JP4201524B2 - 燃焼器、ガスタービンエンジンおよび燃焼器の組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にガスタービンエンジンに関し、より具体的には、ガスタービンエンジン用の燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼器は、ガスタービンエンジンにおいて燃料と空気の混合物を燃焼させるために使用される。公知の燃焼器は、燃焼ゾーンを定める燃焼器ライナに取り付けられた、少なくとも1つのドームを含む。燃料噴射器は、ドームと流体連通するように燃焼器に取り付けられて燃焼ゾーンに燃料を供給する。燃料は、めがね板すなわちドームプレートに取り付けられたドーム組立体を通って燃焼器に入る。
【0003】
ドーム組立体は、ドームプレートに固定されかつフレア状コーンの半径方向内側にある空気スワール生成器を含む。フレア状コーンは空気スワール生成器から拡開し、半径方向外向きに延びており、空気と燃料の混合を助長し、その混合気を半径方向外向きに燃焼ゾーン内に拡がらせる。拡開デフレクタが、フレア状コーンの周りを周方向に、かつ、フレア状コーンから半径方向外向きに延びる。デフレクタは、燃焼ゾーン内で生成される高温の燃焼ガスが、ドームプレートに衝突するのを防ぐ。
【0004】
作動中、燃焼ゾーンに吐出される燃料は、空気スワール生成器を通って空気と混合し、フレア状コーン及びデフレクタに沿ってフィルムを形成することになる。この燃料混合気は燃焼し、高いガス温度を生じる。高い温度に長期間曝されると、フレア状コーンの酸化物形成速度が増加し、フレア状コーンの溶融又は損傷に至ることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
フレア状コーンの作動温度を低下させるのを助けるため、少なくとも幾つかの公知の燃焼器ドーム組立体においては、ドーム組立体の対流冷却のために、フレア状コーンとデフレクタとの間で部分的に周方向に延びるギャップを通して冷却空気を供給する。そのようなドーム組立体は、複雑で多数の部品からなる組立体であり、製造及び組立てるために多数のろう付け作業を必要とする。更に、使用中において、冷却空気が燃焼ガスと混合し、燃焼器のエミッションに悪影響を及ぼすことになる。
【0006】
多数の部品からなるドーム組立体はまた、保守目的のために分解するのは複雑であるので、少なくとも幾つかの他の公知の燃焼ドーム組立体には単一部品の組立体を含むものがある。これらのドーム組立体は、燃焼器のエミッションを減少させるのを助長するものであるが、このような組立体はドーム組立体に冷却空気を供給しないので、デフレクタ及びフレア状コーンの耐久性に悪影響を与えることになる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
例示的な実施形態において、ガスタービンエンジンの燃焼器のための単一部品からなるデフレクタ・フレア状コーン組立体が、燃焼器の性能を犠牲にすることなく、費用効果がありかつ信頼できる形で該燃焼器の耐用年数を延ばすのを助ける。この単一部品からなるデフレクタ・フレア状コーン組立体はまた、単一のろう付け作業で燃焼器内の空気スワール生成器及び燃焼器のドームプレートに固定されるように構成される。コーン組立体は、一体のデフレクタ部分及びフレア状コーン部分を含む。デフレクタ部分は一体の開口部を含み、該開口部は、内部に冷却流体を受けるようにデフレクタ部分を貫通して周方向に延びている。デフレクタの開口部はまた、フレア状コーン部分と周方向に流体連通している。
【0008】
燃焼器の組立てにおいて、ろう付け用ロープ及びろう付け用テープが、デフレクタ・フレア状コーン組立体及び空気スワール生成器内に形成されたそれぞれのスロット(キャビティ)内に予め装填される。そして、コーン組立体は、空気スワール生成器及び燃焼器のドームプレートに取り付けられ、ろう付け作業において、コーン組立体と、ドームプレートと、空気スワール生成器との間の相対的な位置整合状態が保持される。より具体的には、単一部品からなるデフレクタ・フレア状コーン組立体は、単一のろう付け作業で空気スワール生成器及び燃焼器のドームプレートに固定される。その結果、デフレクタ・フレア状コーンは、冷却空気をドーム組立体に供給する他の公知の燃焼器組立体を組立てるために用いられているものよりも、費用効果がありかつ信頼できる形で燃焼器を組立てるのを助ける。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、ファン組立体12、高圧圧縮機14、及び燃焼器16を含むガスタービンエンジン10の概略図である。エンジン10はまた、高圧タービン18、低圧タービン20、及びブースタ22を含む。ファン組立体12は、ロータディスク26から半径方向外向きに延びるファンブレード24の列を含む。エンジン10は、吸気側28及び排気側30を有する。1つの実施形態において、ガスタービンエンジン10は、米国オハイオ州シンシナティのGeneral Electric Companyから商業的に入手できるGE90型エンジンである。
【0010】
作動において、空気はファン組立体12を通って流れ、加圧空気が高圧圧縮機14に供給される。高度に加圧された空気は、燃焼器16に送られる。燃焼器16からの空気流は、タービン18及び20を駆動し、タービン20はファン組立体12を駆動する。
【0011】
図2は、ガスタービンエンジン10(図1に示す)において使用される燃焼器16の断面図である。図3は、図2に示す領域3に沿った燃焼器16の拡大図である。燃焼器16は、環状の外ライナ40、環状の内ライナ42、及び、外ライナ40と内ライナ42それぞれの間を延びるドーム状端部44を含む。外ライナ40及び内ライナ42は、燃焼チャンバ46を定める。
【0012】
燃焼チャンバ46は、形状がほぼ環状であり、ライナ40と42との間に配置される。外ライナ40及び内ライナ42は、燃焼器のドーム状端部44の下流側に配置されたタービンノズル56まで延びる。例示的な実施形態において、外ライナ40及び内ライナ42の各々は、複数のパネル58を含み、該パネルは、一連の段部60を含み、該段部の各々は、燃焼器のライナ40及び42の区別できる部分を形成する。
【0013】
外ライナ40及び内ライナ42の各々は、それぞれカウル64及び66を含む。内側カウル66及び外側カウル64は、パネル58から上流側にあり、開口部68を定める。より具体的には、外及内ライナのパネル58は直列に連結され、それぞれカウル66及び64から下流側に延びる。
【0014】
例示的な実施形態では、燃焼器のドーム状端部44は、単一の環状構成に配置された環状のドーム組立体70を含む。別の実施形態においては、燃焼器のドーム状端部44は、二重の環状構成に配置されたドーム組立体70を含む。更に別の実施形態においては、燃焼器のドーム状端部44は、三重の環状構成に配置されたドーム組立体70を含む。燃焼器のドーム組立体70は、燃焼器16の前端72に構造的支持を与え、燃焼器は、ドーム組立体70及びドームプレートすなわちスペクタクルプレート(めがね板)74を含み、ドーム組立体70はデフレクタ部分76とフレア状コーン部分78とを有する一体のデフレクタ・フレア状コーン組立体75を含む。
【0015】
燃焼器16は、燃料源(図示せず)に連結されており、燃焼器のドーム状端部44を貫通する燃料噴射器80を介して燃料が供給される。より具体的には、燃料噴射器80はドーム組立体70を貫通し、燃焼器の長手方向中心対称軸82に対してほぼ同心の方向(図示せず)に燃料を吐出する。燃焼器16はまた、燃料噴射器80の下流側において燃焼器16内に延びる燃料点火装置84を含む。
【0016】
燃焼器16はまた、長手方向中心対称軸82の周りに対称に配置された環状出口コーン92を有する、環状の空気スワール生成器90を含む。出口コーン92は、半径方向外側の面94と半径方向内向きの流れ面96とを含む。環状の空気スワール生成器90は、半径方向外側の面100と半径方向内向きの流れ面102とを含む。出口コーンの流れ面96及び空気スワール生成器の流れ面100は、後部ベンチュリ流路104を定め、該流路は、該流路を通して、下流側へ空気の一部を導くために使用される。
【0017】
より具体的には、出口コーン92は、一体に形成された外向きに延びる半径方向フランジ部分110を含む。出口コーンのフランジ部分110は、出口コーンの流れ面96から延びる上流側面112と該上流側面にほぼ平行で出口コーンの流れ面96に対してほぼ垂直な下流側面114とを含む。空気スワール生成器90は、一体に形成された外向きに延びる半径方向フランジ部分116を含み、該フランジ部分116は、上流側面118と該上流側面にほぼ平行で空気スワール生成器の流れ面102から延びる下流側面120とを含む。空気スワール生成器のフランジ部分の面118及び120は、出口コーンのフランジ部分の面112及び114にほぼ平行であり、かつ、空気スワール生成器の流れ面102に対してほぼ垂直である。
【0018】
空気スワール生成器90はまた、周方向に間隔をおいて配置された複数のスワール生成羽根130を含む。より具体的には、複数の後方スワール生成羽根132が、後方ベンチュリ流路104内で出口コーンのフランジ部分110に摺動可能に結合されている。複数の前方スワール生成羽根134が、前方ベンチュリ流路136内で空気スワール生成器のフランジ部分116に摺動可能に結合されている。前方ベンチュリ流路136は、空気スワール生成器のフランジ部分116と環状の支持プレート140の下流側138との間に形成されている。前方ベンチュリ流路136は、後方ベンチュリ流路104に対しほぼ平行であり、長手方向中心対称軸82に向かって半径方向内向きに延びる。
【0019】
空気スワール生成器のフランジ部分の面118及び120は、ほぼ平坦であり、また、空気スワール生成器の流れ面102はほぼ凸状であり、前方ベンチュリ146を形成している。前方ベンチュリ146は、最小流れ面積を定める前方のど部150を有する。前方ベンチュリ146は、後方ベンチュリ流路104から半径方向内方にあり、空気スワール生成器90によって後方ベンチェリ流路104から分離される。
【0020】
支持プレート140は、燃焼器の長手方向中心対称軸82に対して同心に配置されており、上流側152が管状のフェルール154に連結されている。燃料噴射器80は、温度差に基づく軸方向及び半径方向の運動を補償するようにフェルール154内に摺動可能に配置される。
【0021】
ウィッシュボーン継手160が、出口コーン92の後端部162において該出口コーン92内に一体に形成される。より具体的には、ウィッシュボーン継手160は、半径方向内側アーム164と、半径方向外側アーム166と、その間に定められる取付スロット168(キャビティ)とを含む。半径方向内側アーム164は、流れ面96とスロット168との間を延びる。半径方向外側アーム166は、内側アーム164に対してほぼ平行であり、スロット168と出口コーンの下流側面114との間を延びる。取付スロット168は幅170を有し、出口コーンの流れ面96にほぼ平行である。更に、スロット168は、出口コーンの後端部162から測定される深さ172だけ、出口コーン92内に延びる。
【0022】
デフレクタ・フレア状コーン組立体75は、空気スワール生成器90に連結される。より具体的には、フレア状コーン部分78は出口コーン92に連結され、該出口コーン92から下流側に延びる。より具体的には、フレア状コーン部分78は、半径方向内側の流れ面182と半径方向外側の面184とを含む。フレア状コーン部分78が出口コーン92に連結された状態では、半径方向内側流れ面182は、出口コーンの流れ面96に対しほぼ同一平面上になる。より具体的には、フレア状コーンの内側流れ面182は拡開状であり、出口コーン92に隣接する停止面185から肘部186まで延びる。フレア状コーンの内側流れ面182は、肘部186からフレア状コーン部分78の後端188まで半径方向外向きに延びる。
【0023】
フレア状コーンの外側の面184は、フレア状コーン部分78の前縁190と肘部186との間でフレア状コーンの内側の面182に対しほぼ平行である。フレア状コーンの外側の面184は拡開状であり、肘部186から半径方向外向きに延びており、該外側の面184は、該肘部186とフレア状コーンの後端188との間でフレア状コーンの内側の面182にほぼ平行である。位置合わせ用突起192が、肘部186とフレア状コーンの後縁188との間でフレア状コーンの外側の面184から半径方向外向きに延びる。位置合わせ用突起192は、燃焼器の長手方向中心対称軸82に対してほぼ垂直な前縁194と、突起192の頂点198から下流側に延びる後縁196とを含む。
【0024】
取付突起200が、フレア状コーンの停止面185から軸方向上流側に距離202だけ延びる。突起200は、停止面185と突起200の交差部で作られる肩部206と、フレア状コーンの外側の面184から測定される幅204を有する。突起の距離202及び幅204の各々は、出口コーンのスロットの深さ172及び幅170よりそれぞれ小さい。従って、フレア状コーン部分78が出口コーン92に連結された状態では、フレア状コーンの取付突起200は、出口コーンのスロット168内に延びる。より具体的には、フレア状コーンの取付突起200は出口コーンのスロット168内に延びており、出口コーンの後端部162はフレア状コーンの停止面185に接触し、フレア状コーンの前縁190を、出口コーンのスロット168の底面209からの距離208の位置に維持する。従って、キャビティ210が、フレア状コーンの取付突起200と出口コーン92との間に形成される。
【0025】
燃焼器のドームプレート74が、ドーム組立体70を燃焼器16内の所定の位置に固定する。より具体的には、燃焼器のドームプレート74は、外側支持プレート220及び内側支持プレート222を含む。プレート220及び222は、パネル58から上流側にある燃焼器カウル64及び66それぞれに連結され、燃焼器のドーム組立体70を燃焼器16内に固定する。より具体的には、プレート220及び222は、プレート220及び222とフレア状コーン部分78との間に連結された環状のデフレクタ部分76に取り付けられる。
【0026】
デフレクタ部分76は、燃焼器16内で生成される高温燃焼ガスが、燃焼器のドームプレート74に当るのを防いでおり、フランジ部分230、弧状部分232、及びそれらの間を延びる本体234を含む。フランジ部分230は、デフレクタ本体234から軸方向上流側にデフレクタの前縁236まで延び、燃焼器の長手方向中心対称軸82にほぼ平行である。より具体的には、フランジ部分の前縁236は、フレア状コーンの前縁194より上流側にある。
【0027】
デフレクタの弧状部分232は、本体234から半径方向外向きかつ下流方向にデフレクタの後縁242まで延びる。より具体的には、弧状部分232は、フレア状コーンの肘部186から下流側に延びるフレア状コーン部分78の方向とほぼ平行の方向に、デフレクタ本体234から延びる。更に、デフレクタの弧状部分の後縁242は、フレア状コーンの後縁196より下流側にある。
【0028】
デフレクタの本体234は、デフレクタ本体234の前面248からデフレクタ本体234の後面250まで延びる、ほぼ平坦な内面246を有する。デフレクタ本体の面246と250との間に形成されるコーナ部252は丸くされており、後面250は、コーナ部252とデフレクタ本体234から半径方向外向きに延びる後方取付突起260との間を延びる。デフレクタの後方突起の下流側面260は、フレア状コーンの位置合わせ用突起の前縁194に取り付けられており、デフレクタ本体の内面246は、フレア状コーンの前縁190とフレア状コーンの肘部186との間においてフレア状コーンの外側の面184に隣接する。
【0029】
デフレクタ部分76はまた、半径方向外側の面270及び半径方向内側の面272を含む。半径方向外側の面270及び半径方向内側の面272は、デフレクタの前縁236から、デフレクタ本体234を通ってデフレクタの後縁242まで延びる。テープスロット(第2のキャビティ)274は、デフレクタの外側の面270からデフレクタ本体234内に深さ276だけ半径方向に延び、また、スロット274のそれぞれ前縁282と後縁284との間で測定された幅280だけ軸方向に延びる。
【0030】
開口部300は、デフレクタ本体234を軸方向に貫通する。より具体的には、開口部300は、デフレクタ本体の内側の面246の入口302から、デフレクタの後面250の出口304まで延びる。開口部入口302は、開口部出口304に対して半径方向内側にあり、開口部300が、該開口部を通して冷却流体を低い圧力で排出することを助ける。1つの実施形態においては、冷却流体は圧縮機空気である。
【0031】
開口部300は、燃焼器の長手方向中心対称軸82周りにデフレクタ本体234内をほぼ周方向に延び、デフレクタ部分76を、半径方向外側部分と半径方向内側部分すなわちリガメント部分とに分離する。冷却流体が開口部300を通して供給されるので、デフレクタのリガメント部分は熱的に遮断される。
【0032】
燃焼器16の組立てにおいて、ろう付け用テープがデフレクタのテープスロット内に予め装填され、ろう付け用ロープが空気スワール生成器の出口コーンのウィッシュボーン継手スロット168内に予め装填される。そして、デフレクタ・フレア状コーン組立体75が燃焼器のドームプレート220にスタック溶接され、燃焼器のドームプレート220と組立体75を、ろう付け中に適切な軸方向及び周方向位置に保持する。従って、ろう付け用テープとロープが予め装填されているので、単一のろう付け作業により、デフレクタ・フレア状コーン組立体75を、空気スワール生成器のフレア状コーン78及び燃焼器のドームプレート220に結合することができる。
【0033】
更に、デフレクタ・フレア状コーン組立体75が単一部品の組立体であるので、デフレクタ・フレア状コーン組立体75は、ろう付けの目視検査を行うことを容易にする。より具体的には、デフレクタ・フレア状コーン組立体75と燃焼器のドームプレート220との間に形成されたろう付け接合部310を、該接合部310の前方側から検査することができる。更に、フレア状コーンのウィッシュボーン継手の内側アーム164は、複数のノッチ312を含み、該ノッチにより、デフレクタ・フレア状コーン組立体75と空気スワール生成器の出口コーン92との間に形成されるろう付け接合部314を検査することが可能になる。その結果、修理が必要な場合には、1つの直径位置を機械加工することにより、他の部品に損傷を与えるというリスクなしで、空気スワール生成器90をデフレクタ・フレア状コーン組立体75から外すことができる。
【0034】
作動においては、前方スワール生成羽根134は、第1の方向に空気を旋回させ、後方スワール生成羽根132は、第1の方向と反対の第2の方向に空気を旋回させる。燃料噴射器80から吐出された燃料は、空気スワール生成器の前方ベンチュリ146内に噴射され、前方スワール生成羽根134によって旋回された空気と混合される。この燃料及び空気の最初の混合気は、前方ベンチュリ146から後方に吐出され、後方スワール生成羽根132を通って旋回された空気と混合される。この燃料/空気混合気は、前方生成羽根134と後方スワール生成羽根132それぞれによる遠心効果のため、半径方向外向きに広がり、比較的広い吐出噴霧角度で、フレア状コーンの流れ面182とデフレクタ弧状部分の流れ面272に沿って流れる。
【0035】
冷却流体は、デフレクタの開口部300を通ってデフレクタ・フレア状コーン組立体75に供給される。開口部300は、連続する冷却流体の流れが、フレア状コーンの部分78を衝突冷却するために低い圧力で排出するのを可能にする。この低い圧力は、フレア状コーン部分78の衝突冷却にとって、改良された冷却及び逆流マージンを助長する。更に、冷却流体は、対流熱伝導を高め、フレア状コーン部分78の作動温度を減少させるのを助ける。作動温度を減少させることは、フレア状コーン部分78の耐用年数を延ばすことに寄与し、一方、フレア状コーン部分78の酸化物形成速度を減少させる。
【0036】
更に、冷却流体がデフレクタ部分76を通って排出されるので、デフレクタのリガメント部分304は熱的に遮断され、空気スワール生成器90が、燃焼器のドームプレート74ではなく、デフレクタ・フレア状コーン組立体75に遠隔的に連結されるのを可能にする。
【0037】
更に、冷却空気が開口部300を通して排出されるので、デフレクタの弧状部分232は、フィルム冷却される。より具体的には、開口部300は、デフレクタ弧状部分の内側の面272にフィルム冷却を与える。開口部300はデフレクタ部分76内で周方向に延びるため、フィルム冷却は、デフレクタの内側の面272に沿って、フレア状コーン部分78の周りを周方向に向けられる。更に、開口部300が均一な冷却流を可能にするので、デフレクタ・フレア状コーン組立体75は、冷却流体の燃焼空気との混合を減少させながら、フィルム冷却を最適化することを助け、よって、燃焼器のエミッションに対するフレア冷却の悪影響を減少させるのを助ける。
【0038】
上述したガスタービンエンジン用の燃焼器システムは、費用効果があり、信頼性がある。この燃焼器システムは、一体の冷却開口部を有する単一部品のデフレクタ・フレア状コーン組立体を含む。開口部を通して供給される冷却流体は、デフレクタ・フレア状コーン組立体のフレア状コーン部分の衝突冷却、及びデフレクタ・フレア状コーン組立体のデフレクタ部分のフィルム冷却を与える。更に、開口部はデフレクタ部分内を周方向に延びるため、デフレクタ・フレア状コーン組立体の作動温度を減少させるのを助長する冷却流体の均一な流れが周方向に供給される。その結果、デフレクタ・フレア状コーン組立体は、信頼性がありかつ費用効果のある形で、燃焼器の耐用年数を延ばすのを助長する。
【0039】
本発明を、種々の特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者には、本発明を特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更を加えて実施できることが明らかであろう。なお、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガスタービンエンジンの概略図。
【図2】 図1に示すガスタービンエンジンに使用される燃焼器の断面図。
【図3】 領域3に沿った図2に示す燃焼器の拡大図。
【符号の説明】
16 燃焼器
46 燃焼チャンバ
40 外ライナ
42 内ライナ
64、66 カウル
70 ドーム組立体
74 ドームプレート
75 デフレクタ・フレア状コーン組立体
76 デフレクタ部分
78 フレア状コーン部分
80 燃料噴射器
82 長手方向中心対称軸
90 空気スワール生成器
300 開口部
Claims (14)
- 環状の空気スワール生成器(90)と、ドーム組立体(70)と、スペクタクルプレート(74)とを含む、ガスタービンエンジン(10)用の燃焼器(16)を組立てる方法であって、
前記空気スワール生成器を前記ドーム組立体内に配置する段階と、
前記ドーム組立体を前記スペクタクルプレート内に配置する段階と、
前記空気スワール生成器を前記ドーム組立体及び前記燃焼器内に固定するために、ろう付け作業を行う段階と、
を含み、
ろう付け作業を行う前記段階は、前記空気スワール生成器(90)と前記ドーム組立体(70)との間に形成されたキャビティ(168)内にろう付け用ロープを予め装填する段階を更に含む
ことを特徴とする方法。 - ろう付け作業を行う前記段階は、前記ドーム組立体(70)を前記スペクタクルプレート(74)に固定する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ろう付け作業を行う前記段階は、前記ドーム組立体(70)と前記スペクタクルプレート(74)の間に形成された第2のキャビティ(274)内にろう付け用テープを予め装填する段階を更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- ろう付け作業を行う前記段階は、該ろう付け作業において出来上がったろう付け結合部を検査する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記空気スワール生成器(90)を前記ドーム組立体(70)内に配置する前記段階は、前記ドーム組立体の少なくとも一部分を衝突冷却するために冷却流体を受けるための一体の開口部(300)を備えるドーム組立体を準備する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ガスタービンエンジン(10)用の燃焼器(16)であって、
空気スワール生成器(90)と、
前記空気スワール生成器の周りに周方向に設けられたドーム組立体(70)と、
該ドーム組立体を前記燃焼器内に固定するように構成されたスペクタクルプレート(74)と、
を備え、
前記ドーム組立体は、ろう付け作業において前記空気スワール生成器を前記ドーム組立体及び燃焼器に固定するように構成されており、
前記空気スワール生成器(90)と前記ドーム組立体(70)との間にはキャビティ(168)が形成されており、該キャビティ(168)内に予め装填されたろう付け用ロープにより前記空気スワール生成器(90)が前記ドーム組立体(70)に固定されていることを特徴とする燃焼器(16)。 - 前記ドーム組立体(70)は、該ドーム組立体の少なくとも一部分を衝突冷却するために冷却流体を受けるように構成された一体の開口部(300)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の燃焼器(16)。
- 更に、前記開口部(300)は、衝突冷却のために用いる前記ドーム組立体(70)の一部分を熱的に遮断するように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の燃焼器(16)。
- 前記燃焼器は、前記ろう付け作業のためのろう付け用テープを受けるように構成された少なくとも1つの第2のキャビティ(274)を前記ドーム組立体(70)と前記スペクタクルプレート(74)との間に更に備えることを特徴とする、請求項6に記載の燃焼器(16)。
- 空気スワール生成器(90)と、ドーム組立体(70)と、スペクタクルプレート(74)とを含む燃焼器(16)を備えるガスタービンエンジン(10)であって、
前記空気スワール生成器は前記ドーム組立体内にあり、前記スペクタクルプレートは前記ドーム組立体を前記燃焼器内に固定するように構成されており、前記ドーム組立体は、単一のろう付け作業において前記空気スワール生成器を前記燃焼器に固定するように構成されており、
前記空気スワール生成器(90)と前記ドーム組立体(70)との間にはキャビティ(168)が形成されており、該キャビティ(168)内に予め装填されたろう付け用ロープにより前記空気スワール生成器(90)が前記ドーム組立体(70)に固定されていることを特徴とするガスタービンエンジン(10)。 - 前記燃焼器(16)は、前記ドーム組立体(70)の少なくとも一部分を衝突冷却するために冷却流体を受けるように構成された一体の開口部(300)を更に含むことを特徴とする、請求項10に記載のガスタービンエンジン(10)。
- 前記燃焼器のドーム組立体(70)は、一体のフレア状コーン(78)及びデフレクタ(76)を備え、該フレア状コーン及び該デフレクタの少なくとも1つが前記開口部(300)を定めることを特徴とする、請求項11に記載のガスタービンエンジン(10)。
- 更に、前記燃焼器の開口部(300)は、衝突冷却のために用いる前記ドーム組立体の一部分を熱的に遮断するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載のガスタービンエンジン(10)。
- 前記燃焼器(16)は、前記ろう付け作業のためのろう付け用ロープ及びろう付け用テープの少なくとも1つを受けるように構成された第2のキャビティ(274)を前記ドーム組立体(70)と前記スペクタクルプレート(74)との間に更に含むことを特徴とする、請求項11に記載のガスタービンエンジン(10)。
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