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JP4288098B2 - 紙容器用積層体及びその製造方法 - Google Patents

紙容器用積層体及びその製造方法 Download PDF

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JP4288098B2 JP2003124887A JP2003124887A JP4288098B2 JP 4288098 B2 JP4288098 B2 JP 4288098B2 JP 2003124887 A JP2003124887 A JP 2003124887A JP 2003124887 A JP2003124887 A JP 2003124887A JP 4288098 B2 JP4288098 B2 JP 4288098B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に飲料やヨーグルト等の食品の充填や包装に使用する紙容器用の積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲料やヨーグルト等の食品の充填や包装に用いる紙容器(紙パック、紙カップ)が知られている。このような紙容器は、保形性、耐水性、酸素バリア性等が要求されるため、例えば、原紙に、ポリエチレン、ポリエステル等からなる合成樹脂やアルミ箔等を積層(ラミネート)させた積層体から成形されている。
【0003】
紙容器用の積層体は様々な構成のものが提案されており、例えば、両面がポリエチレン層で中間にバリア層がある共押しフィルムを原紙にサンド加工し、さらにヒートシール層(最内層)をラミネート加工したものがある。
また、バリアフィルムの内側面に接着剤(アンカーコート(AC)剤)を介して低密度ポリエチレン(LDPE)を積層し、バリア層の外側面には、原紙やポリエチレン層等を積層させた積層体が使用されている。このような積層体では、容器の最内層となる低密度ポリエチレンをヒートシールして容器を成形することになる。
【0004】
しかし、ヒートシール層となる最内層がLDPEの場合、低温でヒートシールを行うと十分なシール性が得られない場合がある。一方、封緘強度を上げるため、成形温度を上げて紙カップの成形を行うと、カップの最外層として使用されているポリエチレン樹脂(PE)からなるカス(異物)が発生し、重ねたカップの内面に異物が付着してしまうことがあった。例えば、耐熱性を付与する目的で、容器の外側面に内層に比べて密度の高い(融点の高い)PEをラミネートすると、成形時の温度が高いため、PEの白化、発泡による外観不良のほか、金型との擦れ等によりPEの異物が発生してカップに付着することがあった。
【0005】
一方、紙層の内側に、バリア層、接着層、ポリエチレン層、及びメタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層(LLDPE層)を順次積層させた積層体が提案されている(特許文献1参照)。
この積層体を、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層が容器の最内層となるようにヒートシールして成形することで、ポリエチレン層により容器の形状が良好に保たれるとともに、最内層をメタロセン触媒を用いて製造されたLLDPE層としたことにより、容器が開封し易くなるとされている。
【0006】
しかし、このような積層体では、一般に十分なラミネート強度を得るため、ポリエチレンのラミネート加工時の樹脂温度を310℃以上で加工する必要がある。一方、最内層となるメタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「メタロセン系LLDPE」と略称する場合がある。)は、高温に晒されると熱分解を起こしてしまうため、310〜250℃、好ましくは295〜270℃の樹脂温度での低温加工が必要である。そのため、ポリエチレン層と、メタロセン系LLDPE層との界面において、表面酸化度の違いにより十分な相溶性が得られないという問題がある。従って、このような積層体を用いて紙容器を成形する場合、本来メタロセン系LLDPEの特徴である低温シール性やヒートシール強度(封緘強度)に関して本来の性能が十分に発揮されないという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−205363号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題に鑑み、本発明では、紙容器の成形の際、低温でも高い封緘強度でヒートシールすることができ、異物の発生を防ぐことができる紙容器用積層体を提供することを主な目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明によれば、紙容器用の積層体であって、少なくとも、紙層と、その内側となるバリア層と、該バリア層の内側となるヒートシール層とを有し、前記紙容器の最内層を構成するヒートシール層として、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層が、前記バリア層に接着層を介して積層されているものであることを特徴とする紙容器用積層体が提供される。
【0010】
このようにメタロセン触媒を用いて製造され、かつ、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層が、接着層を介してバリア層に積層されていれば、310℃以上といった高温でラミネート加工せずともバリア層と直鎖状低密度ポリエチレン層との接着強度が十分高く保たれる。そして、この積層体を用いて容器を成形する際、例えば従来よりも80℃程度低い温度でヒートシールを行うことが可能となり(低温ヒートシール化)、尚且つ高い封緘強度を達成することができるとともに、異物の発生を効果的に防止することができる。また、封緘強度が増すことにより、高い気密性も保つことが可能となる。
【0011】
また、本発明では、紙容器用の積層体であって、少なくとも、紙層と、その内側となるバリア層と、該バリア層の内側となるヒートシール層とを有し、前記ヒートシール層は、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層が、前記バリア層に接着層を介して積層されているものであり、さらに前記紙容器の最内層を構成するものとして、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層が、前記オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層上に積層されているものであることを特徴とする紙容器用積層体が提供される。
【0012】
このようにヒートシール層として、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層を二層構造とした紙容器用積層体とすれば、310℃以上の高温ラミネート加工は不要であり、同じメタロセン系LLDPE同士であるので低温加工することで相溶性も優れ積層強度も高いものとなる。そして、紙容器成形時においても、従来より80℃も低い温度で加工ができ、低温シール性及び封緘強度に優れ、気密性に優れるものとすることができる。その上、内側のメタロセン系LLDPE層と外側のメタロセン系LLDPE層とでグレードを変更することもでき、最内層側ではシール性や充填適性(滑り性等)に一層優れたものとすることができる。また、ヒートシール層全体にわたって厚さ均一性等に優れたものとすることも可能である。
【0013】
本発明では、前記バリア層の外側面に、低密度ポリエチレン層、紙層、ポリエチレン層が順次積層されているものとすることができる。
このように紙層を例えば低密度ポリエチレン層でサンドしたものを、バリア層の外側面に積層させた構造とすれば、耐熱性や耐水性の高いものとすることができる。
【0014】
前記バリア層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体又は透明蒸着フィルムからなることが好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体又は透明蒸着フィルムからなるバリア層とすれば、メタロセン系LLDPE層との接着強度が高く、酸素等のガスに対して高いバリア性を発揮するので、飲料等を密封保存するための紙容器用の積層体として好適である。
【0015】
さらに本発明によれば、紙容器用の積層体を製造する方法であって、少なくとも、バリアフィルムの内側となる面に接着剤をコートする工程と、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層の片面にオゾン処理を施すとともに前記バリアフィルムと前記接着剤を介して積層させてバリア層を有する積層体とする工程と、前記バリア層の外側となる面に低密度ポリエチレン樹脂を押出し、更に原紙をその外側に順次積層させる工程と、前記原紙の外側にさらにポリエチレン樹脂を押出し、積層させる工程とを含むことを特徴とする紙容器用積層体の製造方法が提供される。
このような工程により紙容器用積層体を製造すれば、ラミネート強度と低温シール性に優れた本発明に係る紙容器用積層体を低コストで製造することができる。
【0016】
この場合、前記バリア層を有する積層体とする工程の後、該積層体の内側となる面に、さらに、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層を積層させることもできる。
【0017】
このように、最内層として、さらにメタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を押出し、積層させれば、ヒートシール層が2層構造となり、厚み均一性を向上させることができるとともに、ピンホール等の欠陥を無くすことができる。また、同じ厚さのヒートシール層を1枚の厚い膜で形成する場合よりも押出し速度を高速とすることができるので生産性を向上させることができる。
【0018】
また、前記バリア層を有する積層体とする工程の後、前記バリア層の外側となる面に接着剤をコートし、その後前記低密度ポリエチレン樹脂を積層させても良い。
このようにバリア層に接着剤をコートしてから低密度ポリエチレン樹脂を積層させれば、より強い接着強度で積層することができる。
【0019】
前記バリアフィルムとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム又は透明蒸着フィルムを好適に用いることができる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム又は透明蒸着フィルムを用いれば、オゾン処理されたメタロセン系LLDPEからなるヒートシール層との接着性が高く、酸素等のガスバリア性にも優れた紙容器用積層体を製造することができる。
【0020】
前記バリア層を有する積層体の外側となる面に接着剤をコートする前までの各工程を連続した1つのラインで行い、前記バリア層を有する積層体の外側となる面に接着剤をコートする工程を独立した工程で行い、前記バリア層を有する積層体の外側となる面に接着剤をコートした後の各工程を連続した1つのラインで行うことが好ましい。
このようなラインに分けて製造を行えば、製造ライン全体の停滞を防ぎ、効率的に製造を行うことができるとともに、既存のラインを用いて本発明の積層体を製造することができ、コストを大幅に低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る紙容器用積層体と、その製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係る紙容器用積層体の一例の概略構成を示している。この積層体1は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるバリア層5の外側面に、接着層6を介して低密度ポリエチレン層7、紙層8、低密度ポリエチレン層9が順次積層されている。一方、バリア層5の内側には、ヒートシール層10として、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層3が、バリア層5に接着層4を介して積層されており、さらに紙容器の最内層を構成するものとして、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層2が積層されている。
【0022】
一方、図2は、本発明に係る紙容器用積層体の他の例の概略構成を示している。この紙容器用積層体21では、紙容器の最内層を構成するヒートシール層として、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層3が、バリア層5に接着層4を介して積層されている。
【0023】
このように、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層3が、バリア層5に接着層4を介して積層されている積層体1,21とすれば、たとえ低温でラミネートしてもバリア層5とメタロセン系LLDPE層3とのラミネート強度が十分高く保たれる。また、紙容器成形加工では、メタロセン系LLDPE層2,3を低温でヒートシールしているにもかかわらず、シール強度が高く、気密性の高い紙容器を成形することができる。従って、成形時における異物の発生を効果的に防止することができる。
【0024】
次に、本発明に係る紙容器用積層体の具体的な製造方法について説明する。図3は、本発明に係る紙容器用積層体の製造工程の一例を示す説明図である。
まず、2台の押出し機13a,13bを備えたいわゆるタンデムラミネーターを用いた連続ライン(A)において、図4に示されるバリア層5を有する積層体1aを製造する。
【0025】
最初の(A−1)工程では、ロールから巻き出したEVOHフィルム5に接着剤4をコートする。具体的には、アンカーコート装置11を用い、バリアフィルム5の容器の内側となる面に接着剤(アンカーコート剤)4を薄くコートした後、乾燥室12内を通過させて接着剤(接着層)4をある程度乾燥させる。
なお、バリアフィルムとしては、いわゆる透明蒸着フィルムを使用することもできる。例えば、ナイロン、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、PET等のベース基材にシリカやアルミナ等の鉱物(無機物)を蒸着コーティングして得られる透明蒸着フィルムであれば、バリア性が高く、好適である。また、ナイロンまたはPETからなるフィルムを蒸着コーティングせずに用いることもできる。
【0026】
次に、(A−2)工程では、メタロセン系LLDPE膜3とバリアフィルム5とを、バリアフィルム5にコートした接着剤4を介して積層させる。
メタロセン系LLDPE膜3は、メタロセン系LLDPE樹脂を押し出し機13a内で溶融し、溶融樹脂をTダイから押し出すことによって連続的に成形することができる。膜厚は、紙容器内に充填する内容物や押出し機13aの性能等にもよるが、例えば、15〜30μmの厚さとすることができる。このとき、メタロセン系LLDPE樹脂の温度は、295℃以下の低温に保ち、分解しないようにする。なお、本発明では、バリアフィルム5のように予め成形されているフィルムとは異なり、溶融樹脂をTダイから押し出し成形したものを膜と呼ぶ。
【0027】
Tダイから押し出されたメタロセン系LLDPE膜3とバリアフィルム5を一対のロール15a間に通して圧着することにより、接着剤4を介して積層することができるが、この時、積層する前に、メタロセン系LLDPE膜3の片面(バリアフィルム/接着剤に貼り合せる面)にオゾン処理を施す。ノズル14からオゾンをメタロセン系LLDPE膜3に吹き付けることにより、バリアフィルム5との接着面の酸化が促進され、295℃以下の樹脂温度でも十分な接着強度を確保することができる。従って、オゾン処理後、295℃以下の樹脂温度で圧着するにより、バリアフィルム5とオゾン処理されたメタロセン系LLDPE膜3とが接着剤4を介して強固に接着され、バリア層5を有する積層体(バリア層5/AC層4/オゾン処理されたメタロセン系LLDPE層3)を得ることができる。
【0028】
(A−3)工程では、バリア層を有する積層体(バリア層5/AC層4/オゾン処理されたメタロセン系LLDPE層3)の内側となる面に、さらに、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層2を積層させる。具体的には、(A−2)工程の場合と同様の押出し機13bのTダイから押出し成形されたメタロセン系LLDPE膜2を、バリア層5を有する積層体のメタロセン系LLDPE層3側にロール15bによって圧着させる。この時も、メタロセン系LLDPE樹脂の温度は、295℃以下の低温に保ち、分解しないようにする。ここではメタロセン系LLDPE層同士2,3を圧着させることになり、同様の性質を有するため接着剤を用いることなく295℃以下の低温でも高い強度で接着させることができる。なお、ここで積層させるメタロセン系LLDPE層2は、ヒートシール層10を構成するとともに最内層ともなるので、必要に応じて添加剤の種類や量を調整することにより、シール性と充填適性(滑り性)に関してより好ましいグレードとしたり、食品に触れることを考慮して安全性がより高いグレードを選定するようにしても良い。
【0029】
上記のように(A−2)工程と(A−3)工程で二重に積層されたメタロセン系LLDPE層2,3が、紙容器に成形するときにヒートシール層10として作用することになる。このように2つの工程に分けてメタロセン系LLDPE層3,2を積層させれば、例えば1層の厚さが15〜30μmでも、2層とすることで30〜60μmとすることができ、ヒートシール層10全体として十分な厚さに確保することができる。また、例えば、1層目でピンホールがあったり、極めて薄い部分があっても、2層目で補うことができるため、ヒートシール層10全体としての厚さの均一性や信頼性を向上させることができる。
【0030】
なお、ヒートシール層10を1枚の厚いメタロセン系LLDPE膜で形成させるとなると、押し出し機のTダイから比較的厚い膜を押出す必要があるが、この場合、押し出し機に掛かる負荷が大きくなり、押出し速度が低下することになる。一方、2回の工程に分けて比較的薄いメタロセン系LLDPE膜を押出すようにして積層すれば、負荷が小さく高速で押出すことができるので、生産性を向上させることができる。
【0031】
なお、必要とされるラミネートの厚さが比較的薄い場合(例えば、ヒートシール層の厚さが30μm以下程度)や、使用する押し出し機の性能が高い場合には、(A−2)工程でメタロセン系LLDPE膜の片面にオゾン処理を施すとともにバリアフィルムと接着剤を介して積層させてバリア層5を有する積層体とした後、(A−3)工程でのメタロセン系LLDPE層の積層を省略してもよい。この場合、後の各工程を経て、図2に示した構造の紙容器用積層体21が得られることになる。
【0032】
上記のように(A−3)工程でメタロセン系LLDPE層2を積層させることで図4のバリア層を有する積層体1a(バリア層5/AC層4/オゾン処理されたメタロセン系LLDPE層3/メタロセン系LLDPE層2)が得られ、これを巻き取ってロール状にする。
【0033】
次に、独立した工程、すなわちオフライン工程(B)で、バリア層5を有する積層体1a(バリア層5/AC層4/オゾン処理されたメタロセン系LLDPE層3/メタロセン系LLDPE層2)の外側となる面、すなわちバリア層5側に接着剤6をコート(ACコート)する。
なお、バリア層5の外側に、次工程で積層させる低密度ポリエチレン層を直接積層することも可能であるので、この場合には上記オフライン工程(B)でのACコートは省略することもできる。
【0034】
上記のようにバリア層5を有する積層体1aの外側となる面に接着剤6をコートした後、それ以降の各工程を再び連続した1つのライン(C)で行う。
まず、(C−1)工程において、バリア層5の外側にコートした接着剤を介して低密度ポリエチレン層7と原紙8とを順次積層させる。具体的には、ロール15c間に、原紙8と、バリア層5を有する積層体1aとを供給するとともに、それらの間に、押し出し機13cのTダイから低密度ポリエチレン膜7を供給する。このとき、バリア層を有する積層体1aは、接着剤6をコートした面が、低密度ポリエチレン膜7と貼り合うように供給する。
これにより、ロール15c間で、低密度ポリエチレン層7が原紙8とバリア層5を有する積層体1aでサンドイッチされた積層体が形成される。
【0035】
次いで、(C−2)工程では、原紙8の外側にさらに最外層として低密度ポリエチレン層9を積層させる。具体的には、ロール15d間に、押し出し機13dのTダイによって得た低密度ポリエチレン膜9を供給するとともに、(C−1)工程で得られた積層体を、紙層8が低密度ポリエチレン膜9と貼り合わされる向きに供給する。なお、最外層としては、低密度ポリエチレン(およそ0.910〜0.925g/cm)以外のポリエチレン、例えば、中密度ポリエチレン(およそ0.926〜0.940g/cm)、高密度ポリエチレン(0.941g/cm以上)も好適に使用することができる。
そして、ロール15dを通過後、得られた紙容器用積層体1(低密度ポリエチレン層9/紙層8/低密度ポリエチレン層7/AC層6/バリア層5/AC層4/オゾン処理されたメタロセン系LLDPE層3/メタロセン系LLDPE層2)を巻き取ることで製造終了となる。
【0036】
以上のように製造された紙容器用積層体1は、ヒートシール層10全体にわたってピンホール等の欠陥が無く、バリア層/接着層側との接着性に優れるとともに、最内層側ではシール性や充填適性(滑り性等)に優れ、さらに、ラミネート強度と低温シール性が高いものとすることができる。
従って、容器の成形の際、低温でヒートシールを行なっても、シール性に優れ、異物の発生を効果的に防ぐことができる。なお、容器を成形した際、最内層がメタロセン系LLDPEで構成されるが、メタロセン系LLDPEは、臭気等に関しても問題がないため、飲料やヨーグルト等の食品の包装容器として好適に使用することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
<実施例>
図3に示される工程に従い、図1に示されるように、容器の外面側から、低密度ポリエチレン層9/紙層8/低密度ポリエチレン層7/AC層6/バリア層5/AC層4/オゾン処理されたメタロセン系LLDPE層3/メタロセン系LLDPE層2の順に積層されている積層体1を製造した。
【0038】
<比較例>
ヒートシール層を低密度ポリエチレンで構成した従来の紙容器用積層体、すなわち、容器の外面側から、低密度ポリエチレン層/紙層/低密度ポリエチレン層/AC層/バリア層/AC層/低密度ポリエチレン層の順に積層されている積層体を製造した。
【0039】
<評価>
上記2つの積層体を用い、ヒートシールにより紙カップを成形してリーク試験、寸法精度測定等の評価を行った。その結果、実施例の積層体では、比較例のものより80℃低い温度で熱風によるヒートシールを行っても、十分なシール性及び封緘強度、高い気密性を達成することができ、異物の発生を確実に防ぐことができた。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0041】
例えば、本発明に係る紙容器用積層体の製造工程は、図3に示したものに限定されず、種々の変更を加えてもよい。すなわち、各工程をそれぞれ独立して行ってもよいし、全工程を1ラインで構成してもよい。また、ヒートシール層以外のバリア層、紙層等の各層の材質に関しては、従来使用されているものであれば全て使用することができる。成形される紙容器の用途も特に限定されるものではない。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明の紙容器用積層体では、紙容器の最内層を構成するヒートシール層として、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層を、バリア層に接着層を介して積層し、特に、さらにメタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層を最内層として積層させたことで、ヒートシール層とバリア層との接着強度が高く保たれ、さらに、紙容器に成形する際、ヒートシール層のメタロセン系LLDPEは比較的低温で十分溶融してヒートシールすることができるので、低温シール性及びシール強度が高く、封緘強度が上がるため気密性が向上し、高いバリア性を保つことができる。また、異物の発生も効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紙容器用積層体の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る紙容器用積層体の他の例を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る紙容器用積層体の製造工程の一例を示す説明図である。
【図4】バリア層を有する積層体を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,21…紙容器用積層体、 1a…バリア層を有する積層体、
2…メタロセン系LLDPE層(膜)、
3…オゾン処理が施されたメタロセン系LLDPE層(膜)、
4…接着層(接着剤、AC層)、 5…バリア層(EVOHフィルム)、
6…接着層(AC層)、 7…低密度ポリエチレン層(膜)、
8…紙層(原紙)、 9…低密度ポリエチレン層(膜)、
10…ヒートシール層、 11…アンカーコート装置、 12…乾燥室、
13…押出し機、 14…ノズル、 15…ロール。

Claims (3)

  1. 少なくとも、ポリエチレン樹脂と、原紙と、低密度ポリエチレン樹脂と、バリア層と、メタロセン触媒を用いて製造され、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層とを順次積層した、紙容器用の積層体を製造する方法であって、少なくとも、バリアフィルムの内側となる面に接着剤をコートする工程と、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレ層の片面にオゾン処理を施すとともに前記バリアフィルムと前記接着剤を介して積層させてバリア層を有する積層体とする工程と、前記バリア層の外側となる面に接着剤をコートする工程と、該接着剤をコートしたバリア層の外側となる面に低密度ポリエチレン樹脂を押出し、更に原紙をその外側に順次積層させる工程と、前記原紙の外側にさらにポリエチレン樹脂を押出し、積層させる工程とを含み、前記バリア層を有する積層体の外側となる面に接着剤をコートする前までの各工程を連続した1つのラインで行い、前記バリア層を有する積層体の外側となる面に接着剤をコートする工程を独立した工程で行い、前記バリア層を有する積層体の外側となる面に接着剤をコートした後の各工程を連続した1つのラインで行うことを特徴とする紙容器用積層体の製造方法。
  2. 少なくとも、ポリエチレン樹脂と、原紙と、低密度ポリエチレン樹脂と、バリア層と、メタロセン触媒を用いて製造され、オゾン処理が施された直鎖状低密度ポリエチレン層と、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層とを順次積層した、紙容器用の積層体を製造する方法であって、前記バリア層を有する積層体とする工程の後、該積層体の内側となる面に、さらに、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン層を積層させることを特徴とする請求項1に記載の紙容器用積層体の製造方法。
  3. 前記バリアフィルムとして、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム又は透明蒸着フィルムを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙容器用積層体の製造方法。
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