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JP4225047B2 - 電力制御装置および電力制御方法 - Google Patents

電力制御装置および電力制御方法 Download PDF

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JP4225047B2
JP4225047B2 JP2002362447A JP2002362447A JP4225047B2 JP 4225047 B2 JP4225047 B2 JP 4225047B2 JP 2002362447 A JP2002362447 A JP 2002362447A JP 2002362447 A JP2002362447 A JP 2002362447A JP 4225047 B2 JP4225047 B2 JP 4225047B2
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明彦 森川
輝幸 前田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電力を制御する電力制御装置および電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、ヒータなどの負荷に供給する電力を制御して温度制御を行う電力制御方法として、位相制御やサイクル制御などがある。
【0003】
位相制御は、交流電流が流れる位相角を制御して負荷への電力を調整するものであり、サイリスタやトライアックなどの電力開閉素子を点弧させる瞬間の電源電圧が高いと、急激に電流が立ち上がるために高調波ノイズが発生しやすいという欠点を有するものの、高精度であり、また、電流を流す位相角を小さくすると、電圧を低減できるという利点を有する。
【0004】
これに対して、サイクル制御は、交流電源のゼロクロスタイミングで電力開閉素子をオンオフさせて負荷への通電時間を制御して電力を調整するものであり、電圧を調整することができないという欠点を有するものの、ゼロクロスタイミングでスイッチングを行うので、高調波ノイズが小さいという利点を有する。
【0005】
ところで、ランプヒータなどは、ヒータの電気インピーダンスが、ヒータ温度によって大きく変化するものが多く、このような負荷に対する電力をサイクル制御で調整して温度制御しようとすると、特にランプヒータが冷えている時には、過大な突入電流が流れ、電力開閉素子が故障したり、電源ラインにフリッカを生じる場合がある。
【0006】
このため、例えば、ヒータへの通電開始時には、位相制御を行って突入電流を抑制し、定常状態では、サイクル制御を行って低ノイズで電力制御を行うようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3313044号公報(第2―4頁、図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1のような従来例では、ヒータの通電開始時に、小さな位相角から徐々に位相角を大きくしてサイクル制御に移行するものであり、例えば、任意の位相角の位相制御からサイクル制御へ、あるいは、サイクル制御から位相制御への切換えを自由に行うものではない。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、位相制御とサイクル制御とを自由に切換えることができる電力制御装置および電力制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0011】
すなわち、本発明の電力制御装置は、交流電源と負荷との間の電力開閉手段を制御して前記負荷に供給する電力を制御する装置であって、制御量に応じた位相角で半サイクル毎に位相制御パルスを発生させる位相制御パルス発生手段と、位相制御またはサイクル制御への切換えを指令する制御切換指令に応じて、前記位相制御パルスまたは制御量に対応したサイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを選択する制御パルス選択手段と、前記交流電源のゼロクロスタイミングでゼロクロスパルスを発生させるゼロクロスパルス発生手段と、選択された前記制御パルスおよび前記ゼロクロスパルスに基づいて、前記電力開閉手段をオンさせるトリガ信号を発生させるトリガ信号発生手段とを備え、前記トリガ信号発生手段は、半サイクル毎の前記ゼロクロスパルスのタイミングでは、前記トリガ信号の発生を禁止するものであり、前記トリガ信号に基づいて、前記電力開閉手段のオンオフを制御するものである。
【0012】
ここで、サイクル制御パルスは、交流電源のゼロクロスタイミングで電力開閉手段をオンオフさせて負荷への通電時間を制御するためのパルスをいう。
【0013】
本発明によると、制御切換指令によって、位相制御パルスまたは入力されるサイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを選択し、選択された制御パルスおよびゼロクロスパルスに基づいて、前記電力開閉手段をオンさせるトリガ信号を発生させ、このトリガ信号に基づいて電力開閉手段のオンオフを制御するので、位相制御とサイクル制御とを自由に切換えることができ、通常時は、低ノイズのサイクル制御を行い、ランプヒータなどの負荷への通電開始時や制御量が小さいときには、位相制御を行ってピーク電圧を抑制するといったことが可能となる。また、サイクル制御パルスとして、例えば、外部の温度調節器などから入力されるサイクル制御パルスを用いることができる。
【0014】
更に、本発明によると、半サイクル毎のゼロクロスパルスのタイミングでは、トリガ信号の発生が禁止される、すなわち、トリガ信号が半サイクル毎にクリアされるので、例えば、制御切換指令の切換タイミングがゼロクロスタイミングからずれたような場合に、サイリスタなどの電力開閉手段が誤点弧するのが防止され、高精度の制御が可能となる。
【0015】
本発明の他の実施態様においては、前記制御切換指令は、前記負荷への通電開始時には、位相制御を指令するとともに、その後サイクル制御への切換えを指令するものであり、前記位相制御パルス発生手段は、前記通電開始時の前記位相制御が指令されている期間においては、前記位相角を一定、あるいは、徐々に増加させるものである。
【0016】
この実施態様によると、負荷への通電開始時の突入電流を抑制することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様においては、前記負荷に流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段を備え、前記位相制御パルス発生手段は、前記通電開始時の前記位相制御の指令においては、検出した負荷電流が予め設定された設定電流値よりも小さいときには、前記位相角を増加させ、検出した負荷電流が前記設定電流値よりも大きい状態が一定時間継続したときには、位相角を増加させるものである。
【0018】
この実施態様によると、負荷電流が設定電流値よりも大きい状態が一定時間以上継続したときには、位相角が小さいために負荷のインピーダンスが大きくならないとして、強制的に位相角を増加させるので、通電開始時における位相制御からサイクル制御への円滑な移行が行える。
【0019】
本発明の他の実施態様においては、前記制御切換指令は、サイクル制御を指令している期間中において、前記制御量が予め定めた制御量よりも小さいときには、位相制御への切換えを指令するものである。
【0020】
この実施態様によると、制御量が小さく、ヒータなどの負荷のインピーダンスが小さく、このため、サイクル制御では、通電時のピーク電流が大きくなるような場合に、位相制御に切換えることで、ピーク電流を抑制することができる。
【0021】
本発明の電力制御方法は、交流電源と負荷との間の電力開閉手段を制御して前記負荷に供給する電力を制御する方法であって、制御量に応じた位相角で半サイクル毎に位相制御パルスを発生させるとともに、制御量に対応したサイクル制御パルスを発生させ、位相制御またはサイクル制御への切換えを指令する制御切換指令に応じて、前記位相制御パルスまたは前記サイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを切換選択し、選択された前記制御パルスおよび前記交流電源のゼロクロスタイミングで発生するゼロクロスパルスに基づいて、前記電力開閉手段をオンさせるトリガ信号を発生させ、前記トリガ信号に基づいて、前記電力開閉手段のオンオフを制御し、前記トリガ信号は、半サイクル毎の前記ゼロクロスパルスのタイミングでは、その発生が禁止されるものである。
【0022】
本発明によると、制御切換指令によって、位相制御パルスまたはサイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを選択し、選択された制御パルスおよびゼロクロスパルスに基づいて、前記電力開閉手段をオンさせるトリガ信号を発生させ、このトリガ信号に基づいて電力開閉手段のオンオフを制御するので、位相制御とサイクル制御とを自由に切換えることができ、通常時は、低ノイズのサイクル制御を行い、ランプヒータなどの負荷への通電開始時や制御量が小さいときには、位相制御を行ってピーク電圧を抑制するといったことが可能となる。
【0023】
更に、本発明によると、半サイクル毎のゼロクロスパルスのタイミングでは、トリガ信号の発生が禁止される、すなわち、トリガ信号が半サイクル毎にクリアされるので、例えば、制御切換指令の切換タイミングがゼロクロスタイミングからずれたような場合に、サイリスタなどの電力開閉手段が誤点弧するのが防止され、高精度の制御が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0025】
参考例
ここで、実施の形態の説明に先立って、本発明と構成が類似する参考例について説明する。
【0026】
図1は、参考例の電力制御装置を備える温度制御システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【0027】
この参考例の電力制御装置1は、例えば、温度調節器2からの制御量指令(操作量)に応じて、交流電源3に接続された負荷としてのヒータ4に供給する電力を制御するものであって、さらに、例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)5から与えられる制御切換え指令に応じて、位相制御とサイクル制御とを切換えて制御を行うものである。
【0028】
この電力制御装置1は、温度調節器2からの制御量指令に応じて、位相制御パルスを発生する位相制御パルス発生手段6と、同じく温度調節器2からの制御量指令に応じて、交流電源3とヒータ4との間に介装されたSSR(ソリッドステートリレー)やサイリスタ等の電力開閉手段7を少なくとも交流電源の半周期(半サイクル)以上の期間に亘ってオンさせるサイクル制御パルスを発生するサイクル制御パルス発生手段8と、PLC5から与えられる制御切換え指令に応じて、位相制御パルス発生手段6からの位相制御パルスまたはサイクル制御パルス発生手段8からのサイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを切換選択する制御パルス選択手段9とを備えており、この制御パルス選択手段9によって選択された制御パルスをトリガ信号として電力開閉手段7のオンオフを制御している。
【0029】
図2は、図1の電力制御装置の詳細構成を示すブロック図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0030】
位相制御パルス発生手段6は、温度調節器2からの制御量指令が与えられるマイクロコンピュータ10と、このマイクロコンピュータ10の出力に基づいて、交流電源3のゼロクロスを基準として制御量に応じた位相角において半サイクル毎に位相制御パルスを発生する位相制御パルス発生回路11とを備えている。この位相制御パルス発生回路11は、位相制御タイマデータ発生回路12と、タイマ13と、カウントアップクロック発生回路14とを備えており、位相角に対応したカウント値をタイマ13にセットするとともに、カウントアップクロックをカウントし、カウント値がセットされたカウント値に一致するとタイマ13のCP端子より位相制御パルスを出力するものである。
【0031】
サイクル制御パルス発生手段8は、温度調節器2から制御量指令が与えられる上述のマイクロコンピュータ10と、このマイクロコンピュータ10の出力に基づいて、一定周期におけるオンオフ比率が制御量に応じたサイクル制御パルスを発生するサイクル制御パルス発生回路15とを備えている。
【0032】
制御パルス選択手段9は、PLC5からの制御切換信号が入力されるインバータ16と、PLC5からの制御切換指令信号および位相制御パルスが入力される第1のアンドゲート17と、インバータ16の出力およびサイクル制御パルスが入力される第2のアンドゲート18と、両アンドゲート17,18の出力が与えられるオアゲート19とを備えており、このオアゲート19の出力が、電力開閉手段7を構成するSSR20をオンさせるトリガ信号となる。
【0033】
次に上記構成を有する電力制御装置1の動作を、図3のタイムチャートに基づいて説明する。この図3では、サイクル制御から位相制御への切換えの例を示している。
【0034】
同図において、(a)は位相制御パルス発生手段6から出力される位相制御パルス、(b)はサイクル制御パルス発生手段8から出力されるサイクル制御パルス、(c)は制御切換指令信号、(d)は制御パルス選択手段9の出力であるトリガ信号、(e)はSSR20の出力である。
【0035】
位相制御パルス発生手段6およびサイクル制御パルス発生手段8は、温度調節器2からの制御指令に応じて、(a)および(b)に示される位相制御パルスおよびサイクル制御パルスをそれぞれ出力する。
【0036】
(c)に示されるPLC5からの制御切換指令信号が、サイクル制御を指令するローレベルであるときには、(b)のサイクル制御パルスが、(d)に示されるようにトリガ信号としてSSR20に出力されて(e)に示されるように、サイクル制御が行われる。
【0037】
また、PLC5からの制御切換指令信号が、サイクル制御を指令するローレベルから位相制御を指令するハイレベルに切り換わると、(a)の位相制御パルスが(d)に示されるトリガ信号としてSSRに出力されて(e)に示されるように位相制御に切り換わる。
【0038】
ここで、PLC5からの制御切換指令信号は、ゼロクロスのタイミングで切換えることが好ましい。この場合には、交流電源3のゼロクロスを検出してゼロクロスパルスをPLC5に与え、PLC5でゼロクロスのタイミングで制御切換指令信号のレベルを変化させるようにすればよい。なお、制御切換指令信号は、ユーザの切換操作によって出力されるようにしてもよいのは勿論である。
【0039】
また、サイクル制御パルスも、ゼロクロスのタイミングでレベルが変化するのが好ましいが、中間のタイミングで切換えても差し支えない。
【0040】
なお、位相制御からサイクル制御への切換えも同様に行われる。
【0041】
このようにして、位相制御とサイクル制御とを自由に切換えることができるので、通常時は、低ノイズのサイクル制御を行い、ランプヒータなどの負荷への通電開始時や制御量が小さいときには、位相制御を行ってピーク電圧を抑制して負荷電流を小さくするといったことが可能となり、結果的に省エネを図ることができる。
【0042】
また、位相制御パルス発生手段6からの位相制御パルスおよびサイクル制御パルス発生手段8からのサイクル制御パルスは、いずれの制御が指令されているかに拘わらず、独立して制御量に応じた位相制御パルスおよびサイクル制御パルスを発生するので、これら制御パルスを他の制御に用いることもできる。
【0043】
この参考例では、電力開閉手段としてSSRを用いたけれども、サイリスタやトライアックなどの電力開閉素子を用いてもよく、また、自己消弧型、非自己消弧型のいずれを用いてもよい。
【0044】
(実施の形態
図4は、本発明の実施の形態に係る電力制御装置を備える温度制御システムの概略構成を示す機能ブロック図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0045】
この実施の形態の電力制御装置1−1では、上述の参考例のように、制御パルス選択手段9で選択された制御パルスをトリガ信号とするのではなく、交流電源3のゼロクロスタイミングでゼロクロスパルスを発生させるゼロクロスパルス発生手段21と、このゼロクロスパルス発生手段21からのゼロクロスパルスおよび制御パルス選択手段9で選択された制御パルスに基づいて、トリガ信号を発生するトリガ信号発生手段22とを設け、このトリガ信号発生手段22からのトリガ信号によって電力開閉手段7のオンオフを制御するようにしており、これによって、より高精度な制御の切換えを行えるようにしている。
【0046】
図5は、図4の電力制御装置1−1の詳細構成を示すブロック図であり、上述の図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0047】
ゼロクロスパルス発生手段21は、フォトトライアックカプラ23を有し、交流電源3のゼロクロスを検出してゼロクロスパルスを出力する。
【0048】
トリガ信号発生手段22は、制御パルス選択手段9からの制御パルスがセット入力に与えられるとともに、ゼロクロスパルス発生手段からのゼロクロスパルスがリセット入力に与えられ、Q出力からトリガ信号を出力するRSフリップフロップ24を備えている。
【0049】
このRSフリップフロップ24は、レベル入力型であり、リセット(R)入力がローレベルのときは、セット(S)入力がハイレベルになったときにQ出力がハイレベルにセットされる。また、リセット入力がハイレベルのときは、セット入力のレベルに拘わらず、Q出力は、ローレベルにリセットされる。つまり、ゼロクロスパルスの立ち上がりで一旦クリアされるが、制御パルスがハイレベルであれば、ゼロクロスパルスが立ち下がるとすぐに、セット入力がハイレベルとなるので、半サイクル毎に立ち上がることになる。
その他の構成は、上述の参考例と同様である。
【0050】
図6は、この実施の形態の電力制御装置1−1の動作説明に供するタイムチートであり、上述の図3に対応する図である。
【0051】
同図において、(a)は位相制御パルス発生手段6から出力される位相制御パルス、(b)はサイクル制御パルス発生手段8から出力されるサイクル制御パルス、(c)は制御切換指令信号、(d)はゼロクロスパルス発生手段21から出力されるゼロクロスパルス、(e)はトリガ信号発生手段22の出力であるトリガ信号、(f)はSSR20の出力である。
【0052】
ゼロクロスパルス発生手段21は、交流電源3のゼロクロスを検出してそのタイミングで(d)に示されるゼロクロスパルスを発生する。
【0053】
トリガ信号発生手段22は、このゼロクロスパルスと制御パルス選択手段9からの制御パルスとに基づいて(e)に示されるように、ゼロクロスパルスが入力されている間はオフとなる制御パルスを、トリガ信号として出力するものである。
【0054】
すなわち、この実施の形態では、半サイクル毎のゼロクロスパルスによってトリガ信号をクリアするようにしている。
【0055】
ゼロクロスパルスとトリガ信号との関係を更に説明すると、ゼロクロスパルスがある間(ハイレベルの間)は、トリガ信号は出力されず、サイクル制御が選択され、かつ、サイクル制御パルスがハイレベルのときは、ゼロクロスパルスの立下りのタイミングでトリガ信号が出力され、また、位相制御が選択されたときは、位相制御パルスの立ち上がりのタイミングでトリガ信号が出力され、さらに、サイクル制御が選択され、かつ、サイクル制御パルスがローレベルのときは、トリガ信号は、出力されない。
【0056】
ここで、ゼロクロスパルスの好ましいパルス幅は、例えば、0.4ms程度であるのが好ましい。
【0057】
すなわち、SSRは、一般的に、定格負荷電圧実効値の10%程度の電圧になると、オンするので、例えば、200V用のSSRだと、20Vでオンすることになる。つまり、SSRの負荷側の電圧が20Vになるまでトリガ信号が入ると、誤点弧することになる。
【0058】
ここで、負荷側電圧が、ゼロクロスタイミングから20Vになるまでの時間tは、電源周期が、20ms(50Hz)の場合、次式により計算される。即ち、
負荷電源波高値×sin(2πt/電源周期)=20〔V〕より、
√2×200×sin(2πt/20)=20〔V〕
これより、t=0.23msとなるので、ゼロクロスパルスのパルス幅は、この2倍、即ち上述のように約0.4msとなる。
【0059】
なお、ゼロクロスパルスの幅を広くしすぎると、ゼロクロススイッチングとならず、ノイズが大きくなってしまう。
【0060】
(e)に示されるトリガ信号は、ゼロクロスパルスが出力されている期間は、上述のようにオフするのであるが、ゼロクロスパルスは、上述のようなパルス幅であるので、サイクル制御におけるSSR20の出力は、(f)に示されるように上述の参考例と同様である。
【0061】
この実施の形態の電力制御装置1−1では、上述の参考例に比べて、電力開閉手段7のSSR20の誤点弧を防止して高精度な制御の切換えを行える。
【0062】
以下、これについて詳細に説明する。
【0063】
図7および図8は、上述の参考例とこの実施の形態のタイムチャートであり、これらの図は、サイクル制御から位相制御への切換え時において、サイクル制御パルスがハイレベル(SSRオン指令)であって、制御切換指令信号の立ち上がりがゼロクロスタイミングよりも遅れた場合を示している。なお、これらの図において、縦の破線は、ゼロクロスタイミングTzを示している。
【0064】
図7においては、ゼロクロスパルスによって(d)のトリガ信号を半サイクル毎にクリアしていないので、(c)に示されるように、制御切換指令信号が、サイクル制御の指令(ローレベル)から位相制御への指令(ハイレベル)に切り換わるタイミングが、ゼロクロスタイミングよりも遅れると、(b)のサイクル制御パルスが有効となって(d)に示されるように、一瞬トリガ信号が出力されることになり、これによって、(e)の矢符Aに示されるように、誤点弧することになる。
【0065】
これに対して、図8に示されるこの実施の形態では、(d)のゼロクロスパルスによって、(e)に示されるように、トリガ信号を半サイクル毎にクリアしている、すなわち、ゼロクロスタイミングでは、トリガ信号の出力を禁止しているので、(c)に示されるように、制御切換指令信号が、サイクル制御の指令(ローレベル)から位相制御への指令(ハイレベル)に切り換わるタイミングが、ゼロクロスタイミングよりも遅れても、ゼロクロスパルスの立ち下がりよりも早ければ、トリガ信号が出力されることはなく、(f)に示されるように、誤点弧することがない。
【0066】
図9および図10は、上述の参考例とこの実施の形態のタイムチャートであり、これらの図は、サイクル制御において、サイクル制御パルスの立下りが、ゼロクロスタイミングよりも遅れた場合を示している。
【0067】
図9においては、サイクル制御時に、(b)のサイクル制御パルスの立下りのタイミングが、ゼロクロスタイミングよりも遅いために、(d)に示される ように、一瞬トリガ信号が出力されることになり、これによって、(e)の矢符Bに示されるように、誤点弧することになる。
【0068】
これに対して、図10に示されるこの実施の形態では、(d)のゼロクロスパルスによって、(e)に示されるように、トリガ信号を半サイクル毎にクリアしている、すなわち、ゼロクロスタイミングでは、トリガ信号の出力を禁止しているので、(c)に示されるように、サイクル制御パルスが立ち下がるタイミングが、ゼロクロスタイミングよりも遅れても、ゼロクロスパルスの立ち下がりよりも早ければ、トリガ信号が出力されることはなく、(f)に示されるように、誤点弧することがない。
【0069】
このように、この実施の形態では、半サイクルの切換えを高精度に行ってSSR20の誤点弧を防止し、精度の高い温度制御が可能となる。
【0070】
(実施の形態
図11は、本発明の他の実施の形態の機能ブロック図であり、上述の図4に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0071】
この実施の形態では、制御出力としてサイクル制御パルスを出力する温度調節器が多いことから、上述の実施の形態のサイクル制御パルス発生手段8を温度調節器25に置き換えたものである。この実施の形態では、位相制御パルス発生手段6は、PLC5からの制御指令が与えられ、この制御指令に応じて、位相制御パルスを発生する。その他の構成は、図4の構成と同様である。
【0072】
この実施の形態では、温度調節器25と組み合わせ、定常時は、温度調節器25によってサイクル制御を行い、必要に応じて位相制御を行うことが可能となる。
【0073】
(実施の形態
図12は、本発明の更に他の実施の形態の機能ブロック図であり、図11に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0074】
この実施の形態では、PLC5からスタート信号およびタイマ設定値が与えられ、これらに基づいて、制御切換指令信号を出力するソフトスタートタイマ回路26を設けている。
【0075】
このソフトスタートタイマ回路26は、PLC5からスタート信号が入力された後、予め設定された時間(タイマ設定値)は、位相制御を行い、その後サイクル制御を行うような制御切換指令信号を出力するものである。
【0076】
この実施の形態では、例えば、1日の運転開始時などヒータ4が冷えている場合は、図13に示されるように、一定時間は、電圧を低減させた位相制御を行うことで、ヒータ4の突入電流を小さくし、その後は、サイクル制御を行い、低ノイズの制御を行うものである。
【0077】
(その他の実施の形態)
なお、本発明の他の実施の形態として、図14のフローチャートに示されるソフトスタートを行うようにしてもよい。
【0078】
この実施の形態では、負荷に流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段(図示せず)を設け、負荷電流を検出しながら位相制御の制御量を調整するものである。
【0079】
すなわち、検出した電流が、予め設定した設定電流値より小さい時のみ位相角を一定ステップだけ大きくし、位相角(導通位相角)が90°となった時点でサイクル制御に切換えることで、突入電流を任意の値に抑制し、かつ位相制御の期間を短くするものである。
【0080】
位相制御の制御量が小さい時は、ヒータ4の温度がいつまでも高くならず、ヒータインピーダンスが大きくならないため、位相角がいつまでも大きくならないことがあり得る。したがって、検出した電流値が、一定時間以上同じ電流値を示す(同じ位相角でも電流が減少してこない)場合には、強制的に一定量だけ位相角を増加させることで、ヒータ4の立ち上がり時の不具合を防止するものである。
【0081】
図14のフローチャートに基づいて、詳細に説明すると、先ず、ユーザが設定した電流制限設定値を読み込む(ステップn1)。この電流制限設定値とは、ユーザが、突入電流を制限したい設定値であり、例えば、突入電流を、10A以内に設定したい場合には、10Aが設定されることになる。次に、上述の一定時間を計測するための導通位相角同一カウンタをクリアし(ステップn2)、導通位相角を、予め設定されている導通位相角初期値に設定し(ステップn3)、半波毎のピーク電流を検出し(ステップn4)、ピーク電流が電流制限設定値より小さいか否かを判断し(ステップn5)、小さいときには、導通位相角を一定ステップ増加し(ステップn6)、導通位相角同一カウンタをクリアし(ステップn7)、導通位相角が90°以上であるか否かを判断し(ステップn8)、90°以上でないときには、ステップn4に戻る。
【0082】
ステップn5において、ピーク電流が、電流制限設定値より小さくないときには、導通位相角同一カウンタをインクリメントし(ステップn9)、導通位相角同一カウンタのカウント値が、10以上になったか否か、すなわち、ピーク電流が電流制限設定値以上である状態が一定時間以上継続したか否かを判断し(ステップn10)、10以上になったときには、一定時間継続したとしてステップn6に移って、導通位相角を強制的に一定ステップ増加させ、10以上になっていないときには、ステップn8に移る。
【0083】
また、ステップn8において、導通位相角が90°以上であるときには、サイクル制御に移行する。
【0084】
また、本発明の更に他の実施の形態として、次のようにしてもよい。
【0085】
すなわち、制御量が小さいときには、ヒータ4の発熱量が小さいためヒータインピーダンスが小さくなり、サイクル制御では、図15に示されるように、通電時のピーク電流が大きくなる。
【0086】
そこで、制御量が、予め定めた制御量、例えば、数%よりも小さいときには、図16に示されるように、位相制御に切換えることで、ピーク電流を抑制するようにしてもよい。
【0087】
上述の各実施の形態では、温度調節器およびPLCによって電力制御装置を制御したけれども、本発明の他の実施の形態として、単一の制御装置、例えば、PLCで電力制御装置を制御するようにしてもよい。
【0088】
また、サイクル制御は、ゼロクロス点で電力開閉手段をオンオフする交流の電力制御であり、本件出願人が、平成12年3月15日提出の「サイクル制御装置、電力調整装置、温度調節器および温度制御装置」(特願2000−71642号)において提案しているサイクル制御にも本発明は適用できるものである。
【0089】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、制御切換指令によって、位相制御パルスまたはサイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを選択し、選択された制御パルスおよび前記交流電源のゼロクロスタイミングで発生するゼロクロスパルスに基づいて、前記電力開閉手段をオンさせるトリガ信号を発生させ、前記トリガ信号に基づいて、電力開閉手段のオンオフを制御するので、位相制御とサイクル制御とを自由に切換えることができ、通常時は、低ノイズのサイクル制御を行い、ランプヒータなどの負荷への通電開始時や制御量が小さいときには、位相制御を行ってピーク電圧を抑制するといったことが可能となる。
【0090】
また、半サイクル毎のゼロクロスパルスのタイミングでは、トリガ信号の発生を禁止することで、誤点弧を防止して高精度の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の電力制御装置を備える温度制御システムの機能ブロック図である。
【図2】 図1の電力制御装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】 図1の参考例の動作説明に供するタイムチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態に係る電力制御装置を備える温度制御システムの機能ブロック図である。
【図5】 図4の電力制御装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図6】 図4の実施の形態の動作説明に供するタイムチャートである。
【図7】 図1の参考例の動作説明に供するタイムチャートである。
【図8】 図4の実施の形態の図7に対応するタイムチャートである。
【図9】 図1の参考例の動作説明に供するタイムチャートである。
【図10】 図4の実施の形態の図9に対応するタイムチャートである。
【図11】 本発明の更に他の実施の形態に係る電力制御装置を備える温度制御システムの機能ブロック図である。
【図12】 本発明の他の実施の形態に係る電力制御装置を備える温度制御システムの機能ブロック図である。
【図13】 図12の実施の形態の出力電圧の波形図である。
【図14】 本発明の更に他の実施の形態の動作説明に供するフローチャートである。
【図15】 制御量が小さい場合のサイクル制御の通電時のピーク電流を示す図である。
【図16】 位相制御の場合の図15に対応する図である。
【符号の説明】
1,1−1〜3 電力制御装置
2,25 温度調節器
3 交流電源
4 ヒータ
6 位相制御パルス発生手段
7 電力開閉手段
8 サイクル制御パルス発生手段
9 制御パルス選択手段
5 PLC
20 SSR
21 ゼロクロスパルス発生手段
22 トリガ信号発生手段

Claims (5)

  1. 交流電源と負荷との間の電力開閉手段を制御して前記負荷に供給する電力を制御する装置であって、
    制御量に応じた位相角で半サイクル毎に位相制御パルスを発生させる位相制御パルス発生手段と、
    位相制御またはサイクル制御への切換えを指令する制御切換指令に応じて、前記位相制御パルスまたは制御量に対応したサイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを選択する制御パルス選択手段と、
    前記交流電源のゼロクロスタイミングでゼロクロスパルスを発生させるゼロクロスパルス発生手段と、
    選択された前記制御パルスおよび前記ゼロクロスパルスに基づいて、前記電力開閉手段をオンさせるトリガ信号を発生させるトリガ信号発生手段とを備え、
    前記トリガ信号発生手段は、半サイクル毎の前記ゼロクロスパルスのタイミングでは、前記トリガ信号の発生を禁止するものであり、
    前記トリガ信号に基づいて、前記電力開閉手段のオンオフを制御することを特徴とする電力制御装置。
  2. 前記制御切換指令は、前記負荷への通電開始時には、位相制御を指令するとともに、その後サイクル制御への切換えを指令するものであり、
    前記位相制御パルス発生手段は、前記通電開始時の前記位相制御が指令されている期間においては、前記位相角を一定、あるいは、徐々に増加させるものである請求項に記載の電力制御装置。
  3. 前記負荷に流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段を備え、
    前記位相制御パルス発生手段は、前記通電開始時の前記位相制御の指令においては、検出した負荷電流が予め設定された設定電流値よりも小さいときには、前記位相角を増加させ、検出した負荷電流が前記設定電流値よりも大きい状態が一定時間継続したときには、位相角を増加させる請求項に記載の電力制御装置。
  4. 前記制御切換指令は、サイクル制御を指令している期間中において、前記制御量が予め定めた制御量よりも小さいときには、位相制御への切換えを指令するものである請求項1〜のいずれかに記載の電力制御装置。
  5. 交流電源と負荷との間の電力開閉手段を制御して前記負荷に供給する電力を制御する方法であって、
    制御量に応じた位相角で半サイクル毎に位相制御パルスを発生させるとともに、制御量に対応したサイクル制御パルスを発生させ、
    位相制御またはサイクル制御への切換えを指令する制御切換指令に応じて、前記位相制御パルスまたは前記サイクル制御パルスのいずれかの制御パルスを切換選択し、
    選択された前記制御パルスおよび前記交流電源のゼロクロスタイミングで発生するゼロクロスパルスに基づいて、前記電力開閉手段をオンさせるトリガ信号を発生させ、前記トリガ信号に基づいて、前記電力開閉手段のオンオフを制御し、
    前記トリガ信号は、半サイクル毎の前記ゼロクロスパルスのタイミングでは、その発生が禁止されることを特徴とする電力制御方法。
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