JP4106792B2 - アイドル停止車両 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、停車時にエンジンを自動的に停止させるアイドル停止車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
交差点における信号待ち等でエンジンの自動停止、自動再起動を行うことにより、燃料消費の抑制と排出ガスの低減を図ったアイドル停止車両が知られている。
【0003】
このようなアイドル停止車両では、エンジンが停止するとエンジンにより駆動されるオイルポンプも停止し、変速機に油圧が供給されない状態になるため、エンジンを再起動する際にオイルポンプが作動するものの変速機の油圧上昇が遅れ、クラッチ係合遅れによるエンジンの空吹けが生じる可能性があった。
【0004】
これを防止するため、特開平8-14076号公報には、変速機油圧保持供給手段としてアキュムレータあるいは電動油圧ポンプを設け、エンジン停止時も自動変速機へ油圧を供給し続けることで、クラッチ係合遅れによるエンジンの空吹けを防止する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、この従来技術ではエンジンの空吹きは防止できるものの、エンジン停止中も自動変速機の変速クラッチ、バルブ群に油圧を供給し続ける構成のため、変速機油圧保持供給手段としてアキュムレータを用いた場合は変速クラッチ、バルブ群からの漏れによる圧力低下を考慮すると装置の大型化が避けられなかった。
【0006】
また、変速機油圧保持供給手段として電動油圧ポンプを用いた場合はアキュムレータに比べ高価となり、さらに電力消費も発生するので燃料消費を抑制するという本来の効果が低下する恐れもあった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を鑑みてなされたものであり、アイドル停止車両において、エンジン再起動時の空吹きを防止しつつ装置の車両への搭載性も向上することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
第1の発明は、エンジンにより駆動される油圧源と、油圧源からの油圧を保持するとともにその油圧を変速機に供給することができる変速機油圧保持供給手段とを備え、所定の運転条件でエンジンの自動停止、自動再起動を行うアイドル停止車両において、エンジン再起動時に変速機油圧保持供給手段に保持した油圧を変速機に供給する手段と、変速機油圧保持供給手段からの油圧供給が開始されてから所定時間経過した後にエンジンの回転を立ち上げる手段と、変速機油圧保持供給手段の油圧と油温を検出する手段を備え、上記所定時間を検出された変速機油圧保持供給手段の油圧と油温に基づき設定するようにしたことを特徴とする。
【0009】
【0010】
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、変速機油圧保持供給手段の油圧を検出する手段と、検出された変速機油圧保持供給手段の油圧が所定圧以下の場合にエンジンの自動停止を禁止する手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第2の発明における所定圧としてエンジン再起動時に変速機に入力されるトルクを伝達可能な油圧値に変速機油圧保持供給手段からの漏れによる圧力低下分を付加した値を設定するようにしたことを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、変速機油圧保持供給手段の油圧と油温を検出する手段を備え、変速機油圧保持供給手段からの漏れによる圧力低下分を検出された油圧保持供給手段の油圧と油温に基づき演算するようにしたことを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1の発明において、変速機油圧保持供給手段の油圧を検出する手段と、エンジン自動停止中、検出された変速機油圧保持供給手段の油圧が所定圧以下に低下した場合にエンジンを自動的に再起動する手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第5の発明における所定圧としてエンジン再起動時に変速機に入力されるトルクを伝達可能な油圧値を設定するようにしたことを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第1から第6の発明において、変速機油圧保持供給手段からの油圧の供給先を変速機内の車両発進に必要な要素に限るように構成したことを特徴とする。
【0017】
【作用及び効果】
第1の発明によると、アイドル停止中に運転者がブレーキペダルの踏み込みを解除するなどしてエンジンが自動再起動される際には、まず、変速機油圧保持供給手段から変速機に油圧供給が開始される。そして、変速機への油圧供給が開始されてから所定時間経過した後にエンジン回転が立ち上げられる。
【0018】
したがって、エンジン回転が立ち上がる時点には変速機に油圧が既に行き渡っており、油圧上昇遅れによる動力伝達要素の係合不良が生じることはなく、エンジンの空吹き等の再発進時の違和感を防止できる。また、従来技術のようにエンジン停止中も変速機へ油圧を供給し続ける必要は無いので、装置を小型化でき、車両への搭載性を損なうこともない。
【0019】
また、変速機に油圧供給を開始してから変速機の動力伝達要素に油圧が行き渡るまでの時間は変速機油圧保持供給手段の油圧や油温によって変化するが、エンジン回転数が立ち上がるまでの時間が変速機油圧保持供給手段の油圧と油温に基づき設定されるので、エンジン回転を適切な時期に立ち上げることができる。
【0020】
【0021】
また、第2、第3の発明によると、信号待ちなどで停車状態となっても、変速機油圧保持供給手段の油圧が所定圧以下、例えばエンジン再起動時に変速機に入力されるトルクを伝達可能な油圧値に変速機油圧保持供給手段からの漏れによる圧力低下分を付加した値以下の場合はエンジンの自動停止が禁止される。これにより、変速機油圧保持供給手段に十分な油圧が蓄えられていない状態でエンジンが自動停止してしまい、エンジン再起動時に変速機に十分な油圧が供給されないといった事態を避けることができる。
【0022】
また、変速機油圧保持供給手段からの漏れによる圧力低下はその油圧と油温によって変化するが、第4の発明によると、上記漏れによる圧力低下分が変速機油圧保持供給手段の油圧と油温に基づき設定されるので、再起動時に必要とされる油圧を正確に求めることができる。
【0023】
また、第5、第6の発明によると、アイドル停止中であっても変速機油圧保持供給手段の油圧が所定圧以下、例えば、起動時の目標エンジン回転数による変速機への入力トルクを伝達可能な油圧値以下となった場合はエンジンが自動的に起動される。これにより、変速機油圧保持供給手段に蓄えられている油圧が再起動時の動力伝達要素を係合するのに必要な油圧以下まで低下してしまうのを防止できる。
【0024】
また、第7の発明によると、変速機油圧保持供給手段からの油圧の供給先が変速機内のエンジン再起動及び車両発進時に必要な要素に限られるので、アイドル停止中の漏れ流量を最小限にできる。これにより、変速機油圧保持供給手段を小さくでき、車両への搭載性が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
まず、図1から図4を参照しながら本発明が適用されるアイドル停止車両及びその油圧制御回路の構成について説明し、その後に図5から図12を参照しながらそのアイドル停止車両において行われるエンジン自動停止起動制御の内容について説明する。
【0027】
図1は本発明が適用されるアイドル停止車両の概略構成を示し、図2、図3はその無段変速機17の油圧制御回路101の概略構成を示す。
【0028】
このアイドル停止車両は、エンジン1と無段変速機17を備え、図示しない各種センサからの信号に基づきコントローラ7がこれらを制御するというものである。特に、信号待ち等の停車時に所定の条件が成立すると、コントローラ7はエンジン1の自動停止、自動再起動を行う。
【0029】
エンジン1と無段変速機17との間にはトルクコンバータ10及び前後進切替機構11が介装されている。トルクコンバータ10の入力軸には油圧源として油圧ポンプ14が連結されており、油圧ポンプ14により発生した油圧は油圧制御回路101に供給される。また、前後進切替機構11は遊星歯車機構19を主体に構成され、油圧制御回路101に駆動される前進クラッチ12と後進クラッチ13を選択的に締結することにより入力軸15の回転方向を切り替えることができる。
【0030】
ここで無段変速機17は、プライマリプーリ16と、セカンダリプーリ26と、それらに掛け回されるVベルト24とから構成されるいわゆるVベルト式の無段変速機である。
【0031】
図2に示すように、プライマリプーリ16は、入力軸15と一体となって回転する固定円錐板18と、これと対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともにプライマリプーリシリンダ室20へ作用する油圧によって入力軸15の軸方向へ変位可能な可動円錐板22とから構成される。同様に、セカンダリプーリ26は、従動軸28と一体となって回転する固定円錐板30と、これと対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともにセカンダリプーリシリンダ室32へ作用する油圧に応じて従動軸28の軸方向へ変位可能な可動円錐板34とから構成される。
【0032】
図1に戻り、従動軸28にはアイドラギヤ48と噛合う駆動ギヤ46が固定され、アイドラギヤ48のアイドラ軸52に設けたピニオンギヤ54がファイナルギヤ55と噛合っている。そして、ファイナルギヤ55は差動装置56を介してドライブシャフト57を駆動する。
【0033】
上記のような駆動力伝達の際に、プライマリプーリシリンダ室20とセカンダリプーリシリンダ室32の油圧を制御してプライマリプーリ16の可動円錐板22及びセカンダリプーリ26の可動円錐板34を軸方向へ変位させ、Vベルト24との接触半径を変更すると、無段変速機17の変速比を変えることができる。
【0034】
例えば、プライマリプーリ16のプーリ溝の幅を拡大すれば、セカンダリプーリ26側のVベルト24の接触半径は相対的に大きくなり、大きな変速比(Low側)が得られる。逆に、プライマリプーリ16のプーリ溝の幅を縮小すれば小さな変速比(Hi側)が得られる。
【0035】
このようなプライマリプーリ16とセカンダリプーリ26のプーリ溝幅の制御は、上記プライマリプーリシリンダ室20とセカンダリプーリシリンダ室32への油圧を制御することで行われる。具体的には、コントローラ7が図2に示す油圧制御回路101のステップモータ64を制御することで行われ、ステップモータ64はコントローラ7からの指令に応じて変速制御弁63を駆動し、プライマリプーリ16のシリンダ室20及びセカンダリプーリ26のシリンダ室32へ供給される油圧を調整し、無段変速機17の変速比を制御する。
【0036】
ライン圧ソレノイド74は、コントローラ7によってデューティ比制御され、パイロット弁61、プレッシャモディファイア弁62を介してライン圧制御弁60を駆動する。そして、エンジン1に駆動される油圧ポンプ14からの油圧を所定のライン圧に設定してライン圧回路40に供給するとともに、ライン圧制御弁60のクラッチ圧回路41に所定の油圧を供給する。なお、セカンダリプーリ26のシリンダ室32はライン圧回路40と連通している。
【0037】
さらに、ライン圧制御弁60の下流に接続されたクラッチ圧回路41には、図3に示すように、逆止弁108を介してシフトレバー81に応動するマニュアル弁107のポート107bが接続され、マニュアル弁107のスプール107sの位置に応じてポート107aまたはポート107bを介して前進クラッチ12または後進クラッチ13へ油圧が供給される。
【0038】
すなわち、シフトレバー81がDレンジなどの前進位置にあれば、ポート107bと107aが連通して前進クラッチ12にクラッチ圧回路41の油圧が供給され締結される一方、ポート107cはドレンポート107dと連通して後進クラッチ13が解放される。また、シフトレバー81がRレンジの後進位置にあれば、ポート107bとポート107cが連通して後進クラッチ13にクラッチ圧回路41の油圧が供給され締結される一方、ポート107aはドレン側(図中上方の×印)と連通して前進クラッチが解放される。
【0039】
以上の構成は、本出願人による特開平9-242855号公報に開示された油圧制御回路とほぼ同じであるが、本実施形態では、さらに油圧ポンプ14からの油圧を保持するとともに、コントローラ7からの油圧供給指令を受けて保持した油圧を無段変速機17の動力伝達要素(前進クラッチ12あるいは後進クラッチ13)に供給することができる変速機油圧保持供給回路9が備えられる。そして、上記クラッチ圧回路41の逆止弁108とマニュアル弁107の間には、この変速機油圧保持供給回路9からの油圧を導く油圧供給回路42が逆止弁109を介して接続される。
【0040】
逆止弁108は、油圧供給回路42からの油圧がライン圧制御弁60側へ流れるのを規制し、変速機油圧保持供給回路9からの油圧をマニュアル弁107のみへ導くためものであり、逆止弁109は、エンジン1の運転中にライン圧制御弁60からの油圧が変速機油圧保持供給回路9へ流入するのを規制するためものである。
【0041】
この変速機油圧保持供給回路9の構成について図4を参照しながら詳しく説明する。
【0042】
図4に示すように、油圧制御回路101のライン圧回路40には、セカンダリプーリシリンダ室32と油圧ポンプ14の間に遮断弁120が介装され、この遮断弁120とセカンダリプーリシリンダ室32の間には逆止弁121を介して油圧供給回路42が配設される。
【0043】
無段変速機17は上述の通りプライマリプーリ16、セカンダリプーリ26とVベルト24の接触摩擦力によって動力の伝達を行うため、エンジン1が停止してライン圧が発生しない場合にセカンダリプーリシリンダ室32の油圧が抜けてしまうと、エンジン再起動時にはセカンダリプーリシリンダ室32の油圧が上昇するまで駆動力の伝達を行うことができなくなってしまう。
【0044】
そのため、ライン圧が所定値以下になれば遮断弁120によりセカンダリプーリ油圧室32と油圧ポンプ14を遮断し、また、セカンダリプーリシリンダ室32の油圧が減圧弁117の設定圧以下になると逆止弁121が開弁し、変速機油圧保持供給回路9からセカンダリプーリシリンダ室32へ油圧が供給されるように構成されている。
【0045】
変速機油圧保持供給回路9には蓄圧制御弁112及び逆止弁114を介してアキュムレータ115が設けられ、それによって保持された油圧ポンプからの油圧が減圧弁117へ供給されるよう構成されている。この減圧弁117の下流は油圧供給回路42と連通している。
【0046】
蓄圧調整弁112は、油圧ポンプ14からの油圧(ライン圧)が所定値、例えば、アキュムレータ最大圧以下で連通し、逆止弁114を介してアキュムレータ115に油圧を供給する一方、ライン圧が所定値を超えた場合は、油圧ポンプからアキュムレータ115への油圧を遮断し、蓄圧のためのエネルギ損失を最小にする。
【0047】
また、減圧弁117は油圧供給回路42へ供給する油圧を前進クラッチ12または後進クラッチ13が締結直前となるような所定の油圧(例えば、約0.2MPa)に減圧する。
【0048】
そして、逆止弁114と減圧弁117の間にはリリーフ弁113、油圧センサ116及び油温センサ111が設けられる。リリーフ弁113は逆止弁114と減圧弁117の間の油圧が所定値、例えば、アキュムレータ最大圧以上にならないように作動する。圧力センサ116、油温センサ111はアキュムレータ115の油圧と油温を検出し、後述するエンジン自動停止起動制御に使用される。
【0049】
本実施形態ではさらに、エンジン再起動時に無段変速機17の動力伝達要素の油圧をエンジン回転の立上げに先行して立上げるべく、逆止弁114と減圧弁117の間に、減圧弁117のスプリング室側と連通するパイロット圧回路119を配設し、このパイロット圧回路119にコントローラ7により制御される三方電磁弁118を介装する。
【0050】
この三方電磁弁118は、コントローラ7からの指令に応じて減圧弁117のスプリング室側に逆止弁114の下流の油圧を供給するか、ドレーン状態にするかを切り替えるものであり、逆止弁114の下流の油圧をスプリング室側に導くと、逆止弁117は単純な切替弁となってリリーフ弁113の設定圧またはアキュムレータ115の油圧が油圧供給回路42を介して動力伝達要素(前進クラッチ12等)へ供給される。なお、スプリング室側をドレーン状態にした場合には、スプリングの設定圧に応じて減圧した油圧が油圧供給回路42へ供給される。
【0051】
続いて、図5から図12を参照しながら、上記構成のアイドル停止車両において行われるエンジン自動停止起動制御の内容を、エンジン再起動時の処理、エンジン停止許可判定の処理、エンジン再起動判定の処理に分けて説明する。
【0052】
まず、エンジン再起動時、すなわちアイドル停止状態からエンジンを再起動する際に行われる処理について説明する。
【0053】
図5はそのときの処理内容を示したものであり、まずステップS11では、エンジン自動起動指令が出されているか否かが判断される。ここでエンジン自動起動指令とは、アイドル停止中に所定の条件(ブレーキペダルON→OFF等)を満たしたときに出される指令である。エンジン自動起動指令が出されていると判断された場合はステップS12へ進み、それ以外はステップS11にとどまる。なお、この時点ではエンジン自動起動指令が出されているだけで、エンジン1はまだ起動しない。
【0054】
ステップS12では、圧力センサ116、油温センサ111からの出力に基づき、供給元である変速機油圧保持供給回路9の逆止弁114と減圧弁117の間の油圧回路部の油圧と油温が検出される。
【0055】
ステップS13では、ステップS12で検出された供給元の油圧と油温に基づき図6に示すようなマップデータを参照してエンジン1の回転を立ち上げるまでの待機時間が設定される。油圧、油温が高いほど短時間で供給先に油圧が行き渡ると考えられるので、待機時間は油圧が高いほど、また、油温が高いほど短く設定される。
【0056】
ステップS14に進むと、変速機油圧保持供給回路9に油圧供給指令が出され、自動変速機17の動力伝達要素(前進クラッチ12等)への油圧の供給が開始される。具体的には三方向電磁弁118を駆動し、リリーフ弁113の設定圧またはアキュムレータ115の油圧が油圧供給回路42へ供給される。
【0057】
ステップS15では上記油圧供給指令が出されてからの経過時間tの計測が開始され、ステップS16では経過時間tがステップS13で設定した待機時間以上となったか否かが判断される。そして、待機時間経過した場合はステップS17へ進み、それ以外はステップS16にとどまる。
【0058】
ステップS17ではエンジン回転立上げ指令が出される。具体的には、エンジン起動用モータ、例えば、スタータモータに通電が行われ、エンジン1が起動される。
【0059】
したがって、上記フローを処理することにより、アイドル停止中に運転者がブレーキペダルの踏み込みを解除するなどしてエンジン自動起動指令が出されると、まず、変速機油圧保持供給回路9から無段変速機17に油圧供給が開始される。そして、油圧供給が開始されてから所定時間経過した後にエンジン1の回転立上げ指令が出されることになる。このように無段変速機17の油圧が先行して立上げられるので、エンジン1の回転立上げ指令が出された時点では、発進に必要な動力伝達要素(前進クラッチ12等)には既に十分な油圧が供給されており、クラッチ係合不良によるエンジン1の空吹きが生じることはない。
【0060】
従来技術のようにエンジン1が停止中にも変速機へ油圧を供給し続けるものではなく、また、油圧の供給先を車両発進に必要な前進クラッチ12等に限っているので、アイドル停止中の漏れ流量を最小限にできる。これにより、アキュムレータ115等の蓄圧要素を小型化でき、車両への搭載性が向上する。
【0061】
さらに、供給元の油圧と油温により油圧供給の応答時間は変化するが、本実施形態ではこれらをパラメータとして待機時間を設定しているので、エンジン回転立上げまでの待機時間として最短の時間を設定することができる。これにより、エンジン回転の立上げ遅れが必要最小限にとどめられ、発進フィーリングを向上させることができる。
【0062】
エンジン再起動時における供給先油圧、エンジン回転の変化の様子は図7に示すようになる。上述したように油圧供給が開始されて所定時間経過してからエンジン回転立上げ指令が出されるので、クラッチの係合不良によるエンジンの空吹きは確実に防止される。
【0063】
なお、ここでは油圧供給指令が出されて所定時間経過した後にエンジン回転立上げ指令を出しているが、図8に示すように供給先の油圧を検出し(ステップS23)、それが所定油圧以上、例えばエンジン再起動時に自動変速機17に入力されるトルクをクラッチを滑らせずに伝達できる油圧以上になってからエンジン回転立上げ指令を出すようにしてもよい(ステップS24、S25)。
【0064】
この場合のエンジン再起動時における供給先油圧、エンジン回転数の変化の様子は図9に示すようになる。このように供給先の油圧が実際に所定値まで上昇してからエンジン回転の立上げ指令を出すことにより、クラッチ係合不良の状態でエンジン回転が立ち上がってしまうのを確実に防止できる。
【0065】
次に、エンジン停止許可の判定処理、すなわち信号待ちなどで停車した際にアイドルストップを許可するか否かの判定処理について説明する。
【0066】
図10はそのエンジン停止許可の判定処理の内容を示し、まずステップS31では、エンジン回転中(通常運転中)の状態にあるか否かが判断される。エンジン回転中であると判断された場合はステップS32へ進み、それ以外はステップS31にとどまる。
【0067】
ステップS32ではエンジン停止の条件、例えば、車速ゼロかつブレーキペダルON等の条件を満足しているか否かが判断される。条件を満足している場合はステップS33へ進み、それ以外はステップS32にとどまる。
【0068】
ステップS33では供給元である変速機油圧保持供給回路9の逆止弁114と減圧弁117の間の油圧回路部の油圧と油温が検出され、ステップS34では、ステップS33で検出された油圧と油温に基づき漏れによる圧力低下分が演算される。ここで漏れによる圧力低下分は、図11に示すようなマップデータを参照することで演算され、供給元の圧力が高いほど、また供給元の油温が高いほど大きな値が演算される。
【0069】
ステップS35では供給元の油圧が所定圧、例えば、エンジン再起動時に無段変速機17に入力されるトルクを伝達するのに要する油圧に上記漏れによる圧力低下分を加えた値を超えているか否かが判断され、超えていなければステップS36へ進んでエンジンの自動停止が禁止される。
【0070】
したがって、このフローを処理することにより、信号待ち等で停車状態になったとしても、再起動する際に必要な油圧が確保されていない場合はエンジンの自動停止が禁止されることになる。また、クラッチ係合不良を生じることなく再起動を行うために、上記必要油圧は停止期間中に発生する漏れによる油圧低下分を考慮して設定され、漏れによる圧力低下が大きい場合には必要油圧として大きな値が設定される。これにより、供給元である変速機油圧保持供給回路9に十分な油圧が蓄えられていない状態のままエンジン停止が停止するのを防止でき、エンジン再起動時の油圧不足による動力伝達要素の係合不良を防止できる。
【0071】
さらに、漏れによる圧力低下は供給元の油圧や油温によって異なるが、漏れによる圧力低下分が供給元油圧と油温をパラメータとしたマップデータを参照して演算されるので、油温が変化した場合でも最適な判断ができる。
【0072】
なお、ここでは再起動時の必要油圧としてエンジン再起動時に無段変速機17に入力されるトルクを伝達するのに要する油圧に漏れによる圧力低下分を加えた値を設定しているが、これを簡略化してアキュムレータの最大圧を設定するようにしても同様の効果が得られる。
【0073】
次に、エンジン再起動判定の処理、すなわちアイドル停止時にエンジンを再起動するか否かの判定処理について説明する。
【0074】
図12はエンジン再起動判定の処理の内容を示すフローチャートであり、まずステップS41では、エンジン停止中の状態にあるか否かが判断され、エンジン停止中の状態にあるときはステップS42へ進む。
【0075】
ステップS42では、エンジン再起動の条件、例えば、ブレーキペダルON→OFF等の条件を満足しているか否かが判断され、条件を満たしている場合はステップS44へ進んでエンジン自動起動指令が出され、条件を満たしていない場合にはステップS43へ進む。
【0076】
ステップS43では、供給元である逆止弁114と減圧弁117の間の油圧回路部の油圧が所定圧以下、例えば起動時の目標エンジン回転数により変速機へ入力されるトルクを伝達可能な油圧値以下であるかが判断され、所定圧以下の場合はステップS44へ進んでエンジン自動起動指令が出される。なお、所定圧としてアキュムレータの最大圧と最小圧の中央値を設定するようにしてもよい。
【0077】
したがって、このフローを処理することにより、エンジン停止中に変速機油圧保持供給回路9の油圧が漏れ等により再起動時に必要な油圧付近まで低下した場合には、その他の再起動の条件を満足していなくてもエンジン自動起動指令が出されることになる。これにより供給元圧不足によるエンジン再起動時の動力伝達要素の係合不良を防止でき、アイドル停止車両の信頼性を向上することができる。
【0078】
なお、油圧低下によりエンジン1を自動起動する場合は、運転者の発進意思とは無関係にエンジン1が起動するので、エンジン起動前にブザーやランプなどにより注意を促すような構成としてもよい。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、変速機油圧保持供給手段を備えたアイドル停止車両であれば広く適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるアイドル停止車両の概略構成図である。
【図2】無段変速機の油圧制御回路の概略構成図である。
【図3】同じく無段変速機の油圧制御回路の概略構成図である。
【図4】変速機油圧保持供給回路の概略構成図である。
【図5】エンジン再起動時における処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】供給元の油圧と油温に基づきエンジン回転数を立ち上げるまでの待機時間を設定するためのマップである。
【図7】エンジン再起動時における供給先油圧、エンジン回転数の変化の様子を示したタイミングチャートである。
【図8】エンジン再起動時における処理の別の例を説明するためのフローチャートである。
【図9】その場合のエンジン再起動時における供給先油圧、エンジン回転数の変化の様子を示したタイミングチャートである。
【図10】エンジン停止許可判定の処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】供給元の油圧と油温に基づき、漏れによる圧力低下分を演算するためのマップである。
【図12】エンジン再起動判定の処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
7 コントローラ
9 変速機油圧保持供給回路
12 前進クラッチ
13 後進クラッチ
17 無段変速機
42 油圧供給回路
101 油圧制御回路
107 マニュアルバルブ
111 油温センサ
116 圧力センサ
115 アキュムレータ
Claims (7)
- エンジンにより駆動される油圧源と、油圧源からの油圧を保持するとともにその油圧を変速機に供給することができる変速機油圧保持供給手段とを備え、所定の運転条件でエンジンの自動停止、自動再起動を行うアイドル停止車両において、
エンジン再起動時に前記変速機油圧保持供給手段に保持した油圧を変速機に供給する手段と、
前記変速機油圧保持供給手段からの油圧供給が開始されてから所定時間経過した後に前記エンジンの回転を立ち上げる手段と、
前記変速機油圧保持供給手段の油圧と油温を検出する手段を備え、
前記所定時間を、検出された変速機油圧保持供給手段の油圧と油温に基づき設定するようにしたことを特徴とするアイドル停止車両。 - 前記変速機油圧保持供給手段の油圧を検出する手段と、
検出された変速機油圧保持供給手段の油圧が所定圧以下の場合にエンジンの自動停止を禁止する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のアイドル停止車両。 - 前記所定圧を、エンジン再起動時に変速機に入力されるトルクを伝達可能な油圧値に前記変速機油圧保持供給手段からの漏れによる圧力低下分を付加した値に設定するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のアイドル停止車両。
- 前記変速機油圧保持供給手段の油圧と油温を検出する手段を備え、
前記変速機油圧保持供給手段からの漏れによる圧力低下分を、検出された油圧保持供給手段の油圧と油温に基づき演算するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のアイドル停止車両。 - 前記変速機油圧保持供給手段の油圧を検出する手段と、
エンジン自動停止中、検出された変速機油圧保持供給手段の油圧が所定圧以下に低下した場合にエンジンを自動的に再起動する手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のアイドル停止車両。 - 前記所定圧を、エンジン再起動時に変速機に入力されるトルクを伝達可能な油圧値に設定するようにしたことを特徴とする請求項5に記載のアイドル停止車両。
- 前記変速機油圧保持供給手段からの油圧の供給先を、前記変速機内の車両発進に必要な要素に限るように構成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のアイドル停止車両。
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