のリスクポテンシャルRPに基づいて操作反力制御指令値FA、FBを算出する。リスクポテンシャルRPが大きい場合には、アクセルペダル操作量SAに対する駆動トルクの関係が、図11に示すように駆動トルク補正量ΔDaだけ減少する方向に補正される。これにより、アクセルペダル操作を行った際に運転者は期待するほどの加速感が得らず、自車両の加速感の減少または減速感を警報として運転者に与えることができる。ただし、図11に示すように、運転者がアクセルペダル62を踏み増ししてアクセルペダル操作量SAが増加すると、駆動トルクも増加する。すなわち、リスクポテンシャルRPが大きく駆動トルク補正制御を行っている場合でも、運転者のアクセルペダル操作に対して駆動トルクが増大することを許容しているので、運転者の意図による加速操作の自由度を確保することができる。さらに、駆動トルク補正量ΔDaに対応する制御量を、前もって操作反力制御指令値FA、FBとして算出し操作反力制御を行うので、運転者は駆動トルクの減少量をアクセルペダル62またはブレーキペダル92に発生する操作反力として事前に知覚することができる。
(5)コントローラ50は、現在のリスクポテンシャルRPに応じてブレーキペダル操作量SBに対する制動トルクの関係を増大方向に補正する。これにより、リスクポテンシャルRPが高い場合に運転者がブレーキペダル操作を行うと、制動力補正量ΔDbだけ増大した制動力が発生し、運転者の減速操作を適切に補助することができる。
(6)アクセルペダル操作量SAが所定値よりも小さい場合は、アクセルペダル操作量SAに応じて緩制動を行う。具体的には、アクセルペダル操作量SAに応じたドライバ要求駆動力Fdaが仮想弾性体の反発力Fcよりも小さい場合は、反発力Fcと要求駆動力Fdaとの差(Fc−Fda)を制動力補正量ΔDbとして制動力制御装置93に出力する。これにより、アクセルペダル操作量SAに応じた駆動力が小さい場合でも、運転者の運転操作を補助することができる。
(7)自車両周囲の将来のリスクポテンシャルRPforeが大きくなるほどアクセルペダル操作反力を大きくするので、確実に運転者の注意を喚起することができる。
(8)自車両周囲の将来のリスクポテンシャルRPforeが大きくなるほどブレーキペダル操作反力を小さくするので、運転者がブレーキペダル操作を行う際に運転者の減速操作を補助することができる。
以下に、本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
y=D×sin(θ1)+lw/2 ・・・(式7)
ここで、D:車間距離、lw:車両の幅である。
m×v×(r+dβ/dt)=2Yf+2Yr ・・・(式8)
Iz×dr/dt=2lf×Yf−2lr×Yr ・・・(式9)
ここで、
m:車両重量
Iz:車両ヨー方向の慣性モーメント
v:車速
r:ヨーレート
β:車体スリップ角
lf:車両重心から前輪までの距離
lr:車両重心から後輪までの距離
Yf=Ff{β+(lf/v)×r−θf} ・・・(式10)
Yr=Fr{β−(lr/v)×r} ・・・(式11)
Ff、Frはタイヤスリップ角に対して発生する横力を表す関数であり、図19のような関係として定義される。
y=∫v×sin(∫r×dt+β)dt ・・・(式12)
以上の(式8)〜(式12)を解くことにより、自車両が前方障害物を回避するために必要な横移動距離yだけ横移動するのに必要な時間tyを算出できる。
ステップS540では、制動による回避可能性判断を行う。具体的には、ステップS200で認識した自車両と前方障害物との距離Dと相対速度Vrが以下の(式13)に示す関係であるとき、制動によって前方障害物を回避することは不可能であると判断する。
D<−Vr×Td+Vr2/2a ・・・(式13)
ここで、Tdはドライバのブレーキ操作時に減速度が発生するまでの無駄時間であり、例えばTd=0.2秒とする。aはドライバのブレーキ操作により発生する減速度であり、例えばa=8.0m/s2とする。
T1=D/Vr − ty ・・・(式14)
T1=−(D−Vr2/2a+Vr×Td)/Vr ・・・(式15)
ここで、Tdはドライバによるブレーキ操作時の無駄時間、aはブレーキ操作によって発生する減速度である。
α=p1/T1 ・・・(式16)
(1)コントローラ50は、障害物に対する回避の可能性を判定し、自車両が障害物を回避できないと判定すると、自動制動を行うように制動力制御装置93を制御する。これにより、自車両を自動的に減速して不慮の事態による影響を緩和させることが可能となる。
(2)コントローラ50は、自車両が制動のみで障害物を回避できるか否か、また、操舵のみで障害物を回避できるか否かを判定し、少なくとも制動または操舵のみで障害物を回避できない場合は、自動制動を行う。これにより、障害物を回避できないと予測される場合は自動制動を行って不慮の事態による影響を緩和することが可能となる。また、図23に示すように、制動または操舵で障害物を回避できない状態から、制動でも操舵でも障害物を回避できない状態に変化すると、制動力目標値Ftが制動力1から制動力2に増加する。これにより、制動力を増加して自動的に急制動を行い、不慮の事態に至った場合でもその影響を緩和することが可能となる。
(3)障害物を回避できないと予測される場合は、操作反力制御指令値FA、FBを所定値FAmax、FBminに補正するので、運転者の注意を喚起して減速操作を促すことができる。
20:車速センサ
50:コントローラ
60:アクセルペダル反力制御装置
63:駆動力制御装置
64:アクセルペダルストロークセンサ
90:ブレーキペダル反力制御装置
93:制動力制御装置
94:ブレーキペダルストロークセンサ
Claims (14)
- 自車両周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段による検出結果に基づいて、前記障害物に対するリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、運転操作装置を操作する際に発生する操作反力を制御する操作反力制御手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、前記自車両に発生する駆動トルクを減少する駆動トルク補正手段と、
前記操作反力制御手段による前記操作反力の制御を、前記駆動トルク補正手段による前記駆動トルクの制御に対して先行して行うよう制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記駆動トルク補正手段によって将来補正する前記駆動トルクを、前記運転操作装置の前記操作反力として発生するよう前記操作反力制御手段を制御することにより、前記操作反力の制御を前記駆動トルクの制御に対して先行させることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項1に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記リスクポテンシャル算出手段は、前記障害物検出手段による検出結果に基づいて、前記障害物に対する現在のリスクポテンシャルを算出するとともに、将来のリスクポテンシャルを予測し、
前記制御手段は、前記現在のリスクポテンシャルに基づいて前記駆動トルクを減少するよう前記駆動トルク補正手段を制御し、前記将来のリスクポテンシャルに基づいて前記操作反力を発生するよう前記操作反力制御手段を制御することにより、前記操作反力の制御を前記駆動トルクの制御に対して先行させることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項2に記載の車両用運転操作補助装置において、
アクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダル操作量検出手段と、
前記駆動トルク補正手段によって算出される前記駆動トルクを発生するようエンジンを制御するエンジン制御手段とをさらに備え、
前記駆動トルク補正手段は、前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記現在のリスクポテンシャルに基づいて、前記アクセルペダル操作量に対する駆動トルクの関係を減少方向に補正し、
前記操作反力制御手段は、前記リスクポテンシャル算出手段によって予測される前記将来のリスクポテンシャルに基づいて、運転操作装置を操作する際に発生する操作反力を決定する操作反力決定手段と、前記操作反力決定手段によって決定される前記操作反力を発生する操作反力発生手段とを備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項3に記載の車両用運転操作補助装置において、
ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダル操作量検出手段と、
前記ブレーキペダル操作量に応じた制動トルクを発生するブレーキ制御手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記現在のリスクポテンシャルに基づいて、前記ブレーキペダル操作量に対する前記制動トルクの関係を増大方向に補正する制動トルク補正手段とをさらに備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項4に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記ブレーキ制御手段は、前記アクセルペダル操作量が所定値より小さい場合は、前記アクセルペダル操作量に応じた緩制動を行うことを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項3に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記障害物検出手段による検出結果に基づいて、前記障害物に対する回避の可能性を判定する回避判定手段と、
前記回避判定手段によって前記障害物を回避できないと判定されると、ブレーキ制御手段によって自動制動を行うよう制御する自動制動制御手段とをさらに備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項4または請求項5に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記障害物検出手段による検出結果に基づいて、前記障害物に対する回避の可能性を判定する回避判定手段と、
前記回避判定手段によって前記障害物を回避できないと判定されると、前記ブレーキ制御手段によって自動制動を行うよう制御する自動制動制御手段とをさらに備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項6または請求項7に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記回避判定手段は、前記障害物を制動のみで回避できるかを判定する制動回避判定手段と、前記障害物を操舵のみで回避できるかを判定する操舵回避判定手段とを有し、
前記自動制動制御手段は、少なくとも前記制動回避判定手段または前記操舵回避判定手段で前記障害物を回避できないと判定されると、前記ブレーキ制御手段によって前記自動制動を行うよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記回避判定手段によって前記障害物を回避できないと判定されると、前記操作反力決定手段で決定される前記操作反力を所定値に補正する操作反力補正手段をさらに備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記運転操作装置は、アクセルペダルを含むことを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項10に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記操作反力決定手段は、前記将来のリスクポテンシャルが大きくなるほど前記アクセルペダルの前記操作反力を大きくすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項3から請求項11のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記運転操作装置は、少なくともブレーキペダルを含むことを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項12に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記操作反力決定手段は、前記将来のリスクポテンシャルが大きくなるほど前記ブレーキペダルの前記操作反力を小さくすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置を備えることを特徴とする車両。
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