JP4258065B2 - 光・電気配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光配線と電気配線とが積層されている光・電気配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
より速く演算処理が行えるコンピュータを作るために、CPUのクロック周波数は益々増大する傾向にあり、現在では1GHzオーダーのものが出現するに至っている。この結果、コンピュータの中のプリント基板上の銅による電気配線には高周波電流が流れる部分が存在することになるので、ノイズの発生により誤動作が生じたり、また電磁波が発生して周囲に悪影響を与えることにもなる。
【0003】
このような問題を解決するために、プリント基板上の銅による電気配線の一部を光ファイバー又は光導波路による光配線に置き換え、電気信号の代わりに光信号を利用することが行われている。なぜなら、光信号の場合は、ノイズ及び電磁波の発生を抑えられるからである。
【0004】
高密度実装又は小型化の観点からは、電気配線と光配線とが同一の基板上で積み重なっている光・電気配線基板を作ることが望ましい。たとえば、特開平3−29905号公報にて述べられているように、電気配線基板上に光ファイバを絶縁膜にて固定させた基板が提案されている。しかし、光配線として光ファイバを用いる場合、その屈曲性の限界から、複雑な形状の光配線には対応しきれず、設計の自由度が低くなってしまい、高密度配線あるいは基板の小型化に対応できないという問題がある。
【0005】
このため、電気配線基板の上に、光配線として、いわゆる、光導波路を用いた光・電気配線基板の構成がいくつか提案されている。光導波路の構成は光信号が伝搬するコア層が、光信号をコア層に閉じこめるクラッド層に埋設されている。コアパターンの形成方法は、フォトリソグラフィ技術により、メタルマスクを形成し、ドライエッチングで作製するか、コア材料に感光性が付与されている場合は、露光、現像処理にて作製できる。このため、フォトマスクのパターンを基に光配線を形成できるため、その設計の自由度は高くなる。また、比較的短距離の伝送にも対応が可能となる。
【0006】
しかし、電気配線基板上に光配線層として光導波路を形成する際、光配線層の下地としての電気配線基板表面は、電気配線が多層化されていることで、非常に大きな凹凸が形成されている。このため、その表面直に光導波路を形成すると、その凹凸のために光信号の伝搬損失が大きくなるという問題点が発生する。
【0007】
この問題点を解決するため、光配線層をフィルム形状にして、電気配線基板に接着剤にて貼り合わせることが提案されている。光配線フィルムをラミネータ等で貼り合わせることにより、下地の凹凸による光配線のうねりの曲率を可能な限り大きくすることにより損失を抑えることが狙いである。しかし、この場合、完全には凹凸による損失を低減することはできない。
【0008】
さらに、ラミネータによって光配線フィルムを貼り合わせると、電気配線基板との貼り合わせ精度が出ないため、レーザ素子や受光素子等の光部品と光配線との位置精度が低くなり、光軸合わせが困難になる。
【0009】
また、電気配線の凹凸を埋める程度に平滑化層をコートして、表面を研磨して平滑化する方法も提案されている。しかし、この方法では、研磨屑の発生による汚染の問題や、基板サイズが大きい場合の研磨量の精度が出ない等の問題があり、現実的ではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る従来技術の欠点に鑑みなされたもので、電気配線を有する基板の電気配線の上に、電気配線の凹凸の影響を受けない光配線層を有する光・電気配線基板の製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記の課題を達成するために、まず請求項1の発明では、電気配線を有する基板と、その上に光信号を伝搬させる光配線となっているコアを有する光配線層とを備える光・電気配線基板の製造方法において、光信号を伝搬させる光配線となっているコアを有する光配線層を平滑な第1の支持基板の上に作る工程と、該光配線層を第1の支持基板から剥離して、該剥離により光配線層がフィルム状になった光配線層フィルムを第1の接着剤を用いて、平滑な第2の支持基板へ接着させる工程と、該光配線層フィルムに対する接着強度が該第1の接着剤のそれよりも大きい第2の接着剤を、電気配線を有する基板表面に塗布する工程と、該第2の支持基板上に接着させた該光配線層の表面を、電気配線を有する基板表面に塗布した該第2の接着剤に接着させる工程と、該光配線層上の該第2の支持基板並びに該第1の接着剤を剥離する工程と、該光配線層に光部品及び電気部品を搭載するためのパッド並びにビアホールを形成する工程と、を含むことを特徴とする光・電気配線基板の製造方法としたものである。
【0012】
また請求項2の発明では、平滑な第2の支持基板として可視光に対し透明性の高い基板を用いることを特徴とする請求項1に記載の光・電気配線基板の製造方法としたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の光・電気配線基板の製造方法の実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0015】
光配線層フィルムの製造方法を図1に示す。第1の支持基板1であるシリコンウエハ上に剥離層3として、Cr、Cuの薄膜層をスパッタし、その後、硫酸銅めっき浴中にてCu層を約1μm 形成した。その上に、クラッド層2として、ポリイミドOPI−N1005(日立化成工業(株)製)をスピンコートし、350℃にてイミド化させた。このときの膜厚は15μm であった(工程(a))。
【0016】
この第1の支持基板はシリコンウエハに限らず。表面が平滑であり、400℃程度の耐熱性があり、堅牢な材料であれば良い。
【0017】
工程(b)のように、コア層4として、ポリイミドOPI−N1305(日立化成工業(株)製)を同様にスピンコートし、350℃にてイミド化させた。このときの膜厚は8μm であった。
【0018】
コア層表面にAlを蒸着し、フォトレジストの所定のパターンを形成し、エッチング処理を行い、Alのメタルマスクを形成した。さらに、酸素ガスを用い、反応性イオンエッチングにてコア層をエッチングし、Al膜をエッチング除去して、光配線を形成した(工程(c))。このとき、光配線と同時に、電気配線基板8との貼り合わせ精度を高めるためのアライメントマーク(図示せず)を形成した。
【0019】
その上からクラッド層としてOPI−N1005を同様にコーティングし、イミド化させる。このときのクラッド層の膜厚は、コア層光配線上で15μmであった(工程(d))。
【0020】
塩化第2鉄液にて、剥離層3を溶解除去し、光配線層フィルム5を剥離した(工程(e))。
【0021】
光配線層フィルムを電気配線基板に貼り合わせる工程を図2に示す。第2の支持基板6として、ガラス基板に第1の接着剤7を1μm 厚にコートし、光配線層フィルムをラミネータで貼り合わせる。ガラス基板6と光配線層フィルム5との位置合わせは不要であり、ラミネータにより光配線層表面は非常に平滑となる。接着剤の種類により、加熱処理または紫外線照射処理を行う(工程(f))。
【0022】
電気配線基板8として、ポリイミド多層配線基板を用いた。その最表面には電気配線9が形成されており、その膜厚段差18μm の凹凸が形成されている。電気配線層はポリイミド多層配線基板に限らず、単層の絶縁基板でも、電気配線と絶縁層が交互に積層された多層配線基板でも良い。また、構成材料として、ガラス布に樹脂を含浸させた絶縁基板でも、ポリイミドフィルムでも、セラミック基板でも良い。
【0023】
この電気配線基板上に、第2の接着剤10として熱可塑性を示す変性ポリイミド樹脂を、電気配線上に約20μm 形成できるように、塗布、乾燥を行った。
【0024】
第2の接着剤としては、熱可塑性接着剤が良い。たとえば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ブチラール樹脂、ポリアミド系樹脂、変性ポリイミド樹脂等があげられる。こられの中で、光・電気配線基板上のハンダ耐熱性を考慮すると、好ましくは、貼り合わせ温度が250℃から300℃のものが良く、変性ポリイミド樹脂が最適である。
【0025】
最後に光配線層を、第2の支持基板から、第1の接着剤ごと剥離する必要があるため、第1の接着剤と第2の接着剤の光配線層フィルムに対する接着強度は第2の接着剤のほうが大きくなるように設計する必要がある。
【0026】
工程(g)のように、第2の接着剤10をコーティングした電気配線基板上に設けたアライメントマーク(図示せず)と、第2の支持基板であるガラス基板に貼り合わせた光配線層に設けたアライメントマークを、ガラス基板越しに合わせ、双方の位置を決めた。
【0027】
ガラス基板並びに光配線層は可視光に対し透過性が高く、また、第1の接着剤の厚さも充分に薄いため、第2の支持基板裏面から、光配線層のアライメントマークと電気配線基板のアライメントマークを見ることが可能である。
【0028】
次に、第2の支持基板上から加圧しながら、250℃、1時間加熱処理を行った(工程(h))。必要に応じて、雰囲気を減圧して接着を行うこともできる。また、第2の接着剤が電子線硬化性等であれば、第2の支持基板からの電子線等の照射により接着が可能である。
【0029】
工程(i)のように、第2の支持基板6を第1の接着剤ごと剥離して、電気配線基板と光配線層フィルムの貼り合わせが完了した。このとき、光配線層は、下地の電気配線基板の凹凸の影響を受けず、第2の支持基板の平滑性を維持しながら接着固定された。
【0030】
電気配線基板に貼り合わされた光配線層に、光部品や電気部品を搭載するためのパッドと、電気配線基板との電気的導通を取るためのビアホールを形成し、本発明による光・電気配線基板を完成させるまでの工程を図3に示す。
【0031】
工程(j)に示すように、レーザを用いて、電気配線基板8上のアライメントマーク(図示せず)を基準に、ビアホール形成のための孔部を形成する。穿孔方法としては、炭酸ガスレーザやUV−YAGレーザやエキシマレーザ、あるいは、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングなどを用いることができる。この場合、下地の電気配線9が穿孔のストッパの役割を果たす。
【0032】
次に、スパッタによりCr、Cuの順で金属薄膜を形成する(工程(k))。さらに、フォトレジスト12としてPMER(東京応化工業(株)製)を10μm 、スピンコータにて塗布し、90℃で乾燥させる。所定のパターンを有するフォトマスクを用い、電気配線基板上に形成したアライメントマーク(図示せず)を基準に露光、現像処理を行い、ビアホール形成のための開口部13、並びに、パッド形成のための開口部14を作製した。さらに、110℃にてポストベークを行った(工程(l))。
【0033】
金属薄膜を陰極として、硫酸銅浴中でCuめっきを行った。めっきの膜厚はフォトレジストの膜厚程度の10μm であった(工程(m))。
【0034】
最後に、フォトレジストを専用の剥離液にて除去し、エッチング液にて金属薄膜11を溶解除去し、ビアホール15、パッド16を作製した。これにより、本発明による光・電気配線基板が完成した(工程(n))。
【0035】
次いで、本発明の請求項3記載の光・電気配線基板の製造方法の実施形態について、図4〜図5を用いて説明する。
【0036】
光配線層の製造方法を図4に示す。支持基板21であるガラス基板上に剥離層23として、Cr、Cuの薄膜層をスパッタし、その後、硫酸銅めっき浴中にてCu層を約1μm 形成した。この金属薄膜層に、定法であるフォトエッチング法により所定の位置に、支持基板21との位置決めを行うアライメントマーク(図示せず)を形成した。
【0037】
その上に、クラッド層22として、ポリイミドOPI−N1005(日立化成工業(株)製)をスピンコートし、350℃にてイミド化させた。このときの膜厚は15μm であった(工程(o))。
【0038】
この支持基板はガラス基板に限らず、表面が平滑であり、400℃程度の耐熱性があり、堅牢であり、かつ、可視光に対し透明性の高い材料であれば良い。
【0039】
工程(p)のように、コア層24として、ポリイミドOPI−N1305(日立化成工業(株)製)を同様にスピンコートし、350℃にてイミド化させた。このときの膜厚は8μm であった。
【0040】
コア層表面にAlを蒸着し、フォトレジストの所定のパターンを形成し、エッチング処理を行い、Alのメタルマスクを形成した。さらに、酸素ガスを用い、反応性イオンエッチングにてコア層をエッチングし、Al膜をエッチング除去して、光配線を形成した(工程(q))。
【0041】
その上からクラッド層としてOPI−N1005を同様にコーティングし、イミド化させ、光配線層25が完成した。このときのクラッド層の膜厚は、コア層光配線上で15μmであった(工程(r))。
【0042】
次いで、光配線層を電気配線基板に貼り合わせる工程を図5に示す。
【0043】
電気配線基板27として、ポリイミド多層配線基板を用いた。その最表面には電気配線26が形成されており、その膜厚段差18μm の凹凸が形成されている。電気配線層はポリイミド多層配線基板に限らず、単層の絶縁基板でも、電気配線と絶縁層が交互に積層された多層配線基板でも良い。また、構成材料として、ガラス布に樹脂を含浸させた絶縁基板でも、ポリイミドフィルムでも、セラミック基板でも良い。
【0044】
この電気配線基板上に、接着剤28として熱可塑性を示す変性ポリイミド樹脂を、電気配線上に約20μm 形成できるように、塗布、乾燥を行った。
【0045】
接着剤としては、熱可塑性接着剤が良い。たとえば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ブチラール樹脂、ポリアミド系樹脂、変性ポリイミド樹脂等があげられる。こられの中で、光・電気配線基板上のハンダ耐熱性を考慮すると、好ましくは、貼り合わせ温度が250℃から300℃のものが良く、変性ポリイミド樹脂が最適である。
【0046】
工程(s)のように、接着剤28をコーティングした電気配線基板上に設けたアライメントマーク(図示せず)と、支持基板であるガラス基板に設けたアライメントマークを、ガラス基板越しに合わせ、双方の位置を決めた。
【0047】
支持基板並びに光配線層は可視光に対し透過性が高いため、支持基板裏面から、光配線層のアライメントマークと電気配線基板のアライメントマークを見ることが可能である。
【0048】
次に、ガラス基板上から加圧しながら、250℃、1時間加熱処理を行った(工程(t))。必要に応じて、雰囲気を減圧して接着を行うこともできる。また、接着剤が電子線硬化性等であれば、支持基板からの電子線等の照射により接着が可能である。
【0049】
工程(u)のように、塩化第2鉄液にて、剥離層23を溶解除去し、支持基板21を剥離して、電気配線基板と光配線層の貼り合わせが完了した。このとき、光配線層は、下地の電気配線基板の凹凸の影響を受けず、第3の支持基板の平滑性を維持しながら接着固定された。
【0050】
電気配線基板に貼り合わされた光配線層に、光部品や電気部品を搭載するためのパッドと、電気配線基板との電気的導通を取るためのビアホールを形成し、本発明による光・電気配線基板を完成させるまでの工程は、先に述べた請求項1の実施形態のうち、図3の工程(j)〜(n)と同じため省略する。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明には、以下の効果がある。
【0052】
第1に、光配線層を平滑な第2の支持基板または支持基板に固定して、光配線層が平滑な状態を保ちながら電気配線基板と貼り合わせることができるため、下地となる電気配線層表面の凹凸に影響を受けず、光信号の伝搬損失を非常に小さく抑えることができる。
【0053】
第2に、第2の支持基板または支持基板は透明性が高い材料を用いるため、光配線層の接着面と反対の面から電気配線基板と光配線層のアライメントマークを読みとることが可能なため、精度よく貼り合わせを行う。この結果、光配線と光部品搭載用パッド間の位置が精度良く決めることができる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光・電気配線基板の製造方法において、光配線層を形成する工程を示す説明図。
【図2】本発明の光・電気配線基板の製造方法において、光配線層フィルムと電気配線基板とを貼り合わせる工程を示す説明図。
【図3】本発明の光・電気配線基板の製造方法において、パッド並びにビアホールを形成する工程を示す説明図。
【図4】本発明の光・電気配線基板の製造方法において、光配線層を形成する工程を示す説明図。
【図5】本発明の光・電気配線基板の製造方法において、光配線層フィルムと電気配線基板とを貼り合わせる工程を示す説明図。
【符号の説明】
1 第1の支持基板
2 クラッド層
3 剥離層
4 コア層
5 光配線層(フィルム)
6 第2の支持基板
7 第1の接着剤
8 電気配線基板
9 電気配線
10 第2の接着剤
11 ビアホール形成のための孔
12 金属薄膜
13 フォトレジスト
14 フォトレジスト開口部
15 フォトレジスト開口部
16 ビアホール
17 パッド
21 支持基板
22 クラッド層
23 剥離層
24 コア層
25 光配線層
26 電気配線
27 電気配線基板
28 接着剤
Claims (2)
- 電気配線を有する基板と、その上に光信号を伝搬させる光配線となっているコアを有する光配線層とを備える光・電気配線基板の製造方法において、
光信号を伝搬させる光配線となっているコアを有する光配線層を平滑な第1の支持基板の上に作る工程と、
該光配線層を第1の支持基板から剥離して、該剥離により光配線層がフィルム状になった光配線層フィルムを第1の接着剤を用いて、平滑な第2の支持基板へ接着させる工程と、
該光配線層フィルムに対する接着強度が該第1の接着剤のそれよりも大きい第2の接着剤を、電気配線を有する基板表面に塗布する工程と、
該第2の支持基板上に接着させた該光配線層の表面を、電気配線を有する基板表面に塗布した該第2の接着剤に接着させる工程と、
該光配線層上の該第2の支持基板並びに該第1の接着剤を剥離する工程と、
該光配線層に光部品及び電気部品を搭載するためのパッド並びにビアホールを形成する工程と、
を含むことを特徴とする光・電気配線基板の製造方法。 - 平滑な第2の支持基板として可視光に対し透明性の高い基板を用いることを特徴とする請求項1に記載の光・電気配線基板の製造方法。
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