JP3915643B2 - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、頭部保護エアバッグ装置としては、車両の上縁側に折り畳まれて収納されているエアバッグが、膨張完了時に、窓の車内側を覆う窓側遮蔽部と、ルーフサイドレール部におけるボディ側部材の車内側を覆うルーフ側遮蔽部と、を備える構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−254737号公報(第6図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグが、インフレーターからの膨張用ガスを流入させて、ルーフ側遮蔽部を膨張させるように上方に向かって展開するとともに、窓側遮蔽部を膨張させるように下方へ向かって展開することから、側突時等において、乗員が窓側へ移動するように衝撃を受けた際に、乗員の窓側への移動速度が速いと、窓側遮蔽部により、乗員を的確に保護できない虞れがあった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、衝突時に、乗員を的確に保護可能な頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
エアバッグが、膨張用ガスを流入させて展開膨張するガス流入部を備え、
ガス流入部が、膨張完了時に窓の車内側を覆うように配設される窓側遮蔽部と、窓の上方に位置するルーフサイドレール部におけるボディ側部材の車内側を覆うように配設されるルーフ側遮蔽部と、を備えて構成され、
窓側遮蔽部が、ルーフ側遮蔽部よりも、膨張用ガスの流入方向における上流側に、配設され、
窓側遮蔽部の上縁側には、エアバッグを前記窓の上縁側となる車両のボディ側部材に取付固定するための取付部が、配設され、
取付部が、上縁側の周囲にスリットを配設させて、ルーフ側遮蔽部の領域内に、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の頭部保護エアバッグ装置では、窓側遮蔽部が、ルーフ側遮蔽部よりも先に膨張用ガスを流入させることから、ルーフ側遮蔽部よりも、迅速に、膨張することとなる。そのため、衝突時に、乗員が、直ちに窓側に向かって移動することとなっても、窓側遮蔽部により、乗員を迅速かつ的確に保護することができる。勿論、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグが、ルーフサイドレール部におけるボディ側部材の車内側を覆うルーフ側遮蔽部を備えていることから、乗員が、窓側遮蔽部側に向かった後、ルーフサイドレール部側に向かって移動することとなっても、乗員を、膨張したルーフ側遮蔽部により、的確に保護することができる。
【0008】
従って、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、衝突時に、展開膨張するエアバッグにより、乗員を的確に保護することができる。
【0010】
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時に、ルーフ側遮蔽部が、取付部を囲むように配設されることから、衝突時に、乗員が、ルーフサイドレール部におけるエアバッグの取付部近傍となる部位と干渉することとなっても、乗員は、取付部を囲むように膨張しているルーフ側遮蔽部の部位と干渉することとなる。その結果、取付部をボディ側部材に取付固定している板金製のブラケットやボルト等と直接干渉することを抑えて、乗員を、的確に保護することができる。
【0011】
さらに、上記構成の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、窓の上縁側に配設され、
エアバッグが、窓の上縁側に配設されるとともに、インフレーターに接続される接続口部を備え、
ルーフ側遮蔽部が、エアバッグの膨張完了時において、インフレーターの車内側を覆い可能なカバー部を備えている構成とすることが好ましい。
【0012】
頭部保護エアバッグ装置を上記のような構成とすれば、エアバッグの膨張完了時に、ルーフ側遮蔽部のカバー部により、インフレーターの車内側を覆うことができることから、衝突時に、乗員が、ルーフサイドレール部におけるインフレーター近傍となる部位と干渉することとなっても、乗員は、膨張しているカバー部と干渉することとなる。その結果、インフレーターと直接干渉することを抑えて、乗員を、的確に保護することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示す頭部保護エアバッグ装置Mは、ダブルキャブ車Vに搭載されるものであり、エアバッグ16、インフレーター49、及び、エアバッグカバー13、を備えて構成されている。
【0015】
なお、ダブルキャブ車Vは、乗員が着座する前席・後席シートの側方に配置されて車両側面に位置するサイドウィンドとしての窓SW(SW1・SW2)を備えるとともに、窓SW2の後方側で窓SW2と略直交するように配置される後壁部10を備えて構成されている。さらに、このダブルキャブ車Vは、窓SW1の前方側で窓SW1と隣接し、ルーフサイドレール部RRから斜め下方に延びて、略上下方向に配設されるフロントピラー部FP、窓SW1・SW2間でルーフサイドレール部RRから下方に延びるセンターピラー部CP、及び、窓SW2と後壁部10との間で窓SW2と隣接し、ルーフサイドレール部RRから下方に延びるリヤピラー部RP、を備えて構成されている。なお、窓SW1は、前席の側方に配置されて、実施形態の場合には、フロントドアの窓としており、窓SW2は、後席の側方に配置されて、実施形態の場合には、リヤドアの窓としている。
【0016】
各ピラー部FP・CP・RPには、それぞれ、車体(ボディ1)側の板金製のインナパネル2を覆うように、合成樹脂製のピラーガーニッシュ5・7・8が、車内側に、配設されている。また、ルーフサイドレール部RRにおいても、インナパネル2を覆うように、合成樹脂製のルーフヘッドライニング6が、車内側に、配設されている。
【0017】
また、後壁部10は、図1に示すように、上部に、リヤウィンドRWを配置させて、車体(ボディ1)側の板金製のリヤパネル11と、リヤパネル11の車内側を覆う合成樹脂製のリヤトリム12と、を備えて構成されている。なお、後壁部10の上端側は、天井側から延びるルーフヘッドライニング6に覆われている。
【0018】
そして、エアバッグカバー13は、実施形態の場合、フロントピラーガーニッシュ5とルーフヘッドライニング6との下縁5a・6aから、構成されている。エアバッグカバー13は、折り畳まれて収納されたエアバッグ16の車内側Iを覆うように配設されるとともに、展開膨張時のエアバッグ16における窓側遮蔽部19を車内側Iへ突出可能とするために、図2の二点鎖線及び図6に示すごとく、エアバッグ16の窓側遮蔽部19に押されて車内側Iに開くように、構成されている。
【0019】
エアバッグ16は、図1・2に示すように、センターピラー部CPを跨いで、窓SW(SW1・SW2)の車内側Iの上縁側に、折り畳まれて収納されている。エアバッグ16は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を利用した袋織りによって、形成されている。そして、エアバッグ16は、インフレーター49からの膨張用ガスGを流入させて車内側壁部17aと車外側壁部17bとを離すようにして膨張するガス流入部17と、膨張用ガスを流入させない非流入部35と、から構成されている。
【0020】
ガス流入部17は、膨張用ガスGを流入させて、窓SW1・SW2とセンターピラー部CP・リヤピラー部RPとの車内側Iを覆うように展開膨張する窓側遮蔽部19と、ルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側となるインナパネル2の車内側Iを覆うように展開膨張するルーフ側遮蔽部31と、窓側遮蔽部19とルーフ側遮蔽部31とに膨張用ガスを流入させる供給路部29と、を備えて構成されている。
【0021】
供給路部29は、窓側遮蔽部19とルーフ側遮蔽部31との間において、前後方向に延びるように、配設されている。そして、供給路部29の前後方向の中間部位には、上方へ円筒状に突出して、インフレーター49と接続させるように後方側を開口させた接続口部29aが、配設されている。
【0022】
窓側遮蔽部19は、供給路部29の下方に配設されるもので、前席側方の窓SW1を覆う前席用部位20と、後席側方の窓SW2を覆う後席用部位21と、エアバッグ16の下縁16b側において前席用部位20と後席用部位21とを連通する連通膨張部27と、を備えて構成されている。
【0023】
各前席・後席用部位20・21は、前後方向の中央付近となる部位に、前後方向に沿って配設される横膨張部24を複数個並設させた主膨張部23を、備えている。そして、各前席・後席用部位20・21における主膨張部23の前後には、上下方向に沿うように複数の縦膨張部25が、並設されている。各縦・横膨張部24・25は、各前席・後席用部位20・21の領域内に配置される後述する区画部37・38により、区画されて、配設されている。
【0024】
実施形態の場合、前席用部位20の主膨張部23Fの前方側には、3個の縦膨張部25A・25B・25Cが配設され、前席用部位20の主膨張部23Fの後方側と後席用部位21の主膨張部23Bの前後両側とには、それぞれ、2個ずつの縦膨張部25D・25E・25F・25G・25H・25Jが、配設されている。各縦膨張部25A・25B・25C・25D・25E・25F・25G・25H・25Jは、上端25a側を供給路部29に連通させて、配設されている。また、各縦膨張部25C・25D・25G・25Hは、下端側を、前方側若しくは後方側に配設される主膨張部23F・23Bの下端側に配設される横膨張部24と連通させており、各縦膨張部25E・25Fは、下端側を、連通膨張部29に連通させている。これ以外の縦膨張部25A・25B・25Jは、下端側を、閉塞させて構成されている。
【0025】
横膨張部24は、各主膨張部23F・23Bにおいて、それぞれ、3個ずつ配設され、前後方向の両端を、それぞれ、前後に配設される縦膨張部25C・25D・25G・25Hに、連通させて構成されている。すなわち、窓側遮蔽部19(前席・後席用部位20・21)は、供給路部29側に開口している縦膨張部25の上端25aを、それぞれ、流入口部26として、供給路部29から膨張用ガスGを流入させる構成である。
【0026】
また、主膨張部23F・23Bは、エアバッグ16が膨張を完了させた際に、窓SW1・SW2の車内側を覆うように配設されるものであり、側突時等において、乗員を保護する部位である。そして、実施形態のごとく、主膨張部23F・23Bを、前後方向に沿った複数の横膨張部24を配設させて構成すれば、側突時等において、仮に、電柱等の上下方向に沿った長尺物が干渉することとなっても、上下に複数個並設された横膨張部24が干渉物に対して略直交して位置するような態様となるため、干渉物の乗員側への侵入を抑えて、的確に乗員を保護することができる。また、ガス流入部17の領域内に横膨張部24を配設させることによって、膨張時におけるエアバッグ16の車両前後方向への収縮を抑えることができることから、膨張完了時に、前席・後席用部位20・21の前後方向の長さ寸法を確保した状態で、エアバッグ16の容積を極力小さくすることができる。
【0027】
連通膨張部27は、前席用部位20の後端側に配設される縦膨張部25Eの下端側と、後席用部位21の前端側に配設される縦膨張部25Fの下端側と、を連通するように、配設されている。
【0028】
ルーフ側膨張部31は、供給路部29の上部側において、接続口部29aの配設される部位を除いて、前後方向に沿うように、窓側遮蔽部19の全長にわたって、配設されている。このルーフ側遮蔽部31は、下縁側に配設されるミシン目状に形成される区画部39により、供給路部29との間を区画されている。すなわち、ルーフ側遮蔽部31は、各区画部39の間の部位を流入口部32として、供給路部29から膨張用ガスGを流入させる構成である。このルーフ側遮蔽部31は、図2の二点鎖線及び図6に示すように、エアバッグ16の展開膨張時に、ルーフサイドレール部RRにおけるルーフヘッドライニング6とインナパネル2との間に侵入するように、上方に向かって展開膨張することとなる。また、ルーフ側遮蔽部31における接続口部29aの後方に配設される部位は、エアバッグ16の膨張完了時において、インフレーター49の車内側を覆うこととなるカバー部31aとされている(図3参照)。
【0029】
そして、実施形態の場合、図3に示すごとく、供給路部29において、窓側遮蔽部19側の流入口部26における最も狭い部位の開口幅寸法t1を、ルーフ側遮蔽部31側の流入口部32における最も広い部位の開口幅寸法t2より、大きく設定することにより、窓側遮蔽部19が、ルーフ側遮蔽部31よりも先に膨張用ガスGを流入させて膨張することとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ16では、窓側遮蔽部19が、ルーフ側遮蔽部31よりも、膨張用ガスGの流入方向における上流側に位置することとなる。実施形態の場合、流入口部32における最も広い部位の開口幅寸法t2は、流入口部26における最も狭い部位の開口幅寸法t1の1/2以下(望ましくは1/3以下)に設定されている。
【0030】
非流入部35は、ガス流入部17を囲むように、ガス流入部17の周縁に配置される周縁部36と、取付部41と、板状部43と、を備えて構成されている。さらに、非流入部35は、ガス流入部17の領域内に配置される区画部37・38・39を、備えている。
【0031】
区画部37は、窓側遮蔽部19の領域内において、各縦膨張部25を前後方向で区画するように、複数個(実施形態では5個)配設されている。各区画部37は、それぞれ、エアバッグ16の下縁16側における周縁部36から上方に延びるように、配設されている。そして、窓側遮蔽部19における各区画部37の上端付近で区画される部位が、供給路部29からの膨張用ガスGを窓側遮蔽部19内に流入させる流入口部26とされることとなる。
【0032】
区画部38は、主膨張部23F・23Bの領域内において、各横膨張部24を上下方向で区画するように、それぞれ、複数個(実施形態では3個)ずつ、配設されている。
【0033】
区画部39は、供給路部29とルーフ側遮蔽部31との間において、前後方向に沿って断続的に、ミシン目状に配設されている。そして、区画部39の間の部位が、供給路部29からの膨張用ガスGをルーフ側遮蔽部31内に流入させる流入口部32とされることとなる。
【0034】
取付部41は、図3に示すように、窓側遮蔽部19の上縁側から上方に延びるように、ルーフ側遮蔽部31の領域内に、複数個(実施形態では4個)配設されている。各取付部41には、取付ボルト47(図1・2参照)を挿通させる取付孔41aが、形成されている。また、後端側に配設される取付部41D以外の3個の取付部41A・41B・41Cは、上縁側の周囲にスリット42を配設させており、上縁側を、ルーフ側遮蔽部31に対して、車内側若しくは車外側に分離可能な構成とされている。スリット42は、略半円弧状とされており、周囲に、周縁部36を配設させて、構成されている。また、各取付部41は、板金製の取付ブラケット48が取り付けられ、ボルト47を使用して、ボディ1側のインナパネル2に固定されている(図1・2参照)。
【0035】
板状部44は、エアバッグ16の全体形状を確保するとともに、ガス流入部17の容積を小さくして、膨張完了までの時間を短くするために、配設されている。そして、実施形態の場合、板状部44は、エアバッグ16の前端側に配置される三角板状部44Aと、前席用部位20と後席用部位21との間における供給路部29と連通膨張部27との間に配置される長方形板状部44Bと、から構成されている。
【0036】
三角板状部44Aは、エアバッグ16の前端側から前方に延びる略三角板形状とされている。そして、三角板状部44Aの前端付近には、エアバッグ16の前端側を取付固定するための取付部44aが、形成されている。この取付部44aは、取付孔44bを備えており、取付部41と同様に、取付ブラケット48とボルト47とを使用して、ボディ1側のインナパネル2に固定される構成である。
【0037】
インフレーター49は、図1に示すように、略円柱状の本体部49aと、本体部49aからの膨張用ガスをエアバッグ16内に導く供給パイプ49bと、を備えて構成され、供給パイプ49bの先端に、エアバッグ16の供給路部29における接続口部29aを外装させ、クランプ(図符号省略)を利用して、エアバッグ16と連結されている。そして、インフレーター49は、図1・6に示すように、ブラケット50とボルト51とを利用して、センターピラー部CPの上方におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に、車内側Iをルーフヘッドライニング6の下縁6aに覆われて、取付固定されている。
【0038】
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、エアバッグ16を折り畳む。具体的には、図5のA・Bに示すように、平らに展開させたエアバッグ16において、区画部39の部位に、前後方向に沿った折目C1を付けて、ルーフ側遮蔽部31を、エアバッグ16の下縁16b側に接近させるように、折り返す。このとき、ルーフ側遮蔽部31は、窓側遮蔽部19の車内側に位置することとなる。また、このとき、各取付部41は、折り返し部位から上方に突出することとなる。その後、折り返されたエアバッグ53を、下縁53bを上縁53a側に接近させるように、前後方向に沿った多数の折目C2をつけて、蛇腹折りする。そして、折り畳んだエアバッグ16の所定箇所を、適宜、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材でくるんでおく。
【0039】
その後、各取付部41・44aに、取付ブラケット46を取り付ける。また、クランプを利用しつつ、接続口部29aにインフレーター49を連結し、次いで、その周囲に取付ブラケット50を取り付け、インフレーター49をエアバッグ16に組み付けて、エアバッグ組付体を形成しておく。
【0040】
その後、各取付部41・44a及びインフレーター49を、取付ボルト47・51を利用してインナパネル2に取付固定すれば、エアバッグ組付体を車両Vのボディ1に取り付けることができる。
【0041】
そして、インフレーター49から延びる図示しないリード線を、所定のエアバッグ作動回路に接続させるとともに、フロントピラー部FPでは、インナパネル2にフロントピラーガーニッシュ5を取付固定し、ルーフサイドレール部RRでは、インナパネル2にルーフヘッドライニング6を取付固定し、さらに、センターピラー部CPやリヤピラー部RPのガーニッシュ7・8をボディ1のインナパネル2に固定すれば、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0042】
その後、インフレーター49が作動されれば、膨張用ガスGが、接続口部29aから供給路部29内に流入して、図示しないラッピング材を破断させることとなる。そして、窓側遮蔽部19が膨張用ガスGを流入させて、エアバッグカバー13としてのフロントピラーガーニッシュ5やルーフヘッドライニング6の下縁5a・6aを車内側Iに押し開き、窓SW1・SW2の上縁側から下方へ突出することとなる。また、ルーフ側遮蔽部31が、膨張用ガスGを流入させて、ルーフサイドレール部RRにおけるインナパネル2と、ルーフヘッドライニング6と、の間に侵入するように、上方に向かって展開膨張することとなる。そして、エアバッグ16が、窓SW1・SW2やセンターピラー部CP・リヤピラー部RPの車内側と、ルーフサイドレール部RRにおけるインナパネル2の車内側と、を覆うこととなる。
【0043】
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、窓側遮蔽部17側の流入口部26が、開口幅寸法t1を、ルーフ側遮蔽部31の流入口部32の開口幅寸法t2よりも、大きく設定されており、窓側膨張部17が、ルーフ側遮蔽部31よりも先に膨張用ガスを流入させることとなる。すなわち、窓側膨張部17が、ルーフ側遮蔽部31よりも、迅速に、膨張することとなるため、衝突時に、乗員が、直ちに窓SW1・SW2側に向かって移動することとなっても、窓側遮蔽部17により、乗員を迅速かつ的確に保護することができる。勿論、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ16が、ルーフサイドレール部RRにおけるインナパネル2の車内側Iを覆うルーフ側遮蔽部31を備えていることから、乗員が、窓側遮蔽部17側に向かった後、ルーフサイドレール部RR側に向かって移動することとなっても、乗員を、ルーフ側遮蔽部31により、的確に保護することができる。
【0044】
従って、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、衝突時に、展開膨張するエアバッグ16により、乗員を的確に保護することができる。
【0045】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、窓側遮蔽部19の上縁側に配設される各取付部41が、上縁側の周囲にスリット42を配設させて、ルーフ側遮蔽部31の領域内に、配設されている構成である。そのため、エアバッグ16の膨張完了時に、ルーフ側遮蔽部31が、各取付部41を囲むように配設されることとなる(図1・2の二点鎖線参照)。その結果、衝突時に、乗員が、ルーフサイドレール部RRにおけるエアバッグ16の取付部41近傍となる部位と干渉することとなっても、乗員は、各取付部41を囲むように膨張しているルーフ側遮蔽部31の部位と干渉することとなる。その結果、取付部41をボディ1側に固定する取付ブラケット46やボルト47と直接干渉することを抑えて、乗員を、的確に保護することができる。勿論、この点を考慮しなければ、取付部41をルーフ側遮蔽部31の領域内に配置させなくともよい。
【0046】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ルーフ側遮蔽部31が、エアバッグ16の膨張完了時において、インフレーター49の車内側Iを覆い可能なカバー部31aを備えていることから、図1の二点鎖線及び図6に示すごとく、エアバッグ16の膨張完了時に、ルーフ側遮蔽部31のカバー部31aにより、インフレーター49の車内側Iを覆うことができる。そのため、衝突時に、乗員が、ルーフサイドレール部RRにおけるインフレーター49近傍となる部位と干渉することとなっても、乗員は、膨張しているカバー部31aと干渉することとなる。その結果、インフレーター49と直接干渉することを抑えて、乗員を、的確に保護することができる。勿論、この点を考慮しなければ、ルーフ側遮蔽部31に、インフレーター49の車内側を覆うカバー部31aを配設させない構成としてもよい。
【0047】
なお、実施形態では、エアバッグ16を、ルーフ側遮蔽部31を車内側に折り返した後に、折り返したエアバッグの下縁を上縁側に接近させるように蛇腹折りして収納させているが、エアバッグ16は、図7に示すように、ルーフ側遮蔽部を折り返さずに、下縁を上縁側に接近させるように、蛇腹折りして収納させてもよい。このようにエアバッグ16を折り畳む場合、折り畳まれたエアバッグ16を図示しないラッピング材でくるむ際に、各取付部41をラッピング材から突出させておき、突出させた各取付部41をボディ1側に取り付けることとなる。
【0048】
なお、実施形態では、エアバッグ装置Mを搭載する車両Vとして、ダブルキャブ車を例に採り説明したが、シングルキャブ車やセダンタイプなどの車両に、本発明の頭部保護エアバッグ装置Mを搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である頭部保護エアバッグ装置の使用状態を示す車内側から見た概略正面図である。
【図2】図1のII−II部位の概略拡大断面図である。
【図3】同実施形態で使用するエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV部位の断面図である。
【図5】同実施形態のエアバッグの折り畳み工程を説明する図である。
【図6】同実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグの展開膨張状態を示す概略断面図である。
【図7】同実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグの他の収納状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…ボディ、
6…ルーフヘッドライニング、
13…エアバッグカバー、
16…エアバッグ、
17…ガス流入部、
19…窓側遮蔽部、
26…流入口部、
29…供給路部、
31…ルーフ側遮蔽部、
31a…カバー部、
32…流入口部、
41(41A・41B・41C・41D)…取付部、
42…スリット、
46…取付ブラケット、
47…取付ボルト、
49…インフレーター、
RR…ルーフサイドレール部、
SW(SW1・SW2)…窓、
V…車両、
M…頭部保護エアバッグ装置。
Claims (2)
- 車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
前記エアバッグが、前記膨張用ガスを流入させて展開膨張するガス流入部を備え、
該ガス流入部が、膨張完了時に前記窓の車内側を覆うように配設される窓側遮蔽部と、前記窓の上方に位置するルーフサイドレール部におけるボディ側部材の車内側を覆うように配設されるルーフ側遮蔽部と、を備えて構成され、
前記窓側遮蔽部が、前記ルーフ側遮蔽部よりも、前記膨張用ガスの流入方向における上流側に、配設され、
前記窓側遮蔽部の上縁側には、前記エアバッグを前記窓の上縁側となる車両のボディ側部材に取付固定するための取付部が、配設され、
前記取付部が、上縁側の周囲にスリットを配設させて、前記ルーフ側遮蔽部の領域内に、配設されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。 - 前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、前記窓の上縁側に配設され、
前記エアバッグが、前記窓の上縁側に配設されるとともに、前記インフレーターに接続される接続口部を備え、
前記ルーフ側遮蔽部が、前記エアバッグの膨張完了時において、前記インフレーターの車内側を覆い可能なカバー部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
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