JP4250939B2 - 反射防止膜形成組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下地基板からの反射による悪影響の低減に有効な反射防止膜形成組成物、並びに該反射防止膜形成組成物を用いるフォトレジストパターン形成法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウェハー等の被加工基板上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウェハー等の被加工基板をエッチング処理する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザ(248nm)からArFエキシマレーザ(193nm)、F2エキシマレーザ(157nm)へと短波長化される傾向にある。これに伴い活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題であった。そこでフォトレジストと被加工基板の間に反射防止膜(Bottom Anti−Reflective Coating、BARC)を設ける方法が広く検討されるようになってきた。
【0003】
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機反射防止膜と、吸光性物質と高分子化合物とからなる有機反射防止膜が知られている。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とするのに対し、後者は特別の設備を必要としない点で有利とされ数多くの検討が行われている。例えば、架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜や架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜等が挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
有機反射防止膜材料として望まれる物性としては、光や放射線に対して大きな吸光度を有すること、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらないこと(フォトレジスト溶剤に不溶であること)、塗布時または加熱乾燥時に反射防止膜材料から上塗りレジスト中への低分子拡散物がないこと、フォトレジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること等がある(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照。)。
【0005】
また、近年、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー及びF2エキシマレーザーを使用したリソグラフィープロセスにおいて加工寸法の微細化、すなわち、形成されるフォトレジストパターンサイズの微細化が進んできている。フォトレジストパターンの微細化が進行すると、それに伴い、フォトレジストパターンの倒壊等を防止するためにフォトレジストの薄膜化が望まれるようになってきている。そして、フォトレジストを薄膜で使用する場合においては、共に使用される有機反射防止膜のエッチングによる除去工程におけるフォトレジスト層の膜厚の減少を抑制するために、より短時間でエッチングによる除去が可能な有機反射防止膜が望まれるようになってきている。すなわち、エッチング除去工程を短時間化するために、これまでよりも薄膜で使用可能な有機反射防止膜、或いはこれまでよりも大きなフォトレジストとのエッチング速度の選択比を持つ有機反射防止膜が要求されるようになってきている。
【0006】
一方、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基で置換されたアミノ基を有する含窒素化号物を含むリソグラフィー用下地材が知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5919599号明細書
【特許文献2】
米国特許第5693691号明細書
【特許文献3】
特開2000−221689号公報
【特許文献4】
特開2000−284491号公報
【非特許文献1】
トム・リンチ(Tom Lynch)他3名、「プロパティアンドパーフォーマンスオブニアーUVリフレクティビティコントロールレーヤー(Properties and Performance of Near UV Reflectivity Control Layers)」、(米国)、インアドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXI(in Advances in Resist Technology and Processing XI)、オムカラム・ナラマス(Omkaram Nalamasu)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1994年、第2195巻(Vol.2195)、p.225−229
【非特許文献2】
ジー・テイラー(G. Taylor)他13名、「メタクリレートレジストアンドアンチリフレクティブコーティングフォー193nmリソグラフィー(Methacrylate Resist and Antireflective Coatings for 193nm Lithography)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(in Microlithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(Will Conley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、p.174−185
【非特許文献3】
ジム・ディー・メーダー(Jim D. Meador)他6名、「リセントプログレスイン193nmアンチリフレクティブコーティングス(Recent Progress in 193nm Antireflective Coatings)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(in Microlithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(Will Conley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、p.800−809
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いるための反射防止膜形成組成物を提供することである。また本発明は、248nm、193nm、157nm等の波長の照射光を微細加工に使用する際に基板からの反射光を効果的に吸収し、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらず、優れたフォトレジストパターンが得られ、フォトレジストに比較して大きなドライエッチング速度を有するリソグラフィー用反射防止膜を提供することにある。さらに、本発明は該反射防止膜形成組成物を用いたフォトレジストパターンの形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1観点として、下記の式(1)
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を表す)で表される化合物、その縮合体、又はその化合物を30質量%以上含有する樹脂を含む反射防止膜形成組成物であって、該反射防止膜形成組成物から溶剤成分を除いた固形分中で、上記化合物、縮合体、又は樹脂を50質量%以上含有することを特徴とする反射防止膜形成組成物、
第2観点として、 吸光性化合物及び/又は吸光性樹脂を更に含む、第1観点に記載の反射防止膜形成組成物、
第3観点として、 前記吸光性化合物がフェニル化合物、ナフタレン化合物及びアントラセン化合物の中から選ばれた少なくとも1種である第2観点に記載の反射防止膜形成組成物、
第4観点として、 前記吸光性化合物がトリアジン化合物及びトリアジントリオン化合物の中から選ばれた少なくとも1種である第2観点に記載の反射防止膜形成組成物、
第5観点として、 前記吸光性樹脂がその構造内にベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環の中から選ばれた少なくとも一つの環構造を有するものである第2観点に記載の反射防止膜形成組成物、
第6観点として、 水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びチオール基の中から選ばれる少なくとも一つの架橋形成置換基を有する樹脂を更に含む、第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の反射防止膜形成組成物、
第7観点として、 酸及び/又は酸発生剤を更に含む、第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の反射防止膜形成組成物、
第8観点として、 第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の反射防止膜形成組成物を基板上に塗布し焼成することにより得られる半導体装置の製造に用いる反射防止膜の形成方法、
第9観点として、 第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の反射防止膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成して反射防止膜を形成する工程、その反射防止膜上にフォトレジスト層を形成する工程、反射防止膜とフォトレジスト層で被覆された半導体基板を露光する工程、露光後にフォトレジスト層を現像する工程、を含む半導体装置の製造に用いるフォトレジストパターンの形成方法、である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の反射防止膜形成組成物は、基本的に式(1)で表される化合物及び溶剤からなるもの、又は、式(1)で表される化合物より製造される樹脂及び溶剤からなるものであり、任意成分として界面活性剤等を含有するものである。本発明の反射防止膜形成組成物の固形分は0.1〜50質量%であり好ましくは0.5〜30質量%である。ここで固形分とは、反射防止膜形成組成物の全成分から溶剤成分を除いたものである。
【0013】
本発明の反射防止膜形成組成物においては、前記式(1)で表される化合物が用いられる。式(1)においてR1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を表す。ここでアルコキシメチル基としてはメトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基などを挙げることができる。本発明においては、式(1)の化合物1種のみを用いてもよく、又、2種以上の化合物を組み合わせて用いることもできる。本発明の反射防止膜形成組成物において、式(1)で表される化合物の配合量は、全固形分100質量%当たり30質量%以上であり、好ましくは50質量%〜99質量%、更に好ましくは60質量%〜95質量%である。
【0014】
このような化合物はグリコールウリルを沸騰水中においてホルマリンと反応させてメチロール化することにより得ることができる。この反応において、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性触媒を使用することができる。また、メチロール化された化合物にメタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルヘキサノール等のアルコールを反応させることによりアルコキシアルキル化することによって得ることもできる。この反応においては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸性触媒を使用することができる。
【0015】
本発明の反射防止膜形成組成物においてはまた、式(1)の化合物から製造することができる樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、式(1)の化合物と式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物との縮合反応によって製造される樹脂、及び、式(1)の化合物間の縮合反応によって製造される縮合体である樹脂が含まれる。このような樹脂の重量平均分子量としては100〜1000000であればよく、好ましくは重量平均分子量200〜500000の樹脂が用いられる。本発明においては、式(1)の化合物から製造される樹脂1種のみを用いてもよく、又、2種以上の樹脂を組み合わせて用いることもできる。本発明の反射防止膜形成組成物において、式(1)から製造される樹脂の配合量は、全固形分100質量%当たり10質量%以上であり、好ましくは50質量%〜99質量%、更に好ましくは60質量%〜95質量%である。
【0016】
このような樹脂は、式(1)の化合物同士を、若しくは式(1)の化合物と式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物の混合物を加熱し縮合反応を行なうことにより得ることができる。このような縮合反応は、式(1)の化合物または、式(1)の化合物と式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物をベンゼン、トルエン、キシレン、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン等の有機溶剤を用いた溶液状態で行なうことが好ましい。また、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸を縮合反応の触媒として用いることも可能である。縮合反応の反応温度、反応時間は使用する化合物、樹脂の目的とする重合度、分子量等に依存するものであるが、反応時間0.1〜100時間、反応温度20℃〜200℃の範囲から適宜選択される。酸触媒を用いる場合、使用する化合物の全質量に対して0.001〜50質量%の範囲で用いることができる。
【0017】
式(1)の化合物と式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物から製造される樹脂において、式(1)の化合物と式(1)の化合物と縮合反応可能な化合物の組成には特に制限はないが、その樹脂を用いて形成される反射防止膜の反射防止効果、減衰係数、エッチング速度等の観点から、式(1)の化合物と式(1)の化合物と縮合反応可能な化合物の合計質量に対して式(1)の化合物が30質量%以上であればよく、50質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよい。
【0018】
式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシメチル基等、式(1)の化合物と反応可能な置換基を有する化合物であれば用いることができる。そのような化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、アラビトール、シクロヘキサンジオール、ポリ(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート、フェノールノボラック、トリス(2−ヒドロキシエチル)トリアジントリオン、ナフトール、ベンジルアルコール、9−ヒドロキシメチルアントラセン等の水酸基を有する化合物、マレイン酸、フタル酸、マロン酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、9−アントラセンカルボン酸等のカルボキシル基を有する化合物、エチレンジアミン、アミノアントラセン、アニリン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する化合物、三井サイテック(株)製メトキシメチルタイプメラミン系架橋剤化合物(商品名サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350)、ブトキシメチルタイプメラミン系架橋剤化合物(商品名マイコート506、マイコート508)等のアルコキシメチル基を有する化合物、を挙げることができる。
【0019】
式(1)の化合物及びそれらから製造される樹脂としては、例えば、テトラメトキシメチルグリコールウリル(商品名POWDERLINK1174、三井サイテック(株)製品)、テトラブトキシメチルグリコールウリル(商品名サイメル1170、三井サイテック(株)製品)等を挙げることができる。
【0020】
本発明の式(1)の化合物から製造することができる樹脂は次のような構造を有しているものと推定される。
【0021】
すなわち、式(1)の化合物同士の縮合によって生じる樹脂、例えば式(1)で表される化合物の一つであるテトラメトキシメチルグリコールウリルの縮合によって生じる樹脂においては、メトキシメチル基部分で縮合が起こり、グリコールウリル部分が−CH2−又は−CH2OCH2−の結合によって連結された下記の構造、式(2)を有している。尚、この樹脂の生成においては、テトラメトキシメチルグリコールウリルのすべてのメトキシメチル基が樹脂の生成に関与しているのではなく、一部のメトキシメチル基は残存しているものと推定される。
【0022】
【化3】
【0023】
式(1)の化合物と式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物から製造される樹脂、例えば式(1)で表される化合物の一つであるテトラメトキシメチルグリコールウリルと式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物の一つであるヘキサメトキシメチルメラミンとの縮合によって生じる樹脂においては、メトキシメチル基部分で縮合が起こり、グリコールウリル部分とメラミン部分が−CH2−又は−CH2OCH2−の結合によって連結された下記の構造、式(3)を有している。尚、この樹脂の生成においては、テトラメトキシメチルグリコールウリル、ヘキサメトキシメチルメラミンのすべてのメトキシメチル基が樹脂の生成に関与しているのではなく、一部のメトキシメチル基は残存しているものと推定される。
【0024】
【化4】
【0025】
また、式(1)の化合物と縮合反応可能である化合物として、例えば2つの水酸基を有する化合物が用いられた場合には、その化合物とテトラメトキシメチルグリコールウリルとの縮合によって生じる樹脂においては、水酸基部分とメトキシメチル基部分で縮合が起こり、当該水酸基を有する化合物とグリコールウリル部分が−OCH2−の結合によって連結された下記の構造、式(4)を有している。尚、この樹脂の生成においては、水酸基を有する化合物のすべての水酸基及びテトラメトキシメチルグリコールウリルのすべてのメトキシメチル基が樹脂の生成に関与しているのではなく、一部の水酸基、メトキシメチル基は残存しているものと推定される。ここでHO−A−OHが2つの水酸基を有する化合物を表し、Aは当該化合物から2つの水酸基を除いた部分を表す。
【0026】
【化5】
【0027】
また、本発明の反射防止膜形成組成物においては式(1)の化合物と式(1)の化合物から製造することができる樹脂を組み合わせて用いることができる。そのような組み合わせ物の本発明の反射防止膜形成組成物における配合量は、全固形分100質量%当たり10質量%以上であり、好ましくは50質量%〜99質量%、更に好ましくは60質量%〜95質量%である。
【0028】
本発明の反射防止膜形成組成物には吸光性化合物、吸光性樹脂を添加することができる。吸光性化合物、吸光性樹脂を添加することにより、本発明の反射防止膜形成組成物より形成される反射防止膜の屈折率、減衰係数、エッチング速度等の特性を調節することが可能である。このような吸光性化合物、吸光性樹脂としては、反射防止膜の上に設けられるフォトレジスト層中の感光成分の感光特性波長領域における光に対して高い吸収能を有し、基板からの反射によって生じる定在波や基板表面の段差による乱反射を防げるものであれば用いることができる。また、用いられる吸光性樹脂の重量平均分子量としては500〜1000000であり、好ましくは500〜500000である。
【0029】
これら吸光性化合物、吸光性樹脂は1種のみを用いることもできるが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の反射防止膜形成組成物における吸光性化合物、吸光性樹脂の配合量は、全固形分100質量%当たり0.01質量%以上であり、1質量%〜90質量%であり、好ましくは1質量%〜50質量%であり、より好ましくは5質量%〜40質量%である。
【0030】
吸光性化合物としては、例えば、フェニル化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アゾ化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物、キノリン化合物などを使用することができる。フェニル化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物が好ましく用いられる。
【0031】
少なくとも1つの水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を有するフェニル化合物、1つの水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を有するナフタレン化合物、少なくとも1つの水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を有するアントラセン化合物が好ましく使用される。
【0032】
少なくとも1つの水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を有するフェニル化合物としては、フェノール、ブロモフェノール、4,4−スルフォニルジフェノール、tert−ブチルフェノール、ビフェノール、安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシイソフタル酸、フェニル酢酸、アニリン、ベンジルアミン、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルアラニン、フェノキシプロパノール、等を挙げることができる。
【0033】
少なくとも1つの水酸基、アミノ基、又はカルボキシル基を有するナフタレン化合物としては、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、1−ナフトール、2−ナフトール、1−アミノナフタレン、ナフチル酢酸、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ブロモ−2−ヒドロキシナフタレン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、等を挙げることができる。
【0034】
少なくとも1つの水酸基、アミノ基、又はカルボキシル基を有するアントラセン化合物としては、9−アントラセンカルボン酸、9−ヒドロキシメチルアントラセン、1−アミノアントラセン、等を挙げることができる。
【0035】
また、吸光性化合物としては、分子内に少なくとも1つの水酸基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基又はブトキシメチル基を有するトリアジン化合物、トリアジントリオン化合物も好ましく用いられる。
【0036】
そのようなトリアジン化合物としては、少なくとも1つのメトキシメチル基を有するメラミン、ベンゾグアナミン化合物であり、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミンが挙げられる。
【0037】
トリアジントリオン化合物としては、式(5):
【0038】
【化6】
【0039】
(式中Xは(a)〜(g)の基を表す。)の化合物を挙げることができる。
【0040】
吸光性樹脂としては、例えば、その構造内にベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のような芳香環構造、ピリジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、トリアジン環、オキサゾール環のようなヘテロ芳香環構造を有する樹脂を用いることができる。
【0041】
そのような吸光性樹脂としては、その繰り返し構成単位内にベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環の中から選ばれた少なくとも一つの芳香環構造を有する樹脂を用いることができる。
【0042】
ベンゼン環を有する樹脂としては、ノボラック樹脂、ハロゲン化ノボラック樹脂、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン等が挙げられる。また、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレンなどを構成単位として含有する樹脂を挙げることもできる。そのような樹脂としては、ベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのコポリマー、スチレンと2−ヒドロキシエチルメタクリレートのコポリマー、ヒドロキシスチレンとエチルメタクリレートのコポリマー、ベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとエチルメタクリレートのターポリマー、スチレンと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのターポリマー等を挙げることができる。
【0043】
更に、ベンゼン環を有する樹脂としては、米国特許6323310号に記載されている、メラミン化合物(商品名サイメル303)とベンゾグアナミン化合物(商品名サイメル1123)から製造される樹脂を挙げることもできる。
【0044】
ナフタレン環、アントラセン環を有する樹脂としては、例えば、以下に示す構成単位([1]〜[7])を含有する樹脂を挙げることができる。
【0045】
【化7】
【0046】
本発明の反射防止膜形成組成物には更に、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基の中から選ばれる少なくとも一つの架橋形成置換基を有する樹脂を添加することができる。このような樹脂を添加することにより、本発明の反射防止膜形成組成物より形成される反射防止膜の屈折率、減衰係数、エッチング速度等の特性を調節することができる。そのような樹脂としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸などを構成単位の一つとして含有する樹脂を挙げることができる。本発明の反射防止膜形成組成物におけるこのような樹脂の含有量は全固形分100質量%当たり20質量%以下、好ましくは15質量%以下の割合で添加される。
【0047】
そのような樹脂としては、例えば、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、2−ヒドロキシプロピルアクリレートとメチルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートとイソプロピルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと2,2,2−トリクロロエチルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと2−クロロエチルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとノルマルオクチルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとビニルアルコールのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとアクリル酸のコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとマレイミドのコポリマー、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとアクリロニトリルのコポリマー、ビニルアルコールとメチルメタクリレートのコポリマー、ビニルアルコールとマレイミドのコポリマー、ビニルアルコールとメチルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルとエチルメタクリレートのコポリマー、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのコポリマー、メタクリル酸とエチルメタクリレートのコポリマー、メタクリル酸とマレイミドのコポリマー等を挙げることができる。
【0048】
本発明の反射防止膜形成組成物には、酸及び/又は酸発生剤を添加することができる。このような酸、酸発生剤としては、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホネート等の酸性化合物、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤、、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ベンゾイントシレート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等の光酸発生剤を挙げることができる。このような酸、酸発生剤は1種のみを使用することもできるが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の反射防止膜形成組成物におけるこのような酸、酸発生剤の添加量は全固形分100質量%当たり0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%である。
【0049】
本発明の反射防止膜形成組成物には、上記以外に必要に応じてレオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0050】
レオロジー調整剤は、主に反射防止膜形成組成物の流動性を向上させ、特に焼成(ベーキング)工程において、ホール内部への反射防止膜形成組成物の充填性を高めるための目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、リソグラフィー用反射防止膜材料の全組成物100質量%当たり通常30質量%未満の割合で配合される。
【0051】
接着補助剤は、主に基板あるいはフォトレジストと反射防止膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてフォトレジストが剥離しないようにするための目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環状化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、リソグラフィー用反射防止膜の全組成物100質量%当たり通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0052】
本発明の反射防止膜形成組成物には、ピンホールやストレーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性をさらに向上させるために、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトツプEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガフアツクF171、F173(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明のリソグラフィー用反射防止膜材料の全組成物100質量%当たり通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0053】
本発明の反射防止膜形成組成物は前記の各種成分を適当な溶剤に溶解させて用いることが好ましい。そのような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。
【0054】
さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノンがレベリング性の向上に対して好ましい。
【0055】
本発明における反射防止膜の上層に塗布されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型レジスト、光酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーからなる化学増幅型レジスト、アルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤と酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物からなる化学増幅型レジスト、光酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物からなる化学増幅型レジストなどがあり、例えば、シプレー社製商品名APEX−E、住友化学工業(株)製商品名PAR710等が挙げられる。
【0056】
本発明のリソグラフィー用反射防止膜材料を使用して形成した反射防止膜を有するポジ型フオトレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
【0057】
次に本発明のフォトレジストパターン形成法について説明すると、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板などの透明基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により反射防止膜形成組成物を塗布後、ベークして硬化させ反射防止膜を作成する。ここで、反射防止膜の膜厚としては0.01〜3.0μmが好ましい。また塗布後ベークする条件としては80〜250℃で1〜120分間である。その後フォトレジストを塗布し、所定のマスクを通して露光し、現像、リンス、乾燥することにより良好なフォトレジストパターンを得ることができる。必要に応じて露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行うこともできる。そして、フォトレジストが前記工程により現像除去された部分の反射防止膜をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【0058】
本発明の反射防止膜形成組成物より作製した反射防止膜は、これまでよりも薄膜で使用可能であり、反射防止膜のエッチング工程にかかる時間を大幅に短縮することができる。それと同時に、フォトレジストに比較して大きなドライエッチング速度を得ることができる特性を有している。
【0059】
さらに、本発明のリソグラフィー用反射防止膜材料は、プロセス条件によっては、光の反射を防止する機能と、更には基板とレジストとの相互作用の防止或いはレジストに用いられる材料又はレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する膜としての使用が可能である。
【0060】
以下、本発明を実施例、比較例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0061】
【実施例】
合成例1
テトラメトキシメチルグリコールウリル(POWDERLINK1174、三井サイテック(株)製品)16.2gとパラトルエンスルホン酸1水和物0.8gを乳酸エチル83gに溶解させた後、反応液を120℃に加温した。その後120℃で15分間撹拌し樹脂化合物の溶液を得た。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は50500であった。
【0062】
合成例2
ベンジルメタクリレート5gと2−ヒドロキシプロピルメタクリレート5gをプロピレングリコールモノメチルエーテル40.4gに溶解させた後、反応液を70℃に加温し、同時に反応液中に窒素を流し、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加した。窒素雰囲気下70℃で24時間撹拌後、重合停止剤として4−メトキシフェノール0.01gを添加し樹脂化合物の溶液を得た。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は31000であった。
【0063】
合成例3
ベンジルメタクリレート14gと2−ヒドロキシプロピルメタクリレート6gをプロピレングリコールモノメチルエーテル80.8gに溶解させた後、反応液を70℃に加温し、同時に反応液中に窒素を流し、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを添加した。窒素雰囲気下70℃で24時間撹拌後、重合停止剤として4−メトキシフェノール0.01gを添加し樹脂化合物の溶液を得た。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は63000であった。
【0064】
合成例4
ヘキサメトキシメチルメラミン(サイメル303、三井サイテック(株)製品)11.1gとテトラブトキシメチルグリコールウリル(サイメル1170、三井サイテック(株)製品)5.5gとパラトルエンスルホン酸1水和物0.4gを乳酸エチル83gに溶解させた後、反応液を120℃に加温した。その後120℃で24時間撹拌し樹脂化合物の溶液を得た。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は17000であった。
【0065】
合成例5
ヘキサメトキシメチルメラミン(サイメル303、三井サイテック(株)製品)8.3gとテトラブトキシメチルグリコールウリル(サイメル1170、三井サイテック(株)製品)8.3gとパラトルエンスルホン酸1水和物0.4gを乳酸エチル83gに溶解させた後、反応液を120℃に加温した。その後120℃で24時間撹拌し樹脂化合物の溶液を得た。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は15000であった。
【0066】
合成例6
ヘキサメトキシメチルメラミン(サイメル303、三井サイテック(株)製品)5.5gとテトラブトキシメチルグリコールウリル(サイメル1170、三井サイテック(株)製品)11.1gとパラトルエンスルホン酸1水和物0.4gを乳酸エチル83gに溶解させた後、反応液を120℃に加温した。その後120℃で24時間撹拌し樹脂化合物の溶液を得た。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は11000であった。
【0067】
合成例7
クレゾールノボラック樹脂(旭チバ(株)製品、商品名ECN1299、重量平均分子量3900)10gをプロピレングリコールモノメチルエーテル80gに溶解し9−アントラセンカルボン酸9.7gとベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.26gを添加した。105℃で24時間反応させ、式(6)の樹脂化合物を得た。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5600であった。
【0068】
【化8】
【0069】
合成例8
グリシジルメタクリレート21gと2−ヒドロキシプロピルメタクリレート39gをプロピレングリコールモノメチルエーテル242gに溶解させた後、70℃まで昇温させた。その後、反応液を70℃に保ちながらアゾビスイソブチロニトリル0.6gを添加し、70℃で24時間反応させグリシジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの共重合高分子化合物の溶液を得た。得られた高分子化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は50000であった。
【0070】
その共重合高分子化合物20gを有する溶液100gに、9−アントラセンカルボン酸10gとベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.3gを添加し、130℃で24時間反応させ式(7)の高分子化合物の溶液を得た。式(7)中n、mは該構成単位モノマーのモル比を表しn+m=1である。
【0071】
【化9】
【0072】
実施例1
合成例1で得た樹脂溶液2gと、p−トルエンスルホン酸0.04gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.6gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0073】
実施例2
合成例1で得た樹脂溶液4g、合成例2で得た樹脂溶液1g及びp−トルエンスルホン酸0.04gを混合し、乳酸エチル4.0gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0074】
実施例3
合成例1で得た樹脂溶液5g、合成例3で得た樹脂溶液1g及びp−トルエンスルホン酸0.03gを混合し、乳酸エチル4.0gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0075】
実施例4
合成例4で得た樹脂溶液15.8gとピリジニウムp−トルエンスルホン酸0.2gを混合し、乳酸エチル18.6gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.4gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0076】
実施例5
合成例5で得た樹脂溶液15.8gとピリジウニムp−トルエンスルホン酸0.2gを混合し、乳酸エチル18.6gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.4gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0077】
実施例6
合成例6で得た樹脂溶液15.8gとピリジニウムp−トルエンスルホン酸0.2gを混合し、乳酸エチル18.6gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.4gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0078】
実施例7
テトラブトキシメチルグリコールウリル(サイメル1170、三井サイテック(株)製品)2.5gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル56.7gとピリジニウムp−トルエンスルホン酸0.05gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0079】
実施例8
テトラブトキシメチルグリコールウリル(サイメル1170、三井サイテック(株)製品)10gにピリジニウムp−トルエンスルホン酸1.0gと9−ヒドロキシメチルアントラセン4.3gを混合し、乳酸エチル120gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
実施例9
テトラブトキシメチルグリコールウリル(サイメル1170、三井サイテック(株)製品)10gにピリジニウムp−トルエンスルホン酸1.1gと3,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸6.0gを混合し、乳酸エチル134gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート134gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0080】
比較例1
合成例7で得た樹脂2gを有する溶液10gに、ヘキサメトキシメチルメラミン0.53gとp−トルエンスルホン酸0.05gを混合し、乳酸エチル14.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.13g及びシクロヘキサノン2.61gを加えた後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0081】
比較例2
上記合成例8で得た高分子化合物2gを有する溶液10gにテトラメトキシメチルグリコールウリル0.5gとp−トルエンスルホン酸0.03gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル37.3g、及びシクロヘキサノン19.4gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。
【0082】
フォトレジスト溶剤への溶出試験
実施例1〜9及び比較例1、2で得た反射防止膜形成組成物溶液をスピナーにより、シリコンウエハ上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.23μm)を形成した。この反射防止膜をレジストに使用する溶剤、例えば乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
【0083】
フォトレジストとのインターミキシングの試験
実施例1〜9及び比較例1、2で得た反射防止膜形成組成物溶液をスピナーにより、シリコンウエハ上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.23μm)を形成した。この反射防止膜の上層に、市販のフォトレジスト溶液(住友化学工業(株)製PAR710、シプレー社製UV113等)をスピナーにより塗布した。ホットプレート上で90℃1分間加熱し、フォトレジストを露光後、露光後加熱を90℃1.5分間行った。レジストを現像させた後、反射防止膜の膜厚を測定し反射防止膜とフォトレジスト層とのインターミキシングが起こらないことを確認した。
【0084】
光学パラメータの測定
実施例1〜6及び比較例1で調製した反射防止膜形成組成物溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間焼成し、反射防止膜(膜厚0.08μm)を形成した。そして、これらの反射防止膜を分光エリプソメーターを用い、波長193nmでの屈折率(n値)及び減衰係数(k値)を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
実施例7で調製した反射防止膜形成組成物溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.06μm)を形成した。そして、これらの反射防止膜を分光エリプソメーター(J.A. Woollam社製、VUV−VASE VU−302)を用い、波長157nmでの屈折率(n値)及び減衰係数(k値)を測定した。結果を表1に示す。
【0086】
実施例8、9及び比較例2で調製した反射防止膜形成組成物溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で225℃1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.06μm)を形成した。そして、これらの反射防止膜を分光エリプソメーターを用い、波長248nmでの屈折率(n値)及び減衰係数(k値)を測定した。結果を表2に示す。
【0087】
第一極小膜厚のシミュレーション
実施例8、9及び比較例2で調製した反射防止膜形成組成物から得たリソグラフィー用反射防止膜の波長248nmでの屈折率n及び減衰係数kを用い、シミュレーションを行って第一極小膜厚及び第一極小膜厚で使用したときの反射率を算出した。なお、シミュレーションソフトは、FINLE Technologies, Inc.製PROLITH/2を使用した。結果を表2に示す。
【0088】
ドライエッチング速度の測定
実施例1〜9及び比較例1、2で調製した反射防止膜形成組成物溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間焼成し、反射防止膜を形成した。そして日本サイエンティフィック製RIEシステムES401を用い、ドライエッチングガスとしてCF4を使用した条件下でドライエッチング速度を測定した。
【0089】
また、同様にフォトレジスト溶液(住友化学工業(株)製、商品名PAR710及びシプレー社製、商品名UV113)をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗膜を作成した。そして日本サイエンティフィック製RIEシステムES401を用い、ドライエッチングガスとしてCF4を使用した条件下でドライエッチング速度を測定した。
【0090】
実施例1〜7及び比較例1の反射防止膜と住友化学工業(株)製フォトレジスト、商品名PAR710のドライエッチング速度との比較を行った。結果を表1に示す。
【0091】
実施例8、9及び比較例2の反射防止膜とシプレー社製フォトレジスト、商品名UV113のドライエッチング速度との比較を行った。結果を表2に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
これにより、本発明の反射防止膜形成組成物より得られた反射防止膜は波長193nm(実施例1〜6)、157nm(実施例7)及び248nm(実施例8、9)の光に対して十分に有効な屈折率と減衰係数を有していることが判る。
【0094】
そして、フォトレジストに対して大きなドライエッチング速度の選択比を有しており、また、従来の反射防止膜と比較しても大きなドライエッチング速度を有していることが判る(実施例1〜7及び比較例1)。更に、従来の反射防止膜に比較して反射防止効果が高く、より薄膜で使用可能であることが判る(実施例8、9及び比較例2)。よって、反射防止膜のドライエッチングによる除去に要する時間を短縮することができ、そのため、反射防止膜のドライエッチングによる除去に伴うフォトレジスト層の膜厚の減少という好ましくない現象を抑制することができるものである。
【0095】
これらのことより、本発明の反射防止膜形成組成物により、優れたボトム型有機反射防止膜を提供することができるといえる。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、半導体装置の製造に用いられる波長の光に良好な光吸収性を示し、高い反射光防止効果を持ち、フォトレジスト層と比較して大きなドライエッチング速度を有し、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらず、加熱乾燥時にレジスト中への拡散物がない、優れた反射防止膜のための反射防止膜形成組成物を提供することができる。
Claims (9)
- 吸光性化合物及び/又は吸光性樹脂を更に含む、請求項1に記載の反射防止膜形成組成物。
- 前記吸光性化合物がフェニル化合物、ナフタレン化合物及びアントラセン化合物の中から選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載の反射防止膜形成組成物。
- 前記吸光性化合物がトリアジン化合物及びトリアジントリオン化合物の中から選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載の反射防止膜形成組成物。
- 前記吸光性樹脂がその構造内にベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環の中から選ばれた少なくとも一つの環構造を有するものである請求項2に記載の反射防止膜形成組成物。
- 水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びチオール基の中から選ばれる少なくとも一つの架橋形成置換基を有する樹脂を更に含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の反射防止膜形成組成物。
- 酸及び/又は酸発生剤を更に含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の反射防止膜形成組成物。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の反射防止膜形成組成物を基板上に塗布し焼成することにより得られる半導体装置の製造に用いる反射防止膜の形成方法。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の反射防止膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成して反射防止膜を形成する工程、その反射防止膜上にフォトレジスト層を形成する工程、反射防止膜とフォトレジスト層で被覆された半導体基板を露光する工程、露光後にフォトレジスト層を現像する工程、を含む半導体装置の製造に用いるフォトレジストパターンの形成方法。
Priority Applications (1)
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