以下添付図面に基づいて本発明の画像形成装置を詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される電子写真方式を用いたカラー画像形成装置の概略構成図である。本構成図は、接触帯電器で感光体表面を帯電した後、レーザ光線の照射により静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像するゼログラフィエンジンをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について備えたタンデム型のカラー電子写真方式の画像形成装置のIOT(イメージアウトプットターミナル:画像出力部)の概要が示されている。尚、図中では画像形成装置の画像読取部や画像処理部などは省略している。
この画像形成装置のIOTは、図中矢印Aの方向にて回転する4つの感光体1Y、1M、1C、1Kと、この各感光体の表面を帯電する接触帯電器2Y、2M、2C、2Kと、帯電された各感光体表面を各色の画像情報に基づいて変調された露光光により露光し、各感光体上に静電潜像を形成するROS(レーザ出力部)3Y、3M、3C、3Kと、各感光体上の静電潜像を各色現像剤で現像して感光体上にトナー像を形成する現像器4Y、4M、4C、4Kと、感光体上の各色トナー像を中間転写体ベルト6に転写する一次転写器5Y、5M、5C、5Kと、中間転写体ベルト6上のトナー像を用紙Pに転写する二次転写器7と、用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着器9と、用紙Pを収納する用紙トレイTと、各感光体の表面をクリーニングするクリーナ(図示せず)と、各感光体表面の残留電荷を除去する除電器(図示せず)と、中間転写体ベルト6表面に転写された位置ずれ検出用基準パターン像及び濃度誤差検出用基準パターン像を検出するフォトセンサ10と、中間転写体ベルト表面をクリーニングするベルトクリーナ8とから構成されている。
本構成図に示されている画像形成装置における画像形成動作としては、先ず、画像読取部(図示せず)で原稿から読み取られた原画像信号、或いは外部のコンピュータ(図示せず)などで作成された原画像信号は画像処理部(図示せず)に入力される。この入力画像信号は、各色の画像情報に分解された後、ROS(レーザ出力部)3Y、3M、3C、3Kに入力され、レーザ光線Lが変調される。そして、この変調されたレーザ光線Lは、接触帯電器2Y、2M、2C、2Kにより一様帯電された感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に照射される。この各感光体表面にレーザ光線Lがラスタ照射されると、各感光体上にはそれぞれ入力画像信号に対応した静電潜像が形成される。続いて、各色現像器4Y、4M、4C、4Kにより各感光体上の静電潜像がトナーにより現像され、各感光体上にトナー像が形成される。各感光体上に形成されたトナー像は、各一次転写器5Y、5M、5C、5Kにより中間転写体ベルト6に転写される。この中間転写体ベルト6へトナー像の転写が終了した各感光体は、クリーナにより表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、除電器により残留電荷が除去される。
次に、中間転写体ベルト6上のトナー像は、二次転写器7により、用紙トレイから送られてくる用紙P上に転写された後、定着器9により用紙P上に転写されたトナー像が定着され所望の画像が得られる。用紙P上へのトナー像の転写が終了した中間転写体ベルトは6、ベルトクリーナ8により表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、一回の画像形成動作が終了する。
電子写真方式のカラー画像形成装置においては、温度・湿度などの環境条件や経時劣化などの影響により、画像濃度、各色トナー像の位置ずれ、色再現及び階調性やカブリといった画像変動が起こる。そのため、用紙Pへの画像出力前、或いは出力待機中に位置ずれや濃度誤差の補正を行う必要がある。その方法としては、まず、中間転写体ベルト6上に、位置ずれ検出用及び濃度誤差検出用の基準パターン像を形成する。そして、各基準パターン像をフォトセンサ10により検出し、制御部へ出力信号を送る。更に、この出力信号から得られた位置ずれ量や濃度誤差の結果より、必要に応じ、位置ずれ及び濃度誤差の補正を行っている。
図2は、図1に示されているカラー画像形成装置における、位置ずれ及び濃度誤差の補正の流れを示しているブロック図である。感光体1を接触帯電器2で帯電し、基準パターン像制御部11から出力される基準パターン像信号に応じてROS3で感光体1を露光することで静電潜像を形成し、現像器4により現像した後、中間転写体ベルト6に基準パターン像を転写する。そして、中間転写体ベルト6上に転写された基準パターン像をフォトセンサ10で読み込む。
検出情報抽出部12は、フォトセンサ10から出力される信号より、位置ずれ及び濃度誤差を検出し、制御部100は、検出情報抽出部12から送られる位置ずれ情報及び濃度誤差情報に応じてROS3のレーザパワーを制御して画像濃度を補正する。また、制御部100は、フォトセンサ10から出力される出力信号に応じて、ROS3の書き込みタイミングを制御し、画像形成位置を補正する。
図3は、中間転写体ベルト6上に形成される基準パターン像の配置図である。本実施例では、位置ずれ検出用基準パターン像M(図3(a))と、第1濃度検出モードにおける濃度誤差検出用基準パターン像D1(図3(b))と、第2濃度検出モードにおける濃度誤差検出用基準パターン像D2(図3(c))との3種類の基準パターン像の配列を用いる。位置ずれ検出用基準パターン像Mは、各単色で、網点カバレッジ:Cin=100%の3.5mm×7mmの大きさのV字状のパターン像を、シアン、イエロー、シアン、マゼンタ、シアン、ブラック、シアンの順に配置したパターン像の配列を採用している。第1濃度検出モードにおける濃度誤差検出用基準パターン像D1は、各単色で、網点カバレッジ:Cin=60%の1.8mm×1.3mmの大きさの矩形状のパターン像を、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの順に、それぞれのパターン像の間隔を15mm、1.3mm、1.3mmで配置したパターン像の配列を採用している。第2濃度検出モードにおける濃度誤差検出用基準パターン像D2は、各単色で、網点カバレッジ:Cin=60%の20mm×1.3mmの大きさの四角形のパターンを、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの順に、それぞれのパターン像の間隔を20mm、5mm、5mmで配置したパターン像の配列を採用している。このように、第2濃度検出モードにおける濃度誤差検出用基準パターン像D2は、第1濃度検出モードの基準パターン像D1に比べ、主走査方向の幅、及び各色の基準パターン像の間隔が広いものとなっている。その理由としては、位置ずれ検出結果が異常となり、濃度誤差検出用基準パターン像の形成位置が大きくずれた場合でも、各色の濃度誤差検出用基準パターン像が重なること無く確実にフォトセンサの測定位置を通過させるためである。
各基準パターン像は、制御部100からの指示により、基準パターン像制御部11により、位置調整、および濃度制御それぞれの動作時に作成される。具体的な動作については後程詳細を説明する。
図4は、本実施例におけるフォトセンサ10の概略構成図である。このフォトセンサ10は、照明手段と、受光光学系と、受光素子とから構成されている。この照明手段は、2つのLED10a、10bから成る。そして、受光光学系は、レンズ10cと、マスク10eとから構成されている。本図において、左右方向が主走査方向である。また、図5は、フォトダイオード10dからの出力信号が検出情報抽出部12で処理される流れを示すブロック図であり、AMPと、ピーク検出回路と、アンダーピーク検出回路と、2つのサンプル&ホールド回路とから構成され、各回路からの出力信号は、図2における制御部100へ送られる。
フォトセンサ10で位置ずれ及び濃度誤差を検知するためには、図3(a)で示されている位置ずれ検出用基準パターン像Mと、図3(b)で示されている濃度誤差検出用基準パターン像Dを照明手段により照射する必要がある。例えば、濃度誤差を検知する場合であれば、前述のように、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの順に並ぶ濃度誤差検出用基準パターン像D1を照明手段により照射する。しかし、ブラックの基準パターン像からの反射光と、シアン、イエロー、マゼンタの基準パターン像からの反射光とは、反射光の種類が異なる。そのため、これら2種類の反射光をひとつの受光素子(フォトダイオード10d)で検知するには、この受光素子へそれぞれの反射光が入射し得る位置から前記基準パターン像を照射しなければならず、照射する基準パターン像に応じ、2つの照明手段を使い分けている。
受光光学系のレンズ10cは、2種類の反射光のうち、1つの反射光については、フォトダイオード10dの受光面上に、反射光を結像させられるような配置となっている。しかし、反射光をフォトダイオード10dへ入射させる際には、その受光面上に反射光を結像させるか結像させないかに限らず、位置ずれ検出や濃度誤差検出に不要な反射光も入射してしまう。そのため、この不要な反射光を遮り、それぞれの検出に有効な反射光の成分だけをフォトダイオード10d受光面上へ導く必要がある。そこで、フォトダイオード10dの直前には、フォトダイオード10d受光面の視野領域を規制するマスク10eが設けられている。そして、このマスク10eは、迷光防止のため、黒色としている。この受光光学系を構成するレンズ10cとマスク10eにより、何れの反射光を入射させる場合であっても、フォトダイオード10d受光面の視野領域をほぼ等しくすることが可能となっている。
基準パターン像からの反射光がフォトダイオード10dの受光面上に投影されると、フォトダイオード10dはこの反射光量、すなわち基準パターン像の濃淡に応じた電流を出力する。図5に示すように、フォトダイオード10dから出力された電流は、AMP20で電流電圧変換/増幅された後、センサ出力信号として制御部(図示せず)、ピーク検出回路21、アンダーピーク検出回路23、及び、2つのサンプル&ホールド回路22、24に供給される。
ピーク検出回路21では、センサ出力信号の最大位置を検出し、ピーク検出信号としてサンプル&ホールド回路22に供給するとともに、制御部に出力される。このピーク検出回路22を用い、センサ出力信号の最大位置を検出することで、位置ずれ検出用基準パターン像の太さ方向における中心位置の検出が可能となる。そして、制御部では、このピーク検出信号をもとに位置ずれを計算し、位置ずれを補正している。
サンプル&ホールド回路22では、ピーク検出回路21から出力されるピーク検出信号をトリガとして、AMP20から出力されるセンサ出力信号をホールドする。これにより、センサ出力信号の最大値がホールドされ、ホールド信号として、制御部に出力される。制御部では、この最大値のホールド信号をもとに濃度誤差を計算し、画像濃度が補正されている。
アンダーピーク検出回路23では、センサ出力信号の最小位置を検出し、アンダーピーク検出信号としてサンプル&ホールド回路24に供給する。サンプル&ホールド回路24では、アンダーピーク検出回路23から出力されるアンダーピーク検出信号をトリガとして、AMP20から出力されるセンサ出力信号をホールドする。これにより、センサ出力信号の最小値がホールドされ、アンダーピークホールド信号として、制御部に出力される。制御部では、この最小値のホールド信号をもとに濃度誤差を計算し、画像濃度が補正されている。尚、AMP20、ピーク検出回路21、アンダーピーク検出回路23、サンプル&ホールド回路22、24は、一般的な電気回路を適用すればよく、それらの説明は省略する。
フォトダイオード10dからの出力信号により基準パターン像の濃度を検出するには、基準となる出力信号と基準パターン像より検出される出力信号とを比較しなければならない。そのため、基準光をフォトダイオード10dへ入射させる場合と基準パターン像からの反射光を入射させる場合とで切換えが可能な手段が必要となる。そこで、フォトセンサ10には、図6に示されているようなシャッター10fが、中間転写体ベルト6に対面するフォトセンサ10の筐体に摺動可能な状態で取り付けられている(図4)。本図は、シャッター10fをLED側から見た平面図である。このシャッター10fには、測定用窓10gと、センサの出力電圧の基準を得るための基準板10hが設けられている。そして、フォトダイオード10dへ入射させる反射光に応じ、図中の矢印方向に駆動装置(図示せず)により移動する機構を備えている。シャッター10fは、通常閉じた状態において基準板10hが受光系光軸上に配置されるような位置にあり、基準パターン像測定時のみシャッター10fが開き測定用窓10gが受光系光軸上に配置されるように移動する。
図7は、中間転写体ベルト6上に形成された位置ずれ検出用基準パターン像Mとフォトセンサ10の中間転写体ベルト6上における視野領域Rとの位置関係を時経過に沿って示したものであり、下方のグラフ(a)はフォトセンサ10の視野領域Rの位置に応じたセンサ出力信号の波形を示すものである。また、最下段のグラフ(b)は前記ピーク検知回路から出力される位置ずれ検出用基準パターン像Mのピーク検知信号を時経過と対応させて示したものである。ここで、制御用マークはその各辺M1、M2の太さtが視野領域Rの直径d(1mm)と同一より僅かに小さく形成されている。
中間転写体ベルト6上に一次転写された位置ずれ検出用基準パターン像Mは、かかる中間転写体ベルト6の回転に伴ってフォトセンサ10の前面を通過し、フォトセンサ10の視野領域Rを横切ることになる。位置ずれ検出用基準パターン像Mが中間転写体ベルト6と共に移動し、フォトセンサ10の視野領域Rが図7に示される中間転写体ベルト上のA点に差し掛かると、かかる視野領域R内に位置ずれ検出用基準パターン像Mの一辺M1が進入してくることになるので、センサ出力信号が変化を開始する。更に位置ずれ検出用基準パターン像Mが移動すると、視野領域Rに含まれる位置ずれ検出用基準パターンMの面積、すなわち視野領域Rと位置ずれ検出用基準パターン像Mの一辺M1との重複面積が拡大するので、センサ出力信号は徐々に上昇し、視野領域Rが位置ずれ検出用基準パターン像Mによって略覆われるB点においてセンサ出力信号は最大となる。
前述の如く、位置ずれ検出用基準パターン像Mの各辺M1、M2の太さtはフォトセンサ10の視野領域Rの直径dよりも僅かに小さく形成されていることから、位置ずれ検出用基準パターン像MがB点を過ぎると、今度は視野領域Rに含まれる位置ずれ検出用基準パターン像Mの面積、すなわち視野領域Rと位置ずれ検出用基準パターン像Mとの重複面積が減少していくので、センサ出力信号は徐々に下降し、位置ずれ検出用基準パターン像Mがフォトセンサ10の視野領域Rから完全に脱した時点でセンサ出力信号は最小となる(C点)。
このように図7に示した例では、位置ずれ検出用基準パターン像Mの一辺M1がフォトセンサ10の視野領域Rを通過する際に(A点からB点の間)、かかる視野領域Rと制御用マークMとの重複面積が中間転写体ベルト6の進行に伴って連続的に変化しており、同じ強度のセンサ出力信号が継続してフォトセンサ10から出力されることがないように構成されている。すなわち、センサ出力信号には瞬間的に最大値が発生することになる。このようなセンサ出力信号の波形は、フォトセンサ10の視野領域Rを円形状に形成すると共に、位置ずれ検出用基準パターン像Mの太さを視野領域Rの直径と同一にするか、それよりも小さくすることで容易に得ることができる。
多色刷印刷機、カラー複写機、カラープリンタ等では、位置ずれ検出用基準パターン像Mを中間転写体ベルト等の移動体上に形成する際に、その時の温度湿度等の環境条件によって位置ずれ検出用基準パターン像Mの太さが変化してしまうこともあり、フォトセンサ10の視野領域Rの直径と完全に同一の太さの位置ずれ検出用基準パターン像Mを形成することは困難である。従って、前述の如く、位置ずれ検出用基準パターン像Mの太さが視野領域Rの直径よりも小さい場合であっても、センサ出力信号の波形に瞬間的な最大値が発生することは、実際にカラープリンタ等を構成する際に有利である。
図7に示すようにセンサ出力信号の波形に瞬間的な最大値が発生する場合、その最大値は位置ずれ検出用基準パターン像Mの一辺M1の太さ方向の中心位置(重心位置)がフォトセンサ10の視野領域Rの中心位置に合致した場合に発生する。従って、前記ピーク検知回路でセンサ出力信号の最大値(ピーク)を検知し、図7(b)に示すように、この最大値に合わせてパルス状のピーク検知信号を出力するように構成すれば、かかるピーク検知信号の立ち上がりエッジ部分が位置ずれ検出用基準パターン像Mの一辺M1の中心位置(重心位置)を示していることになり、かかるM1の位置を正確に検出することができる。
また、図3(a)及び図7に示した位置ずれ検出用基準パターン像Mは、中間転写体ベルト6の移動方向に対して異なる方向へ略45度に傾斜した2辺M1、M2を有してV字状に形成されていることから、この位置ずれ検出用基準パターン像Mの一つを本実施例のフォトセンサ10で検出することにより、主走査方向と副走査方向の位置ずれ量を一度に把握することができるようになっている。すなわち、センサ出力信号は視野領域RがC点に達することで一旦は最小となるが、かかる視野領域RがD点を過ぎると、再び位置ずれ検出用基準パターン像Mの辺M2と視野領域Rが重なり始めることから、再度立ち上がり始め、かかる辺M2の太さ方向の中心位置が視野領域Rの中心位置と重なったE点で最大値を示す。そして、M2と視野領域Rの重複面積が減少するにつれて、センサ出力信号も小さくなり、位置ずれ検出用基準パターン像Mが視野領域Rから脱したF点で最小出力に戻るのである。
このため、図3(a)に示したV字状の位置ずれ検出用基準パターン像Mをフォトセンサ10で読み込むと、図7(b)に示すように、位置ずれ検出用基準パターン像Mの各辺M1、M2太さ方向の中心位置(重心位置)が視野領域Rの中心位置と重なったB点及びE点に対応して、一対のパルス状ピーク検知信号がピーク検知回路から出力される結果となる。
次に、本実施例の位置ずれ補正、及び濃度誤差補正の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。ユーザからの画像出力の指示があると、先ず、ステップS1において、位置ずれ補正を実行するか否かを判断する。ここでは、例えば、電源投入時、一定時間の画像形成装置停止後の実行時、環境温度が所定値(例えば4℃)変化した場合等に、位置ずれ補正を実行すると判断する。この判断基準は一例で、従来公知の位置ずれ補正の実行判断基準を用いてもよい。ここで、位置ずれ補正を実行すると判断した場合には、ステップS2へ進み、位置ずれ補正を実行した後、ステップS3へ進む。なお、位置ずれ補正の具体的な内容については後程詳細に説明する。位置ずれ補正を実行しないと判断した場合には、ステップS1から直接ステップS3へ進む。
ステップS3以降の説明の前に、本実施例における位置ずれ補正の動作を図9のフローチャートを用いて説明する。位置ずれ補正では、先ず、ステップS11において、図3(a)に示した位置ずれ検出用基準パターン像Mを中間転写体ベルト上に形成する。そして、ステップS12において、フォトセンサ10により基準パターン像を測定し、その後、ステップS13において、フォトダイオード10dの出力信号をもとに検出情報抽出部12にてピーク検出回路から出力されたピーク検出信号より、基準色シアンの主走査方向の目標値に対する絶対値位置ずれ量、基準色シアンに対する、イエロー、マゼンタの相対位置ずれ量の測定および計算を制御部100で行うものとなっている。
本実施例において、基準パターン像の位置ずれ量は、図10に示されている基準パターン像測定時のタイミングチャートから計算して求められている。図10において、上からフォトセンサ10のシャッター10fの動作信号、フォトセンサ10のLED10bの点灯信号、センサ出力信号、ピーク検出信号の波形が示されている。
図10中に示されているように、位置ずれ量の測定は、まず、シャッター10fを閉じ、LED10bを消灯した状態から開始される。基準パターン像がセンサの測定位置を通過する前にシャッターを開いた後、LED10bを点灯させる。この時、センサ出力信号は、0Vとなっている。これは、本実施例で使用されている中間転写体ベルト6は、表面が黒色で鏡面または光沢を持ったものであり、中間転写体ベルト6表面の非画像部では、LED照明光をほとんど拡散しないため、センサ出力信号は0Vとなるのである。
シャッターが開いた状態のまま、シアンの基準パターン像の1辺が通過することにより、センサの出力信号は、シアンのトナー量に対応したパルス状の波形となる。この際、図5に示されているように、ピーク検出回路21で、センサ出力信号の最大値を検出し、ピーク検出信号が出力される。ここで、位置ずれ測定開始からピーク検出信号が出力されるまでの時刻をtA1とする。そして、基準パターン像の残り1辺の通過に伴い、ピーク検出回路21で検出されるピーク検出信号が出力されるまでの時刻をtA2とする。
以後、同様にして、イエロー、シアン、マゼンタ、シアン、ブラック、シアンの基準パターン像の通過に伴い、ピーク検出信号が出力されるまでの時刻tT1、tT2、tB1、tB2を順次測定する。尚、図10においては、シアン、イエロー、シアンの基準パターン像までの通過の状態を示している。その後、すべての基準パターン像がセンサの測定位置を通過した後、シャッター10fは閉じられ、LEDは消灯される。これにより、1回の基準パターン像測定動作が終了されるのである。
次に、位置ずれ量の計算は、基準色シアンの主走査方向の目標値に対する絶対値位置ずれ量、基準色シアンに対する、イエロー、マゼンタの相対位置ずれ量を求めることにより行っている。先ず、基準色シアンの主走査方向絶対値位置ずれ量は、
主走査方向絶対値位置ずれ量 ={(tA2-tA1)-目標値}/2
で求められ、基準色シアンに対する、イエローの相対位置ずれは、
副走査方向位置ずれ = [(tT2+tT1)/2-((tA2+tA1)/2+(tB2+tB1)/2)/2]×PS
= [(tT2+tT1)/2-(tA2+tA1)/4-(tB2+tB1)/4]×PS
主走査方向位置ずれ = [((tB1+tA1)/2-tT1+副走査方向誤差
+tT2-(tB2+tA2)/2-副走査方向誤差)/2]×PS
= [((tB1+tA1)/2-tT1+tT2-(tB2+tA2)/2)/2]×PS
で求めることができる。ここで、tA1、tA2、tT1、tT2、tB1、tB2は、位置ずれ測定開始からピーク検出信号が出力されるまでの時刻(μs)、PSは、プロセス速度(mm/s)である。基準色シアンに対する、マゼンタ、ブラックの相対位置ずれ量も同様に計算する。
この計算は、図9のステップS13に該当し、制御部100で、位置ずれ量の測定および計算終了後、ステップS14で出力画像形成時の画像形成位置、すなわちROSによる主走査方向、および副走査方向の露光タイミングを設定する。これら一連の動作により、1回の位置ずれ補正動作が終了する。
次に、図8のフローチャートへ戻り、ステップS3以降の動作を説明する。ステップS3では、濃度誤差補正を実行するか否かを判断する。ここでは、たとえば、電源投入直後、または、前回濃度誤差補正を実行した後の出力画像の累積枚数が所定値(例えば30枚)を越えた場合に濃度誤差補正を実行すると判断する。この判断基準も、従来公知の判断基準を用いてもよい。ここで、濃度誤差補正を実行すると判断した場合、ステップS4に進み、濃度誤差補正を実行しないと判断した場合には、ステップS3から直接ステップS7に進む。
ステップS4では、直前の位置ずれ補正実行時の位置ずれ検出情報を、予め設定しておく基準値(=想定される位置検知範囲)と比較することにより、この位置ずれ検出情報が正常か異常かを判断する。位置ずれ検出情報が正常と判断された場合には、ステップS5に進み、第1濃度検出モードを実施する。一方、位置ずれ検出情報が異常と判断された場合や、位置ずれの発生が懸念される状況では、ステップS6に進み、第2濃度検出モードを実施する。なお、ここで示した判断基準も、従来公知の判断基準を用いてもよい。例えば、ピーク検出信号が、所定数測定できているか否かなどを判断基準として用いてもよい。
次に本実施例の第1濃度検出モード、及び第2濃度検出モードの動作を説明する。ここで、第1濃度検出モードと第2濃度検出モードとの違いは、作成する濃度誤差検出用基準パターン像が異なるのみで、他の動作は同じであるため、以後は第1濃度検出モードについて説明する。第2濃度検出モードでは、第1濃度検出モードの濃度誤差検出用基準パターン像D1(図3(b))の代わりに、濃度誤差検出用基準パターン像D2(図3(c))を出力し、濃度誤差の検出を行う。
本実施例における濃度誤差補正の動作は、図11に示されているフローチャートのようになる。先ず、ステップS21において、図3(b)に示した濃度誤差検出用基準パターン像D1を中間転写体ベルト上に形成し、次に、ステップS22において、フォトセンサ10により基準パターン像を測定する。その後、ステップS23において、フォトダイオード10dの検出信号をもとに検出情報抽出部12にてサンプル&ホールド回路から出力されたホールド信号から、基準パターン像の濃度誤差を制御部100で計算する。
基準パターン像の濃度誤差は、図12に示されている濃度誤差検出用基準パターン像測定時のタイミングチャートから計算して求められている。図12において、上からフォトセンサ10のシャッター10fの動作信号、フォトセンサ10のLED10a、10bの点灯信号、センサ出力信号、ピーク検出信号、ピークホールド信号、アンダーピーク検出信号、アンダーピークホールド信号の各波形が示されている。
図12に示されているように、濃度測定は、まず、シャッター10fを閉じ、LED10a、10bが消灯した状態から開始される。基準パターン像がセンサの測定位置を通過する前にシャッターを開いた後、LED10aを点灯させる。この時、センサ出力信号は中間転写体ベルト6からの反射光に応じた電圧値にて出力される。その後、ブラックの基準パターン像の通過により、センサの出力電圧は、ブラックのトナー量に対応して減少するパルス状の波形となる。この際、図5に示されているように、アンダーピーク検出回路23により、センサ出力信号の最小値が検出され、アンダーピーク検出信号が出力される。サンプル&ホールド回路24では、アンダーピーク検出回路23から出力されるアンダーピーク検出信号の立上がりパルスをトリガとして、ブラックのトナー量に対応したセンサ出力信号の最小値をホールドすることにより、ブラックの濃度電圧(Vk)が測定される。次に、ブラックの基準パターン像通過後、センサ出力信号は、再び、中間転写体ベルトからの正反射光に応じた電圧値を示すこととなり、この値をベルト面電圧(Vbelt)として測定する。そして、このベルト面電圧測定後、LED10aを消灯すると共に、LED10bを点灯することにより、センサ出力信号は0Vとなる。
その後、シアンの基準パターン像の通過により、センサの出力信号は、シアンのトナー量に対応したパルス状の波形となる。この際、ピーク検出回路により、センサ出力信号の最大値が検出され、ピーク検出信号が出力される。サンプル&ホールド回路22では、ピーク検出回路から出力されるピーク検出信号の立上がりパルスをトリガとして、シアンのトナー量に対応したセンサ出力信号の最大値をホールドすることにより、シアンの濃度電圧(Vc)が測定される。以後、同様にして、イエロー、マゼンタパターンの通過により、イエローの濃度電圧(Vy)、マゼンタの濃度電圧(Vm)を測定する。
すべての基準パターン像がセンサの測定位置を通過した後、シャッター10fは閉じられる。これにより、センサ出力信号は、シャッター10fの基準板10hからの反射光に対応した電圧値が出力され、これをセンサの基準板出力電圧(Vref)として測定する。 その後、LED10bは消灯され、1回の基準パターン像測定動作を終了する。
画像濃度の計算は、ブラックと、カラー(CYM)でその計算方法が異なる。ブラックの画像濃度は、中間転写体ベルト6の非画像面に対する相対値を
画像濃度:Dk= Vk / Vbelt
と定義し、計算する。それに対し、カラー(CYM)の画像濃度は、基準板10hの出力に対する相対値を
画像濃度:Dn=(( Vn平均値 ) / Vref )
ただし、n=トナー色(c、y、m)
定義し、計算する。
このように、画像濃度として中間転写体ベルト6面、或いは基準板10hの出力に対する相対値を用いる理由は、センサの汚れや、経時変化、温度変化によりLED光量やPD感度などの変動が生じても、基準パターン像の濃度を高精度に測定するためである。このようにして、図11のステップS23で、基準パターン像の画像濃度が計算され、ステップS24で予め決められている濃度目標値と、計算された画像濃度との誤差が計算される。
図11のステップS25における、ROSレーザーパワーの補正量:ΔLPは、
レーザーパワーの補正量:ΔLP=ΔDn / An
ただし、n=トナー色(k、c、y、m)
で求められる。ここで、ΔDnはステップS24で求めた、基準パターン像の濃度誤差、Anはレーザーパワーと基準パターン像の画像濃度との対応関係を示す係数である。この係数は、予め実験などにより求めておく。
次に、ステップS26で、基準パターン像形成時のレーザーパワーから、ステップS25で求めたレーザーパワーの補正量:ΔLPを減じることにより、レーザーパワーの設定値を補正する。この際得られたレーザーパワー設定値は、出力画像形成時のレーザーパワーとしてROS3に供給される。以上の動作により、1回の濃度誤差補正の動作が終了し、その後、図8のステップS7に進み、出力画像の形成を行う。以上のように、位置ずれ補正の動作及び濃度誤差補正の動作を定期的に繰り返すことにより、画像形成位置、および出力画像濃度が一定に保たれる。
以上説明してきたように、本発明の画像形成装置では、位置ずれ検出結果に応じ、第1濃度検出モード或いは第2濃度検出モードを選択することができる構成となっている。第1濃度検出モードは、位置ずれや位置ずれ検出結果が正常である場合に適用する。そして、第2濃度検出モードは、位置ずれや位置ずれ検出結果に異常が発生した場合に適用する。この第2濃度検出モードは、位置ずれや位置ずれ検出結果の異常の程度に応じ、濃度誤差検出用基準パターン像のサイズ、間隔、数などを調整している。これにより、濃度誤差検出精度の低下を防止することができる。
上記実施形態では、濃度誤差検出用基準パターン像を2種類としたが、これに限らず、例えば、位置ずれ量に応じて、濃度誤差検出用基準パターン像の主走査方向長さ、及び/又は間隔を位置ずれ量に比例して3種類以上に可変させることとしてもよい。また、主走査方向サイズ、或いは間隔の何れか一方を変えてもよく、更に、濃度パターンの個数を各色2個以上としてもよい。
上記の実施形態では、濃度誤差検出用基準パターン像を網点カバレッジ:60%の1種類としたが、これは単なる一例であり、本発明の適用範囲は、この実施形態に限定されるものではない。網点カバレッジ:Cinの値は、画像形成装置に合わせ任意に選択可能である。また、異なるCinの値の2種類以上の基準パターン像を形成してもよい。そして、基準パターン像のサイズも、この実施形態に限定されるものではなく、画像形成装置の想定される位置ずれ量に合わせ、そのサイズを変更しても差し支えない。
位置ずれ検出用基準パターン像の形状については、V字状の基準パターン像に限定されるものではなく、例えば、主走査方向に伸びた線状のパターンを用い、画像濃度と、副走査方向位置を検出する基準パターン像を適用してもよい。このような基準パターン像を用いることにより、基準パターン像の副走査方向の長さをより短くすることができる。また、これ以外の既知の基準パターン像を用いることも可能である。更には、粗調整と、微調整など、2種類以上の調整モードを設け、調整モードに応じて基準パターン像のサイズを切替える構成としてもよい。
上記の実施形態では、IOTが、感光体、接触帯電器、ROS、現像器からなるゼログラフィエンジンをイエロー、マゼンタ、シアン、黒各色毎に備え、感光体上トナー像を中間転写体ベルト上に一次転写した後、用紙に転写、定着する方式のカラー電子写真方式の例について説明した。しかし、本発明の適用範囲は、この実施形態に限定されるものではない。例えば、中間転写体ベルトの代わりに用紙搬送ベルトを用い、感光体上のトナー像を用紙搬送ベルトで搬送される用紙上に直接転写する方式のものや、ベルト状、又は、ドラム状感光体に各色毎に設けられた、帯電器、露光器現像器により、感光体上で各色トナー像を重ねあわせる方式の画像形成装置であっても、同様の効果を発揮することができる。或いは、黒単色の画像形成装置であっても、同様の効果を発揮することができる。また、露光装置としては、ROSに限らずLEDアレイを用いたものでもよい。
そして、上記実施形態では、基準パターン像の形成は中間転写体ベルト上としたが、画像形成装置の構成に応じて、感光体上、用紙搬送ベルト上、用紙上の何れに形成してもよい。そして、基準パターン像の形成場所に応じ、フォトセンサの構成を、例えば、CCDやCMOSイメージセンサなどを用いるものとしてもよい。
また、上記実施形態では、出力画像の位置ずれ補正と濃度誤差補正の両方を行うこととしたが、これに限らず、例えば、黒単色の画像形成装置においては、位置検知のみを行い、位置ずれ補正は行わないこととしてもよい。
更に、上記実施形態では、単一の光学センサ(本実施形態ではフォトダイオード)を用いて位置ずれと濃度誤差の両方を検知していたが、これに限らず、例えば、位置ずれ検知と濃度誤差検知を別の光学センサを用いて行うものでもよい。例えば、中間転写体ベルト上の主走査方向の画像作成領域の両端部で位置ずれを検知し、中央で濃度誤差を検知するものとしても差し支えない。この場合には、予め、中間転写体ベルト上の主走査方向における位置ずれ検知位置と濃度誤差検知位置の関係を求めておくのがよい。
更にまた、上記実施形態のフォトセンサは、基準パターン像の位置ずれ情報と濃度誤差情報との検出を同一のフォトセンサで共用させることとしているが、これに限らず、位置ずれ情報と濃度誤差情報を別々のフォトセンサで検出することとしてもよい。そして、上記実施形態では、1個のフォトセンサを用いる例を示したが、これは単なる一例で、本発明の適用範囲は、この実施形態に限定されるものではなく、主走査方向に複数個フォトセンサを配置し、主走査方向の倍率ずれや、スキューずれ(中間転写体ベルト上に形成された画像がある傾きをもってしまうこと)などを補正することとしてもよい。
最後に、上記実施形態では、濃度誤差の補正量としてレーザーパワー設定値を用いる例を示したが、これは単なる一例で、本発明の適用範囲は、この実施形態に限定されるものではなく、出力画質の調整が行えるものであればどのような補正量であっても構わない。例えば、帯電器の帯電電圧設定値や現像バイアス設定値、トナー供給量、入力画像信号の変換テーブルの係数などを用いても良い。また、これらの操作量を複数用いて制御しても良い。
1Y、1M、1C、1K・・・感光体、2Y、2M、2C、2K・・・接触帯電器、3Y、3M、3C、3K・・・ROS(レーザ出力部)、4Y、4M、4C、4K・・・現像器、5Y、5M、5C、5K・・・一次転写器、6・・・中間転写体ベルト、7・・・二次転写器、8・・・ベルトクリーナ、9・・・定着器、10・・・フォトセンサ、10a、10b・・・LED、10c・・・レンズ、10d・・・フォトダイオード、10e・・・スリット、10f・・・シャッター、10g・・・測定用窓、 10h・・・基準板、11・・・基準パターン像制御部、12・・・検出情報抽出部、100・・・制御部、M・・・位置ずれ検出用基準パターン像、D1、D2・・・濃度誤差検出用基準パターン像