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JP4290687B2 - 遊技機 - Google Patents

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JP4290687B2 JP2005268062A JP2005268062A JP4290687B2 JP 4290687 B2 JP4290687 B2 JP 4290687B2 JP 2005268062 A JP2005268062 A JP 2005268062A JP 2005268062 A JP2005268062 A JP 2005268062A JP 4290687 B2 JP4290687 B2 JP 4290687B2
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Description

本発明は、パチンコ遊技機やスロットルマシン等の遊技機に用いられる遊技制御装置に関し、特に“ぶら下がり基板”と称される不正基板の発見対策を講じた遊技制御装置が備えられた遊技機に関する。
遊技機、たとえば、パチンコ遊技機は、遊技盤に設けられた入賞口への打球の入賞または通過をセンサで検出し、そのセンサ信号を遊技制御装置に取り込み、この遊技制御装置からの指令に応答して、遊技盤前面のチューリップ等の電動開閉入賞装置や、液晶ディスプレイ等の図柄変動表示装置といった、いわゆる電動役物を駆動するように構成されている。
図9(a)は、遊技機の概略構成図である。遊技機の遊技制御装置1は、各種の遊技センサの検出信号を取り込む入力ポート2、各種の遊技駆動信号を出力する出力ポート3、遊技制御を実行する遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用ワンチップマイコンという)4、及び、それら各部の間を接続する内部バス5を有している。
入力ポート2に加えられる、各種の遊技センサからの検出信号のうち、とりわけ重要な信号は、たとえば、パチンコ遊技機の場合、入賞センサからの検出信号(以下、入賞信号という)である。この入賞信号に応答して遊技用ワンチップマイコン4で「大当たり」と称する特別遊技状態の抽選が行われ、大当たりを引き当てた場合に大入賞口が所定の時間大きく開いて、遊技者に対して大量の遊技球付与が行われるからである。
さて、このような構成を有する遊技機に対して行われる不正の手口のひとつに「ぶら下がり基板」と呼ばれる不正基板の組み込み行為がある。
図9(b)は、不正基板6が組み込まれた遊技機の要部構成図である。この図において、上記の重要な信号(入賞信号)を検出する入賞センサとして機能する始動口SW6のケーブル6aのコネクタ6bは、通常であれば遊技制御装置1のコネクタ1aに接続されていなければならないが、不正基板7が組み込まれている場合には,始動口SW6のケーブル6aのコネクタ6bは、不正基板7のコネクタ7aに接続されており、遊技制御装置1のコネクタ1aには、不正基板7のケーブル7bのコネクタ7cが接続されている。
すなわち、このような不正行為が行われている場合、始動口SW6と遊技制御装置1の間に不正基板7が介在することとなり、遊技制御装置1の遊技用ワンチップマイコン4には、始動口SW6からの真の入賞信号の代わりに、不正基板7で作られた偽の入賞信号が与えられることとなる。したがって、始動口への入賞(パチンコ球が入ること)とはまったく無関係に偽の入賞信号が発生するため、大当たりの確率が高くなり、遊技店に大きな損害を与える。
かかる不正行為の対策としては、たとえば、特許文献1に記載されているもの(以下、第1従来技術)が知られている。この第1従来技術は、遊技制御基板1から始動口SWのコネクタを取り外し、そのコネクタを専用の検査装置に接続して抵抗値を測定し、測定結果と基準値とを比較して不正基板7の有無を判定するというものである。すなわち、図9(b)において、正常時(不正基板7が組み込まれていないとき)には、検査装置に始動口SW6のコネクタ6bが接続され、この場合の測定値は、始動口SW6の出力抵抗Raとなる。これに対して、異常時(不正基板7が組み込まれているとき)には、検査装置に不正基板7のコネクタ7cが接続され、この場合の測定値は、不正基板7の出力抵抗Rbとなる。したがって、これら二つの出力抵抗値Ra、Rbの違いから、不正基板7の有無を判定することが可能になる。
しかしながら、この第1従来技術にあっては、いちいち、遊技制御装置1からコネクタを引き抜かなければならないため、営業中の遊技機に適用できないという問題点がある。
また、コネクタを取り外せたとしても、専用の検査装置をそのコネクタに接続しなければならず、手間がかかって面倒であるという問題点がある。
さらに、検査の方法が、専用の検査装置を用いてコネクタに流れ込む「電流値または電流量」を計測するというものであり、要するに、直流抵抗を測定するに過ぎないものであるため、仮に不正基板7の出力抵抗値と始動口SW6の出力抵抗値とが同等(Ra=Rb)であった場合には、もはや、不正基板7の存在を判定することができず、充分な判定精度が得られないという問題点がある。
前記の不正行為の対策として、たとえば、特許文献2に記載されているもの(以下、第2従来技術)も知られている。この第2従来技術は、遊技制御基板1に設けられている特定の信号入力端子(始動口SWからの入賞信号を入力するための信号端子)のインピーダンスを測定し、その測定結果と、形式申請時の正規のインピーダンスとを比較して、不正基板の有無を判定するというものである。
ここで、同文献中にはインピーダンスに関する詳しい説明はないが、この第2従来技術でいうところの“インピーダンス”は、上記の入力端子に加えられる入賞信号の信号レベル(ハイレベル及びローレベル)に過ぎない。つまり、一般的に理解されているインピーダンス(回路に交流電流を流した際に生じる抵抗:いわゆる交流抵抗のこと)のことではない。
このことは、同文献中にインピーダンス計測に必須の“交流電流”に関する記載が一切ないことからも明らかであり、さらに、同文献の段落番号「0009」に「A/Dコンバータ4cは、端子13に印加されるHighレベル時又はLowレベル時のインピーダンスを計測し」と記載されていることからも明らかである。ちなみに、A/Dコンバータは、単にアナログ信号を離散的な信号(デジタル信号)に変換するための汎用回路であって、A/Dコンバータそれ自体にインピーダンスを計測する機能はない。
実用新案登録第3059881号 特開2000−288222号公報
してみると、この第2従来技術は、正しくは、遊技制御基板1に設けられている特定の信号入力端子(始動口SWからの入賞信号を入力するための信号端子)の信号レベル(Highレベル及びLowレベル)を測定し、その測定結果と、形式申請時の正規の信号レベルとを比較して、不正基板の有無を判定するものであると言い換えることができ、これと、前記の第1従来技術とを比較すると、この第2従来技術は、いちいち、遊技制御装置1からコネクタを引き抜く必要がないため、手間がかからず、しかも、営業中の遊技機に適用できるという利点があるものの、入賞信号の信号レベルを計測しているに過ぎないものであるから、前記の第1従来技術の検査方法、すなわち、コネクタに流れ込む電流値または電流量を計測するものと同等であり、前記の第1従来技術と同じ問題点、つまり、仮に不正基板7の出力抵抗値と始動口SW6の出力抵抗値とが同等(Ra=Rb)であった場合には、もはや、不正基板7の存在を判定できず、充分な判定精度が得られないという問題点を依然として有している。
そこで、本発明の目的は、入賞信号の入力端子の交流抵抗を測定して基準の交流抵抗と比較することにより、直流抵抗のみの測定に比べて、不正基板有無の充分な判定精度の向上を図るようにした遊技制御装置が備えられた遊技機を提供することにある。
請求項1記載の発明は、遊技盤に形成された遊技領域に遊技球を発射して遊技を行い、
前記遊技盤に設けられた各種の遊技センサからの検出信号を取り込み、それらの検出信号に従って遊技制御を行い、その制御結果としての各種の遊技制御信号を発生する遊技制御装置が備えられた遊技機において、
現在の遊技状態が、前記遊技領域に遊技球が発射されている第1遊技状態か、前記遊技領域に遊技球が発射されていない第2遊技状態かを判定する遊技状態判定手段が備えられ、
前記遊技制御装置は、
前記遊技センサのうち前記遊技制御における特別遊技状態の決定に関与する検出信号を出力する所定の遊技センサからの検出信号を取り込むコネクタと、
前記コネクタを介して前記所定の遊技センサに直流の電源電圧を供給する直流電源供給手段と、
前記直流の電源電圧に交流電流を重畳し、動作中の前記所定の遊技センサから当該交流電流に対応する応答信号を出力させる交流電流重畳手段と、
前記応答信号に基づいて、前記所定の遊技センサの出力インピーダンスに相当する交流抵抗を計測する交流抵抗計測手段と、
前記交流抵抗計測手段によって計測された交流抵抗と所定の基準値又は基準範囲と比較して前記所定の遊技センサと前記コネクタの間に不正基板が挿入されているか否かを判定する不正基板判定手段と、
前記遊技状態判定手段の判定結果が前記第1遊技状態のときは、前記交流電流重畳手段の動作を禁止し、該判定結果が前記第2遊技状態のときは、前記交流電流重畳手段の動作を許容する交流電流重畳許容手段と、を備えたことを特徴とする遊技機である。
請求項2記載の発明は、前記交流電流重畳許容手段は、
前記遊技状態判定手段によって、前記第1遊技状態から第2遊技状態への遷移が検出された場合には、その検出時点から一定時間経過後に前記交流電流重畳手段の動作を許容し、
前記遊技状態判定手段によって、前記第2遊技状態から第1遊技状態への遷移が検出された場合には、その検出時点で、又は、その検出時点から前記一定時間よりも短い時間の経過後に前記交流電流重畳手段の動作を禁止することを特徴とする請求項1記載の遊技機である。
請求項3記載の発明は、前記所定の遊技センサへの前記交流電流が重畳された電源電圧の供給経路中には、所定の負荷要素が挿入され、
前記交流抵抗計測手段は、該負荷要素の両端間の電圧変化に基づいて前記所定の遊技センサの出力インピーダンスに相当する交流抵抗を計測し、
前記遊技状態判定手段の判定結果が第1遊技状態である場合に、前記負荷要素の両端を短絡する短絡手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機である。
請求項4記載の発明は、前記不正基板判定手段によって不正基板の存在が判定された場合に報知を行うとともに前記遊技制御を停止する異常処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の遊技機である。
請求項1記載の発明によれば、特別遊技状態(たとえば、大当たりと称される状態)の決定に関与する検出信号(たとえば、入賞信号)を出力する所定の遊技センサ(たとえば、入賞センサ)への電源電圧は、通常であれば直流の電源電圧であるが、本発明ではその電源電圧に交流電流を重畳して所定の遊技センサへ供給する。そのため、交流電流が重畳された電源電圧で動作中の前記所定の遊技センサからの検出信号には、前記交流電流に対応する応答信号が含まれることとなり、この応答信号に基づいて前記所定の遊技センサの出力インピーダンスに相当する交流抵抗を計測することが可能となる。
ここで、ぶら下がり基板とも称される不正基板の狙いは、特別遊技状態の決定に関与する偽の検出信号を生成することにあり、その挿入位置は多くの場合、前記所定の遊技センサと該所定の遊技センサからの検出信号を取り込むコネクタとの間である。
かかる位置に不正基板が挿入された場合、前記コネクタから見える(計測できる)前記所定の遊技センサの出力インピーダンスは、不正基板の出力インピーダンスとなるため、これら二つのインピーダンスの違いを調べることによって不正基板の存在を発見することができる。
また、このような交流電流に基づく抵抗(交流抵抗)の測定は、直流電流による抵抗(直流抵抗)の測定に比べて、前記所定の遊技センサと不正基板との電子回路の細かな違いを見い出しやすいため、完全同一な電子回路(たとえば、同一型番、同一ロットの集積回路を使用している等)でない限り、不正基板の充分な検出精度を得ることができる。
さらに、第2遊技状態の場合、つまり、遊技領域に遊技球を発射していない場合に前記交流電流重畳手段の動作を許容するので、前記交流電流に対応する交流成分が含まれた検出信号が、実際の遊技制御に影響を与えることはない。
請求項2記載の発明によれば、前記交流電流重畳許容手段は、前記遊技状態判定手段によって、前記第1遊技状態から第2遊技状態への遷移が検出された場合には、その検出時点から一定時間経過後に前記交流電流重畳手段の動作を許容し、前記遊技状態判定手段によって、前記第2遊技状態から第1遊技状態への遷移が検出された場合には、その検出時点で、又は、その検出時点から前記一定時間よりも短い時間の経過後に、前記交流電流重畳手段の動作を禁止するので、不正基板の検出期間を適正化して遊技に支障のないようにすることができる。
すなわち、第1遊技状態から第2遊技状態への遷移が検出されてから一定時間経過後は、もはや、遊技者の離席等による遊技終了とみなすことができるため、この場合には、不正基板の検出を許容しても遊技に差し支えがなく、一方、第2遊技状態から第1遊技状態への遷移が検出された場合には、遊技者による遊技の開始であるから、その検出時点で直ちに、又は、前記一定時間よりも短い時間(たとえば、遊技球の発射ハンドルに手を添えてから実際に遊技球が発射されるまでの平均的な時間)の経過後に不正基板の検出を禁止することにより、やはり、遊技への影響を回避することができる。
請求項3記載の発明によれば、前記所定の遊技センサへの前記交流電流が重畳された電源電圧の供給経路中に挿入された負荷要素と、前記遊技状態判定手段の判定結果が第1遊技状態である場合に該負荷要素の両端を短絡する短絡手段とを含むので、遊技中には負荷要素の両端を短絡することにより、負荷要素の悪影響、つまり、検出信号のレベル低下等を回避することができる。
請求項4記載の発明によれば、前記不正基板判定手段によって不正基板の存在が判定された場合に報知を行うとともに前記遊技制御を停止するので、不正基板の存在に伴う遊技店の損害発生を未然に防止することができる。
以下、本発明の実施形態を、パチンコ遊技機への適用を例にして、図面を参照しながら説明する。
まず、パチンコ遊技機の構成を説明する。
図1は、パチンコ遊技機10(遊技機)の正面図である。このパチンコ遊技機10は、遊技機本体11と、その遊技機本体11の側方に併設されたカードユニット12とを対にして遊技場に多数設けられている。
遊技機本体11は、機枠13の前面側に額縁状の前面枠14を開閉可能に設け、該前面枠14に開設した窓部15の前面側にガラス枠16と開閉扉17を開閉可能に軸着し、窓部15の背面側には、この窓部15を塞ぐようにして遊技盤18(遊技盤18の詳細構成は図2を参照のこと)を装着し、前面枠14の下部前面側に球受皿19と、遊技球(パチンコ球)の発射操作ハンドル20などを取り付けているとともに、開閉扉17には遊技球貯留手段として球供給皿21を設け、該球供給皿21より打球発射機構(図示省略)へ供給された遊技球が弾発され、遊技盤18に到達するようになっている。
また、カードユニット12は、遊技球を貸し出すためのプリペイドカードを処理するものであり、遊技者がプリペイドカードで遊技球を借り受ける際に、カードユニット12のカード挿入口22にプリペイドカードを挿入すると、そのプリペイドカードでの球貸が可能であれば、遊技機側に設けられた度数表示器23に使用可能な度数が表示され、その度数表示器23の左側に設けられている球貸スイッチ24を操作する毎に単位度数分(たとえば、100円に相当する1度数分)の球貸動作が行われるようになっている。なお、球貸スイッチ24の右隣のカード返却スイッチ25を操作すると、カードユニット12のカード挿入口22からプリペイドカードが排出されるようになっている。
図2は、遊技盤18の正面図である。遊技盤18の表面に形成された遊技領域26のほぼ中央には、演出制御装置27aの画像表示部27(装飾図柄表示部ともいう)が設けられている。この画像表示部27は、センターケース27bに形成された凹部の前面より奥まった位置に設けられている。
演出制御装置27aの画像表示部27は、たとえば、LCD(液晶表示器)やCRT(ブラウン管)等で表示画面が構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域には、複数の変動表示領域が設けられており、各変動表示領域に識別情報(装飾図柄:特別図柄に対応して変動表示する図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタが表示される。すなわち、表示画面の左、中、右に設けられた変動表示領域には、識別情報として割り当てられた装飾図柄(たとえば、“0”〜“9”までの数字及び“A”、“B”の英文字による12種類の図柄)が変動表示(可変表示)して特図変動表示ゲームが行われる。その他、表示画面には遊技の進行に基づく画像が表示される。
画像表示部27の右上方には装飾用ランプやLED等の装飾装置28が設けられており、これらの装飾装置28は、大当り等のイベント発生時に遊技の進行に応じて様々な態様で装飾発光する。さらに、センターケース27bの枠上には、画像表示部27の左側の位置に“ワープ入口”と称される球通路(以下、ワープ入口29)が設けられる。ワープ入口29へ流下した遊技球は、ワープ出口30から排出され、画像表示部27の下辺に設けられた溝を通過して、画像表示部27の中央直下に設けられた孔に流下する。そして、始動口31の直上に設けられた連通口から排出されることによって、後述の始動口31への入賞可能性が高められるようになっている。
センターケース27bの左側には、普通図柄始動ゲート32及び方向転換部材33が配置される。また、センターケース27bの下方には、複数個(図では左側3個、右側1個)の一般入賞口34が配置されるとともに、普通変動入賞装置(普通電動役物)35を備えた始動口31、及び、大入賞口36を備えた特別変動入賞装置37が配置される。特別変動入賞装置37の左側には、特図変動表示ゲームの特別図柄の変動表示及び特別図柄入賞記憶数を表示する特図表示器38(補助遊技手段)が設けられる。特図表示器38には、特図表示部38a及び特図記憶表示部38bが設けられる。
また、特別変動入賞装置37の右側には、普通図柄変動表示ゲームが実行され、または、普通図柄入賞記憶数を表示する普図表示器39が設けられる。普図表示器39には、普図表示部39a及び普図記憶表示部39bが設けられる。
パチンコ遊技機10の遊技は、打球発射装置(図示省略)から遊技領域26に向けて遊技球が打ち出されることによって行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域26内の各所に配置された風車等の方向転換部材33や釘によって転動方向を変えながら遊技領域26を流下し、一般入賞口34、始動口31または特別変動入賞装置37に入賞するか、遊技領域26の最下部に設けられたアウト口40から排出される。遊技領域26の左側に配置された一般入賞口34への遊技球の入賞は、これらの一般入賞口34に備えられた入賞口センサL59(図4参照)によって検出される。また、遊技領域26の右側に配置された一般入賞口34への遊技球の入賞は、これらの一般入賞口34に備えられた入賞口センサR60(図4参照)によって検出される。なお、入賞口センサL59や入賞口センサR60の“L”、“R”は、それらの位置(左、右)を示す。
始動口31、一般入賞口34、大入賞口36に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出ユニット(排出装置)から排出され、球供給皿21に供給される。始動口31への遊技球の入賞は、始動口SW56(図4参照)によって検出される。この遊技球の通過タイミングによって抽出された特別図柄乱数カウンタ値は、後述の遊技制御装置41内の特図記憶領域に特別図柄入賞記憶として所定回数(たとえば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特別図柄入賞記憶の記憶数は、特図記憶表示部38bに表示される。遊技制御装置41は、特別図柄入賞記憶に基づいて、特図表示部38aにて特図変動表示ゲームを行う。
始動口31へ遊技球の入賞があると、演出制御装置27aでは、前述した数字等で構成される装飾図柄(識別情報)が順に変動表示して、特図変動表示ゲームに関する画像が表示される。つまり、演出制御装置27aでは、特図表示部38aの表示に対応する装飾図柄の変動表示が行われる。特図表示部38aは、変動表示状態と変動表示結果とを遊技者に正確に知らしめる役割を有し、演出制御装置27aは、興趣向上のために多様な表示を演出する役割を有する。
始動口31への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の特別図柄乱数カウンタ値が当り値であるとき)には特別遊技状態と称する大当り状態となり、表示図柄が特定の結果態様を導出する。具体的には、特図表示部38aは、当り図柄である一桁の特別図柄で停止して、演出制御装置27aは、三つの装飾図柄が揃った状態(大当り図柄)で停止する。このとき、特別変動入賞装置37は、大入賞口SOL(ソレノイド)65(図4参照)への通電によって、大入賞口36が所定の時間(たとえば、30秒)だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、大入賞口36が所定の時間だけ大きく開くので、この間遊技者は多くの遊技球を獲得することができるという遊技価値が付与される。
特別変動入賞装置37への遊技球の入賞は、カウントSW57(図4参照)によって検出される。普通図柄始動ゲート32への遊技球の通過は、ゲートSW58(図4参照)で検出される。この遊技球の通過タイミングによって抽出された普通図柄乱数カウンタ値は、遊技制御装置41内の普図記憶領域に普通図柄入賞記憶として所定回数(たとえば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この普通図柄入賞記憶の記憶数は、普図記憶表示部39bに表示される。
普通図柄始動ゲート32を遊技球が通過すると、遊技制御装置41により、普通図柄入賞記憶に基づく普図表示器39を用いた普図変動表示ゲームが開始される。すなわち、普通図柄始動ゲート32への通過検出が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、通過検出時の普通図柄乱数カウンタ値が当り値であるときには)には当り状態となり、普図表示部39aに表示される普通図柄が当り状態で停止する。このとき、始動口31の上部に設けられた普通変動入賞装置35は、普電SOL66(図4参照)への通電により、始動口31への入口が所定の時間だけ拡開するように変換され、遊技球の始動口31への入賞可能性が高められる。なお、普通変動入賞装置35の開放時間は、たとえば、特定遊技状態(確率変動状態及び変動時間短縮状態)では2.9秒間、通常遊技状態では0.5秒間として、遊技状態に応じて開放態様が変化するとよい。
このようにして、一般入賞口34、始動口31及び大入賞口36に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出ユニット(排出装置)から、前面枠14の球供給皿21または球受皿19に排出される。
図3(a)は、遊技盤18の始動口31付近の要部断面図である。この図において、始動口31は、遊技盤18の表裏を貫通して形成された穴18aと、その穴18aの表側に取り付けられた上端開放の第1案内部材31aと、その穴18aの裏側に取り付けられた下端開放の第2案内部材31bと、この第2案内部材31bの開放端を閉鎖するようにして取り付けられた始動口SW56(所定の遊技センサ)とを含んで構成されている。ここで、始動口SW56は、冒頭で説明した“入賞センサ”として機能するものであり、たとえば、オムロン株式会社製の貫通型近接スイッチ(型番:TP−PP153)を用いることができる。この貫通型近接スイッチは、遊技球26aの直径よりも僅かに大きい内径の貫通穴56aを形成した所定厚みの矩形状のケース56bからなり、そのケース56bの内部に所要の電子回路を実装してパッケージングされている。
図3(b)は、始動口SW56の内部ブロック図であり、図示の例では、貫通穴56aの周囲に巻回された高周波コイル56cと、発振回路56dと、出力回路56eとを備えている。発振回路56dは高周波コイル56cとともに共振回路を形成しており、その共振周波数をfaとすると、この発信回路54dは、定常時(貫通穴56aに遊技球が通過していないとき:以下「球無状態」又は単に「球無」という)に、その周波数faでハイレベルとローレベルを繰り返す信号を出力する一方、入賞時(貫通穴56aに遊技球が通過したとき:以下「球有状態」又は単に「球有」という)に非共振状態(発振停止状態)となって、ハイレベル又はローレベルのどちらかの論理に固定した信号を出力する。以下、説明の便宜上、球有状態のときの固定論理をハイレベルとする。出力回路54cは、発振回路56dからの信号をトランジスタ等で増幅し、不図示のケーブルやコネクタ(図9の符号6a及び6b参照)を介し、入賞信号として図外の遊技制御装置41に出力する。
図3(c)は、入賞信号の波形図である。この図において、入賞信号は、球無状態のときに所定周波数faでハイレベルとローレベルを繰り返す一方、球有状態のときにハイレベル固定となる信号である。後述の遊技制御装置41は、この球有状態に応答して、「大当たり」と称する特別遊技状態の抽選を行う。
図4は、遊技制御装置41の電気的な内部ブロック構成図である。遊技制御装置41は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行う、いわゆる“アミューズメントチップ”としての遊技用ワンチップマイコン42と、外部の情報収集端末装置43に実装された通信端子44との間でデータのやり取りを行うための外部通信端子45と、入力ポート回路46と、複数(ここでは便宜的に4個)の出力ポート回路47〜50を内蔵したI/Oエキスパンダ51と、それらの出力ポート回路47〜50から取り出された各々の信号を所要の制御負荷を駆動し得る電力に増幅するドライブ回路52と、それらの各部を接続する基板内バス53(データバス)とを備えるとともに、本実施形態に特有の構成要素である、不正基板54の有無を監視するための監視部55を備える。
入力ポート回路46には、遊技機本体11に設けられた各種センサ、たとえば、始動口SW56、カウントSW57、ゲートSW58、入賞口センサL59、入賞口センサR60などからの検出信号が入力されており、また、複数の出力ポート回路47〜50からは、ドライブ回路52を介して、遊技機本体11に設けられた電動役物等の各種制御負荷、たとえば、特図表示器61、特図記憶表示器62、普図表示器63、普図記憶表示器64、遊技状態表示器65、普電SOL66、大入賞口SOL67、排出制御装置68、演出制御装置27a、盤用外部情報70などへの駆動信号などが取り出されている。
これらの入力ポート回路46やI/Oエキスパンダ51には、遊技用ワンチップマイコン42からのチップ選択信号CSin、CSoutが加えられており、入力ポート回路46は、入力ポート用チップ選択信号CSinに従って所要の検出信号(始動口SW56、カウントSW57・・・・等で検出された信号)を選択して基板内バス53に伝達し、また、I/Oエキスパンダ51は、出力ポート用チップ選択信号CSoutに従って基板内バス53の信号を取り出して所要の負荷(特図表示器61、特図記憶表示器62・・・・等)に出力する。
監視部55は、上記のとおり、不正基板54の有無を監視するための回路である。この監視部55は、後で詳しく説明するように、現在の遊技状態が、遊技停止中であるのか遊技実行中の状態であるのかを検出する遊技状態検出センサ71(遊技状態判定手段、交流電流重畳許容手段)からの検出信号に基づいて動作するものである。ここで、遊技停止中とは、たとえば、遊技球が遊技盤18の遊技領域26に発射されていない状態、又は、遊技球の発射操作ハンドル20(図1参照)に遊技者の手が添えられていない状態に相当する。又、遊技実行中とは、たとえば、遊技球が遊技盤18の遊技領域26に発射されている状態、又は、遊技球の発射操作ハンドル20に遊技者の手が添えられている状態に相当する。そして、監視部55は、その動作状態において、所定周波数fb(但し、fa<fb)の交流電流を重畳した直流の電源電圧を始動口SW56へ供給し、始動口SW56からの検出信号(入賞信号)に含まれる、所定周波数fbに対応した周波数成分を有する応答信号(交流成分)に基づいて、始動口SW56の出力インピーダンスに相当する交流抵抗を測定し、形式申請時の基準交流抵抗の許容範囲と比較して、不正基板54の有無を判定するというものである。
情報収集端末装置43は、上記のとおり、遊技制御装置41の外部通信端子45に接続された通信端子44を備える他、パチンコ遊技機10の盤用外部情報70やカードユニット12に接続された情報収集端子72などを備えており、パチンコ遊技機10などからの様々な情報信号、たとえば、売り上げ信号、補給球数信号、回収球数信号、大当たり信号、特図回転信号及び確変信号などを取り込み、遊技場内部ネットワークを介して、不図示の場内管理装置に対して所要の情報送信を行うとともに、遊技制御装置41に実装されている遊技用ワンチップマイコン42の正当性評価、たとえば、遊技用ワンチップマイコン42に対して定期的または不定期に固有識別情報の送信要求を出し、その要求に応答して遊技用ワンチップマイコン42から送信された固有識別情報を初回受信の際には内部に記憶保存し、2回目以降の受信の際には記憶保存されている固有識別情報と受信した固有識別情報とを照合することによって遊技用ワンチップマイコン42の正当性評価を行ったりする等のセキュリティ処理を実行し、加えて、遊技制御装置41の外部通信端末45を介して送られてくる監視部55からの不正基板54の有無を示す判定信号が、不正基板54の“有り”を示しているときに、警報を行うなどの所要の報知処理を実行する。
図5(a)は、監視部55のブロック図である。この監視部55は、遊技状態検出センサ71からの検出信号が遊技停止中を示しているときに所定周波数fbの高周波信号を発生する高周波信号発生部55a(交流電流重畳手段)と、同検出信号が遊技停止中を示しているときに、始動口SW56からの入賞信号のを取り込むためのコネクタ41aと始動口SW56との間に不正基板54が入れられているか否かを判定する判定部55b(不正基板判定手段)とを含む。
判定部55bは、特にそれに限定されないが、コネクタ41aから入力された入賞信号の伝達経路状に挿入された抵抗R1(交流抵抗計測手段、負荷要素)の電圧降下を測定し得る構成となっており、この抵抗R1は、たとえば、入賞信号の入力バッファトランジスタTR1の入力抵抗を利用してもよい。トランジスタTR1のコレクタには、抵抗R2を介して直流電圧Vcc(直流電源供給手段:たとえば、Vcc=+12V)が加えられており、トランジスタTR1のコレクタ電圧は抵抗R3を介してトランジスタTR1のベースに加えられるとともに、さらに、抵抗R1及びコネクタ41aを介して始動口SW56にも加えられており、この始動口SW56の電源電圧(図3の発振回路56d及び出力回路56eの動作電圧)ともなっている。
トランジスタTR1のエミッタは、抵抗R4及びR5を介して接地されており、トランジスタTR1のエミッタから取り出された入賞信号が、抵抗R5の両端に接続された光送受信機55cを介して、図外の入力ポート回路46へ出力されるようになっている。なお、光送受信機55cを用いているのは、入力ポート回路46側からの電気信号の影響を、監視部55側へ関与させないようにするためである。
また、高周波信号発生部55aで発生した所定周波数fbの交流電流は、直流阻止用のコンデンサC1を介してトランジスタTR1のコレクタに印加されるようになっており、このトランジスタTR1のコレクタにおいて、直流電圧Vccと所定周波数fbの交流電流とが重畳されるようになっている。
図5(b)は、入賞信号の拡大波形図である。この図において、太線で示す電位(ア)は、始動口SW56で発生する共振周波数faの周期に従ってVccと0Vの間で変化しており、それゆえ、この入賞信号は、始動口SW56が球無状態のときのものである。また、太線で示す電位(ア)のVcc期間と0V期間にそれぞれ重畳された魚骨状の波形は、上記の共振周波数faよりも高い周波数fbを持つ高周波信号(高周波信号発生部55aで発生した信号)である。このような複数の周波数fa、fbの信号を複合した図示の入賞信号は、トランジスタTR1のベースに挿入された抵抗R1の電圧降下として検出される。
監視部55の高周波信号発生部55a及び判定部55bは、遊技状態検出センサ71からの検出信号が遊技実行中を示しているとき、すなわち、遊技球が遊技盤18の遊技領域26に発射されているとき、又は、遊技球の発射操作ハンドル20(図1参照)に遊技者の手が添えられているときには動作しない。このため、このときに、この始動口SW56に加えられる電源電圧は、たとえば、+12Vの直流電圧Vccであり、入賞信号は、図5(b)中の太実線で示すように、所定周波数faでハイレベルとローレベルを繰り返す波形(ア)のみとなる。つまり、この場合、入賞信号には、共振周波数faよりも高い周波数fbを持つ魚骨状の波形は含まれない。
一方、遊技状態検出センサ71からの検出信号が遊技停止中を示しているとき、すなわち、遊技球が遊技盤18の遊技領域26に発射されていないとき、又は、遊技球の発射操作ハンドル20に遊技者の手が添えられていないときには、監視部55の高周波信号発生部55a及び判定部55bが動作し、この動作状態において、高周波信号発生部55aからの所定周波数fbの交流電流が、コンデンサC1を介して前記の直流電圧Vccに重畳されるようになっている。
このため、入賞信号は、共振周波数faよりも高い周波数fbを持つ魚骨状の波形を含むことになる。今、始動口SW56とコネクタ41aの間に不正基板54が入れられていない場合を想定すると、この場合の入賞信号中の周波数fbに相当する高周波成分の量(ピークtoピーク又は平均値若しくは実効値等;以下、Ea、Eb)は、始動口SW56の出力インピーダンスの大きさに依存する。インピーダンス、すなわち、交流抵抗は「回路に交流電流を流した際に生じる抵抗」のことであるからである。なお、交流抵抗の大きさは、交流電流の周波数によって変化するので、高周波信号発生部55aの適切な周波数fbは、たとえば、インピーダンスアナライザなどの計測器を用いて、様々な周波数で始動口SW56の実際の出力インピーダンスを測定し、良好な測定結果が得られたときの周波数を高周波信号発生部55aの周波数fbとすることが望ましい。
図6は、不正基板判定を含むパチンコ遊技機10の動作フローチャートを示す図である。パチンコ遊技機10の電源を入れると、まず、遊技実行中であるか否かを判定する(ステップS1)。つまり、遊技球が遊技盤18の遊技領域26に発射されている状態か否か、又は、遊技球の発射操作ハンドル20(図1参照)に遊技者の手が添えられてる状態か否かを検出する。そして、遊技実行中であれば、そのまま遊技用ワンチップマイコン42で遊技制御を実行(ステップS2)するが、遊技実行中でない場合は監視部55で不正基板の判定を実行し(ステップS3)、その判定結果が「正常」のとき(ステップS4)には遊技制御を実行(ステップS2)する一方、その判定結果が「異常」のとき(ステップS4)には遊技制御を中断して警告灯の表示又は警告音の発生等の所要の異常報知(ステップS5)を行った後、フローチャートを終了する。
これにより、遊技実行中においては、監視部55の高周波信号発生部55aを非動作にして、始動口SW56からの検出信号に高周波の交流成分を重畳させないようにできるので、トランジスタTR1のベース電流を安定化させることができる。そのため、トランジスタTR1のコレクタ電流が安定して光送受信機55cの発光状態も安定し、遊技実行中の入賞信号の伝達に支障を来たすことがなくなる。
図7は、不正基板判定を含むパチンコ遊技機10のタイムチャートを示す図である。この図において、最上段の波形は、遊技状態検出センサ71からの検出信号波形であり、この検出信号はローレベルで遊技実行中を表し、ハイレベルで遊技停止中を表している。今、遊技店の開店の時点T0 でパチンコ遊技機10の電源が入れられたとすると、この検出信号は時点T0 からハイレベルとなり、入店客が着席して発射操作ハンドル20に手が添えられた時点又は発射操作ハンドル20を回して遊技球が発射された時点T2 で、この検出信号はハイレベルからローレベルに遷移する。
始動口SW54に供給される電源電圧は、電源投入の時点T0 から直流電圧Vccであるが、電源投入の時点T0 から所定の回路動作安定時間Aを経過した後の時点T1 以降は、監視部55の高周波信号発生部55aで発生した所定周波数fbの交流電流が重畳された交直混合の電源電圧が供給される。この交直混合の電源電圧の供給期間は、遊技状態検出センサ71からの検出信号が遊技実行中(ローレベル)に遷移する時点T2 までであり、結局、その交直混合の電源電圧の供給期間(T1 〜T2 )が、電源投入直後の「不正基板判定期間」となる。
一方、遊技状態検出センサ71からの検出信号が遊技実行中(ローレベル)を示している間は、始動口31への遊技球の入賞を判定する期間であり、その期間では、監視部55の高周波信号発生部55aの動作がストップする。したがって、始動口SW54に供給される電源電圧が直流電圧Vccのみとなり、その期間の入賞信号は、図示のように、所定周波数faでローレベルとハイレベルを繰り返す「球無」とハイレベル固定の「球有」のいずれかに変化する。
そして、遊技者が発射操作ハンドル20から手を離し又は遊技球の発射を行わなくなった時点T3 では、遊技状態検出センサ71からの検出信号が遊技停止中(ハイレベル)に遷移し、その遊技停止の開始時点T3 から所定時間Bを経過した時点T4 になると、再び、監視部55の高周波信号発生部55aで発生した所定周波数fbの交流電流が重畳された交直混合の電源電圧が始動口SW54に供給される。この交直混合の電源電圧の供給期間は、遊技状態検出センサ71からの検出信号が遊技実行中(ローレベル)に遷移するまでであり、結局、その交直混合の電源電圧の供給期間(T4 〜・・・・)も、上記の電源投入直後の「不正基板判定期間」と同様の「不正基板判定期間」となる。
さて、これらの「不正基板判定期間」において、監視部55の判定部55bは、入賞信号に含まれる所定周波数fbの高周波成分の量(Ea、Eb)を、高周波信号発生部55aからの交流電流に対応する応答信号とみなして計測し、始動口SW56の出力インピーダンス、すなわち、交流抵抗の大きさを推定する(図6のステップS3参照)。そして、監視部55の判定部55bは、その推定値が、形式申請時の正しい交流抵抗の大きさの許容範囲に収まっているか否かを判定し(図6のステップS4参照)、収まっていれば遊技用ワンチップマイコン42の遊技制御(図6のステップS2参照)を許容する一方、収まっていない場合には、不正基板が入れられている可能性が高いと判断して遊技制御を禁止すると共に所要の報知処理(図6のステップS5参照)を実行する。
これにより、遊技実行中と遊技停止中とが切り替わっても、入賞信号の伝達の精度を高めつつ、不正基板の監視を行うことができる。遊技実行中から遊技停止中へ切り替わって一定時間が経過した場合は、もはや、遊技者の離席等による遊技終了とみなすことができるため、この場合には、不正基板の検出を許容しても遊技に差し支えない。一方、遊技停止中から遊技実行中への遷移が検出された場合には、遊技者による遊技の開始であるから、その検出時点で直ちに、又は、前記一定時間よりも短い時間(たとえば、遊技球の発射ハンドルに手を添えてから実際に遊技球が発射されるまでの平均的な時間)の経過後に不正基板の検出を禁止するようにすれば、遊技への影響を回避することができる。
図8(a)は、不正基板54を含む構成図である。この図において、不正基板54は、始動口SW56のコネクタ56fと、遊技制御基板41のコネクタ41aとの間に入れられている。すなわち、正常であれば、始動口SW56のコネクタ56fが接続されていなければならない遊技制御基板41のコネクタ41aに、不正基板54のコネクタ54aが接続されており、始動口SW56のコネクタ56fは、偽装のために不正基板54に接続されている。このような不正行為が行われた構成の場合、遊技制御装置41のコネクタ41aのインピーダンスは、始動口SW56の出力インピーダンスではなく、不正基板54の出力インピーダンスとなる。
不正基板54は、始動口SW56の真の入賞信号を擬製した偽の入賞信号を作るためのものであり、多くの場合、本来の始動口SW56に似せた回路構成で設計されるものの、本来の始動口SW56の電子回路(とりわけ、出力回路56e)が専用IC(集積回路)であるのに対して、不正基板54の電子回路は、そのような専用ICの入手が困難なため、通常のロジック回路又は代替IC等で構成されているはずであるから、本来の始動口SW56の出力インピーダンスと、不正基板54の出力インピーダンスは正確に一致しない。
したがって、図示のような不正基板54を含む場合に、監視部55でインピーダンスを測定すると、正常時のインピーダンス(始動口SW56のインピーダンス)との間に差が生じることになる。
図8(b)は、不正基板54を含む場合の入賞信号(球無状態のときのもの)の拡大波形図である。不正基板54を含まない場合と同様に、遊技停止中における入賞信号は、周波数fbに相当する細かな高周波成分を含む波形になるが、不正基板54を含む場合には、入賞信号中の周波数fbに相当する高周波成分の量(Ea′、Eb′)が、不正基板54を含まない場合の高周波成分の量(Ea、Eb)と異なることになる。たとえば、図示の例では、Ea>Ea′、Eb>Eb′となっており、これは、不正基板54の出力インピーダンスが始動口SW54の出力インピーダンスよりも小さいことを示している。
このように、本実施形態によれば、人手を煩わすことなく、パチンコ遊技機10に組み込まれている不正基板54を検出することができる。しかも、前記の従来技術のような直流抵抗ではなく、インピーダンスを表す交流抵抗に基づいて、不正基板54の検出を行うようにしたので、その検出精度を向上することができる。
なぜならば、直流抵抗による検出の場合は、始動口SW56のコネクタ56fに単純なテスタ(マルチメータ等)を接続して直流抵抗値を測定し、その測定値に合致した出力抵抗値を持つ不正基板54を容易に作ることができるが、交流による検出の場合は、インピーダンスアナライザ等の専用計測器が必要である上、仮に、そのような専用計測器で交流抵抗を測定し得たとしても、測定時の周波数と、監視部55の高周波信号発生部55aの発生周波数fbとが正しく一致していない限り、始動口SW56と不正基板54の両者の出力インピーダンスを正確に合わせることができないからである。
すなわち、今、テスタを用いて始動口SW56の出力抵抗(直流抵抗)を測定した結果、ある抵抗値Raが得られたとする。この場合、不正基板54を設計する際に、その出力抵抗(直流抵抗)をRaに合わせ込めばよい。このようにすると、たとえば、前記の第1従来技術や第2従来技術を欺くことができる。直流抵抗は、テスタで測定したときと、前記の第1従来技術や第2従来技術による測定を行ったときでほぼ同一の測定結果になるからである。
これに対して、インピーダンスアナライザを用いて始動口SW56の出力インピーダンスを測定した場合、その測定値をZaとし、このZaを測定したときの周波数をfcとすると、やはり、不正基板54を設計する際に、その出力インピーダンスをZaに合わせ込むことになるが、その合わせ込み値(Za)は、周波数fcを前提条件としたものであるから、高周波信号発生部55aの発生周波数fbを上記の周波数fcに一致させない限り、監視部55では上記の測定値Zaと異なるインピーダンスを測定することとなるからである。しかも、前記の理由より、始動口SW56と不正基板54の回路構成も異なるので、両者のインピーダンスの間には相応の差違が生じるからである。
なお、高周波信号発生部55aの正確な発生周波数fbが、不正基板54の製造者に露呈した場合、始動口SW56の出力インピーダンスに合致したインピーダンスへの合わせ込みが行われる可能性を捨てきれない。これの対策としては、たとえば、高周波信号発生部55aの発生周波数fbを所定の範囲で変化させるようにし、それらの周波数範囲内の一部の周波数をインピーダンス計測に用いるようにしてもよい。どの周波数を用いるかを秘匿することにより、始動口SW56の出力インピーダンスに合致したインピーダンスへの合わせ込みを回避できる。
本発明は、以上の説明に限定されず、その技術思想の範囲において様々な変形例や発展例を包含することは勿論である。たとえば、図5(a)の例では、抵抗R1の電圧降下を判定部55bに入力して、その電圧降下からインピーダンスを計測し、不正基板54の有無を判断しているが、これに限らず、たとえば、抵抗R1の代わりにコイルの両端から判定用の信号を取り出してもよい。あるいは、抵抗R1(又は上記のコイル)の存在によって、トランジスタTR1のベース電流が制限されてしまい、その影響によってトランジスタTR1のコレクタ電流が十分に増幅されないと、光送受信機55cの発光部が不安定になって遊技実行中の入賞信号の伝達に支障を来たすような場合には、抵抗R1(又は上記のコイル)の両端をトランジスタスイッチ(図5(a)のトランジスタTR2参照)等で短絡できるようにし、遊技実行中はそのスイッチをオンにするようにしてもよい。抵抗R1(又は上記のコイル)の電圧降下に伴う入賞信号のレベル低下等を回避できる。
なお、本発明の実施形態では、遊技状態判定手段として例示した遊技状態検出センサ71によって、現在の遊技状態が遊技停止中であると判定された場合に、監視部55が作動するようにしている。これに替えて、現時点において遊技が可能か否かを判定して、遊技が不能であると判定された場合に、監視部55が作動するようにしてもよい。例えば、球供給皿21(図1)に球が無いことを検出した場合に遊技不能と判断し、この場合に限って監視部55を作動させてもよい。また、カード挿入口(図1)にカードが存在しない場合、或いはカードの残高が無い場合に遊技不能と判断し、この場合に限って監視部55を作動させてもよい。要するに、第1遊技状態(実際に遊技が行われている状態若しくは遊技を実行可能な状態)と、第2遊技状態(実際に遊技が行われていない状態若しくは遊技を実行不能な状態)とが交互に発生するような遊技機であれば、第2遊技状態が発生した場合に監視部55が作動すればよい。
パチンコ遊技機10(遊技機)の正面図である。 遊技盤18の正面図である。 遊技盤18の始動口31付近の要部断面図及び始動口SW56の内部ブロック図並びに入賞信号の波形図である。 遊技制御装置41の電気的な内部ブロック構成図である。 監視部55のブロック図及び始動口SW56からの入賞信号(球無状態のときのもの)の拡大波形図である。 不正基板判定を含むパチンコ遊技機10の動作フローチャートを示す図である。 不正基板判定を含むパチンコ遊技機10のタイムチャートを示す図である。 不正基板54を含む構成図及び不正基板54を含む場合の入賞信号(球無状態のときのもの)の拡大波形図である。 遊技機の概略構成図及び不正基板6が組み込まれた遊技機の要部構成図である。
符号の説明
R1 抵抗(交流抵抗計測手段、負荷要素)
S5 ステップ(異常処理手段)
TR2 トランジスタ(短絡手段)
Vcc 直流電圧(直流電源供給手段)
18 遊技盤
41 遊技制御装置
41a コネクタ
55a 高周波信号発生部(交流電流重畳手段)
55b 判定部(不正基板判定手段)
56 始動口SW(所定の遊技センサ)
71 遊技状態検出センサ(遊技状態判定手段、交流電流重畳許容手段)

Claims (4)

  1. 遊技盤に形成された遊技領域に遊技球を発射して遊技を行い、
    前記遊技盤に設けられた各種の遊技センサからの検出信号を取り込み、それらの検出信号に従って遊技制御を行い、その制御結果としての各種の遊技制御信号を発生する遊技制御装置が備えられた遊技機において、
    現在の遊技状態が、前記遊技領域に遊技球が発射されている第1遊技状態か、前記遊技領域に遊技球が発射されていない第2遊技状態かを判定する遊技状態判定手段が備えられ、
    前記遊技制御装置は、
    前記遊技センサのうち前記遊技制御における特別遊技状態の決定に関与する検出信号を出力する所定の遊技センサからの検出信号を取り込むコネクタと、
    前記コネクタを介して前記所定の遊技センサに直流の電源電圧を供給する直流電源供給手段と、
    前記直流の電源電圧に交流電流を重畳し、動作中の前記所定の遊技センサから当該交流電流に対応する応答信号を出力させる交流電流重畳手段と、
    前記応答信号に基づいて、前記所定の遊技センサの出力インピーダンスに相当する交流抵抗を計測する交流抵抗計測手段と、
    前記交流抵抗計測手段によって計測された交流抵抗と所定の基準値又は基準範囲と比較して前記所定の遊技センサと前記コネクタの間に不正基板が挿入されているか否かを判定する不正基板判定手段と、
    前記遊技状態判定手段の判定結果が前記第1遊技状態のときは、前記交流電流重畳手段の動作を禁止し、該判定結果が前記第2遊技状態のときは、前記交流電流重畳手段の動作を許容する交流電流重畳許容手段と、
    を備えたことを特徴とする遊技機。
  2. 前記交流電流重畳許容手段は、
    前記遊技状態判定手段によって、前記第1遊技状態から第2遊技状態への遷移が検出された場合には、その検出時点から一定時間経過後に前記交流電流重畳手段の動作を許容し、
    前記遊技状態判定手段によって、前記第2遊技状態から第1遊技状態への遷移が検出された場合には、その検出時点で、又は、その検出時点から前記一定時間よりも短い時間の経過後に前記交流電流重畳手段の動作を禁止することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
  3. 前記所定の遊技センサへの前記交流電流が重畳された電源電圧の供給経路中には、所定の負荷要素が挿入され、
    前記交流抵抗計測手段は、該負荷要素の両端間の電圧変化に基づいて前記所定の遊技センサの出力インピーダンスに相当する交流抵抗を計測し、
    前記遊技状態判定手段の判定結果が第1遊技状態である場合に、前記負荷要素の両端を短絡する短絡手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
  4. 前記不正基板判定手段によって不正基板の存在が判定された場合に報知を行うとともに前記遊技制御を停止する異常処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の遊技機。
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