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JP4103168B2 - 非水二次電池およびその製造方法 - Google Patents

非水二次電池およびその製造方法 Download PDF

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JP4103168B2 JP08753498A JP8753498A JP4103168B2 JP 4103168 B2 JP4103168 B2 JP 4103168B2 JP 08753498 A JP08753498 A JP 08753498A JP 8753498 A JP8753498 A JP 8753498A JP 4103168 B2 JP4103168 B2 JP 4103168B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水二次電池、特に高容量でサイクル寿命の長いリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム金属を含まない負極材料とリチウムを含有する正極活物質を用いるリチウム二次電池では、まず、正極活物質に含まれるリチウムを負極材料に挿入して負極材料の活性を上げる。これが充電反応であり、その逆の負極材料からリチウムイオンを正極活物質へ挿入させる反応が放電反応である。このタイプのリチウム電池の負極材料に、Sn(II)を主体とする複合酸化物を用いると容量は大きいが、サイクル寿命が不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リチウム二次電池のエネルギー量を高め、かつサイクル寿命を高めることにある。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】
本発明の課題は、正極活物質を含む正極、負極材料を含む負極、非水電解質からなる非水二次電池において、該負極に負極材料としてSn(II)を中心とした複合酸化物と、導電剤として真密度が1.4g/cm 以上2.3g/cm 以下、002面の面間隔が0.337nm以下、結晶子の大きさLcが40nm以上である炭素材料を含有し、該負極に含まれる該複合酸化物と炭素材料の重量比率が10:90〜50:50(複合酸化物:炭素材料)(ただし、50:50を除く)であり、かつ該負極の電池缶挿入時の合剤層密度が1.8g/cm 上2.8g/cm 未満であることを特徴とする非水二次電池により達成された。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)正極活物質を含む正極、負極材料を含む負極、非水電解質からなる非水二次電池において、該負極に負極材料としてSn(II)を中心とした複合酸化物と、導電剤として真密度が1.4g/cm 以上2.3g/cm 以下、002面の面間隔が0.337nm以下、結晶子の大きさLcが40nm以上である炭素材料を含有し、該負極に含まれる該複合酸化物と炭素材料の重量比率が10:90〜50:50(複合酸化物:炭素材料)(ただし、50:50を除く)であり、かつ該負極の電池缶挿入時の合剤層密度が1.8g/cm 上2.8g/cm 未満であることを特徴とする非水二次電池。
(2)該負極に含まれる該複合酸化物と炭素材料の重量比率が10:90〜30:70(複合酸化物:炭素材料)であることを特徴とする項1記載の非水二次電池。
(3)該Sn(II)を中心とした複合酸化物は、酸素原子を含めて少なくとも3種以上の元素を含む非晶質酸化物であることを特徴とする項1または2に記載の非水二次電池。
(4)該負極のシートにおいて、予めリチウム金属を接触させることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
(5)該正極活物質はLix MO2 (MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、0<x ≦1.2)、またはLiy Mn24 (0<y≦2)で表されるスピネル構造を有する化合物の少なくとも1種を用いることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
(6)電解液を注入し電池缶を封口して項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池を製造した後、該電池を30℃〜70℃の温度でかつ開路電圧が2.5V以上3.8V以下の条件で1日以上20日以下の期間保存し、次いで4.0V以上に充電することを特徴とする非水二次電池の製造方法。
(7)電解液を注入し電池缶を封口して項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池を製造した後、該電池を30℃〜70℃の温度でかつ開路電圧が2.5V以上3.8V以下の条件で1日以上20日以下の期間保存し、次いで4.0V以上に充電し、さらに30℃以上70℃以下の温度でかつ開路電圧が3.9V以上4.3V以下の条件で0.2日以上20日以下の期間保存する工程を有することを特徴とする非水二次電池の製造方法。
【0006】
以下に本発明の構成および材料について詳述する。はじめにSn(II)を中心とした複合酸化物について説明する。
本発明に用いられる2価のSn(以下、Sn(II)と記載する)を中心とした複合酸化物は、酸素原子を含めて少なくとも3種以上の元素を含む主として非晶質酸化物である。ここで言う主として非晶質とはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。好ましくは2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好ましくは結晶性の回折線を有さないことである。
【0007】
上記の複合酸化物は、錫と酸素原子以外に、周期表1、2、12、13、14、15族原子から選ばれる1種以上の原子を含む。これらの原子はB、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Znが好ましく、2種以上を用いると更に好ましい。
【0008】
上記の負極材料の中で、特に好ましい化合物は、次の一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1) Sn M1 c 2 d t
式中、M1 はAl、B、P、Ge、Si、Znの少なくとも1種を、M2 は周期律表第1族元素、第2族元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<2、tは1以上6以下の数を表す。
【0009】
本発明の非晶質複合酸化物は、焼成法、ゾル−ゲル方や共沈法等の溶液法のいずれの方法も採用することができる。
以下では焼成法による合成について説明する。焼成法では、一般式(1)に記載された元素の酸化物あるいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶質複合酸化物を得るのが好ましい。
【0010】
焼成条件としては、昇温速度として昇温速度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、かつ焼成温度としては500℃以上1500℃以下であることが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下であることが好ましい。且つ、下降温速度としては毎分1℃以上107 ℃以下であることが好ましい。
本発明における昇温速度とは「焼成温度(℃表示)の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達するまでの温度上昇の平均速度であり、本発明における降温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平均速度である。
降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1987)217頁記載のgun法・Hammer−Anvil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマスプレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンドブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には融液を攪拌することが好ましい。
【0011】
焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性ガスを主体とし、酸素分圧調整用のガスを併用した雰囲気である。
不活性ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられる。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンと窒素ガスである。
酸素分圧を調節する目的で、不活性ガスに併用されるガスは、炭酸ガスと一酸化炭素の混合ガスあるいは水素と水の混合ガスが好ましい。
【0012】
本発明の負極材料の例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 Na0.2 3.7 、SnAl0.4 0.3 0.5 Rb0.2 3.4 、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Ge0.053.85、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Mg0.1 Ge0.023.83、SnAl0.4 0.4 0.4 3.2 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.4 0.5 0.3 Ba0.08Mg0.083.26、SnAl0.4 0.4 0.4 Ba0.083.28、SnAl0.4 0.5 0.5 3.6 、SnAl0.4 0.5 0.5 Mg0.1 3. 7
【0013】
SnAl0.5 0.4 0.5 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Li0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0.5 0.5 0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0.5 0.5 0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5 0.5 0.05Mg0.1 0.2 3.03、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Cs0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.1 3.05、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.2 3 、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.063.07、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.143.03、SnPBa0.083.58、SnPK0.1 3.55、SnPK0.05Mg0.053.58、SnPCs0.1 3.55、SnPBa0.080.083.54、SnPK0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPK0.05Mg0.050.1 3.53、SnPCs0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPCs0.05Mg0.050.1 3.53
【0014】
Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.54、Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Li0.1 0.1 Ba0.1 0.1 3.65、Sn1.1 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.083.34、Sn1.1 Al0.4 PCs0.054.23、Sn1.1 Al0.4 PK0.054.23、Sn1.2 Al0.5 0.3 0.4 Cs0.2 3.5 、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.083.68、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.64、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Mg0.04Ba0.043.68、Sn1.2 Al0.4 0.3 0.5 Ba0.083.58、Sn1.3 Al0.3 0.3 0.4 Na0.2 3.3 、Sn1.3 Al0.2 0.4 0.4 Ca0.2 3.4 、Sn1.3 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.2 3.6 、Sn1.4 Al0.4 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.2 Ba0.1 PK0.2 4.45、Sn1.4 Al0.2 Ba0.2 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.4 Ba0.2 PK0.2 Ba0.1 0.2 4.9 、Sn1.4 Al0.4 PK0.3 4.65、Sn1.5 Al0.2 PK0.2 4.4 、Sn1.5 Al0.4 PK0.1 4.65、Sn1.5 Al0.4 PCs0.054.63、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05Mg0.1 0.2 4.63
【0015】
SnSi0.5 Al0.1 0.2 0.1 Ca0.4 3.1 、SnSi0.4 Al0.2 0.4 2.7 、SnSi0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1 2.8 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 2.8 、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.2 3.55、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5 4.30、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.3 3.25、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ba0.2 2.95。SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ca0.2 2.95、SnSi0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3.2 、SnSi0.6 Al0.1 0.3 0.1 3.05、SnSi0.6 Al0.2 Mg0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 Ca0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 3 、SnSi0.6 0.2 0.2 3 、SnSi0.8 Al0.2 2.9 、SnSi0.8 Al0.3 0.2 0.2 3.85、SnSi0.8 0.2 2.9 、SnSi0.8 Ba0.2 2.8 、SnSi0.8 Mg0.2 2.8 、SnSi0.8 Ca0.2 2.8 、SnSi0.8 0.2 3.1
【0016】
Sn0.9 Mn0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.9 Fe0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.8 Pb0.2 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.3 Ge0.7 Ba0.1 0.9 3.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Mn0.8 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.7 Pb0.3 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Ge0.8 Ba0.1 0.9 3.35
【0017】
上記焼成されて得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、蛍光X線分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の重量差から算出できる。
【0018】
炭素材料としては、難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料を挙げることができる。具体的には、特開昭62−122066号、特開平2−66856号、同3−245473号等の各公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさの炭素材料、特開平5−290844号公報に記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開昭63−24555号、同63−13282号、同63−58763号、特開平6−212617号公報に記載の気相成長炭素材料、特開平5−182664号公報に記載の難黒鉛化炭素を2400℃を超える温度で加熱焼成された材料であり、かつ複数の002面に相当するX線回折のピークを持つ材料、特開平5−307957号、同5−307958号、同7−85862号、同8−315820号公報に記載のピッチ焼成により合成されたメソフェース炭素材料、特開平6−84516号公報に記載の被覆層を有する黒鉛、さらには、各種の粒状体、微小球体、平板状体、微小繊維、ウィスカーの形状の炭素材料、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、フルフリルアルコール樹脂の焼成体、水素原子を含むポリアセン材料などの炭素材料等を挙げることができる。
【0019】
特に、特開平5−182664号公報に記載の炭素材料や各種の粒状体、微小球体、平板状体、繊維、ウィスカーの形状の炭素材料、また、メソフェーズピッチ、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂の焼成体、さらに、水素原子を含むポリアセン材料が好ましい。
【0020】
Sn(II)を中心とした複合酸化物と炭素材料の混合重量比率は、それぞれ10:90〜80:20(複合酸化物:炭素材料)が好ましい。特に20:80〜75:25が好ましい。さらに好ましくは、30:70〜70:30の範囲であり、さらに、40:60〜70:30の範囲が特に好ましい。また、さらに、50:50〜70:30の範囲が好ましい。
【0021】
負極材料としては、Sn(II)を中心とした複合酸化物や炭素材料の他に、リチウム金属、リチウム合金、Si(II)を含む酸化物、珪素金属、錫金属を用いることができる。添加する量は10モル%以下が好ましい。
【0022】
負極材料の平均粒子サイズは、0.01μm〜50μmが好ましいが、特に0.1〜20μmが好ましい。特に、炭素材料が0.1〜20μmの範囲が好ましい。さらに、0.1〜15μmが好ましい。
【0023】
Sn(II)を中心とした複合酸化物の第1サイクルのクーロン効率を高める方法として、リチウム金属やリチウム合金と接触させる方法、電気化学的にリチウムを挿入する方法、アンモニア液体中のリチウムと反応させる方法やNaBH4 等の活性水素による還元法を用いることができる。
【0024】
本発明で用いられる正極材料はリチウム含有遷移金属酸化物である。好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。より好ましくは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。なお主として存在する遷移金属に対し30モルパーセント未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。
上記の正極活物質の中で、一般式Lix MO2 (M=Co、Ni、Fe、Mnx=0〜1.2)、またはLiy Mn24 (y=0〜2)で表されるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることがこのましい。具体的には、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Coa Ni1-a-d Ald 2 、Lix Cob 1-b z 、Lix Cob Fe1-b 2 、Lix Mn24 、Lix Mnc Co2-c 4 、Lix Mnc Ni2-c 4 、Lix Mnc 2-c 4 、Lix Mnc Fe2-c 4 (ここでx=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、d=0.01〜0.9、z=2.01〜2.3)である。
最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物としては、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Coa Ni1-a-d Ald 2 、Lix Mn24 、Lix Cob 1-b z (x=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、d=0.01〜0.9、z=2.01〜2.3)があげられる。なおxの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0025】
以下、本発明の非水電解液二次電池の製造方法について説明する。
本発明の非水電解液二次電池は、正負の電極シートをセパレーターと共に巻回したもの(巻回群)を電池缶に挿入し、缶と電極を電気的に接続し、電解液を注入した後封口して作成する。また、必要に応じて各種の部材(封口板、リード板、ガスケット、外装材等)が用いられる。
【0026】
正(負)の電極シートは正(負)極の合剤を集電体の上に塗布、乾燥、圧縮する事により作成する事ができる。
合剤の調製は正極(あるいは負極)材料および導電剤を混合し、結着剤(樹脂粉体のサスペンジョンまたはエマルジョン状のもの)、および分散媒を加えて混練混合し、引続いて、ミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ペイントシェイカー、サンドミル等の攪拌混合機、分散機で分散して行うことが出来る。このほか、適宜分散剤、充填剤、イオン導電剤、圧力増強剤等の添加剤を添加しても良い。
【0027】
分散媒としては水もしくは有機溶媒が用いられる。分散媒として水を用いる場合は、導電剤等の疎水性の材料を予め分散したものを用いるのが好ましい。分散媒に有機溶媒を用いる場合は、有機溶媒としてはN−メチル2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドの他、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルカーボネート等のエーテル類や電解液に用いる溶媒を用いることができる。その他は、上記の水系塗布処方と同じである。
【0028】
塗布は種々の方法で行うことが出来るが、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることが出来る。ブレード法、ナイフ法及びエクストルージョン法が好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤ペーストの液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることが出来る。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさにより決められる。典型的な塗布層の厚みは乾燥後圧縮された状態で10〜1000μmである。
【0029】
塗布後の電極シートは、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風の作用により乾燥、脱水される。これらの方法は単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。分散媒に有機溶媒を用いた場合は、例えば、N−メチル2−ピロリドンでは約200℃以上、N,N−ジメチルホルムアミドは約150℃以上、アセトンは約60℃以上で乾燥することが好ましい。乾燥後の含水量は2000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。電極シートの圧縮は、一般に採用されているプレス方法を用いることが出来るが、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、10kg/cm2 〜3t/cm2 が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。電池缶挿入時の負極の合剤層密度は、1.5g/cm 〜2.7g/cm が好ましい。特に好ましくは、1.7g/cm 〜2.5g/cm であり、更に好ましくは1.9g/cm 〜2.4g/cm である。
【0030】
プレスした電極シートは、電池組立前に脱水・脱溶媒処理するのが好ましい。脱水・脱溶媒処理は高温風あるいは真空高温下で行われる。温度は150℃から270℃が好ましい。
【0031】
本発明で正極に使用される導電剤は、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、石油コークス、石炭コークス、セルロース類、糖類、メソフェーズピッチ等の高温焼成体、気相成長黒鉛等の人工黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、アスファルトピッチ、コールタール、活性炭、メソフューズピッチ、ポリアセン等の炭素材料、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物等を挙げる事ができる。これらの中では、グラファイトやカーボンブラックが好ましい。これらは単独で用いても良いし、混合物として用いても良い。
導電剤の正極合剤層への添加量は、正極材料に対し0.5〜20重量%であることが好ましく、特に2〜15重量%であることが好ましい。カーボンブラックやグラファイトでは、2〜15重量%であることが特に好ましい。
【0032】
本発明で負極に用いられる導電剤には、本発明の炭素材料以外のもので前項に記載のものを併用してもよい。本発明の炭素材料以外の導電剤の添加量は、全合剤層に対して重量比で0.01〜0.20が好ましい。特に好ましいのは0.02〜0.15である。
【0033】
本発明では電極合剤を保持するために結着剤を用いる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ましい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンを挙げることが出来る。特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
これらの結着剤は単独または混合して用いることが出来る。結着剤の添加量が少ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位重量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30重量%が好ましく、特に2〜10重量%が好ましい。
【0034】
充填剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解質として知られている物を用いることができ、詳細は電解液の項に記載されている。
圧力増強剤は、後述の内圧を上げる化合物であり、炭酸塩が代表例である。
【0035】
本発明で使用できる集電体は正極はアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金であり、負極は銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金である。集電体の形態は箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、もしくは金網である。特に、正極にはアルミニウム箔、負極には銅箔が好ましい。
【0036】
本発明で使用できるセパレータは、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜であれば良く、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン、ガラス繊維、アルミナ繊維が用いられ、形態として、不織布、織布、微孔性フィルムが用いられる。特に、材質として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体、ポリプロピレンとテフロンの混合体、ポリエチレンとテフロンの混合体が好ましく、形態として微孔性フィルムであるものが好ましい。特に、孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜50μmの微孔性フィルムが好ましい。
【0037】
電解液は一般に支持塩と溶媒から構成される。リチウム二次電池における支持塩はリチウム塩が主として用いられる。
本発明で使用出来るリチウム塩としては、例えば、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB10Cl10、LiOSO2 n 1n+1で表されるフルオロスルホン酸(nは6以下の正の整数)、LiN(SO2 n 2n+1)(SO2 m 2m+1)で表されるイミド塩(m、nはそれぞれ6以下の正の整数)、LiC(SO2 p 2p+1)(SO2 q 2q+1)(SO2 r 2r+1)で表されるメチド塩(p、q、rはそれぞれ6以下の正の整数)、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどのLi塩を上げることが出来、これらの一種または二種以上を混合して使用することができる。なかでもLiBF4 及び/あるいはLiPF6 を溶解したものが好ましい。
支持塩の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0038】
本発明で使用できる溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、炭酸トリフルオロメチルエチレン、炭酸ジフルオロメチルエチレン、炭酸モノフルオロメチルエチレン、六フッ化メチルアセテート、三フッ化メチルアセテート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、2、2−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、ホウ酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−アルキルシドノン(アルキル基はプロピル、イソプロピル、ブチル基等)、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を挙げることができ、これらの一種または二種以上を混合して使用する。これらのなかでは、カーボネート系の溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートを混合して用いるのが特に好ましい。環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。また、非環状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートをが好ましい。
本発明で使用できる電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLiCF3 SO3 、LiClO4 、LiBF4 および/またはLiPF6 を含む電解液が好ましい。特にプロピレンカーボネートもしくはエチレンカーボネートの少なくとも一方とジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートの少なくとも一方の混合溶媒に、LiCF3 SO3 、LiClO4 、もしくはLiBF4 の中から選ばれた少なくとも一種の塩とLiPF6 を含む電解液が好ましい。これら電解液を電池内に添加する量は特に限定されず、正極材料や負極材料の量や電池のサイズに応じて用いることができる。
【0039】
また、電解液の他に次の様な固体電解質も併用することができる。固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5 NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 SiO4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、x Li3 PO4 - (1-x) Li4 SiO4 、Li2 SiS3 、硫化リン化合物などが有効である。有機固体電解質では、ポリエチレンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステルポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マトリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られている。
【0040】
また、放電や充放電特性を改良する目的で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピリジン、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN, N’−置換イミダリジノン、エチレングリコールジアルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール、ピロール、2−メトキシエタノール、AlCl3 、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−クラウン−4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三級スルホニウム塩、トリフェニルアミン、フェニルカルバゾールなどを挙げることができる。
【0041】
また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
【0042】
電解液は、全量を1回で注入してもよいが、2回以上に分けて注入することが好ましい。2回以上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成でも、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入)でも良い。また、電解液の注入時間の短縮等のために、電池缶を減圧したり、電池缶に遠心力や超音波をかけることを行ってもよい。
【0043】
本発明で使用できる電池缶および電池蓋は材質としてニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板(SUS304、SUS304L,SUS304N、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、外装缶が負極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施した鉄鋼板が好ましく、外装缶が正極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合金が好ましい。電池缶の形状はボタン、コイン、シート、シリンダー、角などのいずれでも良い。
【0044】
電池内での異常反応による内圧上昇や暴走反応を防止するために、弁体と電流遮断素子を組み込むことが好ましい。特に、封口部に内圧上昇により弁が破壊されて内圧を開放する弁体と、弁体の変位に対応して作動する電流遮断スイッチを組み合わせて封口部に組み込むとより好ましい。これらの圧力感応弁体と電流遮断スイッチは、特開平2−112151号公開公報、同2−288063号公開公報、同6−215760号公開公報、同9−92334号公開公報等に記載されているものを用いることができる。
この他、従来から知られている種々の安全素子(例えば、ヒューズ、バイメタル、PTC素子等)を備えつけても良い。
【0045】
本発明で使用するリード板には、電気伝導性をもつ金属(例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウム等)やそれらの合金を用いることが出来る。電池蓋、電池缶、電極シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることが出来る。封口用シール剤は、アスファルト等の従来から知られている化合物や混合物を用いることが出来る。
【0046】
本発明で使用できるガスケットは、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドであり、耐有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマーが好ましく、特にプロピレン主体のポリマーが好ましい。さらに、プロピレンとエチレンのブロック共重合ポリマーであることが好ましい。
【0047】
以上のようにして組み立てられた電池は、エージング処理を施すのが好ましい。エージング処理には、前処理、活性化処理及び後処理などがあり、これにより高い充放電容量とサイクル性に優れた電池を製造することができる。前処理は、電極内のリチウムの分布を均一化するための処理で、例えば、リチウムの溶解制御、リチウムの分布を均一にするための温度制御、揺動及び/または回転処理、充放電の任意の組み合わせが行われる。活性化処理は電池本体の負極に対してリチウムを挿入させるための処理で、電池の実使用充電時のリチウム挿入量の50〜120%を挿入するのが好ましい。後処理は活性化処理を十分にさせるための処理であり、電池反応を均一にするための保存処理と、判定のための充放電処理当があり、任意に組み合わせることができる。
【0048】
本発明の活性化前の好ましいエージング条件(前処理条件)は次の通りである。温度は30℃以上70℃以下が好ましく、30℃以上60℃以下がより好ましく、40℃以上60℃以下がさらに好ましい。また、開路電圧は2.5V以上3.8V以下が好ましく、2.5V以上3.5V以下がより好ましく、2.8V以上3.3V以下がさらに好ましい。エージング期間は1日以上20日以下が好ましく、1日以上15日以下が特に好ましい。
活性化の充電電圧は4.0V以上が好ましく、4.05V以上4.3V以下がより好ましく、4.1V以上4.2V以下が更に好ましい。
活性化後のエージング条件としては、開路電圧が3.9V以上4.3V以下が好ましく、4.0V以上4.2V以下が特に好ましく、温度は30℃以上70℃以下が好ましく、40℃以上60℃以下が特に好ましい。エージング期間は0.2日以上20日以下が好ましく、0.5日以上5日以下が特に好ましい。
【0049】
本発明の電池は必要に応じて外装材で被覆される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良い。
【0050】
本発明の電池は必要に応じて複数本を直列及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端子等を外部端子として設けることもできる。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらには、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設けても良い。
【0051】
本発明の電池は様々な機器に使用される。特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッキ、モニター内蔵ムービーカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフカメラ、レンズ付きフィルム、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、自動車等に使用されることが好ましい。
【0052】
【実施例】
以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0053】
実施例1
負極材料として非晶質SnSi0.6 B0 .3 P0.2 Al0.4 O3 .75 (S−1、平均粒径10μm )、導電剤として表1に記載されたC−1(天然黒鉛、日本黒鉛製CK−W、同18μm )、C−2(麟片状人造黒鉛、ロンザ製KS−6、同3μm )、C−3(日本カーボン製P15B−G、メソフェーズマイクロビーズ、同16μm )、C−4(電気化学製デンカブラック、同0.02μm )を使用し、の比率となるように混合した粉体を190g、結着剤としてポリ沸化ビニリデン10gをN−メチル−2−ピロリドン500mlに分散して負極ペーストを作成した。
【0054】
【表1】
Figure 0004103168
【0055】
正極活物質LiCoO2を200gとアセチレンブラック10gとホモジナイザーで混合し、続いて結着剤としてポリ沸化ビニリデン5gを混合し、N−メチル−2−ピロリドン500mlを加え混練混合し、正極合剤ペーストを作成した。
【0056】
上記で作成した正極合剤ペーストをブレードコーターで厚さ20μm のアルミニウム箔集電体の両面に塗布、150℃乾燥後ローラープレス機で圧縮成型し所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作成した。さらにドライボックス(露点;−50℃以下の乾燥空気)中で遠赤外線ヒーターにて充分脱水乾燥し、正極シートを作成した。
同様に、負極合剤ペーストを10μm の銅箔集電体に塗布し、上記正極シート作成と同様の方法で負極シートを作成した。
負極や正極のシートの長さを一定にし、塗布量を変えて、直径18mm、最大高65mmの円筒形電池を作成し、4.3Vの過充電状態で25℃にて30日保存し、放電容量が10%以上低下しない(微小短絡が起きない)最大塗布量にて各電極シートを作成した。このとき、負極シートに負極材料の50%容量相当分のリチウム金属を接触させた。正極活物質と負極材料の相対重量比はそれぞれの第1サイクルの充電量がほぼ同等になるように決めた。
【0057】
次に電解液E−1は次のようにして作成した。アルゴン雰囲気で、200ccの細口のポリプロピレン容器に65.3gの炭酸ジエチルをいれ、これに液温が30℃を越えないように注意しながら、22.2gの炭酸エチレンを少量ずつ溶解した。次に、0.4gのLiBF4 、12.1gのLiPF6 を液温が30℃を越えないように注意しながら、それぞれ順番に、上記ポリプロピレン容器に少量ずつ溶解した。得られた電解液は比重1.135で無色透明の液体であった。水分は18ppm (京都電子製 商品名MKC−210型カールフィシャー水分測定装置で測定)、遊離酸分は24ppm (ブロムチモールブルーを指示薬とし、0.1規定NaOH水溶液を用いて中和滴定して測定)であった。
【0058】
シリンダー電池は次のようにして作成した。
図1に従い電池の作り方を説明する。上記で作成した正極シート、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレーター、負極シートさらにセパレーターを順に積層し、これを渦巻き状に巻回した。この巻回した電極群(2) を負極端子を兼ねるニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶(1) に収納し、上記絶縁板(3) を更に挿入した。この電池缶内に電解液E−1を注入した後、正極端子(6) 、絶縁リング、PTC素子(63)、電流遮断体(62)、圧力感応弁体(61)を積層したものをガスケット(5) を介してかしめて円筒型電池を作成した。
【0059】
上記の円筒形電池を封口後開路電圧を3.1Vにまで充電し、40℃の温度で7日間保存した。その後4.2Vまで定電流で充電し、充電開始から2.5時間が経過するまで4.2Vで一定に保つように充電電流を制御した。放電は1.2Aで2.6Vまで定電流で実施した。そのときの第1サイクルの放電容量、平均放電電圧、エネルギー量(放電容量×平均放電電圧)また、充放電を繰り返した200サイクル目の容量維持率を下表2に示した。放電電流を1.8Aにした時と、0.36Aの時の容量(Ah) の比率を取り、これを高電流適性として表示した。
【0060】
下記表2のD−1、D−5、D−9は本発明、D−2〜4、D−6〜8、D−10は参考例、D−11〜14は比較例である。
【表2】
Figure 0004103168
【0061】
本発明の電池D−1、D−5、D−9は比較例のD−11〜12に対し容量が高く、高電流適性が良好で好ましい。また比較例D−13に対しては容量が高く、D−14に対してはサイクル寿命が良好で好ましい。
【0062】
実施例2
負極材料を非晶質SnSiO3(S−2、平均粒径8μm )に変更した以外は実施例1を繰り返し、同様の結果を得た。
【0063】
実施例3
正極活物質LiCoO2をLiNiO2、LiMn2O4 に変えて実施例1、2を繰り返し同様な効果が得られた。
【0064】
実施例4
負極材料として非晶質SnSi0.6B0.4P0.2Al0 .2O3 .6(S−3、平均粒径5μm )と非晶質SnSiO3(S−2)、導電剤として炭素材料として実施例1記載の導電剤C−1〜4を重量比30/70、70/30の割合で混合した粉体を200gをホモジナイザーで混合し、さらに結着剤として濃度2重量%のカルボキシメチルセルロース水溶液50g、ポリ沸化ビニリデン10gとを加えて混合したものと水を30g加えさらに混練混合し、負極合剤ペーストを作成した。
【0065】
正極活物質LiCoO2(平均粒径4μm )200gとアセチレンブラック10gとをホモジナイザーで混合し、続いて結着剤として2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とアクリロニトリルの共重合体の水分散物(固形分濃度50重量%)を8g、濃度2重量%のカルボキシメチルセルロース水溶液60gを加え混練混合し、さらに水50gを加えて、ホモジナイザーで攪拌混合し、正極合剤ペーストを作成した。
【0066】
これらの電極シートを用いる以外は実施例1と同様にして円筒型の電池を作成し、実施例1と同様な結果を得た。
【0067】
実施例5
本実施例5は、参考例である。
実施例1の電池D−2、3、13を実施例1記載の方法で4.2Vまで充電した後、下記の保存処理をした後、実施例1と同様の方法で放電容量、サイクル寿命、高電流適性を評価した。
【0068】
Figure 0004103168
【0069】
参考例の電池D−2、3は活性化後に35、50、55℃で保存すると、サイクル寿命が良化した。25℃保存では良化しなかった。また比較例の電池D−13は50℃保存でもサイクル寿命は変化しなかった。
【0070】
正極活物質、負極材料、非水電解質からなる非水二次電池において、該負極材料としてSn(II)を中心とした複合酸化物を用い、導電剤として炭素材料を用い、負極材料と炭素材料の重量比が10/90〜50 50 (ただし、 50/50 を除く)であると、放電容量が高く、サイクル寿命の向上した非水二次電池を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用したシリンダー電池の断面図を示したものである。
【符号の説明】
1 負極を兼ねる電池缶
2 巻回電極群
3 上部絶縁板
4 正極リード
5 ガスケット
6 正極端子を兼ねる電池蓋
61 圧力感応弁体
62 電流遮断素子(スイッチ)
63 PTC素子

Claims (7)

  1. 正極活物質を含む正極、負極材料を含む負極、非水電解質からなる非水二次電池において、該負極に負極材料としてSn(II)を中心とした複合酸化物と、導電剤として真密度が1.4g/cm 以上2.3g/cm 以下、002面の面間隔が0.337nm以下、結晶子の大きさLcが40nm以上である炭素材料を含有し、該負極に含まれる該複合酸化物と炭素材料の重量比率が10:90〜50:50(複合酸化物:炭素材料)(ただし、50:50を除く)であり、かつ該負極の電池缶挿入時の合剤層密度が1.8g/cm 上2.8g/cm 未満であることを特徴とする非水二次電池。
  2. 該負極に含まれる該複合酸化物と炭素材料の重量比率が10:90〜30:70(複合酸化物:炭素材料)であることを特徴とする請求項1記載の非水二次電池。
  3. 該Sn(II)を中心とした複合酸化物は、酸素原子を含めて少なくとも3種以上の元素を含む非晶質酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水二次電池。
  4. 該負極のシートにおいて、予めリチウム金属を接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
  5. 該正極活物質はLix MO2 (MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、0<x ≦1.2)、またはLiy Mn24 (0<y≦2)で表されるスピネル構造を有する化合物の少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
  6. 電解液を注入し電池缶を封口して請求項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池を製造した後、該電池を30℃〜70℃の温度でかつ開路電圧が2.5V以上3.8V以下の条件で1日以上20日以下の期間保存し、次いで4.0V以上に充電することを特徴とする非水二次電池の製造方法。
  7. 電解液を注入し電池缶を封口して請求項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池を製造した後、該電池を30℃〜70℃の温度でかつ開路電圧が2.5V以上3.8V以下の条件で1日以上20日以下の期間保存し、次いで4.0V以上に充電し、さらに30℃以上70℃以下の温度でかつ開路電圧が3.9V以上4.3V以下の条件で0.2日以上20日以下の期間保存する工程を有することを特徴とする非水二次電池の製造方法。
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