JP4274352B2 - 車両用速度表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用速度表示装置に関し、特に、2WDまたは4WDに切り替えて駆動可能な車両の速度表示装置において、2WD走行時と4WD走行時との両方において実際の車速に対応する速度の表示精度を同一にすることができる車両用速度表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
実公平1−22093号公報には、車輪の回転数に比例した数のパルスを単位走行距離毎にカウントし、該カウント値を演算回路に入力して車速を演算し、表示する車両用速度表示装置が開示されている。ここで、単位走行距離毎のパルス数は、車輪の回転速度に比例する。車両の走行速度は、前記公報に開示されているように、車輪の回転速度に比例したパルス数を検出し、該パルス数を演算して出力するのが普通である。
【0003】
また、農業、牧畜業などでの移動用車両やレジャー用車両として、2WDまたは4WDに切り替えて駆動可能な4輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle)が知られている。このような4輪バギーでは、4WDによる走行時に、操作性向上などの観点から前輪の回転速度と後輪との回転速度とに予め差が生じさせられること、例えば、前輪の回転速度が後輪の回転速度より遅くなるように予め設定されることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記4輪バギーの車速表示のために、前記公報に開示されているような、車輪の回転速度に比例したパルス数を用いることを考えた場合、2WD走行時には、駆動輪(後輪)と従動輪(前輪)の回転速度はほぼ同じになるので、検出されたパルス数と実際の車速(以下、実車速と称す。)との対応関係から車速を求め、表示することにより実車速に合った値を表示することができる(以下、表示される車速を、表示車速と称す)。
【0005】
しかしながら、上述のように、4WD走行時の前輪の回転速度と後輪の回転速度とに予め差が設定されていると、検出されたパルス数と実車速との関係が2WD走行時とは異なるので、2WD走行時と同様に求められて表示される速度は、実車速に対して誤差を有するものとなり、実車速に合ったものとはならない。
【0006】
本発明は、上記の点にかんがみなされたものであり、2WDまたは4WDに切り替えて駆動可能な車両の速度表示装置において、2WD走行時と4WD走行時との両方において実車速に対応する速度の表示精度を同一にすることができる車両用速度表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、2WD/4WD切替手段により2WDまたは4WDに切り替えて駆動可能な車両のいずれかの車輪の回転速度を検出する車輪回転速度検出手段と、前記車輪回転速度検出手段の出力に応じて車速を算出する車速演算手段と、前記車速演算手段で算出された車速を表示する表示手段と、を備えた車両用速度表示装置において、車両の駆動が2WDであるか4WDであるかを検出する2WD/4WD検出手段を備え、前記車速演算手段は、前記車輪回転速度検出手段の出力と第1の所定条件に基づいて車速を算出する第1の車速演算部と、前記車輪回転速度検出手段の出力と第2の所定条件に基づいて車速を算出する第2の車速演算部とを有し、前記表示手段は、前記2WD/4WD検出手段による検出結果に応じて、前記第1の車速演算部または前記第2の車速演算部により算出された車速を表示する点に第1の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記第1の車速演算部は、前記車輪回転速度検出手段の出力と第1の補正係数を用いて車速を算出し、前記第2の車速演算部は、前記車輪回転速度検出手段の出力と第2の補正係数を用いて車速を算出し、第1の補正係数は第2の補正係数よりも大きい点に第2の特徴がある。
【0009】
さらに、本発明は、前記2WD/4WD検出手段は、前記2WD/4WD切替手段の状態に応じて、車両の駆動が2WDであるか4WDであるかを検出する点に第3の特徴がある。
【0010】
第1の特徴によれば、車速演算手段が第1の車速演算部と第2の車速演算部とを有し、2WD走行時には2WD走行に対応したパルス数−車速の対応関係に基づいて車速を算出し、4WD走行時には4WD走行に対応したパルス数−車速の対応関係に基づいて車速を算出することができるので、2WD走行時と4WD走行時との両方において実車速に対応する速度の表示精度を同一にすることができる。
【0011】
また、第2の特徴によれば、2WD走行時、4WD走行時それぞれに合った補正係数を用いて車速を算出するので、2WD走行時であっても4WD走行時であっても実車速に対して誤差が小さい表示速度を得ることができる。
【0012】
さらに、第3の特徴によれば、2WDと4WDの切り替えがあった場合に、2WD用の演算と4WD用の演算とを自動的に切り替えて車速を演算させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明に係る車両用速度表示装置が適用された4輪バギーの斜視図である。なお、同図には、本発明と特に関係する駆動装置部分を破線で概略的に示している。
【0014】
4輪バギー10の車体11にはハンドル12が回転自在に取り付けられ、ハンドル12にステアリングギア装置(図示せず)を介して前輪13が操舵可能に連結される。車体11の上部にはシート14が配置され、シート14の下方にエンジン、クラッチおよび変速機からなるパワーユニット15が配置される。後輪16、16は、2WD走行時に駆動輪となるものであり、パワーユニット15により駆動される。前輪13と後輪16の周りにはそれぞれ、フロントフェンダ17とリアフェンダ18が設けられる。また、車体11の後下部にはマフラ19が突出している。
【0015】
ハンドル12には2WD/4WD切替スイッチ20が設けられ、この出力は、車体11の前部に設けられたコントロールユニット21に入力される。コントロールユニット21は、エンジン制御ユニットや2WD/4WD切替コントロールユニットを含み、2WD/4WD切替スイッチ20の出力に従って2WDまたは4WDに切り替えられるように、クラッチを含む動力伝達系を制御する他、ハンドル12に設けられた各種スイッチやレバー、ペダルの出力に従ってエンジンの起動、制御などを行う。
【0016】
車輪回転速度検出手段としてのスピードセンサ22は、2WD走行時の駆動輪である後輪16の回転速度を検出する。スピードセンサ22としては、後輪16、その車軸、プロペラ・シャフトなどの回転速度に応じた周期のパルスを出力する周知のものを採用できる。図では、プロペラ・シャフトの回転速度に比例して周期が短くなるパルスを出力するスピードセンサを示している。
【0017】
ハンドル12の中央部には液晶表示装置などのディスプレイ装置23が設けられる。このディスプレイ装置23は、例えば、ディジタル形式で車速を表示する車速表示部などとして機能する。
【0018】
また、前輪13の回転速度を検出するスピードセンサ24が設けられる。このスピードセンサ24は、前輪13と後輪16との回転速度の差が一定値以上の場合に2WD/4WD切替スイッチ20による2WD/4WD切替を不可にするために設けられる。
【0019】
図2は、2WD走行時と4WD走行時に、スピードセンサ22の出力に基づいて車速を表示した場合の実車速に対する誤差を測定した結果を示す。この測定結果にみられるように、2WD走行時と4WD走行時の表示車速は、実車速に対する誤差が互いに相違している。
【0020】
この誤差の相違を考慮せずに補正を行った場合には、2WD走行時と4WD走行時との両方で満足し得る結果を得ることができない。例えば、2WD走行時の車速をベースに補正を行った場合、図3に示すように、2WDの走行時の表示車速は実車速に合うものの、4WD走行時の表示車速は実車速に合ったものにならない。逆に、4WD走行時の車速をベースに補正を行った場合には、4WDの走行時の表示車速は実車速に合うものの、2WD走行時の表示車速は実車速に合ったものにならない。
【0021】
本発明は、2WD走行時と4WD走行時との両方で、実車速に合った表示車速が得られるようにするものであり、図4に示すように、2WD走行時と4WD走行時とにそれぞれ適した補正を行うものである。
【0022】
図5は、本発明に係る車両用速度表示装置の一実施形態を示すブロック図である。後輪16の回転速度を検出するスピードセンサ22および前輪13の回転速度を検出するスピードセンサ24の出力(パルス)は、コントロールユニット21に入力される。2WD/4WD切替スイッチ20の出力もコントロールユニット21に入力される。スピードセンサ22の出力は、コンビネーションスピードメータ50にも入力される。
【0023】
コンビネーションスピードメータ50は、車速演算部51、2WD/4WD検出部52、2WD用補正部53、4WD用補正部54、車速表示部55、およびLEDからなる2WD/4WDインジケータ56を備える。
【0024】
請求項の記載された構成との対応関係でいえば、車速演算部51と2WD用補正部53と4WD用補正部54との全体が車速演算手段に対応し、車速演算部51と2WD用補正部53が第1の車速演算部57に対応し、車速演算部51と4WD用補正部54が第2の車速演算部58に対応し、2WD/4WD検出部52が2WD/4WD検出手段に対応し、車速表示部55が表示手段に対応する。なお、車速表示部55は、図1におけるディスプレイ装置20である。
【0025】
車速演算部51は、スピードセンサ22の出力に応じて車速を算出する。この演算は、単に、スピードセンサ22が出力する単位時間当たりのパルス数に基づいて車速を算出するものであり、算出された車速は、図2に示すように、実速度とは異なっている。
【0026】
2WD/4WD検出部52は、車両が2WD走行時であるか4WD走行時であるかを検出し、それに応じて、車速演算部51で算出された車速が2WD用補正部53あるいは4WD用補正部54に出力されるように切り替える。
【0027】
2WD用補正部53は、2WD走行時に車速演算部51から2WD/4WD検出部52を通して入力される車速を2WD用の所定条件、例えば、2WD用補正係数を用いて補正し、4WD用補正部54は、4WD走行時に車速演算部51から2WD/4WD検出部52を通して入力される車速を4WD用の所定条件、例えば、4WD用補正係数を用いて補正する。これらの補正は、図4に示したように、2WD走行時、4WD走行時に車速演算部51で算出された車速をそれぞれ、実車速に合ったものにする補正である。補正された車速は車速表示部55に出力されて表示される。
【0028】
図6は、2WD用および4WD用補正係数による補正結果の一例を説明する図であり、車速演算部51で算出される車速が、同じパルス数でも、2WD走行時より4WD走行時の方が大きい場合を想定して、2WD用補正係数(2WD用補正部53における補正係数)を4WD用補正係数(4WD用補正部54における補正係数)より大きくし、同じパルス数でも2WD走行時での表示速度を4WD走行時での表示速度より大きくして、それぞれの表示速度を実速度に合わせている例である。
【0029】
2WD用補正部53および4WD用補正部54での補正は、車速演算部51で算出された車速を変数とする関数を用いて行うことができ、また、車速演算部51で算出された車速をアドレスとして入力する変換テーブルを用いて行うこともできる。テーブルを用いるものとすれば、そのテーブルの内容の書き込みだけで容易に複雑な補正を行うことが可能になり、また、その内容を適宜書き換えることにより、より現実的な補正が行われるように修正することも容易にできる。
【0030】
2WD/4WD検出部52の入力は、2WD/4WD切替スイッチ20の出力に基づいてコントロールユニット21が出力する2WD/4WDインジケータ56表示制御用の2WD/4WD信号とすることができる。
【0031】
2WD/4WD信号は、電源とコントロールユニット21の2WD/4WD信号端子との間に設けられている2WD/4WDインジケータ56の表示制御用の信号であり、例えば、車両の駆動が2WDであるとき「H」であり、4WDに切り替えらたときに「L」になる。これにより、2WD/4WDインジケータ56は、2WD走行時に消灯し、4WD走行時に点灯して、現在の駆動が2WDであるか4WDであるかを表示する。もちろん、2WD/4WDインジケータ56の表示態様はこれに限られず、その駆動回路を変更することにより種々の形態が考えられる。
【0032】
図7は、図5の車両用速度表示装置の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS1で、スピードセンサ22から出力されるスピードパルスを入力として車速を算出する。次に、ステップS2で、2WD/4WD信号に基づいて4WD作動信号の有無を調べる。ここで4WD作動信号が無い(図5では2WD/4WD信号が[H])と判断されればステップS3に進み、有る(図5では2WD/4WD信号が[L])と判断されればステップS4に進む。
【0033】
ステップS3では、ステップS1で算出された車速を2WD用補正係数を用いて補正し、ステップS4では、ステップS1で算出された車速を4WD用補正係数を用いて補正する。ステップS5では、ステップS3、S4で補正された車速を表示する。
【0034】
以上、実施形態について説明したが、本発明は種々の変形が可能である。例えば、スピードセンサ22は、後輪に限らず前輪の回転速度を検出するものであってもよく、スピードセンサ24と兼用とすることもできる。その場合に補正係数を前記実施形態と異ならせるのはもちろんである。
【0035】
また、2WD/4WD検出部52に入力する信号は、2WD/4WDインジケータ56の表示制御用の信号に限らず、それとは関係なくコントロールユニット21から直接導出されるものであってもよく、2WD/2WDの機構部側に設けたスイッチの出力であってもよい。また、2WD/4WDインジケータ56は、LED以外の表示素子であってもよく、ディスプレイ装置23にこの機能を持たせることもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1の発明によれば、2WD走行時には第1の演算部により2WD走行に応じた車速を算出することができ、4WD走行時には第2の演算部により4WD走行に応じた車速を算出することができるので、2WD走行時と4WD走行時との両方において実車速に対応した速度の表示精度を同一にすることができる。
【0037】
また、請求項2の発明によれば、2WD走行時、4WD走行時それぞれに合った補正係数を用いて車速を算出するので、2WD走行時であっても4WD走行時であっても実車速に対しての誤差が小さい表示速度を得ることができる。
【0038】
さらに、請求項3の発明によれば、2WDと4WDの切り替えがあった場合に、2WD用の演算と4WD用の演算とを自動的に切り替えて車速を演算させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用速度表示装置が適用された4輪バギーの斜視図である。
【図2】 2WD走行時と4WD走行時の実車速に対する表示速度の誤差の実測結果の特性図である。
【図3】 図2の特性を2WD走行時の車速をベースに補正した場合の特性図である。
【図4】 図2の特性を本発明によって補正する場合の説明図である。
【図5】 本発明に係る車両用速度表示装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図6】 2WD用および4WD用補正係数による補正結果の一例の説明図である。
【図7】 図5の車両用速度表示装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…4輪バギー、11…車体、12…ハンドル、13…前輪、14…シート、15…パワーユニット、16…後輪、17…フロントフェンダ、18…リアフェンダ、19…マフラ、20…2WD/4WD切替スイッチ、21…コントロールユニット、22、24…スピードセンサ、23…ディスプレイ装置、50…コンビネーションスピードメータ、51…車速演算部、52…2WD/4WD検出部、53…2WD用補正部、54…4WD用補正部、55…スピード表示部、56…2WD/4WDインジケータ、57…第1の車速演算部、58…第2の車速演算部
Claims (2)
- 2WD/4WD切替手段により2WDまたは4WDに切り替えて駆動可能な車両のいずれかの車輪の回転速度を検出する車輪回転速度検出手段と、前記車輪回転速度検出手段の出力に応じて車速を算出する車速演算手段と、前記車速演算手段で算出された車速を表示する表示手段と、を備えた車両用速度表示装置において、
車両の駆動が、後輪を駆動輪とする2WDであるか、前輪および後輪を駆動輪とする4WDであるかを検出する2WD/4WD検出手段を備え、
前記車輪回転速度検出手段は、前記後輪の回転速度を検出し、
前記車速演算手段は、前記車輪回転速度検出手段の出力および該出力を実車速に合うように補正するための第1の所定条件に基づいて車速を算出する第1の車速演算部と、前記車輪回転速度検出手段の出力および該出力を実車速に合うように補正するための第2の所定条件に基づいて車速を算出する第2の車速演算部とを有し、
前記表示手段は、前記2WD/4WD検出手段による検出結果に応じて、該検出結果が2WDであるときは前記第1の車速演算部により算出された車速を表示し、他方、4WDであるときは前記第2の車速演算部により算出された車速を表示し、
前記第1の所定条件は第1の補正係数であり、前記第2の所定条件は第2の補正係数であり、
前記第1の車速演算部は、前記車輪回転速度検出手段の出力と第1の補正係数を用いて車速を算出し、前記第2の車速演算部は、前記車輪回転速度検出手段の出力と第2の補正係数を用いて車速を算出し、
前記第1の補正係数は第2の補正係数よりも大きいことを特徴とする車両用速度表示装置。 - 前記2WD/4WD検出手段は、前記2WD/4WD切替手段の状態に応じて、車両の駆動が2WDであるか4WDであるかを検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用速度表示装置。
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