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JP4197341B2 - 蓄冷器式冷凍機 - Google Patents

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JP4197341B2
JP4197341B2 JP2006021235A JP2006021235A JP4197341B2 JP 4197341 B2 JP4197341 B2 JP 4197341B2 JP 2006021235 A JP2006021235 A JP 2006021235A JP 2006021235 A JP2006021235 A JP 2006021235A JP 4197341 B2 JP4197341 B2 JP 4197341B2
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Description

本発明は蓄冷器式冷凍機に係わり、特にロータリバルブを用いてシリンダへの作動流体の供給及びシリンダからの作動流体の排出を切り換える方式の蓄冷器式冷凍機に関する。
極低温を発生する冷凍機としてギフォード・マクマホン(GM)冷凍機が知られている。GM冷凍機は、シリンダ内を往復動するディスプレーサによる空間の体積変化を利用してギフォード・マクマホン冷凍サイクルに基づいて冷却効果を得る冷凍機である。
GM冷凍機では、高圧の冷媒ガス(ヘリウムガス等)をシリンダに供給し、これを断熱膨張させて低温とする。膨張して極低温となった冷媒ガスは、周囲から熱を吸収するとともに、蓄冷材と熱交換して室温まで昇温された後、シリンダから排気される。これによりシリンダ内は極低温に維持される。シリンダから排出された冷媒ガスは圧縮機に送られ圧縮され、高圧の冷媒ガスとなる。この高圧の冷媒ガスは再びGM冷凍機のシリンダに供給される。
高圧の冷媒ガスをシリンダに供給し、シリンダ内で低圧となった冷媒ガスをシリンダから排出するために、シリンダ内のディスプレーサの往復動に同期して冷媒ガスの給気・排気を切り換える切り換えバルブが用いられる。GM冷凍機では、一般的に、切り換えバルブとして、スプールバルブ、ポペットバルブ、ロータリバルブ等が用いられる。
ロータリバルブは円筒状の回転体であるバルブプレートをバルブ本体に押し付けながら回転させ、バルブプレートの回転に伴って、バルブ本体に形成されてシリンダに接続された通路を、給気側通路と排気側通路とに切り換える機構である。通常、バルブプレートの一回転で、給気と排気が一回切り換わる。
従来のGM冷凍機では、バルブ本体の片面側から高圧の冷媒ガスを供給し、バルブ本体の反対側の摺動面に接触しながら回転するバルブプレートにより切り換えを行う構成となっている(例えば、特許文献1参照)。バルブプレートはバルブ本体と面接触してバルブプレートに形成された冷媒ガス通路をシールしながら回転する必要があるため、バルブ本体とバルブプレートとを互いに押し付けておく必要がある。面接触するバルブプレートの摺動面とバルブ本体の摺動面は平面度の高い面であり、バルブ本体の摺動面とバルブプレートの摺動面とを互いに押し付けることでバルブプレートに形成された冷媒ガス通路が気密に保持されるように構成されている。
従来のGM冷凍機では、バルブプレートにバルブ本体を押し付けるために、給気する冷媒ガスの圧力を利用している。すなわち、バルブ本体の摺動面の反対側から高圧の冷媒ガスを導入する際に、冷媒ガスの圧力がバルブ本体の摺動面とは反対側の面に作用するように構成されており、バルブ本体の摺動面とは反対側の圧力とバルブ本体の摺動面側の排気する冷媒ガスの圧力との圧力差でバルブ本体をバルブプレートに押し付ける構成となっている。
特開2001−280728号公報
上述のように給気される冷媒ガスの圧力をロータリバルブ(すなわち、バルブ本体)の押圧力として利用した場合、バルブ本体の押圧力は給気する冷媒ガス及び排気する冷媒ガスの圧力に依存することとなる。したがって、冷媒ガスの圧力が変動するとロータリバルブでの押圧力も変化してしまう。
給気する冷媒ガス及び排気する冷媒ガスの圧力差が小さい場合は、押圧力も小さくなり、摺動面で気密性が低くなって冷媒ガスが摺動面の間から漏れるおそれがある。一方、給気する冷媒ガスの圧力が高いと、押圧力も高くなり、摺動面における摩擦力が過大となるおそれがある。
冷媒ガスの圧力が高く、摺動面における摩擦力が過大となった状態でロータリバルブが作動すると、バルブ本体とバルブプレートの摺動面の磨耗が激しくなる。このような状態で連続して運転していると、ロータリバルブの寿命が短くなり、ロータリバルブを早期に交換しなければならないといった問題が生じる。また、バルブ本体とバルブプレートとの過度の摩擦により生じた磨耗粉がシリンダ内に入り込み、シリンダの作動不良を起こす要因となるという問題もある。
さらに、摺動面における摩擦力が大きいと、バルブプレートを回転させるためのモータに脱調が生じ、バルブプレートを正常に回転させることができなくなるといった問題もある。
また、バルブ本体の押圧力が大きいと、バルブプレートをそれだけの押圧力に耐えるように支持しなければならない。バルブプレートは回転する部材であるため、ボールベアリングにより回転可能に支持されている。したがって、バルブ本体の押圧力が大きいとボールベアリングに加わるスラスト荷重も増大し、その結果ボールベアリングの寿命が短くなるといった問題もある。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、バルブ本体をバルブプレートに押し付けて密着させるための押圧力を適度に調整することのできるロータリバルブを有する蓄冷器式冷凍機を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明によれば、作動流体を圧縮する圧縮機と、圧縮された該作動流体が供給されるシリンダと、前記圧縮機と該シリンダとの間に設けられ、該作動流体の流路を、該作動流体を前記シリンダに供給するガス供給路と、該作動流体を前記シリンダから排出して前記圧縮機に導くガス排出路とのいずれかに切り換えるロータリバルブと、該ロータリバルブのバルブ本体を押圧して、該バルブ本体の摺動面を該ロータリバルブのバルブプレートの摺動面に密着させるためのバネと、前記バルブ本体の前記摺動面の反対側に形成された第1の空間と、前記バルブ本体の前記摺動面に繋がる第2の空間とを連通するバイパス通路とを有し、前記バネのばね荷重によってのみ前記バルブ本体に作用する押圧力を発生させ、冷媒ガスを供給するためのガス供給孔が形成されたガス供給部材が、前記バルブ本体の前記摺動面の反対側に設けられ、該ガス供給孔と前記バルブ本体のガス流路とが接続され、前記ガス供給部材と前記バルブ本体との間にシール部材が設けられて前記ガス供給孔及び前記ガス流路と前記第1の空間との間が気密にシールされることを特徴とする蓄冷器式冷凍機が提供される。
本発明による蓄冷器式冷凍機において、冷媒ガスを供給するためのガス供給孔が形成されたガス供給部材が、前記バルブ本体の前記摺動面の反対側に設けられ、該ガス供給孔と前記バルブ本体のガス流路とが接続され前記ガス供給部材と前記バルブ本体との間にシール部材が設けられて前記ガス供給孔及び前記ガス流路と前記第1の空間との間が気密にシールされ場合、排気側の圧力である第2の空間と第1の空間がバイパス通路により連通されるため、第1の空間も排気側の圧力となる。
また、前記ガス供給部材は前記バルブ本体のガス流路内に延在する先端部を有し、前記シール部材は該先端部の外周面と前記バルブ本体の前記ガス流路の内周面との間に設けられることが好ましい。前記バイパス通路は、前記ロータリバルブを収容するハウジングに形成された細孔であることとしてもよい。
本発明によれば、ロータリバルブにおけるバルブ本体の押圧力をバネのばね荷重のみで発生させることで、常に一定の押圧力をバルブ本体に作用させることができ、バルブ本体とバルブプレートの摺動部分の気密性を維持しながらバルブ本体及びバルブプレートの磨耗を抑制することができ、ロータリバルブの寿命を長くすることができる。また、バルブプレートを回転させるための駆動力を低減することができる。さらに、バルブプレートを回転可能に支持するベアリングに加わるスラスト荷重を低減することができる。
次に、本発明の実施例による冷凍機について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1実施例によるギフォード・マクマホン(GM)型冷凍機の断面図である。本実施例によるGM型冷凍機は、ガス圧縮機1とコールドヘッド2とを有する。コールドヘッド2は、ハウジング部23とシリンダ部10とを有する。ガス圧縮機1は、吸気口1aから冷媒ガスを吸い込み、圧縮して、吐出口1bから高圧の冷媒ガスとして吐出する。作動流体である冷媒ガスとして、通常はヘリウムガスが使用される。
シリンダ部10は、第1段目シリンダ10aと第2段目シリンダ10bとの2段構成であり、第2段目シリンダ10bは、第1段目シリンダ10aよりも細い。シリンダ10a及び10b内に、それぞれディスプレーサ3a及び3bが、シリンダの軸方向に往復運動可能に挿入されている。ディスプレーサ3a及び3bは、相互に連結されている。ディスプレーサ3a及び3b内には、それぞれ蓄冷材4及び5が充填されたガス流路が形成されている。
第1段目シリンダ10a内の、第2段目シリンダ10b側の端部に、第1段目膨張室11が形成され、他方の端部に上部室13が形成されている。第2段目シリンダ10bの、第1段目シリンダ10a側とは反対側の端部に第2段目膨張室12が形成されている。
上部室13と第1段目膨張室11とは、ガス流路L1、蓄冷材4が充填されているガス流路、及びガス流路L2を介して接続されている。第1段目膨張室11と第2段目膨張室12とは、ガス流路L3、蓄冷材5が充填されているガス流路、及びガス流路L4を介して接続されている。第1段目シリンダ10aの外周面のうち、第1段目膨張室11に対応する位置に、冷却ステージ6が取り付けられている。また、第2段目シリンダ10bの外周面のうち、第2段目膨張室12に対応する位置に、冷却ステージ7が取り付けられている。
第1段目ディスプレーサ3aの外周面のうち、上部室13側の端部近傍にシール機構50が配置されている。シール機構50によりディスプレーサ3aの外周面とシリンダ10aの内周面との間のクリアランスをシールしている。
スコッチヨーク22が、第1段目ディスプレーサ3aに連結され、シリンダ10aの外に延在している。スコッチヨーク22は、ハウジング23に固定された摺動軸受17a及び17bにより、ディスプレーサ3a,3bの軸方向に移動可能に支持されている。摺動軸受17bにおいては、摺動部の気密性が保たれており、ハウジング23内の空間と上部室13とが隔離されている。モータ15の回転運動が、クランク14及びスコッチヨーク22を介してディスプレーサ3aに伝達され、ディスプレーサ3a,3bが往復駆動される。
ディスプレーサ3a,3bが上部室13側へ移動する時には、上部室13の容積が減少し、第1段目及び第2段目の膨張室11及び12の容積が増加する。ディスプレーサ3a,3bが反対向きに移動する時には、容積の増減が逆転する。上部室13、膨張室11及び12の容積の変動に伴い、冷媒ガスがガス流路L1〜L4を通って移動する。このとき、冷媒ガスと、蓄冷材4及び5との間で熱交換が行われる。
冷媒ガスの流路において、圧縮機1の吸気口1a及び吐出口1bと上部室13との間にロータリバルブRVが配置されている。ロータリバルブRVは、ガス圧縮機1の吐出口1bから吐出された冷媒ガスを上部室13内に導き、また、上部室13内の冷媒ガスをガス圧縮機1の吸気口1aに導くために、冷媒ガスの流路を切り換える。
ロータリバルブRVは、バルブ本体8及びバルブプレート9を有する。バルブプレート9は、例えばアルミニウム合金で形成され、バルブ本体8は、例えば四フッ化エチレン(例えば、NTN社製のベアリーFL3000)で形成されている。バルブ本体8及びバルブプレート9は平坦な摺動面を有し、この平坦な摺動面同士が面接触している。両者の摺動面の少なくとも一方に、摩擦を低減して耐磨耗性を向上させるために、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の硬質材からなる薄膜が形成されることが好ましい。
バルブプレート9は、回転軸受16により、ハウジング23内に回転可能に支持されている。スコッチヨーク22を駆動するクランク14の偏心ピン14aが回転軸を中心として公転することにより、バルブプレート9が回転する。バルブ本体8は、ピン19により回転しないように固定されているが、バルブプレート9に向かう方向に関しては固定されていない。バルブ本体8の後側には弾性部材としてコイルバネ20が、ガス供給部材25との間で圧縮された状態で配置されている。したがって、バルブ本体8は、コイルバネ20の押圧力により、バルブプレート9に対して押圧される。これにより、バルブ本体8の摺動面がバルブプレート9の摺動面に対して、適切な面圧が加えられた状態で面接触する。ガス供給部材25に形成されたガス供給孔25aはバルブ本体8のガス流路8bに連通しており、ガス供給孔25aからバルブ本体8に冷媒ガスが供給される。
なお、バルブプレート9はハウジング23の突起部により押圧力を支持されている。また、組立の際は、図示はしないが、ハウジング23が高圧ガス供給側から分割され、バルブプレートが挿入される構造となっている。
本実施例では、バルブ本体8のバルブプレート9に対する押圧力を発生させるための押圧力発生手段としてコイルバネ20が設けられている。この押圧力発生手段としては、コイルバネ20が好適であるが、コイル状に巻かれたバネではないバネや、圧縮されて弾性力を発生する部材であれば、ゴムやプラスチック等の弾性部材を用いることもできる。
図2は、ロータリバルブRVの分解斜視図である。円柱状のバルブ本体8の平坦な摺動面8aとバルブプレート9の平坦な摺動面9aとが面接触する。ガス供給路となるガス流路8bが、バルブ本体8の中心軸に沿ってバルブ本体8を貫通している。すなわち、ガス流路8bの一端が、摺動面8aに開口している。ガス流路8bの他端は、図1に示したガス圧縮機1の吐出口1bに接続されている。圧縮機1の吐出口1bからバルブ本体8のガス流路8bまでがガス供給路に相当する。
バルブ本体8の摺動面8aに、バルブ本体8の中心軸を中心とした円弧に沿った溝8cが形成されている。バルブ本体8の内部に形成されたガス流路8dの一端が、溝8cの底面に開口している。ガス流路8dの他端は、バルブ本体8の外周面に開口し、さらに図1に示すハウジング23に形成されたガス流路21を経由して上部室13に連通している。
バルブプレート9の摺動面9aに、その中心から半径方向に伸びる溝9dが形成されている。バルブプレート9が回転し、溝9dの外周側の端部が溝8cに部分的に重なった時、ガス流路8bとガス流路8dとが、溝9dを介して連通する。
回転軸に平行なガス流路9bが、バルブプレート9を貫通して延在している。ガス流路9bは、摺動面9a内の半径方向に関して、バルブ本体8の摺動面8aに形成された溝8cとほぼ同じ位置に開口している。バルブプレート9が回転し、ガス流路9bの開口部が溝8cに部分的に重なった時、ガス流路8dとガス流路9bとが連通する。ガス流路9bの他端は、図1に示したハウジング23内の空洞を介してガス圧縮機1の吸気口1aに連通している。バルブプレート9のガス流路から圧縮機1の吸気口1aまでがガス排出路に相当する。
ガス流路8bとガス流路8dとが、溝8cを介して連通している時、圧縮機1から上部室13内に冷媒ガスが送り込まれる。ガス流路8dとガス流路9bとが連通しているとき、上部室13内の冷媒ガスがガス圧縮機1に回収される。従って、バルブプレート9を回転させると、上部室13への冷媒ガスの導入(給気)と、上部室13からの冷媒ガスの回収(排気)が繰り返される。冷媒ガスの導入及び回収の繰り返しと、ディスプレーサ3a及び3bの往復駆動とは、共にクランク14の回転に同期する。冷媒ガスの導入と回収の繰り返しの位相と、ディスプレーサ3a及び3bの往復駆動の位相とを適当に調節すると、膨張室11及び12内で冷媒ガスが極低温となり吸熱作用が生じる。
図3は、第2段目ディスプレーサ3bの断面図である。上下端が開放された筒状部材30の下端に蓋部材31が挿入され、接着されている。筒状部材30及び蓋部材31は、布入りフェノールで形成されている。蓋部材31の上に金網32が配置され、その上にフェルト栓33が配置されている。
フェルト栓33の上には、たとえば小さな鉛球で形成された蓄冷材5が充填されている。なお、蓄冷材5として、磁性蓄冷材を用いてもよい。磁性蓄冷材を用いると冷凍能力を高めることができる。蓄冷材5の上にフェルト栓34が配置され、フェルト栓34の上にパンチングメタル35が配置されている。パンチングメタル35は、筒状部材30の内面上部に円周に沿って設けられた段差により固定されている。筒状部材30の上端には、図1に示す第1段目ディスプレーサ3aと結合するための連結機構36が取り付けられている。
筒状部材30の側壁の、金網32の高さの位置に、ガス流路を形成する開口37が設けられている。筒状部材30の開口37よりも上の外周面には、開口37の位置と上端とを結ぶ1本のらせん状の溝38が形成されている。らせん溝38は、シリンダ10bの内面と協働してらせん状のガス流路を形成する。らせん溝38は、例えば、幅約2mm、深さ約0.6mm、ピッチ約4mmである。
開口37よりも下の筒状部材30の外径は、それよりも上の部分の外径よりもわずかに小さくされている。従って、開口37よりも下の部分では、筒状部材30と第2段目シリンダとの間に間隙が形成される。この間隙は、筒状部材30の内部と図1に示す膨張空間12とを結ぶガス流路を形成する。
シリンダ10bの内周面とディスプレーサ3bの外周面との間に形成された間隙に冷媒ガスが流入すると、冷媒ガスはらせん溝38に沿って流れる。このとき、筒状部材30を介して冷媒ガスと蓄冷材5との間で熱交換が行われる。冷媒ガスが、らせん状の長い経路を辿って流れるため、十分な熱交換が行われる。
なお、第1段目ディスプレーサ3aの内部にも、蓄冷材5と同様な蓄冷材4が充填され、冷媒ガスとの間で熱交換が行われる。
以上のような構成の蓄冷器式冷凍機において、本実施例ではロータリバルブRVに作用する押圧力を発生させるための押圧力発生手段が設けられている。本実施例では、この押圧力発生手段により発生した押圧力のみがロータリバルブRVに作用し、冷媒ガスの圧力に起因した押圧力は作用しない。本実施例による押圧力発生手段は発生する押圧力を容易に任意の強さに調整することができ、押圧力調整手段としても機能することもできる。
図4は図1に示すロータリバルブRV及びその周囲を拡大して示す断面図である。
図4において、上述のようにバルブ本体8はコイルバネ20によりバルブプレート9に対して押圧され、摺動面が密着しながらバルブプレート9が回転することで、冷媒ガスの給気・排気が切り換えられる。バルブ本体8の摺動面8aの反対側には、ガス供給部材25がハウジング23に対して固定されており、バルブ本体8とガス供給部材25の間に、コイルバネ20が収容される第1の空間26が形成されている。
ガス供給部材25は、冷媒ガスを供給するためのガス供給孔25aを有しており、ガス供給孔25aからバルブ本体8のガス流路8aに冷媒ガスが供給される。ガス供給部材25の先端部25bはバルブ本体のガス流路8bの中まで延在しており、この先端部25bの外周とガス流路8bの内周面との間にOリングなどのシール部材28が設けられている。シール部材28により、排気側の圧力(低圧)とされる第1の空間26と、シリンダに供給される冷媒ガス(高圧)が通過するガス流路(ガス供給路25a及びガス流路8b)との間が気密にシールされる。シール部材をバルブ本体8とガス供給部材25の対向する面の間に設けることとしてもよいが、バルブ本体8は軸方向に僅かに変位すること及びシール部材によりバルブ本体に押圧力を加えないこと等の理由により、先端部25bの外周面とガス流路8bの内周面との間でシールすることが好ましい。
ガス供給部材25のガス供給路25aに供給されたれ圧縮機1からの冷媒ガスは、バルブ本体8のガス流路8bからバルブプレート9内のガス流路を通り、ハウジング23に形成されたガス流路21を介して上部室13に導入される。
本実施例では、コイルバネ20を収容する第1の空間26と、バルブ本体8の摺動面側に形成された第2の空間27とが、ハウジング23に形成された細孔よりなるバイパス通路24により連通されている。したがって、バルブ本体8の摺動面側に形成された第2の空間27内の冷媒ガスの圧力は、バイパス通路24を介して第1の空間26に伝達される。これにより、バルブ本体8の両側の第1及び第2の空間26,27は等しい圧力(排気側の圧力)となるので、冷媒ガスの圧力によりバルブ本体8が押圧されることはない。したがって、本実施例では、バルブ本体8をバルブプレート9に対して押圧するための押圧力は、コイルバネ20によるばね荷重だけとなる。
なお、本実施例では、バイパス通路24をハウジング23に形成して第1及び第2の空間26,27を同圧にしているが、バルブ本体8の高圧ガス供給側から(すなわち、第1の空間26に面した部分から)軸方向に孔を形成し、バルブプレート9に至る直前でバルブ本体8の側面に径方向の孔を形成して第2の空間27に連通させ、第1及び第2の空間を同圧にしてもよい。
従来はバイパス通路24がなく、冷媒ガスが供給される空間(第1の空間26に相当する)での圧力によりバルブ本体8が押圧される構成であったが、本実施例では、バイパス通路24により排気側の冷媒ガスの圧力をバルブ本体8の後ろ側の第1の空間26に導くことで、バルブ本体8が冷媒ガスの圧力により押圧されないように構成している。これにより、冷媒ガスの圧力の変動によりバルブ本体8の押圧力が変化することなく、コイルバネ20により常に一定の適切な押圧力をバルブ本体8に作用させることができる。
バルブ本体8に作用させる押圧力、すなわち、バルブ本体8の摺動面8aをバルブプレート9の摺動面9aに対して押圧する押圧力は、摺動面8a及び9aの間から冷媒ガスが漏れない程度の押圧力であればよい。押圧力が過大であると摺動面8a及び9aの磨耗が大きくなり、ロータリバルブRVの寿命が短くなってしまう。本実施例では、例えばコイルバネ20の自由長さを調節したり、コイルバネ20の圧縮長を調節したり、コイルバネ20のバネ定数を調節することで、バルブ本体8に作用する押圧力を調整することができる。したがって、摺動面8a及び9aの間から漏れのない程度であり、且つ摺動面8a及び9aの磨耗が少ない程度の押圧力に容易に調整することができる。
本発明者は、上述のロータリバルブRVを用いた蓄冷器式冷凍機において、バルブ本体8を押圧するコイルスバネ20のばね荷重(すなわち、コイルバネ20の押圧力)を変化させて、蓄冷器式冷凍機により得られる冷凍能力を求めた。図5はその結果を示すグラフである。図5に示す例では、コイルバネ20のばね荷重を2.2kgf、19.0kgf、35.0kgfの3段階に設定し、蓄冷器式凍機を運転して得られる冷凍能力を測定した。図5からわかるように、ばね荷重を2.2kgfに設定したときが冷凍能力は一番少なく、冷媒ガスがロータリバルブRVから漏れているものと推定された。ばね荷重を19.0kgfに設定すると、50k〜70kの冷凍能力は、ばね荷重が2.2kgfの時に比べて2〜1.5倍に増加した。ロータリバルブRVからの冷媒ガスの漏れがかなり減少したものと推定された。そこで、ばね荷重を35.0kgfに設定したところ、ばね荷重が19.0kgfの場合よりは冷凍能力は上昇したが、上昇の程度は1.2倍程度であった。これにより、ばね荷重が35.0kgfであれば、ロータリバルブからの冷媒ガスの漏れはほとんどなくなったものと推定された。
そこで、ばね荷重ではなく従来のように冷媒ガスの圧力をバルブ本体8に作用させた場合の冷凍能力と、冷媒ガスの圧力はかけずに35.0kgfのばね荷重のみをバルブ本体に作用させた場合の冷凍能力を測定した。図6はその冷凍能力の測定結果を示すグラフである。図6からわかるように、従来のように冷媒ガスの圧力をバルブ本体に作用させた場合(ガス圧気密、荷重約150kgf)の冷凍能力と、冷媒ガスの圧力はかけずに35.0kgfのばね荷重のみをバルブ本体に作用させた場合(ばね力気密)の冷凍能力とは、ほぼ一致しており、35.0kgfのばね荷重をバルブ本体に作用させれば従来と同等の気密性を維持できることがわかった。
以上のように、本実施例における押圧力発生手段は、第1及び第2の空間26,27の圧力を等しくするためのバイパス通路24を設け、バルブ本体8を押圧するコイルバネ20のばね荷重を調節することにより達成されるものであり、従来のように冷媒ガスの圧力によりバルブ本体8を押圧する場合に比べて、ロータリバルブRVの寿命を長くすることができる。また、摺動面8a及び9aの磨耗が抑制されるので、磨耗粉の冷媒ガスへの混入に起因した不具合を防止することができる。
また、摺動面8a及び9aの摩擦力が低減されるので、バルブプレート9を回転駆動するためのモータ15に加わるトルクが減少する。したがって、モータ15に過大なトルクが加わることがなく、モータ15を常に正常に駆動することができる。また、モータ15をより小さなモータ(出力トルクの小さなモータ)にすることができる。
さらに、バルブ本体8の押圧力を低減することができるため、バルブプレート9に加わる押圧力も低減することができる。したがって、バルブプレート9を回転可能に支持するボールベアリング等よりなる回転軸受16へのスラスト荷重を低減することができ、これにより、回転軸受16の寿命を長くすることができる。
また、冷媒ガスの排気側の圧力が給気側の圧力より大きくなった場合であっても、従来のようにバルブ本体8に逆方向の押圧力が作用してバルブ本体8がバルブプレート9から離れてしまうといったことはない。バルブプレート9とバルブ本体8の両方は、バイパス通路24により繋がれて常に排気側の圧力となった空間内に配置されており、冷媒ガスの圧力差に起因したバルブ本体8に作用する押圧力は発生しないためである。
なお、上述の実施例は、2段式のギフォード・マクマホン(GM)型冷凍機に本発明を適用した例であるが、本発明は、2段式に限らず、1段式あるいは多段式のGM冷凍機にも適用することができる。
本発明の第1実施例によるギフォード・マクマホン型冷凍機の断面図である。 図1に示すロータリバルブの分解斜視図である。 図1に示す第2段目ディスプレーサ3bの断面図である。 図1に示すロータリバルブ及びその周囲を拡大して示す断面図である。 ばね荷重を変化させたときの冷凍能力の変化を示すグラフである。 冷媒ガス圧力による押圧で得られた冷凍能力と、ばね荷重のみによる押圧で得られた冷凍能力を示すグラフである。
符号の説明
1 ガス圧縮機
3a、3b ディスプレーサ
4,5 蓄冷材
6,7 冷却ステージ
8 バルブ本体
9 バルブプレート
8a,9a 摺動面
10 シリンダ部
10a、10b シリンダ
11、12 膨張室
13 上部室
14 クランク
15 モータ
16 回転軸受
17a、17b 摺動軸受
19 ピン
20 コイルバネ
21 ガス流路
22 スコッチヨーク
23 ハウジング
24 バイパス通路
25 ガス供給部材
26 第1の空間
27 第2の空間
28,29 シール部材
30 円筒状部材
31 蓋部材
32、35 金網
33、34 フェルト栓
36 連結機構
38 らせん溝
50 シール機構

Claims (3)

  1. 作動流体を圧縮する圧縮機と、
    圧縮された該作動流体が供給されるシリンダと、
    前記圧縮機と該シリンダとの間に設けられ、該作動流体の流路を、該作動流体を前記シリンダに供給するガス供給路と、該作動流体を前記シリンダから排出して前記圧縮機に導くガス排出路とのいずれかに切り換えるロータリバルブと、
    該ロータリバルブのバルブ本体を押圧して、該バルブ本体の摺動面を該ロータリバルブのバルブプレートの摺動面に密着させるためのバネと、
    前記バルブ本体の前記摺動面の反対側に形成された第1の空間と、前記バルブ本体の前記摺動面に繋がる第2の空間とを連通するバイパス通路と
    を有し、
    前記バネのばね荷重によってのみ前記バルブ本体に作用する押圧力を発生させ
    冷媒ガスを供給するためのガス供給孔が形成されたガス供給部材が、前記バルブ本体の前記摺動面の反対側に設けられ、該ガス供給孔と前記バルブ本体のガス流路とが接続され、前記ガス供給部材と前記バルブ本体との間にシール部材が設けられて前記ガス供給孔及び前記ガス流路と前記第1の空間との間が気密にシールされることを特徴とする蓄冷器式冷凍機。
  2. 請求項記載の蓄冷器式冷凍機であって、
    前記ガス供給部材は前記バルブ本体のガス流路内に延在する先端部を有し、前記シール部材は該先端部の外周面と前記バルブ本体の前記ガス流路の内周面との間に設けられることを特徴とする蓄冷器式冷凍機。
  3. 請求項記載の蓄冷器式冷凍機であって、
    前記バイパス通路は、前記ロータリバルブを収容するハウジングに形成された細孔であることを特徴とする蓄冷器式冷凍機。
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