JP4265009B2 - 電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド性、流動性に優れ、得られた成形品の表面平滑性に優れた電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物および成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化が推し進められている現代社会において、情報の効率的な伝達の必要性から情報の処理形態の主流がアナログ方式からデジタル方式へと移行し、今日ではデジタル方式が定着しつつある。このデジタル方式による情報処理においては、更なる情報の高密度化を目的に、電子回路などの高周波数化がますます推し進められ、より高度な情報化が達成されている。一般にデジタル回路では、用いられるクロック周波数により電磁波ノイズを発生するが、その反面、用いられる信号電圧が低いため外来の電磁波ノイズにより影響を受けやすい。このため、デジタル回路を用いた電子機器類は、電磁波ノイズにより容易に誤動作を引き起こす可能性を秘めていると言える。以上のような理由から、電気・電子機器には、電磁波ノイズを出さないことと、外来の電磁波ノイズの影響を受けないようにすることの両方の対策が求められる。この電磁波ノイズにより引き起こされる電子機器類の誤動作は深刻な問題としてクローズアップされ、世界各国で規制が敷かれている。特に米国、独国では法規制化されており、規格に満たない製品は発売できない。電磁波ノイズ対策は電子回路上での対策も必要だが、電気・電子回路を収納する筐体で電磁波をシールドしてやるという考えが多い。1985年以前までは板金による金属筐体が主流であったが、現在では、コスト、量産性、意匠性に優れるプラスチック筐体が多く用いられている。前述の電磁波ノイズ対策に関する規格では、実際に機器から発生する電磁波のレベルを規制しているので、筐体材料に求められるシールド性は一概に規定できないが、電磁波ノイズによる誤動作を防ぐために電機業界では筐体などに用いる材料に必要な電界シールド性を経験的に周波数300MHzで30dB以上と定めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電磁波シールド性を得るためには、シールド材の電気抵抗を低くしてやれば良いことが一般的に知られている。しかしながら、プラスチック筐体は金属に比べ電磁波シールド性が低いため、成形品表面に導電性塗料、メッキ処理を施したり、あるいは各種導電性充填材を添加した導電性プラスチックを用いて対応している。しかしながら、成形品表面処理では処理した膜の剥離により電子回路の短絡を招く恐れがあったり、コスト、量産性から有利とは言えない。また、導電性プラスチックを用いることが最も望ましいと考えられるが、短繊維充填材を用いたのでは組成物内での充填材同士が接触しにくく導電パスが形成されないことから電磁波シールド性が低い。この対策として長繊維充填材を用いることでより高い導電性を付与できるが、反面、成形時の流動性および成形品の表面外観が悪くなる。例えば電気・電子機器筐体に使用する場合、軽量化のために薄肉の成形が強く求められ、またこれらは非常に外観の良し悪しが問題にされる。このため、長繊維充填材を用いた際の流動性や成形品外観の悪さが、実用化の大きな課題となっている。
【0004】
よって本発明の課題は、上述の問題を解消し、さらに軽量化のための薄肉成形性と得られた成形品の表面外観良好な電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物液晶性樹脂および成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)炭素繊維強化したナイロン6および/またはポリフェニレンスルフィドからなる繊維強化熱可塑性樹脂100重量部に対して液晶性樹脂1〜4重量部を添加してなる繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、炭素繊維の組成物中での重量平均繊維長が0.2〜0.4mmであり、該組成物を厚み1mmの平板に成形し、アドバンテスト法を用いて測定する周波数300MHzの電界シールド性が40dB以上であることを特徴とする電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物、
(2)繊維強化熱可塑性樹脂の繊維状充填材の添加量が熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜150重量部であることを特徴とする上記(1)記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物、
(3)炭素繊維が、引張強度が3500MPa以上、引張弾性率が300GPa以下、破断伸度が1.4%以上の少なくともいずれかの特性を満たすPAN系炭素繊維である上記(1)または(2)記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物、
(4)液晶性樹脂の数平均分子量が5000以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれか記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物、
(5)液晶性樹脂が下記構造単位(I)、(III)、(IV)からなる液晶性ポリエステルおよび/または(I)、(II)、(III)、(IV)からなる液晶性ポリエステルである上記(1)〜(4)いずれか記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物、
【化4】
(ただし式中のR1は
【化5】
から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は
【化6】
から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
(6)構造単位(I)と(II)の合計が(I)と(II)および(III)の合計の35〜90モル%、構造単位(III)が(I)と(II)および(III)の合計の65〜10モル%であり、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]が70/30〜95/5であり、構造単位(IV)は構造単位(II)と(III)の合計と等モルである上記(5)記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物、
(7)(1)〜(6)いずれか記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形してなる厚さ0.8mm以下の薄肉部が20%以上ある箱形成形品である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0009】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂で用いる熱可塑性樹脂とは、加熱すると流動性を示し、これを利用して成形加工できる非液晶性の樹脂のことである。その具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる。さらにポリエステル樹脂の具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステル等が挙げられる。また、ポリアミドの具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合物として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。
【0010】
これらのうち機械的性質、成形性などの点からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく、さらに好ましくはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン4・6、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ABS、ポリフェニレンオキシドから選ばれる1種または2種以上の混合物である。
【0011】
好ましく用いられる熱可塑性樹脂のうち、ポリアミド系樹脂を用いた場合、更に流動性を向上させるために酸無水物を添加することが可能である。酸無水物の例としては、無水安息香酸、無水イソ酪酸、無水イタコン酸、無水オクタン酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水酢酸、無水ジメチルマレイン酸、無水デカン酸、無水トリメリト酸、無水1,8−ナフタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸などが挙げられ、中でも無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸などが好ましく用いられる。
【0012】
本発明の酸無水物のポリアミド系樹脂への配合量は、流動性改良効果の点からポリアミド系樹脂に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部である。酸無水物量が多すぎると、コンパウンド時および成形時にガスが発生し、噛み込み不良、成形品のガス焼けおよびボイド発生の原因となり、得られた成形品も表面外観のみならず、機械特性も低下する傾向にある。
【0013】
本発明において用いる酸無水物のポリアミド樹脂組成物中での存在状態は特に限定されず、酸無水物、水あるいはポリアミド、液晶性樹脂およびそのモノマー・オリゴマーとの反応物のいずれの状態で存在していてもかまわない。
【0014】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂に用いる繊維状充填材としてはガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、石コウ繊維、ほう酸アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウイスカ繊維、アスベスト繊維、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状などの繊維充填材が好ましく用いられる。また、これらの繊維状充填材の表面にメッキ、化学的蒸着法などの手法で導電性金属、酸化スズ/酸化アンチモン、炭素などの導電被膜をコーティングしてやることもできる。より好ましいものとして黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、炭素繊維など、最も好ましいものとしては炭素繊維が用いられる。これら繊維状充填材の種類は、一般に樹脂の強化用に用いられているものならば特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
【0015】
繊維状充填材として炭素繊維を用いる場合、成形時などの繊維折損を抑えるため高強度・高伸度タイプのものを用いることが望ましい。強度が低いものは脆く、コンパウンド、成形時の繊維折損で繊維長が極めて短くなってしまい、結果として電磁波シールドに必要な導電性を得にくくなる。繊維方向引張弾性率が300GPaを越えるようなものも、強度が格別高い特殊なものを除くと、破断伸びが小さくなるため折損しやすい。望ましい炭素繊維は、引張強度が3500MPa以上、引張弾性率が300GPa以下、破断伸度が1.4%以上の、すべて、あるいは少なくともいずれかの特性を満たす炭素繊維である。これらの特性を得ることのできるPAN系炭素繊維がより望ましい。
【0016】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂に用いる繊維状充填材の添加量は組成物の電磁波シールド性、流動性の点から、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜120重量部、より好ましくは25〜100重量部である。
【0017】
本発明で用いる繊維状充填剤の繊維強化熱可塑性樹脂組成物中の重量平均繊維長は電磁波シールド性の点から、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.25mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。
【0018】
組成物中の繊維状充填材の重量平均繊維長の測定方法は、例えば、組成物約5gをるつぼ中で550℃×7時間処理し灰化した後、残存した充填剤のうちから100mgを採取し、100ccの石鹸水中に分散させる。ついで、分散液をスポイトを用いて1〜2滴スライドガラス上に置き、顕微鏡下に観察して、写真撮影する。写真に撮影された充填剤の繊維長を測定する。測定は500本行い、重量平均繊維長を求める。炭素繊維の繊維長を求める際には灰化条件を誤ると繊維そのものが酸化、燃焼してしまう場合があるので注意が必要であり、窒素雰囲気下で灰化することが望ましい。用いる熱可塑性樹脂が可溶の場合には、溶媒を用いて組成物を溶かし繊維を取り出して繊維長を測定することもできる。
【0019】
また、必要に応じて粉状、粒状あるいは板状の充填材を添加することも可能である。粉状、粒状あるいは板状の充填材としてはマイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、ベントナイト、クレー、ワラステナイト、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、グラファイト等が用いられる。また、上記の充填剤は2種以上を併用して使用することもできる。
【0020】
なお、本発明に使用する上記の繊維状、粉状、粒状あるいは板状充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0021】
また、ガラス繊維、炭素繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0022】
本発明おいて、電磁波シールド性は以下のように規定する。繊維強化熱可塑性樹脂組成物を150mm角、厚み1mmの平板に成形し、この平板に電磁波を透過させた際の減衰率を、10〜1000MHzの周波数帯域で測定する。測定は、一般にアドバンテスト法と称される方法で測定する。具体的には(株)アドバンテスト製シールド材評価器TR17301Aを用い、プローブアンテナを用いて電界波について測定を行うことが可能である。電磁波シールド性組成物としては、一般的な電気・電子機器の筐体などに使用した際の、電磁波ノイズによる電気回路の誤動作の防止の点から、上記成形品を用い、上記方法であってかつ周波数300MHzで測定した場合の電界シールド性(電磁波の電界成分の減衰)が、30dB以上であり、より望ましい電界シールド性は40dB以上である。
【0023】
本発明に用いる液晶性樹脂とは、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、これらは1種または2種以上で用いることができる。
【0024】
異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルの例としては、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0025】
(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
【0026】
【化7】
(ただし式中のR1は
【化8】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【化9】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)は1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【化10】
であり、R2が
【化11】
であるものが特に好ましい。
【0027】
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記構造単位(I)、(III)、(IV)および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0028】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜10モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0029】
一方、上記構造単位(II) を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
【0030】
また液晶性ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0031】
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0032】
本発明において使用する上記液晶性樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0033】
例えば、上記液晶ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
【0034】
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって製造する方法。
【0035】
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0036】
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
【0037】
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
【0038】
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0039】
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
【0040】
本発明において用いられる液晶性樹脂の数平均分子量は特に限定されないがなかでも400〜5000が好ましく、特に500〜4500が好ましい。分子量は、液晶性樹脂が可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
【0041】
本発明で用いる液晶性樹脂は、ペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度で60℃で測定した値で0.03以上が好ましく、0.05〜15.0dl/gが特に好ましい。
【0042】
また、本発明における液晶性樹脂の溶融粘度は0.5〜100Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・sがより好ましい。また、流動性により優れた組成物を得ようとする場合には、溶融粘度を8〜25Pa・sにすることが好ましい。
【0043】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0044】
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0045】
液晶性樹脂の融点は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂への分散性の点から好ましくは350℃以下、より好ましくは330℃以下である。
【0046】
本発明で用いる繊維強化熱可塑性樹脂に対する液晶性樹脂の添加量は、流動性、電磁波シールド性などの実用特性とコストの点から熱可塑性樹脂100重量部に対して0.05〜30重量部、好ましくは0.07〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
【0047】
さらに電磁波シールド性を向上させるためにカーボンブラックを添加することが可能である。用いるカーボンブラックはチャネルブラック系、ファーネスブラック系、ランプブラック系、サーマルブラック系、ケッチェンブラック系、ナフタレンブラック系などが挙げられ、これらのうち特にファーネスブラック系のものが好ましく使用できる。
【0048】
また、比表面積をコントロールまたはその他の特性を付与するためにカーボンブラック表面を酸処理あるいはアルカリ処理して使用することもできる。
【0049】
また、比表面積をコントロールまたはその他の特性を付与するためにカーボンブラック表面を酸処理あるいはアルカリ処理して使用することもできる。
【0050】
本発明で用いるカーボンブラックのpHは3〜11、好ましくは4〜10、特に好ましくは5〜9.5であり、pHが3未満およびpHが11を越えると、機械物性が低下するばかりでなく、成形時の滞留安定性が不良となり、物性低下や分解ガスが発生して成形品の外観が不良となり好ましくない。
【0051】
上記のpHはカーボンブラック1gを蒸留水20mlに分散せしめた水性懸濁液を作成し、該懸濁液のpHを測定した値である。
【0052】
カーボンブラックの添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して15重量部以下、好ましくは10重量部、より好ましくは8重量部以下である。添加量が多すぎる場合確かに電磁波シールド性は向上するが、表面外観や機械特性などが低下する傾向にある。
【0053】
本発明の液晶性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の難燃性を付加するために赤燐を添加せしめることができるが、かかる赤燐は、そのままでは不安定であり、また、水に徐々に溶解したりする性質を有するので、これを防止する処理を施したものが好ましく用いられる。このような赤燐の処理方法としては、赤燐に水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムを微量添加して赤燐の酸化を触媒的に抑制する方法、赤リンをパラフィンやワックスで被覆し、水分との接触を抑制する方法、ε−カプロラクタムやトリオキサンと混合することにより安定化させる方法、赤燐をフェノール系、メラミン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆することにより安定化させる方法、赤燐を銅、ニッケル、銀、鉄、アルミニウムおよびチタンなどの金属塩の水溶液で処理して、赤燐表面に金属リン化合物を析出させて安定化させる方法、赤燐を水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物あるいは水酸化チタン、水酸化亜鉛等のその他の金属の水酸化物などで被覆する方法、赤燐表面に鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、スズなどで無電解メッキ被覆することにより安定化させる方法およびこれらを組合せた方法が挙げられるが、好ましくは、赤燐をフェノール系、メラミン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆することにより安定化させる方法や赤燐を水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛などで被覆することにより安定化させる方法である。特にフェノール系および水酸化チタンによる被覆が好ましく用いられる。
【0054】
また、液晶性樹脂または熱可塑性樹脂組成物に配合される前の赤燐の平均粒径は、成形品の難燃性、機械的強度や表面外観性およびリサイクル使用時の粉砕による赤燐の科学的・物理的劣化を抑える点からの点から50〜0.01μmのものが好ましく、さらに好ましくは、45〜0.1μmのものである。
【0055】
なお赤燐の平均粒径は、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することが可能である。粒度分布測定装置には、湿式法と乾式法があるが、いずれを用いてもかまわない。湿式法の場合は、赤リンの分散溶媒として、水を使用することができる。この時アルコールや中性洗剤により赤リン表面処理を行ってもよい。また分散剤として、ヘキサメタ燐酸ナトリウムやピロ燐酸ナトリウムなどの燐酸塩を使用することも可能である。また分散装置として超音波バスを使用することも可能である。
【0056】
また、本発明で使用される赤リンの平均粒径は上記のごとくであるが、赤リン中に含有される粒径の大きな赤リン、すなわち粒径が75μm以上の赤リンは、難燃性、機械的特性、耐湿熱性、リサイクル性を著しく低下させるため、粒径が75μm以上の赤リンは分級とうにより除去することが好ましい。粒径が75μm以上の赤リン含量は、難燃性、機械的特性、耐湿熱性、リサイクル性の面から、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは8重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。下限に特に制限はないが、0に近いほど好ましい。
【0057】
ここで赤リンに含有される粒径が75μm以上の赤リン含量は、75μmのメッシュにより分級することで測定することができる。すなわち赤リン100gを75μmのメッシュで分級した時の残さ量A(g)より、粒径が75μm以上の赤リン含量はA/100×100(%)より算出することができる。
【0058】
また、本発明で使用される赤燐の熱水中で抽出処理した時の導電率(ここで導電率は赤燐5gに純水100mLを加え、オートクレーブ中、121℃で100時間抽出処理し、赤燐ろ過後のろ液を250mLに希釈して測定することができる)は、得られる成形品の、難燃性、耐湿性、機械的強度、耐トラッキング性および非着色性性の点から通常0.1〜1000μS/cmであり、好ましくは0.1〜800μS/cm、さらに好ましくは0.1〜500μS/cmである。
【0059】
また、本発明で使用される赤燐のホスフィン発生量(ここでホスフィン発生量は、赤燐5gを窒素置換した内容量500mLの例えば試験管などの容器に入れ、10mmHgに減圧後、280℃で10分間加熱処理し、25℃に冷却し、窒素ガスで試験管内のガスを希釈して760mmHgに戻したのちホスフィン(リン化水素)検知管を用いて測定し、つぎの計算式で求める。ホスフィン発生量(ppm)=検知管指示値(ppm)×希釈倍率)は、得られる組成物の発生ガス量、押出し、成形時の安定性、溶融滞留時機械的強度、成形品の表面外観性、成形品による端子腐食などの点から通常100ppm以下のものが用いられ、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。
【0060】
このような好ましい赤燐粒径、導電率およびホスフィン発生量を示す市販品の赤燐としては、燐化学工業社製“ノーバエクセル140”、“ノーバエクセルF5”が挙げられる。
【0061】
本発明における赤燐の添加量は、液晶性樹脂と熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.06〜10重量部、さらに好ましくは0.08〜5重量部である。赤燐添加量が少なすぎると難燃性向上効果が発現せず、多すぎると物性低下するとともに難燃効果とは逆に燃焼促進剤として働く傾向にある。
【0062】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物はさらに赤燐の安定剤として金属酸化物を添加することにより、押出し、成形時の安定性や強度、耐熱性、成形品の端子腐食性などを向上させることができる。このような金属酸化物の具体例としては、酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなどが挙げられるが、なかでも酸化カドミウム、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化チタンなどのI族および/またはII族の金属以外の金属酸化物が好ましく、特に酸化第一銅、酸化第二銅、酸化チタンが好ましいが、I族および/またはII族の金属酸化物であってもよい。押出し、成形時の安定性や強度、耐熱性、成形品の端子腐食性の他に、非着色性をさらに向上させるためには酸化チタンが最も好ましい。
【0063】
金属酸化物の添加量は機械物性、成形性の面から液晶性樹脂と熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0064】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物はさらにフッ素系樹脂を添加すると燃焼時の液滴の落下(ドリップ)が抑制される。そのようなフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
【0065】
フッ素系樹脂の添加量は機械物性、成形性の面から液晶性樹脂と熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して通常0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。
【0066】
さらに、本発明の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色剤、結晶核剤、可塑剤、難燃剤として赤燐が好ましく用いられるがその他の難燃剤(例えばブロム化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、水酸化マグネシウム、メラミンおよびシアヌール酸またはその塩など)を使用または、併用、難燃助剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの通常の添加剤を添加して、所定の特性をさらに付与することができる。
【0067】
液晶性樹脂、その他の添加剤を添加する方法および時期は特に限定されず、繊維強化樹脂の製造時に添加する方法、あるいは用いる熱可塑性樹脂にあらかじめ所定量練り込み(高濃度マスター法)、その後繊維充填材およびその他の添加剤を添加する場合はその添加剤を添加する方法、または繊維強化樹脂、液晶性樹脂、その他の添加剤を添加する場合はその添加剤を溶融混練する、成形時にそれぞれ所定量添加するなどの方法を用いる。熱可塑性樹脂としてポリアミド系樹脂を用い、かつ酸無水物を添加する場合には好ましい製造方法としてポリアミド系樹脂と酸無水物を始めに溶融ブレンドし、ついで液晶性樹脂を添加する方法がより流動性向上効果を発揮する。また、繊維充填材、その他の添加剤を添加する場合における添加剤は、ポリアミド系樹脂と酸無水物を添加する時に同時に添加するか、あるいは液晶性樹脂と同時に添加を行う。
【0068】
また、難燃剤として赤燐を用いる場合には、上記のその他添加剤と同様の扱いで添加する方法、あるいは繊維強化樹脂とは別に熱可塑性樹脂あまたは液晶性樹脂に所定量練り混み(高濃度マスター法)あとでブレンドする方法などを用いる。溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、180〜350℃の温度で溶融混練して組成物とすることができる。
【0069】
かくして得られる電磁波シールド性樹脂組成物は射出成形、押出成形、圧縮成形など通常の成形に供することができ、各種成形品として電気・電子部品、精密部品、自動車部品などに極めて有用である。
【0070】
本発明の電磁波シールド性樹脂組成物は、電磁波シールド性、流動性および良表面外観などの特性を生かし、箱形成形品、特に、軽量性を要求される携帯電話用ハウジング、ポケベル基盤枠、パソコン用ハウジング等、特に厚み1.5mm以下の部分を20%以上有する箱形成形品、特にパソコン用ハウジング等に有用である。軽量性を得るため、好ましくは厚みは1.0mm以下、より好ましくは、0.8mm以下の部分を20%以上有する箱形成形品である。
【0071】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
参考例1(A−1)
p−ヒドロキシ安息香酸528重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト864重量部及び無水酢酸586重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重合を行った。芳香族オキシカルボニル単位42.5モル%、芳香族ジオキシ単位7.5モル%、エチレンジオキシ単位50モル%、芳香族ジカルボン酸単位57.5モル%からなる融点208℃、数平均分子量は約3000、9Pa・s(218℃、オリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,000(1/秒))の液晶性樹脂が得られた。
【0073】
参考例2(A−2)
p−ヒドロキシ安息香酸777重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト519重量部及び無水酢酸816重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重合を行った。芳香族オキシカルボニル単位62.5モル%、芳香族ジオキシ単位7.5モル%、エチレンジオキシ単位30モル%、芳香族ジカルボン酸単位37.5モル%からなる融点225℃、数平均分子量は約2600、8Pa・s(235℃、オリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,000(1/秒))の液晶性樹脂が得られた。
【0074】
参考例3(A−3)
p−ヒドロキシ安息香酸901重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト346重量部及び無水酢酸884重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重合を行った。芳香族オキシカルボニル単位72.5モル%、芳香族ジオキシ単位7.5モル%、エチレンジオキシ単位20モル%、芳香族ジカルボン酸単位27.5モル%からなる融点256℃、数平均分子量は約3200、10Pa・s(266℃、オリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,000(1/秒))の液晶性樹脂が得られた。
【0075】
なお、融点(Tm)とは示差熱量測定において、液晶性樹脂を室温から40℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)のピークを指す。
【0076】
実施例1〜4、比較例1〜3
熱可塑性樹脂、参考例で得た液晶性ポリエステル樹脂(A-1〜A-3)と平均繊維長6mm炭素繊維を表1に示すようにそれぞれ所定量秤量し、ドライブレンドした。30mmφの単軸押出機でシリンダー温度は表1のように設定し、スクリュー回転を30〜100r.p.mの条件で溶融混練してペレットとした。熱風乾燥後、このペレットをIS55EPN(東芝機械(株)製)に供し、シリンダ−温度、金型温度を表1のように設定し、以下に示す測定用テストピースを射出成形して得た。測定方法を以下に示す。
【0077】
実施例5、6
TEX−30 2軸押出機(日本製鋼所製)を用い、熱可塑性樹脂に表1の酸無水物を所定量ブレンドし、元から重量フィーダーを用いて添加し、サイドフィダーを用いて参考例の液晶性樹脂および平均繊維長6mmの炭素繊維を添加し、ペレットを得た。熱風乾燥後、このペレットをIS55EPN(東芝機械(株)製)に供し、シリンダ−温度、金型温度を表1のように設定し、以下に示す測定用テストピースを射出成形して得た。
【0078】
(1)流動性
上記の成形機を用いて、射出速度99%、射出圧力500kgf/cm2の条件で0.5mm厚×12.7mm巾の試験片の流動長(棒流動長)を測定した。
【0079】
(2)電磁波シールド性
150×150×1mmtの角板を射出成形し、得られた成形品を用いてアドバンテスト法に基づいて電界波についてシールド性の測定をおこなった。具体的には(株)アドバンテスト製シールド材評価器TR17301Aとスペクトルアナライザを用い、プローブアンテナを用いることにより、この平板に電磁波を透過させた際の減衰率を、10〜1000MHzの周波数帯域で測定し、測定チャートより周波数300MHzでの電界シールド性を読みとった。
【0080】
(3)表面外観
80x80x3mmtの角板を射出成形し、得られた成形品表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、平滑性の指標とした。
【0081】
◎:蛍光灯の反射像が明瞭に観察される。
【0082】
○:蛍光灯の反射像が不明瞭ながらも観察される。
【0083】
△:蛍光灯の反射像が観察できない。
【0084】
(4)充填材繊維長
成形品約5gをるつぼ中で550℃×7時間処理し灰化した後、残存した充填剤のうちから100mgを採取し、100ccの石鹸水中に分散させる。ついで、分散液をスポイトを用いて1〜2滴スライドガラス上に置き、顕微鏡下に観察して、写真撮影する。写真に撮影された充填剤の繊維長を測定する。測定は500本以上行い、重量平均繊維長を求めた。
【0085】
【表1】
【0086】
表1の結果から本発明の電磁波シールド性熱可塑性樹脂組成物は、電磁波シールド性および流動性に優れ、表面外観の優れた成形品を得ることができる。
【0087】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド性熱可塑性樹脂組成物はハウジング等で課題であった電磁波シールド性を改良でき、さらに軽量化のための薄肉成形性、良外観な成形品を得ることができ、成形品では電気・電子関連機器、精密機械関連機器、事務用機器、自動車・車両関連部品など、その他各種用途に好適である。
Claims (7)
- 炭素繊維強化したナイロン6および/またはポリフェニレンスルフィドからなる繊維強化熱可塑性樹脂100重量部に対して液晶性樹脂1〜4重量部を添加してなる繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、炭素繊維の組成物中での重量平均繊維長が0.2〜0.4mmであり、該組成物を厚み1mmの平板に成形し、アドバンテスト法を用いて測定する周波数300MHzの電界シールド性が40dB以上であることを特徴とする電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 繊維強化熱可塑性樹脂の炭素繊維の添加量が熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜150重量部であることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 炭素繊維が、引張強度が3500MPa以上、引張弾性率が300GPa以下、破断伸度が1.4%以上の少なくともいずれかの特性を満たすPAN系炭素繊維である請求項1または2記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 液晶性樹脂の数平均分子量が5000以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 構造単位(I)と(II)の合計が(I)と(II)および(III)の合計の35〜90モル%、構造単位(III)が(I)と(II)および(III)の合計の65〜10モル%であり、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]が70/30〜95/5であり、構造単位(IV)は構造単位(II)と(III)の合計と等モルである請求項5記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか記載の電磁波シールド性繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形してなる厚さ0.8mm以下の薄肉部が20%以上ある箱形成形品。
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