JP4267876B2 - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスの流入時に、前記窓の車内側を覆うように、下方へ展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、頭部保護エアバッグ装置としては、特開2000−52907に示す構成のものがあった。この頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグが、流入する膨張用ガスをエアバッグの前後方向の略全域に供給可能に、エアバッグの上縁側において略全長にわたって車両の前後方向に沿うように配設される供給路部と、供給路部の下部側においてエアバッグの下縁近傍にかけて配設されるとともに、供給路部から膨張用ガスを流入可能に構成されてエアバッグの展開膨張時に窓の車内側を覆うこととなる膨張本体部と、を備える構成であった。そして、上記公報の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグを、膨張本体部の部位を蛇腹折りし、この蛇腹折り部位を、二つ折りした供給路部の車内側に配設させるようにして、折り畳んで、収納していた。
【0003】
上記構成の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの膨張初期において、供給路部が、膨張用ガスを流入させて、膨張本体部の折り畳み部位を車内側に押圧するように、膨張し、その後、膨張本体部が、折りを解消しつつ展開し、膨張用ガスを流入させて、膨張する構成であった。
【0004】
しかし、従来の頭部保護エアバッグ装置では、膨張本体部が蛇腹折りされていることから、膨張した供給路部に押圧された際に、膨張本体部、特に、その下縁側が、車内側に大きく突出するようにして、折りを解消し、展開膨張することとなっていた。そのため、エアバッグを、窓に沿うように展開膨張させることが困難であった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグの展開膨張時における車内側への突出を抑えて、極力、窓に沿うように、展開膨張させることが可能な頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスの流入時に、窓の車内側を覆うように、下方へ展開膨張するエアバッグと、
エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、
エアバッグ及びインフレーターの車内側を覆うエアバッグカバーと、
を備えて構成され、
エアバッグが、上縁側を車両のボディ側に取付固定させるとともに、車内側壁部と車外側壁部とを離すようにして膨張用ガスを流入させて膨張するガス流入部を備え、
ガス流入部が、
エアバッグの上縁側において、流入する膨張用ガスをエアバッグの前後方向の略全域に供給可能に、エアバッグの略全長にわたって車両の前後方向に沿うように配設されるとともに、エアバッグの膨張初期において、膨張用ガスを流入させる供給路部と、
供給路部の下方側において、エアバッグの下縁近傍にかけて配設されるとともに、供給路部から膨張用ガスを流入可能に構成され、エアバッグの展開膨張完了時に窓の車内側を覆うこととなる膨張本体部と、
を備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
供給路部が、前後方向の中間部位において、上方へ突出するとともに、インフレーターと接続される流入口部を、備え、
エアバッグが、
膨張本体部の部位を、下縁側から車外側に向かって巻くロール折りさせて折り畳むロール折り部位として、
供給路部の部位を、膨張用ガスの流入時にロール折り部位よりも展開を容易とするように、車外側壁部と車内側壁部とを重ねて平らに展開した状態から、膨張完了時の上部側と下部側との位置に、それぞれ、前後方向に沿う折目を付けて、蛇腹状に折り重ねるとともに、縦断面形状を略逆U字形状とするように、折り畳む逆U字状折り畳み部位として、
ロール折り部位を、逆U字状折り畳み部位の下方側に配設させるようにして、
折り畳まれて、収納され、
逆U字状折り畳み部位が、膨張完了時における供給路部の上部側に位置する折目を、ロール折り部位の車内側に位置させ、膨張完了時における供給路部の下部側に位置する折目を、ロール折り部位の車外側に位置させ、供給路部における膨張完了時の上部側に配置される車内側の折目と、供給路部における膨張完了時の下部側に配置される車外側の折目との間の部位で、ロール折り部位を包むように、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの膨張初期において、膨張本体部の折り畳み部位が、膨張した供給路部により、車内側に向かって大きく押圧されることとなっても、膨張本体部の部位が、車外側に向かうようにロール折りされていることから、膨張本体部は、ロール折りの巻きを解消しつつ、窓の車内側に沿うように、展開し、窓の車内側を覆うように膨張することとなる。すなわち、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、膨張本体部の部位は、ロール折りの巻きを解くように、車外側に向かって突出するようにして、折りを解消しつつ、展開することとなる。そして、膨張本体部の車外側には、窓が配設されることから、膨張本体部は、窓に沿うように、展開することとなる。そのため、エアバッグの展開膨張時に、膨張本体部の車内側への突出を極力抑えた状態で、膨張本体部を展開させることができる。
【0008】
従って、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの展開膨張時における車内側への突出を抑えて、極力、窓に沿うように、展開膨張させることが可能となる。
【0009】
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグにおける供給路部は、膨張用ガスの流入時にロール折りよりも展開が容易な非ロール折りにより、折り畳まれていることから、エアバッグの膨張初期において、迅速に膨張用ガスを流入させて膨張することとなる。そのため、エアバッグの膨張初期において、エアバッグの車内側を覆うエアバッグカバーを迅速に押し開くことができ、エアバッグを、迅速に展開膨張させることができる。
【0011】
さらに、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの膨張初期において、供給路部が膨張用ガスを流入させて膨張する際に、縦断面形状を略逆U字系状とするように折り畳まれている供給路部が、エアバッグカバーを押し開くとともに、ロール折り部位を、下方に向かって押圧するように膨張することとなる。そのため、ロール折り部位が、供給路部の膨張に伴って、極力、車内側に押圧されず、ロール折り部位としていた膨張本体部の車内側への突出を、一層、抑えることができる。
【0014】
さらにまた、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、供給路部を折り畳んで構成される逆U字状部位は、膨張完了時における上部側に位置する折目を、ロール折り部位の車内側に位置させ、膨張完了時における供給路部の下部側に位置する折目を、ロール折り部位の車外側に位置させるように、構成されている。すなわち、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、供給路部の部位は、平らに展開した状態で、展開膨張完了時の上部側となる部位が車内側に位置し、展開膨張完了時の下部側となる部位が車外側に位置するように、前後方向に沿った折目をつけて折り畳まれることとなる。すなわち、平らに展開した状態のエアバッグにおいて、膨張本体部を下縁側から巻くようにロール折りしてロール折り部位を形成した後、供給路部を、折目を付けて、ロール折り部位の車内側に位置させるように折り返して、エアバッグを、折り畳めばよいことから、供給路部の部位の折り畳み作業が、容易となる。
【0015】
そして、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、供給路部における展開膨張完了時の上部側となる部位を車内側に位置させ、展開膨張完了時の下部側となる部位を車外側に位置させるようにして、エアバッグを折り畳んでいることから、エアバッグの膨張初期において、供給路部における展開膨張完了時の上部側となる部位(車内側となる部位)に、まず、膨張用ガスが流入して、上部側部位の車外側に位置するエアバッグにおける他の部位を、折り畳み収納時のエアバッグの車外側に配設されるボディ側の部位に押圧しつつ、供給路部における展開膨張完了時の下部側となる部位に膨張用ガスが流入することとなる。そのため、供給路部が、膨張初期において、車内側に向かって大きく突出して膨張することを抑えた状態で、エアバッグカバーを押し開くこととなる。その結果、ロール折り部位が、極力、車内側へ突出することを抑えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、エアバッグ11を、車両Vにおける車内側のドアや窓W(W1・W2)の上縁側周縁におけるフロントピラー部FPの下縁側、ルーフサイドレール部RRの下縁側、及び、リヤピラー部RPの上方側にわたって、折り畳んで収納させている。
【0018】
エアバッグ装置Mは、エアバッグ11、インフレーター33、取付ブラケット30・34、及び、エアバッグカバー8を、備えて構成されている。
【0019】
エアバッグカバー8は、図1に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁4a・5a側から構成されている。そして、エアバッグカバー8は、折り畳まれて収納されたエアバッグ11の車内側Iを覆うように配設されるとともに(図2参照)、展開膨張時のエアバッグ11を車内側Iへ突出可能とするために、エアバッグ11における後述する供給路部15に押されて、車内側Iへ開き可能な構成とされている。
【0020】
センターピラー部CPとリヤピラー部RPには、それぞれ、ボディ1側の板金製のインナパネル2を覆うように、合成樹脂製のピラーガーニッシュ6・7が、配設されている。センターピラーガーニッシュ7は、図2に示すごとく、折り畳まれたエアバッグ11の下方に配設されることとなる上端7a付近の部位を車内側Iに向かって傾斜させるように、構成されている。これは、周囲に配設される窓W(W1・W2)より車内側に突出しているピラーガーニッシュ7が配設されるセンターピラー部CPの部位において、エアバッグ11を、ピラーガーニッシュ7に干渉せずに、円滑に展開させるためである。なお、リヤピラーガーニッシュ6も、図示しないが、センターピラーガーニッシュ7と同様な構成とされている。
【0021】
エアバッグ11は、ポリアミド糸等を使用した袋織りにより製造されて、図1・3に示すように、インフレーターからの膨張用ガスGを流入させて、折り畳み状態から展開して、上縁11a側を窓W(W1・W2)の上縁側における車両Vのボディ1側に固定させた状態として、窓W(W1・W2)やリヤピラー部RP・センターピラー部CPにおけるピラーガーニッシュ6・7の車内側を覆うように、板状に展開膨張する構成である。また、エアバッグ11は、車内側壁部13aと車外側壁部13bとを離すようにして、膨張用ガスGを内部に流入可能なガス流入部13と、膨張用ガスGを流入させない非流入部24と、から構成されている。
【0022】
ガス流入部13は、流入する膨張用ガスGをエアバッグ11の前後方向の略全域に供給する供給路部15と、供給路部15の下方側に配設される膨張本体部16と、を備えて構成されている。
【0023】
供給路部15は、エアバッグ11の上縁11a側において、略全長にわたって車両の前後方向に沿うように配設されるとともに、エアバッグ11の膨張初期において、膨張用ガスGを流入させて、エアバッグカバー8を押し開くこととなる。また、供給路部15における前後方向の中間部位には、上方へ円筒状に突出して、インフレーターと接続させる流入口部15aが配設されている。
【0024】
膨張本体部16は、供給路部15から膨張用ガスGを流入可能に構成されて、エアバッグ11の展開膨張時に窓W(W1・W2)の車内側を覆う部位であり、実施形態の場合、前席用流入部17、後席用流入部18、連通流入部21、から構成されている。前席用流入部17は、展開時に、窓W1の車内側を覆う構成であり、後席用流入部18は、窓W2の車内側を覆う構成である。各前席用・後席用流入部17・18は、後述する区画結合部27で区画されて、それぞれ、膨張用ガスGを流入させて上下方向に棒状に膨らむ縦膨張部20を複数配設させて、構成されている。これらの縦膨張部20は、それぞれ、上端側を供給路部15と連通されて、膨張用ガスGを上部側から下部側に向かって流入させる構成である。また、前席用流入部17の後端側に配置される縦膨張部20Aと、後席用流入部18の前端側に配置される縦膨張部20Bと、は、それぞれ、下端を連通流入部21の前端及び後端と連通されている。他の縦膨張部20は、全て、下端側が、非流入部24の後述する周縁結合部26の下縁側部26bによって閉塞されている。
【0025】
非流入部24は、車内側壁部13aと車外側壁部13bとを結合させたように構成されており、取付部25、周縁結合部26、区画結合部27、及び、板状部28、から構成されている。
【0026】
取付部25は、エアバッグ11の上縁11a側における周縁結合部26の上縁側部26aや後述する三角板状部28aの先端から上方へ突出するように、複数(実施形態では5個)配置されている。各取付部25には、インナパネル2に取り付けるための取付ブラケット30が固着されることとなり、取付ボルト31を挿通させるための取付孔25aが形成されている。そして、各取付部25は、取付ボルト31を使用して、取付ブラケット30ごと、ボディ1側のインナパネル2に固定されている(図2参照)。
【0027】
板状部28は、エアバッグ11の全体形状を確保するとともに、ガス流入部13の容積を小さくして、膨張完了までの時間を短くするために、配設されている。そして、板状部28は、エアバッグ11の前端側に配置される三角板状部28aと、前席用流入部17と後席用流入部18との間における供給路部15と連通流入部21との間に配置される長方形板状部28bと、から構成されている。三角板状部28aは、周縁結合部26の前縁側から前方に突出するように配設されている。また、長方形板状部28bの周囲におけるガス流入部13(前席用・後席用流入部17・18・連通流入部21・供給路部15)との間には、周縁結合部26が配設されている。
【0028】
区画結合部27は、各前席用・後席用流入部17・18の領域内で、周縁結合部26の下縁側部26bから供給路部15まで上方に延びるようにして、前席用・後席用17・18を複数の縦膨張部20に区画して、厚さを略均等にするために、複数配設されている。
【0029】
インフレーター33は、エアバッグ11に膨張用ガスを供給するもので、図1に示すように、略円柱形状の本体部33aと、本体部33aからの膨張用ガスを下方へ導く供給パイプ33bと、を備えて構成され、供給パイプ33bの下端に、エアバッグ11の供給路部15における流入口部15aの上端を外装させ、クランプ(図符号省略)を利用して、エアバッグ11と連結されている。そして、インフレーター33は、取付ブラケット34と取付ボルト35とを利用して、センターピラー部CPの上方におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に、車内側をルーフヘッドライニング5の下縁5aからなるエアバッグカバー8に覆われて、取付固定されている。
【0030】
次に、実施形態のエアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明する。まず、エアバッグ11を折り畳む。具体的には、図3・4A・4Bに示すように、車内側壁部13aと車外側壁部13bとを重ねるようにして平らに展開した状態のエアバッグ11において、膨張本体部16となるエアバッグ11の下縁11bから区画結合部27の上端となる位置にかけての部位を、車体側壁部13bの側で、下縁11b側から、所定の治具等を利用してロール折りし、ロール折り部位38を形成する。このとき、ロール折り部位38は、図4Bに示すように、エアバッグ11の未折り畳み部位における車外側壁部13bの車外側Oに位置するように、折り畳まれることとなる。その後、図4Cに示すように、区画結合部27の上端付近となる部位(供給路部15の下縁付近となる部位)で、図3に二点鎖線で示す折目C1を付けて、折り畳む。このとき、折目C1の部位は、ロール折り部位38の下端付近における車外側Oに、位置することとなる。そして、折目C1より上部側となる部位を、供給路部15の上縁付近となる部位で、図3に二点鎖線で示す折目C2をつけて、折り畳み、図4Dに示すごとく、逆U字状折り畳み部位39を形成する。このとき、折目C2の部位は、ロール折り部位38の下端付近における車内側Iに、位置することとなる。そして、逆U字状折り畳み部位39は、ロール折り部位38の上方側において、車内側Iの折目C2と車外側Oの折目C1との間の部位で、ロール折り部位38を包むように、配設されることとなる。その後、図2に示すごとく、取付部25の部位が、図4Dに示す状態よりも、車外側Oに位置するように、周縁結合部26の部位で折り畳んで、エアバッグ11の折り畳みを完了し、折り畳んだエアバッグ11の所定箇所を、適宜、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材でくるんでおく。
【0031】
なお、実施形態のエアバッグ11では、折目C1とエアバッグ11の上縁11aとの間の距離L1は100mmに設定され、折目C2とエアバッグ11の上縁11aとの間の距離L2は35mmに設定されている(図3参照)。また、ロール折り部位38は、図3に示すごとく、エアバッグ11の下縁11b付近を、下縁11bからの距離L3を40mmに設定された部位で折り返し(図3の一点鎖線参照)、この折り返し部位の間に、所定の治具を挟んで、形成されることとなる。また、実施形態のエアバッグ11は、折り畳み完了時における左右方向の幅寸法t1を28mmに設定され、上下方向の幅寸法t2を25mmに設定されている(図2参照)。
【0032】
次いで、各取付部25に、取付ブラケット30を取り付ける。また、クランプを利用しつつ、流入口部15aにインフレーター33を連結し、次いで、その周囲に、取付ブラケット34を取り付け、インフレーター33をエアバッグ11に組み付けて、エアバッグ組付体を形成しておく。
【0033】
その後、各取付部25及びインフレーター33を、取付ボルト31・35を使用してインナパネル2に取付固定すれば、エアバッグ組付体を車両Vのボディ1に取り付けることができる。
【0034】
そして、インフレーター33から延びる図示しないリード線を、所定のエアバッグ作動回路に接続させるとともに、フロントピラー部FPでは、インナパネル2にフロントピラーガーニッシュ4を取付固定し、ルーフサイドレール部RRでは、インナパネル2にルーフヘッドライニング5を取付固定し、さらに、センターピラー部CPやリヤピラー部RPのガーニッシュ6・7をボディ1のインナパネル2に固定すれば、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0035】
その後、インフレーター33が作動されれば、膨張用ガスGが、流入口部15aから供給路部15内に流入して、図示しないラッピング材を破断させるとともに、エアバッグカバー8としてのフロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5の下縁4a・5aを車内側Iに押し開かせることとなる。そして、さらに、膨張本体部16における各縦膨張部20が展開膨張して、図1・2の二点鎖線で示すように、窓W1・W2の上縁側から下方へ突出し、エアバッグ11が、窓W1・W2やセンターピラー部CP・リヤピラー部RPの車内側を覆うこととなる。
【0036】
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ11における供給路部15の部位が、展開膨張完了時の上部側となる部位(上部側部位)15bを車内側Iに位置し、展開膨張完了時の下部側となる部位(下部側部位)15cを車外側Oに位置させるようにして、エアバッグ11が折り畳まれている。そのため、エアバッグ11の膨張初期において、図5A・5Bに示すように、供給路部15の上部側部位15b(車内側Iとなる部位)に、まず、膨張用ガスが流入して、上部側部位15bの車外側Oに位置するエアバッグ11の他の部位(下部側部位15c及びロール折り部位38)を、車外側Oに配設されるインナパネル2側に押圧しつつ、供給路部15における下部側部位15cに、膨張用ガスが流入することとなる。そのため、図5Cに示すごとく、供給路部15が、膨張初期において、車内側Iに向かって大きく突出して膨張することを抑えた状態で、エアバッグカバー8を押し開くこととなる。その結果、ロール折り部位38が、極力、車内側Iへ突出することを抑えることができる。勿論、この点を考慮しなければ、図7に示すごとく、供給路部15における上部側部位15bを車外側Oに位置し、下部側部位15cを車内側Iに位置させるようにして、逆U字状折り畳み部位41を構成するように、エアバッグ11を折り畳む構成としてもよい。
【0037】
その後、実施形態のエアバッグ装置Mでは、膨張本体部16の部位が、膨張用ガスを流入させて、展開膨張することとなる。そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、膨張本体部16の部位が、車外側Oに向かうようにロール折りされていることから、膨張本体部16は、図6A・Bに示すように、ロール折りを解消しつつ、車外側Oに配設されるセンターピラー部CP及び窓W(W1・W2)の車内側Iに沿うように、展開し、センターピラー部CP及び窓W(W1・W2)の車内側Iを覆うように膨張することとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、膨張本体部16の部位は、車外側Oに向かって突出するようにして、折りを解消しつつ、展開することとなる。そして、膨張本体部16の車外側Oには、センターピラーガーニッシュ7及び窓W(W1・W2)が配設されることから、膨張本体部16は、センターピラーガーニッシュ7及び窓W(W1・W2)に沿うように、展開することとなる。そのため、エアバッグ11の展開膨張時に、膨張本体部16の車内側Iへの突出を極力抑えた状態で、膨張本体部16を展開させることができる。なお、センターピラー部CPの部位では、エアバッグ11は、ピラーガーニッシュ7の傾斜した上端7aに沿って展開し、ピラーガーニッシュ7に干渉しないように、車内側Iに突出し、ピラーガーニッシュ7の車内側Iに沿って展開膨張することとなる。勿論、リヤピラー部RPの部位においても、エアバッグ11は、同様に、ピラーガーニッシュ6に干渉せずに車内側Iに突出し、ピラーガーニッシュ6の車内側に沿って展開膨張することとなる。
【0038】
従って、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ11の展開膨張時における車内側Iへの突出を抑えて、極力、窓W1・W2やセンターピラー部CP・リヤピラー部RPに沿うように、展開膨張させることが可能となる。
【0039】
なお、実施形態のエアバッグ装置Mでは、供給路部15は、車内側壁部13aと車外側壁部13bとを重ねるようにして平らに展開した状態で、前後方向に沿った折目C1・C2を付けて折り畳まれていることから、膨張本体部16を下縁11b側から巻くようにロール折りしてロール折り部位38を形成した後、供給路部15を、折目C1・C2を付けて、ロール折り部位38の車内側Iあるいは車外側Oに位置させるように折り返して、エアバッグ11を、折り畳めばよいことから、供給路部15の部位の折り畳み作業が容易である。この点を考慮しなければ、図8に示すごとく、供給路部15の部位における車内側壁部13aと車外側壁部13bとを離すようにして、壁部13a・13bに、それぞれ、別々に、折目C3を付けて折り畳んで逆U字状折り畳み部位42を形成し、車内側壁部13aの部位と車外側壁部13bとの間に、ロール折り部位38が配設されるように、エアバッグ11を、折り畳む構成としてもよい。このようにエアバッグ11を折り畳む場合、供給路部15は、車内側壁部13aと車外側壁部13bとにおける上下方向の中間部位に、それぞれ、前後方向に沿った折目C3・C3を配設させて、折り畳まれることとなる。
【0040】
また、図2・7・8に示すように、エアバッグ11を折り畳む場合、ロール折り部位38が、逆U字状折り畳み部位39・41・42により包まれて、逆U字状折り畳み部位39・41・42の下方に配設されることから、エアバッグ11の膨張初期において、供給路部15が膨張用ガスを流入させて膨張する際に、供給路部15が、エアバッグカバー8を押し開くとともに、ロール折り部位38を、下方に向かって押圧するように、膨張することとなる。そのため、ロール折り部位38が、供給路部15の膨張に伴って、極力、車内側Iに押圧されず、ロール折り部位38としていた膨張本体部16の車内側Iへの突出を、抑えることができる。勿論、この点を考慮しなければ、図9に示すごとく、供給路部15の部位を、前後方向に沿った複数の折目をつけて蛇腹折りし、この供給路部15を折り畳んだ折り畳み部位44の下方に、ロール折り部位38を配設させるようにして、エアバッグ11を折り畳む構成としてもよい。この折り畳み部位44のごとく、供給路部15の部位を折り畳んだ場合、エアバッグ11の展開膨張時に、仮に、ロール折り部位38が、膨張した供給路部15により、車内側に向かって大きく押圧されることとなっても、ロール折り部位38は、前述したごとく、車外側に向かって突出するようにして折りを解消することから、窓W(ピラーガーニッシュ6・7)に沿うように膨張することとなり、膨張本体部16の車内側への突出は、極力抑えられることとなる。
【0041】
さらに、図2・7・8・9では、エアバッグにおける供給路部15が、膨張用ガスの流入時にロール折りよりも展開が容易な非ロール折り(逆U字状の折り畳み部位39・41・42や蛇腹状の折り畳み部位42)により折り畳まれていることから、エアバッグ11の膨張初期において、供給路部15が、迅速に膨張用ガスを流入させて膨張することとなる。そのため、エアバッグ11の膨張初期において、エアバッグ11の車内側Iを覆うエアバッグカバー8を、迅速に押し開くことができ、エアバッグ11を迅速に展開膨張させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の頭部保護エアバッグ装置を車内側から見た正面図である。
【図2】図1のII−II部位の概略拡大断面図である。
【図3】同実施形態で使用するエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。
【図4】同実施形態のエアバッグの折り畳み工程を説明する概略断面図である。
【図5】同実施形態の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグの展開膨張状態を示す概略図である。
【図6】同実施形態の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグの展開膨張状態を示す概略図であり、図5の後の状態を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態の頭部保護エアバッグ装置におけるエアバッグの折り畳み状態を示す概略拡大断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態の頭部保護エアバッグ装置におけるエアバッグの折り畳み状態を示す概略拡大断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態の頭部保護エアバッグ装置におけるエアバッグの折り畳み状態を示す概略拡大断面図である。
【符号の説明】
1…ボディ、
2…インナパネル、
8…エアバッグカバー、
11…エアバッグ、
11a…上縁、
13…ガス流入部、
15…供給路部、
15b…上部側部位、
15c…下部側部位、
16…膨張本体部、
25…取付部、
33…インフレーター、
38…ロール折り部位、
39・41・42…逆U字状折り畳み部位、
C1・C2…折目、
G…膨張用ガス、
I…車内側、
O…車外側、
W(W1・W2)…窓、
M…頭部保護エアバッグ装置。
Claims (1)
- 車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスの流入時に、前記窓の車内側を覆うように、下方へ展開膨張するエアバッグと、
該エアバッグに前記膨張用ガスを供給するインフレーターと、
前記エアバッグ及び前記インフレーターの車内側を覆うエアバッグカバーと、
を備えて構成され、
前記エアバッグが、上縁側を前記車両のボディ側に取付固定させるとともに、車内側壁部と車外側壁部とを離すようにして前記膨張用ガスを流入させて膨張するガス流入部を備え、
該ガス流入部が、
前記エアバッグの上縁側において、流入する前記膨張用ガスを前記エアバッグの前後方向の略全域に供給可能に、前記エアバッグの略全長にわたって車両の前後方向に沿うように配設されるとともに、前記エアバッグの膨張初期において、前記膨張用ガスを流入させる供給路部と、
該供給路部の下方側において、前記エアバッグの下縁近傍にかけて配設されるとともに、前記供給路部から前記膨張用ガスを流入可能に構成され、前記エアバッグの展開膨張完了時に前記窓の車内側を覆うこととなる膨張本体部と、
を備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
前記供給路部が、前後方向の中間部位において、上方へ突出するとともに、前記インフレーターと接続される流入口部を、備え、
前記エアバッグが、
前記膨張本体部の部位を、下縁側から車外側に向かって巻くロール折りさせて折り畳むロール折り部位として、
前記供給路部の部位を、前記膨張用ガスの流入時に前記ロール折り部位よりも展開を容易とするように、前記車外側壁部と前記車内側壁部とを重ねて平らに展開した状態から、膨張完了時の上部側と下部側との位置に、それぞれ、前後方向に沿う折目を付けて、蛇腹状に折り重ねるとともに、縦断面形状を略逆U字形状とするように、折り畳む逆U字状折り畳み部位として、
前記ロール折り部位を、前記逆U字状折り畳み部位の下方側に配設させるようにして、
折り畳まれて、収納され、
前記逆U字状折り畳み部位が、膨張完了時における前記供給路部の上部側に位置する前記折目を、前記ロール折り部位の車内側に位置させ、膨張完了時における前記供給路部の下部側に位置する前記折目を、前記ロール折り部位の車外側に位置させ、前記供給路部における膨張完了時の上部側に配置される前記車内側の折目と、前記供給路部における膨張完了時の下部側に配置される前記車外側の折目との間の部位で、前記ロール折り部位を包むように、配設されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
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