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JP4110979B2 - 車両用電源装置 - Google Patents

車両用電源装置 Download PDF

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JP4110979B2
JP4110979B2 JP2003016447A JP2003016447A JP4110979B2 JP 4110979 B2 JP4110979 B2 JP 4110979B2 JP 2003016447 A JP2003016447 A JP 2003016447A JP 2003016447 A JP2003016447 A JP 2003016447A JP 4110979 B2 JP4110979 B2 JP 4110979B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオンバッテリを含む2個以上のバッテリを備える車両用の電源装置に係り、より詳細には、リチウムイオンバッテリのSOCを効果的に制御できる車両用電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、リチウムイオンバッテリと鉛バッテリを備えた電源装置において、リチウムイオンバッテリの充電状態(SOC)に基づいて鉛バッテリのSOCを制御することが知られている(例えば、特許文献1)。この従来の電源装置では、リチウムイオンバッテリが満充電に近づくと、回生エネルギを負荷へ供給することでリチウムイオンバッテリのSOCが調整されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−313082号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リチウムイオンバッテリは、鉛バッテリに比して回生能力が良い反面、過充電状態となるとバッテリ内部のエネルギ密度が上昇し、過負荷状態となるため、安全面で十分な配慮がなされるべきバッテリである。しかしながら、上述の従来の電源装置の如く、発電機が発生する電気エネルギを負荷へ供給する構成では、何らかの外的要因によりリチウムイオンバッテリへの充電系に異常が発生した場合に、リチウムイオンバッテリの過充電状態が継続してしまうという問題点がある。
【0005】
即ち、リチウムイオンバッテリを含む2個以上のバッテリを備える車両用の電源装置においては、何らかの外的要因によりリチウムイオンバッテリへの充電系に異常が発生した場合を考慮して、リチウムイオンバッテリの過充電状態を即座に解消させる手段を講ずること(フェールセーフ)が必要である。
【0006】
そこで、本発明は、リチウムイオンバッテリのSOCを効果的に制御できる車両用電源装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、リチウムイオンバッテリと、DC/DCコンバータと、前記リチウムイオンバッテリに前記DC/DCコンバータを介して接続される第2のバッテリと、前記リチウムイオンバッテリに前記DC/DCコンバータを介して供給される電気エネルギを発生する発電機とを備えた車両用電源装置であって、
前記リチウムイオンバッテリの充電状態が所定の過充電判定値を上回った場合に、発電を制限する方向に前記発電機を制御すると共に、リチウムイオンバッテリ側から前記第2のバッテリ側に電力供給されるように前記DC/DCコンバータを制御することを特徴とする、車両用電源装置によって達成される。
【0008】
本発明によれば、何らかの要因によりリチウムイオンバッテリへの充電系に異常が生じた場合であっても、発電機の発電が制限されるので、リチウムイオンバッテリへの充電が抑制され、また、DC/DCコンバータの制御によりリチウムイオンバッテリの放電が促進されるので、リチウムイオンバッテリの急速な放電が可能となる。この結果、本発明によれば、リチウムイオンバッテリが過充電状態に陥った場合であっても、当該過負荷状態を即座に解消することができる。
【0009】
尚、請求項2又は3に記載する如く、前記発電を制限する方向に前記発電機を制御することには、該発電機の目標発電電圧を最小値に設定することや、該発電機の動作を停止させることが含まれてよく、また、前記リチウムイオンバッテリ側から前記第2のバッテリ側に電力供給されるように前記DC/DCコンバータを制御することには、該DC/DCコンバータの前記第2のバッテリ側の目標出力電圧を最小値に設定することが含まれてよい。
【0010】
また、請求項4に記載する如く、アイドルストップ時に前記リチウムイオンバッテリから前記DC/DCコンバータを介して所定の補機に電力供給すると共に、少なくとも車両の走行状態に応じて前記発電機の発電を抑制する請求項1記載の車両用電源装置において
前記リチウムイオンバッテリの充電状態が所定値を下回った場合に、前記発電機の発電の抑制を解除することとしてもよい。
【0011】
この場合、車両用電源装置は、車両の加速時には発電機の発電を抑制することで、燃費の向上を図っている。しかしながら、アイドルストップ頻度が増加すると、リチウムイオンバッテリのSOCが低下し、リチウムイオンバッテリから所定の補機に電力供給することが困難となる。かかる状況下において、リチウムイオンバッテリからの電力供給を継続すると、リチウムイオンバッテリの劣化が促進されてしまい、逆に、アイドルストップ頻度を抑制すると、結果的に燃費が悪化してしまう。これに対して、本発明では、アイドルストップ頻度を維持するため、リチウムイオンバッテリのSOCが所定値を下回った場合に、上述の発電機の発電の抑制を解除する。これにより、リチウムイオンバッテリへの充電が促進されるので、発電機の発電の抑制による燃費向上効果に代えてアイドルストップ頻度の維持による燃費向上効果を得ることができ、トータル的に見て燃費が向上する。
【0012】
尚、請求項5に記載する如く、前記発電機の発電を抑制することには、該発電機の動作を停止させることが含まれてよく、この場合、前記発電機の発電の抑制を解除することには、該発電機の動作を停止させないことが含まれてよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例である車両用電源装置10のシステム構成図を示す。図1に示す如く、車両用電源装置10は、高速通信バス等の適切なバスを介して相互接続された2つの電子制御ユニット24,49(以下、それぞれ「ECO・ECU24」及び「EFI・ECU49」という)を中心に構成されている。
【0015】
車両用電源装置10は、2つのバッテリ12,14を備えている。本実施例では、バッテリ12は、12V程度の電圧を有する鉛バッテリ(補機バッテリ)であり、一方、バッテリ14は、14.4V程度の電圧を有するリチウムイオンバッテリ(メインバッテリ)である。尚、鉛バッテリ12は、リチウムイオンバッテリ14に比して、単位体積当たりに取り出せる出力(出力密度;単位はW/l)が高い一方、単位体積当たりに取り出せるエネルギ(エネルギ密度;単位はWh/l)が低いバッテリである。
【0016】
鉛バッテリ12及びリチウムイオンバッテリ14には、切換スイッチ16を介してスタータ18が接続されている。スタータ18は、車両の動力源として機能するエンジンに取り付けられている。スタータ18は、切換スイッチ16を介して接続する鉛バッテリ12又はリチウムイオンバッテリ14から供給される電力を用いて、エンジンを停止状態から始動させる始動装置として機能する。具体的には、スタータ18は、通常的なエンジン始動時には鉛バッテリ12を電力源として動作し、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時にはリチウムイオンバッテリ14を電力源として動作する。
【0017】
車両用電源装置10は、また、電流センサ40、電圧センサ44及び温度センサ48を備えている。電流センサ40は、リチウムイオンバッテリ14の電流値を所定のサンプリング周期で検出する。電圧センサ44は、リチウムイオンバッテリ14の端子電圧を所定のサンプリング周期で検出する。温度センサ48は、リチウムイオンバッテリ14の液温、若しくは、リチウムイオンバッテリ14を格納するケース(図示せず)の側面又は底面の温度を検出する。
【0018】
リチウムイオンバッテリ14には、電子制御ユニット60(以下、「BATT・ECU60」という)が接続されている。BATT・ECU60には、電流センサ40、電圧センサ44及び温度センサ48の各検出信号が上記サンプリング周期で供給される。BATT・ECU60は、電流センサ40、電圧センサ50及び温度センサ48の検出値に基づいて、リチウムイオンバッテリ14の充電状態(SOC)を演算する。尚、バッテリのSOCの演算手法は、公知の手法によるものあってよく、本発明は、特にリチウムイオンバッテリ14のSOCの演算手法を特定するものではない。BATT・ECU60は、リチウムイオンバッテリ14のSOCに応じた電気信号をECO・ECU24及びEFI・ECU49に供給する。
【0019】
EFI・ECU49は、各種アイドルストップの許可条件(例えば、エンジン冷却水温度に関する条件や、リチウムイオンバッテリ14の温度やSOC等に関する条件、エンジン回転数に関する条件)の成立状況を確認して、最終的にアイドルストップの実行条件が成立するか否かを判定する。最終的にアイドルストップの実行条件が成立した場合、運転者がイグニションスイッチをIGオン状態からオフ状態へ移行させることなく燃料噴射や点火等の実行が停止され、エンジンが運転状態から停止状態へ移行される。
【0020】
アイドルストップ中、即ちエンジンが一時的に停止状態にある間、EFI・ECU49は、車両がAT車である場合は変速機のシフト位置が“N”レンジから“D”レンジ又は“R”レンジに移行したか否か或いはブレーキ操作が解除されたか否か、また、車両がMT車である場合はクラッチペダルが踏み込まれたか否かに基づいて、アイドルストップの解除条件が成立するか否を判定する。その結果、アイドルストップの解除条件が成立した場合は、運転者がイグニションスイッチをIGオン状態からスタータオン状態に移行させることなくスタータ18が作動状態となり、エンジンが再始動される。
【0021】
車両用電源装置10は、また、エンジンの回転により発電する直流発電機(オルタネータ)20を備えている。EFI・ECU49は、燃費の向上を図るべく、車両の走行状態に応じて直流発電機20の発電電圧を制御する。具体的には、車両の定常走行時やエンジンのアイドル運転時には、直流発電機20の目標発電電圧は、適宜予め設定されたVt1〜Vt2の範囲内で、鉛バッテリ12の放電が生じないような値に調整される。また、車両減速時(回生ブレーキ作動時)には、直流発電機20の目標発電電圧は、定常走行時やアイドル運転時に比して大きな値に調整される(例えば、Vt2)。また、車両加速時には、アイドルストップ中(即ち、エンジン停止中)と同様、直流発電機20の発電電圧はゼロになる(即ち、発電が行われない)。
【0022】
このように、本実施例のEFI・ECU49は、原則的には、燃費の向上を図るべく、直流発電機20が常時発電するような制御を実行しない。但し、後に詳説する如く、EFI・ECU49は、リチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の範囲内から逸脱した際には、直流発電機20に対して特別な制御(常時発電制御)を実行する。
【0023】
直流発電機20には、負荷26及び鉛バッテリ12が接続されると共に、リチウムイオンバッテリ14がDC/DCコンバータ22を介して接続されている。直流発電機20が発生する電気エネルギは、負荷26の電力源として用いられると共に、鉛バッテリ12及び/又はリチウムイオンバッテリの充電に用いられる。
【0024】
負荷26には、直流発電機20及び鉛バッテリ12が接続されると共に、リチウムイオンバッテリ14がDC/DCコンバータ22を介して接続されている。負荷26には、各種補機、及び、アクセルやブレーキ等のいわゆるバイワイヤシステムが含まれる。尚、補機には、ヘッドランプ、フォグランプ、コーナリングシグナルランプ、コーナーランプ等のランプ類、エアコン等の空調装置、オーディオ、カーナビゲーション、ABSシステム、電動オイルポンプ、メータ類、デフォガ、ワイパ、パワーウィンド等が含まれる。各補機および各バイワイヤシステムは、エンジン作動時には主に直流発電機20から電力供給され、一方、アイドルストップ中のようなエンジン停止時には主にリチウムイオンバッテリ14から電力供給される。
【0025】
DC/DCコンバータ22は、双方向DC/DCコンバータであり、内蔵するパワートランジスタのスイッチング動作に従って、鉛バッテリ12側の電圧を昇圧してリチウムイオンバッテリ14側へ供給し、或いは、リチウムイオンバッテリ14側の電圧を降圧して鉛バッテリ12側へ供給する。
【0026】
DC/DCコンバータ22は、ECO・ECU24により制御される。ECO・ECU24がDC/DCコンバータ22に対して行う制御内容には、DC/DCコンバータ22の動作方向の制御、DC/DCコンバータ22のPb側端子13の出力電圧の制御、DC/DCコンバータ22のLi側端子15の出力電圧の制御、及び、DC/DCコンバータ22の動作を停止させる制御が含まれる。
【0027】
具体的には、ECO・ECU24は、2種類の方向指示信号(即ち、鉛バッテリ12側の電圧を昇圧してリチウムイオンバッテリ14側へ供給する方向、又は、リチウムイオンバッテリ14側の電圧を降圧して鉛バッテリ12側へ供給する方向)を選択的にDC/DCコンバータ22に供給することにより、DC/DCコンバータ22の動作方向を制御する。
【0028】
また、ECO・ECU24は、Pb側端子13の目標出力電圧の指示値(本例では、Vt3〜Vt4の範囲内の指示値)をDC/DCコンバータ22に供給することにより、DC/DCコンバータ22のPb側端子13の出力電圧を制御する。DC/DCコンバータ22のPb側端子13の目標出力電圧が指示されると、DC/DCコンバータ22は、リチウムイオンバッテリ14側の電圧を当該指示値まで降圧して鉛バッテリ12側に出力する。これにより、リチウムイオンバッテリ14側では、Pb側端子13の目標出力電圧(又は、直流発電機20の発電電圧)に依存した放電が実現される。
【0029】
このPb側端子13の出力電圧の制御は、原則的には、アイドルストップ中において実行される。即ち、アイドルストップ中においては、鉛バッテリ12に代わってリチウムイオンバッテリ14が負荷26の電力源として機能し、鉛バッテリ12の寿命低下が防止されている。
【0030】
また、ECO・ECU24は、Li側端子15の目標出力電圧の指示値(本例では、Vt5〜Vt6の範囲内の指示値)をDC/DCコンバータ22に供給することにより、DC/DCコンバータ22のLi側端子15の出力電圧を制御する。このとき、ECO・ECU24は、リチウムイオンバッテリ14のSOCを監視しつつ、リチウムイオンバッテリ14のSOCが適切な範囲内になるようにLi側端子15の目標出力電圧の指示値を決定する。DC/DCコンバータ22のLi側端子15の目標出力電圧が指示されると、DC/DCコンバータ22は、鉛バッテリ12側の電圧を当該指示値まで昇圧してリチウムイオンバッテリ14側に出力する。これにより、目標出力電圧に応じたリチウムイオンバッテリ14の充電が実現される。
【0031】
このLi側端子15の出力電圧の制御は、原則的には、車両の定常走行時やエンジンのアイドル運転時、車両の減速時(回生ブレーキ作動時)において実行される。尚、このとき、鉛バッテリ12側においても、Li側端子15の目標出力電圧及び直流発電機20の発電電圧に依存した充電が実現される。
【0032】
また、ECO・ECU24は、DC/DCコンバータ22の動作を停止させる制御信号をDC/DCコンバータ22に供給することにより、若しくは、上述の方向指示信号の供給を停止することにより、DC/DCコンバータ22の動作を停止させる。このDC/DCコンバータ22の動作の停止は、原則的には、車両加速時に実行される。即ち、車両加速時(このとき、直流発電機20の発電電圧は上述の如くゼロである)には、リチウムイオンバッテリ14の充電が禁止され、また、鉛バッテリ12が負荷26の電力源として用いられ、燃費の向上が図られている。
【0033】
このように、ECO・ECU24は、DC/DCコンバータ22の出力電圧の制御を介して、リチウムイオンバッテリ14のSOCを制御している。即ち、リチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の範囲内から上方に逸脱した場合には、ECO・ECU24は、BATT・ECU60からの放電要求信号に応答して、DC/DCコンバータ22のPb側端子13の目標出力電圧を適切に指示することで、リチウムイオンバッテリ14の放電を促進させている。一方、リチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の範囲内から下方に逸脱した場合には、ECO・ECU24は、BATT・ECU60からの充電要求信号に応答して、DC/DCコンバータ22のLi側端子15の目標出力電圧を適切に指示することで、リチウムイオンバッテリ14の充電を促進させている。
【0034】
しかしながら、以上のようなリチウムイオンバッテリ14のSOC制御を行った場合であっても、次のような不都合が生ずる場合がある。即ち、第1に、何らかの外的要因によりリチウムイオンバッテリ14のSOCの上昇を抑制できない事態に陥った場合には、リチウムイオンバッテリ14の過充電状態が長時間に亘り継続してしまい、リチウムイオンバッテリ14の劣化が促進される。
【0035】
また、第2に、アイドルストップの頻繁に繰り返しによりリチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の範囲内(本例では、30%〜75%)から逸脱した場合には、リチウムイオンバッテリ14の劣化を防止すべくアイドルストップが禁止されるが、直流発電機20は、上述の如く、常時発電していないため、リチウムイオンバッテリ14のSOCを所定の範囲内に回復させるまで時間を要する場合があり、アイドルストップの頻度が低下し、結果的に燃費が悪化してしまう場合がある。
【0036】
これに対して、本実施例では、以下で図2を参照して詳説する如く、リチウムイオンバッテリ14のSOCに応じて、DC/DCコンバータ22及び直流発電機20を適切に制御することで、上述の不都合を防止する。
【0037】
図2は、上述の不都合を防止すべく本実施例のECO・ECU24及びEFI・ECU49が協働して実行する処理のフローチャートである。尚、本処理ルーチンは、例えばリチウムイオンバッテリ14のSOCの演算周期毎(即ち、電流センサ40のサンプリング周期毎)に実行されてよい。
【0038】
ステップ100では、リチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の過充電判定値Th1(%)より大きいか否かを判断する処理が実行される。過充電判定値Th1(%)は、アイドルストップが禁止される上限値(本例では、75%)よりも高い値であってよく、本例では85%である。リチウムイオンバッテリ14のSOCが過充電判定値Th1(%)より大きい場合には、リチウムイオンバッテリ14が過充電状態であると判断して、ステップ110に進み、過充電判定値Th1(%)以下の場合には、ステップ130に進む。
【0039】
ステップ110では、リチウムイオンバッテリ14の即時的な放電を実現させる処理が実行される。具体的には、EFI・ECU49が、直流発電機20の目標発電電圧を最小値(本例では、Vt1)に固定すると共に、ECO・ECU24が、DC/DCコンバータ22のPb側端子13の目標出力電圧(指示値)を最小値(本例では、Vt3)に固定する。この結果、リチウムイオンバッテリ14側からDC/DCコンバータ22を介して鉛バッテリ12側に急速な放電が実現される。
【0040】
本ステップ110の処理は、続くステップ120でリチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の放電終了判定値Th2(%)を下回ったと判断されるまで、継続される。即ち、リチウムイオンバッテリ14の過充電状態が十分に解消されたと判断されるまで、リチウムイオンバッテリ14側からDC/DCコンバータ22を介して鉛バッテリ12側に急速な放電が継続される。尚、放電終了判定値Th2(%)は、アイドルストップが禁止される上限値(本例では、75%)よりも低い値に設定される(本例では、50%)。なお、ステップ120でリチウムイオンバッテリ14の過充電状態が十分に解消されたと判断された場合には、直流発電機20の目標発電電圧及びDC/DCコンバータ22のPb側端子13の目標出力電圧の最小値固定状態が解除され、今回のルーチンが終了する。
【0041】
尚、上記ステップ110において、EFI・ECU49が、直流発電機20の作動を停止させる(即ち、発電量をゼロにする)と共に、ECO・ECU24が、DC/DCコンバータ22のPb側端子13の目標出力電圧(指示値)を鉛バッテリ12の電圧値(例えば、12V)に固定することも可能である。この場合であっても、リチウムイオンバッテリ14側からDC/DCコンバータ22を介して鉛バッテリ12側に急速な放電が継続され、リチウムイオンバッテリ14の過充電状態を即時に解消させることが可能である。
【0042】
一方、ステップ130では、リチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の充電要求判定値Th3(%)より小さいか否かを判断する処理が実行される。充電要求判定値Th3(%)は、アイドルストップが禁止される下限値(本例では、35%)よりも高い値であってよく、本例では45%である。リチウムイオンバッテリ14のSOCが充電要求判定値Th3(%)より小さい場合には、リチウムイオンバッテリ14を優先的に充電する必要があると判断して、ステップ140に進み、充電要求判定値Th3(%)以上の場合には、以後何ら処理を進めることなく、今回のルーチンが終了する。
【0043】
ステップ140では、リチウムイオンバッテリ14への充電を促進させる処理が実行される。具体的には、EFI・ECU49が、直流発電機20の発電が常時行われるように制御すると共に、直流発電機20の目標発電電圧をVt1〜Vt2の範囲内の所定値に固定する。この結果、通常的には発電が停止される加速時においても直流発電機20の発電が行われ、リチウムイオンバッテリ14の充電が促進される。尚、本ステップ140において、EFI・ECU49の上述の処理に加えて、ECO・ECU24が、DC/DCコンバータ22のLi側端子15の目標出力電圧(指示値)を最大値に固定することも有効である。この場合、リチウムイオンバッテリ14への充電が一層促進される。
【0044】
本ステップ140の処理は、続くステップ150でリチウムイオンバッテリ14のSOCが所定の充電終了判定値Th4(%)を上回ったと判断されるまで、継続される。即ち、リチウムイオンバッテリ14のSOCが十分に上昇したと判断されるまで、直流発電機20からDC/DCコンバータ22を介したリチウムイオンバッテリ14への充電が継続される。尚、充電終了判定値Th4(%)は、アイドルストップが禁止される下限値(本例では、35%)よりも高い値(本例では、50%)に設定される。なお、ステップ150でリチウムイオンバッテリ14のSOC低下状態が十分に解消されたと判断された場合には、直流発電機20の常時発電状態及び直流発電機20の目標発電電圧の固定状態が解除され、今回のルーチンが終了する。
【0045】
以上説明したように、本実施例によれば、何らかの異常によりリチウムイオンバッテリ14が過充電状態に陥った場合であっても、直流発電機20の発電量を抑制することでリチウムイオンバッテリ14の放電を促進することができるので、リチウムイオンバッテリ14内部のエネルギ密度が上昇した過負荷状態を即時に回避することが可能となる。
【0046】
また、本実施例では、上述の如く、リチウムイオンバッテリ14のSOCが適正範囲内にある時には、直流発電機20の常時発電を抑制することにより、燃費の向上を図っている。一方、リチウムイオンバッテリ14のSOCが低下した時には、直流発電機20の常時発電を行うことで、リチウムイオンバッテリ14のSOCを早急に回復させ、その結果、アイドルストップ頻度を増加させることにより、燃費の向上を図っている。従って、本実施例によれば、直流発電機20の常時発電を抑制するよりもアイドルストップ頻度を増加させる方が燃費向上に寄与することから、トータル的に見て燃費が向上する。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0048】
例えば、上述した実施例は、2個のバッテリ、即ち鉛バッテリ12とリチウムイオンバッテリ14とを備えた電源制御装置に関するものであったが、本発明は、リチウムイオンバッテリ14を含む2個以上のバッテリを有する如何なる電源制御装置に対しても適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、リチウムイオンバッテリを含む少なくとも2個のバッテリを備えた電源制御装置において、リチウムイオンバッテリのSOCを効果的に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用電源装置のシステム構成図を示す。
【図2】本実施例のECUが実行する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10 車両用電源装置
12 鉛バッテリ
14 リチウムイオンバッテリ
16 切換スイッチ
18 スタータ
20 直流発電機
22 DC/DCコンバータ
24 ECO・ECU
26 負荷
40 電流センサ
44 電圧センサ
48 温度センサ
49 EFI・ECU
60 BATT・ECU

Claims (5)

  1. リチウムイオンバッテリと、DC/DCコンバータと、前記リチウムイオンバッテリに前記DC/DCコンバータを介して接続される第2のバッテリと、前記リチウムイオンバッテリに前記DC/DCコンバータを介して供給される電気エネルギを発生する発電機とを備えた車両用電源装置であって、
    前記リチウムイオンバッテリの充電状態が所定の過充電判定値を上回った場合に、発電を制限する方向に前記発電機を制御すると共に、リチウムイオンバッテリ側から前記第2のバッテリ側に電力供給されるように前記DC/DCコンバータを制御することを特徴とする、車両用電源装置。
  2. 前記発電を制限する方向に前記発電機を制御することは、該発電機の目標発電電圧を最小値に設定することであり、前記リチウムイオンバッテリ側から前記第2のバッテリ側に電力供給されるように前記DC/DCコンバータを制御することは、該DC/DCコンバータの前記第2のバッテリ側の目標出力電圧を最小値に設定することである、請求項1記載の車両用電源装置。
  3. 前記発電を制限する方向に前記発電機を制御することは、該発電機の動作を停止させることである、請求項1記載の車両用電源装置。
  4. イドルストップ時に前記リチウムイオンバッテリから前記DC/DCコンバータを介して所定の補機に電力供給すると共に、少なくとも車両の加速時に前記発電機の発電を抑制する請求項1記載の車両用電源装置であって、
    前記リチウムイオンバッテリの充電状態が所定値を下回った場合に、前記発電機の発電の抑制を解除することを特徴とする、車両用電源装置。
  5. 前記発電機の発電を抑制することは、該発電機の動作を停止させることであり、前記発電機の発電の抑制を解除することは、該発電機の動作を停止させないことである、請求項4記載の車両用電源装置。
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