JP4289002B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般家庭やオフィス、レストラン、工場などで使用される誘導加熱調理器、誘導加熱を利用した湯沸かし器、加温装置などの誘導加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の誘導加熱装置の例として誘導加熱調理器について、図13に基づいて説明する。電源31は200V商用電源で、ブリッジダイオードである整流回路32で整流され、平滑コンデンサ33にて直流電力に変換させる。34はインバータで、第1のスイッチング素子35および第2のスイッチング素子36と第1の逆導通素子37および第2の逆導通素子38と、共振コンデンサ39により構成される。第1のスイッチング素子35および第2のスイッチング素子36を駆動して高周波磁界を加熱コイル40に発生させ、負荷41を誘導加熱する。
【0003】
42は、インバータの入力電流を検知する電流検知手段で、出力制御手段43は、電流検知手段42の出力に応じて、第1のスイッチング素子35および第2のスイッチング素子43を駆動して、電力を制御する。ここで、出力制御手段43は第1のスイッチング素子35と第2のスイッチング素子43の駆動周波数または駆動時間比のいずれかにより電力制御を行っていた。
【0004】
図14(A)は、駆動周波数−入力電力特性を示すグラフであり、出力制御手段43は、図14(A)に示す特性を利用して、スイッチング素子の駆動時間比を一定して駆動周波数を可変することにより電力制御を行い、また、図14(B)は、駆動時間比−入力電力特性を示すグラフで、出力制御手段43は、図14(B)に示す特性を利用して、駆動周波数を一定にしてスイッチング素子の駆動時間比を可変することにより電力制御を行っていた。
【0005】
図13は、出力制御手段43が駆動時間比を制御して電力制御を行う場合において、設定された電力に到達するソフトスタート動作を示している。インバータを起動する場合、最小の出力となる駆動時間比で第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を駆動し、一定時間づつ駆動時間を長くする第1の駆動時間比変更モードを有している。
【0006】
また、アルミニウム製の負荷をスイッチング素子の損失を抑制しながら加熱する誘導加熱調理装置に係る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−160484号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成の誘導加熱装置は、アルミニウムや銅など低抵抗金属からなる負荷を誘導加熱した場合、低抵抗のため負荷と磁気結合した状態での加熱コイルのQが大きくなり、駆動周波数に対する入力電力の変化が大きく、駆動周波数の制御による電力制御と、細かな電力制御が行うための駆動時間比の制御による電力制御も必要であり、インバータ起動後、設定電力に到達するまでの時間が長くなるという課題があった。また、特許文献1に記載の技術は出力制御性に問題があり使い勝手が悪いものであった。
【0009】
本発明の目的は、設定電力に到達するまでの時間を従来の鉄系負荷を加熱するインバータの起動時間と同等以下に短縮し、制御性を向上したアルミ等の低抵抗、低透磁率の材質の負荷を誘導加熱する誘導加熱装置の制御方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の誘導加熱装置は、整流回路と、前記整流回路の出力端に接続されたチョークコイル、前記チョークコイルにより昇圧された電圧が供給される平滑コンデンサ、前記平滑コンデンサの両端に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の直列接続体、前記第1のスイッチング素子に並列に接続された第1の逆導通素子、前記第2のスイッチング素子に並列に接続された第2の逆導通素子、及び前記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチング素子に並列に接続された加熱コイルと共振コンデンサを含む共振回路を有し前記第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子が排他的に導通することによりアルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記共振回路が前記加熱コイルに供給する電流の共振周波数より前記スイッチング素子の駆動周波数が低くなるように共振するインバータと、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子を導通制御する出力制御手段と、前記インバータの入力電流又はそれに略等価な電圧若しくは電流を検知する出力検知手段とを備え、前記出力制御手段は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子の駆動時間比を徐々に変更して前記インバータの出力を上昇させる駆動時間比変更モードと、前記駆動時間比を略一定にして徐々に駆動周波数を低下させて前記インバータの出力を上昇させる駆動周波数変更モードとを備え、アルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記インバータの出力を、前記駆動時間比変更モードと前記駆動周波数変更モードを組み合わせて、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させることにより、アルミや銅などの高導電率かつ低透磁率の負荷をスイッチング素子の損失の増大を抑制して誘導加熱することができるとともに、インバータ起動から設定電力に到達するまでソフトスタート動作の時間を短縮し、スイッチング素子が故障しにくく制御性のよい誘導加熱装置が提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、整流回路と、前記整流回路の出力端に接続されたチョークコイル、前記チョークコイルにより昇圧された電圧が供給される平滑コンデンサ、前記平滑コンデンサの両端に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の直列接続体、前記第1のスイッチング素子に並列に接続された第1の逆導通素子、前記第2のスイッチング素子に並列に接続された第2の逆導通素子、及び前記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチング素子に並列に接続された加熱コイルと共振コンデンサを含む共振回路を有し前記第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子が排他的に導通することによりアルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記共振回路が前記加熱コイルに供給する電流の共振周波数より前記スイッチング素子の駆動周波数が低くなるように共振するインバータと、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子を導通制御する出力制御手段と、前記インバータの入力電流又はそれに略等価な電圧若しくは電流を検知する出力検知手段とを備え、前記出力制御手段は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子の駆動時間比を徐々に変更して前記インバータの出力を上昇させる駆動時間比変更モードと、前記駆動時間比を略一定にして徐々に駆動周波数を低下させて前記インバータの出力を上昇させる駆動周波数変更モードとを備え、アルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記インバータの出力を、前記駆動時間比変更モードと前記駆動周波数変更モードを組み合わせて、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させることにより、加熱コイルに供給する電流の共振電流の共振周波数より、スイッチング素子の駆動周波数を低くでき、アルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱することができるとともに、スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができる。
【0012】
また、インバータの出力を、駆動時間比変更モードと駆動周波数変更モードを組み合わせて、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させるので、負荷の検知を精度良く安定して行うとともに、迅速に設定出力までインバータの出力を増加させることができる。したがって、起動時にインバータに異常な電圧が発生してスイッチング素子が破壊するのを防止すると同時に使い勝手を良くすることができる。なお、駆動時間比変更モードにおいては、一定周波数による出力制御をおこなうこともできる。
【0013】
請求項2記載の発明は、特に、出力制御手段は、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内において、駆動時間比変更モードまたは駆動周波数変更モードのいずれか一方のモードでのみインバータの出力を増加させる期間を設けたことにより、当該期間においては、出力制御特性が単純化されるので制御が行いやすくなり制御出力を安定化し易くなる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、特に、出力制御手段は、駆動時間比変更モードから駆動周波数変更モードへの移行と駆動周波数変更モードから駆動時間比変更モードへの移行とを交互にしながらインバータの出力を起動時の低出力値から所定の出力値に到達させてなることにより、インバータの共振回路の共振周波数における出力の変化に対応してきめこまかな出力の制御を行うことができる、また所定の出力値に迅速に到達させることができる。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、特に、出力制御手段は、起動時、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比を変えてインバータの出力を増加させ、途中から前記駆動時間比を略一定にして前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子の駆動周波数を変えインバータの出力を増加させてなることにより、起動時に駆動時間比を変えることにより、出力の変化速度を緩やかにして、出力の小さい状態にて異常な負荷を検出することができる。また、駆動時間比を略一定にして駆動周波数を変えることにより、大きな出力変化が得やすいので出力を増加させる時間を短縮することができる。また、駆動時間比を変える場合には、駆動周波数を一定とすることもできる。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、特に、出力制御手段は、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内において、駆動時間比変更モードのときに第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比が所定の駆動時間比に到達すると駆動周波数変更モードに移行することにより、駆動時間比変更モードから駆動周波数変更モードに移行する制御が簡単にできるので、マイクロコンピュータ等で容易に実現することができる。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、特に、駆動周波数が共振周波数付近になると入力電力が急峻に増加し前記共振周波数でピークとなり、前記共振周波数より高周波数側及び低周波数側の谷間付近で低出力領域となる前記駆動周波数と前記入力電力の特性において、出力制御手段は、前記高周波数側の前記谷間付近の低出力値で起動し、前記低周波数側の所定の出力値までインバータの出力を到達させる期間内において、起動後第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比を変えて前記駆動時間比が所定の駆動時間比に到達すると前記駆動周波数を直前の変化幅より大きい変化幅で離散的に変更して前記共振周波数付近の高出力領域を避け、前記低周波数側の谷間付近の低出力領域に移行させると同時に前記駆動時間比を直前の変化幅より大きい変化幅で離散的に変更してから前記駆動時間比を一定にして前記駆動周波数を徐々に低下させて前記インバータの出力を前記所定の出力まで上昇させることにより、インバータの共振周波数付近の出力が増大する状態(駆動周波数)を経由せず、他の出力の低い周波数に離散的に安定的に制御を行う領域に遷移することができるのでスイッチング素子に過大な電圧や電流の責務が印加するのを防止して、出力制御を行うことができる。
【0018】
また、請求項7記載の発明は、特に、駆動周波数が共振周波数付近になると入力電力が急峻に増加し前記共振周波数でピークとなり、前記共振周波数より高周波数側及び低周波数側の谷間付近で低出力領域となる前記駆動周波数と前記入力電力の特性において、出力制御手段は、前記高周波数側の前記谷間付近の低出力値で起動し、前記低周波数側の所定の出力値までインバータの出力を到達させる期間内において、起動後第1のスイッチング素子の駆動期間が共振電流の共振周期より短くなるようにして第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比を変えて加熱出力を増加させ、所定の駆動時間比に到達すると、前記第1のスイッチング素子の駆動期間を共振電流の周期より長くしかつ前記低周波数側の谷間付近の低出力値になる前記駆動周波数となるように離散的に長く変更してから前記駆動期間を徐々に長くして前記駆動周波数を低下させ前記インバータの出力を前記低出力値から所定の出力値まで増加させてなることにより、インバータの共振周波数付近の出力が増大する状態を経由せず、他の出力の低い周波数に離散的に安定的に制御を行う領域に遷移することができるのでスイッチング素子に過大な電圧や電流の責務が印加するのを防止して、出力制御を行うことができる。
【0019】
また、請求項8記載の発明は、特に、出力制御手段は、駆動周波数変更モードにより出力を徐々に増加させるとともに、出力検知手段の出力によってインバータの出力値が設定された出力値より小さい所定の出力値に到達したことを検知した後、駆動時間比変更モードに移行して出力を徐々に増加させることにより、周波数変更モードにより短時間で出力を増加させ、設定出力の手前で駆動時間比変更モードに移行して出力の微変更をおこなうので設定出力を大きく超える電力にならず、スイッチング素子等の各部品に過大な負荷がかかることがなく、信頼性の高い誘導加熱装置ができる。
【0020】
また、請求項9記載の発明は、特に、出力制御手段は、インバータ起動後所定の時間略最小の出力となる駆動周波数および駆動時間比で出力する第1の出力固定モードを有することにより、入力電流が安定し、信頼性の高い制御ができる。
【0021】
また、請求項10記載の発明は、特に、出力制御手段は、駆動周波数または駆動時間比を直前の変化幅より大きい変化幅で離散的に低下させた後、所定の時間、駆動周波数と駆動時間比の出力を固定する第2の出力固定モードを有することにより、インバータの共振周波数付近の出力が増大する状態(駆動周波数)を経由せず、他の出力の低い周波数に離散的に安定的に制御を行う領域に遷移することができるのでスイッチング素子に過大な電圧や電流の責務が印加するのを防止して、出力制御を行うことができる。
【0022】
また、請求項11記載の発明は、特に、高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱した場合の前記負荷の浮きまたはずれを検知する移動検知手段を有し、出力制御手段は、駆動周波数変更モードで駆動周波数を所定の時間間隔で所定の傾きで低下させるとともに、前記移動検知手段が前記負荷の浮きまたはずれを検知後、駆動周波数を変化させる前記時間間隔を、前記駆動周波数変更モードにおける前記駆動周波数を変化させる前記時間間隔より長くしかつ前記駆動周波数の低下の傾きを前記駆動周波数変更モードにおける前記駆動周波数の低下の傾きより小さくした第2の駆動周波数変更モードになることにより、出力が固定される時間が長くなり、高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱した場合の前記負荷の浮きまたはずれを検知する移動検知手段の検知精度を向上させることができ、他の材質の負荷(例えば磁性の小物負荷)においては負荷検知の速度を速め検知状態で放置された場合の負荷の温度上昇を抑制するなど安全性の高い誘導加熱装置を提供できる。
【0023】
また、請求項12記載の発明は、特に、出力制御手段は、出力検知手段の検知出力を入力して、インバータの出力を前記検知出力に基づき設定出力に到達させた後において、前記インバータの出力が変化して所定の範囲で駆動時間比を変更しても前記設定出力に到達しない場合に、駆動周波数を変更することにより前記設定出力に到達させてなるので、ソフトスタート動作終了後の安定状態において出力電力が大きく変動しても、駆動周波数を変更することによりすばやく安定した設定電力を得ることができ、また、設定出力付近では駆動時間比を変更することにより出力の変動幅を抑制してスイッチング素子等の各部品に過渡的な過大な電圧や電流がかかることがなく、信頼性の高い誘導加熱装置ができる。
【0024】
また、請求項13記載の発明は、特に、出力制御手段が第1の出力固定モードまたは起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内における時間比変更モードにある場合に、出力検知手段が所定の値を超えると通常の加熱動作を行わない小物と判定する小物検知手段を有することにより、低出力状態が所定時間維持される(維持には変化幅が少ない状態を含む)ので、精度良く小物検知ができ、スイッチング素子等の各部品に過渡的な過大な電圧や電流がかかることがなく、故障の少ない誘導加熱装置を提供できる。
【0025】
また、請求項13記載の発明は、特に、出力制御手段が第1の出力固定モードまたは起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内における駆動時間比変更モードにある場合に、出力検知手段が所定の値を超えると異常状態が起きていると判断して通常の加熱動作を行わないことにより、スイッチング素子等の各部品に過渡的な過大な電圧や電流がかかることがなく、故障の少ない誘導加熱装置を提供できる。
【0026】
また、請求項14記載の発明は、特に、出力制御手段が起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内における駆動周波数変更モードにおいて、所定の周波数に到達するまでに出力検知手段の出力が所定の値に到達しないとき通常の加熱動作を行わない小物と判定する小物検知手段を有することにより、直径が小さいため加熱できない負荷を検知して停止することができる。
【0027】
また、請求項15記載の発明は、特に、出力制御手段は、駆動周波数変更モードにおいて駆動周波数が所定の(インバータの出力が所定の値以上得られるべき)周波数範囲内の駆動周波数で制御しているときに、駆動周波数が所定の値より低いことを検知すると小物と判定する小物検知手段を有することにより、使用中、常に小物検知ができるので、使い勝ってがよく、また、他の検知手段が必要ないので、簡単な方法で安価に信頼性の高い誘導加熱装置を提供できる。
【0028】
また、請求項16記載の発明は、特に、出力検知手段はインバータの入力電流を検知する入力電流検知手段とすることにより、インバータの実効電力を精度良く検知するとともに、簡単で安価な構成で、請求項1〜15の発明に必要な出力検知手段を実現することができる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
図1は本実施例の誘導加熱装置の回路構成を示す図である。電源1は低周波交流電源である200V商用電源であり、全波整流を行うブリッジダイオードである整流回路2の入力端に接続される。整流回路2の出力端間に第1の平滑コンデンサ3が接続される。整流回路2の出力端間には、さらに、チョークコイル5と第2のスイッチング素子7の直列接続体が接続される。加熱コイル12は被加熱物(負荷)であるアルミニウム製の鍋13と対向して配置されている。
【0030】
4はインバータ(加熱コイル12を除く)であり、第2の平滑コンデンサ11の低電位側端子(エミッタ)は整流回路2の負極端子に接続され、第2の平滑コンデンサ11の高電位側端子は第1のスイッチング素子(IGBT)6の高電位側端子(コレクタ)に接続され、第1のスイッチング素子(IGBT)6の低電位側端子(エミッタ)はチョークコイル5と第2のスイッチング素子(IGBT)7の高電位側端子(コレクタ)との接続点に接続される。加熱コイル12と共振コンデンサ10の直列接続体が第2のスイッチング素子7に並列に接続される。
【0031】
第1のダイオード8(第1の逆導通素子)は第1のスイッチング素子6に逆並列に接続(第1のダイオード8のカソードと第1のスイッチング素子6のコレクタとを接続)され、第2のダイオード9(第2の逆導通素子)は第2のスイッチング素子7に同様に逆並列に接続される。
【0032】
14は、電源1から流れる入力電流を検知する電流検知手段で、出力制御手段15は、電流検知手段14の出力に応じて、第1のスイッチング素子6と第2のスイッチング素子7のゲートに信号を出力する。
【0033】
以上のように構成された誘導加熱装置において、以下動作を説明する。電源1は整流回路2により全波整流され、整流回路2の出力端に接続された第1の平滑コンデンサ3に供給される。この第1の平滑コンデンサ3はインバータに高周波電流を供給する供給源として働く。
【0034】
高電位側の第1のスイッチング素子6と低電位側の第2のスイッチング素子7は交互にかつ互いに排他的に駆動される。第2のスイッチング素子7が駆動されている間に、(第2のスイッチング素子7又は第2のダイオード9)と加熱コイル12と共振コンデンサ10で形成される閉回路で共振し、第1のスイッチング素子6を駆動している間に、第2の平滑コンデンサと第1のスイッチング素子6(又は第1のダイオード8)と加熱コイル12と共振コンデンサ10で形成される閉回路で共振する。第2のスイッチング素子7をオフすると、チョークコイル5に蓄積された磁気エネルギーが第2の平滑コンデンサ11に移動することにより、第2の平滑コンデンサ11の電圧が昇圧されるので、上記の共振電流を大きくして振動を維持することができ、アルミ等の低抵抗、低透磁率の負荷を高出力で誘導加熱できる。
【0035】
本実施例では、第1のスイッチング素子6の駆動時間と、第2のスイッチング素子7の駆動時間が所定の出力で(本実施例では2kW)、それぞれ加熱コイル12と共振コンデンサ10に流れる共振電流の共振周期の略2/3になるように加熱コイル12及び共振コンデンサ10のインピーダンスが設定されているため、駆動周波数が約20kHzであれば、共振電流の周波数は約60kHzになる。
【0036】
図2(A)は、第1のスイッチング素子6及び第2のスイッチング素子7の駆動周波数と入力電力の特性を示す図である。両スイッチング素子の駆動時間比は約1:1で固定されている。加熱コイル12と共振コンデンサ10の共振周波数をfcとすると駆動周波数がfc/2、fc/3の時にそれぞれ第2高調波、第3高調波による共振が起こり、図2(A)のような入力電力特性となる。本実施例では駆動周波数をfc/3近傍とすることで加熱コイル12に流れる電流の共振周波数の3分の1程度に第1のスイッチング素子6及び第2のスイッチング素子7の駆動周波数を低くすることが出来、スイッチング損失が小さく効率の良い誘導加熱を実現している。
【0037】
また、アルミニウムや銅などの場合、負荷を磁気結合した状態での加熱コイルと共振コンデンサの共振のQが大きいため、図2(A)のように周波数に対して各ピーク付近で急峻に入力電力が変化する(増大する)特性となる。
【0038】
図2(B)は第1のスイッチング素子6と第2のスイッチング素子7の駆動周波数を略一定(20kHz)にしたときの第2のスイッチング素子7のオン時間と入力電力の関係を示す図である。この図が示すように、本実施例においては、第2のスイッチング素子7のオン時間が駆動周期の1/2付近(駆動時間比約1/2)で約2kWの加熱出力がえられ、その付近のピークから第2のスイッチング素子の駆動期間を短くしていけば出力を線形的に低下することができる。従って、図2(B)に示すように駆動時間あるいは駆動時間比のリミッタの下限Tonminと上限Tonmaxを設定すれば、安定した制御を行うことができる。
【0039】
図3はインバータ起動からインバータ10の出力が設定電力に到達するまでのソフトスタート動作を示す図であり、実線は駆動周波数の時間経過に対する変化を示し、破線は駆動時間比の変化を示している。図3に示すとおり、出力制御手段15は、起動後、第1のスイッチング素子6と第2のスイッチング素子7の駆動周波数を一定(約36kHz)にし、第2のスイッチング素子7がオンする駆動時間を徐々に長くする(第1のスイッチング素子6に対する第2のスイッチング素子7の駆動時間比を徐々に大きくする)第1の駆動時間比変更モードとなる。出力制御手段15は、第1の駆動時間比変更モードになると、電源1に同期した時間単位間隔(約10ミリ秒)で、0.1マイクロ秒単位で駆動時間を長くしている。その後、駆動時間比が所定の比率(1/4)に到達すると、駆動周波数を所定の比率(3/4)で離散的に変化させる。例えば、約33kHzの駆動周波数の場合は、約24kHzに変化させる。
【0040】
この結果、図2(A)で示すfc/2の高周波数側(図で右側)谷間付近の低出力領域(点Pで示す)から、fc/3とfc/2の間の低出力領域(点Mで示す)に離散的に移行するので、その後、第1の駆動周波数変更モードに移行して、設定出力に到達するまで駆動時間比を一定にし、駆動周波数を徐々に低下させ出力を増加させる。従って、fc/2付近の高出力領域を避けて、fc/3付近の低出力領域に移行することができる。
【0041】
以上のように、本実施例によれば、アルミ等の低抵抗、低透磁率の負荷を加熱するインバータ4の第1のスイッチング素子6と第2のスイッチング素子7の駆動周波数と駆動時間比の両方のモードにより交互にソフトスタート制御することにより、確実に、fc/2付近の高出力の領域に入ることなく、fc/3の付近で設定出力を得ることができる。また、共振周波数の出力を駆動周波数または駆動時間比のどちらか一方で電力を制御する場合と同様の時間で、ソフトスタートを終了することができ、制御性のよい誘導加熱装置が実現できるものである。
【0042】
また、本実施例における出力制御手段15は、マイクロコンピュータを利用して容易に実現できる。
【0043】
また、上記実施例では誘導加熱調理器について説明したがアルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率材料を加熱するアイロンや湯沸かし器など他の種の誘導加熱装置にも応用できるものである。
【0044】
なお、上記実施例においては、図1のように2個のスイッチング素子によるハーフブリッジ型のインバータで説明したが、これに限定されるものではない。本願発明は、少なくとも、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の直列接続体と、第1のスイッチング素子に並列に接続された第1の逆導通素子と、第2のスイッチング素子に並列に接続された第2の逆導通素子と、第1のスイッチング素子または第2のスイッチング素子に並列に接続された加熱コイルと共振コンデンサを含む共振回路とを有し直流電圧を入力して第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の導通により共振するインバータと、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子を排他的に導通制御する出力制御手段とを有するものであれば良く、いわゆるフルブリッジ型のインバータにも適用することができる。
【0045】
(実施例2)
図4は、実施例2におけるソフトスタート動作を示す図である。第1の駆動時間比変更モードから第1の駆動周波数変更モードに移行する場合に駆動周波数のみを離散的に変化させていたのを駆動時間比も同時に所定の比率または所定の値で離散的に変化させるものである。例えば、駆動時間比が1/4であれば、1/3に変化させる。
【0046】
以上のように、本実施例によれば、設定電力が大きい場合においても、すばやく設定電力に到達することができ、インバータの出力が小さい領域にて、共振周波数の位置がどこにあるかをサーチしながら駆動周波数と駆動時間比を離散的に変化させることにより、スイッチング損失も少なくなり信頼性が高くなる。
【0047】
なお、出力の周波数特性において、ピーク、あるいは谷間のどの部分にいるかどうかをサーチするのは周波数を変え出力の増減を観察することにより行うことができる。
【0048】
(実施例3)
図5は、実施例3におけるソフトスタート動作を示す図である。実施例1、2において、出力設定手段15は、第1の駆動周波数変更モードに移行後、設定出力より少し小さい入力電流を検知した場合に第1の駆動周波数変更モードから第2の駆動時間比変更モードに移行することによって、インバータの入力電流が設定出力を大きく超えることがないようにするものである。
【0049】
以上のように、本実施例によれば、設定電力が大きい場合においても、第1の駆動周波数変更モードにより迅速に、インバータ4の出力を設定出力に到達させることができるとともに、設定電力を大きくこえることがないので、スイッチング素子等のインバータを構成するパワー部品に過大な負荷がかからず信頼性の高い誘導加熱装置が提供できる。
【0050】
(実施例4)
図6は、実施例4におけるソフトスタート動作を示す図である。
【0051】
インバータ4の最小の出力となる第1と第2のスイッチング素子の駆動周波数と駆動時間比でインバータを起動後、所定の時間(0.1秒)出力を固定する第1の出力固定モードを付加したものである。
【0052】
以上のように、本実施例によれば、起動後、入力電流が最小の値で安定するまで、またはその出力で所定時間維持して、ソフトスタートなどの出力制御を遅らせることにより、安定した負荷検知動作等の制御動作を実現できるものである。
【0053】
(実施例5)
図7は、実施例5におけるソフトスタート動作を示す図である。
【0054】
実施例4と同様に、駆動周波数と駆動時間比を離散的に変化させた場合に、変化後、約0.1秒間出力を固定する第2の出力固定モードを付加している。入力検知手段の出力が安定するまで制御を遅らせることで、第1の駆動周波数変更モードでの動作において、安定した出力制御ができる。
【0055】
(実施例6)
図8は、実施例6の回路構成を示す図である。
【0056】
実施例1で説明した図1とほぼ同じ構成であるので、違いのみ説明する。
【0057】
16は、第1の共振コンデンサ10の電圧を検知する電圧検知手段で、17は電圧検知手段16の出力により負荷の浮きやずれを検知する移動検知手段であり、移動検知手段17は、ソフトスタート時の出力変化の状態を観察して負荷の浮きやずれを検知するものである。本実施例では、ソフトスタート期間中に出力を増加させている際に、一定時間内の電圧変化がある時点でそれまでよりも小さくなることを検知して負荷の浮きまたはずれが起きたことを検知している。なお、電圧検知手段16は入力電流を検知することでも同様に負荷の浮きまたはずれが起きたことを検知できる。
【0058】
図9は、実施例6のソフトスタート動作を示す図である。
【0059】
第2の駆動周波数変更モードを付加し、移動検知手段17が動作しない第1の駆動周波数変更モードにおけるよりも、移動検知手段が動作した後の第2の駆動周波数変更モードになったほうが駆動周波数を変化させる時間間隔を長くすることにより、移動検知手段の検知精度を向上させることができる。
【0060】
(実施例7)
図10は、設定電力に到達した後の電力制御時における駆動周波数と駆動時間比を示す図である。t0からt1まで駆動時間比を上昇することにより、電力を少しずつ上昇させる。t1では、駆動時間比が制御範囲の最大となり、駆動周波数を最小制御単位(周期で0.1マイクロ秒)で低下させる。さらに、t2からt3まで駆動時間比を上昇し、電力を少しずつ上昇させ、t3で設定電力を超えるとt4時点まで駆動時間比を低下させる。
【0061】
また、t4では、駆動時間比が制御範囲の最小となり、駆動周波数を最小制御単位(周期で0.1マイクロ秒)で上昇させる。以上のように、駆動周波数と駆動時間比を制御することにより、細かな電力制御を行うことができる。
【0062】
(実施例8)
図11は本発明の実施例8における誘導加熱装置の回路図を示すもので、基本的に実施例1と同じであるので、相違点のみ説明する。
【0063】
図11において、18は小物検知手段で電流検知手段14の出力により起動時に小物検知を行い、出力制御手段15にインバータを停止させる。
【0064】
図12は、第2のスイッチング素子7の駆動時間と入力電流の関係を示す図であり、時間駆動比を上昇させると、入力電流の変化の違いにより、負荷がない場合やナイフ、フォーク等の小物負荷を検知できる。
【0065】
本発明では、インバータの起動時、出力が最小になる駆動周波数と駆動時間比において、駆動周波数を一定にして、駆動時間比を徐々に上昇させる駆動時間比変更モードにおいて、図12に示す特性を利用することにより、精度のよい小物検知手段を提供する。
【0066】
(実施例9)
実施例9は、実施例8と同じ構成とし、出力制御手段15は、図9において、第1の周波数変更モードにある場合に、所定の周波数(30kHz)より低くなると、小物と判断するようにしたものである。
【0067】
インバータ4を起動中に、直径が小さく、加熱できない負荷を検知し、インバータ4を停止させるので、安全で故障の少ない誘導加熱装置を提供できる。
【0068】
(実施例10)
実施例10は、実施例8と同じ構成とし、インバータ4が起動して所定の電力以上を検知した後に、電流検知手段14の出力が所定値より低くなった場合に小物と判断するようにしたものである。
【0069】
インバータが設定電力で動作している場合に、負荷を取った場合、すぐに電流検知手段14の出力が低下するとインバータ4を停止させるので、安全で故障の少ない誘導加熱装置を提供できる。
【0070】
なお、電流検知手段15に代え、それに相当する出力検知手段をインバータの電流あるいは電圧を検知して構成しても良い。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、アルミや銅などの高導電率かつ低透磁率の負荷をスイッチング素子の損失の増大を抑制して誘導加熱することができるとともに、スイッチング素子の駆動周波数の可変制御とスイッチング素子の駆動時間比の可変制御を組み合わせて出力制御を行うことで、マイクロコンピュータを使って容易にきめ細かな電力制御を行うことができ、起動から出力安定までの時間を早くするとともにスイッチング素子が故障しにくく制御性がよい誘導加熱装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の誘導加熱調理器の回路図
【図2】(A)第1の実施例の誘導加熱調理器の駆動周波数と入力電力特性を示す図
(B)第1の実施例の誘導加熱調理器の駆動時間比と入力電力特性を示す図
【図3】第1の実施例の誘導加熱調理器の動作波形を示す図
【図4】第1の実施例の誘導加熱調理器のソフトスタート動作を示す図
【図5】第2の実施例の誘導加熱調理器のソフトスタート動作を示す図
【図6】第3の実施例の誘導加熱調理器のソフトスタート動作を示す図
【図7】第4の実施例の誘導加熱調理器のソフトスタート動作を示す図
【図8】第5の実施例の誘導加熱調理器のソフトスタート動作を示す図
【図9】第6の実施例の誘導加熱調理器の回路図
【図10】第6の実施例の誘導加熱調理器のソフトスタート動作を示す図
【図11】第8の実施例の誘導加熱調理器の回路図
【図12】第8の実施例の誘導加熱調理器の駆動時間比と入力電力特性を示す図
【図13】従来の誘導加熱装置の回路図
【図14】(A)従来の誘導加熱装置の駆動周波数と入力電力特性を示す図
(B)従来の誘導加熱装置の駆動時間比と入力電力特性を示す図
【図15】従来の誘導加熱装置のソフトスタート動作を示す図
【符号の説明】
4 インバータ
6 第1のスイッチング素子
7 第2のスイッチング素子
12 加熱コイル
13 負荷
14 電流検知手段
15 出力制御手段
Claims (16)
- 整流回路と、前記整流回路の出力端に接続されたチョークコイル、前記チョークコイルにより昇圧された電圧が供給される平滑コンデンサ、前記平滑コンデンサの両端に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の直列接続体、前記第1のスイッチング素子に並列に接続された第1の逆導通素子、前記第2のスイッチング素子に並列に接続された第2の逆導通素子、及び前記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチング素子に並列に接続された加熱コイルと共振コンデンサを含む共振回路を有し前記第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子が排他的に導通することによりアルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記共振回路が前記加熱コイルに供給する電流の共振周波数より前記スイッチング素子の駆動周波数が低くなるように共振するインバータと、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子を導通制御する出力制御手段と、前記インバータの入力電流又はそれに略等価な電圧若しくは電流を検知する出力検知手段とを備え、前記出力制御手段は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子の駆動時間比を徐々に変更して前記インバータの出力を上昇させる駆動時間比変更モードと、前記駆動時間比を略一定にして徐々に駆動周波数を低下させて前記インバータの出力を上昇させる駆動周波数変更モードとを備え、アルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記インバータの出力を、前記駆動時間比変更モードと前記駆動周波数変更モードを組み合わせて、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内において、駆動時間比変更モードまたは駆動周波数変更モードのいずれか一方のモードでのみインバータの出力を増加させる期間を設けた請求項1に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、駆動時間比変更モードから駆動周波数変更モードへの移行と駆動周波数変更モードから駆動時間比変更モードへの移行とを交互にしながらインバータの出力を起動時の低出力値から所定の出力値に到達させてなる請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、起動時、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比を変えてインバータの出力を増加させ、途中から前記駆動時間比を略一定にして前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子の駆動周波数を変えインバータの出力を増加させてなる請求項3に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期
間内において、駆動時間比変更モードのときに第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比が所定の駆動時間比に到達すると駆動周波数変更モードに移行する請求項3または4に記載の誘導加熱装置。 - 駆動周波数が共振周波数付近になると入力電力が急峻に増加し前記共振周波数でピークとなり、前記共振周波数より高周波数側及び低周波数側の谷間付近で低出力領域となる前記駆動周波数と前記入力電力の特性において、出力制御手段は、前記高周波数側の前記谷間付近の低出力値で起動し、前記低周波数側の所定の出力値までインバータの出力を到達させる期間内において、起動後第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比を変えて前記駆動時間比が所定の駆動時間比に到達すると前記駆動周波数を直前の変化幅より大きい変化幅で離散的に変更して前記共振周波数付近の高出力領域を避け、前記低周波数側の谷間付近の低出力領域に移行させると同時に前記駆動時間比を直前の変化幅より大きい変化幅で離散的に変更してから前記駆動時間比を一定にして前記駆動周波数を徐々に低下させて前記インバータの出力を前記所定の出力まで上昇させる請求項3〜5のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 駆動周波数が共振周波数付近になると入力電力が急峻に増加し前記共振周波数でピークとなり、前記共振周波数より高周波数側及び低周波数側の谷間付近で低出力領域となる前記駆動周波数と前記入力電力の特性において、出力制御手段は、前記高周波数側の前記谷間付近の低出力値で起動し、前記低周波数側の所定の出力値までインバータの出力を到達させる期間内において、起動後第1のスイッチング素子の駆動期間が共振電流の共振周期より短くなるようにして第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の駆動時間比を変えて加熱出力を増加させ、所定の駆動時間比に到達すると、前記第1のスイッチング素子の駆動期間を共振電流の周期より長くしかつ前記低周波数側の谷間付近の低出力値になる前記駆動周波数となるように離散的に長く変更してから前記駆動期間を徐々に長くして前記駆動周波数を低下させ前記インバータの出力を前記低出力値から所定の出力値まで増加させてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、駆動周波数変更モードにより出力を徐々に増加させるとともに、出力検知手段の出力によってインバータの出力値が設定された出力値より小さい所定の出力値に到達したことを検知した後、駆動時間比変更モードに移行して出力を徐々に増加させる請求項1〜7のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- インバータ起動後所定の時間略最小の出力となる駆動周波数および駆動時間比で出力する第1の出力固定モードを有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、駆動周波数または駆動時間比を直前の変化幅より大きい変化幅で離散的に低下させた後、所定の時間、駆動周波数と駆動時間比の出力を固定する第2の出力固定モードを有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱した場合の前記負荷の浮きまたはずれを検知する移動検知手段を有し、出力制御手段は、駆動周波数変更モードで駆動周波数を所定の時間間隔で所定の傾きで低下させるとともに、前記移動検知手段が前記負荷の浮きまたはずれを検知後、駆動周波数を変化させる前記時間間隔を、前記駆動周波数変更モードにおける前記駆動周波数を変化させる前記時間間隔より長くしかつ前記駆動周波数の低下の傾きを前記駆動周波数変更モードにおける前記駆動周波数の低下の傾きより小さくした第2の駆動周波数変更モードになる請求項1〜10のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、出力検知手段の検知出力を入力して、インバータの出力を前記検知出力に基づき設定出力に到達させた後において、前記インバータの出力が変化して所定の範囲で駆動時間比を変更しても前記設定出力に到達しない場合に、駆動周波数を変更することにより前記設定出力に到達させてなる請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段が第1の出力固定モードまたは起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内における駆動時間比変更モードにある場合に、出力検知
手段が所定の値を超えると異常状態が起きていると判断して通常の加熱動作を行わない請求項1〜12のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。 - 出力検知手段を備え、出力制御手段が起動時の低出力値から所定の出力値まで到達させる期間内における駆動周波数変更モードにおいて、所定の周波数に到達するまでに出力検知手段の出力が所定の値に到達しないとき通常の加熱動作を行わない小物と判定する小物検知手段を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 出力制御手段は、駆動周波数変更モードにおいて、駆動周波数が所定の値より低いことを検知すると小物と判定する小物検知手段を有する請求項11に記載の誘導加熱装置。
- 出力検知手段はインバータの入力電流を検知する請求項1〜15のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
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