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JP4281998B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のジヒドロキシ化合物から誘導されるポリカーボネート樹脂と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂とをブレンドして得られる耐薬品性、耐油性および低複屈折性に優れるポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)からなるポリカーボネート樹脂は、その優れた透明性、耐熱性、低吸水性、耐薬品性、力学特性および寸法安定性から、CDあるいはDVDの基板、光学フィルム、光学シート、各種レンズあるいはプリズム等の光学材料用途に幅広く利用されている。しかし、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂は複屈折が大きいため、低複屈折性を要求される分野では使用することが出来ないという難点を有している。
【0003】
そのため、低複屈折性を要求される分野では、アクリル樹脂、非晶質ポリオレフィンあるいは特殊な構造を有するポリカーボネート樹脂等が使用されている。しかし、例えば、アクリル樹脂は吸水率が高く寸法安定性が悪い、あるいは耐薬品性が悪いという難点を有し、非晶質ポリオレフィンは耐衝撃性が悪い、耐薬品性が悪い、高価である等の難点を有する。また、アクリル樹脂や非晶質ポリオレフィンであっても、必ずしもその成形体が充分な低複屈折性を有している訳ではなく、更なる低複屈折性を要求される分野ではこれらの樹脂を利用することはできない。
【0004】
特殊な構造を有するポリカーボネート樹脂としては、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールから誘導される共重合ポリカーボネート樹脂が記載されている(例えば、特許文献1)。この樹脂からなる射出成形体は優れた低複屈折性を示すが製造途中に着色しやすい難点ある。
【0005】
更に、特殊な構造を有するポリカーボネート樹脂としては、例えば9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンからなるポリカーボネート樹脂が記載されている(例えば、特許文献2)。該ポリカーボネート樹脂はビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂に比べて複屈折は小さいものの流動性、耐薬品性および耐油性が不十分であり、また光弾性係数が充分に小さいとは言えない。更には高価である。また、例えば9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとビスフェノール類からなるポリカーボネート樹脂が記載されている(例えば、特許文献3)。該ポリカーボネート樹脂はビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂に比べて複屈折は小さいものの低複屈折性、流動性、耐薬品性および耐油性が不十分であり、また光弾性係数が充分に小さいとは言えない。
【0006】
そこで、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンと脂肪族ジオール類からなる共重合ポリカーボネート樹脂(例えば、特許文献4)が提案された。本樹脂は優れた低複屈折性、優れた流動性および低い光弾性係数を示すものの耐薬品性および耐油性に関しては十分とは言えない。
【0007】
そこで、安価で耐薬品性および耐油性に優れた低複屈折ポリカーボネート樹脂が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−169573号公報
【特許文献2】
特開平10−101787号公報
【特許文献3】
特開平10−101786号公報
【特許文献4】
特願2002−171278号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、安価で優れた耐薬品性、耐油性および低複屈折性を示す透明なポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物95〜5モル%及び一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物5〜95モル%を炭酸ジエステルによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂(A)と、構造式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルもしくはホスゲンによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂(B)とを、(100×(A))/((A)+(B))=1〜99重量%となるような比率でブレンドして得られるポリカーボネート樹脂組成物により課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
【化4】
Figure 0004281998
(式中、R1、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
【化5】
Figure 0004281998
(式中、Xは、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数4〜20のシクロアルキレン基である。)
【化6】
Figure 0004281998
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるブレンド物の一方の成分であるポリカーボネート樹脂(A)は、一般式(1)に示されるジヒドロキシ化合物及び一般式(2)に示されるジヒドロキシ化合物を、炭酸ジエステルおよび触媒の存在下、公知の溶融重縮合法により重合して得ることが出来る。また、本発明に置けるブレンド物の他の成分であるポリカーボネート樹脂(B)は、構造式(3)に示されるジヒドロキシ化合物を公知の溶融重縮合法もしくはホスゲン法(界面法)により重合して得ることができる。
【0012】
本発明における一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンが例示される。その中で、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好適に使用される。
【0013】
本発明における一般式(2)で表される化合物としては、具体的には、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール等が例示される。その中で、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールおよびペンタシクロペンタデカンジメタノールが好ましい。特に、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが好適に使用される。
【0014】
本発明における構造式(3)で表される化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)である。本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(B)はビスフェノールAからなるホモポリマーが好適に用いられるが、ビスフェノールA以外のビスフェノール類が物性を損なわない範囲で少量共重合していても良い。
【0015】
本発明におけるブレンド物の一方の成分であるポリカーボネート樹脂(A)においては、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を95〜5モル%、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物を5〜95モル%から誘導されてものである。より好ましくは(1)で表される化合物を90〜20モル%、(2)で表される化合物を10〜80モル%から誘導されたものである。更に好ましくは、(1)で表される化合物を75〜35モル%、(2)で表される化合物を25〜65モル%から誘導されたものである。一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が5モル%より少なくなると、ブレンド樹脂組成物の複屈折が大きくなるため好ましくない。また、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が95モル%を越えると、ブレンド樹脂組成物の透明性が低下するため好ましくない。
【0016】
ポリカーボネート樹脂(A)と(B)とのブレンド比率は、重量比率で(100×(A))/((A)+(B))=1〜99重量%である。より好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは10〜70重量%である。該ブレンド比率が1重量%より小さくなると、樹脂組成物が充分な低複屈折性を示さなくなるため好ましくない。また、該ブレンド比率が99重量%より大きくなると、ブレンド樹脂組成物の耐薬品性および耐油性が不充分となるため好ましくない。
【0017】
本発明のブレンド樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)の好ましいポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、20,000〜300,000であり、より好ましくは35,000〜150,000である。Mwが20,000より小さいと、ブレンド樹脂組成物が脆くなるため好ましくない。Mwが300,000より大きいと、溶融粘度が高くなりブレンドの条件が厳しくなるため好ましくなく、更には樹脂組成物の射出成形条件が厳しくなり成形体にシルバーが生じるため好ましくない。
【0018】
本発明のブレンド樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(B)の好ましいポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、15,000〜250,000であり、より好ましくは20,000〜110,000である。Mwが15,000より小さいと、ブレンド樹脂組成物が脆くなるため好ましくない。Mwが250,000より大きいと、溶融粘度が高くなりブレンドの条件が厳しくなるため好ましくなく、更には樹脂組成物の射出成形条件が厳しくなり成形体にシルバーが生じるため好ましくない。
【0019】
本発明のブレンド樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)と(B)とのポリスチレン換算重量平均分子量差(△Mw)は、0〜120,000であることが好ましく、より好ましくは0〜80,000である。△Mwが120,000を越えると、(A)と(B)の粘度差が著しく大きくなるため相溶性が悪くなってブレンド樹脂組成物の透明性が低下するため好ましくない。
【0020】
本発明のブレンド樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)はランダム、ブロックおよび交互共重合構造を含むものである。
【0021】
本発明のブレンド樹脂組成物の好ましいガラス転移温度(Tg)は95〜180℃であり、より好ましくは105〜170℃である。Tgが95℃より低いと、使用温度範囲が狭くなるため好ましくない。また、180℃を越えると成形条件が厳しくなるため好ましくない。
【0022】
以下に、本発明に関わるポリカーボネート樹脂(A)の製造方法について述べる。ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを塩基性化合物触媒もしくはエステル交換触媒もしくはその双方からなる混合触媒の存在下反応させる公知の溶融重縮合法が好適に用いられる。
【0023】
炭酸ジエステルとしては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好適に使用される。炭酸ジエステルは、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.98〜1.20モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.99〜1.10モルの比率である。
【0024】
塩基性化合物触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物および含窒素化合物等があげられる。
【0025】
このような化合物としては、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物等の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0026】
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2セシウム塩,2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩,カリウム塩,セシウム塩,リチウム塩等が用いられる。
【0027】
アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
【0028】
含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類;トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類;ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類;プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
【0029】
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0030】
エステル交換触媒としては、具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が用いられる。
【0031】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-9〜10-3モルの比率で、好ましくは10-7〜10-4モルの比率で用いられる。
【0032】
本発明にかかわる溶融重縮合法は、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段行程で実施される。
【0033】
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200〜350℃の温度で、0.3〜10時間重縮合反応を行う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。
【0034】
本発明にかかわるポリカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させる。一般的には、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、安息香酸ブチル、安息香酸ドデシル等のエステル類、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p-トルエンスルホン酸フェネチル等の芳香族スルホン酸エステル類、亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn−プロピル、亜リン酸ジn−ブチル、亜リン酸モノn−ブチル、亜リン酸ジn−ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類、ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類、フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。
【0035】
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を0.1〜1mmHgの圧力、200〜350℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良く、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
【0036】
本発明に関わるポリカーボネート樹脂(B)の製造方法の1つとして、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを塩基性化合物触媒の存在下反応させる公知の溶融重縮合法が好適に用いられる。その製造方法は、遷移金属系のエステル交換触媒を用いない以外はポリカーボネート樹脂(A)の製造方法に準じるものである。
【0037】
本発明に関わるポリカーボネート樹脂(B)のもう1つの製造方法として、ジヒドロキシ化合物を溶媒および末端停止剤および酸結合剤の存在下、ホスゲンと反応させる界面重合法がある。通常、酸結合剤の水溶液にジヒドロキシ化合物および末端停止剤を溶解し、有機溶媒の存在下に反応させる。
【0038】
酸結合剤としては、例えば、ピリジンあるいは水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好適に用いられる。また、溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが好適に使用される。さらに、重合反応を促進するために、触媒としてトリエチルアミンのような第三級アミンあるいはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩等が使用される。
【0039】
また、重合度の調節に用いられる末端停止剤としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等の一官能ヒドロキシ化合物が使用される。
【0040】
さらに、所望に応じて、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム等の酸化防止剤を少量添加しても良い。
【0041】
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲で行われる。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は反応系のpHを10以上に保持することが好ましい。
【0042】
本発明のブレンド樹脂組成物の製造方法は、それぞれ別個に製造したポリカーボネート樹脂(A)と(B)のそれぞれの固体を混合し、混練機により混練して製造しても良いし、また、溶融状態の(A)の樹脂に、固体の(B)を添加し、あるいは溶融状態の(B)の樹脂に、固体の(A)を添加して混練機により混練して製造しても良い。あるいは、溶融状態の(A)と(B)の樹脂を混合して混練機により混練して製造しても良い。混練は、連続式で行ってもバッチ式で行っても良い。混練機としては、押出機、ラボプラストミル、ニーダー等が用いられるが、連続的に混練を行うなら押出機が、バッチ式で混練を行うならラボプラストミルあるいはニーダーが好適に使用される。なお、溶融重縮合法によって製造したポリカーボネート樹脂を用いる場合には、混練時のエステル交換反応を避ける見地から、触媒失活後に混練を行うことが望ましい。しかし、触媒失活剤とブレンド相手の樹脂とを同時に練り込んでもブレンド後に触媒失活剤を練り込んでも構わない。ただし、この場合には、エステル交換反応によるランダム化によって耐薬品性が損なわれない範囲に止める必要がある。
【0043】
また、本発明のブレンド樹脂組成物のもう1つの製造方法として、ポリカーボネート樹脂(A)および(B)を溶媒に溶解させ、鋳型に注ぎ込んだ後溶媒を蒸発させる方法もある。溶媒としては例えばメチレンクロライド、クロロホルム、クレゾール等が使用される。この方法を用いる場合には、同時に添加剤を溶解添加することが可能であるため便利である。
【0044】
さらに本発明のブレンド樹脂組成物には、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、強化剤、結晶核剤、染料、帯電防止剤あるいは抗菌剤等を添加することが必要に応じて実施される。これらの添加剤はブレンド混練を行う前に(A)、(B)各々、もしくはどちらかの樹脂に事前に添加しておいても良いし、ブレンド混練時に同時に添加して練り込んでも、ブレンド後に練り込んでも良い。
【0045】
本発明に示される耐薬品性とは、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール類といった有機溶剤にどの程度侵されるかを示すものであり、具体的には外観変化や形状変化あるいは質量変化により表されるものである。また、本発明に示される耐油性とは、スピンドル油、ダイナモ油、タービン油、マシン油、重油、エンジン油、サラダ油、大豆油、ヒマシ油、皮脂等の油類に接触した際に起きる、ポリカーボネート樹脂組成物の物理的性質の低下をどの程度低く抑えられるかを示すものであり、具体的には試験片に油類を塗布した後曲げ応力を与えて所定量たわませクラックの発生状況を観察するものである。耐薬品性、耐油性とも−30℃〜90℃で示すことが好ましい。
【0046】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何らの制限を受けるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法あるいは装置を用いて測定した。
1)ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw):GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒として、既知の分子量(分子量分布=1)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。この検量線に基づいて、GPCのリテンションタイムから算出した。
2)ガラス転移温度(Tg):示差熱走査熱量分析計(DSC)により測定した。
3)プレス成形:(Tg+48)℃に予熱した2枚の鏡面板の間に型板と樹脂を挟み、同じく(Tg+48)℃に加熱した加熱プレス機にセットし100kgf/cm2の圧力で2.5min加熱プレスした。しかる後、20℃の水冷板の間に挟み、100kgf/cm2の圧力をかけながら5分間冷却しプレス板を得た。
4)試験片の形状変化:ノギスにより測定した。ノギスで測定できないものは目視により評価した。
5)試験片の外観変化:目視により評価した。
6)たわみ:島津製作所製オートグラフAG−5000Bにより荷重をかけ試験片にたわみを発生させた。
7)曲げ試験片:新潟鉄工所製MIN7により射出成形した。試験片のサイズは、長さ89mm、幅12.65mm、高さ3.23mmである。
8)曲げ弾性率:島津製作所製オートグラフAG−5000Bにより測定した。
【0047】
実施例1
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン10.11kg(23.05モル)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール4.524kg(23.05モル)、ジフェニルカーボネート10.22kg(47.71モル)、および炭酸水素ナトリウム0.01321g(1.572×10-4モル)を攪拌機および留出装置付きの50リットル反応器に入れ、窒素雰囲気760Torrの下1時間かけて215℃に加熱し撹拌した。
その後、15分かけて減圧度を150Torrに調整し、215℃、150Torrの条件下で20分間保持しエステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で240℃まで昇温し、240℃、150Torrで10分間保持した。その後、10分かけて120Torrに調整し、240℃、120Torrで70分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、240℃、100Torrで10分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、240℃、1Torr以下の条件下で25分間撹拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。得られたポリカーボネート樹脂のMw=87,000、Tg=130℃であった。このポリカーボネート樹脂10.0kgを100℃で24時間真空乾燥し、亜リン酸ジエチルを樹脂中の炭酸水素ナトリウムの10倍モル、グリセリンモノステアレートを樹脂に対して300ppmを添加して押出機により260℃で混練してペレタイズしペレット(A)を得た。該ペレットのMw=85,800であった。
該ペレット4kgとビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂ユ−ピロンE−2000(商品名:三菱エンジニアリングプラスチックス社製)ペレット4kgとを良く振り混ぜ、押出機により260℃で混練してペレタイズしブレンドペレット6.8kgを得た。該ペレットのTg=139℃であり変曲点は他に見当たらなかった。これより該ブレンド物は完全に相溶していることが確認された。
また、Mw=73,300であった。該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度280℃、金型温度80℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2500MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2300MPa、2400MPaであり低下幅は小さかった。
【0048】
実施例2
実施例1において、ポリカーボネート樹脂ペレット(A)2kgとユーピロンE−2000ペレット6kgとを用いて混練した以外は、実施例1と同様の操作を行った。Tg=146℃、Mw=72,100であった。該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度285℃、金型温度85℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2400MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2300MPa、2300MPaであり低下幅は小さかった。
【0049】
実施例3
実施例1において、ポリカーボネート樹脂ペレット(A)6kgとユーピロンE−2000ペレット2kgとを用いて混練した以外は、実施例1と同様の操作を行った。Tg=133℃、Mw=76,300であった。該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度275℃、金型温度75℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2600MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2400MPa、2400MPaであり低下幅は小さかった。
【0050】
実施例4
実施例1において、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールの代わりにシクロヘキサン−1,4−ジメタノール3.324kg(23.05モル)を用い、また、45分かけて減圧度を150Torrに調整した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたペレットはMw=81,400、Tg=120℃であった。実施例1と同様の添加剤を添加後のペレットのMw=81,200であった。該ポリカーボネート樹脂ペレット4kgとユーピロンE−2000ペレット4kgを用いて混練し、実施例1と同様の操作を行った。Tg=133℃、Mw=70,000であった。プレス円盤の耐薬品性データを表1に、耐油性データを表2に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度275℃、金型温度75℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2500MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2400MPa、2400MPaであり低下幅は小さかった。
【0051】
実施例5
実施例1において、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールの代わりにペンタシクロペンタデカンジメタノール6.048kg(23.05モル)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたペレットはMw=86,500、Tg=147℃であった。実施例1と同様の添加剤を添加後のペレットのMw=85,900であった。該ポリカーボネート樹脂ペレット4kgとユーピロンE−2000ペレット4kgを用いて混練し、実施例1と同様の操作を行った。Tg=149℃、Mw=74,700であった。該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度285℃、金型温度85℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2500MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2300MPa、2400MPaであり低下幅は小さかった。
【0052】
比較例1
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン4.298kg(9.802モル)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール1.924kg(9.802モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6.050kg(26.50モル)、ジフェニルカーボネート10.37kg(48.41モル)、および炭酸水素ナトリウム0.01321g(1.572×10-4モル)を攪拌機および留出装置付きの50リットル反応器に入れ、窒素雰囲気760Torrの下1時間かけて215℃に加熱し撹拌した。
その後、15分かけて減圧度を150Torrに調整し、215℃、150Torrの条件下で30分間保持しエステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で245℃まで昇温し、245℃、150Torrで30分間保持した。その後、10分かけて120Torrに調整し、245℃、120Torrで90分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、245℃、100Torrで30分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、245℃、1Torr以下の条件下で80分間撹拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。得られたポリカーボネート樹脂のMw=74,100、Tg=139℃であった。このポリカーボネート樹脂10.0kgを100℃で24時間真空乾燥し、亜リン酸ジエチルを樹脂中の炭酸水素ナトリウムの10倍モル、グリセリンモノステアレートを樹脂に対して300ppmを添加して押し出し機により260℃で混練してペレタイズしペレットを得た。該ペレットのMw=73,700であった。
該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度280℃、金型温度80℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2500MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2100MPa、2100MPaであり低下幅は大きかった。
【0053】
比較例2
比較例1において、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン1.998kg(4.555モル)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール0.8941kg(4.555モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8.444kg(36.99モル)ジフェニルカーボネート10.47kg(48.87モル)を用い、また、245℃、1Torr以下の条件下で100分間撹拌下重合反応を行った以外は、比較例1と同様の操作を行った。得られた樹脂は、Tg=146℃、Mw=73,000であった。押し出し後のペレットのMw=72,200であった。
該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度285℃、金型温度85℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2400MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2000MPa、1900MPaであり低下幅は大きかった。
【0054】
比較例3
比較例1において、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン6.973kg(15.90モル)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール3.121kg(15.90モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.267kg(14.31モル)、ジフェニルカーボネート10.27kg(47.94モル)を用い、また、245℃、1Torr以下の条件下で60分間撹拌下重合反応を行った以外は、比較例1と同様の操作を行った。得られた樹脂は、Tg=131℃、Mw=75,900であった。押し出し後のペレットのMw=74,900であった。
該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度275℃、金型温度75℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2600MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2000MPa、2000MPaであり低下幅は大きかった。
【0055】
比較例4
比較例1において、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン4.495kg(10.25モル)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール1.478kg(10.25モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.842kg(25.59モル)を用い、また、45分かけて減圧度を150Torrに調整した以外は比較例1と同様の操作を行った。得られた樹脂は、Tg=131℃、Mw=72,100であった。押し出し後のペレットのMw=71,600であった。
該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度275℃、金型温度75℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2500MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、1900MPa、2000MPaであり低下幅は大きかった。
【0056】
比較例5
比較例1において、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン4.075kg(9.293モル)、ペンタシクロペンタデカンジメタノール2.438kg(9.293モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6.280kg(27.51モル)を用い、また、245℃、1Torr以下の条件下で100分間撹拌下重合反応を行った以外は、比較例1と同様の操作を行った。得られた樹脂は、Tg=148℃、Mw=75,500であった。押し出し後のペレットのMw=75,000であった。
該ペレットをプレス成形して直径50mm、厚さ3mmの円盤を得た。該円盤を23℃のトルエン、アセトンおよび酢酸ブチルに2時間浸漬し円盤の形状および外観の変化を観察した。耐薬品性データを表1に示す。また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該円盤の両面にサラダ油を塗布した後、23℃および50℃で円盤の上面から直径方向に沿った直線状の荷重をかけて所定のたわみを与え(3点支持。支持幅24mm、たわみ量:0.8mm)2分後のクラックの発生状況を目視で観察した。耐油性試験の結果を表1に示す。
また、該ブレンドペレットをシリンダー温度285℃、金型温度85℃で射出成形して曲げ試験片を得た。該曲げ試験片の曲げ弾性率=2500MPaであった。また、該曲げ試験片をアセトン、または酢酸ブチルに2時間浸漬した後の曲げ弾性率は、順にそれぞれ、2000MPa、2100MPaであり低下幅は大きかった。
【0057】
【表1】
Figure 0004281998
【0058】
【発明の効果】
本発明により、低複屈折性および耐薬品性並びに耐油性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得ることが出来る。該ポリカーボネート樹脂組成物は偏光板の透明保護シートを始めとして、各種レンズ、ピックアップレンズ、プリズム、光学シート、光学フィルム、導光板等に利用でき、更にはこれらの光学材料を薬品に触れやすい環境下や皮脂等の油分の触れやすい環境下で用いることができ極めて有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物95〜5モル%及び一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物5〜95モル%を炭酸ジエステルによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂(A)と、構造式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルもしくはホスゲンによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂(B)とを、(100×(A))/((A)+(B))=1〜99重量%となるような比率でブレンドして得られるポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0004281998
    (式中、R1、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 0004281998
    (式中、Xは炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数4〜20のシクロアルキレン基を表す。)
    Figure 0004281998
  2. 一般式(2)で表される化合物が、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 一般式(2)で表される化合物が、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールである請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 一般式(1)中、R1が水素原子である請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 一般式(1)中、R1およびR2が水素原子である請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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