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JP4267027B2 - ロボット制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロボット制御装置に関する。特に、本発明は、ロボットによってバリ取り、研削、研磨等の加工作業を制御するロボット制御装置に関する。
ロボットによりバリ取り、研磨、研削等の加工作業を行うために、ロボットアーム先端部分に取付けた作業ツールを適切な力でワークに押付けながら作業ツールを移動させることが行われている。同様な目的のために、ロボットアーム先端部分に取付けたハンドにより把持されたワークを適切な力で固定された加工機械に押付けながらハンドを移動させる場合もある。
このとき、ワークと作業ツールとの間に働く力が適切な値になるように、コンプライアンス機構を有する作業ツールまたはそのような加工機械を使用することがある。また、力覚センサまたは機械駆動部のアクチュエータの電流値を用いることによりワークと作業ツールとの間に働く力を推定し、この力をフィードバックして作業ツールの位置または力を制御する場合もある。
力測定手段、例えば力覚センサにより検出される力には、作業ツールとワークとの間に作用する正味の力以外の力、例えばロボットのエンドエフェクタの重力およびジャイロモーメントによる外力も含まれている。特許文献1においては、力測定手段により検出された力から重力およびジャイロモーメントによる外力を減算することにより、力を補正することが開示されている。
さらに、倣い加工作業においてロボットアーム先端部分の移動方向を比較的大きく変更するときには、ロボットによる押付力の制御が不完全になり、ワークの加工が不十分または過剰になる場合がある。この問題を解決するために、特許文献2においては、予め定義したプログラムに従ってコーナ部における予め指定した所定範囲内においてエンドエフェクタの進行方向速度を減少させると共に目標押付力を減少させるようにしている。また、特許文献3および特許文献4には、加工経路上の曲率を算出して、算出された曲率に応じてロボットとワークとの間の相対速度や目標押付力を決定することが開示されている。
特許第3412236号 特許第3402829号 特許第2739764号 特開平5−143146号
しかしながら、実際には、力測定手段により検出された力には、ロボットアーム先端のエンドエフェクタがロボットアームと共に運動することにより発生する遠心力、コリオリ力といった慣性力などの動力学項も含まれている。
さらに、倣い加工作業において、ロボットアーム先端部分の移動方向を比較的大きく変化させる場合には、動力学項の値も比較的大きくなる。そのため、作業ツールとワークとの間に作用する正味の力をより正確に推定するためには、この動力学項を考慮する必要がある。
重力および動力学項の値はロボットの姿勢または作業ツールの質量などから推定するが、これらの値には誤差が必ず含まれるので完璧な推定をすることはできない。ロボットアーム先端部分の移動方向を比較的大きく変化させる場合には、動力学項が大きくなるので推定誤差も大きくなる傾向にある。また、制御系の遅れや追従性能の限界によって、力の補正だけではワークに対して所望の加工状態を実現できない事態も生じうる。
このような問題に対処するためには、前述した特許文献2等における、進行方向速度および目標押付力を減少させるという方法が有効になり得る。しかしながら、特許文献2においては、ワークの表面形状が既知であると共に進行方向速度および押付力を変化させる領域を予め指定する必要がある。
また、特許文献3および特許文献4においては、進行方向速度または目標押付力を変化させる判断基準として、曲率などの指標を別に算出する必要がある。さらに、特許文献3および特許文献4においては、作業ツールまたはハンド、もしくは把持するワークが異なる場合にはエンドエフェクタの質量、重心位置が変わるので、曲率が同じ値になる場合、例えば同一の軌道で動作させる場合であっても、ワークまたはエンドエフェクタの種類ごとに進行方向速度および押付力の調整値を変更する必要がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ロボットアーム先端部分の移動方向を比較的大きく変化させる場合であっても、ワークをより正確に加工することのできるロボット制御装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、ロボットアームの先端に取付けられた作業ツールとワークとの間に作用する力を制御するロボット制御装置において、前記制御をおこなう際に必要な力データを取得する力測定手段と、前記作業ツールから前記力測定手段に及ぼされる力のうち、重力が前記力測定手段に作用する力と前記ロボットアームの運動により発生する動力学項とを算出する算出手段と、前記算出手段により算出された、前記重力が前記力測定手段に作用する力と前記動力学項とを用いて、前記力測定手段により測定された力を補正する補正手段と、前記動力学項が所定の閾値より大きい場合には、前記動力学項および前記重力により前記力測定手段に及ぼされる力に応じて、前記ロボットアームの動作指令を調整する指令調整手段と、を具備するロボット制御装置が提供される。
さらに、2番目の発明によれば、ロボットアームの先端に取付けられたハンドにより把持されたワークと固定された作業ツールとの間に作用する力を制御するロボット制御装置において、前記制御をおこなう際に必要な力データを取得する力測定手段と、前記ワークを把持した前記ハンドから前記力測定手段に及ぼされる力のうち、重力が前記力測定手段に作用する力と前記ロボットアームの運動により発生する動力学項とを算出する算出手段と、前記算出手段により算出された、前記重力が前記力測定手段に作用する力と前記動力学項とを用いて、前記力測定手段により測定された力を補正する補正手段と、前記動力学項が所定の閾値より大きい場合には、前記動力学項および前記重力により前記力測定手段に及ぼされる力に応じて、前記ロボットアームの動作指令を調整する指令調整手段と、を具備するロボット制御装置が提供される。
すなわち1番目および2番目の発明においては、先端部分の移動方向が比較的大きく変化するような倣い加工動作を行う場合であっても、ロボットアーム先端部分のエンドエフェクタ、例えば作業ツールまたはハンドの重量と、ロボットアームの運動による動力学項、例えば遠心力、コリオリ力などの慣性力等の補正を行うことができる。従って、作業ツールとワークとの間に作用する正味の力の推定誤差を可能な限り小さくできる。このため、本発明においては、作業ツールとワークとの間に作用する押付力をより正確に制御することができる。
さらに、1番目および2番目の発明においては、ロボットアームの動作に関連する指令を調整する際に、加工経路上の調整箇所を予め教示する必要はなく、また加工経路上の曲率を別途算出する必要もない。さらに、1番目および2番目の発明においては、重力および動力学項から、加工が不十分または過剰になりそうであるかを判断し、それに応じて動作指令を調節することができる。また、閾値は、設定した目標押付力に基づいて定めるのが好ましく、それにより、作業ツール、ハンドまたはワークが取替えられた場合であっても同一の調整値を使用することができる。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、前記作業ツールと前記ワークとの間に作用すべき力の指令を含む。
すなわち3番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて力の目標値を変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、前記ロボットアームの進行方向速度を含む。
すなわち4番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて進行方向速度の目標値を変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、ロボットアームの目標軌道を含む。
すなわち5番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて目標軌道を変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、力制御のゲインを含む。
すなわち6番目の発明においては、動力学項から得られた慣性力と作用方向に応じて力制御のゲインを変更することによって、ワークを所望の状態に加工することができる。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記算出手段は、前記ロボットアームの姿勢、動作速度や動作加速度と、前記ロボットアーム先端部に取付けられたエンドエフェクタ部の質量と重心から、動力学項と重力とを算出する。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記力測定手段は力覚センサである。
9番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記力測定手段は前記ロボットアームを駆動するアクチュエータの電流値に基づいて力を推定する。
すなわち8番目および9番目の発明においては、比較的簡易な手法により、力を測定することができる。また、9番目の発明においては、力覚センサを別途準備する必要がない。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記ロボット制御装置により行われる力制御はインピーダンス制御である。
11番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記ロボット制御装置により行われる力制御はダンピング制御である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づくロボット制御装置により制御されるロボットの斜視図である。図1に示されるロボット50は、6自由度の多関節型ロボットである。このロボット50はロボット制御装置10により制御される。ロボット50のロボットアーム50aの先端には作業ツール52が取付けられている。図1に示される実施形態においては、作業ツール52は例えばグラインダである。図1に示される作業ツール52、例えばグラインダは作業台61上に予め固定されたワーク60を研磨するのに使用される。
さらに、力覚センサ51がロボットアーム50aの先端と作業ツール52との間に配置されている。力覚センサ51は、作業ツール52がワーク60に押付けられるときの力を測定する。ここで、本願明細書において使用される用語「力」は、力とモーメントとの両方を含むものとする。図示されるように力覚センサ51はロボット制御装置10に接続されており、測定された力データはロボット制御装置10に供給される。なお、以下においては、力覚センサ51を適宜、「力測定手段51」と呼ぶ場合がある。
また、力覚センサ51を用いることなしに、ロボットアーム50aを駆動するアクチュエータ(図示しない)の電流値に基づいて力を推定するようにしてもよい。そのような場合には、電流値に基づいて力を推定する手段が力測定手段51に相当するものとする。
図2は本発明に基づくロボット制御装置の機能ブロック図である。マイクロコンピュータであるロボット制御装置10は、第一パラメータ格納部20と第二パラメータ格納部25とを含んでいる。図示されるように、第一パラメータ格納部20には、予め設定された設定値である、目標押付力・目標モーメントFs、目標進行方向速度Vs、目標軌道Tsおよび制御ゲイン、例えば力制御ゲインGsが格納されている。また、第二パラメータ格納部25には、作業ツール52の質量・重心位置26が格納されている。さらに、算出方法を記載しない後述する定数もこれらパラメータ格納部に予め格納されているものとする。
ここで、目標軌道Tsは、CADデータによって得られる軌道、加工作業前に作業ツール52をワーク60の表面上に実際に倣わせることにより得られる軌道、教示作業によって得られる軌道などを含むものとする。
さらに、ロボット制御装置10は、種々のロボット操作指令を作成・演算してロボット50に供給する指令演算部11と、第一パラメータ格納部20に格納されたパラメータの値に基づいて、重力および動力学項が力測定手段51に及ぼす力に応じて、目標押付力、目標進行方向速度、目標軌道、制御ゲインなどを調整して、それらの値を指令演算部11に送る指令調整手段12と、ロボット50に取付けられた位置、速度、加速度検出部53から送られるデータと、第二パラメータ格納部に予め格納されたツールの質量、重心位置26とに基づいて動力学項および重力を算出する動力学項・重力算出部13(以下、「算出部13」と称す。)と、ロボット50の力測定手段51、例えば力覚センサにより測定された力の出力値を、力覚センサ座標系から見た値に変換すると共に、重力および動力学項が及ぼす影響を補正し、作業ツール52とワーク60の間に作用する正味の力を算出する力補正手段14とを備えている。
図3はロボット制御装置により制御されるロボットアーム先端部分の移動を説明するための図である。図3においては、ワーク60の表面62に沿って、ロボット50の作業ツール52が倣い加工作業する様子が示されている。図3に示されるようにワーク60の表面62は大きな凹凸を含んでいる。このため、作業ツール52の移動方向は、表面62の領域63および領域64において、比較的大きく変化するようになる。ここで、領域63においては慣性力の押付方向成分(遠心力)の作用する方向と押付方向とが逆向きであり、領域64においては慣性力の押付方向成分(遠心力)の作用する方向と押付方向とが同一の向きである。なお、図3においては、作業ツール52の進行方向はワーク60の表面62に沿った方向であり、作業ツール52がワーク60を押付ける押付方向は作業ツール52が対応するワーク60の表面62に対して垂直でかつワーク60内部に向かう方向であるものとする。
以下、図2および図3を参照しつつ、本発明のロボット制御装置10による制御について説明する。本発明においては、重力が力測定手段51に作用する力と、ロボットアーム50aを駆動することによってエンドエフェクタ、例えば作業ツール52が力測定手段51に作用する力である動力学項とを算出する。
これらの力は、以下に表すマニピュレータの動力学方程式を解く際に用いられる公知の方法を利用することによって、算出することができる。
Figure 0004267027
ここで、τは関節トルクベクトルであり、θは関節角度ベクトルであり、M(θ)は質量行列であり、C(θ、dθ/dt)は遠心力やコリオリ力などを表すベクトルであり、G(θ)は重力ベクトルである。
前記動力学方程式を解く際に一般的に使用されている方法、例えばニュートン・オイラー法やラグランジュ法などを用いて、ロボットアームの各リンクの重心に作用する重力および慣性力(慣性モーメントも含む)を算出できる。この方法を用いて、ロボットアームの関節角度ベクトルθ、該関節角度ベクトルθの速度および加速度から、力覚センサの座標系から見た、作業ツール52の重心に作用する慣性力が力覚センサの座標系中心に作用する力を求めることによって、動力学項を算出することができる。また、力覚センサの座標系から見た、作業ツール52の重量が力覚センサの座標系中心に作用する力も同時に算出することができる。(ここで、ロボットアームの角速度を関節角度ベクトルから算出してもよく、角加速度を関節角度ベクトルや角速度から算出してもよい。)
ロボット制御装置10の算出部13は、重力が力覚センサ51の座標系中心に作用する力と、ロボットアームを動かすことによってエンドエフェクタが力覚センサ51の座標系中心に作用する力である動力学項とを上記のように算出する。
一方、ロボットアーム50aが図3を参照して説明したように移動するときに、力覚センサ51は力を測定する。次いで、ロボット制御装置10の力補正手段14は、測定された力から動力学項および重力の及ぼす影響を補正する。具体的には、重力が力覚センサ51の座標系中心に作用する力と前述した動力学項とを測定された力から減算する。これにより、ロボットアーム50aがその先端部分の移動方向が比較的大きく変化する動作を行うときに、作業ツール52とワーク60との間に作用する正味の力の推定誤差を小さくすることが可能となる。このため、本発明においては、作業ツール52とワーク60との間に作用する押付力をより正確に制御することが可能となる。
なお、作業ツール用の位置・速度・加速度検出部(図示しない)を作業ツール52に取付け、これによって検出される作業ツール52の加速度を用いて、動力学項および重力を算出するようにしてもよい。
その後、ロボット制御装置10の指令調整手段12は、重力および動力学項の合力、または動力学項のみを所定の閾値と比較することによって、ロボットアームの動作指令に関連するパラメータの値を調整する。この閾値は、以下の式(2)のように目標押付力Fsから算出される。
ht=k0・Fs (2)
ここで、htは重力および動力学項の合力、または動力学項のみと比較するための閾値であり、k0は定数であり、Fsは予め設定した目標押付力である。このように閾値htを、予め設定した目標押付力Fsに基づいて定める場合には、作業ツール52、後述するハンド54またはワーク60が取替えられた場合であっても同一の調整値を使用することが可能となる。
以下では、動力学項として慣性力の押付方向成分を考え、指令調整手段12は押付方向成分の値と上記閾値とを比較してロボットアームの動作指令に関連するパラメータの値の調整を行う。(ここで、動力学項における押付方向以外の力を用いた調整を行ってもよい。)
以下、動作指令に関連のあるパラメータの値の調整として、
(1)目標押付力および目標進行方向速度の両方を変更する場合、
(2)目標進行方向速度のみを変更する場合、
(3)目標押付力のみを変更する場合、
(4)目標軌道を調整する場合、
(5)力制御ゲインを調整する場合、について説明する。
(1)目標押付力および目標進行方向速度の両方を変更する場合
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標進行方向速度Vdはその設定値Vsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、目標進行方向速度Vdを小さくすると共に、目標押付力Fdも小さくする(1−1)、(1−2)。これにより、目標進行方向速度Vdを小さくしてもワーク60が過剰に加工されるのを防止できる。(ただし、ワーク60と作業ツール52とが離れやすくなるような部分において目標進行方向速度Vdをそれほど低下させたくない場合には、目標押付力Fdを大きくする。)
目標進行方向速度Vdおよび目標押付力Fdを小さくするために、以下の二つの手法を採用できる。
(1−1)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、閾値を超えてから経過した時間tに基づいて目標進行方向速度Vdと目標押付力Fdとを変更する。
図5は目標進行方向速度Vdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。図5においては、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htを超えた時点における速度をVxとする。(ここで、Vxは、|h|が閾値htを超えた後に下回り、また超えると、新たな値に更新される。)
目標進行方向速度Vdを以下の式(3)に基づいて滑らかに減速させつつ、式(4)に基づいて、目標押付力Fdを小さく変更する。
Vd={(1−k11)・exp(−l11・t)+k11}・Vx (3)
ただし、0<l11、0<t、0≦k11<1、0<ht<|h|
Fd=m11・(Fs/Vs)・Vd+n11 (4)
ただし、0<m11
式(3)および式(4)においては、Vdは目標進行方向速度であり、k11は定数であり、l11は定数であり、tは慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htを超えてから経過した時間を示している。さらに、Vxは慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htを超えた時点での速度であり、Fdは目標押付力であり、m11は定数であり、Fsは予め設定した目標押付力であり、Vsは予め設定した目標進行方向速度である。さらに、n11は定数であり、hは慣性力の押付方向成分であり、htは動力学項と比較するための閾値である。
(1−2)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に基づいて目標進行方向速度Vdと目標押付力Fdとを変更する。
図6は係数α1、α2と慣性力の押付方向成分の大きさとの関係を示す図である。はじめに、以下の式(5)、(6)により表されるように、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に応じて変化する係数α1、α2を求める。
α1=(1−k12)・exp{−l12・(|h|−ht)}+k12 (5)
ただし、0<l12、0≦k12<1、0<ht<|h|
α2=(1−m12)・exp{−n12・(|h|−ht)}+m12 (6)
ただし、0<n12、0≦m12<1、0<ht<|h|
次いで、これら係数α1、α2を用いて、目標進行方向速度Vdおよび目標押付力Fdを以下の式(7)、(8)に基づいて小さくする。
Vd=α1・Vs (7)
Fd=α2・Fs (8)
式(5)および式(6)においては、k12は定数であり、l12は定数であり、m12は定数であり、n12は定数である。なお、目標進行方向速度、目標押付力を変化させる場合には、ロボットアームの動きに過大な負荷がかからないように、滑らかに変化させるのが好ましい。
(2)目標進行方向速度のみを変化させる場合
以下のように、作業ツール52とワーク60との相対速度を調節することにより、加工が不十分または過剰になるのを防止する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標進行方向速度Vdはその設定値Vsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、目標進行方向速度Vdを小さくする(2−1)、(2−2)。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向とが同じ向きである場合には、目標進行方向速度Vdを大きくする(2−3)、(2−4)。なお、目標進行方向速度Vdを大きくする理由は、目標進行方向速度Vdの増加を、押付力が大きくなることによる単位時間当たりの切削量の増加と相殺するためである。
これらについて、以下に説明する。
(2−1)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、閾値を超えてから経過した時間tに基づいて目標進行方向速度Vdを小さくする。このときには、前述した式(3)を使用して、目標進行方向速度Vdを小さくする。
(2−2)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に基づいて目標進行方向速度Vdを小さくする。このときには、前述した式(5)から係数α1を算出した後で、前述した式(7)を用いて目標進行方向速度Vdを小さくする。
次いで、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向とが同じ向きである場合について説明する。
(2−3)、(2−4)に関して目標進行方向速度Vdを大きくすることを記述したが、目標進行方向速度Vdを大きくする場合には慣性力の押付方向成分の大きさ|h|をさらに大きくする副作用が生じるので制御性能が悪化する場合がある。そのような場合には、(2−1)、(2−2)と同様に目標進行方向速度Vdを小さくするのが好ましい。このことは、単位時間当たりの加工量が小さくて進行方向速度の影響を受けにくい、バフ掛けなどの研磨作業の場合に適用できる。
一方、単位時間当たりの切削量が大きい用途、例えばバリ取り作業などにおいては、目標進行方向速度Vdを小さくして押付時間が長くなると加工が過剰になる不具合が発生する。
従って、バリ取り作業などでは、以下の(2−3)、(2−4)のように目標進行方向速度Vdを大きくする。しかしながら、制御性能が著しく悪化する場合には、(1−1)、(1−2)のように目標進行方向速度Vdと目標押付力Fdとを変更するのが好ましい。
(2−3)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである場合には、閾値を超えてから経過した時間に基づいて目標進行方向速度Vdを大きくする。
図7は目標進行方向速度Vdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す他の図である。図7においては、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htを超えた時点での速度をVxとする(ここで、Vxは、|h|が閾値htを超えた後に下回り、また超えると、新たな値に更新される)。
図7を参照しつつ、以下の式(9)に基づいて目標進行方向速度Vdを算出する。
Vd={(k23−1)・(1−exp(−l23・t))+1}・Vx (9)
ただし、0<l23、0<t、1≦k23、0<ht<|h|
ここで、k23は定数であり、l23は定数である。
(2−4)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである場合には、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に基づいて目標進行方向速度Vdを大きくする。
図8は係数β1と慣性力の押付方向成分の大きさ|h|との関係を示す図である。はじめに、以下の式(10)に基づいて、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に応じて変化するような係数β1を算出する。
β1=(k24−1)・(1−exp{−l24・(|h|−ht)})+1 (10)
ただし、0<l24、1≦k24、0<ht<|h|
次いで、この係数β1に基づいて、以下の式(11)から目標進行方向速度Vdを算出する。
Vd=β1・Vs (11)
ここで、k24は定数であり、l24は定数である。なお、目標進行方向速度を変化させる場合には、ロボットアームの動きに過大な負荷がかからないように、滑らかに変化させるのが好ましい。
(3)目標押付力のみを変化させる場合
以下のように、目標押付力Fdを調節することにより、加工が不十分または過剰になるのを防止する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標押付力Fdはその設定値Fsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、目標押付力Fdを大きくする。(3−1)、(3−2)
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである場合には、目標押付力Fdを小さくする。(3−3)、(3−4)
(3−1)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、閾値を超えてから経過した時間tに基づいて目標押付力Fdを大きくする。
図9は目標押付力Fdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。図9を参照しつつ、以下の式(12)に基づいて目標押付力Fdを算出する。
Fd={(k31−1)・(1−exp(−l31・t))+1}・Fs (12)
ただし、0<l31、0<t、1≦k31、0<ht<|h|
ここで、k31は定数であり、l31は定数である。
(3−2)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである場合には、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に基づいて目標押付力Fdを大きくする。このときには、前述した式(10)から係数β1を算出した後で、以下の式(13)を用いて目標押付力Fdを大きくする。
Fd=β1・Fs (13)
(3−3)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである場合には、閾値を超えてから経過した時間に基づいて目標押付力Fdを小さくする。
図10は目標押付力Fdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す他の図である。図10を参照しつつ、以下の式(14)に基づいて、目標押付力Fdを算出する。
Fd={(1−k33)・exp(−l33・t)+k33}・Fs (14)
ただし、0<l33、0<t、0≦k33<1、0<ht<|h|
ここで、k33は定数であり、l33は定数である。
(3−4)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きく、かつ、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである場合には、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に基づいて目標押付力Fdを小さくする。このときには、前述した式(5)から係数α1を算出した後で、前述した式(13)を用いて目標押付力Fdを小さくする。なお、目標押付力を変化させる場合には、ロボットアームの動きに過大な負荷がかからないように、滑らかに変化させるのが好ましい。
なお、目標押付力Fdおよび目標進行方向速度Vdを小さくする場合にはワークが加工不足となることまたは過剰に加工されるのを防止でき、目標押付力Fdを大きくおよび/または目標進行方向速度Vdを小さくする場合にはワークが加工不足となるのを防止でき、目標押付力Fdを小さくおよび/または目標進行方向速度Vdを大きくする場合にはワークが過剰に加工されるのを防止できるのは、当業者であれば明らかであろう。
ところで、ロボット制御装置10の指令調整手段12が目標軌道Tdの調整を行うようにしてもよい。以下では、動力学項として慣性力の押付方向成分を考え、その値と前述した閾値を比較して目標軌道Tdの調整を行う(ここで、動力学項における押付方向以外の力を用いた調整を行ってもよい)。
(4)目標軌道を調整する場合
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、目標軌道Tdはその設定値Tsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向に応じて、以下のように目標軌道をずらす。
第一には、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向とが逆向きである場合には、押付方向に目標軌道をずらす。
第二には、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向とが同じ向きである場合には、押付方向とは逆向きに目標軌道をずらす。
目標軌道Tdは、以下の式によって与えられるようにする。
Td=Ts+Tm
目標軌道の修正量Tmは以下の二通りで算出される。(4−1)、(4−2)
(4−1)目標軌道の修正量Tmを、閾値を超えてから経過した時間tに基づいて算出する。図11は軌道修正量Tmと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。図11を参照しつつ、目標軌道の修正量Tmを以下の式(15)から算出する。
Tm=k41・(1−exp(−l41・t)) (15)
ただし、0<l41、0<t、0≦k41、0<ht<|h|
ここで、k41は定数であり、l41は定数である。
(4−2)目標軌道の修正量Tmを、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に基づいて算出する。図12は軌道修正量Tmと慣性力の押付方向成分の大きさ|h|との関係を示す他の図である。図12を参照しつつ、目標軌道の修正量Tmを以下の式(16)から算出する。
Tm=k42・(1−exp{−l42・(|h|−ht)}) (16)
ただし、0<l42、0≦k42、0<ht<|h|
ここで、k42は定数であり、l42は定数である。さらに、Tmは軌道修正量であり、hは慣性力の押付方向成分であり、htは動力学項と比較するための閾値である。これにより、ワークが加工不足または加工過剰になるのを防止できるのが分かるであろう。なお、目標軌道を変化させる場合には、ロボットアームの動きに過大な負荷がかからないように、滑らかに変化させるのが好ましい。
ところで、倣い加工作業において力測定手段51によって得られる力は、ワーク60と作業ツール52とが接触しているためにワーク60の表面状態、バリの大きさ、ロボットアーム50a自体の動きによる撓みまたは揺れなどの影響を受けやすい。また、力測定手段51の信号にのるノイズ、作業ツール52の回転による力または作業ツール52の振動によるノイズなどの外乱も存在する。このため、力制御ゲインを過度に大きな値に設定すると、外乱に対して過度に反応したりロボットアーム50aが発振しやすくなる。そのため、必要以上にゲインを大きく設定しないことが望ましい。
このため、通常は制御ゲインの大きさを比較的小さくしておき、慣性力が比較的大きい場合にのみ制御ゲインを比較的大きくするのが望まれる。この場合、動力学項の値に応じて、ロボットアーム50aの動作に関する指令を調整する指令調整手段12が力制御ゲインを調整するようにしてもよい。これにより、制御ゲインを必要な領域においてのみ大きくし、通常は比較的小さくしておくことができる。従って、ワーク60の加工状態を所望の状態にすることができる。
以下では、動力学項として慣性力の押付方向成分を考え、その値と前述した閾値とを比較して力制御ゲインの調整を行う(ここで、動力学項における押付方向以外の力を用いた調整を行ってもよい)。なお、ロボット制御装置10により実施される力制御はインピーダンス制御またはダンピング制御のいずれであってもよい。
(5)力制御ゲインを調整する場合
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより小さい場合には、力制御ゲインGdはその設定値Gsを使用する。
・慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、力制御ゲインGdを大きくする(5−1)、(5−2)。
(5−1)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、閾値を超えてから経過した時間tに基づいて力制御ゲインGdを大きくする。図13は力制御ゲインGdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。図13を参照しつつ、以下の式(17)から力制御ゲインGdを算出する。
Gd={(k51−1)・(1−exp(−l51・t))+1}・Gs (17)
ただし、0<l51、0<t、1≦k51、0<ht<|h|
ここで、k51は定数であり、l51は定数である。
(5−2)慣性力の押付方向成分の大きさ|h|が閾値htより大きい場合には、慣性力の押付方向成分の大きさ|h|に基づいて力制御ゲインGdを大きくする。このときには、前述した式(10)から係数β1を算出した後で、以下の式(18)を用いて力制御ゲインGdを算出する。
Gd=β1・Gs (18)
ここで、Gsは予め第一パラメータ格納部20に設定した力制御ゲインである。
また、上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の場合において、目標進行方向速度Vd、目標押付力Fd、目標軌道修正量Tm、力制御ゲインGdを、慣性力の押付方向成分の大きさとその方向に応じて設定するようなテーブルを予め用意し、それを利用する方法をおこなってもよい。
このように本発明においては、ロボットアームの動作に関連する指令を調整する際に、加工経路上の調整箇所を予め教示する必要はなく、また加工経路上の曲率を別途算出する必要もない。また、重力および動力学項から、加工が不十分または過剰になりそうであるかを判断し、それに応じて動作指令を調節している。従って、ワークを容易かつ正確に加工できるのが分かるであろう。
ところで、図4は本発明に基づくロボット制御装置により制御される他のロボットの斜視図である。図4に示されるロボット50’はロボットアーム50aの先端に、ワーク60を把持するためのハンド54が取付けられている。ハンド54に把持されたワーク60が床に固定されたグラインダ52に押付けられつつ、倣い加工作業が行われる。そして、力覚センサ51はロボットアーム50aとハンド54との間に配置されている。なお、力覚センサ51を用いることなしに、ロボットアーム50aを駆動するアクチュエータの電流値に基づいて力を推定するようにしてもよい。このような場合であっても、前述した制御を適用できるのは、当業者であれば明らかであろう。
本発明に基づくロボット制御装置により制御されるロボットの斜視図である。 本発明に基づくロボット制御装置の機能ブロック図である。 ロボット制御装置により制御されるロボットアーム先端部分の移動を説明するための図である。 本発明に基づくロボット制御装置により制御される他のロボットの斜視図である。 目標進行方向速度Vdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。 係数α1、α2と慣性力の押付方向成分の大きさとの関係を示す図である。 目標進行方向速度Vdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す他の図である。 係数β1と慣性力の押付方向成分の大きさ|h|との関係を示す図である。 目標押付力Fdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。 目標押付力Fdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す他の図である。 軌道修正量Tmと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。 軌道修正量Tmと慣性力の押付方向成分の大きさ|h|との関係を示す他の図である。 力制御ゲインGdと閾値を超えてからの経過時間tとの関係を示す図である。
符号の説明
10 ロボット制御装置
11 指令演算部
12 指令調整手段
13 動力学項、重力算出部
14 力補正手段
20 第一パラメータ格納部
25 第二パラメータ格納部
26 重心位置
50、50’ ロボット
50a ロボットアーム
51 力覚センサ(力測定手段)
52 作業ツール
53 位置・速度・加速度検出部
54 ハンド
60 ワーク
61 作業台
62 表面
63 ワーク表面において、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が逆向きである領域
64 ワーク表面において、慣性力の押付方向成分の作用する方向と押付方向が同じ向きである領域
Td 目標軌道
Ts 目標軌道の設定値
Tm 軌道修正量
Fd 目標押付力
Fs 目標押付力の設定値
G(θ) 重力ベクトル
Gd 力制御ゲイン
Gs 力制御ゲインの設定値
C(θ,dθ/dt) 遠心力やコリオリ力などを表すベクトル
h 慣性力の押付方向成分
ht 閾値
t 閾値を超えてからの経過時間
Vd 目標進行方向速度
Vs 目標進行方向速度の設定値
α1、α2、β1 係数

Claims (11)

  1. ロボットアームの先端に取付けられた作業ツールとワークとの間に作用する力を制御するロボット制御装置において、
    前記制御をおこなう際に必要な力データを取得する力測定手段と、
    前記作業ツールから前記力測定手段に及ぼされる力のうち、重力が前記力測定手段に作用する力と前記ロボットアームの運動により発生する動力学項とを算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された、前記重力が前記力測定手段に作用する力と前記動力学項とを用いて、前記力測定手段により測定された力を補正する補正手段と、
    前記動力学項が所定の閾値より大きい場合には、前記動力学項および前記重力により前記力測定手段に及ぼされる力に応じて、前記ロボットアームの動作指令を調整する指令調整手段と、を具備するロボット制御装置。
  2. ロボットアームの先端に取付けられたハンドにより把持されたワークと固定された作業ツールとの間に作用する力を制御するロボット制御装置において、
    前記制御をおこなう際に必要な力データを取得する力測定手段と、
    前記ワークを把持した前記ハンドから前記力測定手段に及ぼされる力のうち、重力が前記力測定手段に作用する力と前記ロボットアームの運動により発生する動力学項とを算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された、前記重力が前記力測定手段に作用する力と前記動力学項とを用いて、前記力測定手段により測定された力を補正する補正手段と、
    前記動力学項が所定の閾値より大きい場合には、前記動力学項および前記重力により前記力測定手段に及ぼされる力に応じて、前記ロボットアームの動作指令を調整する指令調整手段と、を具備するロボット制御装置。
  3. 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、前記作業ツールと前記ワークとの間に作用すべき力の指令を含む請求項1または2に記載のロボット制御装置。
  4. 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、前記ロボットアームの進行方向速度を含む請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
  5. 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、ロボットアームの目標軌道を含む請求項1から4のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
  6. 前記指令調整手段により調整される前記ロボットアームの前記動作指令は、力制御のゲインを含む請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
  7. 前記算出手段は、前記ロボットアームの姿勢、動作速度や動作加速度と、前記ロボットアーム先端部に取付けられたエンドエフェクタ部の質量と重心から、動力学項と重力とを算出する請求項1から6のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
  8. 前記力測定手段は力覚センサである、請求項1から7のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
  9. 前記力測定手段は前記ロボットアームを駆動するアクチュエータの電流値に基づいて力を推定する請求項1から7のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
  10. 前記ロボット制御装置により行われる力制御はインピーダンス制御である請求項1から9のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
  11. 前記ロボット制御装置により行われる力制御はダンピング制御である請求項1から9のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
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