JP4263555B2 - 燃料電池システムの起動方法 - Google Patents
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Description
この種の燃料電池システムでは、燃料電池の保護等の理由から、燃料供給流路上の前記圧力制御弁の上流にシステム遮断弁を設けている(例えば、特許文献1参照)。このシステム遮断弁は、燃料電池システムの停止中は閉弁しており、該システムの起動時に開弁し、運転中は開弁状態を保持するように制御される。
ここで、パイロット式遮断弁について簡単に説明する。図8は、電磁駆動型のパイロット式遮断弁50の要部断面を示しており、バルブボディ51の弁室52に収容された弁体53は、ステム54によって連結されたメインバルブ(弁)55とパイロットバルブ56とを備えており、メインバルブ55は、バルブボディ51のガス出口57に連なるメインシート部58に着座離反可能に配置され、パイロットバルブ56は、プランジャ59の先端部に設けられたパイロット室60内にプランジャ59の軸方向へ移動可能に収容されるとともに、パイロット室60に面してプランジャ59に設けられたサブシート部61に着座離反可能に配置されている。
スリーブ62の内周面には軸方向に貫通するガス通路62aが複数設けられており、パイロットバルブ56の外周面には軸方向に貫通するガス通路56aが複数設けられていて、弁室52とパイロット室60は、これらガス通路56a,62aを介して連通している。
プランジャ59は、電磁コイル65への通電により電磁石の力でスプリング64の弾性に抗して可動し、弁体53を開弁方向に移動させる。
この閉弁状態においてガス入口66から弁室52に高圧ガスが供給されている場合に、開弁指令により電磁コイル65に電流が流れると、電磁石の力によりプランジャ59が図中上方に引き付けられるが、この時点ではメインバルブ55の上流と下流の圧力差が極めて大きく、電磁石にはメインバルブ55をメインシート部58から離反させるだけの力はない。そのため、プランジャ59は、パイロットバルブ56がサブシート部61から離反してスリーブ62に突き当たったところで、一旦停止する。その結果、弁体53の貫通孔63の両端が開口し、弁室52内の高圧のガスが、スリーブ62のガス通路62a、パイロットバルブ56のガス通路56a、パイロット室60、貫通孔63を流通してメインバルブ55の下流側に流れ込む。ここで、ガス出口57に接続された流路が遮断されていると、メインバルブ55の下流側のガス圧力が徐々に上昇していき、メインバルブ55の上流と下流の圧力差が減少していく。そして、メインバルブ55の上流と下流の圧力差が殆どなくなると、前記電磁石の力で十分にメインバルブ55をメインシート部58から離反させることができるようになり、メインバルブ55が開く。
このようにパイロット式遮断弁50では、メインバルブ55の前後差圧をなくしてからメインバルブ55の開弁動作が行われるので、メインバルブ55の開弁駆動力が小さくて済むが、メインバルブ55が開くまでに少々時間を要する。
そのため、従来は、予めシステム遮断弁の開弁指令から燃料電池への酸化剤供給開始までの遅延時間を設定しておき、この遅延時間経過後に燃料電池のカソード極への酸化剤供給を開始し、その後、発電状態にしている。
システム起動時のアノード極側の負圧状態が前記最大負圧よりも小さい状態(例えば、システム遮断弁のメインバルブ55の前後差圧が殆どない状態)であるときには、前記遅延時間が経過する前にシステム遮断弁のメインバルブ55が開き、燃料電池のアノード極に燃料ガスが供給されるにもかかわらず、前記遅延時間が経過するまでは燃料電池のカソード極への酸化剤供給が開始されないので、燃料電池を発電状態にすることができず、燃料電池システムの起動を実質的に遅らせてしまう。
そこで、この発明は、パイロット式遮断弁からなるシステム遮断弁を備えた燃料電池システムの機能を保護しながら起動時間を短縮することができる燃料電池システムの起動方法を提供するものである。
このように構成することにより、流路遮断弁が実質的に開いた直後に、換言すれば、燃料電池のアノード極への燃料供給が開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができる。
このように構成することにより、流路遮断弁が実質的に開いた直後に、換言すれば、燃料電池のアノード極への燃料供給が開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができる。
このように構成することにより、流路遮断弁が確実に開いた直後に、換言すれば、燃料電池のアノード極への燃料供給が確実に開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができる。
このように構成することにより、流路遮断弁が確実に開いた直後に、換言すれば、燃料電池のアノード極への燃料供給が確実に開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができる。
請求項3または請求項4に係る発明によれば、流路遮断弁が確実に開いた直後に、換言すれば、燃料電池のアノード極への燃料供給が確実に開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができるので、燃料電池システムの起動時間を短縮することができる。
図1は燃料電池システムの概略構成図である。燃料電池1は、固体高分子電解質膜の両側にアノード極とカソード極が設けられ各電極の外側に反応ガスを供給するためのガス通路が設けられてなるセルを多数積層して構成されている。
この燃料電池1は、アノード極に燃料としての水素ガスが供給され、カソード極に酸化剤として酸素を含む空気が供給されて発電を行う。
一次遮断弁8は高圧水素タンク5に近い位置に設置され、システム遮断弁9はレギュレータ10に近い位置に設置されており、いずれの弁8,9も燃料電池システムの停止中は閉弁状態を保持し、該システムの運転中は開弁状態を保持するように、ECU20によって開閉制御される。
なお、燃料電池システムの停止時はエアコンプレッサ2が停止しており、レギュレータ10への空気の信号圧がほぼ大気圧となるため、レギュレータ10は閉じている。
アノードオフガス回収路13は電磁駆動式の排出弁16を介してアノードオフガス排出路17に接続されている。排出弁16は通常は閉じており、所定の条件が満たされたときに開弁して、燃料電池1のアノード極に溜まった水の排出などを行う。
ここで、閾値Plimは、システム遮断弁9のメインバルブ55をメインシート部58から離反させ開弁可能にするアノード圧力の最小値、あるいはそれより若干高い値に設定する。これにより、圧力センサ15の検出値が閾値Plimを越えたときにはシステム遮断弁9のメインバルブ55が開弁したと判断することができる。
ステップS103における判定結果が「NO」(アノード圧力≦Plim)である場合は、アノード圧力が閾値Plimを越えるまで現状を維持する。
ステップS103における判定結果が「YES」(アノード圧力>Plim)である場合は、ステップS104に進み、エアコンプレッサ2をONして起動し、燃料電池1のカソード極への空気供給を開始する。
つまり、アノード圧力が閾値Plimを越えたことから、システム遮断弁9のメインバルブ55がメインシート部58から離反し(すなわち、開弁し)、燃料電池1のアノード極への水素供給が開始されたと判断して、カソード極への空気供給を開始する。
さらに、ステップS106に進んで、燃料電池1に負荷をかけて発電を開始し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
この実施例1における燃料電池システムの起動方法によれば、システム遮断弁9のメインバルブ55が開いた直後に、換言すれば、燃料電池1のアノード極への水素供給が開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池1を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができる。その結果、燃料電池システムの起動時間が短縮され、ひいては燃料電池車両の始動時間を短縮することができる。
なお、図3は、実施例1におけるシステム起動時のアノード圧力の時間的変化を示す図である。
実施例2の燃料電池システムの起動方法が実施例1の場合と相違する点は、燃料電池1への空気供給開始のタイミングだけである。
ここで、閾値Plimは、実施例1と同様に、システム遮断弁9のメインバルブ55をメインシート部58から離反させ開弁可能にするアノード圧力の最小値、あるいはそれより若干高い値に設定する。また、前記所定時間は予め設定された固定時間とする。
このようにすると、圧力センサ15の検出値が閾値Plimを越えた時点からさらに所定時間が経過したときには、システム遮断弁9のメインバルブ55が確実に開いているはずであり、燃料電池1に水素ガスが確実に供給されている状態で、燃料電池1に空気を供給開始することができる。
ステップS113における判定結果が「YES」(アノード圧力>Plim)である場合は、ステップS114に進み、圧力センサ15の検出値が閾値Plimを越えた時点から所定時間T0が経過したか否かを判定する。
ステップS114における判定結果が「NO」(所定時間T0を経過していない)である場合は、所定時間T0を経過するまで現状を維持する。
つまり、アノード圧力が閾値Plimを越えたときから所定時間が経過したときには、システム遮断弁9のメインバルブ55がメインシート部58から確実に離反し(すなわち、確実に開弁し)、燃料電池1のアノード極への水素供給が開始されたと判断して、カソード極への空気供給を開始する。
さらに、ステップS117に進んで、燃料電池1に負荷をかけて発電を開始し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
この実施例2における燃料電池システムの起動方法によれば、システム遮断弁9のメインバルブ55が確実に開いた直後に、換言すれば、燃料電池1のアノード極への水素供給が確実に開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池1を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができる。その結果、燃料電池システムの起動時間が短縮され、ひいては燃料電池車両の始動時間を短縮することができる。
実施例3の燃料電池システムの起動方法が実施例1の場合と相違する点は、燃料電池1への空気供給開始のタイミングだけである。
ここで、前記遅延時間は、システム遮断弁9として採用するパイロット式遮断弁を用いて、メインバルブ55の開弁に必要とされる所要時間をアノード圧力をパラメータとして予め実験的に求めておき、遅延時間テーブルとしてECU20のROMに記憶しておく。
このようにすると、システム遮断弁9の開弁指令があってからの経過時間が、システム起動時の圧力センサ15の検出値の大きさに応じて算定された遅延時間に達したときには、システム遮断弁9のメインバルブ55が確実に開いているはずであるから、燃料電池1に水素ガスが確実に供給されている状態で、燃料電池1に空気を供給開始することができる。
そして、圧力センサ15の検出値(すなわち、アノード圧力)の大きさに応じて、前記遅延時間テーブルを参照して遅延時間Tnを算定する(ステップS103)。
ステップS124における判定結果が「NO」(遅延時間Tnを経過していない)である場合は、遅延時間Tnを経過するまで現状を維持する。
つまり、システム遮断弁9がONされてからの経過時間が、圧力センサ15の検出値の大きさに応じて算定された遅延時間Tnに達したときには、システム遮断弁9のメインバルブ55がメインシート部58から確実に離反し(すなわち、確実に開弁し)、燃料電池1のアノード極への水素供給が開始されたと判断して、カソード極への空気供給を開始する。
さらに、ステップS127に進んで、燃料電池1に負荷をかけて発電を開始し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
この実施例3における燃料電池システムの起動方法によれば、システム遮断弁9のメインバルブ55が確実に開いた直後に、換言すれば、燃料電池1のアノード極への水素供給が確実に開始された直後に、カソード極に空気を供給することができ、燃料電池1を適切に保護しながら発電可能な状態にすることができる。その結果、燃料電池システムの起動時間が短縮され、ひいては燃料電池車両の始動時間を短縮することができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、燃料電池の燃料は、ガソリンやメタノール等の炭化水素を含む原燃料を改質して生成された水素を多く含むガスであってもよい。
また、パイロット式の流路遮断弁は、内蔵された弁の開動作に先立って該弁の上流側の燃料を下流側に導く先導通路を有し、前記弁の上流側圧力と下流側圧力とが略同一となったときに前記弁が開弁する機能を有する限り、前述した実施例で説明した構造のものに限定されない。
2 エアコンプレッサ(酸化剤供給源)
3 空気供給流路(酸化剤供給流路)
5 高圧水素タンク(燃料供給源)
7 水素供給流路(燃料供給流路)
9 システム遮断弁(流路遮断弁)
15 圧力センサ(圧力検出手段)
55 メインバルブ(弁)
63 貫通孔(先導通路)
Claims (4)
- 燃料と酸化剤とが供給されて発電を行う燃料電池と、
前記燃料を送り出す燃料供給源と、
前記酸化剤を送り出す酸化剤供給源と、
前記燃料供給源と前記燃料電池のアノード極とを流通可能に連結する燃料供給流路と、
前記酸化剤供給源と前記燃料電池のカソード極とを流通可能に連結する酸化剤供給流路と、
前記燃料供給流路上に設置され、内蔵された弁の開動作に先立って該弁の上流側の燃料を下流側に導く先導通路を有し、前記弁の上流側圧力と下流側圧力とが略同一となったときに前記弁が開弁可能なパイロット式の流路遮断弁と、
を備えた燃料電池システムの起動方法において、
前記燃料電池と前記流路遮断弁との間の前記燃料の圧力を検出する圧力検出手段を設け、
前記燃料供給源からの燃料を前記流路遮断弁に導き、該流路遮断弁に開弁指令を出した後、前記圧力検出手段の検出値に基づいて定めたタイミングで前記酸化剤供給源から前記カソード極への酸化剤供給を開始し、続いて前記燃料電池による発電を開始することを特徴とする燃料電池システムの起動方法。 - 前記圧力検出手段の検出値に基づいて定めたタイミングは、前記検出値が予め定められた閾値を越えたときであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの起動方法。
- 前記圧力検出手段の検出値に基づいて定めたタイミングは、前記検出値が予め定められた閾値を越えたときから所定時間を経過したときであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの起動方法。
- 前記圧力検出手段の検出値に基づいて定めたタイミングは、前記検出値の大きさに応じて算定された所定時間を経過したときであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの起動方法。
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