特開平7−253693号公報
特開2002−108163号公報
現在、画像形成装置による出力画像の画質は目覚ましく向上しており、これにより、ユーザの画質変動に対する要求は一段と厳しくなってきている。そのため、出力画像へ何ら影響を与えずに画質を調整することが必要とされている。
画質を調整する際に、感光体に帯電バイアスを印加させるタイミング及び現像器に現像バイアスを印加させるタイミングを変化させる場合、或いは、帯電電位及び現像電位を変更する場合、感光体の主走査方向に平行な帯状のトナー像(以下「トナーバンド」という)が発生することがある。そして、トナーとキャリアを用いる二成分現像が適用されている画像形成装置において同様に変化や変更を行った場合、キャリアにトナーが混じった現像剤帯(以下「キャリアバンド」という)が発生することがある。
このトナーバンドやキャリアバンドは、正規な画像とは異なるため、様々な問題を引き起こす。例えば、中間転写体ベルトや用紙搬送ベルト等の像担持体の周辺を汚し、また、転写器に転移された結果、記録用紙を汚し、更に、汚れた記録用紙を介して定着器を汚すなど画像形成装置内部だけではなく、記録用紙も汚すことになる。また、現像器からのトナー及びキャリアを不必要に消費してしまうことになる。
ところで、トナーバンドやキャリアバンドは、帯電バイアス又は現像バイアスを印加させるタイミングを変化させた結果、或いは、帯電電位又は現像電位を変更した結果、感光体の帯電電位と現像器の現像電位の差が一定範囲を超えることによって生じる。例えば、ある極性に帯電されたトナーは相対的に反対の極性を持った部分に転移し、また、電位差が大きければ多量のトナーが転移する。つまり、現像器から感光体へのトナーの転移はトナーとキャリアの付着力に比べ、引き離す力の方が大きい場合に起こる。そのため、トナーバンドは感光体の帯電電位と現像器の現像電位が等しい場合、若しくは帯電電位が現像電位より相対的にトナー極性側であれば、現像器から感光体にトナーが転移することは無く、トナーと逆極性側であっても電位の差が小さければトナーバンドは生じない。
一方、キャリアバンドは、トナーの転移同様、現像器から感光体へのキャリアの転移もキャリアと現像ロールとの付着力に比べ引き離す力が大きい場合に起こる。そのため、キャリアバンドは帯電電位と現像電位が等しい場合、若しくは、帯電電位が現像電位より相対的にキャリア(反トナー)極性側であれば現像器から感光体に転移することは無く、キャリアと逆極性側であっても電位の差が小さければキャリアバンドは生じない。
ここで、帯電電位或いは現像電位を印加させるタイミングを変化させた結果、像担持体上にトナーバンド又はキャリアバンドが形成される様子を示しているのが図7である。分図(a)において、帯電電位E(直線にて図示)は、現像電位D(点線にて図示)よりも遅く立ち上がっている。その結果、現像電位Dが所定の電位に達しても帯電バイアスが印加されていない領域においては、現像電位Dと、帯電電位Eとの間に電位差V1が生じる。この時、電位差V1が一定範囲を超える場合には、像担持体100の表面にトナーバンドBが形成される。
これに対し、分図(b)において、帯電電位E(直線にて図示)は、現像電位D(点線にて図示)よりも早く立ち上がっている。その結果、帯電電位Eが所定の電位に達しても現像バイアスが印加されていない領域においては、帯電電位Eと、現像電位Dとの間に電位差V2が生じる。この時、電位差V2が一定範囲を超える場合には、像担持体100の表面にキャリアバンドCが形成される。
従って、図7に示したように、画像形成開始時など帯電電位或いは現像電位を印加させるタイミングを変化させる、或いは、帯電電位又は現像電位を変更させる場合、変化や変更の過渡期において帯電電位と、現像電位との差が一定範囲を短時間ではあるが超えるため、トナーバンドやキャリアバンドが発生するのである。
このトナーバンドやキャリアバンドを防ぐ方法として、感光体回転開始及び停止時に感光体の表面電位と、現像バイアス電圧との相対的電位差をキャリア飛び発生限界最大電位差とトナー付着量最小電位差の範囲内で段階的に制御する方法(特開平7−253693号公報)が提案されている。しかし、感光体の表面電位と、現像バイアス電圧との電位差を、キャリア飛び発生限界最大電位差とトナー付着量最小電位差の範囲内で段階的に制御することは複雑であり、制御装置に負荷が掛かってしまうという問題があった。また、感光体回転開始及び停止時に毎回バイアスを段階的に変化させるため、画像形成に時間が掛かってしまうという問題もあった。
また、画像形成を開始するにあたり、表面電位検出手段により検出された感光体の表面電位が所定の電位に達したときの時刻を制御手段により認識させ、この時刻から一定の時間が経過した時刻に制御手段からの信号により現像剤担持体に現像バイアスを印加させる方法(特開2002−108163号公報)が提案されている。しかし、表面電位検出手段の表面電位に対する感度は、取付状態に左右されやすい。また、帯電器に帯電バイアスを印加させる電源と、現像器に現像バイアスを印加させる電源とが、それぞれ異なる表面電位の立ち上がり特性や変化特性を有する。そのため、表面電位検出手段の取付状態や電源装置の特性のバラツキ等の影響により、制御が困難であるといった問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、所定の条件下において発生したトナーバンドやキャリアバンドを防止することができる画像形成装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、回動する感光体と、前記感光体の表面を均一に帯電させる帯電手段と、前記帯電手段へ帯電バイアスを印加させる帯電電源と、前記静電潜像に応じトナー像が前記感光体へ形成される現像手段と、前記現像手段へ現像バイアスを印加させる現像電源と、前記感光体からトナー像が転写される像担持体と、発光素子及び受光素子を有し、前記像担持体の表面に形成されるトナー像を光学的に読み込む検出手段と、前記帯電電源及び前記現像電源へ帯電バイアス印加信号及び現像バイアス印加信号をそれぞれ発信する制御部とから構成される画像形成装置において、前記検出手段は、前記帯電バイアス及び前記現像バイアスの少なくとも何れか一方を変化或いは変更する際、過渡的に前記像担持体の表面に形成される主走査方向に平行な帯状現像剤を検出し、前記制御部は、前記検出手段の検出信号から算出された前記帯状現像剤の副走査方向の幅に基づき前記帯電バイアス印加信号及び前記現像バイアス印加信号の少なくとも何れか一方の発信時期を補正することを特徴とするものである。
このような本発明の画像形成装置において、前記帯電手段は前記感光体の主走査方向幅全域に亘り当接し、前記感光体の表面を所定の電位に帯電させられるものでなければならない。そして、前記帯電電源は、前記感光体を所定の電位に帯電させる帯電バイアス電圧を前記帯電手段へ印加できるものでなければならない。これにより、前記感光体の表面を均一の電位で帯電することが可能となる。
前記現像手段は、前記感光体の主走査方向幅全域に亘り当接していなければならない。そして、前記現像電源は、現像に要する所定の現像バイアス電圧を前記現像手段へ印加できるものでなければならない。これにより、前記感光体の表面に形成された静電潜像に応じ、前記現像手段のトナーを前記感光体の表面に転移させ、トナー像を形成することができる。また、前記現像手段はトナー及びキャリアから成る二成分現像剤を使用するものでもよい。尚、前記現像手段については、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4色以外にもコーポレートカラーなどの特色を加え、それぞれに前記現像電源を備える構成とすることもできる。
前記像担持体としては、タンデム方式のカラー画像形成装置において各色の感光体表面に形成される記録画像が多重転写される中間転写体ベルトを適用することができる。または、記録シートを静電吸着し搬送する搬送ベルトの対向位置に各色の感光体を配設し、記録シートの搬送と共に順次各色の記録画像が記録シートへ静電転写される搬送ベルトを適用することも可能である。
前記検出手段は、画質調整において、前記像担持体の表面に形成される画質調整用のトナー像を検出することができるものであればよく、発光素子と受光素子とを組み合わせ、前記トナー像を発光素子により照射した際に、受光素子へトナー像からの反射光またはトナー像を透過した透過光を入射できる位置に配置されているものであれば差し支えない。この時、前記発光素子により、イエロー、マゼンタ、シアン3色のトナー像が照射された場合には拡散反射光が、そして、ブラックのトナー像が照射された場合には正反射光が反射されるので、拡散反射光及び正反射光専用の計2つの発光素子を備え、各発光素子をそれぞれの反射光が入射し得る位置に配置するのがよい。また、拡散反射光を前記受光素子の受光面で受光する際には、この反射光を前記受光面へ結像させる、つまり焦点を合わせ映し出すため、前記像担持体と前記受光素子との間にレンズを配置し、結像光学系を構成することが好ましい。この結像光学系を構成することにより、焦点を合わせた状態でトナー像を前記受光面へ映し出すことができ、精度の高い検出が可能となる。更に、前記受光素子の前面には、当該受光素子の視野領域を制限するマスクを設けるとよい。これにより、前記像担持体の表面に形成されているトナー像が小さい場合であっても、当該トナー像からの反射光で光力が強い光のみを前記受光素子へ入射させることができる。
前記制御部は、前記帯電電源及び前記現像電源へ所定のタイミングで帯電バイアス印加信号及び現像バイアス印加信号をそれぞれ発信することができなければならない。これにより、前記像担持体の表面に前記帯状現像剤が形成された場合において、前記帯状現像剤を減少させることが可能となる。尚、前記帯状現像剤は、トナーにより前記像担持体の表面に形成されるトナーバンド、或いは、前記現像手段として、二成分現像剤が適用されている場合には、キャリアにトナーが混ざることにより前記像担持体の表面に形成されるキャリアバンドの両方が該当する。
画像形成装置において、前記帯電電源により前記帯電手段へ帯電バイアスが印加され、前記感光体の表面が帯電電位に達するまでの電位の立ち上がり特性は、前記帯電電源自体の特性と、画像形成装置内の温度や湿度とが影響される。そのため、温度や湿度等の環境が変化する前後において同じタイミングで前記制御部から前記帯電バイアス印加信号及び前記現像バイアス印加信号をそれぞれ発信した場合、トナーバンドやキャリアバンドが発生することがある。
トナーバンドやキャリアバンド(以下、単に「バンド」という)が発生した場合には、前記検出手段によりバンドを検出するとよい。ここで、前記検出手段は、画質調整用のトナー像を検出できる構成となっているため、各色について発生し得るバンドを検出することができる。従って、バンドを検出するために専用の検出手段を新たに備える必要がなく、前記制御部において前記検出手段で検出されたバンドの検出信号から当該バンドの幅を算出可能な構成とすることにより、前記検出手段を増やすことなく画質調整用のトナー像及びバンドを検出することが可能となる。
画像形成装置においては、前記帯電電源が有する特性の他、前記現像電源が有する特性がある。また、生産過程における生産能力のバラツキにより、画像形成装置はそれぞれ固有の特性を有する。ここで、バンドの発生が画像形成装置固有の特性が原因となっている場合には、工場出荷時や画像形成装置の調整直後等に予めバンドを前記検出手段により検出し、その検出信号から算出されたバンドの幅を記憶させる記憶部を前記制御部に備えるとよい。これにより、画像形成装置固有の特性が起因となっているバンドについては、前記記憶部にバンドの幅を記憶させることにより、画像形成装置固有の特性を無視することができ、所定の条件下のみにおいてバンド検出を行い、必要に応じ前記帯電バイアス印加信号或いは前記現像バイアス印加信号の発信時期を調整する構成とすることが可能となる。ここでの所定の条件下とは、画像形成装置内の環境変化が確認された場合や、帯電バイアスと、現像バイアスとの少なくても何れか一方のバイアスを変化或いは変更させた結果、帯電電位及び現像電位の立ち上がり特性の変化が見込まれる場合に該当し、これは画質調整を行う条件と重なる場合があり、バンド検出のためだけに画像形成動作を中断させることを減らすことができる。
また、バンドの補正が必要な場合においては、予めトナーバンドが発生し得るようなタイミングで帯電バイアス或いは現像バイアスを印加させて画像形成プロセスを実行するのがよい。これにより、トナーバンドを予め設定した幅で発生させるようにすることでキャリアバンドの発生を抑えることが可能となり、予め設定した幅のトナーバンド幅のずれを検出及び算出することができる。尚、予めトナーバンドを発生させるのは、仮にキャリアバンドを発生させた場合には、前記現像手段のキャリアが不足したり、通常であればトナーが現像、転写されるべきところにキャリアが含まれることで前記感光体や前記像担持体を傷付ける恐れがあるからである。
以上のように構成される本発明の画像形成装置によれば、所定の条件下において発生したトナーバンドやキャリアバンドを防止することが可能となる。
以下添付図面に基づいて本発明の画像形成装置を詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される電子写真方式を用いたカラー画像形成装置の概略構成図である。本構成図は、接触帯電器で感光体表面を帯電した後、レーザ光線の照射により静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像するゼログラフィエンジンをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について備えたタンデム型のカラー電子写真方式の画像形成装置のIOT(イメージアウトプットターミナル:画像出力部)の概要が示されている。尚、図中では画像形成装置の画像読取部や画像処理部などは省略している。
この画像形成装置のIOTは、図中矢印Aの方向にて回転する4つの感光体1Y、1M、1C、1Kと、この各感光体の表面を帯電する接触帯電器2Y、2M、2C、2Kと、帯電された各感光体表面を各色の画像情報に基づいて変調された露光光により露光し、各感光体上に静電潜像を形成するROS(レーザ出力部)3Y、3M、3C、3Kと、各感光体上の静電潜像を各色現像剤で現像して感光体上にトナー像を形成する現像器4Y、4M、4C、4Kと、感光体上の各色トナー像を中間転写体ベルト6に転写する一次転写器5Y、5M、5C、5Kと、中間転写体ベルト6上のトナー像を用紙Pに転写する二次転写器7と、用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着器9と、用紙Pを収納する用紙トレイTと、各感光体の表面をクリーニングするクリーナ(図示せず)と、各感光体表面の残留電荷を除去する除電器(図示せず)と、中間転写体ベルト6表面に転写された画質調整用のトナー像を検出するフォトセンサ10と、中間転写体ベルト6表面をクリーニングするベルトクリーナ8とから構成されている。
本構成図に示されている画像形成装置における画像形成動作としては、先ず、画像読取部(図示せず)で原稿から読み取られた原画像信号、或いは外部のコンピュータ(図示せず)などで作成された原画像信号は画像処理部(図示せず)に入力される。この入力画像信号は、各色の画像情報に分解された後、ROS(レーザ出力部)3Y、3M、3C、3Kに入力され、レーザ光線Lが変調される。そして、この変調されたレーザ光線Lは、接触帯電器2Y、2M、2C、2Kにより一様帯電された感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に照射される。この各感光体表面にレーザ光線Lがラスタ照射されると、各感光体上にはそれぞれ入力画像信号に対応した静電潜像が形成される。続いて、各色現像器4Y、4M、4C、4Kにより各感光体上の静電潜像がトナーにより現像され、各感光体上にトナー像が形成される。各感光体上に形成されたトナー像は、各一次転写器5Y、5M、5C、5Kにより中間転写体ベルト6に転写される。この中間転写体ベルト6へトナー像の転写が終了した各感光体は、クリーナにより表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、除電器により残留電荷が除去される。
次に、中間転写体ベルト6上のトナー像は、二次転写器7により、用紙トレイTから送られてくる用紙P上に転写された後、定着器9により用紙P上に転写されたトナー像が定着され所望の画像が得られる。用紙P上へのトナー像の転写が終了した中間転写体ベルトは6、ベルトクリーナ8により表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、一回の画像形成動作が終了する。
カラー画像形成装置内の温度・湿度などの環境変化や接触帯電器2Y、2M、2C、2K及び各色現像器4Y、4M、4C、4Kへのバイアスを変化或いは変更させた場合においては、トナーバンドやキャリアバンドが発生する。この場合には、これらバンドをフォトセンサ10により検出するものとなっている。そして、バンドを検出した際の出力信号から算出されたバンドの幅に応じ、制御部(図示せず)が接触帯電器2Y、2M、2C、2K及び各色現像器4Y、4M、4C、4Kへバイアスを印加するタイミングの補正を行っている。
図2は、図1に示されているカラー画像形成装置における、バンドの補正の流れを示しているブロック図である。記録画像を形成する場合おいては、まず、感光体1を接触帯電器2で帯電し、画像情報に応じてROS3で感光体1を露光することで感光体1の表面に静電潜像が形成される。次に、現像器4により現像した後、中間転写体ベルト6の表面に記録画像が転写される。本発明を最適に実施するためには、バンドの補正が必要な場合において、予めトナーバンドが副走査方向に数mmの幅で発生するようなタイミングでバイアスを印加させて画像形成プロセスを実行するとよい。これは、キャリアバンドを発生させた場合、現像器4中のキャリアが不足したり、通常トナーが現像、転写されるべきところにキャリアが含まれることで感光体1や中間転写体ベルト6等を傷付けるからである。即ち、トナーバンドを予め設定した幅で発生させるようにすることでキャリアバンドの発生が抑えられ、予め設定した幅のトナーバンド幅のずれを検出及び算出することが可能となる。このようにして、トナーバンドが発生した場合には、トナーバンドはフォトセンサ10により読み込まれる。
制御部11は、フォトセンサ10から出力される信号より、トナーバンド及びキャリアバンドの幅を算出する。そして、帯電電源13及び現像電源14が有する電位の立ち上がり特性や、カラー画像形成装置の生産過程における生産能力のバラツキなどが原因でこれらバンドが発生している場合には、記憶部12にバンドの幅を記憶させる。更に、制御部11は、バンドの幅に応じ、帯電電源13及び現像電源14へバイアスを印加するタイミングの補正を行う。
本発明が適用されているカラー画像形成装置におけるフォトセンサ10の概略構成図を示しているのが図3である。このフォトセンサ10は、照明手段と、受光光学系と、受光素子とから構成されている。この照明手段は、2つのLED10a、10bから成る。そして、受光光学系は、レンズ10cと、マスク10eとから構成されている。本図において、左右方向が主走査方向である。
フォトセンサ10でバンドを検知するためには、バンドを照明手段により照射し、バンドから反射される反射光を検知する必要がある。バンドはシアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの何れの色についても発生し、しかも、シアン、イエロー、マゼンタのマーク像からの反射光と、ブラックのマーク像からの反射光とは、反射光の種類が異なる。そのため、これら2種類の反射光をひとつの受光素子(フォトダイオード10d)で検知するには、この受光素子へそれぞれの反射光が入射し得る位置からバンドを照射しなければならず、照射するバンドに応じ、2つの照明手段を使い分けている。ちなみに、シアン、イエロー、マゼンタのバンドは、拡散反射するため、LED10bにより照射し、ブラックのバンドは、正反射するため、中間転写体6の垂線に対し、左右対称となる位置関係に配置されているLED10aにより照射されるものとなっている。
受光光学系のレンズ10cは、2種類の反射光のうち、拡散反射光については、フォトダイオード10dの受光面上に、反射光を結像させられるような配置となっている。しかし、反射光をフォトダイオード10dへ入射させる際には、その受光面上に反射光を結像させるか結像させないかに限らず、バンドの検出に不要な反射光も入射してしまう。そのため、この不要な反射光を遮り、それぞれの検出に有効な反射光の成分だけをフォトダイオード10d受光面上へ導く必要がある。そこで、フォトダイオード10dの直前には、フォトダイオード10d受光面の視野領域を規制するマスク10eが設けられている。そして、このマスク10eは、迷光防止のため、黒色としている。この受光光学系を構成するレンズ10cとマスク10eにより、何れの反射光を入射させる場合であっても、フォトダイオード10d受光面の視野領域をほぼ等しくすることが可能となっている。
トナーバンド或いはキャリアバンドからの反射光がフォトダイオード10dの受光面上に投影されると、フォトダイオード10dはこれらバンドの濃淡に応じた電流を出力する。図4に示されているように、フォトダイオード10dから出力された電流は、制御部11に備えられているAMP20で電流電圧変換/増幅された後、センサ出力信号として比較器21、更にはカウンタ22に供給される。
比較器21は、センサ出力信号の出力値が予め設定されている閾値を超えている間だけ、カウンタ22へ信号を出力するものとなっている。そして、カウンタ22では、比較器21から信号が出力された時間が計測される。更に、このカウンタ22で計測された時間からトナーバンド或いはキャリアバンドの副走査方向幅が算出される。尚、比較器21において設定する閾値については、適宜設定することができる。
トナーバンドをフォトセンサにより検出した結果に基づき現像バイアスを印加するタイミングを補正しているのを示しているのが図5である。分図(a)は、中間転写体ベルト6上に形成されたトナーバンドBとフォトセンサ10の中間転写体ベルト6上における視野領域Rとの位置関係を時経過に沿って示しているものであり、下方のグラフはフォトセンサ10の視野領域Rの位置に応じたセンサ出力信号の波形を示すものである。そして、センサ出力信号の波形において閾値Sを越えている時間Tが示されている。分図(b)は、制御部11において時間TからトナーバンドBの幅を算出し、その結果に基づき現像バイアスを印加するタイミングの補正前後における現像電位D1、D2と、帯電電位Eとが示されている。
中間転写体ベルト6上に一次転写されたトナーバンドBは、かかる中間転写体ベルト6の回転に伴ってフォトセンサ10の前面を通過し、フォトセンサ10の視野領域Rを横切ることになる。トナーバンドBが中間転写体ベルト6と共に移動し、フォトセンサ10の視野領域Rが分図(a)に示される中間転写体ベルト6上のX点に差し掛かると、かかる視野領域R内にトナーバンドBが進入してくることになるので、センサ出力信号が変化を開始する。更にトナーバンドBが移動すると、視野領域Rに含まれるトナーバンドBの面積、すなわち視野領域RとトナーバンドBとの重複面積が拡大するので、センサ出力信号は徐々に上昇し、視野領域RがトナーバンドBによって略覆われるY点においてセンサ出力信号は最大となる。
更に、トナーバンドBがY点を過ぎると、今度は視野領域Rに含まれるトナーバンドBの面積、すなわち視野領域RとトナーバンドBとの重複面積が減少していくので、センサ出力信号は徐々に下降し、トナーバンドBがフォトセンサ10の視野領域Rから完全に脱した時点でセンサ出力信号は最小となる(Z点)。
分図(a)に示されているように、トナーバンドBがフォトセンサ10の視野領域Rを通過する際に(X点からY点の間)、かかる視野領域RとトナーバンドBとの重複面積が中間転写体ベルト6の進行に伴って連続的に変化しており、同じ強度のセンサ出力信号が継続してフォトセンサ10から出力されることがないように構成されている。すなわち、フォトセンサ10の視野領域Rを円形状に形成しているため、トナーバンドBの幅wの中心位置(重心位置)がフォトセンサ10の視野領域Rの中心位置に合致した時にセンサ出力信号は瞬間的に最大値が発生することになる。この時、閾値Sを超える時間Tを計測することにより、トナーバンドBの幅wを算出することが可能となる。
そして、トナーバンドBの出力信号が閾値Sを超える時間Tから算出されたトナーバンドBの幅wより、現像バイアスを印加するタイミングが補正される。ここでいうタイミングとは、現像バイアスと帯電バイアスとの電位差がトナーバンドBを発生し得る一定範囲を超えないように現像バイアスを印加する時期のことである。また、視野領域Rの直径dは小さい方が信号レベルは大きくなり、出力信号の裾広がりを少なくすることができることから、補正したいタイミングと時間Tとの関係を精度よく求めることができる。
分図(b)に示されているように、帯電電位Eに対し、現像電位D1は早く立ち上がっているため、現像バイアスを印加するタイミングを補正する前においては、現像電位D1と、帯電電位Eとの電位差が一定範囲を超えていたため、トナーバンド(図示せず)が中間転写体ベルト6上に発生していた。ここで、トナーバンドBの幅wに相当する時間だけ現像電位D1を現像電位D2まで図中矢印方向にシフトさせる(遅らせる)ことにより、現像電位D2と、帯電電位Eとの電位差はトナーバンドBが発生しない範囲に止まり、トナーバンドBの発生を防止することが可能となる。また、分図(b)の例では、現像バイアスを印加するタイミングを補正しているが、帯電バイアスを印加するタイミングを図中矢印とは逆方向へシフトさせて(早めて)、現像電位D1と、帯電電位Eとの電位差をトナーバンドBが発生しない範囲に止め、トナーバンドBの発生を防止することもできる。更に、現像バイアス或いは帯電バイアスを印加するタイミングを補正する他にプロセススピード、つまり、感光体の回動速度を調整することにより、現像電位D1と、帯電電位Eとの電位差をトナーバンドBが発生しない範囲に止め、トナーバンドBの発生を防止することも可能である。
尚、キャリアバンドについてもフォトセンサ10で検出されたキャリアバンドの出力信号からキャリアバンドの幅を算出し、その幅に基づき現像バイアス或いは帯電バイアスを印加するタイミングを早める或いは遅らせることにより、同様にしてキャリアバンドの発生を防止することが可能である。更に、フォトセンサ10によるトナーバンド或いはキャリアバンドの検出は、画質調整時や予め設定された所定の時期に行えばよく、適宜検出時期を設定することができる。
一般的に、生産過程における生産能力のバラツキ等により、画像形成装置はそれぞれ固有の特性を有する。ここで、画像形成装置固有の特性が原因となってトナーバンド或いはキャリアバンドが発生している場合には、工場出荷時や画像形成装置の調整直後に予めフォトセンサで検出されたバンドの出力信号から算出されたバンドの幅を制御部に備えられている記憶部に記憶させるとよい。これにより、画像形成装置内の環境変化が確認された場合や画質調整のため帯電バイアス或いは現像バイアスを変化・変更させた場合等、バンドが発生し得る条件下だけにおいてバンドを検出する制御方法を適用することが可能となり、この時には、画像形成装置固有の特性を無視してもよい。
更に、工場出荷時や画像形成装置の調整直後において、予めトナーバンド或いはキャリアバンドが発生するように帯電バイアス或いは現像バイアスを印加させ、フォトセンサにより検出されたバンドの出力信号から算出されたバンドの幅を制御部に備えられている記憶部に記憶させてもよい。この場合においても、画像形成装置固有の特性を無視することが可能となる。
予めトナーバンドを発生させる場合の動作について図6のフローチャートを用いて説明する。先ず、ステップS1で帯電バイアスを印加させるタイミングをt0遅らせる。この時、帯電バイアスを印加させるタイミングは、現像電位と、帯電電位との電位差が一定範囲を超えるものとなっているため、中間転写体ベルト6上にトナーバンドが発生する(ステップS2)。そして、このトナーバンドをフォトセンサ10で検出した際の出力信号からトナーバンドの幅を算出し、この幅に対応した時間tbを測定する(ステップS3)。ここで、帯電バイアスを印加させる最適なタイミングは、帯電バイアスを印加させるタイミングを遅らせた時間t0をトナーバンドの幅に対応した時間tbだけ早めたものとなるため、帯電バイアスを印加させるタイミングは、(t0−tb)に設定される(ステップS4)。これにより、トナーバンドの幅に応じて帯電バイアスを印加させるタイミングを設定することができる。また、予めトナーバンドを発生させる時期については、温度や湿度等の環境変化があった時、画質調整時や予め設定された所定の時期に行えばよく、適宜発生させる時期を設定することができる。