JP4134769B2 - プラズマ処理方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小領域のプラズマ処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、表面に薄膜が形成された基板に代表される被処理物にパターンニング加工を行う場合、レジストプロセスが用いられる。その一例を図9に示す。図9において、まず、被処理物25の表面に感光性レジスト26を塗布する(図9(a))。次に、露光機を用いて露光した後現像すると、レジスト26が所望の形状にパターンニングできる(図9(b))。そして、被処理物25を真空容器内に載置し、真空容器内にプラズマを発生させ、レジスト26をマスクとして被処理物25をエッチング加工すると、被処理物25の表面が所望の形状にパターニングされる(図9(c))。最後に、レジスト26を酸素プラズマや有機溶剤などで除去することで、加工が完了する(図9(d))。
【0003】
以上のようなレジストプロセスは、微細パターンを精度良く形成するのに適しているため、半導体などの電子デバイスの製造において重要な役割を果たすに至った。しかしながら、工程が複雑であるという欠点がある。
【0004】
そこで、レジストプロセスを用いない、新しい加工方法が検討されている。その一例として、図10に従来例で用いたプラズマ処理装置の構成を示す。
【0005】
図10は、特許文献1において、部分的な表面処理が行えるとされているプラズマ処理装置の構成である。電源31から一の電極32に電圧を印加する。他の電極33の近くに被処理物としての基板35を配置し、固体誘電体容器に処理用ガスを導入するガス導入口36から混合ガスを供給して、固体誘電体容器34内にプラズマを発生させ、活性粒子をガス吹き出し口37から基板35に噴出させて基板35の部分的な処理を行うことができる。つまり、レジストマスクを用いることなく、部分的な表面処理を行うことができる。なお、治具38は、一の電極32と他の電極33を連結するためのものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−49083号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例のプラズマ処理においては、ガス吹き出し口37から噴出された活性粒子が外側に拡がり、概ね1mm以上の広い範囲の部分的な表面処理しか行えないという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、極めて微小な領域のみにプラズマ処理を行うことのできるプラズマ処理方法及び装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明のプラズマ処理方法は、先端部がナイフエッジ形状の電極の外側に一対の内側板を配置し、前記一対の内側板の外側に更に一対の外側板を設け、かつ、前記一対の内側板と前記一対の外側板とで外側ガス噴出口を形成すると共に前記電極と前記一対の内側板とで内側ガス噴出口を形成するプラズマ源を備え、前記電極の先端部は、前記一対の外側板の先端部まで延出して配置され、かつ、前記内側ガス噴出口に不活性ガスを供給しつつ前記外側ガス噴出口に反応性ガスまたは有機シラン系ガス、酸素、窒素から選択されるガスを供給しつつ、前記プラズマ源を被処理物に近接させて前記電極または前記被処理物に電圧を供給することによって、前記被処理物の一部を処理するプラズマ処理方法であって、前記プラズマ源と前記被処理物間にプラズマを発生させるに際して、電圧を、ON時間が0.1から10μsであるパルス状に印加したことを特徴とする。
【0010】
本願の第1発明のプラズマ処理方法において、好適には、内側ガス噴出口から噴出する不活性ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノン、或いはこれらの混合ガスであることが望ましい。
【0011】
また、好適には、電圧のON時間が0.1から1μsであることが望ましい。
【0012】
また、好適には、電圧パルスが直流であり、正負の直流パルスを実質的に交互に供給することが望ましい。或いは、電圧パルスが交流であり、ON時間をtONとし、交流の周波数をfACとしたとき、fAC>1/tONを満たすようにしても良い。
【0013】
本願の第2発明のプラズマ処理装置は、先端部がナイフエッジ形状の電極の外側に一対の内側板を配置し、前記一対の内側板の外側に更に一対の外側板を設け、かつ、前記一対の内側板と前記一対の外側板とで外側ガス噴出口を形成すると共に前記電極と前記一対の内側板とで内側ガス噴出口を形成するプラズマ源を備え、前記電極の先端部は、前記一対の外側板の先端部まで延出して配置され、かつ、前記内側ガス噴出口に不活性ガスを供給する内側ガス供給装置と、前記外側ガス噴出口に反応性ガスまたは有機シラン系ガス、酸素、窒素から選択されるガスを供給する外側ガス供給装置と、前記電極または前記プラズマ源に近接させて配置される被処理物にON時間が0.1から10μsであるパルス状電圧を供給する電源とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本願の第2発明のプラズマ処理装置において、好適には、電源において、電圧パルスが直流であり、正負の直流パルスを交互に供給することが可能であることが望ましい。或いは、電源において、電圧パルスが交流であり、ON時間をtONとし、交流の周波数をfACとしたとき、fAC>1/tONを満たすことが可能であっても良い。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
【0016】
図1に、マイクロプラズマ源の分解図を示す。マイクロプラズマ源は、セラミック製の外側板1、内側板2及び3、外側板4から成り、外側板1及び4には、外側ガス流路5及び外側ガス噴出口6が設けられ、内側板2及び3には、内側ガス流路7及び内側ガス噴出口8が設けられている。内側ガス噴出口8から噴出するガスの原料ガスは、内側ガス供給装置(図示せず)により、外側板1に設けられた内側ガス供給口9から、内側板2に設けられた貫通穴10を介して、内側ガス流路7に導かれる。
【0017】
また、外側ガス噴出口6から噴出するガスの原料ガスは、外側ガス供給装置(図示せず)により、外側板1に設けられた外側ガス供給口11から、内側板2に設けられた貫通穴12、内側板3に設けられた貫通穴13を介して、外側ガス流路5に導かれる。いうまでもなく、外側ガス噴出口6は、内側ガス噴出口8よりも外側に配置されている。高周波電力が印加される電極14は、内側板2及び3に設けられた電極固定穴15に挿入され、外側板1及び4に設けられた貫通穴16を通して高周波電力供給のための配線と冷却が行われる。
【0018】
図2に、マイクロプラズマ源を、ガス噴出口側から見た平面図を示す。外側板1、内側板2及び3、外側板4が設けられ、外側板1と内側板2の間と、内側板3と外側板4の間に外側ガス噴出口6が設けられ、内側板2及び3の間に内側ガス噴出口8が設けられている。
【0019】
図3に、被処理物としての薄板17及びマイクロプラズマ源を、薄板17に垂直な面で切った断面を示す。マイクロプラズマ源は、セラミック製の外側板1、内側板2及び3、外側板4から成り、外側板1及び4には、外側ガス流路5及び外側ガス噴出口6が設けられ、内側板2及び3には、内側ガス流路7及び内側ガス噴出口8が設けられている。高周波電力が印加される電極14には、外側板1及び4に設けられた貫通穴16を通して高周波電圧供給のための電源18との配線や冷却が行われる。内側板2及び3は、その最下部がテーパー形状をなし、より微細な線状領域をプラズマ処理できるようになっている。なお、マイクロプラズマ源の開口部としての内側ガス噴出口8がなす微細線の太さは0.1mmである。このように、プラズマ源を被処理物としての薄板17に近接させて処理を行う。
【0020】
また、図2及び図3から明らかなように、このマイクロプラズマ源は、開口部が微細線状を為し、外側ガス流路5にガスを供給し、外側ガス流路5に通じ、かつ、外側ガス流路5よりも浅い外側ガス排出口6から被処理物17に向けてガスを吹き出すとともに、内側ガス流路7にガスを供給し、内側ガス流路7に通じ、かつ、内側ガス流路7よりも浅い内側ガス排出口8から被処理物17に向けてガスを吹き出しつつ、電極14に電力を供給することによってマイクロプラズマを発生させるものである。このような方式をとることにより、ガス供給装置から外側ガス流路5または内側ガス流路7に供給されたガスは、まず深くてコンダクタンスの大きい外側ガス流路5または内側ガス流路7内に行き渡り、次いで、浅くてコンダクタンスの小さい外側ガス排出口6または内側ガス排出口8内に導かれる。
【0021】
言い換えると、圧力分布としては、外側ガス流路5内は、外側ガス排出口6内よりも圧力が高く、内側ガス流路7内は、内側ガス排出口8内よりも圧力が高くなる。したがって、深さに差を設けない場合と比較して、外側ガス排出口6または内側ガス排出口8から吹き出すガスの量及び速度が、微細線方向に均一になるという格別の効果を奏する。なお、流路や排出口のコンダクタンスの大小を「深い」・「浅い」という言葉で表現したが、これは、微細線方向に概略垂直方向で、かつ、被処理物の表面に概略平行な向きの流路または排出口の幅が広いことを「深い」と表現し、同様に、微細線方向に概略垂直方向で、かつ、被処理物の表面に概略平行な向きの流路または排出口の幅が狭いことを「浅い」と表現したものである。
【0022】
また、高周波電源18は、交流の電圧パルスが供給可能となっており、図4に示すように、ON時間をtONとし、交流の周波数をfACとしたとき、fAC>1/tONを満たすような設定が可能である。すなわち、電圧の一パルスの中に少なくとも一つの正弦波形が入るような設定が可能となっている。
【0023】
マイクロプラズマ源は数Paから数気圧まで動作可能であるが、典型的には104Paから3気圧程度の範囲の圧力で動作する。特に、大気圧付近での動作は、厳重な密閉構造や特別な排気装置が不要であるとともに、プラズマや活性粒子の拡散が適度に抑制されるため、特に好ましい。
【0024】
このような構成のマイクロプラズマ源を搭載したプラズマ処理装置において、内側ガス噴出口から不活性ガスとしてのヘリウム(He)を、外側ガス噴出口から反応性ガスとしての6フッ化硫黄(SF6)を供給しつつ、電極14に、図4のようなパルス電圧を供給した。このとき、tONを0.5μs(1/tON=2MHz)、fACを8MHzとした。このような条件でプラズマ処理することにより、シリコン製薄板17の微小な線状領域をエッチング処理することができた。得られた線状の溝幅は、65μmであり、従来例と比較して格段に微小な領域を加工することができた。
【0025】
これは、ヘリウムと6フッ化硫黄の大気圧近傍の圧力下における放電のしやすさの差(ヘリウムの方が格段に放電しやすい)を利用することで、ヘリウムが高濃度となる内側ガス噴出口8の近傍にのみマイクロプラズマを発生させることができたことと、パルス状の電圧を供給したことで、連続波の交流電圧を供給したときと比べて、プラズマの発生領域が小さくなったためである。すなわち、連続波の交流電圧を供給した場合の定常状態に至る前の過渡的な状態で電圧の供給を停止したことが従来例に無い格別な効果を奏したと言える。
【0026】
このことについて、図5を用いて詳しく説明する。
【0027】
図5(a)は、電極に連続波の交流電圧を供給して0.1μs後の様子を示す。マイクロプラズマ19が内側ガス噴出口8の近傍に発生している。図5(b)は、電極に連続波の交流電圧を供給して0.5μs後の様子を示す。マイクロプラズマ19が薄板17の近くにまで発達している。図5(c)は、電極に連続波の交流電圧を供給して10μs後の様子を示す。マイクロプラズマ19がマイクロプラズマ源の先端部(内側板2及び3の先端)と薄板17の間に形成されている。
【0028】
なお、電極に連続波の交流電圧を供給して10μs以降はマイクロプラズマの大きさはこれ以上には大きくならず、図5(c)の状態が連続波の交流電圧を供給した場合の定常状態を示している。本実施形態においては、tONを0.5μsとしたので、図5(b)のような過渡的な状態で電圧の供給を停止しており、このことが、連続波の交流電圧を供給したときと比べて、プラズマの発生領域が小さくなった要因であり、従来例に比べて格段に微小な領域をエッチング処理できたものと考えられる。
【0029】
なお、文献:Y.Honda et al.,“Initial Growth Process of Barrier Discharge in Atmospheric Pressure Helium for Glow Discharge Formation”,Japanese Journalof Applied Physics,Vol.41,Pt.2,No.11A(2002)pp.L1256−L1258に、平行平板型大気圧プラズマ源における、放電領域の過渡的な発達をシミュレーションにより考察した結果が記載されている。
【0030】
この文献に示されている図6において、横軸は円形の平行平板の半径方向位置、縦軸は電子密度である。図6からわかるように、電圧供給を開始してから1.4μsかけて、徐々にプラズマが拡がっていくことがわかる。この研究は、本発明に至る大きなヒントとなったことは否定しないが、この文献には微小領域の処理については全く言及されていないし、本発明ではプラズマの発生領域をより小さな領域に限定させるために、不活性ガスと反応性ガスをそれぞれ内側及び外側ガス噴出口から噴出させるという工夫も加えており、この文献と他のいかなる公知技術を組み合わせても、本発明が容易に為され得るものとは考えられない。
【0031】
また、従来例で説明した特許文献1にも、パルス状の電圧印加について記載されているが、これは、もっぱら異常放電(アーク)の防止を行うのが目的であって、放電領域を狭くすることについては述べられていない。つまり、特許文献1と他の如何なる公知技術を組み合わせても、本発明が容易に為され得るものとは考えられない。仮に、特許文献1の構成においてパルス状の電圧を印加しても、アーク放電の防止は可能であるものの、放電領域は広くなり、極めて微小な領域のみを処理することは不可能である。本発明は、1mm未満、さらには0.1mm未満の領域を処理することを可能とする技術に関するものである。
【0032】
以上述べた本発明の実施形態において、プラズマ源としてセラミック製の板を4枚用いた場合を例示したが、平行平板型キャピラリタイプや誘導結合型キャピラリタイプなどのキャピラリタイプや、マイクロギャップ方式、誘導結合型チューブタイプなど、様々なプラズマ源を用いることができる。特に、図7に示すような、ナイフエッジ状の電極24を用いるタイプでは、電極と被処理物の距離が近いため、微小部分に極めて高密度のプラズマが形成される。したがって、特に本発明が有効である。なお、図7において、プラズマ源は、セラミック製の外側板20、内側板21及び22、外側板23、電極24から成り、外側板20及び23には、外側ガス流路5及び外側ガス噴出口6が設けられ、内側板21及び22には、内側ガス流路7及び内側ガス噴出口8が設けられている。電極24は、その最下部がナイフエッジ状の形状を成し、微細な線状領域をプラズマ処理できるようになっている。
【0033】
また、微細な線状領域をプラズマ処理する場合を例示したが、微細な点状領域を処理する場合にも本発明は適用可能である。この場合、内側ガス噴出口は微小な点状、もしくは微小な点状の固体を囲んで設けられた円環状とし、外側ガス噴出口は、内側ガス噴出口の外側に、内側ガス噴出口を囲んで設けられた円環状に設ければ良い。
【0034】
また、被処理物にパルス状の電圧を供給することにより、プラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。この場合、電極を接地しても良いし、電極を浮遊電位に保っても良い。或いは、被処理物を挟んでプラズマ源と反対側に、第2の電極を設けてもよく、第2の電極を接地しても良いし、第2の電極にパルス状の電圧を供給しても良い。第2の電極は、被処理物が誘電体である場合に電界の集中をもたらす効果や、被処理物が導体を含んでいる場合に被処理物に接点を設ける必要を省けるという利点がある。
【0035】
また、パルス状の高周波(交流)電圧を用いてプラズマを発生させる場合を例示したが、交流電圧の周波数は、数百kHzから数GHzまでの高周波電力が利用できる。ただし、電圧を、ON時間が0.1から10μsであるパルス状にする必要がある。ON時間を0.1μs未満に制御するには、電圧供給のための回路に、波形がなまらないように格別の工夫を要するという不便があり、逆に、ON時間が10μsより大きいと、微小領域にプラズマを限定的に発生させることができない。より好適には、電圧のON時間が0.1から1μsであることが望ましい。ON時間が1μs以下であれば、定常状態に比べて格別に小さい領域にプラズマを限定的に発生させることができる。
【0036】
また、電圧パルスが直流であり、正負の直流パルスを実質的に交互に供給することも可能である。この場合においても、電圧を、ON時間が0.1から10μsであるパルス状にする必要がある。より好適には、電圧のON時間が0.1から1μsであることが望ましい。電圧波形の一例を図8に示す。なお、連続して正、或いは負となる直流パルスを供給しても良いが、帯電が生じるために極性が逆転した最初のパルスでのみ放電が発生するので、この場合も実質的には正負の直流パルスを交互に供給したものとみなされる。
【0037】
また、パルス電圧のOFF時間は、発生したプラズマがほぼ完全に消滅するのに必要な時間以上で、かつ、処理速度の向上を図るためになるべく短く設定することが望ましい。その時間としては、概ね0.5μsから100μsであることが好ましい。さらに好適には、パルス電圧のOFF時間は1μsから10μsであることが好ましい。
【0038】
また、内側ガス噴出口から被処理物に向けてヘリウムガスを噴出させる場合を例示したが、内側ガス噴出口から噴出させるガスは、不活性ガスを主体とするガスであることが必要である。これは、一般に不活性ガスを主体とするガスの方が、他のガスと比べて大気圧近傍の圧力下でプラズマ化しやすいという性質があるためである。
【0039】
また、外側ガス噴出口から6フッ化硫黄ガスを噴出させる場合を例示したが、外側ガス噴出口からは、反応性ガスまたは内側ガス噴出口から噴出させるガスよりも放電しにくいガスを噴出させることが必要である。パルス状の電圧を供給する方式は、安定したグロー放電を発生させやすい性質があるため、外側ガス噴出口から不活性ガスのような放電しやすいガスを噴出させてしまうと、プラズマが広範囲に拡がってしまいやすいという不都合がある。内側ガス噴出口から供給する不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノン、或いはこれらの混合ガスであることが好ましい。ヘリウムガスは大気圧近傍で安定したグロー放電を発生させやすいガスであり、特に好ましい。外側ガス噴出口から供給するガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノン以外のガスを主体とするガスであることが好ましく、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン含有のエッチングガスや、TEOSなどの有機シランに代表される堆積性ガス、酸素、窒素などの放電しにくいガスなどから処理に応じて選択することができる。
【0040】
また、電圧パルスが交流であり、ON時間をtONとし、交流の周波数をfACとしたとき、tONを0.5μs(1/tON=2MHz)、fACを8MHzとした場合を例示したが、好適には、fAC>1/tONを満たすことが望ましい。fAC>1/tONを満たさないような波形の形成は極めて困難である。また、さらに好適には、fAC>10/tONを満たすことが望ましい。fACが10/tONより小さいと、パルス変調された交流としてみたときの電圧において、サイドバンドが中心周波数fACから大きく離れて生じるため、インピーダンス整合を図ることが困難になる。良好なインピーダンス整合を確保して、反射電力を抑制するためには、fACは1/tONに比べて大きいほど良い。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本願の第1発明のプラズマ処理方法によれば、先端部がナイフエッジ形状の電極の外側に一対の内側板を配置し、前記一対の内側板の外側に更に一対の外側板を設け、かつ、前記一対の内側板と前記一対の外側板とで外側ガス噴出口を形成すると共に前記電極と前記一対の内側板とで内側ガス噴出口を形成するプラズマ源を備え、前記電極の先端部は、前記一対の外側板の先端部まで延出して配置され、かつ、前記内側ガス噴出口に不活性ガスを供給しつつ前記外側ガス噴出口に反応性ガスまたは有機シラン系ガス、酸素、窒素から選択されるガスを供給しつつ、前記プラズマ源を被処理物に近接させて前記電極または前記被処理物に電圧を供給することによって、前記被処理物の一部を処理するプラズマ処理方法であって、前記プラズマ源と前記被処理物間にプラズマを発生させるに際して、電圧を、ON時間が0.1から10μsであるパルス状に印加したため、極めて微小な領域のみにプラズマ処理を行うことができる。
【0042】
また、本願の第2発明のプラズマ処理装置によれば、先端部がナイフエッジ形状の電極の外側に一対の内側板を配置し、前記一対の内側板の外側に更に一対の外側板を設け、かつ、前記一対の内側板と前記一対の外側板とで外側ガス噴出口を形成すると共に前記電極と前記一対の内側板とで内側ガス噴出口を形成するプラズマ源を備え、前記電極の先端部は、前記一対の外側板の先端部まで延出して配置され、かつ、前記内側ガス噴出口に不活性ガスを供給する内側ガス供給装置と、前記外側ガス噴出口に反応性ガスまたは有機シラン系ガス、酸素、窒素から選択されるガスを供給する外側ガス供給装置と、前記電極または前記プラズマ源に近接させて配置される被処理物にON時間が0.1から10μsであるパルス状電圧を供給する電源とを備えたため、極めて微小な領域のみにプラズマ処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態で用いたプラズマ源の分解図
【図2】本発明の実施形態で用いたプラズマ源の平面図
【図3】本発明の実施形態で用いたプラズマ処理装置の断面図
【図4】本発明の実施形態における交流の電圧パルス波形を示す図
【図5】プラズマ発生の過渡的な状態を示す断面図
【図6】放電領域の過渡的な発達のシミュレーション結果を示す図
【図7】本発明の実施形態で用いたプラズマ処理装置の断面図
【図8】本発明の実施形態における直流の電圧パルス波形を示す図
【図9】従来例で用いたレジストプロセスの工程を示す断面図
【図10】従来例で用いたプラズマ処理装置の断面図
【符号の説明】
1 外側板
2 内側板
3 内側板
4 外側板
5 外側ガス流路
6 外側ガス噴出口
7 内側ガス流路
8 内側ガス噴出口
14 電極
16 貫通穴
17 薄板
18 電源
Claims (8)
- 先端部がナイフエッジ形状の電極の外側に一対の内側板を配置し、前記一対の内側板の外側に更に一対の外側板を設け、かつ、前記一対の内側板と前記一対の外側板とで外側ガス噴出口を形成すると共に前記電極と前記一対の内側板とで内側ガス噴出口を形成するプラズマ源を備え、
前記電極の先端部は、前記一対の外側板の先端部まで延出して配置され、かつ、前記内側ガス噴出口に不活性ガスを供給しつつ前記外側ガス噴出口に反応性ガスまたは有機シラン系ガス、酸素、窒素から選択されるガスを供給しつつ、前記プラズマ源を被処理物に近接させて前記電極または前記被処理物に電圧を供給することによって、前記被処理物の一部を処理するプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ源と前記被処理物間にプラズマを発生させるに際して、電圧を、ON時間が0.1から10μsであるパルス状に印加したこと
を特徴とするプラズマ処理方法。 - 内側ガス噴出口から噴出する不活性ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノン、或いはこれらの混合ガスであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理方法。
- 電圧のON時間が0.1から1μsであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理方法。
- 電圧パルスが直流であり、正負の直流パルスを実質的に交互に供給することを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理方法。
- 電圧パルスが交流であり、ON時間をtONとし、交流の周波数をfACとしたとき、fAC>1/tONを満たすことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理方法。
- 先端部がナイフエッジ形状の電極の外側に一対の内側板を配置し、前記一対の内側板の外側に更に一対の外側板を設け、かつ、前記一対の内側板と前記一対の外側板とで外側ガス噴出口を形成すると共に前記電極と前記一対の内側板とで内側ガス噴出口を形成するプラズマ源を備え、
前記電極の先端部は、前記一対の外側板の先端部まで延出して配置され、かつ、前記内側ガス噴出口に不活性ガスを供給する内側ガス供給装置と、前記外側ガス噴出口に反応性ガスまたは有機シラン系ガス、酸素、窒素から選択されるガスを供給する外側ガス供給装置と、前記電極または前記プラズマ源に近接させて配置される被処理物にON時間が0.1から10μsであるパルス状電圧を供給する電源とを備えたこと
を特徴とするプラズマ処理装置。 - 電源において、電圧パルスが直流であり、正負の直流パルスを実質的に交互に供給することが可能であることを特徴とする請求項6記載のプラズマ処理装置。
- 電源において、電圧パルスが交流であり、ON時間をtONとし、交流の周波数をfACとしたとき、fAC>1/tONを満たすことが可能であることを特徴とする請求項6記載のプラズマ処理装置。
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