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JP4284773B2 - 送信装置、受信装置、通信システム、送信方法及び通信方法 - Google Patents

送信装置、受信装置、通信システム、送信方法及び通信方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OFDM変調信号の送信装置、受信装置及び送受信装置からなる通信システム、さらに送信装置、受信装置及び通信システムそれぞれにおける信号処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マルチキャリア通信を適用して多重チャネルを伝送するシステムとして、ヨーロッパではDAB(Digital Audio Broadcasting)システムがすでに実用化されている。DABシステムにおいて、変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いている。OFDM変調方式を用いた放送システムでは、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying : 直交位相変調)またはQAM(Quadrature Amplitude Modulation :直交振幅変調)などのデータ変調方式によって変調された複数の直交する副搬送波(サブキャリア)が多重化してOFDM変調信号を生成する。さらに、OFDM信号の有効シンボル期間に有効シンボル波形の一部分を巡回させたガードインターバル期間を設けることによって、地上波の電波伝送におけるマルチパス(ゴースト波)の影響を低減することができる。即ち、予想されるゴースト波の遅延時間よりもガードインターバル期間を長くすることによって、受信側ではゴースト妨害を容易に取り除くことができる。
【0003】
図22及び図23は、OFDM変調方式を用いた無線通信システムの一例を示している。
図22はOFDM変調方式を用いた送信装置の構成を示し、図23はOFDM変調信号を受信する受信装置の構成を示している。
【0004】
図22に示すように、OFDM変調方式を用いた送信装置は、チャネルエンコーダ101、時間インターリーブ回路102、シンボルマッピンク回路103、多重回路(MUX)104、周波数インターリーブ回路105、差動変調回路106、逆フーリエ変換回路(IFFT)107及び送信機(Tx)108によって構成されている。以下、送信装置の動作ついて説明する。
【0005】
チャネルエンコーダ101は、入力されるM番目のチャネルのデータビット列(ビットストリーム)DBSM を符号化する。なお、当該符号化処理は、例えば、誤り訂正符号化処理などを含む。符号化されたデータ列が時間インターリーブ回路102によって、時間軸上ランダムに順序が入れ換えられる。時間インターリーブは、伝送路にある一定の時間帯に集中してノイズが大量に発生する、いわゆるバーストノイズに対処するための方法である。送信側で伝送するデータ系列に対して時間インターリーブを行い、受信側でデインターリーブ処理を行い、受信したデータ系列をもとの順序に戻す。このため、バーストノイズ(Burst Noise )が発生した場合、ノイズの影響が伝送信号に分散し、データ伝送が完全に中断することを防止できる。
【0006】
時間インターリーブ処理されたデータが、シンボルマッピング回路103によってそれぞれのサブキャリアに対して、所定のデータ変調方式に応じてマッピングされる。なお、マッピング処理に用いられるデータ変調方式は、例えば、QPSK,8PSK、16QAMなど様々である。なお、DABにおいてはQPSKが用いられている。シンボルマッピング回路104によって、入力されたデータ系列に対応するシンボルストリームが生成される。
【0007】
マッピング処理されたMチャネルのシンボルストリームが、同様な処理によって生成した他チャネルのシンボルストリームとともに、多重回路104に入力され、多重回路104によって信号の多重化が行われる。もっとも簡単な例として、多重回路104は複数のチャネルのシンボルストリームを単純に直列に連結することにより多重化処理を実現できる。多重化されたシンボルストリームは、周波数インターリーブ回路105によって、シンボルの並び替えが行われる。その後、差動変調回路106によって、各シンボルは1変調時間前に送信された各シンボルとの間で各々差動変調が実施される。
【0008】
差動変調されたシンボルストリームは、図示しない直列/変列変換回路によって、並列なデータに変換される。この並列なデータがそれぞれのサブキャリアにおける変調データとなり、周波数軸上スペクトラムのベクトルと見なすことができる。これらの変調データに対して逆フーリエ変換回路107によって、時間軸上の送信信号に変換され、送信機108によって高周波の送信周波数に変調され、アンテナを介して空間に放射される。
【0009】
受信側では、送信側と逆の処理を行い、受信したOFDM変調波を復調して、もとの情報データストリームを再生する。
図23に示すように、受信装置は、チャネルデコーダ111、時間デインターリーブ回路112、ビット抽出回路113、チャネル選択回路114、周波数デインターリーブ回路115、差動復調回路116、フーリエ変換回路(FFT)117及び受信器(Rx)118によって構成されている。以下、受信装置の動作について説明する。
【0010】
受信器118によって、受信アンテナに励起された高周波の受信信号のうち、所望の周波数帯域の信号を受信する。受信信号が周波数変換によってベースバンド信号に変換される。ベースバンド信号に対して、フーリエ変換回路117によってフーリエ変換した結果、周波数軸上各々のサブキャリアの変調データに対応する受信シンボルが求められる。
【0011】
それぞれの受信シンボルが伝送路において、例えば、フェージングの影響で位相などが変動していることから、1変調前に受信した各シンボルをリファレンスとして、1変調時間前に受信した各シンボルとの間の位相差を受信信号の位相値とすることによって伝送路の推定を行う。当該伝送路推定により受信信号の位相を求める手段は一般的に差動復調と呼ばれている。差動復調回路116において、差動復調が行われる。このようにして抽出された情報が位相成分に変調された受信シンボルは、周波数デインターリーブ回路115によって、シンボルの配置順序が元に戻されたあと、チャネル選択回路114によって、所望のチャネルのシンボルストリームが抽出される。
【0012】
出力されたチャネルストリームがビット抽出回路113に入力される。ビット抽出回路113は、各サブキャリアのシンボルに対してディジタル復調を行い、例えば、QPSK変調されたシンボルに対して、受信符号化ビットストリームを抽出する。
【0013】
時間デインターリーブ回路112によって、受信符号化ビットストリームがフレーム内時間デインターリーブ処理のよって元の順序で符号化ビットストリームの並びに戻される。さらに、これをチャネルデコーダ111によって、例えば、誤り訂正を行う復号処理が行われ、所望のチャネルの情報ビットストリームが得られる。
【0014】
このような送受信装置からなる通信システムにおいて、送受信されるシンボルの並びを、周波数軸及び時間時間で表現すると、図24のようになる。図24では、周波数軸上に並べられた各サブキャリアにおけるシンボルは、当該周波数において1変調時間前に送信されたシンボルとの間で差動変調されている様子が示されている。この差動変調は、チャネル内に閉じたものではなく、他チャネルのシンボルとの間で差動変調が行われていることになる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のOFDM変調方式を適用した多重チャネルを伝送する通信システムにおいては、全チャネル一括で伝送路の推定が行われた後に所望のチャネルのシンボルを抽出することになっている。また、1チャネル分の情報を抽出するためにも他のチャネルのシンボルが必要であり、チャネル間で変調方式並びに伝送路推定方式のアイソレーションがとれない構造となっている。前述したDABシステムは放送システムであり、通常、各チャネルは常時信号の送信を行っているため、チャネル間の変調方式並びに伝送路推定方法のアイソレーションは必要とされていない。
【0016】
しかし、パケット伝送トラヒックを収容するような場合には、各チャネルが常時信号の送受信を行わないことから、上記のようなシステム構成では変復調が不可能となり、変復調並びに伝送路推定をチャネル毎に(即ち、パケット毎に)閉じて行うことが必要となる。さらに、一般のパケット伝送トラヒックには、例えば、一回で送信する情報量(1パケットあたりの情報量)が数十バイトから数十キロバイト程度と大きく変動する。このようなトラヒックを収容する場合に、従来の方法で変復調を行うと以下のような不利益が生じる。
【0017】
DABシステムのように、差動位相変調が施されているような場合には、1変調時間前に送信したシンボルを伝送路推定用のリファレンスシンボルとして利用するため、たかだか1変調時間分のシンボル数で収容できる情報を送信したい場合であっても、リファレンスを含めて2変調分のシンボルの送受信が必要になる。これは伝送路帯域の有効利用の観点から明らかに無駄であり、このような場合には何らかの他の伝送路推定の方法を施すのが得策である。
【0018】
一方、大容量の情報を送受信したい場合を考えると、従来の通信システムで用いられている差動変調により伝送路推定を行うと、伝送路推定が完璧に行われる場合に比べて、所要のEb/No(Eb:受信装置によって受信された1ビットあたりのエネルギー、No:受信雑音、Eb/Noは受信側における受信データ1ビットあたりのS/N比を表す値である)でおよそ3dB劣化することが一般的に知られている。大容量の情報を送受信したい場合には、情報が変調されたシンボルの他に伝送路推定用のシンボルを送信し、伝送路推定を精度よく行い、復調した方がトータルの所要Eb/Noは低下し、効率のよい信号伝送が可能となる。この場合、伝送路推定用のシンボルの送信が必要となるため、帯域は余計に使用することになるが、送信する情報量が伝送路推定用のシンボルと比べて十分大きい場合、所要Eb/Noの観点から無駄なリソースの使用とはならない。また、所要Eb/Noが低下した分、伝送路推定用のシンボルの送信分だけ帯域を用意するために、符号化率を上げれば余計な帯域の使用にならない。
【0019】
このように、例えば、パケット伝送トラヒックのように、情報伝送がバースト的に発生し、且つ1回あたりに送信する情報量が大きなダイナミックレンジで変動する場合には、変調方式並びに伝送路推定方法はチャネル毎にアイソレーションが取れていることが望ましく、また、送信情報毎に異なる伝送路推定方法が取られることが好適である。しかし、従来の通信システムではそのような配慮が十分になされていない。
【0020】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信する情報の特性に応じて、それに適した伝送路推定方法を適用することができ、情報伝送の効率を向上できる送信装置、受信装置、送受信装置からなる通信システム及びそれぞれの信号処理方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の送信装置は、送信データに応じて変調された複数のサブキャリアを持つマルチキャリア変調信号を送信する送信装置であって、上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行うマッピング回路と、上記マッピング回路の出力信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入する(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)パイロット付加回路と、上記パイロット信号を付加した送信信号を直交変換する直交変換回路とを有する。
【0022】
また、本発明の受信装置は、送信装置によって送信開始したときもっとも高い比率でパイロット信号が付加された(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)マルチキャリア変調信号を受信する受信装置であって、受信信号を直交変調する直交変調回路と、上記直交変調回路の出力信号に基づき、上記パイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に応じて伝送路推定を行う伝送路推定回路と、上記伝送路推定回路の推定結果に応じて、上記受信信号に対して補正を行い、受信データを出力するデータ出力回路とを有する。
【0023】
また、本発明の通信システムは、送信データに応じて生成したマルチキャリア変調信号を送受信する通信システムであって、上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行うマッピング回路と、上記マッピング回路の出力信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入する(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)パイロット付加回路と、上記パイロット付加回路の出力信号を直交変換する第1の直交変換回路と、上記第1の直交変換回路の出力信号を伝送路に送信する送信回路と、上記伝送路から伝送信号を受信する受信回路と、上記受信回路の受信信号を直交変換する第2の直交変換回路と、上記第2の直交変換回路の出力信号に基づき、上記パイロット信号を抽出し、抽出したパイロットに応じて伝送路推定を行う伝送路推定回路と、上記伝送路推定回路の推定結果に応じて、上記受信信号に対して補正を行い、受信データを出力するデータ出力回路とを有する。
【0029】
また、本発明の送信方法は、送信データに応じて変調された複数のサブキャリアを持つマルチキャリア変調信号を送信する送信方法であって、上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行い、上記送信データの属性に応じて、上記信号点配置が行われた送信信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入し(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)、上記パイロット信号を付加した送信信号を直交変換する。
【0031】
さらに、本発明の通信方法は、送信データに応じて生成したマルチキャリア変調信号を送受信する通信方法であって、上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行い、上記送信データの属性に応じて、上記信号点配置が行われた送信信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入し(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)、上記パイロット信号を付加した送信信号を直交変換し、上記直交変換した信号を伝送路に送信し、上記伝送路から伝送信号を受信し、上記受信信号を直交変換し、上記直交変換された受信信号に基づき、上記パイロット信号を抽出し、抽出したパイロットに応じて伝送路推定を行い、上記伝送路推定の結果に応じて、上記受信信号に対して補正を行い、受信データを出力する。
【0032】
本発明によれば、例えば、パケット伝送トラヒックなどのようにバースト的かつ送信データの容量に大きなダイナミックレンジを有する情報を伝送する場合に、送信データの特性、例えば、パケットあたりの送信データの容量、データの重要度または送信データの再送の可否などに応じて、さらに、伝送路の状況、例えば、伝送路におけるノイズの影響などに応じて、これらの条件に適した比率で送信信号にパイロット信号を付加してデータの送受信を行う。この結果、送信データの特性及び伝送路の状況などに応じて、パイロット信号を付加する比率が制御されるので、受信側においてそれらの条件に適した伝送路推定を行うことができ、送信データを高精度に再生できるほか、通信システム全体として効率のよいデータ伝送を行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1及び図2は本発明に係るの第1の実施形態を示す回路図である。図1は本発明に係る送信装置の一構成例を示すブロック図であり、図2は本発明に係る受信装置の一構成例を示すブロック図である。
図示のように、本実施形態の送信装置は、チャネルエンコーダ201、インターリーブ回路202、シンボルマッピング回路203、差動変調/パイロット付加回路204、信号ランダム化回路(RPS/ROT )205、多重化回路(MUX)206、逆フーリエ変換回路(IFFT)207及び送信回路(Tx)208によって構成されている。以下、送信装置を構成するそれぞれの部分回路の動作について説明する。
【0034】
チャネルエンコーダ201は、入力されるM番目のチャネルのビットストリームDBSM を符号化する。なお、当該符号化処理は、例えば、誤り訂正符号化処理などを含む。符号化処理されたデータストリームは、インターリーバ202に供給される。
【0035】
インターリーバ202は、入力されるデータストリームのそれぞれのデータの順序を並べ替えるインターリーブ処理を実施する。インターリーブ処理されたデータストリームがシンボルマッピング回路203に供給される。
【0036】
シンボルマッピング回路203は、それぞれのサブキャリアにおけるデータ変調方式に応じて、シンボルストリームを生成する。なお、シンボルマッピング回路203の詳細の構成は後に説明する。
シンボルマッピング回路203によって生成されたシンボルストリームが差動変調/パイロット付加回路204に入力される。差動変調/パイロット付加回路204は、入力されたシンボルストリームに対して、送信データの特性、例えば、パケット通信の場合におけるパケットのデータ量、または伝送情報の重要度に対応する誤り率の許容値などに応じて、差動変調方式を選択し、若しくは伝送路推定用のパイロットシンボルを挿入する。差動変調/パイロット付加回路204によって、伝送シンボルストリームが生成される。
【0037】
信号ランダム化回路205は、伝送シンボルストリームに対して、直交変換などを行う。信号ランダム化回路205における処理は、ランダム位相シフト処理(RPS:Random Phase Shift)及びランダム直交変換処理(ROT:Random Orthogonal Transform )などによるスクランブル処理である。当該スクランブル処理によって、信号点がランダム化され、干渉波の識別を可能になる。なお、信号ランダム化回路205は、必要に応じて送信装置に設けられ、システムによって省略することも可能である。
【0038】
差動変調/パイロット付加回路204、若しくは信号ランダム化回路205によって出力される伝送シンボルストリームが多重化回路206に入力される。多重化回路206は、Mチャネルの伝送シンボルストリームと他の複数のチャネルの伝送シンボルストリームを多重化して、多重化した伝送信号を出力する。なお、他のチャネルの伝送シンボルストリームは、上述したM番目のチャネルの伝送シンボルストリームとほぼ同じ処理を経て生成されているものである。
【0039】
多重化された伝送信号は逆フーリエ変換回路207によって、逆フーリエ変換が実施され、時間軸上の送信信号が生成される。さらに、逆フーリエ変換回路207は、得られた時間軸上の送信信号にガードバンドを付加して、さらに時間ウィンドウにより送信信号に対して時間制限を行う。
送信回路208は、逆フーリエ変換回路207から出力される送信信号を高周波の送信周波数に変調して送信アンテナを通して空間に放射する。
【0040】
図2に示すように、本実施形態の受信装置は、チャネルデコーダ211、デインターリーブ回路212、ビット抽出回路213、伝送路推定回路214、信号ランダム化復調回路(RPS/ROT )215、チャネル選択回路216、フーリエ変換回路(FFT)217及び受信回路(Rx)218によって構成されている。以下、受信装置を構成するそれぞれの部分回路の動作について説明する。
【0041】
受信回路218は、所望の周波数帯域の信号を受信し、受信した高周波の信号に対して周波数変換を行い、ベースバンドの信号を出力する。このベースバンド信号はフーリエ変換回路217に供給される。
フーリエ変換回路217は、受信回路218から入力されるベースバンドの信号に対してフーリエ変換処理を行い、各サブキャリアにおける受信シンボルを求める。
【0042】
チャネル選択回路216は、フーリエ変換回路217によって得られた各サブチャネルの受信シンボルのうち所望のチャネルの受信シンボルを選択する。なお、チャネル選択回路216は、フーリエ変換回路217の前段に配置することもできる。即ち、チャネル選択回路216を受信回路218とフーリエ変換回路217の間に設け、受信回路218によって受信されたベースバンドの信号のうち、所望のチャネルの受信信号のみを選択して、フーリエ変換回路217に供給する。
【0043】
信号ランダム化復調回路215は、選択された所定のチャネルの受信シンボルに対して、直交変換を行うことによって、もと通りの受信シンボルストリームに戻す。なお、信号ランダム化復調回路215は、図1に示す送信装置における信号ランダム化回路205に対応して設けられている。即ち、送信装置において、信号ランダム化回路205によって直交変換して、信号点がランダム化された送信信号に対して、受信装置において、再度直交変換を行うことによって元の順序に戻される。このため、送信装置に信号のランダム化が行われていない場合、受信装置において信号ランダム化復調処理を不要である。
【0044】
伝送路推定回路214は、伝送路における伝送信号の位相変動を推定し、伝送路で発生した位相変動を補正する。受信シンボルストリームは、伝送路において位相などが変動しているから、伝送路推定回路214において、差動変調あるいは送信装置によって付加されたパイロットシンボルを用いて、伝送路推定を行い、伝送路によって受信シンボルに発生した位相変動を推定する。そして、求めた位相変動量を用いて、受信シンボルに対して位相の補正を行い、純粋に伝送情報に応じて変調された受信シンボルストリームを求める。補正された受信シンボルストリームは、ビット抽出回路213に供給される。
ビット抽出回路213は、受信符号化シンボルストリームを抽出する。
なお、伝送路推定回路214及びビット抽出回路213の詳細について後に具体的な回路例を挙げて説明する。
【0045】
デインターリーブ回路212は、ビット抽出回路213によって抽出された受信符号化シンボルストリームに対して並び替えを行い、もとの順序に戻す。即ち、送信装置においてインターリーブ回路202によって並び替えが行われた伝送シンボルストリームに対して、その逆の処理が行われるので、受信符号化シンボルストリームを形成するそれぞれのデータが元の順序に並び替えられる。
【0046】
デインターリーブ処理された受信符号化シンボルストリームがチャネルデコーダ211に入力される。チャネルデコーダ211は、受信符号化シンボルストリームに対して、例えば、誤り訂正復号処理などを行う。これによって、送信装置によって送信した複数のチャネルの送信信号のうち所望のチャネル情報に対応するビットストリームが得られる。なお、誤り訂正復号処理は、例えば、ビタビ復号処理などを含む処理である。
【0047】
上述した送信装置及び受信装置によって、通信システムが構成されている。当該通信システムによって、M番目の送信チャネルにおいて、送信情報を示すデータストリームDBSM がチャネルエンコーダ201によって符号化され、インターリーブ処理した後シンボルマッピングが行われ、送信シンボルストリームが形成される。さらに送信データの特性に応じて、差動変調またはパイロットシンボルが付加され、必要に応じて直交処理によって信号のランダム化処理が行われたあと、多重化回路に入力される。他の複数のチャネルの送信データストリームがそれぞれ同じ処理を経て多重化回路206に入力され、多重化回路206によって多重化処理が行われ、送信シンボルストリームが形成される。このように形成された送信シンボルストリームが逆フーリエ変換処理によって、時間軸上の送信信号波形が得られ、送信回路208によって高周波の送信周波数に変調され、送信される。
【0048】
受信装置によって、所望の周波数帯域の送信信号が受信され、周波数変換にってベースバンドに変換される。ベースバンドに変換された受信信号がフーリエ変換によって、それぞれのサブキャリアに対応する受信シンボルが得られる。さらに、所望のチャネル受信シンボルが選択され、必要に応じて再度の直交変換によって元のシンボル系列が復元され、伝送路推定回路214によって、伝送路推定が行われ、受信シンボルストリームにおける位相変動が補正される。位相補正された受信シンボルストリームがビット抽出回路213によって受信符号化ビットストリームが抽出され、さらにデインターリーブ回路212によりデータが並び替えられ、もとの順序に戻されたあと、チャネルデコーダ211によって、例えば誤り訂正復号処理が実施される。
【0049】
このように構成された通信システムによってOFDM変調方式による情報データの伝送が行われ、高精度の信号伝送を実現できる。
なお、上述した通信システムでは、送信装置において複数のチャネルを多重化して送信し、受信装置がそのうち1チャネルを受信する場合を示しているが、実際の通信システムは、これに限定されるものではなく、例えば、送信装置が1チャネルを使用して送信し、受信装置が多重化された信号を受信する場合も存在する。
【0050】
以下、本実施形態の通信システムにおける伝送路推定の方法について、図を参照しながら詳細に説明する。
例えば、パケット伝送トラヒックにおいては、コマンド情報などの数バイト程度の少量のデータを送信する場合もあれば、数十キロバイト程度の比較的大量のデータを送信することもある。また、情報の伝送には極力時間を掛けずに行いたいとい要望もある。このような環境を鑑みて、マルチキャリア伝送で情報を送受信する場合、データの属性に応じて伝送路推定の方法を変更することが有効である。ここでは、データの属性として、“送受信するデータの大きさ”を例にとり、1ブロックで送受信するデータの大きさに応じて伝送路推定の方法を変更する送受信方法について説明する。
【0051】
伝送路推定方法1
図3は、本発明の送信装置における伝送路推定方法1、即ち差動変調の一例を示す図である。この差動変調例において、1変調時間で収容可能なデータを送信する場合の差動変調の一例を示している。図示のように、少量のデータからなるパケットを送信する場合、この例では、例えば1変調時間シンボルのみの送受信を行う場合に、周波数軸上隣接するシンボルをリファレンスとして伝送路推定を行い、受信シンボルの推定を行う。このような伝送路推定方法において、周波数軸上の差動位相変調となる。具体的に、例えば、図示のように、サブキャリアf1,f2,…,f7においてそれぞれシンボルSYB1,SYB2,…,SYB7を伝送する場合、シンボルSYB1をリファレンスとしてそのまま伝送され、シンボルSYB2とシンボルSYB1との差分を次の送信シンボルとする。そして、以下シンボルSYB3からシンボルSYB7まではシンボルSYB2と同様に、それぞれ一つ前のサブキャリアにおける送信シンボルとの差分をとって、差分シンボルを実際の送信シンボルとして伝送する。
【0052】
このようにシンボルの送受信を行うことにより、1変調時間分のシンボルの送受信のみで情報の伝達が可能となり、必要最低限の帯域を利用した通信が行われることになる。遅延を伴うマルチパス環境においては、周波数特性がフラットにならないが、2サブキャリア間くらいはおよそフラットな特性と考えられるため、サブキャリア間での差動変調でも特性の劣化は最小限に抑制することが可能である。
【0053】
伝送路推定方法2
図4は、本実施形態における他の伝送路推定方法、即ち数変調時間で収容可能なデータを送信する場合の差動変調方式の一例を示している。この場合、周波数方向並びに時間方向への差動位相変調を実施される。図示の例では、時間軸上において、1シンボル目に送信されるシンボルSYB11〜SYB17については、周波数軸上で隣接するシンボルをリファレンスとして差動位相変調を行う。即ち、図3に示す例と同じく、例えば、シンボルSYB12を送信する場合、シンボルSYB12とSYB11との差分を実際の伝送シンボルとして送信する。以降、シンボルSYB17までの各々のサブキャリアにおけるシンボルはそれぞれ同じように一つ前のサブキャリアにおけるシンボルとの差分に応じて伝送シンボルを生成する。
【0054】
時間軸上において2シンボル目以降に送信されるシンボルについては、時間軸上で隣接するシンボルをリファレンスとして差動位相変調を行う。例えば、時間t2にサブキャリアf1〜f7においてそれぞれシンボルSYB21〜SYB27を送信する場合に、シンボルSYB21と時間t1に送信されるサブキャリアf1のシンボルSYB11との差分を求めて、伝送シンボルを生成し、また、同様に、サブキャリアf2からf7までの各サブキャリアにおけるシンボルSYB22〜SYB27に対して、それぞれ時間t1に送信されるシンボルSYB12〜SYB17との差分に応じて差分シンボルが求められ、差動位相変調が行われる。
同様に、時間t3にサブキャリアf1〜f7においてそれぞれシンボルSYB31〜SYB37を送信する場合に、それぞれ時間t2に送信されるシンボルSYB21〜SYB27との差分に応じて差分シンボルが求められ、差動位相変調が行われる。
【0055】
上述したように送信装置によって送信する各々のシンボルに対して差動位相変調を行った場合、受信装置ではそれに応じて、受信シンボルに対し最初に受信したリファレンスシンボルを用いて、各々の受信シンボルを差動位相復調して、元の送信シンボルを求める。
【0056】
このような送受信を行うことにより、情報が変調されていないリファレンスシンボルを周波数軸/時間軸の1シンボル目のみとすることができ、情報を変調するシンボルを最大数確保することができる。さらに、2シンボル目からは時間方向の差動位相変調を行っているため、周波数特性が比較的に激しい伝播環境においても良好に通信路を確保することができるだけでなく、アナログフィルタの特性がフラットではない場合においてもその影響を最小限に抑えることが可能となる。なお、図4では、時間軸上に3シンボル分を送信する場合を例示したが、3シンボルに限定することなく、数シンボルの送受信を行う場合でも常に適用できることはいうまでもない。
【0057】
伝送路推定方法3
図5は、数変調時間で収容可能なデータを送信する場合の差動位相変調の他の例を示している。図示のように、この例では、図4に示す例とほぼ同様に、サブキャリアf1〜f7を用いて変調時間t1,t2,t3それぞれにおいて、シンボルSYB11,SYB12,…,SYB17,SYB21,SYB22,…,SYB27,SYB31,SYB32,…,SYB37を伝送する。
【0058】
図5に示すように、時間軸上2シンボル目以降のシンボルに関して、リファレンスシンボルを周波数軸/時間軸の何れかの隣接するシンボルで混在しても構わない。この例においても、情報が位相変調されていないリファレンスシンボルは1シンボルのみとすることができる。
具体的に、例えば、時間t1において、サブキャリアf1〜f7それぞれにおけるシンボルSYB11〜SYB17を伝送する場合、隣接するサブキャリアにおけるシンボルをリファレンスとして、それぞれの差分を求めて差動位相変調を行う。そして、時間t2においては、隣接する時間軸または周波数軸のサブキャリアをリファレンスとして、それぞれのシンボルの位相差を求めて、差動位相変調を行う。例えば、シンボルSYB21を送信する場合に、時間軸上隣接するシンボル、即ち時間t1におけるシンボルSYB11との差分を求め、伝送シンボルを生成する。シンボルSYB22を送信する場合には、周波数軸上隣接するシンボル、即ちサブキャリアf1におけるシンボルSYB21との差分を求めて、伝送シンボルを生成する。以降、送信する各シンボルSYB23〜SYB27において、それぞれ周波数または時間軸上隣接するシンボルとの差分によって伝送シンボルを生成する。さらに、時間t3におけるシンボルSYB31〜SYB37を送信する場合も同様な処理とする。
【0059】
なお、図5に示す差動位相変調の例では、差分シンボルを生成する場合リファレンスシンボルとなる隣接のシンボルの選択パターンを受信装置に通知する必要がある。また、当該リファレンスシンボルのパターンを予め送受信装置の間に一つの取り決めとして決定することによって、パターンの伝送を不要となる。例えば、リファレンスシンボルのパターンを通信システムの通信プロトコルとして予め決め、通信のとき送信装置及び受信装置はそれぞれプロトコルによって決められたパターンでリファレンスシンボルを選択し、それに応じて送信装置では送信シンボルに対して差分シンボルを求め、差動位相変調を行い、受信装置ではプロトコルに従ってリファレンスシンボルを選択し、受信シンボルに対して元の送信シンボルを再生する。
【0060】
図5に示す場合においては、通信チャネル毎に各シンボルに対するリファレンスシンボルを設定するパターンを変更することによって、他チャネルの信号(干渉波)は差動位相復調後の信号点が意味を持つものではなくなるため、復調後のビットストリームが誤り検出で誤りと判断される。したがって、異なるチャネルのデータを自局宛てのデータと誤って復調することもなくなり、簡易的な暗号化の効果も同時に得ることが可能である。
【0061】
図6及び図7は、伝送路推定の他の方法を示す図である。以下、これらの図を参照しながら、これらの伝送路の推定方法について説明する。
大容量のデータを送信する場合には、情報データによって変調されているシンボルの他に伝送路推定用のシンボルを挿入し、これらのシンボルをともに送信する。そして、受信装置において、伝送路推定用シンボルを用いて伝送路の位相変動を求め、それに応じて情報データによって変調されたシンボルに対して、位相誤差を補正することによって、正確に情報シンボルを再生可能である。また、これによって、差動位相変調を行った場合と比して伝送信号のトータルの所要Eb/Noを低減させることができる。
なお、以下の説明において、便宜上情報データによって変調されたシンボルを情報シンボルといい、伝送路推定用シンボルをパイロットシンボルという。
【0062】
伝送路推定方法4
図6において、情報シンボルにパイロットシンボルを挿入する一例を示している。図示のように、時間t1において、サブキャリアf1に情報シンボルSYB11があてられ、サブキャリアf2にパイロットシンボルPSB11があてられている。また、他のサブキャリアf3〜f9には、それぞれ情報シンボルSYB12〜SYB16及びパイロットシンボルPSB12,PSB13があてられている。
【0063】
時間t2において、サブキャリアf1〜f9において、情報シンボルSYB21〜SYB26及びパイロットシンボルPSB21,PSB22,PSB23がそれぞれあてられている。さらに、時間t3においてもほぼ同様に、サブキャリアf1〜f9において、情報シンボルSYB31〜SYB36及びパイロットシンボルPSB31,PSB32,PSB33がそれぞれあてられている。
【0064】
図6に示すように、この例では、パイロットシンボルは、情報シンボルに対して一定の比率で割り当てられている。具体的に、情報シンボル二つにパイロットシンボル一つが挿入されている。なお、変調時間毎にパイロットシンボルの挿入する場所、即ち、割り当てられているサブキャリアがずらしている。例えば、時間t1において、パイロットシンボルPSB11がサブキャリアf2に割り当てられ、さらに、パイロットシンボルPSB12,PSB13がそれぞれサブキャリアf5,f82に割り当てられている。これに対して、時間t2において、パイロットシンボルPSB21,PSB22及びPSB23がそれぞれサブキャリアf3,f6及びf9に割り当てられ、さらに、時間t3において、パイロットシンボルPSB31,PSB32及びPSB33がそれぞれサブキャリアf1,f4及びf7に割り当てられている。
【0065】
上述したように、送信装置において、情報シンボルに対して一定の割合でパイロットシンボルを挿入する。それぞれのパイロットシンボルは、予め定められているサブキャリア/時間帯に挿入される。それ以外のサブキャリア及び時間帯に通常の情報シンボルが割り当てられる。そして、受信装置では、受信したシンボルのうちパイロットシンボルを抽出して、それに応じて伝送路の特性を推定し、これをもとに伝送路上で生じた他の情報シンボルの位相変動などを補正し、情報シンボルを正しく再生する。送信するデータが大容量の場合には、送信する情報シンボルの総数に対してパイロットシンボルの占有率を下げられるため、図3〜図5に示した差動位相変調による信号の劣化を回避でき、トータルの所要Eb/Noを低減することが可能となる。
【0066】
また、大容量のデータを伝送する場合に、狭い周波数帯域幅でより多くのデータを伝送しなければならないこともあり、このような場合には、通常のQPSK変調の代わりに、QAMなどの多値変調が適用されることが想定される。例えば、16QAM,64QAMなどのデータ変調方式が多用されることになる。これらの多値変調においては、振幅成分にも情報が変調されることから、前述した差動位相変調はもはや適用不可能となる。この観点からも、大容量のデータ伝送を行う場合には、伝送路推定方法として、差動位相変調よりパイロットシンボルを用いた方が好ましい。
【0067】
なお、図6に示す例では、パイロットシンボルは常に一定の割合で情報シンボルに挿入されているが、本発明はこれに限定されず、送信時間の経過に伴い、情報シンボルに対するパイロットシンボルの割り当て比率を変える可変パイロットシンボルによる伝送路の推定方法もある。
【0068】
伝送路推定方法5
図7は、パイロットシンボルを一定の比率ではなく、送信開始からの経過時間に従って変化する比率で割り当てる例を示している。図示のように、例えば、k個のサブキャリアf1,f2,f3,…,fk(kは自然数である)に対して情報シンボル及びパイロットシンボルがそれぞれ割り当てられる。さらに、送信開始からの経過時間に伴い、各変調時間t1,t2,t3,…,tm(mは自然数である)におけるパイロットシンボルの割り当て比率が徐々に変化する。
【0069】
例えば、変調時間t1において、情報シンボル一つ毎にパイロットシンボルが挿入されている。図示のように、情報シンボルSYB11とSYB12との間にパイロットシンボルPSB11が挿入されている。次の変調時間t2において、情報シンボル二つ毎にパイロットシンボルが一つ挿入されている。例えば、情報シンボルSYB21とSYB22の後に、パイロットシンボルPSB21が挿入されている。次に、変調時間t3において、情報シンボル三つ毎にパイロットシンボル一つが挿入されている。
【0070】
ここで、パイロットシンボルと情報シンボルの数の比をパイロットシンボルの比率と定義する。上述した例では、送信開始直後の変調時間t1において、パイロットシンボルの比率は、1/2であり、その次の変調時間t2においてその比率は1/3に低下する。同様に、時間tmにおいては、パイロットシンボルの比率は1/(m+1)になる。
【0071】
なお、パイロットシンボルの比率を他の方法によって設定することも可能である。例えば、変調時間毎に2の巾乗の逆数に応じてパイロットシンボルの比率を設定する例として、送信開始直後の変調時間t1において、パイロットシンボルの比率を1(=1/20 )に設定し、その後、変調時間t2において、パイロットシンボルの比率を1/2(=1/21 )に設定する。そして、時間tmにおいては、パイロットシンボルの比率を1/2m-1 )に設定する。
【0072】
このように、データ送信開始してから経過時間が経つに連れて、パイロットの挿入比率、即ち、情報シンボルに割り当てられるパイロットシンボルの数が徐々に低下していく。送信開始直後に、伝送路に関してその伝達特性が全く未知であるので、情報シンボルに対して高い比率でパイロットシンボルを挿入する。これに対応して、受信装置では受信シンボルからパイロットシンボルを抽出し、素早く伝送路の特性を特定することができ、情報シンボルに対して誤差の補正を行うことができる。そして、送信開始してから一定の時間を経過したあと、それまでの伝送路推定によって伝送路の特性に関してはある程度の認識を蓄積した結果、わずかなパイロットシンボルによって伝送路の特性の変化に追従でき、それによって受信した情報シンボルを正しく補正することが可能となる。
【0073】
そして、伝送路が固定の場合、例えば、送信装置と受信装置の場所がそれぞれ固定であり、その間電波の伝搬経路がほぼ一定である場合、伝送路の特性がほぼ一定となり、通信開始してから所定の時間を経過したとき、受信装置において伝送路の特性をほぼ完全に把握できる。この場合、送信装置にはそれ以上パイロットシンボルを挿入する必要がなく、パイロットシンボルの挿入が送信開始後一定の時間を経つと打ち切る。そして受信装置において、送信開始したあと受信したパイロットシンボルによって伝送路の特性を推定し蓄積する。パイロットシンボルの伝送が打ち切ったあと、それまでに推定した伝送路の特性を用いて、受信シンボルに対して誤差の補正を行い、元の情報シンボルを再生する。
【0074】
一方、伝送路が固定ではない場合、例えば、移動体通信の場合、受信装置の場合が時々刻々変化し、送信装置と受信装置間の伝送路の特性が常に変化するので、常時に伝送路の推定を行う必要がある。この場合、データ伝送を開始してから一定の時間が経過したあとでも常にパイロットシンボルを送信する必要がある。なお、伝送路の状態に応じて、データ伝送を開始してから一定の時間が経過したとき、データ伝送開始直後に比べてパイロットシンボルの割り当て比率を低く設定することができる。
【0075】
例えば、上述した例のように、変調時間毎に2の巾乗の逆数に応じた比率で挿入するパイロットシンボルの数を設定する。このとき、受信装置では逐次に送信されてくるパイロットシンボルを受信し、これまでに蓄積した伝送路の特性に新たに推定した特性の変化を加えて修正すればよい。そして、逐次に修正された伝送路の特性に応じて、受信された情報シンボルを補正し、元の情報シンボルを再生する。
【0076】
なお、送信開始してから一定の時間を経過して、パイロットシンボルの比率が一定に保持されているとき、各々の変調時間においてパイロットシンボルの挿入位置を変更することによって、伝送路の伝達特性の細かな変化に追従することができる。例えば、周波数軸上、パイロットシンボルを挿入する位置をサブキャリア毎に1個ずつずらす方法が有効である。
【0077】
本例のパイロットシンボルによる情報路の推定方法によって、データ伝送開始した直後に情報シンボルに高い比率でパイロットシンボルを挿入し、時間の経過に伴ってパイロットシンボルの割り当て比率を徐々に低減していくので、通信開始直後から高い伝送品質が得られるとともに、送信する情報シンボルに対して、パイロットシンボルの占有率が徐々に低下し、情報伝送の効率を徐々に高められ、周波数帯域の有効利用が図れる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、送信するデータの属性、例えば、伝送するパケットのサイズに応じて情報シンボルに付加されるパイロットシンボルの数を制御することによって、異なるサイズのパケットを伝送する場合、或いは伝送路の特性が異なる場合においても常に最適な伝送路推定方法をとることが可能であり、伝送効率の向上及び通信の品質の改善を実現できる。
【0079】
次に、上述した本実施形態のそれぞれ伝送路推定方法を実現する送受信装置を構成する主要な部分回路の構成及び動作について、それぞれの回路図を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図8及び図9を参照しながら、本実施形態の通信システムに用いられているデータ変調方式について説明する。ここで、マルチキャリア通信において、通用よく用いられているQPSK及び16QAMの二つのデータ変調方式を挙げて説明する
【0080】
図8はQPSK変調方式を示す信号分布図である。なお、この信号分布図は、コンスタレーションとも呼ばれている。
QPSK変調では、一つのサブキャリアにおいて2ビットのデータによって変調される。このため、図8に示すように変調信号が4つの分布を持ち、それぞれ変調データの(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)に対応する。
【0081】
QPSK変調によって得られた変調信号において、それぞれの信号の分布点の間隔が大きく、即ち、変調信号のハンミング距離が大きいので、伝送路のノイズによる誤り率が低く、耐ノイズ特性がよい。しかし、この変調方式は周波数帯域の利用率が低いため、通常データ容量が比較的に小さい場合、且つ伝送路におけるノイズの影響が強い環境に適用される。
【0082】
図9は、16QAM変調方式を示す信号分布図である。
図9に示すように、16QAM変調では、一つのサブキャリアにおいて4ビットのデータによって変調される。変調信号において位相のみではなく、振幅も変調される。図9の信号分布図に示すように、16QAM変調方式による変調信号は、それぞれ信号の分布点の間隔がQPSK変調信号より小さく、伝送路のノイズによる誤りの発生率が高くなる。即ち、耐ノイズ特性がQPSK変調方式に比べて劣る。しかし、16QAM変調方式では、周波数帯域の利用率が高いので、大容量のデータ伝送を行う場合、16QAMなどの多値変調方式が適用される。この場合、ノイズの耐性を向上させるために、強力な符号化を施し、低いSNR環境においても通信を可能にする。また、送信機の送信パワーの許容範囲内に、送信機の最大出力電力を高く設定することによって、ノイズの耐性を改善することも可能である。
【0083】
なお、以上にQPSKと16QAMの二つの変調方式のみを例示したが、本発明はこれらの変調方式に限定されるものではなく、これ他に、例えば、8PSK、64QAMなどの変調方式を適用することも可能である。
【0084】
また、上述した本発明の第1の実施形態の伝送路推定方法において、例えば、差動位相変調を用いた場合、即ち、時間軸または周波数軸上隣接するシンボルの差分を求めて伝送シンボルを生成する方法では、データ伝送開始したとき最初にリファレンスシンボルを送信する場合、QPSK変調を用いてリファレンスシンボルを生成して伝送することによって、受信側において高精度にリファレンスシンボルを復調できるので、それを用いて多能差分シンボルに応じてそれぞれともの送信シンボルを再生できる。情報シンボルの間にパイロットシンボルを挿入して、当該パイロットシンボルによって伝送路推定を行う場合に、パイロットシンボルを16QAM変調方式によって生成し、伝送することができる。この場合に、伝送路推定の精度により、16QAMの耐ノイズ特性の劣化をある程度吸収することができる。
【0085】
次に、本実施形態における送信装置のシンボルマッピング回路203及び差動変調/パイロット付加回路204のそれぞれの回路構成及び動作を説明する。
【0086】
シンボルマッピング回路
図10はシンボルマッピング回路203の一構成例を示すブロック図である。なお、本例のシンボルマッピング回路203は、QPSKまたは16QAMの何れかの変調方式を適用可能である。
図示のように、シンボルマッピング回路203は、シリアル/パラレル変換回路(S/P変換回路)301、QPSKマッパー(Mapper)302、16QAMマッパー303及び選択回路304,305によって構成されている。
【0087】
入力されるビットストリームDBSは、シリアル/パラレル変換回路301によって並列なデータに変換される。なお、ここで、変調方式に応じてシリアル/パラレル変換のビット数が設定される。例えば、QPSK変調方式を用いる場合、ビットストリームDBSが2ビットずつ並列なデータに変換され、QPSKマッパー302に供給され、16QAM変調方式を用いる場合、ビットストリームDBSが4ビットずつ並列なデータに変換され、16QAMマッパー303に供給される。図示のように、外部からの制御信号SCがシリアル/パラレル変換回路301に入力され、シリアル/パラレル変換回路301は、当該制御信号SCに応じて2ビットまたは4ビットずつの変換の何れかを選択し、得られる2ビットまたは4ビットの並列なデータをQPSKマッパー302または16QAMマッパー303の何れかに出力する。
【0088】
QPSKマッパー302は、入力データに対してマッピング処理を行い、入力される2ビットのデータの組み合わせに応じて、図8にI−Qデータ分布を持つQPSK変調信号を生成する。一方、16QAMマッパー303は、入力データに対してマッピング処理を行い、入力される4ビットのデータの組み合わせに応じて、図9にI−Qデータ分布を持つ16QAM変調信号を生成する。
選択回路304,305は、制御信号SCに応じて16QAMマッパー303またはQPSKマッパー302の何れかの出力信号を選択して、出力する。
【0089】
上述した構成を有するマッピング回路203によって、入力されるビットストリームDBSが、所望の変調方式に従って、QPSK変調または16QAM変調の何れかによって変調され、変調信号における直交信号IとQが出力される。
【0090】
差分変調/パイロット付加回路
図11は差動変調/パイロット付加回路204の一構成例を示すブロック図である。図示のように、差動変調/パイロット付加回路204は、位相変換回路401,402、バッファ/制御回路403、パイロット記憶回路404及びマルチプロセッサ(MUX)405によって構成されている。
【0091】
位相変換回路401及び402は、バッファ/制御回路403からの制御信号Sp1,Sp2に応じて、入力されたI信号とQ信号それぞれに対して、位相回転をさせる。この処理は、位相変換回路401及び402は、差動位相変調を行う場合に用いられる。差動位相変調のとき隣接するシンボルの位相値に応じて信号の位相を変化させることによりQPSK信号の差動位相変調が行われる。位相変換回路401及び402によって差動位相変調されたI信号とQ信号はそれぞれバッファ/制御回路403及びマルチプロセッサ405に入力される。I信号及びQ信号は、バッファ/制御回路403のバッファに格納され、次の差動位相変換を行う場合、隣接するシンボルとして用いられる。
【0092】
なお、周波数軸方向の差動位相変調を行う場合、一つ前に入力されたシンボルが隣接するシンボルとなり、時間軸方向の差動位相変調を行う場合、1変調時間前に送信した同位置のシンボルが隣接するシンボルとなる。バッファ/制御回路403における制御回路は、入力されてきたシンボルに周波数方向の差動位相変調を施すか、時間方向の差動位相変調を施すかを、外部からの制御信号SC2に応じて判断し、その結果に応じて位相変換回路401及び402にどうのように位相の回転を行うかを制御する。
位相変換回路401及び402における位相の回転は、8点への信号点マッパーによって行われる。即ち、通常の差動QPSK(DQPSK)変調器と同じ動作を行う。差動位相変調を行う場合、マルチプロセッサ405に入力されるI信号及びQ信号は、そのままの伝送シンボル列として外部に出力される。
【0093】
パイロット記憶回路404は、伝送路推定用のシンボルを挿入する場合に用いられる。この場合、位相変換回路401及び402に入力されるI,Q信号が位相変調されず、そのままこれらの位相変調回路を通過して、マルチプロセッサ405に入力され、マルチプロセッサ405の内部に設けられているバッファに格納される。
【0094】
パイロット記憶回路404は、外部からの制御信号SC2により伝送路推定用のシンボルの挿入位置が指示されるので、当該制御信号SC2に従ってマルチプロセッサ405に記憶されているパイロットシンボルを出力する。
【0095】
マルチプロセッサ405は、外部からの制御信号SC2により伝送路推定用のシンボルの挿入位置が指示されたとき、それに従って挿入位置にパイロットシンボルを挿入する。それ以外の位置には、入力されたシンボルを出力する。
【0096】
上述したように構成されている差動変調/パイロット付加回路204によって、外部からの制御信号SC2に応じて、差動位相変調またはパイロットシンボル挿入の何れかの動作が実施される。差動位相変調を行う場合、バッファ/制御回路403からの制御信号Sp1,Sp2に応じて位相変換回路401及び402によって入力されるI,Q信号に対してそれぞれ位相回転が行われる。さらに、位相変調されたI,Q信号がバッファに格納され、次回の差動位相変調時の隣接するシンボルとして用いられる。伝送路推定用パイロットシンボルを付加する場合、入力されるI,Q信号がそれぞれ位相変換回路401,402を通してマルチプロセッサ405に入力される。マルチプロセッサ405によって、パイロット記憶回路404に記憶されているパイロットシンボルが制御信号SC2によって指示された位置に挿入され、外部に出力される。それ以外の位置に入力されるシンボルが出力される。
【0097】
送信装置において、上述したマッピング回路203及び差動変調/パイロット付加回路204によって、入力されたビットストリームDBSが所望の変調方式、例えば、QPSKまたは16QAMの何れかに従って変調され、さらに、差動位相変調を行う場合、隣接するシンボルをリファレンスとして、伝送シンボルのIとQ信号に対して位相回転が行われ、差動位相変調が実施される。一方、伝送路推定用パイロットシンボルを付加する場合、入力される伝送シンボルの所定の位置にパイロットシンボルが挿入される。これらの部分回路を含む送信装置によって、入力されるビットストリームDBSが所定の変調方式に従ってマッピングされ、直交するI信号とQ信号が生成される。さらに、これらの直交信号に対して、差動位相変調が行われ、または伝送路推定用パイロットシンボルが挿入され、得られたI信号とQ信号からなるシンボルストリームが出力される。こうして得られたシンボルストリームが必要に応じて、直交変換によってランダム化したあと、他のチャネルのシンボルストリームと多重化され、逆フーリエ変換によって送信波形が求められ、送信回路によって高周波の送信周波数に変調され、送信される。
【0098】
伝送路推定回路及びビット抽出回路
次に、図2に示す受信装置を構成する主要部である伝送路推定回路214及びビット抽出回路213の構成及び動作を説明する。
図12は、伝送路推定回路214及びビット抽出回路213の一構成例を示す回路図である。図示のように、伝送路推定回路214は、バッファ501、バッファ/制御回路502、パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503、乗算回路504及び選択回路505によって構成されている。
【0099】
図12に示す伝送路推定回路214及びビット抽出回路213は、伝送路推定方法として、周波数方向の差動位相変調、時間方向の差動位相変調及び伝送路推定用のパイロットシンボルを用いた場合の3種類に適応でき、かつ変調方式としてQPSK及び16QAMの何れかに対応できる。
【0100】
まず、伝送路推定回路214について説明する。伝送路推定回路214において、どうのような伝送路推定方法を用いて伝送路推定を行うかが、外部から入力される制御信号SC3によって指示される。制御信号SC3は、バッファ501、バッファ/制御回路502、パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503及び選択回路505にそれぞれ入力される。
【0101】
バッファ501は、受信シンボルが差動位相変調の場合、入力されるI信号とQ信号からなる受信シンボルをそのまま通過させる。一方、受信シンボルにパイロットシンボルが挿入された場合(以下、これをコヒーレント検波という)、伝送路推定が終了するまで入力シンボルを格納する。
【0102】
バッファ/制御回路502は、入力シンボルが差動位相変調の場合、当該入力シンボルを格納し、さらに内部に格納されているシンボルを出力する。時間軸上で隣接するシンボルをリファレンスにするか、周波数軸上で隣接するシンボルをリファレンスにするかによって、出力シンボルを決定する。なお、コヒーレント検波の場合、当該バッファ/制御回路502は動作しない。
【0103】
パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503は、差動位相変調の場合には動作しない。コヒーレント検波の場合には、入力されてくるシンボルストリームのうち、伝送路推定用のパイロットシンボルのみを抽出し、それに応じて伝送路推定を行い、推定された伝送路の伝達特性に対応したI−Q平面上のベクトルを示すI信号及びQ信号をそれぞれ信号線516と517出力する。
【0104】
選択回路505は、差動位相変調の場合はバッファ/制御回路502からの出力シンボルを出力し、コヒーレント検波の場合にはパイロット抽出回路/チャネルイコライザ503から出力されたベクトルを構成するI信号とQ信号を出力する。なお、両方の場合において、入力されるI信号とQ信号のうち、Q信号の正負を反転させたもの(共役)を出力する。
【0105】
以下、伝送路推定回路214の動作を説明する。伝送路推定回路214に入力されるI信号とQ信号は、バッファ501に入力されるとともに、バッファ/制御回路502及びパイロット抽出回路/チャネルイコライザ503にもそれぞれ入力される。コヒーレント検波を行う場合、パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503から伝送路の推定結果であるベクトルが出力されるまで入力されるI信号とQ信号はバッファ501によって保持される。
【0106】
伝送路推定方法として、周波数方法方向の差動位相変調が行われた場合、バッファ/制御回路502に入力されたI信号とQ信号は、1シンボル分の遅延時間を経過したあと、選択回路505を介して乗算回路504に入力される。乗算回路504においては、選択回路505から入力されるシンボルと、バッファ501から入力されるシンボルとの複素数乗算が行われ、乗算結果として、Q信号512及びI信号512が出力される。
【0107】
次に、伝送路推定方法として時間方向の差動位相変調が行われた場合、入力されたシンボルのI信号とQ信号は、バッファ501を通過して乗算回路504に入力される。さらに、バッファ/制御回路502から出力された1変調時間前に受信した同位置のシンボルが選択回路505を介して乗算回路504に入力される。乗算回路504は、入力されたシンボルの複素数乗算が行われ、乗算結果であるI信号とQ信号をそれぞれ信号線511と512に出力される。また、バッファ/制御回路502によって、入力されるシンボル記憶され、次の変調時間で受信したシンボルに対してリファレンスシンボルとして次の変調時間まで保持される。
【0108】
周波数方向/時間方向の差動位相変調が混在する差動位相変調が行われた場合、バッファ/制御回路502は、入力された制御信号SC3から得た情報より、現在バッファ501に入力されたシンボルを周波数方向または時間方向において差動位相復調するのかを判断し、バッファ/制御回路502の内部に格納しているシンボルのうち、該当するシンボルをリファレンスシンボルとして出力する。出力されるシンボルが選択回路505を通して乗算回路504に入力され、入力されるシンボルとの間で乗算処理が行われ、乗算結果として、Q信号512及びI信号512が出力される。
【0109】
コヒーレント検波を行う場合に、入力されるシンボルはバッファ501によって格納される。これと同時に、パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503に入力されるシンボルストリームのうち、伝送路推定用のパイロットシンボルのみが抽出され、格納される。その後、パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503によって、パイロットシンボルに応じて伝送路の推定が行われ、推定された伝送路に対応した1シンボルあたりの平均受信電力を有する振幅(ES 1/2 のI−Q平面上のベクトルを構成するI信号とQ信号が出力される。出力されたベクトルが選択回路505に入力されると同時にビット抽出回路213に供給される。
【0110】
パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503によって伝送路の伝達特性に対応するI−Q平面上のベクトルが出力されると同時に、バッファ501に格納されている受信シンボルが乗算回路504に出力される。乗算回路504によって、バッファ501から入力された受信シンボルと伝送路推定によって得られたベクトルとの乗算が行われ、乗算の結果、Q信号512及びI信号512が出力される。
【0111】
上述した構成を有する伝送路推定回路214によって、入力された受信シンボルに対して、伝送路推定が行われ、伝送路で生じた誤差が補正されたシンボルが出力される。さらに本例の伝送路推定回路214は、周波数方向の差動位相変調、時間方向の差動位相変調、周波数方向と時間方向の差動位相変調が混在した場合、並びにコヒーレント検波の場合の何れにも対応することができる。伝送路にて生じた誤差が補正されたシンボルは、一対の直交信号であるI信号とQ信号が得られ、それぞれ信号線511と512に出力される。
【0112】
次に、ビット抽出回路213の構成及び動作について説明する。図12に示すように、ビット抽出回路213は、振幅演算回路506、絶対値演算回路507,508、減算回路509,510及びパラレル/シリアル変換回路( P/S変換回路)515によって構成されている。なお、当該ビット抽出回路213は、QPSK及び16QAM変調方式に対応している。
【0113】
伝送路推定回路214によって出力されるI信号とQ信号がそれぞれ信号線511と512を通して、パラレル/シリアル変換回路515に入力されるとともに絶対値演算回路507,508にそれぞれ入力される。さらに、パイロット抽出回路/チャネルイコライザ503によって得られた伝送路の伝達特性に対応するI−Q平面上のベクトルが信号線516,517を介してそれぞれ振幅演算回路506に入力される。
【0114】
振幅演算回路506は、入力されたベクトルに応じた振幅を求める。具体的に、受信シンボルが16QAM変調された場合、振幅演算回路506が入力されたベクトルを示すI信号とQ信号の値により、当該ベクトルの振幅の絶対値を算出し、さらに算出した振幅の絶対値を(2/5)1/2 倍した値を出力する。
【0115】
絶対値演算回路507と508は、それぞれ信号線511と512を介して入力されたI信号及びQ信号の絶対値を求める。
【0116】
減算回路509は、絶対値演算回路507の出力と振幅演算回路506の出力との引き算を行い、引き算の結果を信号線513を介してパラレル/シリアル変換回路515に供給する。
減算回路510は、絶対値演算回路508の出力と振幅演算回路506の出力との引き算を行い、引き算の結果を信号線514を介してパラレル/シリアル変換回路515に供給する。
【0117】
以下、受信シンボルが各々QPSK変調または16QAM変調されば場合について、上述した構成を持つビット抽出回路213の動作について説明する。
受信シンボルがQPSK変調された場合には、振幅演算回路506、絶対値演算回路507,508及び減算回路509,510が動作せず、この場合、パラレル/シリアル変換回路515のみが動作する。パラレル/シリアル変換回路515は、信号線511と512を介して入力されたI信号及びQ信号をそれぞれ1ビット目並びに2ビット目の軟判定値として、一つの入力シンボルに対して2ビットのデータを順次出力する。
【0118】
一方、受信シンボルが16QAM変調された場合には、まず、振幅演算回路506によって、信号線516と517から入力されたI,Q信号に基づき、ベクトルの振幅の2乗値が算出され、さらに、算出された振幅の絶対値を(2/5)1/2 倍した値が算出され、減算回路509及び510にそれぞれ出力される。
【0119】
信号線511から入力された受信シンボルのI成分が絶対値演算回路507に入力され、さらに信号線512から入力される受信シンボルのQ成分が絶対値演算回路508に入力される。絶対値演算回路507,508によってそれぞれ入力されたI成分とQ成分の絶対値が算出されたあと、減算回路509及び510によって、振幅演算回路506によって算出された振幅値との減算処理が行われる。減算の結果、それぞれ信号線513及び514を通してパラレル/シリアル変換回路515に供給される。
【0120】
パラレル/シリアル変換回路515によって、信号線511及び512から入力された受信シンボルのI成分及びQ成分をそれぞれ1ビット目及び2ビット目の軟判定値として出力され、さらに、信号線513及び514から入力される減算結果を3ビット目と4ビット目の軟判定値として出力される。
【0121】
上述したように、本例のビット抽出回路213によって、入力された受信シンボルのI成分、Q成分及び伝送路推定によって求められたベクトルのI成分及びQ成分に応じて、受信シンボルに応じた受信データが出力される。さらに、当該ビット抽出回路213によって、受信シンボルがQPSK変調または16QAM変調の何れの方式によって変調された場合に対応でき、それぞれの変調方式で変調された受信シンボルに対応して、2ビットまたは4ビットの受信データがそれぞれ抽出される。
【0122】
パイロットシンボルによる伝送路推定の方法
以下、図1に示すパイロット抽出回路/チャネルイコライザ503における伝送路の伝達特性の推定について説明する。
伝送路の伝達特性の推定は、受信シンボルから抽出された複数のパイロットシンボルを統計的に処理することによって行われる。図13は、チャネルイコライザの等価回路の一例を示している。
【0123】
図13に示すように、チャネルイコライザは、Bxx算出部、Ax 算出部及び振幅調整部によって構成され、抽出したパイロットシンボルPSBを周波数方向及び時間方向それぞれにおいて累積することによって伝送路の伝達特性を推定し、その伝達特性に対応するベクトルI/Qを出力する。
【0124】
図14は、伝送路推定の具体的な処理例を示している。図示のように、ここで、周波数帯域が複数の周波数ブロックFB0,FB1,FB2,FB3に分割されている。各ブロックには、例えば、それぞれOFDMのサブキャリアを所定の数が含まれている。例えば、図7に示す送信シンボルの分布図において、六つのサブキャリア毎に一つのブロックとして分割される。
【0125】
こうして分割された各ブロックFB0〜FB3において、それぞれ複数のパイロットシンボルが含まれている。例えば、変調時間t0において、ブロックFB0には、パイロットシンボルP000 ,P001 ,P002 が含まれ、ブロックFB1には、パイロットシンボルP003 ,P004 ,P005 が含まれ、ブロックFB2には、パイロットシンボルP006 ,P007 ,P008 が含まれ、さらにブロックFB3には、パイロットシンボルP009 ,P010 ,P011 が含まれている。
【0126】
ここで、各ブロック内の各々のサブキャリアにおいて伝送路の伝送特性がほぼ一致すると仮定して、伝送路推定を行う。
まず、変調時間t0において、各々のブロックにおける伝達関数B01,B02,B03及びB04が算出される。変調時間t0において、ブロックFB0において、次のように伝達関数B00を求める。
【0127】
【数1】
Figure 0004284773
【0128】
ここで、ΣP00i はそれぞれのパイロットシンボルのベクトルの足し算を意味する。即ち、各パイロットシンボルのI成分及びQ成分がれぞれ加算され、伝達関数が算出される。
次に、ブロックFB1において、次のように伝達関数B01を求める。
【0129】
【数2】
Figure 0004284773
【0130】
同様に、ブロックFB2,FB3において、それぞれの伝達関数B02,B03が次のように求められる。
【0131】
【数3】
Figure 0004284773
【0132】
【数4】
Figure 0004284773
【0133】
上述したように、それぞれのブロックの伝達関数B00〜B03は、各ブロック内のパイロットシンボルの他に、隣接する次のブロック内にある一つのパイロットシンボルが加算されて算出される。
【0134】
次に、変調時間t1において、図14に示すように、ブロックFB0において、パイロットシンボルP100 ,P101 が含まれ、ブロックFB1において、パイロットシンボルP102 ,P103 が含まれ、ブロックFB2において、パイロットシンボルP104 ,P105 が含まれ、ブロックFB3において、パイロットシンボルP106 ,P107 が含まれている。
【0135】
ここで、変調時間t1において、各々のブロックにおける伝達関数B10,B11,B12及びB13が算出される。変調時間t1において、ブロックFB0において、次のように伝達関数B10を求める。
【0136】
【数5】
Figure 0004284773
【0137】
同様に、ブロックFB1〜FB3において、それぞれの伝達関数B11〜B13が次のように求められる。
【0138】
【数6】
Figure 0004284773
【0139】
【数7】
Figure 0004284773
【0140】
【数8】
Figure 0004284773
【0141】
上述したように、変調時間t0、t1それぞれにおいて、伝達関数B00〜B03及びB10〜B13がそれぞれ算出される。時間t0の場合(送信を開始して1シンボル目)には、BOX(x=0,1,2,3)がαにより振幅調整された後そのままAxとなる。
そして、時間t1において、それぞれのブロックにおける伝送路ベクトルA0,A1,A2,A3が時間t0及びt1において算出された伝達関数に基づいて算出される。
【0142】
時刻t1におけるブロックFB0における伝送路ベクトルA0は次式によって算出される。
【0143】
【数9】
Figure 0004284773
【0144】
同様に、ブロックFB1〜FB3それぞれにおける伝送路ベクトルA1〜A3は、それぞれ次のように算出される。
【0145】
【数10】
Figure 0004284773
【0146】
【数11】
Figure 0004284773
【0147】
【数12】
Figure 0004284773
【0148】
上述したように算出される各々のブロックにおける伝送路ベクトルA0〜A3は、それぞれI−Q平面上のベクトルとして表される。これらの伝送路ベクトルA0〜A3は、伝送路においてそれぞれのブロックの周波数帯域において、伝送信号に与える位相及び振幅の偏移量を示している。
【0149】
図15は、その一例として、例えば、I−Q平面においてブロックFB0における伝送路ベクトルA0を示している。図示のように、ブロックFB0の周波数帯域において、伝送路を介して伝送された伝送信号に対して、θ0 の位相偏移が与えられるほか、振幅も|A0|倍となる。
【0150】
図12に示す受信装置の伝送路推定回路214において、チャネルイコライザによって上述した演算処理が行われる。その結果、伝送路においてそれぞれ周波数帯域の伝送信号に与える影響を推定できるので、ビット抽出回路213において、算出された伝送路ベクトルを用いて、受信シンボルのI成分とQ成分をそれぞれ補正することによって、伝送路において生じた位相及び振幅の誤差が補正され、伝送路の影響を除去できる。
【0151】
次に、本発明の受信装置におけるビット抽出回路の他の回路例について説明する。上述したビット抽出回路213(図12)は、QPSK及び16QAM方式によって変調された受信シンボルに適用できる。以下、QPSK及び8PSKに適用できるビット抽出回路213a、並びにQPSK、16QAMさらに64QAM変調方式に適用できるビット抽出回路の回路例を、図16及び図17を参照しつつそれぞれ説明する。
【0152】
ビット抽出回路の変形例
図16は、QPSK及び8PSK変調方式に適用可能なビット抽出回路213aの一構成例を示す回路図である。
図示のように、このビット抽出回路213aは、絶対値演算回路607,608、減算回路610、振幅調整回路613及びパラレル/シリアル変換回路( P/S変換回路)615によって構成されている。
【0153】
絶対値演算回路607は、信号線511を介して入力されたI信号の絶対値を算出し、絶対値演算回路608は、信号線512を介して入力されたQ信号の絶対値を算出する。
減算回路610は、絶対値演算回路608と607の出力信号を減算し、減算の結果を振幅調整回路613に供給する。
振幅調整回路613は、減算回路610の出力信号を(1/2)1/2 倍にして出力する。
【0154】
パラレル/シリアル変換回路615は、外部から入力される制御信号SC3に応じて、信号線511,512から入力されたI信号、Q信号及び振幅調整回路613の出力信号に応じて、2ビットあるいは3ビットの受信データを出力する。
【0155】
以下、本例のビット抽出回路213aの動作について説明する。
伝送路推定回路によって伝送路誤差が補正されたI信号及びQ信号がそれぞれ信号線511及び512を介してビット抽出回路213aに入力される。絶対値演算回路607及び608によって、I信号及びQ信号各々の絶対値が算出され、減算回路610に入力される。減算回路610によって、Q信号の絶対値からI信号の絶対値を減算した結果が算出され、振幅調整回路613に出力される。振幅調整回路613によって、減算回路613の減算結果が(1/2)1/2 倍に調整される。
【0156】
パラレル/シリアル変換回路615は、外部から入力される制御信号SC3に応じて動作する。なお、制御信号SC3は、受信したシンボルがQPSK変調方式または8PSK変調方式の何れかによって変調されているかを示す。
受信シンボルがQPSK変調されている場合に、絶対値演算回路607,608、減算回路610及び振幅調整回路613がすべて非動作状態に設定され、パラレル/シリアル変換回路615は、信号線511及び512を介して入力されたI信号及びQ信号を選択して、それぞれ1ビット目及び2ビット目の軟判定値として出力する。
一方、受信シンボルが8PSK変調されている場合には、絶対演算回路607,608、減算回路610及び振幅調整回路613が動作する。パラレル/シリアル変換回路615は、信号線511及び512から入力されたI信号及びQ信号をそれぞれ1ビット目及び2ビット目の軟判定値として出力し、さらに、振幅調整回路613の出力信号を3ビット目の軟判定値として出力する。
【0157】
上述したように、本例のビット抽出回路213aによれば、QPSK変調された受信シンボルに応じて、2ビットの受信データを抽出し、8PSK変調された受信シンボルに応じて、3ビットの受信データを抽出する。なお、QPSK変調及び8PSK変調方式は、何れも位相変調信号であり、受信信号の位相のみが伝送データに応じて変調され、振幅には伝送データの情報が含まれていないので、図12に示すビット抽出回路に必要な振幅演算回路が不要となる。このため、図16に示すようにビット抽出回路213aの回路構成が簡単である。
【0158】
ビット抽出回路の他の変形例
図17は、QPSK、16QAM及び64QAM変調方式に適用可能なビット抽出回路213bの一構成例を示す回路図である。
図示のように、このビット抽出回路213bは、振幅演算回路706、絶対値演算回路707,708,727,728、減算回路709,710,729,730、振幅調整回路731及びパラレル/シリアル変換回路( P/S変換回路)715によって構成されている。
なお、16QAM及び64QAM変調は、伝送データに応じてキャリア信号の位相と振幅両方を変調する多値変調方式なので、本例のビット抽出回路213bは、受信シンボルの振幅を算出する振幅演算回路706が設けられている。
【0159】
振幅演算回路706は、信号線516及び517を介して伝送路推定回路から入力された伝送路ベクトルを示すI信号及びQ信号に応じた、伝送路ベクトルの振幅の絶対値を算出し、さらに算出された振幅の絶対値を(2/5)1/2 倍、または(8/21)1/2 倍した値を出力する。例えば、受信シンボルが16QAM変調されている場合、振幅演算回路706は、算出されたベクトルの振幅の絶対値を(2/5)1/2 倍した値を出力し、受信シンボルが64QAM変調されている場合、振幅演算回路706は、算出されたベクトルの振幅の絶対値を(8/21)1/2 倍した値を出力する。
【0160】
絶対値演算回路707と708は、それぞれ信号線511と512を介して入力されたI信号とQ信号の絶対値を算出し、減算回路709及び710に出力する。
減算回路709と710は、絶対値演算回路707と708の出力信号をそれぞれ振幅演算回路706の出力信号との減算を行い、減算の結果を信号線713と714にそれぞれ出力する。
【0161】
絶対値演算回路727と728は、それぞれ信号線513と514の信号、即ち、減算回路709,710の出力信号の絶対値を算出し、減算回路729及び730に出力する。
振幅調整回路731は、振幅演算回路706の出力信号の振幅を半分にした信号を求めて、減算回路729,730に供給する。
減算回路729と730は、絶対値演算回路727と728の出力信号をそれぞれ振幅調整回路731の出力信号との減算を行い、減算の結果を信号線733と734にそれぞれ出力する。
【0162】
パラレル/シリアル変換回路715は、外部から入力される制御信号SC3に応じて、信号線711,712から入力されたI信号、Q信号、信号線713,714から入力された減算回路709,710の出力信号及び信号線733,734から入力された減算回路729,730の出力信号に応じて、2ビット、4ビットあるいは6ビットの受信データを出力する。
【0163】
以下、本例のビット抽出回路213bの動作について説明する。
伝送路推定回路によって伝送路誤差が補正された受信シンボルを示すI信号及びQ信号がそれぞれ信号線511及び512を介してビット抽出回路213bに入力される。絶対値演算回路707及び708によって、I信号及びQ信号各々の絶対値が算出され、減算回路709,710に入力される。
一方、伝送路推定回路から伝送路ベクトルのI成分及びQ成分がそれぞれ信号線516,517を介して振幅演算回路706に入力される。振幅演算回路706によって、伝送路ベクトル706の振幅の絶対値が算出され、さらに算出された振幅の絶対値を(2/5)1/2 倍した値が出力される。
【0164】
減算回路709,710によって、絶対値演算回路707,708の出力信号と振幅演算回路706の出力信号との減算結果がそれぞれ算出され、信号線713,714を介してパラレル/シリアル変換回路715に供給される。さらに、絶対値演算回路727,728によって、減算回路709,710の出力信号の絶対値がそれぞれ算出される。減算回路729,730によって、絶対値演算回路727,728の出力信号と振幅調整回路731の出力信号との減算の結果がそれぞれ算出され、信号線733,734を介してパラレル/シリアル変換回路715に供給される。
【0165】
パラレル/シリアル変換回路715は、外部から入力される制御信号SC3に応じて動作する。なお、制御信号SC3は、受信したシンボルがQPSK、16QAMまたは64QAM変調方式の何れかによって変調されているかを示す。
受信シンボルがQPSK変調されている場合に、パラレル/シリアル変換回路615は、信号線511及び512を介して入力されたI信号及びQ信号を選択して、それぞれ1ビット目及び2ビット目の軟判定値として出力する。この場合、ビット抽出回路213bにおいて、パラレル/シリアル変換回路715以外の他の部分回路がすべて非動作状態に設定される。
【0166】
受信シンボルが16QAM変調されている場合には、絶対演算回路727,728、減算回路729,730及び振幅調整回路731が非動作状態に設定され、他の部分回路が動作状態にある。パラレル/シリアル変換回路715は、信号線511及び512から入力されたI信号及びQ信号をそれぞれ1ビット目及び2ビット目の軟判定値として出力し、さらに、信号線713及び714から入力された減算回路709,710の出力信号をそれぞれ3ビット目及び4ビット目の軟判定値として出力する。
【0167】
受信シンボルが64QAM変調されている場合には、ビット抽出回路213bを構成するすべての部分回路が動作する。パラレル/シリアル変換回路715は、信号線511及び512から入力されたI信号及びQ信号をそれぞれ1ビット目及び2ビット目の軟判定値として出力し、また、信号線713及び714から入力された減算回路709,710の出力信号をそれぞれ3ビット目及び4ビット目の軟判定値として出力し、さらに、信号線733及び734から入力された減算回路729,730の出力信号をそれぞれ5ビット目及び6ビット目の軟判定値として出力する。
【0168】
上述したように、本例のビット抽出回路213bによって、受信シンボルがQPSK、16QAMまたは64QAMの何れかに対応することができる。受信シンボルがQPSK変調されている場合、ビット抽出回路213bによって、受信シンボルに応じて2ビットの受信データが抽出され、受信信号が16QAM変調されている場合、ビット抽出回路213bによって、受信シンボルに応じて4ビットの受信データが抽出される。さらに、受信信号が64QAM変調されている場合、ビット抽出回路213bによって、受信シンボルに応じて6ビットの受信データが抽出される。
【0169】
第2の実施形態
図18は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、本発明の通信システムにおけるデータの送受信の動作を示す図である。
なお、本発明の通信システムは、例えば、図1に示す送信装置及び図2に示す受信装置によって構成されている。当該通信システムによって、送信装置から受信装置にデータの伝送が行われる。以下、図18を参照しつつ、本実施形態の通信システムの動作について説明する。
【0170】
本実施形態の通信システムは、例えば、移動体通信システムであり、送信装置は、呼び出し情報を送信して通信相手となる受信装置を呼び出し、受信装置からの応答を受け取って受信装置を確認したとき、データ通信が開始する。以下、図18を参照しつつ、その動作について詳細に説明する。
なお、図18において、TXは送信装置または移動体通信システムにおける親局を示し、RXは受信装置または移動体通信におけるユーザを示している。
【0171】
通信開始時に、まず、送信装置(親局)TXによって呼び出しメッセージ(Paging MSG)が送信される。この呼び出しメッセージの送信がページングチャネル(Paging Channel)と呼ばれる呼び出し専用のチャネルによって行われる。なお、ページングチャネルが受信装置がスリープモードである場合でも確実に呼び出しが可能な構成となっている。このページングチャネルにおいて、予め定められている伝送路推定方法が用いられる。ここで、呼び出しメッセージが小容量である場合を想定し、伝送路推定方法が周波数方向の差動位相変調が採用される。なお、呼び出しメッセージにおける伝送路推定方法はこれに限定されるものではなく、予め送受信側で定められている他の方法も適用できる。
なお、呼び出しメッセージには、それぞれの受信装置がどのチャネルで応答信号を送信すべきかの指令が含まれているので、受信装置(ユーザ)RXにおいて、呼び出しメッセージを受信したとき、指定されたチャネルに親局に応答信号ACKを送信する。
【0172】
ユーザRXでは、消費電力削減のため、通信中以外のとき基本的にスリープモードにあり、間欠的にページングチャネルで受信し、自分宛てに呼び出しメッセージが送信されているかをチェックする。自分宛てに呼び出しメッセージが送信されるとき、自分が受信可能である情報が含まれる応答信号ACKをページングメッセージによって指定されたチャネルを用いて親局に送信する。なお、この応答メッセージには、ユーザRXが処理可能な伝送路推定方法の種類を示す情報が含まれている。
【0173】
以上では、親局TXから通信開始の要求が生じた場合を示したが、ユーザRXから通信を要求する場合、例えば、ユーザRXからある情報を受信したいという要望がある場合、ユーザRXからランダムアクセスチャネル(Random Access Channel )と呼ばれるチャネルを利用して、上記応答信号ACKとほぼ同様な情報に、何の情報がほしいのかを添えた要求信号REQが親局に向けて送信される。
【0174】
親局TXは、ユーザからの応答信号ACKまたは要求信号REQを受信した場合、ユーザを識別した上でユーザの動作状態を判断する。例えば、ユーザの受信装置によって処理可能な変調信号方式、及び伝送路推定方式などを判断し、通信に用いる変調方式及び伝送路推定方法を決定する。親局TXは、送信開始時刻、送信に用いてチャネル番号、受信に用いる伝送路推定方法を指定した予約メッセージ(Reservation MSG )をユーザRXに送信する。指定した時刻になると、親局TXは、送信情報に基づき、指定したチャネルにおいて、指定した伝送路推定方法に対応する変調信号をユーザRXに送信する。
【0175】
一方、ユーザRXでは、親局TXから予約メッセージを受信すると、指定された時刻に指定されたチャネルにおいて、指定された伝送路推定方法で信号の受信を行う。そして、受信信号から必要な情報を抽出し、その情報に誤りがないと判断した場合、正しく情報が受信できた旨を親局TXに通知し、通信が終了する。
【0176】
以下、ユーザRXにより送信された応答信号ACKあるいは要求信号REQ、及び親局TXにより送信された予約メッセージそれぞれのフォーマットについて説明する。
【0177】
図19は、ユーザRXから親局に送信される応答信号ACK及び要求信号REQのフォーマットを示す図である。なお、図19に示すように、以下、これらの信号をMSG−1と称する。
図19に示すように、MSG−1は、AUTH,SEQ,DEST,MSID,A−MODE及びetcの少なくとも6つのフィールドによって構成されている。以下、それぞれのフィールドの内容について説明する。
【0178】
AUTHは、ユーザの認証フィールドである。親局TXは、当該認証フィールドの情報に基づき、MSG−1を送信したユーザを識別する。
SEQは、シーケンス番号フィールドであり、当該フィールドにユーザのシーケンス番号が含まれている。
MSIDは、受信器のID番号を示すフィールドである。
DESTは、宛て先フィールドである。当該フィールドに送信データの宛て先を示すデータが含まれている。
A−MODEは、自局対応可能なモードを示すパラメータからなるフィールドである。図示のように、A−MODEフィールドがさらに、三つのサブフィールドAA,BB,CCに分割されている。サブフィールドAAには、例えば、伝送路推定方法を示すデータが含まれ、サブフィールドBBには、変調方式を示すデータが含まれ、さらに、サブフィールドCCには、受信状況を示すデータが含まれている。
etcは、その他の付属情報からなるフィールドである。例えば、受信装置の属性、要求信号REQの内容を示すデータなどが含まれている。
【0179】
次に、親局TXから送信される予約メッセージMSG−2のフォーマットについて説明する。図20は、MSG−2のフォーマットを示す図である。図示のように、MSG−2は、少なくともDEST,SEQ,SOURCE,RTIME,TX−MODE及びectの6つのフィールドによって構成されている。以下、それぞれのフィールドの内容について説明する。
【0180】
DESTは、宛て先フィールドである。当該フィールドに、例えば、通信の宛て先、即ち、受信すべきユーザの識別番号などを示すデータが含まれている。
SEQは、シーケンス番号フィールドであり、当該フィールドにユーザのシーケンス番号が含まれている。
SOURCEは、送信元の識別フィールドである。当該フィールドに、送信元、即ち、送信する親局の識別番号(ID番号)を示すデータが含まれている。
【0181】
RTIMEは、予約時刻フィールドである。図示のように、当該フィールドは、三つのサブフィールドにより構成されている。サブフィールドSTARTに、予約の開始時間を示すデータが含まれ、サブフィールドAMOUNTに、データ伝送容量を示すデータが含まれ、サブフィールドRATEには、データ伝送速度を示すデータが含まれている。
TX−MODEは、送信信号のパラメータを示すフィールドである。図示のように、このフィールドは、二つのサブフィールドによって構成されている。サブフィールドAAに、例えば、伝送路推定の方法を示すデータが含まれ、サブフィールドBBには、例えば、送信信号の変調方式を示すデータが含まれている。
etcは、その他の付属情報を示すフィールドである。
【0182】
次に、親局TXからの送信データを受信しおわったとき、ユーザRXから送信される応答信号MSG−3のフォーマットについて説明する。
図示のように、MSG−3は少なくともSEQ,MSID,DEST及びetcの4つのフィールドを有する。以下、それぞれについて説明する。
【0183】
SEQは、シーケンス番号フィールドであり、当該フィールドにユーザのシーケンス番号が含まれている。
MSIDは、受信器のID番号を示すフィールドである。
DESTは、宛て先フィールドである。当該フィールドに送信データの宛て先を示すデータが含まれている。
etcは、その他の付属情報からなるフィールドである。例えば、受信装置の属性、要求信号REQの内容を示すデータなどが含まれている。
【0184】
以上説明したように、本実施形態によれば、送信装置及び受信装置によって構成された通信システム、例えば、移動体通信システムにおいて、送信装置(親局)TXからの送信した呼び出しメッセージまたは受信装置(ユーザ)RXから送信した要求信号によって通信が開始し、呼び出しメッセージに対するユーザの応答またはユーザからの要求信号によって、ユーザRXが対応可能な受信モード、例えば、伝送路推定の方法、信号変調方式などが親局TXに知らされ、親局TXはそれに応じて伝送路推定方法及び信号変調方式の選定し、通信チャネルを予約し、ユーザRXに情報の送信を行う。送信終了後、ユーザRXからの応答信号に応じて、情報の伝送が正常に終了したかを確認した上、通信を終了させる。
【0185】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の送信装置、受信装置及び送受信装置からなる通信システムによれば、パケット伝送トラヒックなどのようにバースト的にかつ伝送するデータの容量が大きなダイナミックレンジを有する情報を取り扱う場合、例えば、パケットあたりの情報量、データの重要度などの送信データの属性に応じて、それに適した変調方式及び伝送路推定方法を適用することが可能である。例えば、情報シンボルにパイロットシンボルを付加して、受信装置においてコヒーレント検波によって伝送路推定を行う場合、パイロットシンボルの比率を伝送データの特性及び伝送路の状況などに応じて適宜に制御することにより、伝送路の特性を正確に推定でき、受信信号に応じて送信データを正しく再生できるほか、通信システム全体として効率のよい情報の送受信が可能である。
また、本発明によれば、変調方式及び伝送路推定方法を可変としたシステムにおいて、最小限の回路規模で送信及び受信装置を構成することが可能である。
さらに、本発明によれば、異なる変調方式及び伝送路推定方法を適用した通信システムにおいて、データの送受信に先立って送信側によって伝送路推定方法及び変調方式を指定することによって、受信側が指定された変調方式及び伝送路推定方法に従って情報を受信でき、情報の送受信が円滑に行うことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る送信装置の一構成例を示す回路図である。
【図2】本発明に係る受信装置の一構成例を示す回路図である。
【図3】周波数方向における差動位相変調を示す図である。
【図4】時間方向における差動位相変調を示す図である。
【図5】周波数及び時間方向の両方における差動位相変調を示す図である。
【図6】パイロットシンボルの挿入による伝送路推定方法を示す図である。
【図7】変調時間毎にパイロットシンボルの挿入を可変にする伝送路推定方法を示す図である。
【図8】QPSK変調信号の信号分布を示す図である。
【図9】16QAM変調信号の信号分布を示す図である。
【図10】マッピング回路の一構成例を示すブロック図である。
【図11】差動位相変調/パイロット付加回路の一例を示すブロック図である。
【図12】伝送路推定回路及びビット抽出回路の一例を示すブロック図である。
【図13】チャネルイコライザの一構成例を示すブロック図である。
【図14】チャネルイコライザにおける伝送路推定方法を示す図である。
【図15】伝送路の伝達特性を示すベクトルの一例を示す図である。
【図16】8PSK変調方式に適用できるビット抽出回路の一例を示すブロック図である。
【図17】QPSK,16QAM及び64QAM変調方式に適用できるビット抽出回路の一例を示すブロック図である。
【図18】本発明の通信システムにおける通信動作を示す図である。
【図19】受信装置により送信される応答信号のフォーマットを示す図である。
【図20】送信装置により送信される予約メッセージのフォーマットを示す図である。
【図21】受信装置により送信される受信結果を通知する信号のフォーマットを示す図である。
【図22】従来の送信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図23】従来の受信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図24】従来の送受信装置における差動位相変調を示す図である。
【符号の説明】
101…チャネルエンコーダ、102…時間インターリーブ回路、103…シンボルマッピング回路、104…多重化回路、105…周波数インターリーブ回路、106…差動変調回路、107…逆フーリエ変換回路、108…送信回路、111…チャネルデコーダ、112…時間デインターリーブ回路、113…ビット抽出回路、114…チャネル選択回路、115…周波数デインターリーブ回路、116…差動復調回路、117…FFT変換回路、118…受信回路、201…チャネルエンコーダ、202…インターリーブ回路、203…シンボルマッピング回路、204…差動変調/パイロット付加回路、205…ランダム化回路、206…多重化回路、207…逆フーリエ変換回路、208…送信回路、211…チャネルデコーダ、212…デインターリーブ回路、213,213a,213b…ビット抽出回路、214…伝送路推定回路、215…ランダム化復調回路、216…チャネル選択回路、217…FFT変換回路、218…受信回路。

Claims (21)

  1. 送信データに応じて変調された複数のサブキャリアを持つマルチキャリア変調信号を送信する送信装置であって、
    上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行うマッピング回路と、
    上記マッピング回路の出力信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入する(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)パイロット付加回路と、
    上記パイロット信号を付加した送信信号を直交変換する直交変換回路と
    を有する送信装置。
  2. 上記パイロット付加回路は、上記送信データの属性に応じて上記パイロット信号の挿入を制御する
    請求項1記載の送信装置。
  3. 上記パイロット付加回路は、上記送信データの容量、上記送信データの重要度、送信チャネルの状況、または、送信が失敗したとき上記送信データの再送の可否に応じて、各変調時間における上記パイロット信号の挿入数を決定する
    請求項1記載の送信装置。
  4. 上記パイロット付加回路は、各変調時間毎に上記パイロット信号の比率を低減させる
    請求項記載の送信装置。
  5. 上記パイロット付加回路は、送信開始直後の変調時間t0において、比率(1/m)(mは自然数である)で上記パイロット信号を挿入し、変調時間tn(nは自然数である)において比率(1/(m+n))で上記パイロット信号を挿入する
    請求項記載の送信装置。
  6. 上記パイロット付加回路は、送信開始直後の変調時間t0において、比率(1/2m )(mは自然数である)で上記パイロット信号を挿入し、変調時間tn(nは自然数である)において比率(1/2(m+n) )で上記パイロット信号を挿入する
    請求項記載の送信装置。
  7. 上記パイロット付加回路は、送信開始してから所定の時間を経過したとき、上記パイロット信号の比率を一定に保持させる
    請求項記載の送信装置。
  8. 上記パイロット付加回路は、送信開始してから所定の時間を経過したとき、上記パイロット信号の付加を停止させる(比率を0にする)
    請求項記載の送信装置。
  9. 上記パイロット付加回路は、上記パイロット信号の比率を一定に保持したとき、変調時間毎に上記パイロット信号を挿入する位置を変化させる
    請求項記載の送信装置。
  10. 上記直交変換回路は、上記パイロット信号を付加した送信信号を逆フーリエ変換する
    請求項1記載の送信装置。
  11. 送信装置によって送信開始したときもっとも高い比率でパイロット信号が付加された(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)マルチキャリア変調信号を受信する受信装置であって、
    受信信号を直交変調する直交変調回路と、
    上記直交変調回路の出力信号に基づき、上記パイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に応じて伝送路推定を行う伝送路推定回路と、
    上記伝送路推定回路の推定結果に応じて、上記受信信号に対して補正を行い、受信データを出力するデータ出力回路と
    を有する受信装置。
  12. 上記伝送路推定回路は、上記直交変換回路の出力信号から上記パイロット信号を抽出して、抽出したパイロット信号に応じて伝送路の特性を推定する伝送路同化回路を有する
    請求項11記載の受信装置。
  13. 上記直交変換回路は、上記受信信号をフーリエ変換する
    請求項11記載の受信装置。
  14. 送信装置によってパイロット信号が付加されたマルチキャリア変調信号を受信する受信装置であって、
    受信信号を直交変調する直交変調回路と、
    上記直交変調回路の出力信号に基づき、上記パイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に応じて伝送路推定を行う伝送路推定回路と、
    上記伝送路推定回路の推定結果に応じて、上記受信信号に対して補正を行い、受信データを出力するデータ出力回路と
    を有する受信装置であって、
    上記伝送路推定回路は、上記直交変換回路の出力信号から上記パイロット信号を抽出して、抽出したパイロット信号に応じて伝送路の特性を推定する伝送路同化回路を有し、
    上記伝送路同化回路は、上記直交変換回路の出力信号から上記パイロット信号を抽出するパイロット抽出回路と、
    上記抽出したパイロット信号をそれぞれの周波数帯域に応じて設けられたグループに分割され、各グループのパイロット信号と隣接するグループからの少なくとも一つのパイロット信号との加算を行う第1の加算回路と、
    時間軸上隣接する前の変調時間におけるパイロット信号の加算結果に所定の係数を乗算する乗算回路と、
    現時点の加算回路の加算結果と上記乗算回路の出力信号とを加算する第2の加算回路と
    を有する
    受信装置。
  15. 上記伝送路同化回路によって、上記伝送路の伝達特性を示す伝送路ベクトルが出力される
    請求項14記載の受信装置。
  16. 上記直交変換回路の出力信号と上記伝送路ベクトルの共役を乗算する乗算回路を有し、
    上記データ出力回路は、上記乗算回路の出力信号に応じて上記受信データを求める
    を有する請求項15記載の受信装置。
  17. 上記データ出力回路は、上記乗算回路の出力信号及び変調方式に応じて上記受信データを求める
    請求項16記載の受信装置。
  18. 上記直交変換回路は、上記受信信号をフーリエ変換する
    請求項14記載の受信装置。
  19. 送信データに応じて生成したマルチキャリア変調信号を送受信する通信システムであって、
    上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行うマッピング回路と、
    上記マッピング回路の出力信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入する(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)パイロット付加回路と、
    上記パイロット付加回路の出力信号を直交変換する第1の直交変換回路と、
    上記第1の直交変換回路の出力信号を伝送路に送信する送信回路と、
    上記伝送路から伝送信号を受信する受信回路と、
    上記受信回路の受信信号を直交変換する第2の直交変換回路と、
    上記第2の直交変換回路の出力信号に基づき、上記パイロット信号を抽出し、抽出したパイロットに応じて伝送路推定を行う伝送路推定回路と、
    上記伝送路推定回路の推定結果に応じて、上記受信信号に対して補正を行い、受信データを出力するデータ出力回路と
    を有する通信システム。
  20. 送信データに応じて変調された複数のサブキャリアを持つマルチキャリア変調信号を送信する送信方法であって、
    上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行い、
    上記送信データの属性に応じて、上記信号点配置が行われた送信信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入し(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)
    上記パイロット信号を付加した送信信号を直交変換する
    送信方法。
  21. 送信データに応じて生成したマルチキャリア変調信号を送受信する通信方法であって、
    上記送信データに基づき、所定の変調方式に応じて上記複数のサブキャリアに対してそれぞれの信号点の配置を行い、
    上記送信データの属性に応じて、上記信号点配置が行われた送信信号に対し、送信開始したときもっとも高い比率で伝送路推定用パイロット信号を挿入し(ただし、1変調時間において各サブキャリアの変調信号を1シンボルとすると、パイロット信号の比率は(パイロットシンボル数/情報シンボル数)で定義される。)
    上記パイロット信号を付加した送信信号を直交変換し、
    上記直交変換した信号を伝送路に送信し、
    上記伝送路から伝送信号を受信し、
    上記受信信号を直交変換し、
    上記直交変換された受信信号に基づき、上記パイロット信号を抽出し、抽出したパイロットに応じて伝送路推定を行い、
    上記伝送路推定の結果に応じて、上記受信信号に対して補正を行い、受信データを出力する
    通信方法。
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