JP4267027B2 - ロボット制御装置 - Google Patents
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Description
すなわち3番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて力の目標値を変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
すなわち4番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて進行方向速度の目標値を変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
すなわち5番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて目標軌道を変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
すなわち6番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて力制御のゲインを変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
9番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記力測定手段は前記ロボットアームを駆動するアクチュエータの電流値に基づいて力を推定する。
11番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記ロボット制御装置により行われる力制御はダンピング制御である。
図1は本発明に基づくロボット制御装置により制御されるロボットの斜視図である。図1に示されるロボット50は、6自由度の多関節型ロボットである。このロボット50はロボット制御装置10により制御される。ロボット50のロボットアーム50aの先端には作業ツール52が取付けられている。図1に示される実施形態においては、作業ツール52は例えばグラインダである。図1に示される作業ツール52、例えばグラインダは作業台61上に予め固定されたワーク60を研磨するのに使用される。
ht=k0・Fs (2)
ここで、htは重力および動力学項の合力、または動力学項のみと比較するための閾値であり、k0は定数であり、Fsは予め設定した目標押付力である。このように閾値htを、予め設定した目標押付力Fsに基づいて定める場合には、作業ツール52、後述するハンド54またはワーク60が取替えられた場合であっても同一の調整値を使用することが可能となる。
(1)目標押付力および目標進行方向速度の両方を変更する場合、
(2)目標進行方向速度のみを変更する場合、
(3)目標押付力のみを変更する場合、
(4)目標軌道を調整する場合、
(5)力制御ゲインを調整する場合、について説明する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標進行方向速度Vdはその設定値Vsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、目標進行方向速度Vdを小さくすると共に、目標押付力Fdも小さくする(1−1)、(1−2)。これにより、目標進行方向速度Vdを小さくしてもワーク60が過剰に加工されるのを防止できる。(ただし、ワーク60と作業ツール52とが離れやすくなるような部分において目標進行方向速度Vdをそれほど低下させたくない場合には、目標押付力Fdを大きくする。)
(1−1)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、閾値を超えてから経過した時間tに基づいて目標進行方向速度Vdと目標押付力Fdとを変更する。
図5は目標進行方向速度Vdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。図5においては、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htを超えた時点における速度をVxとする。(ここで、Vxは、|h|が閾値htを超えた後に下回り、また超えると、新たな値に更新される。)
Vd={(1−k11)・exp(−l11・t)+k11}・Vx (3)
ただし、0<l11、0<t、0≦k11<1、0<ht<|h|
Fd=m11・(Fs/Vs)・Vd+n11 (4)
ただし、0<m11
図6は係数α1、α2と慣性力の押付方向成分の大きさとの関係を示す図である。はじめに、以下の式(5)、(6)により表されるように、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に応じて変化する係数α1、α2を求める。
α1=(1−k12)・exp{−l12・(|h|−ht)}+k12 (5)
ただし、0<l12、0≦k12<1、0<ht<|h|
α2=(1−m12)・exp{−n12・(|h|−ht)}+m12 (6)
ただし、0<n12、0≦m12<1、0<ht<|h|
Vd=α1・Vs (7)
Fd=α2・Fs (8)
以下のように、作業ツール52とワーク60との相対速度を調節することにより、加工が不十分または過剰になるのを防止する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標進行方向速度Vdはその設定値Vsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、目標進行方向速度Vdを小さくする(2−1)、(2−2)。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向とが同じ向きである場合には、目標進行方向速度Vdを大きくする(2−3)、(2−4)。なお、目標進行方向速度Vdを大きくする理由は、目標進行方向速度Vdの増加を、押付力が大きくなることによる単位時間当たりの切削量の増加と相殺するためである。
(2−1)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、閾値を超えてから経過した時間tに基づいて目標進行方向速度Vdを小さくする。このときには、前述した式(3)を使用して、目標進行方向速度Vdを小さくする。
(2−3)、(2−4)に関して目標進行方向速度Vdを大きくすることを記述したが、目標進行方向速度Vdを大きくする場合には慣性力の押付方向成分の大きさ|h|をさらに大きくする副作用が生じるので制御性能が悪化する場合がある。そのような場合には、(2−1)、(2−2)と同様に目標進行方向速度Vdを小さくするのが好ましい。このことは、単位時間当たりの加工量が小さくて進行方向速度の影響を受けにくい、バフ掛けなどの研磨作業の場合に適用できる。
一方、単位時間当たりの切削量が大きい用途、例えばバリ取り作業などにおいては、目標進行方向速度Vdを小さくして押付時間が長くなると加工が過剰になる不具合が発生する。
従って、バリ取り作業などでは、以下の(2−3)、(2−4)のように目標進行方向速度Vdを大きくする。しかしながら、制御性能が著しく悪化する場合には、(1−1)、(1−2)のように目標進行方向速度Vdと目標押付力Fdとを変更するのが好ましい。
Vd={(k23−1)・(1−exp(−l23・t))+1}・Vx (9)
ただし、0<l23、0<t、1≦k23、0<ht<|h|
ここで、k23は定数であり、l23は定数である。
β1=(k24−1)・(1−exp{−l24・(|h|−ht)})+1 (10)
ただし、0<l24、1≦k24、0<ht<|h|
Vd=β1・Vs (11)
ここで、k24は定数であり、l24は定数である。なお、目標進行方向速度を変化させる場合には、ロボットアームの動きに過大な負荷がかからないように、滑らかに変化させるのが好ましい。
以下のように、目標押付力Fdを調節することにより、加工が不十分または過剰になるのを防止する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標押付力Fdはその設定値Fsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、目標押付力Fdを大きくする。(3−1)、(3−2)
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである場合には、目標押付力Fdを小さくする。(3−3)、(3−4)
Fd={(k31−1)・(1−exp(−l31・t))+1}・Fs (12)
ただし、0<l31、0<t、1≦k31、0<ht<|h|
ここで、k31は定数であり、l31は定数である。
Fd=β1・Fs (13)
Fd={(1−k33)・exp(−l33・t)+k33}・Fs (14)
ただし、0<l33、0<t、0≦k33<1、0<ht<|h|
ここで、k33は定数であり、l33は定数である。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標軌道Tdはその設定値Tsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向に応じて、以下のように目標軌道をずらす。
第一には、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向とが逆向きである場合には、押付方向に目標軌道をずらす。
第二には、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向とが同じ向きである場合には、押付方向とは逆向きに目標軌道をずらす。
Td=Ts+Tm
目標軌道の修正量Tmは以下の二通りで算出される。(4−1)、(4−2)
Tm=k41・(1−exp(−l41・t)) (15)
ただし、0<l41、0<t、0≦k41、0<ht<|h|
ここで、k41は定数であり、l41は定数である。
Tm=k42・(1−exp{−l42・(|h|−ht)}) (16)
ただし、0<l42、0≦k42、0<ht<|h|
ここで、k42は定数であり、l42は定数である。さらに、Tmは軌道修正量であり、hは慣性力の押付方向成分であり、htは動力学項と比較するための閾値である。これにより、ワークが加工不足または加工過剰になるのを防止できるのが分かるであろう。なお、目標軌道を変化させる場合には、ロボットアームの動きに過大な負荷がかからないように、滑らかに変化させるのが好ましい。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、力制御ゲインGdはその設定値Gsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、力制御ゲインGdを大きくする(5−1)、(5−2)。
Gd={(k51−1)・(1−exp(−l51・t))+1}・Gs (17)
ただし、0<l51、0<t、1≦k51、0<ht<|h|
ここで、k51は定数であり、l51は定数である。
Gd=β1・Gs (18)
ここで、Gsは予め第一パラメータ格納部20に設定した力制御ゲインである。
また、上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の場合において、目標進行方向速度Vd、目標押付力Fd、目標軌道修正量Tm、力制御ゲインGdを、慣性力の押付方向成分の大きさとその方向に応じて設定するようなテーブルを予め用意し、それを利用する方法をおこなってもよい。
11 指令演算部
12 指令調整手段
13 動力学項、重力算出部
14 力補正手段
20 第一パラメータ格納部
25 第二パラメータ格納部
26 重心位置
50、50’ ロボット
50a ロボットアーム
51 力覚センサ(力測定手段)
52 作業ツール
53 位置・速度・加速度検出部
54 ハンド
60 ワーク
61 作業台
62 表面
63 ワーク表面において、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである領域
64 ワーク表面において、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである領域
Td 目標軌道
Ts 目標軌道の設定値
Tm 軌道修正量
Fd 目標押付力
Fs 目標押付力の設定値
G(θ) 重力ベクトル
Gd 力制御ゲイン
Gs 力制御ゲインの設定値
C(θ,dθ/dt) 遠心力やコリオリ力などを表すベクトル
h 慣性力の押付方向成分
ht 閾値
t 閾値を超えてからの経過時間
Vd 目標進行方向速度
Vs 目標進行方向速度の設定値
α1、α2、β1 係数
Claims (11)
- ロボットアームの先端に取付けられた作業ツールとワークとの間に作用する力を制御するロボット制御装置において、
前記制御をおこなう際に必要な力データを取得する力測定手段と、
前記作業ツールから前記力測定手段に及ぼされる力のうち、重力が前記力測定手段に作用する力と前記ロボットアームの運動により発生する動力学項とを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された、前記重力が前記力測定手段に作用する力と前記動力学項とを用いて、前記力測定手段により測定された力を補正する補正手段と、
前記動力学項が所定の閾値より大きい場合には、前記動力学項および前記重力により前記力測定手段に及ぼされる力に応じて、前記ロボットアームの動作指令を調整する指令調整手段と、を具備するロボット制御装置。 - ロボットアームの先端に取付けられたハンドにより把持されたワークと固定された作業ツールとの間に作用する力を制御するロボット制御装置において、
前記制御をおこなう際に必要な力データを取得する力測定手段と、
前記ワークを把持した前記ハンドから前記力測定手段に及ぼされる力のうち、重力が前記力測定手段に作用する力と前記ロボットアームの運動により発生する動力学項とを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された、前記重力が前記力測定手段に作用する力と前記動力学項とを用いて、前記力測定手段により測定された力を補正する補正手段と、
前記動力学項が所定の閾値より大きい場合には、前記動力学項および前記重力により前記力測定手段に及ぼされる力に応じて、前記ロボットアームの動作指令を調整する指令調整手段と、を具備するロボット制御装置。 - 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、前記作業ツールと前記ワークとの間に作用すべき力の指令を含む請求項1または2に記載のロボット制御装置。
- 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、前記ロボットアームの進行方向速度を含む請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
- 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、ロボットアームの目標軌道を含む請求項1から4のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
- 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、力制御のゲインを含む請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
- 前記算出手段は、前記ロボットアームの姿勢、動作速度や動作加速度と、前記ロボットアーム先端部に取付けられたエンドエフェクタ部の質量と重心から、動力学項と重力とを算出する請求項1から6のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
- 前記力測定手段は力覚センサである、請求項1から7のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
- 前記力測定手段は前記ロボットアームを駆動するアクチュエータの電流値に基づいて力を推定する請求項1から7のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
- 前記ロボット制御装置により行われる力制御はインピーダンス制御である請求項1から9のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
- 前記ロボット制御装置により行われる力制御はダンピング制御である請求項1から9のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
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