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JP4103314B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置 Download PDF

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JP4103314B2
JP4103314B2 JP2000241504A JP2000241504A JP4103314B2 JP 4103314 B2 JP4103314 B2 JP 4103314B2 JP 2000241504 A JP2000241504 A JP 2000241504A JP 2000241504 A JP2000241504 A JP 2000241504A JP 4103314 B2 JP4103314 B2 JP 4103314B2
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳細には機関停止後に機関から燃料蒸気の大気への放出を防止可能な内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各気筒の吸気ポートに燃料を噴射するポート燃料噴射弁を備えた内燃機関が一般に知られている。この種の内燃機関では一般に吸気弁閉弁期間中に吸気ポートに燃料を噴射する非同期噴射が行われる。吸気弁閉弁期間中に吸気ポートに噴射された燃料は、吸気ポート壁面の熱を受けて蒸発し燃料の気化が良好になる。また、吸気弁が開弁すると吸気ポートには気筒に吸入される高速気流が生じ、気化した燃料が高速気流により攪拌され空気と混合するため、気筒には均一な混合気が吸入されるようになり混合気の燃焼状態が向上する利点がある。
【0003】
この種の燃料噴射弁を備えた内燃機関の例としては、例えば特開平5−231222号公報に記載されたものがある。
同公報の機関では、機関が所定の負荷より低い負荷で運転されている場合には上述の非同期噴射を行い、機関負荷が所定値より高くなると上記の非同期噴射から、吸気弁開弁期間中に燃料噴射を行う同期噴射への切換を行うようにしたものである。
【0004】
非同期噴射の場合、機関負荷が低く燃料噴射弁から噴射される燃料の量が比較的少ない場合には、噴射された燃料は吸気ポート内で完全に気化し吸気弁開弁とともに気筒内に吸入される。しかし、機関負荷が高くなり燃料噴射弁から噴射ささる燃料の量が多くなると、噴射された燃料の全量が吸気ポート内で気化せず、液状の燃料が吸気ポート壁面に付着する場合が生じる。燃料の吸気ポート壁面付着が生じると、吸気弁開弁時にも気筒内に吸入されず吸気ポート壁面上に残留する燃料が生じるようになるため、高負荷運転時に必要量の燃料を気筒に供給できない場合が生じる。上記特開平5−231222号公報の機関では、高負荷運転時に同期噴射を行うことにより、吸気ポート壁面への燃料の付着を防止している。すなわち、同期噴射では吸気弁開弁により生じた吸入空気流中に燃料が噴射されるため、噴射された燃料はこの空気流に搬送されて吸気ポート壁面に付着することなく直接気筒内に流入するようになる。このため、高負荷運転時に非同期噴射から同期噴射への切換を行うことにより、吸気ポートへの燃料の付着を防止することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、燃料の非同期噴射では、高負荷運転時に燃料の吸気ポート壁面への付着が生じる問題がある。しかし、非同期噴射を実施する機関では更に、吸気ポートに噴射された燃料が機関停止中に大気に放出される問題が生じやすい。すなわち、非同期噴射では機関吸気弁閉弁期間に吸気ポートへの燃料噴射が行われるため、機関停止時に吸気ポートに燃料が残留したままで機関が停止する場合が生じる。吸気ポートに残留した燃料は機関の停止中に時間とともに気化して、吸気通路入口から大気に放散しやすくなる問題がある。
【0006】
また、非同期噴射に限らず、同期噴射を行う場合、或いは気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁を有する機関においても、噴射された燃料が吸気ポート或いは燃焼室内に残留した状態で期間が停止すると、残留燃料が大気に放出されやすくなる問題がある。
例えば、同期噴射、或いは筒内噴射弁による燃料噴射が行われて噴射された燃料のほぼ全量が燃焼室内に供給された場合であっても、燃焼室内に未燃燃料が残留していると、機関停止時に吸気弁が開弁した状態になっている気筒では、燃焼室内で蒸発した未燃燃料が開弁中の吸気弁から吸気通路に流出し、吸気通路入口から大気に放散する場合がある。また、吸気弁が閉弁した状態で停止した気筒においても、残留燃料が気筒内で蒸発すると、燃料蒸気がピストンとシリンダとの間の空隙からクランク室を経由して他の気筒内に流入するため、1つでも気筒が開弁した状態で停止した気筒があると、結局その気筒から全気筒の残留燃料が大気に放散されてしまう場合がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、燃料噴射弁から噴射された燃料が機関停止中に大気に放出されることを防止することが可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、機関各気筒の吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁の燃料噴射時期を制御する内燃機関の制御装置であって、機関停止指令信号を入力したときに、各燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅延させて、各気筒の吸気弁開弁期間内に燃料噴射を行う運転を所定の時間だけ継続し、その後各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止して機関を停止させる機関停止操作を行う停止制御手段を備えた、内燃機関の制御装置が提供される。
【0009】
すなわち、請求項1の発明では停止制御手段は機関停止指令を入力した後燃料噴射を停止する前に、各燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅延させて各気筒の吸気弁開弁期間内に燃料噴射を行う運転を所定の期間だけ継続する。「各燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅延させて、各気筒の吸気弁開弁期間内に燃料噴射を行う」とは、機関停止前に非同期噴射を実行している機関においては、噴射時期を遅延させて同期噴射に切り換えることを、また機関停止前に同期噴射を実行している機関においては、吸気弁開弁期間内で更に噴射時期を遅らせることを意味する。これにより、吸気弁が開弁して気筒内に流入する空気流が確立された状態で吸気ポート内に燃料が噴射されるようになるため噴射された燃料は吸気ポートに残留することなく気筒内に流入するようになる。
【0010】
停止制御手段は、この状態で所定時間(例えば、全気筒で燃料噴射時期を遅延させた燃料噴射が少なくとも1回行われる期間、すなわち4サイクル機関ではクランク軸2回転以上の時間)機関の運転を継続した後に燃料噴射を停止する。これにより、機関の回転が停止したときには各気筒の吸気ポートに燃料が残留しないようになり、停止後に吸気ポート内の残留燃料が吸気通路を経て大気に放散されることが防止される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、機関吸入空気量を絞る絞り弁手段とを備えた内燃機関の制御装置であって、機関停止指令信号を入力したときに、各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止し、その後機関の回転が停止する前に前記絞り弁手段を全開にして機関吸入空気量を増大させる機関停止操作を行う停止制御手段を備えた、内燃機関の制御装置が提供される。
【0012】
すなわち請求項2の発明では、停止制御手段は機関停止指令信号を入力すると直ちに各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止して絞り弁を開弁する。通常、機関は燃料噴射停止後も完全に回転を停止するまでに惰力により数回転するため、絞り弁を開弁すると機関が完全に回転を停止するまでの間に、吸気ポートを通って気筒内に流入する空気流量が増大する。これにより、吸気ポートに燃料を噴射するポート燃料噴射弁を有する機関においても、吸気ポートに残留した燃料は強い吸気流に搬送され気筒内に吸入されるようになり、吸気ポートに燃料が残留することが防止される。また、気筒内に吸入される空気量が増大するため排気弁が開弁すると気筒から排気通路に向かう強い排気流が発生し、吸気ポートから気筒内に流入した燃料は排気流とともに排気通路に排出される。通常、排気通路には排気浄化触媒が設けられてており、排気通路に排出された燃料は運転停止直後の高温の触媒を通過する際に酸化されるため、吸気ポートに残留した燃料を排気通路に排出するようにしたことにより、未燃燃料の大気への放出が防止される。
【0013】
また、直接筒内噴射弁を備えた機関では、機関停止時に気筒内に残留する燃料が生じる場合があるが、この場合も上記により機関停止時の吸気流量を増大させることにより気筒内に残留した燃料は排気通路に効果的に排出され、排気浄化触媒により酸化される。
なお、機関吸入空気量を絞る絞り弁手段としては、例えばアクチュエータを有し運転者のアクセルペダル操作とは独立して開度を変更可能な、いわゆる電子制御スロットル弁、或いはスロットル弁とは独立したアイドル回転数制御用のアイドル回転数制御弁(ISC) 弁を使用することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、機関吸入空気量を絞る絞り弁手段とを備えた内燃機関の制御装置であって、機関停止指令信号を入力したときに、先ず前記絞り弁手段を開き機関吸入空気量を増大させることにより機関回転数を上昇させ、その後前記各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止し、次いで前記絞り弁手段を閉弁して機関吸入空気量を減少させるとともに、その後機関の回転が停止する前に前記絞り弁手段を開いて機関吸入空気量を増大させる機関停止操作を行う停止制御手段を備えた、内燃機関の制御装置が提供される。
【0017】
すなわち請求項3の発明では、機関停止指令を入力したときに請求項3の発明と同様に絞り弁を一旦閉弁してから開く操作を行うが、燃料噴射を停止する前に絞り弁手段を開き機関吸入空気量を増大させる操作を行う点が相違している。燃料噴射を停止する前に機関吸入空気量を増大させることにより、機関回転数が増大するため、燃料噴射停止時の機関回転数を高く維持することが可能となる。このため、本発明では燃料噴射停止後の惰性回転時間が長くなり、燃料噴射停止後により完全に吸気ポートや気筒内に残留した燃料を排気通路に排出することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の全体構成を示す概略図である。図1において、1は内燃機関本体、2aは機関1の吸気通路に設けられたサージタンク、2bはサージタンク2aと各気筒の吸気ポート2を接続する吸気マニホルド、16はサージタンク2aの上流側の吸気通路に配置されたスロットル弁、7は機関1の各気筒の吸気ポートに加圧燃料を噴射する燃料噴射弁である。
【0019】
本実施形態では、スロットル弁16はステッパモータ等のアクチュエータ16aを備えており、後述するECU10から入力する制御信号に応じた開度をとる形式のものが使用されている。すなわち、本実施形態のスロットル弁16としては、運転者のアクセルペダル操作量とは無関係な開度をとることができる、いわゆる電子制御スロットル弁が用いられている。また、スロットル弁16にはスロットル弁の動作量(開度)に応じた電圧信号を発生するスロットル開度センサ17が設けられている。
【0020】
図1において11は各気筒の排気ポートを共通の集合排気管14に接続する排気マニホルド、20は排気管14に配置された三元触媒、13は排気マニホルド11の排気合流部(三元触媒20上流側)に配置された上流側空燃比センサ、15は三元触媒20下流側の排気管14に配置された下流側空燃比センサである。三元触媒20は、流入する排気空燃比が理論空燃比近傍にあるときに排気中のHC、CO、NOX の3成分を同時に浄化することができる。空燃比センサ13、15は機関通常運転時に機関空燃比が所定の目標空燃比になるように機関への燃料噴射量をフィードバック制御する際の排気空燃比検出に用いられる。
【0021】
本実施形態では、吸気通路入口には機関吸入空気量に応じた電圧信号を発生するエアフローメータ3が、また、機関本体1のシリンダブロックのウォータジャケット8には、冷却水の温度に応じたアナログ電圧の電気信号を発生する水温センサ9が設けられている。
なお、上述のスロットル弁開度センサ17、エアフローメータ3、水温センサ9及び空燃比センサ13、15の出力信号は、後述するECU10のマルチプレクサ内蔵A/D変換器101に入力される。
【0022】
図1に5、6で示すのは、機関1のクランク軸(図示せず)の近傍に配置されたクランク角センサである。クランク角センサ5は例えばクランク角に換算して720°毎に基準位置検出用パルス信号を発生し、クランク角センサ6は、クランク角30°毎にクランク角検出用パルス信号を発生する。これらクランク角センサ5、6のパルス信号はECU10の入出力インターフェイス102に供給され、このうちクランク角センサ6の出力はECU10のCPU103の割込み端子に供給される。ECU10は、クランク角センサ6からのクランク角パルス信号間隔に基づいて機関1の回転数(回転速度)を、またクランク角センサセ5からの基準位置検出用パルス信号とクランク角センサ6からのクランク角パルス信号とに基づいてクランク軸回転位相(クランク角) をそれぞれ算出し、種々の制御に使用している。
【0023】
機関1の電子制御ユニット(ECU)10は、たとえばマイクロコンピュータとして構成され、マルチプレクサ内蔵A/D変換器101、入出力インターフェイス102、CPU103の他に、ROM104、RAM105、メインスイッチがオフにされた場合でも記憶保持可能なバックアップRAM106、クロック発生回路107等が設けられている。
【0024】
ECU10は、機関吸入空気量に基づく燃料噴射量制御、点火時期制御等の機関1の基本制御を行っている。また、本実施形態ではECU10は上記基本制御の他に、機関停止時に燃料噴射時期やスロットル弁16開度を調節する、後述する機関停止制御を行う。
上記制御を行うため、ECU10は一定時間毎に実行するA/D変換ルーチンにより、エアフローメータ3からの機関吸入空気量信号、スロットル開度センサ17からのスロットル開度信号、水温センサ9からの冷却水温度信号をA/D変換して入力している。
【0025】
また、ECU10の入出力インターフェイス102は、駆動回路108を介して燃料噴射弁7に接続され、燃料噴射弁7からの燃料噴射量、噴射時期を制御している他、点火回路110を介して機関1の各点火プラグ111に接続され、機関の点火時期を制御している。更に、ECU10の入出力インターフェイス102は、駆動回路113を介してスロットル弁16のアクチュエータ16aに接続され、スロットル弁16開度を制御している。
【0026】
次に、本実施形態の機関停止制御について説明する。
本実施形態では、通常の運転時にはECU10は、各気筒の吸気弁閉弁期間中に燃料噴射弁7から各気筒吸気ポートに燃料を噴射する非同期燃料噴射を行う。このため、機関停止時には噴射された燃料が各気筒の吸気ポートに残留する場合がある。吸気ポート2に残留した燃料は機関停止中に気化して吸気マニホルド2b、サージタンク2aを経てエアクリーナから大気に放出される場合があり、大気汚染の原因となる可能性がある。このため、以下に説明する実施形態では、機関停止時に吸気ポートに残留した燃料が大気に放出されることを防止するための機関停止制御を行っている。以下、残留燃料の大気放出防止のための機関停止制御の実施形態について説明する。
【0027】
(1)第1の実施形態
本実施形態では、ECU10は運転者の機関停止指令を入力したとき(すなわち、機関メインスイッチがオフにされたとき)、直ちには機関を停止せず燃料噴射時期を遅延させて非同期噴射から同期噴射に切換えて運転を継続し、所定の時間同期噴射で機関を運転した後に燃料噴射を停止して機関を停止する。
【0028】
非同期噴射では、各気筒の吸気弁閉弁期間の吸気ポートに空気流が生じていない状態で燃料噴射が行われるため、噴射された燃料は吸気ポート内に残留しやすい。これに対して、同期噴射では吸気弁が開弁して吸気ポート内に強い吸気流が生じている中に燃料が噴射されるため、噴射された燃料は吸気ポート内に残留することなく吸気流に乗って気筒内に流入するようになる。このため、噴射された燃料のほぼ全量が気筒燃焼室内で燃焼し排気マニホルド11に排出されるようになり、機関が停止したときに吸気通路から大気に未燃燃料が放出されることが防止される。
【0029】
なお、機関停止前の同期噴射における燃料噴射タイミングは、吸気ポートへの燃料の残留防止のためには、吸気行程の中期(例えば上死点後60°〜120°程度の期間)とするのが好ましい。この時期では吸気弁のリフト量も大きくなっており、更にピストンの降下速度も大きくなるため吸気ポートには強い吸気流が生じており、燃料噴射弁から噴射された燃料のほぼ全量が吸気ポートに残留することなく気筒内に吸入されるようになるためである。
【0030】
吸気ポートを通過する吸気流は吸気行程後期になるほど強くなるため、吸気ポートへの燃料残留を防止する観点からは燃料噴射時期を吸気行程の範囲内でできるだけ遅延することが好ましいが、実際には吸気行程の上死点後約120°より燃料噴射時期を遅延させると燃焼が悪化することが判明している。このため、本実施形態では燃料噴射時期は吸気行程上死点後120°より前になるようにしている。
【0031】
また、本実施形態では通常時に非同期噴射を行う機関を例にとって説明したが、通常時に同期噴射を行う機関においては、一般に燃料噴射時期は上死点後60°程度に設定されている。このため、同期噴射を行っている場合にも機関停止時に更に燃料噴射時期を上死点後120°近くまで遅延させて機関の運転を行った後に燃料噴射を停止することにより、吸気ポートに残留する燃料を更に低減することが可能となる。
【0032】
なお、燃料噴射時期を遅延させて運転を行う時間は、全部の気筒で遅延された燃料噴射時期での噴射が少なくとも1回行われる時間とすることが好ましく、例えば4サイクル機関ではクランク回転角720°以上(すなわち、クランク軸が2回転以上回転する間)とされる。
図2は、本実施形態の機関停止制御操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
【0033】
図2の操作がスタートすると、ステップ201では、現在機関が停止しているか否かが判定され、現在機関が停止中である場合には本操作は直ちに終了する。本実施形態では、機関回転数が所定の低い値(例えば400rpm)以下である場合には現在機関が停止中であると判断する。
ステップ201で、現在機関が運転中(すなわち、機関回転数が所定値以上)であった場合には、次にステップ203では機関メインスイッチ(例えばイグニッションキー)がオフにされているか否かを判定し、オフにされていない場合には、機関停止の指令が出されていないため、ステップ205に進み燃料噴射、点火時期等について通常の機関制御を継続するとともに、ステップ207で後述するカウンタCTの値をゼロにセットする。これにより、機関の通常の運転が行われる。
【0034】
一方、ステップ203でメインスイッチがオフにされていた場合には、ステップ209に進みカウンタCTの値を1カウントアップする。カウンタCTの値はメインスイッチがオンの場合には常にステップ207でゼロにセットされるため、ステップ209でカウントアップ後のCTの値はメインスイッチがオフにされてから、すなわち運転者による機関停止指令が出されてからの経過時間を表すことになる。
【0035】
次いで、ステップ211では、上記カウンタCTの値が所定値CT0に到達したか否か、すなわち機関停止指令が出されてから所定の時間CT0が経過したか否かが判定される。そして、CT≦CT0であった場合にはステップ213に進み、燃料噴射時期を吸気行程上死点後60°〜120°の範囲に遅延して運転が継続される。また、ステップ211で所定時間CT0が経過すると、ステップ215が実行され、各燃料噴射弁7の燃料噴射が停止されるとともに電源がオフにされECU10の全部の機関制御が停止する。
【0036】
すなわち、本実施形態では、機関停止指令が出されてから、所定の時間(全気筒で時期を遅延した燃料噴射が少なくとも1回行われる時間)だけ燃料噴射時期を遅延した運転が行われ、その後機関が停止される。
(2)第2の実施形態
本実施形態では、ECU10は機関を停止する際に燃料噴射を停止するとともにスロットル弁16のアクチュエータ16aを駆動してスロットル弁16を全開位置に保持する。通常、機関は燃料噴射を停止しても直ちに回転は停止せず、惰力により数回転してから完全に停止する。このため、この惰力回転時にも気筒には空気が吸入される。
【0037】
本実施形態では、この惰力回転時にスロットル弁16を全開にして多量の空気を吸気ポートに通過させ気筒内に流入させることにより、吸気ポートに残留した燃料を気筒を経由して排気通路に排出する。排気通路には、排気浄化触媒20が設けられているため、排気通路に排出された未燃燃料は運転直後の高温の触媒を通過する際に酸化され、二酸化炭素と水に分解される。これにより、未燃燃料の大気への放出が防止されるようになる。
【0038】
なお、本実施形態では、吸気ポートに燃料噴射を行うポート噴射弁7を用いているが、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁を有する機関においても、惰力回転中の吸気流を増大させることにより、気筒内に残留した燃料を多量の吸気とともに完全に排気通路に排出することが可能となる。このため、筒内燃料噴射弁を有する機関においても、本実施形態の機関停止制御を行うことにより未燃燃料の大気放出を低減することが可能となる。
【0039】
図3は、本実施形態の機関停止制御操作を示すフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図3の操作において、ステップ301では、図2ステップ201と同様に、機関が停止しているか否か(機関回転数が所定値より低いか否か)が判定され、機関が停止している場合には、図2の操作と同様に本操作は直ちに終了する。
【0040】
また、ステップ301で機関が運転中であった場合には、ステップ303で現在メインスイッチがオフになっているか否か、すなわち運転者による機関停止指令が出されているか否かが判定される。この場合も、メインスイッチがオフになっていない場合には、ステップ305に進み図2ステップ205と同様通常運転の制御が行われる。
【0041】
一方、ステップ303で現在メインスイッチがオフになっている場合には、ステップ307で各燃料噴射弁7からの燃料噴射は停止され、同時にステップ309でスロットル弁16が開弁される。これにより、燃料噴射停止から機関が完全に回転を停止するまでの間に吸気ポートから気筒に流入する吸気流量が増大し、吸気ポートや気筒内に残留した燃料が排気通路に排出され、排気浄化触媒により酸化される。
【0042】
なお、本実施形態ではメインスイッチオフと同時に燃料噴射を停止しているが、本実施形態の停止制御に図2の停止制御を併用し、メインスイッチがオフにされてから所定の期間、燃料噴射時期を遅延した運転を行い、その後燃料噴射を停止すると同時にスロットル弁を開弁するようにすれば、残留燃料低減の効果が更に向上する。
【0043】
また、本実施形態では電子制御スロットル弁を用いた場合について説明したが、スロットル弁をバイパスする吸気バイパス通路と、この吸気バイパス通路上に配置されたアイドルスピードコントロール用絞り弁(ISC弁)を有する機関では、スロットル弁を開弁する代わりに、またはスロットル弁の開弁に加えてISC弁を開弁するようにしても良い。
【0044】
(3)第3の実施形態
本実施形態は、本願特許請求の範囲に記載した発明の実施形態ではないが、本願特許請求の範囲に記載した発明を理解する上での参考として記載する実施形態である。
本実施形態では、図3の実施形態と同様に燃料噴射停止後、機関が完全に停止するまでの間スロットル弁16を開弁し、機関停止までの吸入空気量を増大させる操作を行うが、燃料噴射停止後、スロットル弁16を開弁する前に、一旦スロットル弁を全閉状態に保持する点が図3の実施形態と相違している。
【0045】
燃料噴射停止後の惰力回転中にスロットル弁16を全閉にすると気筒のポンピング作用により、スロットル弁下流側の吸気通路には大きな負圧が発生する。このため、吸気ポートの壁面や気筒壁面に液状の燃料が付着していたような場合でも、負圧が作用することにより燃料が蒸発しやすくなる。したがって、一旦スロットル弁を全閉に保持した後に開弁することにより、壁面に付着していた液状の燃料が気化し、スロットル弁開弁により増大した吸気流により気筒を経て排気通路に排出されるようになり、より完全に残留燃料の大気放出を防止することが可能となる。
【0046】
図4は、本実施形態の機関停止制御操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図4の操作は、405a、407a、408a、409aの各ステップが付加されている点が図3の操作と相違しており、図4ステップ401、403、405、407及び409の各ステップは、図3ステップ301、303、305、307及び309とそれぞれ同一の操作である。
【0047】
すなわち、図4の操作では、機関停止指令後(ステップ403)、燃料噴射を停止するとともに(ステップ407)所定時間CT1が経過するまで(ステップ405a、ステップ408a)スロットル弁を全閉に保持し(ステップ409a)、所定時間CT1が経過するとスロットル弁を開弁する操作(ステップ409)を行う。所定時間CT1は、燃料噴射停止後に機関回転が完全に停止するまでの時間より短い時間に設定される。これにより、吸気ポートや気筒壁面に付着した液状燃料の蒸発が促進され、気化した燃料も排気通路に排出されるようになる。
【0048】
なお、本機関停止操作も図3の操作と同様に、筒内燃料噴射弁を有する機関にも適用可能である。また、図3の操作と同様、スロットル弁に代えて、またはスロットル弁に加えてISC弁を用いて操作を行うことも可能である。また、本操作も、図2の操作と併用すれば更に残留燃料の大気放出防止効果が向上するようになる。
【0049】
(4)第4の実施形態
本実施形態では、機関停止時に燃料噴射停止後の惰力回転期間中に、図4の操作と同様にまずスロットル弁を一旦全閉に保持し、その後スロットル弁を開弁する操作を行う。しかし、本実施形態では機関停止指令が出された後直ちには燃料噴射を停止せず、一旦スロットル弁を開弁方向に制御して機関吸入空気量を増大させた状態で運転を行うことにより、燃料噴射停止前の機関回転数を所定の回転数まで上昇させる点が図4の操作と相違している。
【0050】
本実施形態のように、燃料噴射停止直前の機関回転数を予め上昇させておくことにより、燃料噴射停止後の惰力回転時間が長くなるとともに、スロットル弁閉弁時の吸気ポートや気筒内に発生する負圧、及びスロットル弁開弁時の吸入空気流量も増大する。このため、より完全に吸気ポートや気筒内に残留した燃料を排気通路に排出することが可能となる。
【0051】
図5は、本実施形態の機関停止制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図5の操作がスタートすると、ステップ501では機関が完全に停止しているか否か、すなわち機関回転数NEが0になったているか否かが判定され、機関が停止していない場合には、次にステップ503でメインスイッチがオフになっているか否かが判定される。機関が完全に停止しておらず、メインスイッチがオフになっていない場合には、機関停止指令が出されておらず現在機関は通常運転中であるため、この場合にはステップ505に進み、燃料噴射、点火時期等について通常の制御が行われるとともに、ステップ507でカウンタCTの値が0にセットされる。
【0052】
ステップ503でメインスイッチがオフになっていた場合、すなわち機関停止指令が出されている場合には次にステップ509でカウンタCTの値が0になっているか否かが判定される。カウンタCTの値はメインスイッチがオンの場合には常にステップ507で0にセットされるため、メインスイッチがオフにされた直後はCT=0となっている。このため、メインスイッチオフ直後の本操作実行時には次にステップ511が実行され、スロットル弁16開度がが所定開度まで開弁される。また、ステップ513では、現在の機関回転数NEが所定値NE0より高いか否かが判定され、NE≦NE0であった場合には、ステップ505に進み通常の燃料噴射制御と点火時期制御とが行われる。この場合、ステップ511でスロットル弁開度が増大されているため、機関吸入空気量は増大しており、それに応じて燃料噴射量も増量されるため機関回転数NEは上昇する。また、NE≦NE0である限り、ステップ505とともにステップ507が実行されるため、カウンタCTの値は0にセットされる。このため、次回の本操作実行時にもステップ509ではCTの値は0になり、スロットル弁開度の増大(ステップ511)と機関回転数NEの判定(ステップ513)が実行される。
【0053】
この状態で機関回転数が増大して所定値NE0に到達すると、ステップ513の次にステップ515が実行され燃料噴射が停止されるとともに、ステップ517ではカウンタCTの値がカウントアップされる。これにより、CTの値は0より大きくなるため、次回の操作実行時にはステップ509の次にステップ515が実行され、ステップ511とステップ513はスキップされるようになる。
【0054】
ステップ515、517で燃料噴射の停止とカウンタCTのカウントアップ実行後、ステップ519ではカウントアップしたカウンタCTの値が所定値CT1に到達したか否かが判定される。カウンタCTの値は、機関回転数NEが所定値NE0に到達するまではステップ507で0にセットされ、NEがNE0に到達後は操作実行毎にステップ517で1ずつカウントアップされるため、ステップ519におけるカウンタCTの値は回転数NEがNE>NE0になってからの経過時間、すなわち機関の燃料噴射が停止(ステップ515)されてからの時間を表している。すなわち、ステップ519では機関回転数がNE0に到達して燃料噴射が停止されてから所定の時間CT1が経過したか否かが判定される。
【0055】
ステップ519で所定時間CT1が経過していない場合(すなわちCT≦CT1)には、ステップ521でスロットル弁が全閉にされる。これにより、燃料噴射停止後の惰力回転期間初期には吸気ポートと気筒内に強い負圧が発生し、壁面に付着した燃料の蒸発が促進される。
この状態で、所定時間CT1が経過すると、次にステップ523が実行されスロットル弁が開弁される。これにより、惰力回転期間中の機関吸入空気量が増大し、吸気ポートと気筒内を通過する強力な空気流が生じるため、負圧により蒸発した燃料と吸気ポートまたは気筒内に気体のまま残留した燃料は排気通路に排出され、排気浄化触媒により酸化される。
【0056】
本実施形態では、更にステップ501で機関の回転が完全に停止したと判定された場合には、ステップ525が実行されスロットル弁が全閉状態に保持される。これにより、機関吸気ポートはスロットル弁により大気から遮断されるため、仮に機関の惰力回転期間中に排気通路に排出されずに吸気ポートに少量の燃料が残留していたような場合にも、吸気通路から大気に燃料が放出されることが防止されるようになる。
【0057】
なお、本操作では機関停止指令が出された後に機関回転数が所定値NE0に上昇するまで燃料噴射を継続しているが(ステップ513)、機関回転数を監視する変わりに、機関停止指令が出された後所定時間経過後に燃料噴射を停止するようにしても良い。
また、本操作においても、機関停止指令後の燃料噴射については第1の実施形態と同様燃料噴射時期を遅延させるようにしてもよい。
【0058】
また、本操作は、第2、第3の実施形態と同様にポート燃料噴射弁を備えた機関のみならず、筒内燃料噴射弁を備えた機関に実施しても同様な効果を得ることができる。また、スロットル弁16に代えて、またはスロットル弁16に加えてISC弁により本操作を行うことも可能である。
【0059】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、機関停止後に吸気ポートや気筒内に残留した燃料が大気に放出されることを防止することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を車両用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明の機関停止制御操作の第1の実施形態を説明するフローチャートである。
【図3】 本発明の機関停止制御操作の第2の実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】 本発明の機関停止制御操作の参考としての第3の実施形態を説明するフローチャートである。
【図5】 本発明の機関停止制御操作の第4の実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関
2…吸気ポート
7…燃料噴射弁
10…電子制御ユニット(ECU)
16…電子制御スロットル弁

Claims (3)

  1. 機関各気筒の吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁の燃料噴射時期を制御する内燃機関の制御装置であって、機関停止指令信号を入力したときに、各燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅延させて、各気筒の吸気弁開弁期間内に燃料噴射を行う運転を所定の時間だけ継続し、その後各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止して機関を停止させる機関停止操作を行う停止制御手段を備えた、内燃機関の制御装置。
  2. 機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、機関吸入空気量を絞る絞り弁手段とを備えた内燃機関の制御装置であって、機関停止指令信号を入力したときに、各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止し、その後機関の回転が停止する前に前記絞り弁手段を全開にして機関吸入空気量を増大させる機関停止操作を行う停止制御手段を備えた、内燃機関の制御装置。
  3. 機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、機関吸入空気量を絞る絞り弁手段とを備えた内燃機関の制御装置であって、機関停止指令信号を入力したときに、前記絞り弁手段を開き機関吸入空気量を増大させることにより機関回転数を上昇させ、その後前記各燃料噴射弁からの燃料噴射を停止し、次いで前記絞り弁手段を閉弁して機関吸入空気量を減少させるとともに、その後機関の回転が停止する前に前記絞り弁手段を開いて機関吸入空気量を増大させる機関停止操作を行う停止制御手段を備えた、内燃機関の制御装置
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