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JP4135671B2 - ハイブリッド車のモード遷移制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車のモード遷移制御装置 Download PDF

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JP4135671B2 JP2004119080A JP2004119080A JP4135671B2 JP 4135671 B2 JP4135671 B2 JP 4135671B2 JP 2004119080 A JP2004119080 A JP 2004119080A JP 2004119080 A JP2004119080 A JP 2004119080A JP 4135671 B2 JP4135671 B2 JP 4135671B2
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Description

本発明は、走行モードとして、無段変速比により発進する無段変速比モードと、ロー側の固定変速比により発進するロー側固定変速比モードと、を有するハイブリッド車のモード遷移制御装置に関する。
従来、共線図上に4つの入出力要素が配列される4要素2自由度の遊星歯車機構を構成し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンからの入力を、他方に駆動系統への出力をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを連結したハイブリッド駆動装置が知られていて、このハイブリッド駆動装置では、走行モードとして、エンジンと2つのモータジェネレータを用いて走行する「無段変速モード」と、ローブレーキを締結し、エンジンと2つのモータジェネレータ、あるいは、2つのモータジェネレータのみを用いて走行する「ローギヤ固定モード」と、を有する(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−32808号公報
しかしながら、上記従来のハイブリッド車において、滑らかな発進を意図し、「無段変速モード」を優先的に選択して発進を行うようにした場合、登坂発進時や故障車両を牽引してのトーイング発進時等の場合、駆動力が不足し、発進の際に車両が後退し(ロールバック)、発進性が劣ってしまう、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、無段変速比モードを選択しての発進時において、低負荷発進時の滑らかな発進性能の確保と、高負荷発進時のロールバック回避による発進性の確保と、の両立を図ることができるハイブリッド車のモード遷移制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、共線図上に4つ以上の入出力要素が配列される差動装置を有し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンからの入力を、他方に駆動系統への出力部材をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを連結した駆動力合成変速機を備えたハイブリッド車において、
走行モードとして、無段変速比により発進する無段変速比モードと、ロー側の固定変速比により発進するロー側固定変速比モードと、を有し、
高負荷状態での車両発進を検出する高負荷発進検出手段を設け、
前記エンジンと前記差動装置のエンジン入力要素との間にエンジンクラッチを設け、
前記差動装置の一つの要素をケースに固定し、ロー側の固定変速比を得るロー側固定変速比用ブレーキを設け、
前記無段変速比モードを選択しての発進時、前記高負荷発進検出手段により高負荷状態での発進であると検出された場合、エンジンクラッチを解放し、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータの回転数制御により共線図の傾きをロー側固定変速比モードの傾きに制御し、ロー側固定変速比用ブレーキを締結するシーケンス制御により、無段変速比モードからモータジェネレータを駆動源とするロー側固定変速比モードへモード遷移する高負荷発進対応モード遷移制御手段を設けた。
よって、本発明のハイブリッド車のモード遷移制御装置にあっては、高負荷発進対応モード遷移制御手段において、無段変速比モードを選択しての発進時、高負荷発進検出手段により高負荷状態での発進であると検出された場合、無段変速比モードからロー側固定変速比モードへモード遷移する制御が行われる。つまり、低負荷発進時には、無段変速比モードが維持され、高負荷発進時には、自動的に出力される駆動力が大きなロー側固定変速比モードへモード遷移されることになる。この結果、無段変速比モードを選択しての発進時において、低負荷発進時の滑らかな発進性能の確保と、高負荷発進時のロールバック回避による発進性の確保と、の両立を図ることができる。
以下、本発明のハイブリッド車のモード遷移制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、ハイブリッド車の駆動系構成を説明する。
図1は実施例1のモード遷移制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、出力軸OUT(出力部材)と、駆動力合成変速機TMと、を備えている。前記駆動力合成変速機TMは、第1遊星歯車PG1(第1差動装置)と、第2遊星歯車PG2(第2差動装置)と、第3遊星歯車PG3(第3差動装置)と、エンジンクラッチECと、ローブレーキLB(第1摩擦締結要素)と、ハイクラッチHC(第2摩擦締結要素)と、ハイローブレーキHLB(第3摩擦締結要素)と、を有する。
前記エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度などが制御される。
前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2は、永久磁石を埋設したロータと、ステータコイルが巻き付けられたステータと、を有する同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流をそれぞれのステータコイルに印加することにより独立に制御される。
前記駆動力合成変速機TMの第1遊星歯車PG1と第2遊星歯車PG2と第3遊星歯車PG3とは、何れも2自由度3要素のシングルピニオン型遊星歯車である。前記第1遊星歯車PG1は、第1サンギヤS1と、第1ピニオンP1を支持する第1ピニオンキャリアPC1と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、によって構成されている。前記第2遊星歯車PG2は、第2サンギヤS2と、第2ピニオンP2を支持する第2ピニオンキャリアPC2と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、によって構成されている。前記第3遊星歯車PG3は、第3サンギヤS3と、第3ピニオンP3を支持する第3ピニオンキャリアPC3と、第3ピニオンP3に噛み合う第3リングギヤR3と、によって構成されている。
前記第1サンギヤS1と前記第2サンギヤS2とは第1回転メンバM1により直結され、前記第1リングギヤR1と第3サンギヤS3とは第2回転メンバM2により直結され、前記第2ピニオンキャリアPC2と前記第3リングギヤR3とは第3回転メンバM3により直結される。したがって、3組の遊星歯車PG1,PG2,PG3は、第1回転メンバM1と第2回転メンバM2と第3回転メンバM3と第1ピニオンキャリアPC1と第2リングギヤR2と第3ピニオンキャリアPC3との6つの回転要素を有する。
前記差動装置の6つの回転要素に対する動力源E,MG1,MG2と出力軸OUTと各係合要素EC,LB,HC,HLBの連結関係について説明する。
前記第1回転メンバM1(S1,S2)には、第2モータジェネレータMG2が連結されている。
前記第2回転メンバM2(R1,R3)には、入出力要素の何れにも連結されていない。
前記第3回転メンバM3(PC2,R3)には、エンジンクラッチECを介してエンジンEが連結されている。
前記第1ピニオンキャリアPC1には、ハイクラッチHCを介して第2モータジェネレータMG2が連結されている。また、ローブレーキLBを介して変速機ケースTCに連結されている。
前記第2リングギヤR2には、第1モータジェネレータMG1が連結されている。また、ハイローブレーキHLBを介して変速機ケースTCに連結されている。
前記第3ピニオンキャリアPC3には、出力軸OUTが連結されている。なお、出力軸OUTからは、図外のプロペラシャフトやディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右の駆動輪に駆動力が伝達される。
上記連結関係により、図2に示す共線図上において、第1モータジェネレータMG1(R2)、エンジンE(PC2,R3)、出力軸OUT(PC3)、第2モータジェネレータMG2(S1,S2)の順に配列され、遊星歯車列の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(第1遊星歯車PG1のレバー(1)、第2遊星歯車PG2のレバー(2)、第3遊星歯車PG3のレバー(3))を導入することができる。ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸にリングギヤ、キャリア、サンギヤ等の各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤとリングギヤの歯数比に基づく共線図レバー比(α、β、δ)になるように配置したものである。
前記エンジンクラッチECは、油圧により締結される多板摩擦クラッチであり、図2の共線図上において、エンジンEとの回転速度軸と一致する位置に配置され、締結によりエンジンEの回転とトルクを、エンジン入力回転要素である第3回転メンバM3(PC2,R3)に入力する。
前記ローブレーキLBは、油圧により締結される多板摩擦ブレーキであり、図2の共線図上において、第2モータジェネレータMG2の回転速度軸より外側位置に配置され、図2に示すように、締結によりロー側変速比を分担する「ローギヤ固定モード」と「ロー側無段変速モード」を実現する。
前記ハイクラッチHCは、油圧により締結される多板摩擦クラッチであり、図2の共線図上において、第2モータジェネレータMG2の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結によりハイ側変速比を分担する「2速固定モード」と「ハイ側無段変速モード」と「ハイギヤ固定モード」を実現する。
前記ハイローブレーキHLBは、油圧により締結される多板摩擦ブレーキであり、図2の共線図上において、第1モータジェネレータMG1の回転速度軸と一致する位置に配置され、ローブレーキLBと共に締結することにより変速比をアンダードライブ側の「ローギヤ固定モード」とし、ハイクラッチHCと共に締結することにより変速比をオーバードライブ側の「ハイギヤ固定モード」とする。
次に、ハイブリッド車の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、油圧制御装置5と、統合コントローラ6と、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、第3リングギヤ回転数センサ12と、を有して構成されている。
前記エンジンコントローラ1は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APとエンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neを入力する統合コントローラ6からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
前記モータコントローラ2は、レゾルバによる両モータジェネレータ回転数センサ10、11からのモータジェネレータ回転数N1,N2を入力する統合コントローラ6からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、第1モータジェネレータMG1のモータ動作点(N1,T1)と、第2モータジェネレータMG2のモータ動作点(N2,T2)と、をそれぞれ独立に制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2からは、バッテリ4の充電状態をあらわすバッテリS.O.Cの情報が統合コントローラ6に対して出力される。
前記インバータ3は、前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2との各ステータコイルに接続され、モータコントローラ2からの指令により独立した3相交流を作り出す。このインバータ3には、力行時に放電し回生時に充電するバッテリ4が接続されている。
前記油圧制御装置5は、統合コントローラ6からの油圧指令を受け、エンジンクラッチECと、ローブレーキLBと、ハイクラッチHCと、ハイローブレーキHLBと、の締結油圧制御及び解放油圧制御を行う。この締結油圧制御及び解放油圧制御には、滑り締結制御や滑り解放制御による半クラッチ制御も含む。
前記統合コントローラ6は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APと、車速センサ8からの車速VSPと、エンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neと、第1モータジェネレータ回転数センサ10からの第1モータジェネレータ回転数N1と、第2モータジェネレータ回転数センサ11からの第2モータジェネレータ回転数N2と、第3リングギヤ回転数センサ12からのエンジン入力回転速度ωin等の情報を入力し、所定の演算処理を行う。そして、エンジンコントローラ1、モータコントローラ2、油圧制御装置5に対し演算処理結果にしたがって制御指令を出力する。
なお、統合コントローラ6とエンジンコントローラ1、および、統合コントローラ6とモータコントローラ2とは、情報交換のためにそれぞれ双方向通信線14、15により接続されている。
次に、ハイブリッド車の走行モードについて説明する。
走行モードとしては、ローギヤ固定モード(以下、「Lowモード」という。)と、ロー側無段変速モード(以下、「Low-iVTモード」という。)と、2速固定モード(以下、「2ndモード」という。)と、ハイ側無段変速モード(以下、「High-iVTモード」という。)と、ハイギヤ固定モード(以下、「Highモード」という。)と、の5つの走行モードを有する。
前記5つの走行モードについては、エンジンEを用いないで両モータージェネレータMG1,MG2のみで走行する電気自動車モード(以下、「EVモード」という。)と、エンジンEと両モータージェネレータMG1,MG2を用いて走行するハイブリッド車モード(以下、「HEVモード」という。)とに分けられる。
よって、図2(EVモード関連の5つの走行モード)及び図3(HEVモード関連の5つの走行モード)に示すように、「EVモード」と「HEVモード」とを合わせると「10の走行モード」が実現されることになる。ここで、図2(a)は「EV-Lowモード」の共線図、図2(b)は「EV-Low-iVTモード」の共線図、図2(c)は「EV-2ndモード」の共線図、図2(d)は「EV-High-iVTモード」の共線図、図2(e)は「EV-Highモード」の共線図である。また、図3(a)は「HEV-Lowモード」の共線図、図3(b)は「HEV-Low-iVTモード」の共線図、図3(c)は「HEV-2ndモード」の共線図、図3(d)は「HEV-High-iVTモード」の共線図、図3(e)は「HEV-Highモード」の共線図である。
前記「Lowモード」は、図2(a)及び図3(a)の共線図に示すように、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを解放し、ハイローブレーキHLBを締結することで得られるローギヤ固定モードである。
前記「Low-iVTモード」は、図2(b)及び図3(b)の共線図に示すように、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを解放し、ハイローブレーキHLBを解放することで得られるロー側無段変速モードである。
前記「2ndモード」は、図2(c)及び図3(c)の共線図に示すように、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを締結し、ハイローブレーキHLBを解放することで得られる2速固定モードである。
前記「High-iVTモード」は、図2(d)及び図3(d)の共線図に示すように、ローブレーキLBを解放し、ハイクラッチHCを締結し、ハイローブレーキHLBを解放することで得られるハイ側無段変速モードである。
前記「Highモード」は、図2(e)及び図3(e)の共線図に示すように、ローブレーキLBを解放し、ハイクラッチHCを締結し、ハイローブレーキHLBを締結することで得られるハイギヤ固定モードである。
そして、前記「10の走行モード」のモード遷移制御は、統合コントローラ6により行われる。すなわち、統合コントローラ6には、要求駆動力Fdrv(アクセル開度APにより求められる。)と車速VSPとバッテリS.O.Cによる三次元空間に、例えば、図4に示すような前記「10の走行モード」を割り振った走行モードマップが予め設定されていて、車両走行時等においては、要求駆動力Fdrvと車速VSPとバッテリS.O.Cの各検出値により走行モードマップが検索され、要求駆動力Fdrvと車速VSPにより決まる車両動作点やバッテリ充電量に応じた最適な走行モードが選択される。なお、図4は三次元走行モードマップをバッテリS.O.Cが充分な容量域のある値で切り取ることにより、要求駆動力Fdrvと車速VSPとの二次元によりあらわした走行モードマップの一例である。
前記走行モードマップの選択により、「EVモード」と「HEVモード」との間においてモード遷移を行う場合には、図5に示すように、エンジンEの始動・停止と、エンジンクラッチECを締結・解放する制御が実行される。
また、「EVモード」の5つのモード間でのモード遷移や「HEVモード」の5つのモード間でのモード遷移を行う場合には、図5に示すON/OFF作動表にしたがって行われる。また、走行モードを遷移する制御のうち、例えば、エンジンEの始動・停止とクラッチやブレーキの締結・解放が同時に必要な場合や、複数のクラッチやブレーキの締結・解放が必要な場合や、エンジンEの始動・停止またはクラッチやブレーキの締結・解放に先行してモータジェネレータ回転数制御が必要な場合等においては、予め決められた手順にしたがったシーケンス制御により行われる。
次に、作用を説明する。
[高負荷発進対応モード遷移制御処理]
図6は実施例1の統合コントローラ6において実行される高負荷発進対応モード遷移制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する(高負荷発進対応モード遷移制御手段)。
ステップS1では、ローブレーキLB締結・ハイクラッチHC解放・ハイローブレーキHLB解放を確認することにより、「HEV-Low-iVTモード」での発進か否かを判断し、YESの場合はステップS2へ移行し、NOの場合はステップS1への判断を繰り返す。
ステップS2では、ステップS1での「HEV-Low-iVTモード」での発進であるとの判断に基づき、登坂路発進や故障車両を牽引するトーイング等により駆動力が不足し、出力回転数がマイナスを検知しているか否かを判断し、YESの場合はステップS3へ移行し、NOの場合はリターンへ移行する(高負荷発進検出手段)。
ここで、出力回転数のマイナス検知は、車輪速センサからの車輪速検出値がマイナスとなること、または、第3遊星歯車PG3のキャリア回転数を検出する車速センサ8からの車速検出値VSPがマイナスとなることにより検知される。
ステップS3では、ステップS2において車両が後退状態(=ロールバック)であるとの検出に基づき、「HEV-Low-iVTモード」から「EV-Lowモード」を経由して「HEV-Lowモード」へモード遷移するため、まず、エンジンクラッチECを解放し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS3でのエンジンクラッチECの解放に続き、「EV-Lowモード」時の共線図の傾きとなるように、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2との回転数N1,N2を制御し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ステップS4での「EV-Lowモード」時の共線図の傾きとし、第1モータジェネレータMG1の入力要素である第2リングギヤR2の回転数をほぼゼロとする制御に続き、ハイローブレーキHLBを締結し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、ステップS5でのハイローブレーキHLBの締結により、第2リングギヤR2を変速機ケースTCに固定することで第2モータジェネレータMG2のみを駆動源とする「EV-Lowモード」へモード遷移し、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、ステップS6での「EV-Lowモード」へモード遷移に基づき、エンジン回転数Neと第3回転メンバM3の回転数ωinとが一致しているか否か、つまり、エンジン回転数Neが共線図上で第2遊星歯車PG2のレバーと一致しているか否かを判断し、YESの場合はステップS8へ移行し、NOの場合はステップS7の判断を繰り返す。
ステップS8では、ステップS7においてエンジン回転数Neと第3回転メンバM3の回転数ωinとが一致しているとの判断に基づき、エンジンクラッチECを締結し、エンジンEと第2モータジェネレータMG2を駆動源とする「HEV-Lowモード」へモード遷移し、リターンへ移行する。
[無段変速比モードによる発進時の課題]
特開2003−32808号公報には、共線図上に4つの入出力要素が配列される4要素2自由度の遊星歯車機構を構成し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンからの入力を、他方に駆動系統への出力をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを連結したハイブリッド駆動装置が記載されている。これによりエンジン出力に対してモータジェネレータ側が負担するトルクを小さくしてその小型化を図れると共に、モータジェネレータを通過するエネルギがより低減することから、駆動装置としての伝達効率が向上する。
このハイブリッド駆動装置では、走行モードとして、エンジンと2つのモータジェネレータを用いて走行する「無段変速モード」と、ローブレーキを締結し、エンジンと2つのモータジェネレータ、あるいは、2つのモータジェネレータのみを用いて走行する「ローギヤ固定モード」と、を有し、「無段変速モード」にて、低車速の駆動力を発生するという構成となっていたため、例えば、アクセルをゆっくり踏み増しながらの平坦路発進時には、「無段変速モード」の選択により、変速比を無段階に変化させながら、滑らかな発進を確保することができる。
しかし、「無段変速モード」を選択して登坂発進やトーイング発進等を行う際には、駆動力を低下させるアップシフト方向に変速比が無段階に変化することにより、アクセル踏み込み操作量と遊星歯車機構を介して出力される駆動力とが比例関係で対応せず、駆動力が不足することになるため、例えば、発進の際に車両が後退するロールバック現象が発生するなど、発進性が悪化する。また、例えば、ドライバが高い発進加速を意図し、発進時にアクセルペダルを深く踏み込んでも、駆動力を低下させるアップシフト方向に変速比が無段階に変化することにより、アクセル操作に応答する高い発進加速性を得ることができない。
[高負荷発進対応モード遷移制御作用]
これに対し、実施例1のハイブリッド車のモード遷移制御装置にあっては、「無段変速比モード」を選択しての発進時、高負荷発進検出手段により高負荷状態での発進であると検出された場合(ロールバックの発生を伴う発進時と、登坂路やトーイング等のロールバックの発生が予測される状況における発進時と、高アクセル開度からの発進時を含む。)、「無段変速比モード」から「ロー側固定変速比モード」へモード遷移する高負荷発進対応モード遷移制御手段を設けることで、上記課題を解決した。
すなわち、「HEV-Low-iVTモード」を選択しての発進時、車両が後退するロールバックの発生が無い場合には、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→リターンへと進む流れが繰り返されることになり、「HEV-Low-iVTモード」の選択が維持される。
よって、「HEV-Low-iVTモード」では、図7に示すような共線図となり、例えば、アクセルをゆっくり踏み増しながらの平坦路発進時には、「HEV-Low-iVTモード」の選択により、変速比を無段階に変化させながら、エンジントルクTengと第1モータジェネレータトルクT1の和により出力トルクToutを徐々に高めながら車速を増してゆく発進となり、滑らかな発進性を確保することができる。
一方、「HEV-Low-iVTモード」を選択しての発進時、車両が後退するロールバックが発生した場合には、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む流れとなり、図7に示す「HEV-Low-iVTモード」から、予め決められた手順によるシーケンス制御を経過し、図8に示す「HEV-Lowモード」へのモード遷移が実行される。
ここで、シーケンス制御の動作変遷について、図9及び図10に基づき説明する。
まず、図9(a)は「HEV-Low-iVTモード」にて発進する際の発進直後の状況を示す共線図であり、発進直後は、エンジントルクTengと両モータジェネレータトルクT1,T2の総和が出力トルクToutとなり、この出力トルクToutにより出力軸回転数が車両進行方向に立ち上がろうとする。しかし、例えば、路面勾配が急な登坂路発進時であって、前記出力トルクToutよりも車両を後退させる路面からのトルクが大きいと、図9(b)の共線図に示すように、出力軸回転数がマイナス回転となり、「HEV-Low-iVTモード」のこの状態で路面負荷よりも大きな出力トルクTout(駆動力)を発生させるには、第1モータジェネレータMG1のトルクが更に必要となる。
そこで、出力軸回転数がマイナス回転となったことが検知された時点で、ステップS2からステップS3以降の流れへと進み、「EV-Lowモード」を経過し、「HEV-Lowモード」へと自動的にモード遷移される。
このモード遷移のシーケンス制御では、まず、図9(c)の共線図に示すように、出力軸回転数がマイナス回転となったことが検知された時点でエンジンクラッチECを解放し、同時に、第2モータジェネレータMG2にマイナストルクを発生させて「EV-Lowモード」での第2モータジェネレータMG2の回転数に制御し、第1モータジェネレータMG1の回転数をゼロ付近の回転数となるように制御する。
次に、第2モータジェネレータMG2の回転数が目標回転数、第1モータジェネレータMG1の回転数が0rpmとなっ時点で、図10(a)の共線図に示すように、ハイローブレーキHLBを締結して第2リングギヤR2をケース固定とすることで、「EV-Lowモード」へ移行する。そして、第2モータジェネレータMG2のトルクを正トルクに反転し、ロールバックを回避する。
次に、ケース固定とされた第2リングギヤR2を反力受けとし、第2モータジェネレータMG2に正トルクを加えることで、図10(b)の共線図に示すように、出力軸OUTの回転数を立ち上げて「EV-Lowモード」により発進を開始する。その後、第2モータジェネレータMG2の正トルクを増し、エンジン回転数Neと第3回転メンバM3の回転数が共線図上で一致すると、エンジンクラッチECを締結し、エンジンEと第2モータジェネレータMG2とを駆動源とする「HEV-Lowモード」へ移行する。
従って、「HEV-Low-iVTモード」を選択しての発進時、車両が後退するロールバックの発生が無い低負荷発進時における滑らかな発進性能の確保と、車両が後退するロールバックの発生が有る高負荷発進時におけるロールバック回避による発進性の確保と、の両立を図ることができる。
加えて、高負荷発進時には、「HEV-iVTモード」から「HEV-Lowモード」へモード遷移する場合、エンジンクラッチECを解放し、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の回転数制御により共線図の傾きを「EV-Lowモード」の傾きに制御し、ハイローブレーキHLBを締結するシーケンス制御により第2モータジェネレータMG2のみを駆動源とする「EV-Lowモード」へのモード遷移を行うため、ハイローブレーキHLBの締結時にモード遷移ショックを防止することができる。
さらに、高負荷発進時には、ハイローブレーキHLBを締結することにより「HEV-iVTモード」から第2モータジェネレータMG2を駆動源とする「EV-Lowモード」へモード遷移した後、前記差動装置のエンジン入力要素である第2リングギヤR2の回転数とエンジン回転数Neとが一致した時点でエンジンクラッチECを締結することでエンジンEと第2モータジェネレータMG2を駆動源とする「HEV-Lowモード」へのモード遷移を行うため、エンジンクラッチECの締結によるモード遷移ショックを防止することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車のモード遷移制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 共線図上に4つ以上の入出力要素が配列される差動装置を有し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンEからの入力を、他方に駆動系統への出力部材をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2とを連結した駆動力合成変速機TMを備えたハイブリッド車において、走行モードとして、無段変速比により発進する「無段変速比モード」と、ロー側の固定変速比により発進する「ロー側固定変速比モード」と、を有し、高負荷状態での車両発進を検出する高負荷発進検出手段を設け、前記「無段変速比モード」を選択しての発進時、前記高負荷発進検出手段により高負荷状態での発進であると検出された場合、「無段変速比モード」から「ロー側固定変速比モード」へモード遷移する高負荷発進対応モード遷移制御手段を設けたため、無段変速比モードを選択しての発進時において、低負荷発進時の滑らかな発進性能の確保と、高負荷発進時のロールバック回避による発進性の確保と、の両立を図ることができる。
(2) 前記出力軸の回転数を検出する車速センサ8を設け、前記高負荷発進検出手段は、「無段変速モード」を選択しての発進時、前記車速センサ8によりマイナスの出力回転数を検知したとき、高負荷状態での車両発進であると検出するため、ロールバックの発生を伴う高負荷発進時であることを、車両に既存のセンサ情報を用いて精度良く検出することができる。
(3) 前記エンジンEと前記差動装置のエンジン入力要素との間にエンジンクラッチECを設け、前記差動装置の一つの要素を変速機ケースTCに固定し、ロー側の固定変速比を得るロー側固定変速比用ブレーキを設け、前記高負荷発進対応モード遷移制御手段は、「無段変速比モード」から「ロー側固定変速比モード」へモード遷移する場合、エンジンクラッチECを解放し、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の回転数制御により共線図の傾きを「ロー側固定変速比モード」の傾きに制御し、ロー側固定変速比用ブレーキを締結するシーケンス制御によりモータジェネレータを駆動源とする「ロー側固定変速比モード」へのモード遷移を行うため、ロー側固定変速比用ブレーキの締結時にモード遷移ショックを防止することができる。
(4) 前記高負荷発進対応モード遷移制御手段は、ロー側固定変速比用ブレーキを締結することにより「無段変速比モード」からモータジェネレータを駆動源とする「ロー側固定変速比モード」へモード遷移した後、前記差動装置のエンジン入力要素の回転数とエンジン回転数Neとが一致した時点でエンジンクラッチECを締結することでエンジンEとモータジェネレータを駆動源とする「ロー側固定変速比モード」へのモード遷移を行うため、エンジンクラッチECの締結によるモード遷移ショックを防止することができる。
(5) 前記駆動力合成変速機TMは、2自由度3要素の第1遊星歯車PG1と第2遊星歯車PG2と第3遊星歯車PG3により構成され、前記第2遊星歯車PG2の共線図上で内側に配列される要素と前記第3遊星歯車PG3の共線図上で一端に配列される要素とを連結してエンジンEを割り当て、前記第2遊星歯車PG2の共線図上で一端に配列される要素に第1モータジェネレータMG1を割り当て、前記第1遊星歯車PG1の共線図上で一端に配列される要素と前記第2遊星歯車PG2の共線図上で一端に配列される要素とを連結して第2モータジェネレータMG2を割り当て、前記第3遊星歯車PG3の共線図上で内側に配列される要素に出力軸OUTを割り当て、前記第1遊星歯車PG1の共線図上で他端に配列される要素と前記第3遊星歯車PG3の共線図上で他端に配列される要素とを第2回転メンバM2により連結し、前記第1遊星歯車PG1の共線図上で内側に配列される要素と変速機ケースTCとの間にローブレーキLBを設け、前記第2モータジェネレータMG2が割り当てられる要素と前記第1遊星歯車PG1の共線図上で内側に配列される要素との間にハイクラッチHCを設け、前記第2遊星歯車PG2の共線図上で一端に配列される要素と変速機ケースTCとの間にハイローブレーキHLBを設け、前記無段変速比モードは、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを解放し、ハイローブレーキHLBを解放することで得られる「HEV-Low-iVTモード」であり、前記ロー側固定変速比モードは、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを解放し、ハイローブレーキHLBを締結することで得られる「HEV-Lowモード」であり、前記高負荷発進対応モード遷移制御手段は、「HEV-Low-iVTモード」を選択しての発進時、前記高負荷発進検出手段により高負荷状態での発進であると検出された場合、「HEV-Low-iVTモード」から「HEV-Lowモード」へモード遷移するため、滑らかな低負荷発進に有効なローギヤ側無段変速比モードである「HEV-Low-iVTモード」を選択しての発進時において、低負荷発進時の滑らかな発進性能の確保と、高負荷発進時のロールバック回避による発進性の確保と、の両立を高レベルで達成することができる。
以上、本発明のハイブリッド車のモード遷移制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、高負荷発進検出手段として、車両が後退するロールバックの発生を伴う発進時を検出する手段の例を示したが、例えば、路面傾斜センサや牽引センサ等を用い、登坂路やトーイング等のロールバックの発生が予測される状況における発進時を検出する手段としても良いし、また、発進時、アクセル開度センサからのアクセル開度検出値が設定開度を超える高アクセル開度からの発進時を検出する手段としても良い。
実施例1のハイブリッド車のモード遷移制御装置は、3つのシングルピニオン型遊星歯車により構成された差動装置を有する駆動力合成変速機の例を示したが、例えば、特開2003−32808号公報等に記載されているようにラビニョウ型遊星歯車により構成された差動装置を有する駆動力合成変速機にも適用することができるし、それ以外の差動装置であっても、走行モードとして、無段変速比により発進する無段変速比モードと、ロー側の固定変速比により発進するロー側固定変速比モードと、を有する駆動力合成変速機を搭載したハイブリッド車には適用することができる。
実施例1のモード遷移制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系及び制御系を示す全体システム図である。 実施例1のハイブリッド車において電気自動車モードでの5つの走行モードをあらわす共線図である。 実施例1のハイブリッド車においてハイブリッド車モードでの5つの走行モードをあらわす共線図である。 実施例1のハイブリッド車において走行モードの選択に用いられる走行モードマップの一例を示す図である。 実施例1のハイブリッド車において「10の走行モード」でのエンジン・エンジンクラッチ・モータジェネレータ・ローブレーキ・ハイクラッチ・ハイローブレーキの作動表である。 実施例1の統合コントローラにおいて実行される高負荷発進対応モード遷移制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のハイブリッド車での「HEV-Low-iVTモード」を示す共線図である。 実施例1のハイブリッド車での「HEV-Lowモード」を示す共線図である。 実施例1の統合コントローラにおいて高負荷発進時に「HEV-Low-iVTモード」から「EV-Lowモード」へモード遷移する場合でハイローブレーキの締結前における各動作変化状況を示す共線図である。 実施例1の統合コントローラにおいて高負荷発進時に「HEV-Low-iVTモード」から「EV-Lowモード」へモード遷移する場合でハイローブレーキの締結時及び締結後におけるの各動作変化状況を示す共線図である。
符号の説明
E エンジン
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ(モータジェネレータ)
OUT 出力軸(出力部材)
PG1 第1遊星歯車(第1差動装置)
PG2 第2遊星歯車(第2差動装置)
PG3 第3遊星歯車(第3差動装置)
EC エンジンクラッチ
LB ローブレーキ(第1摩擦締結要素)
HC ハイクラッチ(第2摩擦締結要素)
HLB ハイローブレーキ(第3摩擦締結要素、ロー側固定変速比用ブレーキ)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 油圧制御装置
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 第3リングギヤ回転数センサ

Claims (4)

  1. 共線図上に4つ以上の入出力要素が配列される差動装置を有し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンからの入力を、他方に駆動系統への出力部材をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを連結した駆動力合成変速機を備えたハイブリッド車において、
    走行モードとして、無段変速比により発進する無段変速比モードと、ロー側の固定変速比により発進するロー側固定変速比モードと、を有し、
    高負荷状態での車両発進を検出する高負荷発進検出手段を設け、
    前記エンジンと前記差動装置のエンジン入力要素との間にエンジンクラッチを設け、
    前記差動装置の一つの要素をケースに固定し、ロー側の固定変速比を得るロー側固定変速比用ブレーキを設け、
    前記無段変速比モードを選択しての発進時、前記高負荷発進検出手段により高負荷状態での発進であると検出された場合、エンジンクラッチを解放し、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータの回転数制御により共線図の傾きをロー側固定変速比モードの傾きに制御し、ロー側固定変速比用ブレーキを締結するシーケンス制御により、無段変速比モードからモータジェネレータを駆動源とするロー側固定変速比モードへモード遷移する高負荷発進対応モード遷移制御手段を設けたことを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車のモード遷移制御装置において、
    前記出力部材の回転数を検出する出力回転数検出手段を設け、
    前記高負荷発進検出手段は、無段変速モードを選択しての発進時、前記出力回転数検出手段によりマイナスの出力回転数を検知したとき、高負荷状態での車両発進であると検出することを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置
  3. 請求項1又は2に記載されたハイブリッド車のモード遷移制御装置において、
    前記高負荷発進対応モード遷移制御手段は、ロー側固定変速比用ブレーキを締結することにより無段変速比モードからモータジェネレータを駆動源とするロー側固定変速比モードへモード遷移した後、前記差動装置のエンジン入力要素の回転数とエンジン回転数とが一致した時点でエンジンクラッチを締結することでエンジンとモータジェネレータを駆動源とするロー側固定変速比モードへのモード遷移を行うことを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置。
  4. 共線図上に4つ以上の入出力要素が配列される差動装置を有し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンからの入力を、他方に駆動系統への出力部材をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを連結した駆動力合成変速機を備えたハイブリッド車において、
    前記駆動力合成変速機は、2自由度3要素の第1差動装置と第2差動装置と第3差動装置により構成され、
    前記第2差動装置の共線図上で内側に配列される要素と前記第3差動装置の共線図上で一端に配列される要素とを連結してエンジンを割り当て、
    前記第2差動装置の共線図上で一端に配列される要素に第1モータジェネレータを割り当て、
    前記第1差動装置の共線図上で一端に配列される要素と前記第2差動装置の共線図上で一端に配列される要素とを連結して第2モータジェネレータを割り当て、
    前記第3差動装置の共線図上で内側に配列される要素に出力部材を割り当て、
    前記第1差動装置の共線図上で他端に配列される要素と前記第3差動装置の共線図上で他端に配列される要素とを直結要素により連結し、
    前記第1差動装置の共線図上で内側に配列される要素と変速機ケースとの間に第1摩擦締結要素を設け、
    第2モータジェネレータが割り当てられる要素と前記第1差動装置の共線図上で内側に配列される要素との間に第2摩擦締結要素を設け、
    前記第2差動装置の共線図上で一端に配列される要素と変速機ケースとの間に第3摩擦締結要素を設け、
    走行モードとして、第1摩擦締結要素を締結し、第2摩擦締結要素を解放し、第3摩擦締結要素を解放することで得られるロー側無段変速モードと、第1摩擦締結要素を締結し、第2摩擦締結要素を解放し、第3摩擦締結要素を締結することで得られるローギヤ固定モードと、を有し、
    高負荷状態での車両発進を検出する高負荷発進検出手段を設け、
    記ロー側無段変速モードを選択しての発進時、前記高負荷発進検出手段により高負荷状態での発進であると検出された場合、ロー側無段変速モードからローギヤ固定モードへモード遷移することを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置。
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