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JP4260005B2 - コーティング剤 - Google Patents

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JP4260005B2 JP2003511958A JP2003511958A JP4260005B2 JP 4260005 B2 JP4260005 B2 JP 4260005B2 JP 2003511958 A JP2003511958 A JP 2003511958A JP 2003511958 A JP2003511958 A JP 2003511958A JP 4260005 B2 JP4260005 B2 JP 4260005B2
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Description

【0001】
技術分野
本発明は、コーティング剤に関するものであり、特に、光触媒機能の強化、及び効率化を図る技術に関するものである。
【0002】
背景技術
従来、コーティング剤や塗料などに光触媒体を含有させて、建材や構造物などに塗膜を形成することによって、建材や構造物などの表面に光触媒機能を持たせる技術が提案されている。詳しくは、光触媒体に光が照射されることによる光触媒機能、即ち光触媒体の酸化還元作用に基づく有機物分解作用による殺菌、脱臭、浄化機能を、光触媒体を含有している塗膜が形成された建材や構造物などの表面上で発揮させる技術である。
ここで、従来における、光触媒機能を有するコーティング剤や塗料においては、光半導体等の光触媒体と、コロイド状粒子とを分散したものがあるが、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させる必要があるとして、光半導体等の光触媒体の濃度を比較的高濃度(例えば、20%以上)とし、さらに、光触媒体が高濃度であっても、コロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせるために、増粘剤や増膜剤等の添加剤を投入していた。
また、従来、光触媒体の表面をアパタイト等のリン酸カルシウムで被覆して光触媒複合体とすることにより、有害物質を吸着しやすくし、また、アパタイトがスペーサーとなって光触媒体が直接基材と接触しないようにして、基材自体の分解、劣化を防止する技術が提案されている(特開平10−244166号公報)。特に、この技術によれば、リン酸カルシウムの吸着能と光触媒体の分解能が好適に組み合わされた効果も有したものとしている。詳しくは、リン酸カルシウムによって吸着した細菌や有機物質等を上記光触媒体が分解するため、リン酸カルシウムの吸着面が吸着物で飽和するのを好適に防止しえるため、リン酸カルシウムの吸着能が低下してしまうのを防止することができるという独特な効果である。
しかし、そのように増粘剤などの添加物を多く投入すると、それらの添加物によって光触媒体が隠されてしまうため、上記光触媒体に光が十分に照射されないという課題があった。そのため、光触媒体が十分に光触媒機能を発揮することができず、上記光触媒体を多量に投入したとしても薄い塗膜上においては十分な光触媒機能を得ることができなかった。
以上のように、従来における光触媒機能を有するコーティング剤や塗料においては、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能な塗膜を形成することが困難であった。
そこで、本発明は、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能で、特に、薄い塗膜上でも該能力を十分に発揮できるコーティング剤を提供することを目的とする。
【0003】
発明の開示
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、コーティング剤であって、コロイド状粒子と、上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、を有することを特徴とする。
この第1の構成のコーティング剤においては、コロイド状粒子の表面に光半導体粒子が吸着した状態となっているため、上記光半導体粒子は上記コロイド状粒子の表面において効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記光半導体粒子は上記コロイド状粒子の表面で全体的に受光することができるため、上記光半導体粒子を分散させた場合のように上記光半導体粒子同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。また、上記コロイド状粒子の粒径が、上記光半導体粒子の粒径の10倍以上であるため、上記コロイド状粒子の表面に多数の上記光半導体粒子が吸着することができる。従って、光半導体粒子が吸着している表面積を非常に大きいものとすることができるため、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。なお、上記コロイド状粒子の粒径が、上記光半導体粒子の粒径の1〜1000倍であるようにしてもよい。
また、第には、上記第1の構成において、上記コーティング剤全体における上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする。つまり、上記光半導体粒子のコーティング剤全体の重量における含有量を、重量比0.1〜10%とする。この第の構成のコーティング剤においては、上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%(パーセント)としているため、光半導体粒子の含有量が低く抑制されている。そのため、コロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記光半導体粒子に光が十分に照射されるため、光半導体粒子が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、第には、上記第1又は第2の構成において、上記光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲で吸着していることを特徴とする。このように1層から5層程度とすることにより、光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。
【0004】
また、第には、コーティング剤であって、コロイド状粒子と、上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、を有することを特徴とする。
この第の構成のコーティング剤においては、コロイド状粒子の表面に上記被覆光半導体粒子が吸着した状態となっているため、上記被覆光半導体粒子は上記コロイド状粒子の表面において効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記被覆半導体粒子は上記コロイド状粒子の表面で全体的に受光することができるため、上記被覆光半導体粒子を分散させた場合のように上記被覆光半導体粒子同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。また、光半導体粒子は吸着機能物質により被覆されているので、有害物質の吸着能力を向上させることができ、また、吸着機能物質により光半導体粒子が他の粒子等と直接接触しないので、光半導体の触媒作用によって、バインダーや基材等が分解されてしまうのを防止することができる。つまり、プライマーとしてのバインダーやコーティング剤にバインダーを混入させた場合の該バインダー等が分解されてしまうのを防止することができ、また、コーティング剤を繊維やプラスチックに直接塗布することも可能となる。また、上記コロイド状粒子の粒径が、上記光半導体粒子の粒径の10倍以上であるため、上記コロイド状粒子の表面に多数の上記被覆光半導体粒子が吸着することができる。従って、光半導体粒子が吸着している表面積を非常に大きいものとすることができるため、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、第には、上記第の構成において、上記コーティング剤全体における上記被覆光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする。つまり、上記被覆光半導体粒子のコーティング剤全体の重量における含有量を、重量比0.1〜10%とする。この第の構成のコーティング剤においては、上記被覆光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%(パーセント)としているため、被覆光半導体粒子の含有量が低く抑制されている。そのため、コロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記光半導体粒子に光が十分に照射されるため、光半導体粒子が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
【0005】
また、第には、コーティング剤であって、コロイド状粒子と、上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、を有することを特徴とする。
この第の構成のコーティング剤においては、コロイド状粒子の表面に上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子とが吸着した状態となっているため、上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子とは上記コロイド状粒子の表面において効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記被覆半導体粒子と光半導体粒子とは上記コロイド状粒子の表面で全体的に受光することができるため、上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子とを分散させた場合のように上記被覆光半導体粒子同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。また、光半導体粒子は吸着機能物質により被覆されているので、有害物質の吸着能力を向上させることができる。また、被覆光半導体粒子のみならず、被覆されていない光半導体粒子も含まれているので、十分な光触媒効果を得ることが可能となる上記コロイド状粒子の粒径が、上記光半導体粒子の粒径の10倍以上であるため、上記コロイド状粒子の表面に多数の上記光半導体粒子が吸着することができる。従って、光半導体粒子が吸着している表面積を非常に大きいものとすることができるため、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる
また、第7には、上記第6の構成において、上記コーティング剤全体における上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする。つまり、上記光半導体粒子のコーティング剤全体の重量における含有量を、重量比0.1〜10%とする。よって、上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%(パーセント)としているため、光半導体粒子の含有量が低く抑制されている。そのため、コロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記光半導体粒子に光が十分に照射されるため、光半導体粒子が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、第には、上記第から第までのいずれかの構成において、上記吸着機能物質が、多孔質リン酸カルシウムであることを特徴とする。
また、第には、上記第の構成において、上記多孔質リン酸カルシウムが、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイトの内から選ばれた少なくとも一種のリン酸カルシウムであることを特徴とする。
また、第10には、上記第又は第の構成において、上記光半導体粒子に被覆された多孔質リン酸カルシウムは、光半導体粒子を疑似体液に浸積することにより、光半導体粒子の表面に多孔質リン酸カルシウムを被覆させたものであることを特徴とする
また、第11には、上記第から第10までのいずれかの構成において、上記被覆光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲で吸着していることを特徴とする。このように1層から5層程度とすることにより、光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。
また、第12には、上記第1から第11までのいずれかの構成において、上記コーティング剤には、粒径の異なる上記コロイド状粒子が含有されていることを特徴とする。つまり、上記コロイド状粒子は、粒径の異なるコロイド状粒子から構成される。この第12の構成のコーティング剤においては、粒径の異なるコロイド状粒子が含有されているので、大径のコロイド状粒子の回りの隙間に小径のコロイド状粒子が入り込むため、空間が埋められてコーティング剤の密度を高めることができる。そのため、光触媒機能を高めることができるとともに、隠蔽性を上げることができるため塗布面への紫外線の透過を抑制でき塗布素材の保護機能の強化を図ることができる。
また、第13には、上記第1から第12までのいずれかの構成において、上記コロイド状粒子が、フッ素エマルジョン粒子と、アクリルエマルジョン粒子と、アクリルシリコンエマルジョン粒子と、アクリルウレタンエマルジョン粒子における少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0006】
また、第14には、コーティング剤であって、第1のコロイド状粒子と、上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、多孔質コロイド状粒子により形成され、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した第2のコロイド状粒子と、を有することを特徴とする。
この第14の構成のコーティング剤においては、第1のコロイド状粒子の表面に光半導体粒子が付着した状態となっているため、上記光半導体粒子は上記第1のコロイド状粒子の表面において効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記光半導体粒子は上記第1のコロイド状粒子の表面で全体的に受光することができるため、上記光半導体粒子を分散させた場合のように上記光半導体粒子同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。また、上記第1のコロイド状粒子の表面に第2のコロイド状粒子がさらに吸着された状態となっている。よって、上記コーティング剤が上記第2のコロイド状粒子の機能をも有するものとなり、多孔質コロイドであるのでコーティング剤が塗布面に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記第1のコロイド状粒子と光半導体粒子との接着を補助する機能も果たす。また、上記コロイド状粒子の粒径が、上記光半導体粒子の粒径及び第2のコロイド状粒子の粒径の10倍以上であるため、上記コロイド状粒子の表面に多数の上記光半導体粒子と第2のコロイド状粒子が吸着することができる。従って、光半導体粒子が吸着している表面積を非常に大きいものとすることができるため、光触媒の有機物分解作用等の能力を 十分に機能させることが可能になる。
また、第15には、上記第14の構成において、上記多孔質コロイド状粒子が、多孔質ゾル粒子であることを特徴とする
また、第16には、上記第14又は第15の構成において、上記コーティング剤全体における上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする。つまり、上記光半導体粒子のコーティング剤全体の重量における含有量を、重量比0.1〜10%とする。この第16の構成のコーティング剤においては、上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%(パーセント)としているため、光半導体粒子の含有量が低く抑制されている。そのため、コロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記光半導体粒子に光が十分に照射されるため、光半導体粒子が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、第17には、上記第14から第16までのいずれかの構成において、上記光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、1〜1.5倍であることを特徴とする。この第17の構成のコーティング剤においては、上記光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド状粒子の粒径が、1〜1.5倍であるため、上記光半導体粒子の粒径と上記第2のコロイド状粒子の粒径が同径又は近似したものとなる。そのため、上記光半導体の機能と上記多孔質コロイドの機能を良好にバランスよく発揮することができる。なお、上記光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、0.5〜1.5倍であるようにすることも考えられる。
また、第18には、上記第14から第17までのいずれかの構成において、上記光半導体粒子と上記第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、上記第1のコロイド状粒子の表面に吸着していることを特徴とする。このように1層から5層程度とすることにより、光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。
【0007】
また、第19には、コーティング剤であって、第1のコロイド状粒子と、上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、多孔質コロイド状粒子により形成され、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した第2のコロイド状粒子と、を有することを特徴とする。
この第19の構成のコーティング剤においては、第1のコロイド状粒子の表面に被覆光半導体粒子が付着した状態となっているため、上記被覆光半導体粒子は上記第1のコロイド状粒子の表面において効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記被覆光半導体粒子は上記第1のコロイド状粒子の表面で全体的に受光することができるため、上記被覆光半導体粒子を分散させた場合のように上記光半導体粒子同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。また、上記第2のコロイド状粒子を有するため、上記第1のコロイド状粒子の表面に第2のコロイド状粒子がさらに吸着された状態となっている。よって、上記コーティング剤が上記第2のコロイド状粒子の機能をも有するものとなり、多孔質コロイドであるのでコーティング剤が塗布面に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記第1のコロイド状粒子と被覆光半導体粒子との接着を補助する機能も果たす。また、上記コロイド状粒子の粒径が、上記被覆光半導体粒子の粒径及び第2のコロイド状粒子の粒径の10倍以上であるため、上記コロイド状粒子の表面に多数の上記被覆光半導体粒子と第2のコロイド状粒子が吸着することができる。従って、被覆光半導体粒子が吸着している表面積を非常に大きいものとすることができるため、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能 させることが可能になる。
また、第20には、上記第19の構成において、上記多孔質コロイド状粒子が、多孔質ゾル粒子であることを特徴とする。
また、第21には、上記第19又は第20の構成において、上記コーティング剤全体における上記被覆光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする。つまり、上記被覆光半導体粒子のコーティング剤全体の重量における含有量を、重量比0.1〜10%とする。この第21の構成のコーティング剤においては、上記被覆光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%(パーセント)としているため、被覆光半導体粒子の含有量が低く抑制されている。そのため、コロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記光半導体粒子に光が十分に照射されるため、光半導体粒子が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、第22には、上記第19から第21までのいずれかの構成において、上記被覆光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、1〜1.5倍であることを特徴とする。この第22の構成のコーティング剤においては、上記被覆光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド状粒子の粒径が、1〜1.5倍であるため、上記被覆光半導体粒子の粒径と上記第2のコロイド状粒子の粒径が同径又は近似したものとなる。そのため、上記光半導体の機能と上記多孔質コロイドの機能を良好にバランスよく発揮することができる。上記被覆光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、0.5〜1.5倍であるようにすることも考えられる。
また、第23には、上記第19から第22までのいずれかの構成において、上記被覆光半導体粒子と上記第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、上記第1のコロイド状粒子の表面に吸着していることを特徴とする。このように1層から5層程度とすることにより、光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。
【0008】
また、第24には、コーティング剤であって、第1のコロイド状粒子と、上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、多孔質コロイド状粒子により形成され、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した第2のコロイド状粒子と、を有することを特徴とする。
この第24の構成のコーティング剤においては、第1のコロイド状粒子の表面に被覆光半導体粒子と光半導体粒子とが付着した状態となっているため、上記被覆光半導体粒子は上記第1のコロイド状粒子の表面において効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子とは上記第1のコロイド状粒子の表面で全体的に受光することができるため、上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子とを分散させた場合のように上記光半導体粒子同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。また、上記第2のコロイド状粒子を有するため、上記第1のコロイド状粒子の表面に第2のコロイド状粒子がさらに吸着された状態となっている。よって、上記コーティング剤が上記第2のコロイド状粒子の機能をも有するものとなり、多孔質コロイドであるのでコーティング剤が塗布面に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記第1のコロイド状粒子と被覆光半導体粒子との接着を補助する機能も果たす。また、上記コロイド状粒子の粒径が、上記被覆光半導体粒子の粒径及び第2のコロイド状粒子の粒径の10倍以上であるため、上記コロイド状粒子の表面に多数の上記被覆光半導体粒子と第2のコロイド状粒子が吸着することができる。 従って、被覆光半導体粒子が吸着している表面積を非常に大きいものとすることができるため、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、第25には、上記第24の構成において、上記多孔質コロイド状粒子が、多孔質ゾル粒子であることを特徴とする。
また、第26には、上記第24又は第25の構成において、上記コーティング剤全体における上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子との合計含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする。この第26の構成のコーティング剤においては、上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%(パーセント)としているため、被覆光半導体粒子と光半導体粒子の含有量が低く抑制されている。そのため、コロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記被覆光半導体粒子や光半導体粒子に光が十分に照射されるため、上記被覆光半導体粒子や光半導体粒子が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、第27には、上記第24から第26までのいずれかの構成において、上記被覆光半導体粒子及び光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、1〜1.5倍であることを特徴とする。よって、上記被覆光半導体粒子及び光半導体粒子の粒径と上記第2のコロイド状粒子の粒径が同径又は近似したものとなるため、上記光半導体の機能と上記多孔質コロイドの機能を良好にバランスよく発揮することができる。上記被覆光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、0.5〜1.5倍であるようにすることも考えられる。
また、第28には、上記第24から第27までのいずれかの構成において、上記被覆光半導体粒子と上記光半導体粒子と上記第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、上記第1のコロイド状粒子の表面に吸着していることを特徴とする。このように1層から5層程度とすることにより、光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。
また、第29には、上記第19から第28までのいずれかの構成において、上記吸着機能物質が、多孔質リン酸カルシウムであることを特徴とする。
また、第30には、上記第29の構成において、上記多孔質リン酸カルシウムが、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイトの内から選ばれた少なくとも一種のリン酸カルシウムであることを特徴とする。
また、第31には、上記第29又は第30の構成において、上記光半導体粒子に被覆された多孔質リン酸カルシウムは、光半導体粒子を疑似体液に浸積することにより、光半導体粒子の表面に多孔質リン酸カルシウムを被覆させたものであることを特徴とする
また、第32には、上記第19から第31までのいずれかの構成において、上記第1のコロイド状粒子は、粒径の異なるコロイド状粒子から構成されていることを特徴とする。
また、第33には、上記第19から第32までのいずれかの構成において、上記第1のコロイド状粒子が、フッ素エマルジョン粒子と、アクリルエマルジョン粒子と、アクリルシリコンエマルジョン粒子と、アクリルウレタンエマルジョン粒子における少なくともいずれかであることを特徴とする
【0009】
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態としての実施例を、各実施例毎に分けて説明する。
まず、第1実施例について説明する。本第1実施例のコーティング剤(光半導体コーティング液)を形成する光触媒複合体H1は、その構造としては第1図に示すように、フッ素エマルジョン粒子(コロイド状粒子)A1の表面に多数の光半導体粒子B1が吸着(付着としてもよい)されている。つまり、本実施例のコーティング剤は、複数(具体的には、多数)の光触媒複合体H1を有し、本実施例のコーティング剤は、フッ素エマルジョン粒子A1と、光半導体粒子B1とを有している。そして、上記コーティング剤は、プライマーコーティング液を介して、木材等のコーティング面に吸着される。詳しくは後述する。
上記フッ素エマルジョン粒子A1は、平均粒径500nmとなっている。なお、フッ素エマルジョン粒子A1でなくても、他のコロイド状粒子でもよい。
また、光半導体粒子B1は、光触媒機能を有する半導体の粒子であり、例えば、二酸化チタン(より具体的には、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい)が用いられる。この光半導体粒子B1は、平均粒径50nmである。従って、上記フッ素エマルジョン粒子A1と上記光半導体粒子B1の粒径の比は、10対1となっている。なお、粒径とは、特に説明のない限り、粒子の直径を意味するものである(上記及び以下において同じ)。
そのため、上記フッ素エマルジョン粒子A1の球表面積785000nm2、上記光半導体粒子B1の球断面積1962.5nm2となるため、理論上では上記フッ素エマルジョン粒子A1の表面には上記光半導体粒子B1が400個(785000÷1962.5)吸着できることになる。なお、上記光半導体粒子B1としては二酸化チタンを用いるが、カドミウムなど光触媒機能を有するものであれば適用可能である。
【0010】
次に、本第1実施例のコーティング剤の製造方法について説明する。まず、水861gに、平均粒径50nmの光半導体粒子からなる光半導体粉体(具体的には、アナターゼ型の二酸化チタン粉体が好ましい)50gを均一に分散して分散液を作る(分散液製造工程、第8図参照)。そして、その分散液に、平均粒径500nmの粒子(フッ素エマルジョン粒子)からなるフッ素エマルジョン(固形分45%)を89g(つまり、固形分は40.05gである)混入して、均一に分散して、1000gのコーティング剤を製造する(コロイド状溶液混入・分散工程、第8図参照)。この場合のフッ素エマルジョンが、上記コロイド状溶液混入・分散工程において混入される上記コロイド状溶液に当たる。
なお、光半導体粉体を50gとしたのは、全体重量を1000gとする前提のもとで、濃度を5%にしようとしたことに基づく。
なお、上記第1実施例のコーティング剤の製造工程においては、水に光半導体粉体を分散し、その後、フッ素エマルジョンを混入しているが、順番を逆にして、水にフッ素エマルジョンを混入、分散した後に、光半導体粉体を混入、分散してもよい。
なお、コロイド状粒子への粒子(分子)の吸着には、大別して単層吸着(ラングミュア吸着)と多分子吸着(BET吸着)の2種類がある。単層吸着とは、1つのコロイド状粒子に吸着する粒子は第3図(a)に示すように1層であるとするものであり、ラングミュア吸着論に基づくものである。多分子吸着とは、1つのコロイド状粒子に吸着する粒子は第3図(b)に示すように多層であるとするものであり、BET吸着論に基づくものである。
ここで、コロイド状粒子への実際の吸着においては、多分子吸着が生じるのであるが、上記において、フッ素エマルジョンの処方量に対して光半導体粒子の処方量をあまり多くしても、コーティング剤としての安定性が悪くなり、特に、あまり多層に光半導体粒子を吸着させても、外側の光半導体粒子に隠れている光半導体粒子には光が当たらないことから、それほど光触媒機能が増加するものでもない。それらの点からすると、フッ素エマルジョン粒子A1に対して、光半導体粒子B1が1層〜2層吸着するのが最も良好である(なお、第1図では、1層のものを示している)。また、最大でも、5層とするのが好ましい。つまり、光半導体粒子B1の層数は、1層〜5層程度とするのが好ましい。このように1層から5層程度とすることにより、光半導体粒子B1の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。なお、1層分では、上記のように400個の光半導体粒子B1が吸着するので、5層とすると、計算上では、2000個の光半導体粒子B1が吸着することになる。
なお、実際の吸着に際しては、該層数は均一になっているわけではなく、ある部分では、2層になっていても、他の部分では、1層になっている等の現象が生じる。よって、「光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」と表現した場合には、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のいずれかのみである場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層(2層、3層、4層、5層のいずれかでもよい)である場合)と、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のうちのいずれかで、総数が複数種類存在する場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では2層で、他の部分では1層という場合や、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では4層で、他のある部分では3層で、残りの部分では2層という場合)とを含むことになる。また、「光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜2層の範囲内で吸着している」状態や、「光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜3層の範囲内で吸着している」状態等がより好適であるといえる。
なお、上記の製造方法において、フッ素エマルジョン以外に他のコロイドであってもよい。
【0011】
上記のように製造されたコーティング剤の使用方法について説明する。このコーティング剤を使用するに当たっては、プライマーコーティング液を用いる。このプライマーコーティング液としては、アクリルシリコンエマルジョン(アニオン、平均粒径100nm、固形分40%)400gを用いる。そして、上記プライマーコーティング液を、第2図に示すように、塗布面P1に100g/m2塗布してプライマー層Q1を形成し、該プライマー層Q1を30分程度自然乾燥させた後、上記コーティング剤をその上から50g/m2塗布して、コーティング剤層G1を形成する。なお、上記のようなプライマーコーティング液を用いずに、本実施例のコーティング剤を直接塗布面に塗布してもよい。
このように構成される本第1実施例によるコーティング剤は、コロイド状粒子である上記フッ素エマルジョン粒子A1の表面に上記光半導体粒子B1を吸着してなっているため、上記光半導体粒子B1は上記フッ素エマルジョン粒子A1の表面にて、効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記光半導体粒子B1は上記フッ素エマルジョン粒子A1の表面で全体的に受光することができるため、上記光半導体粒子B1を分散させた場合のように上記光半導体粒子B1同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、薄い塗膜上においても光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記フッ素エマルジョン粒子A1と上記光半導体粒子B1との粒径の比が10対1となっているため、上記フッ素エマルジョン粒子A1の表面に多数の上記光半導体粒子B1が吸着することができる。従って、小さい容積中においても光触媒機能を有効に発揮可能な表面積を非常に大きいものとすることができるため、容積の小さい薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記光半導体粒子B1の含有量が重量比5%(50g/1000g)となっている。そのため、光半導体粒子B1の含有量が低いためコロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子B1が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記光半導体粒子B1に光が十分に照射されるため、光半導体粒子B1が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、フッ素エマルジョンの処方量も、光半導体粒子がフッ素エマルジョン粒子に対して、1層〜5層(その中でも、1層〜2層が好適)吸着にするように調整されているので、コーティング剤として安定した性質を得ることが可能となる。
また、上記コーティング剤は、上述したように、上記フッ素エマルジョン粒子A1と上記光半導体粒子B1との粒径の比が10対1となっているため、上記フッ素エマルジョン粒子A1の周囲に大きな空間部を形成することができる。そのため、上記コーティング剤は、十分な透光性を得ることができるとともに、十分な通気性、調湿性を備えたものとなっている。そのため、通気性が必要な木材などの天然素材へのコーティングも可能となるとともに、素材の吸湿、調湿効果も得ることができる。
【0012】
次に、第2実施例について説明する。本第2実施例は、上記第1実施例のコーティング液と略同様の内容であるが、後述するように、コロイド状粒子としてアクリルエマルジョンを用いた点、及び光半導体表面にアパタイトを生成させて被覆させた点が異なっている。その他の構成、作用、効果については、上記第1実施例のコーティング液と略同一であるため、重複する部分の記載は一部省略する。
本第2実施例のコーティング剤(光半導体コーティング液)を形成する光触媒複合体H2は、その構造としては第4図に示すように、アクリルエマルジョン粒子(コロイド状粒子)A2の表面に、被覆複合光半導体粒子B2が多数吸着されている。つまり、本実施例のコーティング剤は、複数(具体的には、多数)の光触媒複合体H2を有し、本実施例のコーティング剤は、アクリルエマルジョン粒子A2と、被覆複合光半導体粒子B2とを有している。
このアクリルエマルジョン粒子A2は、平均粒径1μmである。なお、アクリルエマルジョン粒子でなくても、他のコロイド状粒子であってもよい。
また、被覆複合光半導体粒子(被覆光半導体粒子)B2は、光半導体粒子B21と、その表面に被覆されたアパタイトB22により形成されている。つまり、上記光半導体粒子B21の表面は、上記吸着機能物質であるアパタイトB22によって被覆されて複合化されている。この被覆複合光半導体粒子B2は、平均粒径50nm、比表面積70m2/gである。従って、上記アクリルエマルジョン粒子A2と上記被覆複合光半導体粒子B2の粒径の比は、20対1となっている。この被覆複合光半導体粒子B2は、上記被覆光半導体粒子として機能する。
この光半導体粒子B21は、光触媒機能を有する半導体の粒子であり、例えば、二酸化チタン(より具体的には、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい)が用いられる。なお、上記光半導体粒子B21としては、二酸化チタンを用いるが、カドミウムなど光触媒機能を有するものであれば適用可能である。
また、アパタイトB22は、M10(ZO462の組成を持った鉱物群の総称であり、中でも骨や歯の無機成分の主成分として知られているのはCa10(PO46(OH)2で表されるハイドロキシアパタイトである。また、上記アパタイトB22は、タンパク質の吸着能があることが知られており、クロマトグラフィー用の充填材としてタンパク質や核酸の分離精製に用いられている。また、インフルエンザウィルスなどのウィルスや大腸菌などの細菌類を吸着する機能も有しており、一旦吸着したウィルスは普通の条件ではアパタイトから外れることなくいつまでも吸着している。また、アンモニアやNOXなどのガス吸着能も有している。このアパタイトB22としては、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイト、ハイドロキシアパタイトの中から選ばれる少なくとも一種のリン酸カルシウムであることが好ましい。また、他の多孔質リン酸カルシウムであってもよい。
本実施例における光触媒複合体H2においては、上記アクリルエマルジョン粒子A2と上記被覆複合光半導体粒子B2の粒径の比は、20対1となっているので、上記アクリルエマルジョン粒子A2の球表面積3140000nm2、上記被覆複合光半導体粒子B2の球断面積1962.5nm2となるため、理論上では上記アクリルエマルジョン粒子A2の表面には上記被覆複合光半導体粒子B2が1600個(3140000÷1962.5)吸着できることになる。
なお、第4図は、アパタイトB22の存在を強調して表現しているが、アパタイトB22の厚みは実際には極僅かである。
【0013】
次に、本第2実施例のコーティング剤の製造方法について説明する。まず、予め、上記光半導体粒子B21に上記アパタイトB22を被覆して複合化して、被覆複合光半導体粒子B2を生成する。この場合の上記アパタイトB22の被覆方法としては、焼結法、水溶液法など多様な方法がある。この場合に、湿式法などの水溶液を用いた方法ではアパタイトの作製に1週間以上の期間がかかりコスト高となる。また、通常アパタイト結晶を得るには高温での焼成が不可欠であるが、これでは、大量のエネルギーが必要となってしまう。
そこで、近年人工骨の合成法として応用され始めている疑似体液を用いた生体内無機成分合成プロセスに基づいた方法であるバイオミメティック材料プロセスによって上記光半導体粒子B21の表面に上記アパタイトB22を生成させる手法を用いる。具体的には、OCPが析出するように組成を調整し、体温に近い37℃に保った疑似体液に上記光半導体粒子B21を浸漬する。具体的には、疑似体液を入れたタンクに光半導体粒子を分散させた上で、37〜40℃の水に入れておく。
このOCPは、アパタイトを生成させる際の前駆体であり、構造式Ca82(PO465H2Oで表されるものであり、他に、TCP、ACPでもよい。また、疑似体液は、Ca2+が0.5〜50mM、HPO4 2-が1〜20mM含有されており、具体的には、NaCl、NaHCO3、KCl、K2HPO4・3H2O、MgCl2・6H2O、CaCl2とNa2SO4あるいはNaFなどを、水に溶かすことで調整される。またHClや(CH2CH)3CNH2等によりpHを7〜8、特に7.4に調整することが好ましい。特に、本発明に用いられる疑似体液の組成は、Na+(120〜160mM)、K+(1〜20mM)、Ca2+(0.5〜50mM)、Mg2+(0.5〜50mM)、Cl-(80〜200mM)、HCO3-(0.5〜30mM)、HPO4 2-(1〜20mM)、SO4 2-(0.1〜20mM)、F-(0〜5mM)が好ましい。これより濃度が薄いとリン酸カルシウムの生成に時間がかかり、これより濃度が高いとリン酸カルシウムの生成が急激に起こって多孔質度や膜厚の制御が難しくなる。
そして、上記タンク内の液体を撹拌し続けると、1時間以内で光半導体粒子B21の表面に微細なOCPの結晶が析出し、上記光半導体粒子B21の表面を覆う。その後OCP結晶は分解してアパタイトに転化する。
その後、上記タンクを疑似体液から引き上げて放置しておくと、アパタイトに被覆された光半導体粒子が沈殿するので、上澄みを流す。その後、該タンクに水を入れた後に該水を流す処理を数回繰り返す。タンク内の沈殿物を乾燥させれば、アパタイトに被覆された光半導体粒子、つまり、被覆複合半導体粒子の粉体が得られる。この被覆複合光半導体粒子が上記被覆半導体粒子に当たる。なお、被覆複合半導体粒子の粉体は、以下では、「被覆複合光半導体の粉体」又は「被覆複合光半導体粉」と呼ぶこともある。
このように本第2実施例では、上記光半導体粒子B21に上記アパタイトB22を被覆して複合化する方法として疑似体液を用いた生体内無機成分合成プロセスに基づいたものとしているため、他の方法に比較して合成時間を大幅に短縮することができるため、生産性の向上を図ることが可能になる。また、特に、OCPを経由することでアパタイトは約10時間以内で生成され、アパタイトを直接生成させるよりはるかに短時間でアパタイト結晶を得ることが可能になる。
なお、上記光半導体粒子B21である二酸化チタンに上記アパタイトB22を被覆したことによる透光性の低下はなく、上記光半導体粒子B21の光触媒機能を損なうことはないとともに、上記アパタイトB22を被覆したことにより二酸化チタン表面まで物質が近ずけないために光触媒機能の劣化が起こることはない。これは、アパタイトが光半導体粒子B21の表面にまばらに分散して析出しており、全体を覆い隠していないためと想定される。
以上のような方法によって、上記光半導体粒子B21の表面にアパタイトB22を生成して被覆させた被覆複合半導体粒子(被覆光半導体粒子)(平均粒径50nm、比表面積70m2/g)からなる粉体50gを水773gに均一に分散して分散液を作る(分散液製造工程、第8図参照)。そして、その分散液に、更に、平均粒径1μmのアクリルエマルジョン粒子からなるアクリルエマルジョン(固形分45%)を177g混入して均一に分散させて、1000gの上記コーティング剤の製造が終了する(コロイド状溶液混入・分散工程、第8図参照)。この場合のアクリルエマルジョンが、上記コロイド状溶液混入・分散工程において混入される上記コロイド状溶液に当たる。
なお、被覆複合光半導体粒子からなる粉体、すなわち、被覆複合光半導体粉を50gとしたのは、全体重量を1000gとする前提のもとで、濃度を5%にしようとしたことに基づく。
なお、上記第2実施例のコーティング剤の製造工程においては、水に、被覆光半導体粒子からなる粉体を分散し、その後、アクリルエマルジョンを混入しているが、順番を逆にして、水にアクリルエマルジョンを混入、分散した後に、被覆光半導体粒子からなる粉体を混入、分散してもよい。
また、上記第1実施例と同様に、アクリルエマルジョンに対して、被覆複合光半導体が1層〜2層吸着するのが最も良好である(なお、第1図では、1層のものを示している)。また、最大でも、5層とするのが好ましい。つまり、被覆複合光半導体粒子の層数は、1層〜5層程度とするのが好ましい。このように1層から5層程度とすることにより、被覆複合光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。なお、1層分では、上記のように400個の被覆複合光半導体粒子B2が吸着するので、5層とすると、計算上では、2000個の被覆複合光半導体粒子B2が吸着することになる。
なお、実際の吸着に際しては、該層数は均一になっているわけではなく、ある部分では、2層になっていても、他の部分では、1層になっている等の現象が生じる。よって、「被覆複合光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」と表現した場合には、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のいずれかのみである場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層(2層、3層、4層、5層のいずれかでもよい)である場合)と、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のうちのいずれかで、総数が複数種類存在する場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では2層で、他の部分では1層という場合や、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では4層で、他のある部分では3層で、残りの部分では2層という場合)とを含むことになる。また、「被覆複合光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜2層の範囲内で吸着している」状態や、「被覆複合光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜3層の範囲内で吸着している」状態等がより好適であるといえる。
【0014】
上記のように製造されたコーティング剤の使用方法について説明する。このコーティング剤を使用するに当たっては、上記第1実施例と同様に、プライマーコーティング液を用いる。つまり、このプライマーコーティング液としては、フッ素エマルジョン(アニオン、平均粒径100nm、固形分45%)100gを用いる。そして、上記プライマーコーティング液を塗布面P1に50g/m2塗布してプライマー層を形成し、該プライマー層を30分程度自然乾燥させた後、本実施例における上記コーティング剤をその上から50g/m2塗布して、コーティング剤層を形成する。なお、上記のようなプライマーコーティング液を用いずに、本実施例のコーティング剤を直接塗布面に塗布してもよい。
このように構成される本第2実施例によるコーティング剤によれば、上記第1実施例によるコーティング剤の有する効果に加えて、上記光半導体粒子B21に上記アパタイトB22を被覆して複合化しているため、該アパタイトB22によって細菌や有機物質の吸着能を向上させることができ、該アパタイトB22によって吸着した細菌や有機物質等を上記光半導体粒子B21が分解するため、細菌等の処理能力を向上させることができる。さらに、吸着した細菌等を光半導体粒子B21が分解するため、上記アパタイトB22の吸着面が吸着物で飽和するのを好適に防止でき、上記アパタイトB22の吸着能が低下してしまうのを防止することができる。
また、上記アパタイトB22がスペーサーとして機能するため、上記光半導体粒子B21が他の基材等の粒子と直接接触しないことになる。そのため、光触媒体の触媒作用によってバインダーや基材そのものが分解されてしまうのを防止することができるため、本実施例のコーティング剤を有機樹脂に含有させることができ、また、繊維、木材、プラスチック等の有機体に使用することが可能となる。
また、本実施例のコーティング剤は、上記第1実施例のコーティング剤が有する効果も有している。つまり、上記被覆複合光半導体粒子B2は上記アクリルエマルジョン粒子A2の表面にて、効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記被覆複合光半導体粒子B2は上記アクリルエマルジョン粒子A2の表面で全体的に受光することができるため、上記被覆複合光半導体粒子B2を分散させた場合のように上記被覆複合光半導体粒子B2同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、薄い塗膜上においても光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記アクリルエマルジョン粒子A2と上記被覆複合光半導体粒子B2との粒径の比が20対1となっているため、上記アクリルエマルジョン粒子A2の表面に多数の上記被覆複合光半導体粒子B2が吸着することができ、従って、容積の小さい薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記被覆複合光半導体粒子B2の含有量が重量比5%(50g/1000g)と被覆複合光半導体粒子B2の含有量が低いためコロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって被覆複合光半導体粒子B2が隠されてしまうのを抑制することができ、従って、上記被覆複合光半導体粒子B2に光が十分に照射されるため、十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、アクリルエマルジョンの処方量も、被覆複合光半導体粒子がアクリルエマルジョン粒子に対して、1層〜2層吸着するように調整されているので、コーティング剤として安定した性質を得ることが可能となる。
また、上記コーティング剤は、上述したように、上記アクリルエマルジョン粒子A2と上記被覆複合光半導体粒子B2との粒径の比が20対1となっているため、上記被覆複合光半導体粒子A2の周囲に大きな空間部を形成することができる。そのため、上記コーティング剤は、十分な透光性を得ることができるとともに、十分な通気性、調湿性を備えたものとなっている。そのため、通気性が必要な木材などの天然素材へのコーティングも可能となるとともに、素材の吸湿、調湿効果も得ることができる。
【0015】
次に、本第2実施例のコーティング剤の試験結果について説明する。まず、第1の試験においては、アセトアルデヒドの消臭試験を行った。つまり、試料表面積を10cm×10cmとし、照射条件をブラックライト15W×2個、試料表面における光量を1.0nW/cm2とした場合に、試験結果は第5図に示すようになった。第5図からも明らかなように、本第2実施例のコーティング液の場合には、曲線D1に示すように、照射時間4時間程度でアセトアルデヒドがすべて分解されており、他の光半導体コーティング剤を塗布したものに対しても、倍以上の速度で分解処理を行いえることが確認された。
また、第2の試験においては、NOXの分解試験を行った。その試験結果は第6図に示すようになった。この第6図からも明らかなように、本第2実施例のコーティング液の場合には、曲線D2に示すように、照射時間8時間程度でNOXがすべて分解されており、他の光半導体コーティング剤を塗布したものに対しても、倍以上の速度で分解処理を行いえることが確認された。なお、この第2の試験の場合の条件は、上記第1の試験の場合と同様に、試料表面積を10cm×10cmとし、照射条件をブラックライト15W×2個、試料表面における光量を1.0nW/cm2とした場合である。
また、第3の試験は、NOXの分解試験である。この第3の試験において、本実施例のコーティング剤を塗布した試験体と、単に二酸化チタンを含有したコーティング剤を塗布した試験体と、何も処理しない試験体(各試験体は、それぞれ10cm角)とをそれぞれ密閉袋内に入れた後、各密閉袋内に約30ppmのNOXガスを入れ、検知管でNOX濃度を測定する。そして、試験開始後45分経過後に紫外線を照射して、遮光時と照射時の変化を測定したものである。この第3の試験の結果は、第7図に示すようになった。第7図において、「アパタイト・二酸化チタン」とは本実施例のコーティング剤を用いた場合を示し、「二酸化チタン」は単に二酸化チタンを含有したコーティング剤を用いた場合を示し、「ブランク」は何も処理しない場合を示している。この第7図の結果によれば、本実施例のコーティング剤を塗布した場合には、NOXの分解速度が速く、また、特に注目すべきは、本実施例のコーティング剤を用いた場合には、遮光時にもNOXの分解が行われている点である。
【0016】
なお、上記各実施例においては、コロイド状粒子の粒径と光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の比として、10:1、20:1として説明したが、コロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の1倍以上であればよい。ここで、コロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の1倍であっても、球表面積(4πr2)/球断面積(πr2)=4となり、コロイド状粒子の回りに4個の光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)が吸着できるのであり、多くの光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)が吸着できるといえる。コロイド状粒子の粒径が光半導体粒子の粒径(又は被覆複合光半導体粒子)の1倍を越える場合がより好適であり、さらには、コロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の2倍以上である場合がより好適であり、さらには、コロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の10倍以上である場合がより好適であるといえる。また、コロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の1〜1000倍としてもよい。
また、光半導体粒子や被覆複合光半導体粒子の濃度については、上記のように、5%、2.5%等であるとして説明したが、0.1〜10%であればよい。
また、上記各実施例では、光触媒複合体をコーティング剤として用いた例を示しているが、塗料とする場合にあっては上記各コーティング剤に顔料を適宜混入させればよい。
また、本発明は、上記各実施例の態様のみに限定されるものではなく、例えば、光半導体粒子としては光半導体としての機能を有する粒子であれば全て含まれ、光半導体粒子の他に光触媒機能を有する粒子であってもよい。特に、上記請求項において、「光半導体粒子」の代わりに、「光触媒機能粒子」としてもよく、また、「被覆光半導体粒子」の代わりに、「被覆光触媒機能粒子」としてもよい。この光触媒機能粒子とは、光触媒機能を有する粒子を意味するものである。
また、上記各実施例においては、上記光触媒複合体をコーティング剤、或いは塗料に混入するものとしているが、それのみに限定されるものではなく、抗菌剤、防錆剤、浄化剤など、上記光触媒複合体が混入可能なものであればすべて含まれる。
また、第1図は、光半導体粒子B1が単層吸着している状態を図示しており、また、第4図は、被覆複合光半導体粒子B2が単層吸着している状態を図示しているが、第1図及び第4図は、単層吸着の理想的な状態を図示したものである。また、第1図や第4図は光触媒複合体を模式的に示したものであり、実際には、コロイド状粒子の表面に吸着している粒子の数も第1図や第4図に示すものとは限らない。また、実際には、第1図や第4図に示すように隙間なく粒子が吸着しているとは限らない。
また、上記各実施例においては、1つの平均粒径のコロイド状粒子を含有させているが、平均粒径の異なる複数種類のコロイド状粒子を含有させてもよい。
なお、上記の説明においては、コロイドとして、フッ素エマルジョン、アクリルエマルジョン等を例に挙げて説明したが、他のコロイドを用いてもよい。また、上記吸着機能物質として、アパタイトを例にとって説明したが、他の物質、つまり、他の吸着機能を有する物質を用いてもよい。
【0017】
次に、第3実施例について説明する。本第3実施例のコーティング剤(光半導体コーティング液)を形成する光触媒複合体H3は、その構造としては第9図に示すように、アクリルシリコンエマルジョン粒子(第1のコロイド状粒子)A3の表面に、多数の光半導体粒子B3及び多孔質ゾル粒子(多孔質コロイド状粒子、第2のコロイド状粒子)C3が吸着(付着としてもよい。他においても同じ)されている。つまり、本実施例のコーティング剤は、複数(具体的には、多数)の光触媒複合体H3を有し、本実施例のコーティング剤は、アクリルシリコンエマルジョン粒子A3と、光半導体粒子B3と、多孔質ゾル粒子C3とを有している。
このアクリルシリコンエマルジョン粒子A3は、平均粒径500nmである。なお、アクリルシリコンエマルジョン粒子でなくても、他のコロイド状粒子であってもよい。
また、光半導体粒子B3は、光触媒機能を有する半導体の粒子であり、例えば、二酸化チタン(より具体的には、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい)が用いられる。また、他にも、カドミウム等光触媒機能を有するものであれば適用可能である。この光半導体粒子B3は、平均粒径50nmである。従って、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3と上記光半導体粒子B3の粒径の比は、10対1となっている。なお、粒径とは、特に説明のない限り、粒子の直径を意味するものである(上記及び以下において同じ)。
また、上記多孔質ゾル粒子C3は、多孔質のゾルの粒子であり、多孔質ゾルとしては、例えば、シリカゾルが用いられる。この多孔質ゾル粒子C3は、平均粒径50nmである。従って、上記光半導体粒子B3の平均粒径と上記多孔質ゾル粒子C3の平均粒径は同一であり、個々の光半導体粒子B3と多孔質ゾル粒子C3においても、ほぼ同一の粒径となっている。これにより、仮に、多孔質ゾル粒子C3が光半導体粒子B3よりも大きい場合には、多孔質ゾル粒子C3が光半導体粒子B3を覆ってしまい光半導体粒子B3の機能を損なうおそれがあるが、本実施例の場合には、光半導体粒子B3と多孔質ゾル粒子C3とはほぼ同一の大きさであるので、そのようなおそれがない。また、この多孔質ゾル粒子C3は、コーティング剤が基材に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3と光半導体粒子B3との接着を補助する機能をも有している。また、この多孔質ゾル粒子C3は、コーティング剤を多機能化させる機能を有している。つまり、この多孔質ゾル粒子C3がシリカゾルの場合には、セルフクリーニング機能を果たし、多孔性酸化亜鉛の場合には、抗菌や紫外線カット機能を有したものとなる。このセルフクリーニング機能とは、シリカゾルの親水性を利用して、光半導体粒子により分解されたNOXが水に洗い流されることにより、該コーティング剤を塗布した面に汚れが生じない機能をいう。
アクリルシリコンエマルジョン粒子A3、光半導体粒子B3、多孔質ゾル粒子C3は上記のような大きさとなっているので、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の球表面積は785000nm2、上記光半導体粒子B3と多孔質ゾル粒子C3の球断面積は1962.5nm2となり、理論上では上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の表面には、上記光半導体粒子B3と多孔質ゾル粒子C3が計400個(785000÷1962.5)吸着できることになる。
【0018】
次に、本第3実施例のコーティング剤の製造方法について説明する。まず、水868gに、平均粒径50nmの光半導体粒子からなる光半導体粉体(具体的には、アナターゼ型の二酸化チタン粉体が好ましい)25gを均一に分散して分散液を作る(分散液製造工程、第14図参照)。
そして、その分散液に、上記多孔質ゾル粒子C3としてのシリカゾル粒子からなるシリカゾルの20%水溶液40gを混入して均一になるまで分散して混合液を作る(第1混入・分散工程、第14図参照)。この場合、シリカゾルの水溶液が、上記第1のコロイド状溶液に当たる。また、該シリカゾル粒子が上記「第1のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。
そして、その混合液(つまり、第1混入・分散工程で製造された混合液)に、更に、平均粒径500nmのアクリルシリコンエマルジョン粒子からなるアクリルシリコンエマルジョン(固形分45%)を67g混入して均一に分散させて、1000gの上記コーティング剤の製造が終了する(第2混入・分散工程、第14図参照)。この場合、混入されるアクリルシリコンエマルジョンが、上記第2のコロイド状溶液に当たる。また、該アクリルシリコンエマルジョン粒子が上記「第2のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。また、上記第1混入・分散工程と第2混入・分散工程とで、上記及び請求の範囲における混合液製造工程が構成される。
なお、被覆複合光半導体粒子粉を25gとしたのは、全体重量を1000gとする前提のもとで、濃度を2.5%にしようとしたことに基づく。
なお、上記第3実施例のコーティング剤の製造工程においては、水に、光半導体粉体を分散し、その後、シリカゾルの水溶液を混入、分散し、その後、アクリルシリコンエマルジョンを混入、分散しているが、光半導体粉体を分散する工程と、シリカゾルの水溶液を混入、分散する工程と、アクリルシリコンエマルジョンを混入、分散する工程の順序は任意である。
なお、コロイド状粒子への粒子(分子)の吸着には、大別して単層吸着(ラングミュア吸着)と多分子吸着(BET吸着)の2種類がある。単層吸着とは、1つのコロイド状粒子に吸着する粒子は第3図(a)に示すように1層であるとするものであり、ラングミュア吸着論に基づくものである。多分子吸着とは、1つのコロイド状粒子に吸着する粒子は第3図(b)に示すように多層であるとするものであり、BET吸着論に基づくものである。
ここで、コロイド状粒子への実際の吸着においては、多分子吸着が生じるのであるが、上記において、アクリルシリコンエマルジョンの処方量に対して光半導体粒子の処方量をあまり多くしても、コーティング剤としての安定性が悪くなり、特に、あまり多層に光半導体粒子を吸着させても、外側の光半導体粒子に隠れている光半導体粒子には光が当たらないことから、それほど光触媒機能が増加するものでもない。それらの点からすると、アクリルシリコンエマルジョン粒子A3に対して、光半導体粒子B3及び多孔質ゾル粒子(多孔質コロイド状粒子)C3が1層〜2層吸着するのが最も良好である(なお、第9図では、1層のものを示している)。また、最大でも、5層とするのが好ましい。つまり、光半導体粒子B3と多孔質ゾル粒子C3からなる層の層数は、1層〜5層程度とするのが好ましい。このように1層から5層程度とすることにより、光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。なお、1層分では、上記のように計400個の光半導体粒子B3と多孔質ゾルC3が吸着するので、5層とすると、計算上では、合計で2000個の光半導体粒子B3と多孔質ゾル粒子C3が吸着することになる。
なお、実際の吸着に際しては、該層数は均一になっているわけではなく、ある部分では、2層になっていても、他の部分では、1層になっている等の現象が生じる。よって、「光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」や「光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」や「光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」と表現した場合には、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のいずれかのみである場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層(2層、3層、4層、5層のいずれかでもよい)である場合)と、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のうちのいずれかで、総数が複数種類存在する場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では2層で、他の部分では1層という場合や、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では4層で、他のある部分では3層で、残りの部分では2層という場合)とを含むことになる。
また、「光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜2層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)や、「光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜3層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)等がより好適であるといえる。
なお、上記の製造方法において、アクリルシリコンエマルジョン以外に他のコロイドを用いてもよい。
【0019】
上記のように製造された本実施例のコーティング剤の使用方法について説明する。該コーティング剤は、第10図に示すように、プライマーコーティング液を使用することなく直接、コンクリート面、木材面等のコーティング面P3に塗布して使用する。すると、コーティング剤層G3が形成される。その際、主として、コーティング剤は、コーティング剤における多孔質ゾル粒子C3の機能により、コーティング面P3に吸着する。
このように構成される本第3実施例によるコーティング剤によれば、コロイド状粒子である上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の表面に上記光半導体粒子B3が吸着されているので、上記光半導体粒子B3は上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の表面にて、効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記光半導体粒子B3は上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の表面で全体的に受光することができるため、上記光半導体粒子B3を分散させた場合のように上記光半導体粒子B3同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、薄い塗膜上においても光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3と上記光半導体粒子B3との粒径の比が10対1となっているため、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の表面に多数の上記光半導体粒子B3が吸着することができ、従って、容積の小さい薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記光半導体粒子B3の含有量が重量比2.5%(25g/1000g)と光半導体粒子B3の含有量が低いためコロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光半導体粒子B3が隠されてしまうのを抑制することができ、従って、上記光半導体粒子B3に光が十分に照射されるため、光半導体粒子B3が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、アクリルシリコンエマルジョンの処方量も、光半導体粒子がアクリルシリコンエマルジョン粒子に対して、1層〜2層吸着にするように調整されているので、コーティング剤として安定した性質を得ることが可能となる。
また、上記コーティング剤は、上述したように、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3と上記光半導体粒子B3との粒径の比が10対1となっているため、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の周囲に大きな空間部を形成することができる。そのため、上記コーティング剤は、十分な透光性を得ることができるとともに、十分な通気性、調湿性を備えたものとなっている。そのため、通気性が必要な木材などの天然素材へのコーティングも可能となるとともに、素材の吸湿、調湿効果も得ることができる。
さらに、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の表面に上記多孔質ゾル粒子C3が吸着されているため、コーティング剤が基材、つまり、塗布面に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記アクリルシリコンエマルジョン粒子A3と光半導体粒子B3との接着を補助する機能をも有している。また、この多孔質ゾル粒子C3は、上記のように、コーティング剤を多機能化させる機能を有している。
特に、上記アクリルシリコンエマルジョンと上記多孔質ゾルのバインダー機能によって、本実施例のコーティング剤は強い接着力を有したものとなるため、上述したように、上記コーティング剤は、直接コーティング面に吸着することができ、プライマーコーティング液を不要とすることが可能になる。
なお、上記の説明において、光半導体粒子B3の平均粒径と、多孔質ゾル粒子C3の平均粒径とは、同じであるとして説明したが、アクリルシリコンエマルジョン粒子A3の平均粒径よりも小さければ、光半導体粒子B3の平均粒径と多孔質ゾル粒子C3の平均粒径とが互いに異なる粒径であってもよい。なお、光半導体粒子B3の機能を損なわないためには、多孔質ゾル粒子C3の粒径が、光半導体粒子B3の粒径に対して、1〜1.5倍であるのが好ましい。
【0020】
次に、第4実施例について説明する。本第4実施例のコーティング剤(光半導体コーティング液)を形成する光触媒複合体H4は、その構造としては第11図に示すように、アクリルウレタンエマルジョン粒子(第1のコロイド状粒子)A4の表面に、被覆複合光半導体粒子B4と、多孔質ゾル粒子(多孔質コロイド状粒子、第2のコロイド状粒子)C4とが多数吸着されている。つまり、本実施例のコーティング剤は、複数(具体的には、多数)の光触媒複合体H4を有し、本実施例のコーティング剤は、アクリルウレタンエマルジョン粒子A4と、被覆複合光半導体粒子B4と、多孔質ゾル粒子C4とを有している。
このアクリルウレタンエマルジョン粒子A4は、平均粒径200nmである。なお、アクリルウレタンエマルジョン粒子でなくても、他のコロイド状粒子でもよい。
また、被覆複合光半導体粒子(被覆光半導体粒子)B4は、光半導体粒子B41と、その表面に被覆されたアパタイトB42により形成されている。つまり、上記光半導体粒子B41の表面は、吸着機能物質であるアパタイトB42によって被覆されて複合化されている。この被覆複合光半導体粒子B4は、平均粒径50nm、比表面積70m2/gである。従って、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4と上記被覆複合光半導体粒子B4の粒径の比は、4対1となっている。この被覆複合光半導体粒子B4は、上記被覆光半導体粒子として機能する。
この光半導体粒子B41は、光触媒機能を有する半導体の粒子であり、例えば、二酸化チタン(より具体的には、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい)が用いられる。なお、上記光半導体粒子B41としては、二酸化チタンを用いるが、カドミウムなど光触媒機能を有するものであれば適用可能である。
また、アパタイトB42は、M10(ZO462の組成を持った鉱物群の総称であり、中でも骨や歯の無機成分の主成分として知られているのはCa10(PO46(OH)2で表されるハイドロキシアパタイトである。また、上記アパタイトB42は、タンパク質の吸着能があることが知られており、クロマトグラフィー用の充填材としてタンパク質や核酸の分離精製に用いられている。また、インフルエンザウィルスなどのウィルスや大腸菌などの細菌類を吸着する機能も有しており、一旦吸着したウィルスは普通の条件ではアパタイトから外れることなくいつまでも吸着している。また、アンモニアやNOXなどのガス吸着能も有している。このアパタイトB42としては、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイト、ハイドロキシアパタイトの中から選ばれる少なくとも一種のリン酸カルシウムであることが好ましい。また、他の多孔質リン酸カルシウムであってもよい。
また、上記多孔質ゾル粒子C4は、多孔質のゾルの粒子であり、多孔質ゾルとしては、例えば、シリカゾルが用いられる。この多孔質ゾル粒子C4は、平均粒径50nmである。従って、上記被覆複合光半導体粒子B4の平均粒径と上記多孔質ゾル粒子C4の平均粒径は同一であり、個々の被覆複合光半導体粒子B4と多孔質ゾル粒子C4においても、ほぼ同一の粒径となっている。これにより、多孔質ゾル粒子C4が被覆複合光半導体粒子B4よりも大きい場合には、多孔質ゾル粒子C4が被覆複合光半導体粒子B4を覆ってしまい被覆複合光半導体粒子B4の機能を損なうおそれがあるが、本実施例の場合には、被覆複合光半導体粒子B4と多孔質ゾル粒子C4とはほぼ同一の大きさであるので、そのようなおそれがない。また、この多孔質ゾル粒子C4は、コーティング剤が基材に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4と被覆複合光半導体粒子B4との接着を補助する機能をも有している。また、この多孔質ゾル粒子C4は、コーティング剤を多機能化させる機能を有している。つまり、この多孔質ゾル粒子C4における多孔質ゾルがシリカゾルの場合には、セルフクリーニング機能を果たし、多孔性酸化亜鉛の場合には、抗菌や紫外線カット機能を有したものとなる。
アクリルウレタンエマルジョン粒子A4、被覆複合光半導体粒子B4、多孔質ゾルC4は上記のような大きさとなっているので、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4の球表面積502400nm2、上記被覆複合光半導体粒子B4と多孔質ゾルC4の球断面積1962.5nm2となるため、理論上では上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4の表面には上記被覆複合光半導体粒子B4と多孔質ゾルC4が256個(502400÷1962.5)吸着できることになる。
なお、第11図においては、被覆複合光半導体粒子B4と多孔質ゾル粒子C4の粒径が同じであることを表現するために、アパタイトB42の厚みを勘案して、光半導体粒子B41の径を多孔質ゾル粒子C4の径よりも小さく表現されているが、アパタイトB42の厚みは極僅かであるので、実際には光半導体粒子B41の径と多孔質ゾル粒子C4の径とはほとんど同じであるといえる。また、第11図は、アパタイトB42の存在を強調して表現しているが、アパタイトB42の厚みは実際には極僅かである。また、上記被覆複合光半導体粒子B4の平均粒径と上記多孔質ゾル粒子C4の平均粒径は同一であると説明したが、上記光半導体粒子B41の平均粒径と上記多孔質ゾル粒子C4の平均粒径が同一であるようにしてもよい。
【0021】
次に、本第4実施例のコーティング剤の製造方法について説明する。まず、予め、上記光半導体粒子B41に上記アパタイトB42を被覆して複合化して、被覆複合光半導体粒子B4を生成する。この場合の上記アパタイトB42の被覆方法としては、焼結法、水溶液法など多様な方法がある。この場合に、湿式法などの水溶液を用いた方法ではアパタイトの作製に1週間以上の期間がかかりコスト高となる。また、通常アパタイト結晶を得るには高温での焼成が不可欠であるが、これでは、大量のエネルギーが必要となってしまう。
そこで、近年人工骨の合成法として応用され始めている疑似体液を用いた生体内無機成分合成プロセスに基づいた方法であるバイオミメティック材料プロセスによって上記光半導体粒子B41の表面に上記アパタイトB42を生成させる手法を用いる。具体的には、OCPが析出するように組成を調整し、体温に近い37℃に保った疑似体液に上記光半導体粒子B41を浸漬する。具体的には、疑似体液を入れたタンクに光半導体粒子を分散させた上で、37〜40℃の水に入れておく。
このOCPは、アパタイトを生成させる際の前駆体であり、構造式Ca82(PO465H2Oで表されるものであり、他に、TCP、ACPでもよい。また、疑似体液は、Ca2+が0.5〜50mM、HPO4 2-が1〜20mM含有されており、具体的には、NaCl、NaHCO3、KCl、K2HPO4・3H2O、MgCl2・6H2O、CaCl2とNa2SO4あるいはNaFなどを、水に溶かすことで調整される。またHClや(CH2CH)3CNH2等によりpHを7〜8、特に7.4に調整することが好ましい。特に、本発明に用いられる疑似体液の組成は、Na+(120〜160mM)、K+(1〜20mM)、Ca2+(0.5〜50mM)、Mg2+(0.5〜50mM)、Cl-(80〜200mM)、HCO3-(0.5〜30mM)、HPO4 2-(1〜20mM)、SO4 2-(0.1〜20mM)、F-(0〜5mM)が好ましい。これより濃度が薄いとリン酸カルシウムの生成に時間がかかり、これより濃度が高いとリン酸カルシウムの生成が急激に起こって多孔質度や膜厚の制御が難しくなる。
そして、上記タンク内の液体を撹拌し続けると、1時間以内で光半導体粒子B41の表面に微細なOCPの結晶が析出し、上記光半導体粒子B41の表面を覆う。その後OCP結晶は分解してアパタイトに転化する。
その後、上記タンクを疑似体液から引き上げて放置しておくと、アパタイトに被覆された光半導体粒子が沈殿するので、上澄みを流す。その後、該タンクに水を入れた後に該水を流す処理を数回繰り返す。タンク内の沈殿物を乾燥させれば、アパタイトに被覆された光半導体粒子、つまり、被覆複合半導体粒子の粉体が得られる。この被覆複合光半導体粒子が上記被覆半導体粒子に当たる。なお、被覆複合半導体粒子の粉体は、以下では、「被覆複合光半導体の粉体」又は「被覆複合光半導体粉」と呼ぶこともある。
このように本第4実施例では、上記光半導体粒子B41に上記アパタイトB42を被覆して複合化する方法として疑似体液を用いた生体内無機成分合成プロセスに基づいたものとしているため、他の方法に比較して合成時間を大幅に短縮することができるため、生産性の向上を図ることが可能になる。また、特に、OCPを経由することでアパタイトは約10時間以内で生成され、アパタイトを直接生成させるよりはるかに短時間でアパタイト結晶を得ることが可能になる。
なお、上記光半導体粒子B41である二酸化チタンに上記アパタイトB42を被覆したことによる透光性の低下はなく、上記光半導体粒子B41の光触媒機能を損なうことはないとともに、上記アパタイトB42を被覆したことにより二酸化チタン表面まで物質が近ずけないために光触媒機能の劣化が起こることはない。これは、アパタイトが光半導体粒子B41の表面にまばらに分散して析出しており、全体を覆い隠していないためと想定される。
そして、そのように上記光半導体粒子B41の表面にアパタイトB42を生成して被覆させた被覆複合光半導体粒子(被覆光半導体粒子)(平均粒径50nm、比表面積70m2/g)からなる粉体30gを水875gに均一に分散して分散液を作る(分散液製造工程、第14図参照)。
そして、その分散液に、上記多孔質ゾル粒子C4としてのシリカゾル粒子からなるシリカゾルの20%水溶液60gを混入して均一になるまで分散して混合液を作る(第1混入・分散工程、第14図参照)。この場合、シリカゾルの水溶液が、上記第1のコロイド状溶液に当たる。また、該シリカゾル粒子が、上記「第1のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。
そして、その混合液(つまり、第1混入・分散工程で製造された混合液)に、更に、平均粒径200nmのアクリルウレタンエマルジョン粒子からなるアクリルウレタンエマルジョン(固形分42%)を35g混入して均一に分散させて、1000gの上記コーティング液の製造が終了する(第2混入・分散工程、第14図参照)。この場合、混入されるアクリルウレタンエマルジョンが、上記第2のコロイド状溶液に当たる。また、該アクリルウレタンエマルジョン粒子が、上記「第2のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。また、上記第1混入・分散工程と第2混入・分散工程とで、上記及び請求の範囲における混合液製造工程が構成される。
なお、被覆複合光半導体粒子からなる粉体、すなわち、被覆複合光半導体粉を30gとしたのは、全体重量を1000gとする前提のもとで、濃度を3%にしようとしたことに基づく。
なお、上記第4実施例のコーティング剤の製造工程においては、水に、被覆光半導体粒子の粉体を分散し、その後、シリカゾルの水溶液を混入、分散し、その後、アクリルウレタンエマルジョンを混入、分散しているが、被覆光半導体粒子の粉体を分散する工程と、シリカゾルの水溶液を混入、分散する工程と、アクリルウレタンエマルジョンを混入、分散する工程の順序は任意である。
また、上記第3実施例と同様に、アクリルウレタンエマルジョン粒子A4に対して、被覆複合光半導体B4及び多孔質ゾル粒子(多孔質コロイド状粒子)C4が1層〜2層吸着するのが最も良好である(なお、第9図では、1層のものを示している)。また、最大でも、5層とするのが好ましい。つまり、被覆複合光半導体粒子B4と多孔質ゾル粒子C4からなる層の層数は、1層〜5層程度とするのが好ましい。このように1層から5層程度とすることにより、被覆複合光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。なお、1層分では、上記のように400個の被覆複合光半導体粒子B4と多孔質ゾル粒子C4が吸着するので、5層とすると、計算上では、2000個の被覆複合光半導体粒子B4が吸着することになる。
なお、実際の吸着に際しては、該層数は均一になっているわけではなく、ある部分では、2層になっていても、他の部分では、1層になっている等の現象が生じる。よって、「被覆複合光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」や「被覆複合光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」や「被覆複合光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」と表現した場合には、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のいずれかのみである場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層(2層、3層、4層、5層のいずれかでもよい)である場合)と、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のうちのいずれかで、総数が複数種類存在する場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では2層で、他の部分では1層という場合や、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では4層で、他のある部分では3層で、残りの部分では2層という場合)とを含むことになる。
また、「被覆複合光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「被覆複合光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜2層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)や、「被覆複合光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「被覆複合光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜3層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)等がより好適であるといえる。
なお、上記の製造方法において、アクリルウレタンエマルジョン以外に他のコロイドを用いてもよい。
【0022】
上記のように製造された本実施例のコーティング剤の使用方法について説明する。該コーティング剤は、プライマーコーティング液を使用することなく直接、コンクリート面、木材面等のコーティング面に塗布して使用する。すると、主として、コーティング剤における多孔質ゾル粒子C4の機能により、コーティング面に吸着する。
このように構成される本第4実施例によるコーティング剤によれば、上記光半導体粒子B41に上記アパタイトB42を被覆して複合化しているため、該アパタイトB42によって細菌や有機物質の吸着能を向上させることができ、該アパタイトB42によって吸着した細菌や有機物質等を上記光半導体粒子B41が分解するため、細菌等の処理能力を向上させることができる。さらに、吸着した細菌等を光半導体粒子B41が分解するため、上記アパタイトB42の吸着面が吸着物で飽和するのを好適に防止でき、上記アパタイトB42の吸着能が低下してしまうのを防止することができる。
また、上記アパタイトB42がスペーサーとして機能するため、上記光半導体粒子B41が他の基材等の粒子と直接接触しないことになる。そのため、光触媒体の触媒作用によってバインダーや基材そのものが分解されてしまうのを防止することができるため、本実施例のコーティング剤を有機樹脂に含有させることができ、また、繊維、木材、プラスチック等の有機体に使用することが可能となる。
また、本実施例のコーティング剤は、上記第3実施例のコーティング剤が有する効果も有している。
つまり、上記被覆複合光半導体粒子B4は上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4の表面にて、効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記被覆複合光半導体粒子B4は上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4の表面で全体的に受光することができるため、上記被覆複合光半導体粒子B4を分散させた場合のように上記被覆複合光半導体粒子B4同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、薄い塗膜上においても光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4と上記被覆複合光半導体粒子B4との粒径の比が20対1となっているため、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4の表面に多数の上記被覆複合光半導体粒子B4が吸着することができ、従って、容積の小さい薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記被覆複合光半導体粒子B4の含有量が重量比3%(30g/1000g)と被覆複合光半導体粒子B4の含有量が低いためコロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって被覆複合光半導体粒子B4が隠されてしまうのを抑制することができ、従って、上記被覆複合光半導体粒子B4に光が十分に照射されるため、十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、アクリルウレタンエマルジョンの処方量も、被覆複合光半導体粒子がアクリルウレタンエマルジョン粒子に対して、1層〜2層吸着にするように調整されているので、コーティング剤として安定した性質を得ることが可能となる。
また、上記コーティング剤は、上述したように、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4と上記被覆複合光半導体粒子B4との粒径の比が4対1となっているため、上記被覆複合光半導体粒子B4の周囲に大きな空間部を形成することができる。そのため、上記コーティング剤は、十分な透光性を得ることができるとともに、十分な通気性、調湿性を備えたものとなっている。そのため、通気性が必要な木材などの天然素材へのコーティングも可能となるとともに、素材の吸湿、調湿効果も得ることができる。
さらに、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4の表面に上記多孔質ゾル粒子C4が吸着しているため、コーティング剤が基材、つまり、塗布面に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記アクリルウレタンエマルジョン粒子A4と被覆複合光半導体粒子B4との接着を補助する機能をも有している。また、この多孔質ゾル粒子C4は、上記のように、コーティング剤を多機能化させる機能を有している。
特に、上記アクリルウレタンエマルジョンと上記多孔質ゾルのバインダー機能によって、本実施例のコーティング剤は強い接着力を有したものとなるため、上述したように、上記コーティング剤は、直接コーティング面に吸着することができ、プライマーコーティング液を不要とすることが可能になる。
なお、上記の説明において、被覆複合光半導体粒子B4の平均粒径と、多孔質ゾル粒子C4の平均粒径とは、同じであるとして説明したが、アクリルウレタンエマルジョン粒子A4の平均粒径よりも小さければ、被覆複合光半導体粒子B4の平均粒径と多孔質ゾル粒子C4の平均粒径とが互いに異なる粒径であってもよい。なお、被覆複合光半導体粒子B4の機能を損なわないためには、多孔質ゾル粒子C4の粒径が、被覆複合光半導体粒子B4の粒径に対して、1〜1.5倍であるのが好ましい。
【0023】
次に、第5実施例について説明する。本第5実施例は、上記第4実施例に対して、後述するように、第2のコロイド状粒子としてアクリル超微粒エマルジョンを用いた点、第1のコロイド状粒子としてアクリルエマルジョンを用いた点が異なっている。その他の構成、作用、効果については、上記第4実施例と略同一であるため、重複する部分の記載は一部省略する。
本第5実施例のコーティング剤(光半導体コーティング液)を形成する光触媒複合体H5は、その構造としては第12図に示すように、アクリルエマルジョン粒子(第1のコロイド状粒子)A5の表面に、多数の被覆複合光半導体粒子B5と、アクリル超微粒エマルジョン粒子(第2のコロイド状粒子)C5が吸着されている。つまり、本実施例のコーティング剤は、複数(具体的には、多数)の光触媒複合体H5を有し、本実施例のコーティング剤は、アクリルエマルジョン粒子A5と、被覆複合光半導体粒子B5と、アクリル超微粒エマルジョン粒子C5とを有している。
ここで、アクリルエマルジョン粒子A5は、平均粒径500nmである。
また、被覆複合光半導体粒子(被覆光半導体粒子)B5は、上記第4実施例における被覆複合光半導体粒子と同様の構成であり、光半導体粒子B51と、その表面に被覆されたアパタイトB52により形成されている。つまり、上記光半導体粒子B51の表面は、吸着機能物質であるアパタイトB52によって被覆されて複合化されている。この被覆複合光半導体粒子B5は、平均粒径50nm、比表面積70m2/gである。従って、上記アクリルエマルジョン粒子A5と上記被覆複合光半導体粒子B5の粒径の比は、10対1となっている。この被覆複合光半導体粒子B5は、上記被覆光半導体粒子として機能する。
この光半導体粒子B51は、光触媒機能を有する半導体の粒子であり、例えば、二酸化チタンが用いられる。なお、上記光半導体粒子B51としては、二酸化チタンを用いるが、カドミウムなど光触媒機能を有するものであれば適用可能である。
また、アパタイトB52は、上記第4実施例と同様の構成であるので、その説明を省略する。
また、上記アクリル超微粒エマルジョン粒子C5は、平均粒径50nm、固形分40%である。従って、上記被覆複合光半導体粒子B5の平均粒径と上記アクリル超微粒エマルジョン粒子C5の平均粒径は同一であり、個々の被覆複合光半導体粒子B5とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5においても、ほぼ同一の粒径となっている。これにより、アクリル超微粒エマルジョン粒子C5が被覆複合光半導体粒子B5よりも大きい場合には、アクリル超微粒エマルジョン粒子C5が被覆複合光半導体粒子B5を覆ってしまい被覆複合光半導体粒子B5の機能を損なうおそれがあるが、本実施例の場合には、被覆複合光半導体粒子B5とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5とはほぼ同一の大きさであるので、そのようなおそれがない。また、このアクリル超微粒エマルジョン粒子C5は、コーティング剤が基材に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記アクリルエマルジョン粒子A5と被覆複合光半導体粒子B5との接着を補助する機能をも有している。また、このアクリル超微粒エマルジョン粒子C5は、コーティング剤を多機能化させる機能を有している。
アクリルエマルジョン粒子A5、被覆複合光半導体粒子B5、アクリル超微粒エマルジョン粒子C5は上記のような大きさとなっているので、上記アクリルエマルジョン粒子A5の球表面積3140000nm2、上記被覆複合光半導体粒子B5とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5の球断面積1962.5nm2となるため、理論上では上記アクリルエマルジョン粒子A5の表面には上記被覆複合光半導体粒子B5とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5が計1600個(3140000÷1962.5)吸着できることになる。
なお、第12図においては、被覆複合光半導体粒子B5とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5の粒径が同じであることを表現するために、アパタイトB52の厚みを勘案して、光半導体粒子B51の径をアクリル超微粒エマルジョン粒子C5の径よりも小さく表現されているが、アパタイトB52の厚みは極僅かであるので、実際には光半導体粒子B51の径とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5の径とはほとんど同じであるといえる。また、第12図は、アパタイトB52の存在を強調して表現しているが、アパタイトB52の厚みは実際には極僅かである。また、上記被覆複合光半導体粒子B5の平均粒径と上記アクリル超微粒エマルジョン粒子C5の平均粒径は同一であると説明したが、上記光半導体粒子B41の平均粒径と上記アクリル超微粒エマルジョン粒子C5の平均粒径が同一であるようにしてもよい。
【0024】
次に、本第5実施例のコーティング剤の製造方法について説明する。まず、予め、上記第4実施例に示した方法によって、上記光半導体粒子B51に上記アパタイトB52を被覆して複合化する。そして、そのように上記光半導体粒子B51の表面にアパタイトB52を生成して被覆させた被覆複合半導体粒子(被覆光半導体粒子)(平均粒径50nm、比表面積70m2/g)からなる粉体である被覆複合半導体粉15gを水924gに、均一に分散して分散液を作る(分散液製造工程、第14図参照)。
そして、その分散液に、上記アクリル超微粒エマルジョン粒子C5からなるアクリル超微粒エマルジョン25gを混入、分散して混合液を作る(第1混入・分散工程、第14図参照)。この場合、アクリル超微粒エマルジョンが、上記第1のコロイド状溶液に当たる。また、該アクリル超微粒エマルジョン粒子が、上記「第1のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。
そして、その混合液(つまり、第1混入・分散工程で製造された混合液)に、更に、上記アクリルエマルジョン粒子A5からなるアクリルエマルジョン(平均粒径500nm、固形分45%)を36gを混合分散させて、1000gの上記光半導体コーティング液の製造が終了する(第2混入・分散工程、第14図参照)。この場合、混入されるアクリルエマルジョンが、上記第2のコロイド状溶液に当たる。また、該アクリルエマルジョン粒子が、上記「第2のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。また、上記第1混入・分散工程と第2混入・分散工程とで、上記及び請求の範囲における混合液製造工程が構成される。
なお、被覆複合光半導体粒子からなる粉体、すなわち、被覆複合光半導体粉を15gとしたのは、全体重量を1000gとする前提のもとで、濃度を1.5%にしようとしたことに基づく。
なお、上記第5実施例のコーティング剤の製造工程においては、水に、被覆光半導体粒子の粉体を分散し、その後、アクリル超微粒エマルジョンを混入、分散し、その後、アクリルエマルジョンを混入、分散しているが、被覆光半導体粒子の粉体を分散する工程と、アクリル超微粒エマルジョンを混入、分散する工程と、アクリルエマルジョンを混入、分散する工程の順序は任意である。
また、上記第3実施例及び第4実施例と同様に、アクリルエマルジョン粒子A5に対して、被覆複合光半導体B5及びアクリル超微粒エマルジョン粒子C5が1層〜2層吸着するのが最も良好である(なお、第9図では、1層のものを示している)。また、最大でも、5層とするのが好ましい。つまり、被覆複合光半導体粒子B5とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5からなる層の層数は、1層〜5層程度とするのが好ましい。このように1層から5層程度とすることにより、被覆複合光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。なお、1層分では、上記のように400個の被覆複合光半導体粒子B5とアクリル超微粒エマルジョン粒子C5が吸着するので、5層とすると、計算上では、2000個の被覆複合光半導体粒子B5が吸着することになる。
なお、実際の吸着に際しては、該層数は均一になっているわけではなく、ある部分では、2層になっていても、他の部分では、1層になっている等の現象が生じる。よって、「被覆複合光半導体粒子と第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、第1のコロイド状粒子の表面に吸着している」や「被覆複合光半導体粒子と第2のコロイド状粒子が、第1のコロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」や「被覆複合光半導体粒子と第2のコロイド状粒子により構成される層が、第1のコロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」と表現した場合には、1つのコロイド状粒子(第1のコロイド状粒子)の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のいずれかのみである場合(例えば、1つのコロイド状粒子(第1のコロイド状粒子)の表面の領域の全てに渉って1層(2層、3層、4層、5層のいずれかでもよい)である場合)と、1つのコロイド状粒子(第1のコロイド状粒子)の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のうちのいずれかで、総数が複数種類存在する場合(例えば、1つのコロイド状粒子(第1のコロイド状粒子)の表面の領域におけるある部分では2層で、他の部分では1層という場合や、1つのコロイド状粒子(第1のコロイド状粒子)の表面の領域におけるある部分では4層で、他のある部分では3層で、残りの部分では2層という場合)とを含むことになる。
また、「被覆複合光半導体粒子と第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、第1のコロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「被覆複合光半導体粒子と第2のコロイド状粒子により構成される層が、第1のコロイド状粒子の表面に1層〜2層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)や、「被覆複合光半導体粒子と第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、第1のコロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「被覆複合光半導体粒子と第2のコロイド状粒子により構成される層が、第1のコロイド状粒子の表面に1層〜3層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)等がより好適であるといえる。
なお、上記の製造方法において、アクリルエマルジョン以外に他のコロイドを用いてもよい。
本実施例におけるコーティング剤の使用方法及び効果は、上記第4実施例と同様のであるので、その説明を省略する。
【0025】
次に、第6実施例について説明する。第6実施例におけるコーティング剤(光半導体コーティング液)を形成する光触媒複合体H6においては、その構造としては第13図に示すように、シリカゾル粒子(第1のコロイド状粒子)A6の表面に、被覆複合光半導体粒子(被覆光半導体粒子)B6と、光半導体粒子C6と、シリカゾル粒子(第2のコロイド状粒子)D6が多数吸着されている。つまり、本実施例のコーティング剤は、複数(具体的には、多数)の光触媒複合体H6を有し、本実施例のコーティング剤は、シリカゾル粒子A6と、被覆複合光半導体粒子B6と、光半導体粒子C6と、シリカゾル粒子D6とにより構成されているといえる。
このシリカゾル粒子A6は、平均粒径500nmである。なお、シリカゾル粒子でなくても、他の多孔質のゾルの粒子でもよく、また、他のコロイド状粒子でもよい。
また、上記被覆複合光半導体粒子(被覆光半導体粒子)B6は、光半導体粒子B61と、その表面に被覆されたアパタイトB62により形成されている。つまり、上記光半導体粒子B61の表面は、吸着機能物質であるアパタイトB62によって被覆されて複合化されている。この被覆複合光半導体粒子B6は、平均粒径10nm、比重約1.7である。従って、上記シリカゾル粒子A6と上記被覆複合光半導体粒子B6の粒径の比は、50対1となっている。この被覆複合光半導体粒子B6は、上記被覆光半導体粒子として機能する。なお、この被覆複合光半導体粒子B6は、上記第4実施例における被覆複合光半導体粒子B4と同様の構成であるので、その詳しい説明は省略する。
また、上記光半導体粒子C6は、アナターゼ型酸化チタンである。この光半導体粒子C6は、平均粒径10nm、比重約1.7である。この光半導体粒子C6は、他の物質により被覆されてはいない。従って、上記シリカゾル粒子A6と上記光半導体粒子C6の粒径の比は、50対1となっている。なお、この光半導体粒子C6は、アナターゼ型酸化チタンでなく、他の光触媒機能を有する半導体の粒子であってもよい。
また、シリカゾル粒子D6は、平均粒径10nmである。従って、このシリカゾル粒子D6の平均粒径と、上記被覆複合光半導体粒子B6、光半導体粒子C6の平均粒径とは同一である。これにより、仮に、シリカゾルD6が被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6よりも大きい場合には、シリカゾル粒子D6が被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6を覆ってしまい、被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6の機能を損なうおそれがあるが、本実施例の場合には、シリカゾル粒子D6と、被覆複合光半導体粒子B6、光半導体粒子C6とはほぼ同一の大きさであるので、そのようなおそれがない。また、このシリカゾル粒子D6は、コーティング剤が基材に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記シリカゾル粒子A6と被覆複合光半導体粒子B6との接着や、上記シリカゾル粒子A6と光半導体粒子C6との接着を補助する機能をも有している。また、このシリカゾル粒子D6は、コーティング剤にセルフクリーニング機能を持たせることができる。このセルフクリーニング機能とは、シリカゾルの親水性を利用して、光半導体粒子により分解されたNOXが水に洗い流されることにより、該コーティング剤を塗布した面に汚れが生じない機能をいう。なお、このシリカゾル粒子D6に限られず、他の多孔質ゾル粒子としてもよい。他の多孔質ゾル粒子としては、例えば、多孔性酸化亜鉛粒子が挙げられる。この多孔性酸化亜鉛粒子の場合には、抗菌や紫外線カット機能を得ることができる。シリカゾル粒子A6、被覆複合光半導体粒子B6、光半導体粒子C6、シリカゾル粒子D6は上記のような大きさとなっているので、上記シリカゾル粒子A6の球表面積785000nm2、上記被覆複合光半導体粒子B6と光半導体粒子C6とシリカゾル粒子D6の球断面積78.5nm2となるため、理論上では上記シリカゾル粒子A6の表面には上記被覆複合光半導体粒子B6と光半導体粒子C6とシリカゾル粒子D6が計10000個(785000÷78.5)吸着できることになる。
なお、第13図においては、被覆複合光半導体粒子B6と光半導体粒子C6とシリカゾル粒子D6の粒径が同じであることを表現するために、アパタイトB62の厚みを勘案して、光半導体粒子B61の径を光半導体粒子C6やシリカゾル粒子D6の径よりも小さく表現されているが、アパタイトB62の厚みは極僅かであるので、実際には光半導体粒子B61の径と光半導体粒子C6、シリカゾル粒子D6の径とはほとんど同じであるといえる。また、第13図は、アパタイトB62の存在を強調して表現しているが、アパタイトB62の厚みは実際には極僅かである。また、上記被覆複合光半導体粒子B6の平均粒径と上記光半導体粒子C6、シリカゾル粒子D6の平均粒径は同一であると説明したが、上記光半導体粒子B61の平均粒径と上記光半導体粒子C6、シリカゾル粒子D6の平均粒径が同一であるようにしてもよい。
【0026】
次に、本第6実施例のコーティング剤の製造方法について説明する。まず、予め、上記第4実施例に示した方法によって、上記光半導体粒子B61に上記アパタイトB62を被覆して複合化する。そして、そのように上記光半導体粒子B61の表面にアパタイトB62を生成して被覆させた被覆複合半導体粒子B6(平均粒径10nm、比重約1.7)からなる粉体である被覆複合半導体粉0.5gと、アナターゼ型酸化チタン(平均粒径10nm、比重約1.7)の粉体を水157gに、均一に分散して分散液を作る(分散液製造工程、第14図参照)。
そして、その分散液に、上記シリカゾル粒子D6からなるシリカゾルの水溶液(平均粒径10nm、比重約1.7、固形分20%)2gを混入、分散して混合液を作る(第1混入・分散工程、第14図参照)。この場合、混入されるシリカゾルの水溶液が、上記第1のコロイド状溶液に当たる。また、シリカゾル粒子D6が、上記「第1のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。
そして、その混合液(つまり、第1混入・分散工程で製造された混合液)に、更に、上記シリカゾル粒子A6からなるシリカゾルの水溶液(平均粒径500nm、比重約1.7、固形分20%)40gを混入、分散して(第2混入・分散工程、第14図参照)200gのコーティング液が得られた。この場合、このシリカゾルの水溶液が、上記第2のコロイド状溶液に当たる。また、該シリカゾル粒子A6が、上記「第1のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子」に当たる。
なお、上記シリカゾル粒子D6からなるシリカゾルを混入、分散する工程(つまり、上記第1混入・分散工程)と、上記シリカゾル粒子A6からなるシリカゾルを混入、分散する工程(つまり、第2混入・分散工程)とで、上記及び請求の範囲における混合液製造工程が構成される。
なお、被覆複合光半導体粒子からなる粉体、すなわち、被覆複合光半導体粉を0.5gとするとともに、アナターゼ型酸化チタンを0.5gとしたのは、全体重量を200gとする前提のもとで、濃度を0.5(1/200)%にしようとしたことに基づく。
なお、上記第6実施例のコーティング剤の製造工程においては、水に、被覆光半導体粒子の粉体とアナターゼ型酸化チタンの粉体を分散し、その後、シリカゾル粒子D6を有するシリカゾルの水溶液を混入、分散し、その後、シリカゾル粒子A6を有するシリカゾルの水溶液を混入、分散しているが、被覆光半導体粒子の粉体とアナターゼ型酸化チタンの粉体を分散する工程と、シリカゾル粒子D6を有するシリカゾルの水溶液を混入、分散する工程と、シリカゾル粒子A6を有するシリカゾルの水溶液を混入、分散する工程の順序は任意である。
また、シリカゾル粒子A6に対して、被覆複合光半導体B6、光半導体粒子C6及びシリカゾル粒子D6が1層〜2層吸着するのが最も良好である(なお、第13図では、1層のものを示している)。また、最大でも、5層とするのが好ましい。つまり、被覆複合光半導体粒子B6と光半導体粒子C6とシリカゾル粒子D6からなる層の層数は、1層〜5層程度とするのが好ましい。このように1層から5層程度とすることにより、被覆複合光半導体粒子や光半導体粒子の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。
なお、実際の吸着に際しては、該層数は均一になっているわけではなく、ある部分では、2層になっていても、他の部分では、1層になっている等の現象が生じる。よって、「被覆複合光半導体粒子と光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」や「被覆複合光半導体粒子と光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」や「被覆複合光半導体粒子と光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲内で吸着している」と表現した場合には、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のいずれかのみである場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層(2層、3層、4層、5層のいずれかでもよい)である場合)と、1つのコロイド状粒子の表面の領域の全てに渉って1層〜5層のうちのいずれかで、総数が複数種類存在する場合(例えば、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では2層で、他の部分では1層という場合や、1つのコロイド状粒子の表面の領域におけるある部分では4層で、他のある部分では3層で、残りの部分では2層という場合)とを含むことになる。
また、「被覆複合光半導体粒子と光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「被覆複合光半導体粒子と光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜2層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)や、「被覆複合光半導体粒子と光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が1層〜2層の範囲内で積層している層群が、コロイド状粒子の表面に吸着している」状態(「被覆複合光半導体粒子と光半導体粒子と多孔質コロイド状粒子(第2のコロイド状粒子)により構成される層が、コロイド状粒子の表面に1層〜3層の範囲内で吸着している」状態としてもよい)等がより好適であるといえる。
【0027】
上記のように製造された本実施例のコーティング剤の使用方法について説明する。この第6実施例のコーティング剤を使用するに当たっては、プライマーコーティング液、特に、無機プライマーコーティング液を用いる。この無機プライマーコーティング液としては、シリカのゾル・ゲル膜を形成するものが挙げられる。上記の無機プライマーコーティング液を塗布してプライマー層を形成した後に、該プライマー層に本実施例のコーティング剤を塗布する。
このように構成される本第6実施例によるコーティング液によれば、上記光半導体粒子B61に上記アパタイトB62を被覆して複合化しているため、該アパタイトB62によって細菌や有機物質の吸着能を向上させることができ、該アパタイトB62によって吸着した細菌や有機物質等を上記光半導体粒子B61が分解するため、細菌等の処理能力を向上させることができる。さらに、吸着した細菌等を光半導体粒子B61が分解するため、上記アパタイトB62の吸着面が吸着物で飽和するのを好適に防止でき、上記アパタイトB62の吸着能が低下してしまうのを防止することができる。
また、本実施例のコーティング剤は、上記第3実施例〜第5実施例のコーティング剤が有する効果も有している。つまり、上記被覆複合光半導体粒子B6は上記シリカゾル粒子A6の表面にて、効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記被覆複合光半導体粒子B6は上記シリカゾル粒子A6の表面で全体的に受光することができるため、上記被覆複合光半導体粒子B6を分散させた場合のように上記被覆複合光半導体粒子B6同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、薄い塗膜上においても光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
さらに、本実施例のコーティング剤においては、アパタイトに被覆されていない光半導体粒子C6をも有しているので、光半導体粒子の光触媒機能を十分得ることができ、薄い塗膜上においても、光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能となる。
また、上記シリカゾル粒子A6と上記被覆複合光半導体粒子B6、光半導体粒子C6、シリカゾル粒子D6との粒径の比が50対1となっているため、上記シリカゾル粒子A6の表面に多数の上記被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6やシリカゾル粒子D6が吸着することができ、従って、容積の小さい薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記被覆複合光半導体粒子B6と光半導体粒子C6の含有量が重量比0.5%と被覆複合光半導体粒子B6と光半導体粒子C6の含有量が低いためコロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6が隠されてしまうのを抑制することができ、従って、上記被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6に光が十分に照射されるため、十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、シリカゾルの処方量も、被覆複合光半導体粒子や光半導体粒子やシリカゾルがシリカゾル粒子に対して、1層〜2層吸着にするように調整されているので、コーティング剤として安定した性質を得ることが可能となる。
また、上記コーティング剤は、上述したように、上記シリカゾル粒子A6と上記被覆複合光半導体粒子B6、光半導体粒子C6、シリカゾル粒子D6との粒径の比が20対1となっているため、上記被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6の周囲に大きな空間部を形成することができる。そのため、上記コーティング剤は、十分な透光性を得ることができるとともに、十分な通気性、調湿性を備えたものとなっている。そのため、通気性が必要な木材などの天然素材へのコーティングも可能となるとともに、素材の吸湿、調湿効果も得ることができる。
さらに、上記シリカゾル粒子A6の表面に上記シリカゾル粒子D6が吸着しているため、コーティング剤が基材、つまり、塗布面に接着する際の接着機能を果たすとともに、上記シリカゾル粒子A6と被覆複合光半導体粒子B6との接着や、上記シリカゾル粒子A6と光半導体粒子C6との接着を補助する機能をも有している。
特に、上記2種類のシリカゾルのバインダー機能によって、本実施例のコーティング剤は強い接着力を有したものとなるため、上述したように、上記コーティング剤は、直接コーティング面に吸着することができ、プライマーコーティング液を不要とすることが可能になる。
なお、上記の説明において、被覆複合光半導体粒子B6の平均粒径と、光半導体粒子C6の平均粒径と、シリカゾルD6の平均粒径とは、同じであるとして説明したが、シリカゾル粒子A6の平均粒径よりも小さければ、被覆複合光半導体粒子B6の平均粒径と、光半導体粒子C6の平均粒径と、シリカゾル粒子D6の平均粒径とが互いに異なる粒径であってもよい。なお、被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6の機能を損なわないためには、シリカゾル粒子D6の粒径が、被覆複合光半導体粒子B6や光半導体粒子C6の粒径に対して、1〜1.5倍であるのが好ましい。
なお、上記第6実施例の説明においては、コーティング剤には、シリカゾル粒子A6と、被覆複合光半導体粒子B6と、光半導体粒子C6と、シリカゾル粒子D6とを有するとして説明したが、これには限られず、シリカゾル粒子D6を省略するようにしてもよい。この場合には、上記製造工程においても、平均粒径10nmのシリカゾルを混入する工程は省略されることになる。
【0028】
なお、上記第3実施例から第6実施例においては、コロイド状粒子、つまり、第1のコロイド状粒子の粒径と光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の比として、10:1、20:1等として説明したが、第1のコロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の1倍以上であればよい。また、第1のコロイド状粒子の粒径と第2のコロイド状粒子の粒径の比として、10:1、20:1として説明したが、第1のコロイド状粒子の粒径が第2のコロイド状粒子の粒径の1倍以上であればよい。
ここで、第1のコロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径及び第2のコロイド状粒子の粒径の1倍であっても、球表面積(4πr2)/球断面積(πr2)=4となり、第1のコロイド状粒子の回りに、計4個の光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)及び第2のコロイド状粒子が吸着できるのであり、多くの光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)及び第2のコロイド状粒子が吸着できるといえる。なお、第1のコロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の1倍を越える場合がより好適であり、さらには、第1のコロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の2倍以上である場合がより好適であり、さらには、第1のコロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の10倍以上である場合がより好適であるといえる。また、第1のコロイド状粒子の粒径が光半導体粒子(又は被覆複合光半導体粒子)の粒径の1〜1000倍としてもよい。また、第2のコロイド状粒子についても、第1のコロイド状粒子の粒径が第2のコロイド状粒子の粒径の1倍を越える場合がより好適であり、さらには、第1のコロイド状粒子の粒径が第2のコロイド状粒子の粒径の2倍以上である場合がより好適であり、さらには、第1のコロイド状粒子の粒径が第2のコロイド状粒子の粒径の10倍以上である場合がより好適であるといえる。また、第1のコロイド状粒子の粒径が第2のコロイド状粒子の粒径の1〜1000倍としてもよい。
また、光半導体粒子や被覆複合光半導体粒子の濃度については、上記のように、5%、2.5%等であるとして説明したが、0.1〜10%であればよい。
また、上記各実施例では、光触媒複合体をコーティング剤として用いた例を示しているが、塗料とする場合にあっては上記各コーティング剤に顔料を適宜混入させればよい。
また、本発明は、上記各実施例の態様のみに限定されるものではなく、例えば、光半導体粒子としては光半導体としての機能を有する粒子であれば全て含まれ、光半導体粒子の他に光触媒機能を有する粒子であってもよい。特に、上記請求項において、「光半導体粒子」の代わりに、「光触媒機能粒子」としてもよく、また、「被覆光半導体粒子」の代わりに、「被覆光触媒機能粒子」としてもよい。この光触媒機能粒子とは、光触媒機能を有する粒子を意味するものである。
また、上記各実施例においては、上記光触媒複合体をコーティング剤、或いは塗料に混入するものとしているが、それのみに限定されるものではなく、抗菌剤、防錆剤、浄化剤など、上記光触媒複合体が混入可能なものであればすべて含まれる。
また、第9図は、光半導体粒子B3が単層吸着している状態を図示しており、また、第11図は、被覆複合光半導体粒子B4が単層吸着している状態を図示しているが、第9図及び第11図は、単層吸着の理想的な状態を図示したものである。また、第9図や第11図は光触媒複合体(又は被覆複合光半導体粒子)を模式的に示したものであり、実際には、コロイド状粒子の表面に吸着している粒子の数も第9図や第11図や第12図に示すものとは限らない。また、実際には、第9図や第11図や第12図に示すように隙間なく粒子が吸着しているとは限らない。
また、上記各実施例においては、1つの平均粒径のコロイド状粒子を含有させているが、平均粒径の異なる複数種類のコロイド状粒子を含有させてもよい。特に、第1のコロイド状粒子が、平均粒径の異なる複数種類のコロイド状粒子から構成されているようにすることにより、大径のコロイド状粒子の回りの隙間に小径のコロイド状粒子が入り込むため、空間が埋められてコーティング剤の密度を高めることができる。
なお、上記第3実施例から第6実施例の説明においては、コロイドとして、アクリルシリコンエマルジョン、アクリルウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン等を例に挙げて説明したが、他のコロイドを用いてもよい。
また、上記第3実施例及び第4実施例においては、第2のコロイド状粒子として、多孔質ゾル粒子を例に取って説明し、また、上記第5実施例においては、第2のコロイド状粒子として、アクリル超微粒エマルジョン粒子を例に取って説明したが、他のコロイド状粒子を用いてもよい。また、上記吸着機能物質として、アパタイトを例にとって説明したが、他の物質、つまり、他の吸着機能を有する物質を用いてもよい。
また、上記の説明で、「二酸化チタン」とあるのは「酸化チタン」としてもよく、また、「酸化チタン」とあるのは「二酸化チタン」としてもよい。
【0029】
産業上の利用可能性
本発明に基づくコーティング剤によれば、第1のコロイド状粒子と、光半導体粒子及び/又は被覆光半導体粒子とを有することから、コロイド状粒子の表面に光半導体粒子及び/又は被覆光半導体粒子が吸着した状態となっているため、上記光半導体粒子及び/又は被覆光半導体粒子は上記コロイド状粒子の表面において効率よく光の照射を受けることができ、安定して光触媒機能を発揮することができる。さらに、上記光半導体粒子及び/又は被覆光半導体粒子は上記コロイド状粒子の表面で全体的に受光することができるため、上記光半導体粒子及び/又は被覆光半導体粒子を分散させた場合のように上記光半導体粒子及び/又は被覆光半導体粒子同士で光の照射を妨げあうことがないため、顕著に効率を高めることが可能になる。従って、容積の小さい薄い塗膜上においても光触媒体の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、特に、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子を用いた場合には、光半導体粒子は吸着機能物質により被覆されているので、有害物質の吸着能力を向上させることができ、また、光半導体粒子が他の基材等の粒子と直接接触しないので、光半導体の触媒作用によってバインダーや基材等が分解されてしまうのを防止することが可能となる。
また、特に、第2のコロイド状粒子や第1のコロイド状溶液におけるコロイド状粒子(以下単に「第2のコロイド状粒子等」とする)を有する場合には、上記第1のコロイド状粒子等の表面に、第2のコロイド状粒子等がさらに吸着された状態となっている。よって、上記コーティング剤が上記第2のコロイド状粒子等の機能をも有するものとなり、上記コーティング剤の多機能化を図ることができる。
また、上記第1のコロイド状粒子等の粒径が、上記光半導体粒子等の粒径の1倍以上の大きさとした場合には、上記コロイド状粒子の表面に多数の上記光半導体粒子等が付着することができる。従って、小さい容積中においても光触媒機能を有効に発揮可能な表面積を非常に大きいものとすることができるため、容積の小さい薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記第1のコロイド状粒子等の粒径が、上記第2のコロイド状粒子等の粒径の1倍以上の大きさとした場合には、第2のコロイド状粒子等も第1のコロイド状粒子等の表面に多数吸着することができ、この第2のコロイド状粒子等による多機能化を十分図ることが可能となる。
また、上記光半導体粒子等におけるコーティング剤全体の重量における含有量を、重量比0.1〜10%とした場合には、光半導体粒子の含有量が低く抑制され、そのため、コロイド状態を維持するための増粘剤などの添加物を多く投入する必要がないため、それらの添加物によって光触媒半導体粒子が隠されてしまうのを抑制することができる。従って、上記光触媒複合体に光が十分に照射されるため、光触媒複合体が十分に光触媒機能を発揮することができ、薄い塗膜上においても光触媒の有機物分解作用等の能力を十分に機能させることが可能になる。
また、上記光半導体粒子等の粒径に対する上記第2のコロイド粒子等の粒径が、1〜1.5倍である場合には、上記光半導体粒子等の粒径と上記第2のコロイド状粒子等の粒径が同径又は近似したものとなる。そのため、上記光半導体の機能と上記第2のコロイド状粒子等の機能を良好にバランスよく発揮することができる。
また、上記光半導体粒子等と上記第2のコロイド状粒子等により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、上記第1のコロイド状粒子等の表面に吸着している場合には、光半導体粒子等の光触媒機能を十分果たすことができると同時に、添加剤等を投入しなくてもコロイド状態を維持してコーティング剤や塗料としての機能を持たせることができる。
【0030】
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例に基づくコーティング剤における光触媒複合体の構造を示す説明図である。
第2図は、本発明の第1実施例に基づくコーティング剤の使用状態を示す説明図である。
第3図は、単層吸着と多分子吸着とを説明するための説明図であり、(a)は単層吸着を説明する説明図であり、(b)は多分子吸着を説明する説明図である。
第4図は、本発明の第2実施例に基づくコーティング剤における光触媒複合体の構造を示す説明図である。
第5図は、試験結果を示す説明図である。
第6図は、試験結果を示す説明図である。
第7図は、試験結果を示す説明図である。
第8図は、本発明の第1実施例と第2実施例のコーティング剤の製造工程の概略を示す説明図である。
第9図は、本発明の第3実施例に基づくコーティング剤における光触媒複合体の構造を示す説明図である。
第10図は、本発明の第3実施例に基づくコーティング剤の使用状態を示す説明図である。
第11図は、本発明の第4実施例に基づくコーティング剤における光触媒複合体の構造を示す説明図である。
第12図は、本発明の第5実施例に基づくコーティング剤における光触媒複合体の構造を示す説明図である。
第13図は、本発明の第6実施例に基づくコーティング剤における光触媒複合体の構造を示す説明図である。
第14図は、本発明の第3実施例から第6実施例までのコーティング剤の製造工程の概略を示す説明図である。

Claims (33)

  1. コーティング剤であって、
    コロイド状粒子と、
    上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、
    を有することを特徴とするコーティング剤。
  2. 上記コーティング剤全体における上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする請求項1に記載のコーティング剤。
  3. 上記光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲で吸着していることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング剤。
  4. コーティング剤であって、
    コロイド状粒子と、
    上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、
    を有することを特徴とするコーティング剤。
  5. 上記コーティング剤全体における上記被覆光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする請求項4に記載のコーティング剤。
  6. コーティング剤であって、
    コロイド状粒子と、
    上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、
    上記コロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、コロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、
    を有することを特徴とするコーティング剤。
  7. 上記コーティング剤全体における上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子との合計含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする請求項6に記載のコーティング剤。
  8. 上記吸着機能物質が、多孔質リン酸カルシウムであることを特徴とする請求項4又は5又は6又は7に記載のコーティング剤。
  9. 上記多孔質リン酸カルシウムが、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイトの内から選ばれた少なくとも一種のリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項8に記載のコーティング剤。
  10. 上記光半導体粒子に被覆された多孔質リン酸カルシウムは、光半導体粒子を疑似体液に浸積することにより、光半導体粒子の表面に多孔質リン酸カルシウムを被覆させたものであることを特徴とする請求項8又は9に記載のコーティング剤。
  11. 上記被覆光半導体粒子が、コロイド状粒子の表面に1層〜5層の範囲で吸着していることを特徴とする請求項4又は5又は6又は7又は8又は9又は10に記載のコーティング剤。
  12. 上記コーティング剤には、粒径の異なる上記コロイド状粒子が含有されていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11に記載のコーティング剤。
  13. 上記コロイド状粒子が、フッ素エマルジョン粒子と、アクリルエマルジョン粒子と、アクリルシリコンエマルジョン粒子と、アクリルウレタンエマルジョン粒子における少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12に記載のコーティング剤。
  14. コーティング剤であって、
    第1のコロイド状粒子と、
    上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、
    上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、多孔質コロイド状粒子により形成され、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した第2のコロイド状粒子と、
    を有することを特徴とするコーティング剤。
  15. 上記多孔質コロイド状粒子が、多孔質ゾル粒子であることを特徴とする請求項14に記載のコーティング剤。
  16. 上記コーティング剤全体における上記光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする請求項14又は15に記載のコーティング剤。
  17. 上記光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、1〜1.5倍であることを特徴とする請求項14又は15又は16に記載のコーティング剤。
  18. 上記光半導体粒子と上記第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、上記第1のコロイド状粒子の表面に吸着していることを特徴とする請求項14又は15又は16又は17に記載のコーティング剤。
  19. コーティング剤であって、
    第1のコロイド状粒子と、
    上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、
    上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、多孔質コロイド状粒子により形成され、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した第2のコロイド状粒子と、
    を有することを特徴とするコーティング剤。
  20. 上記多孔質コロイド状粒子が、多孔質ゾル粒子であることを特徴とする請求項19に記載のコーティング剤。
  21. 上記コーティング剤全体における上記被覆光半導体粒子の含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする請求項19又は20に記載のコーティング剤。
  22. 上記被覆光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、1〜1.5倍であることを特徴とする請求項19又は20又は21に記載のコーティング剤。
  23. 上記被覆光半導体粒子と上記第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、上記第1のコロイド状粒子の表面に吸着していることを特徴とする請求項19又は20又は21又は22に記載のコーティング剤。
  24. コーティング剤であって、
    第1のコロイド状粒子と、
    上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した被覆光半導体粒子であって、光半導体粒子を吸着機能物質で被覆してなる被覆光半導体粒子と、
    上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した光半導体粒子と、
    上記第1のコロイド状粒子の粒径の1/10以下の粒径を有し、多孔質コロイド状粒子により形成され、第1のコロイド状粒子の表面に吸着した第2のコロイド状粒子と、
    を有することを特徴とするコーティング剤。
  25. 上記多孔質コロイド状粒子が、多孔質ゾル粒子であることを特徴とする請求項24に記載のコーティング剤。
  26. 上記コーティング剤全体における上記被覆光半導体粒子と光半導体粒子との合計含有量を、重量比0.1〜10%としたことを特徴とする請求項24又は25に記載のコーティング剤。
  27. 上記被覆光半導体粒子及び光半導体粒子の粒径に対する上記第2のコロイド粒子の粒径が、1〜1.5倍であることを特徴とする請求項24又は25又は26に記載のコーティング剤。
  28. 上記被覆光半導体粒子と上記光半導体粒子と上記第2のコロイド状粒子により構成される層が1層〜5層の範囲内で積層している層群が、上記第1のコロイド状粒子の表面に吸着していることを特徴とする請求項24又は25又は26又は27に記載のコーティング剤。
  29. 上記吸着機能物質が、多孔質リン酸カルシウムであることを特徴とする請求項19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28に記載のコーティング剤。
  30. 上記多孔質リン酸カルシウムが、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイトの内から選ばれた少なくとも一種のリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項29に記載のコーティング剤。
  31. 上記光半導体粒子に被覆された多孔質リン酸カルシウムは、光半導体粒子を疑似体液に浸積することにより、光半導体粒子の表面に多孔質リン酸カルシウムを被覆させたものであることを特徴とする請求項29又は30に記載のコーティング剤。
  32. 上記第1のコロイド状粒子は、粒径の異なるコロイド状粒子から構成されていることを特徴とする請求項19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31に記載のコーティング剤。
  33. 上記第1のコロイド状粒子が、フッ素エマルジョン粒子と、アクリルエマルジョン粒子と、アクリルシリコンエマルジョン粒子と、アクリルウレタンエマルジョン粒子における少なくともいずれかであることを特徴とする請求項19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32に記載のコーティング剤。
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