JP4196691B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶プロジェクタや、液晶テレビジョン、投射型ディスプレイ装置等、液晶表示素子を使用してスクリーン上に任意の映像を投影する液晶表示装置、および、それに用いられる光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子を使用してスクリーン上に映像を投影する表示装置では、液晶パネル等の液晶表示素子に、電球などの光源からの光を当てて、その透過光をスクリーン上に投射する。そして、液晶表示素子において画素毎に偏光量を調整することで、任意の表示を行うことができるようになっている。
【0003】
このような液晶表示装置において、明るい場所でも良好な投射映像を得たいというユーザの要求から、光源の高輝度化や光利用効率の向上により投射映像の光出力を増す試みが従来よりなされてきた。例えば、特開昭63−197913号公報に記載されている技術では、光源からの不定偏光を互いに直交する2つの直線偏光に分離する偏光分離手段と、分離された直線偏光の一方を他方の偏光方向に一致するように回転させる偏光方向回転手段からなる偏光変換素子を用い、光源からの光利用効率を向上させている。
【0004】
ところで、上記のような液晶表示装置においては、光源から出た光の内、最終的に投射されるもの以外の光は、液晶表示素子やその周辺の光学素子等に吸収されて熱となる。このため、液晶表示素子やその周辺の光学素子等は加熱されることになる。特に、光源の高輝度化や光利用効率の向上を図って、投射光出力を増加させることは、液晶表示素子に入射する光量を増加させ、液晶表示素子および偏光板での発熱を増加させることにつながる。また、光源から入射側偏光素子に至るまでの光学系において偏光変換素子を使用した場合には、偏光が一方向に揃えられるため、全黒表示時等に出射側偏光素子の発熱量が大きくなる。
【0005】
一方、液晶表示素子は、一般には半導体の駆動素子と液晶等の光学機能材料とにより構成されている。これらは、いずれも正常に動作させるためには、所定の温度以下(例えば60度以下)に保つ必要がある。このため、液晶表示素子の冷却が必要となる。この種の冷却方式として、種々の提案がなされている。
【0006】
液晶表示素子の冷却に関する従来技術としては、例えば、特開平3−174134号公報に記載されている例などが知られている。この従来技術では、一対の偏光板の内の一方と、液晶表示素子である液晶パネルが、冷却液を密封した冷却器に密接して、配置される。冷却器は枠体と枠体の両面を閉塞する2枚の透明板からなる密閉構造となっており、上記の偏光板及び液晶パネルはそれぞれ透明板に密接している。冷却器内部にはヒートパイプが一部挿入されており、ヒートパイプの冷却器外部突出部分には放熱フィンが設けられている。液晶パネル及び偏光板の熱は、冷却器へ伝達し、更に、冷却液、ヒートパイプを経て、放熱フィンから冷却器の外部に放出される。
【0007】
また、上述の表示装置では、液晶表示素子を通過した光の一部が、液晶表示素子の後方の投射レンズ等の光学素子で反射して、液晶表示素子に戻ることが起こり得る。このような反射光は、コントラストの低下といった投射画像の品質を下げる一因となっている。
【0008】
液晶表示素子後部の光学素子からの反射光によるコントラスト低下を抑制する従来技術としては、光学素子のコーティングによる透過率の向上策の他に、例えば、特開平6−110055号公報に記載されている技術がある。この従来技術では、出射側の偏光板と投射レンズとの間にλ/4板を配置している。液晶パネルおよび出射側偏光板を通過した光は、λ/4板を経て投射レンズに至る。この入射光の一部は、投射レンズで反射して液晶パネル方向に戻る。この時、反射光は、出射側偏光板を通過してから往復で計2度λ/4板を通過する。このため、再度、出射側偏光板に到達したところでは、先に通過した時に比べ、偏光方向が90度回転している。そのため、反射光は、出射側偏光板を通過できず、全て吸収される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示素子の加熱を防ぐための上記従来の技術は、一方の偏光板と液晶表示素子とを、冷却液を密封した冷却器の透明板に密接して配置するものであるため、偏光板および液晶表示素子の間には、2枚の透明板と冷却液とが介在することになる。これらの各境界面では屈折率の変化による反射が発生するため、通過光の減衰が生じ易い。
【0010】
また、この従来の技術は、液晶表示素子からの発熱を、透明板−冷却液−ヒートパイプ−放熱フィン−周辺雰囲気(外部空気)と、多くの熱伝達経路を経て放熱する構成であるため、熱抵抗の積算から冷却性能に制約を受け易く、構造が複雑となる。特に、高輝度化を図る場合には、放熱効率を高める必要があるため、ヒートパイプや放熱フィンの大型化を行わなければならない。
【0011】
一方、コントラストの低下を抑えるための上記従来の技術では、投射レンズからの反射光を出射側偏光板で吸収する構成であるため、出射側偏光板がより加熱されやすくなる。この加熱は、出射側偏光板の熱劣化(変形など)の要因となる。また、λ/4板の追加により、光学部品数が増加し、構成が複雑になる。
【0012】
そこで、本発明は、投射映像の高輝度化と、液晶表示素子および偏光素子の温度上昇の抑制とを共に達成でき、小型かつ簡略な構成により実現できる液晶表示装置、および、それに用いられる光学装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、投射光を出射する光源と、前記光源光学系からの光を所定の偏光方向の偏光とするように偏光変換する偏光変換素子と、光源光学系からの出射光を受けて、与えられた駆動信号に応じて投射すべき画像を生成する液晶表示素子と、前記液晶表示素子の入射側に配置され、所定方向と略平行な偏光方向を有する入射側偏光素子と、前記液晶表示素子の出射側に配置され、所定方向と略直交する偏光方向を有する出射側偏光素子と、前記液晶表示素子から出射される光を受ける第1の光学素子を含み、前記液晶表示素子から出射された光を、投射対象に向けて投射する投射光学系と、少なくとも、前記複数の液晶表示素子、前記複数の出射側偏光素子、および、前記第1の光学素子を保持するための保持部材と、冷却のための冷却媒体とを有し、前記液晶表示素子と、前記第1の光学素子と、前記保持部材とは、前記液晶表示素子と前記第1の光学素子との間に空間を構成し、前記冷却媒体を該空間に充填するように構成する
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下では、液晶プロジェクタとして機能し得る液晶表示装置を例として述べる。
【0015】
まず、本発明の第1〜第3の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0016】
図3は、本実施形態の単板式液晶プロジェクタの光学系の全体構成を示す図である。図3に示す単板式液晶プロジェクタは、メタルハライドランプ等の光源12と、光源12より発光した光を一定方向に集光する反射鏡13と、多数のセルレンズが集合したマルチレンズ14および15と、偏光を一方向に揃える偏光変換素子17と、液晶表示部11と、投射レンズ群1bとを備える。この液晶プロジェクタは、液晶表示部11において表示される画像を、投射レンズ1bによりスクリーン16に投射して、拡大した画像をスクリーン上に表示させる。
【0017】
ここで、光源12から偏光変換素子17は、液晶表示部11に入射させる投射光を生成する光源光学系を構成する。また、構造上、液晶表示部11に含まれる第1レンズ1aと、投射レンズ群1bとにより、投射光学系を形成する。
【0018】
偏光変換素子17は、入射された不定偏光光を、特定の偏光成分の光に効率よく変換できるものである。本実施例では、この偏光変換素子17を、入射側偏光素子3aの偏光方向に略平行な偏光光を得られるように構成し、配置している。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態における液晶表示部の各部構成例を示す断面図である。液晶表示部11は、液晶表示素子2と、出射側偏光素子3bと、第1投射レンズ1aと、これらを保持すると共に、冷却媒体5を保持するための保持部材6と、入射側偏光素子3aとを有する。なお、90は光の進行方向を示している。
【0020】
第1投射レンズ1aは、前記投射レンズ群1bと共に、投射レンズ群を構成する光学素子であり、投射レンズ群の中で最も液晶表示素子2側に位置する。入射側偏光素子3a、液晶表示素子2、出射側偏光素子3b、および、第1投射レンズ1aは、透光面が互いに略平行(平行を含む)となるように配置されている。
【0021】
保持部材6は、本実施の形態では、液晶表示素子2と、出射側偏光素子3bとを、冷却媒体5に接触させて、冷却させるように保持する機能をも有する。このため、他の部材と共に、冷却媒体5が存在する冷却空間を形成する部材、すなわち、冷却媒体5の容器を構成する部材としても機能する。他の部材としては、本実施の形態では、液晶表示素子2、第1投射レンズ1a、調圧用ベローズ9等が、冷却媒体5を囲む冷却空間を形成する部材として機能する。調圧用ベローズ9は、冷却媒体5の体積変化を吸収する。また、この保持部材6には、放熱フィン19が接続され、冷却媒体5の熱を外部の流体、例えば、空気と熱交換して、冷却媒体5を冷却している。
【0022】
保持部材6は、凹状の形態を有する第1保持部61と、平板状の形態を有する第2保持部62とを有する。第1保持部61の凹部開口には、Oリング7aを介して第2保持部62が接合される。また、第2保持部62には、液晶表示素子2により封止される入射側開口部62aが形成されている。また、第1保持部61には、第1投射レンズ1aにより封止される出射側開口部61aと、調圧用ベローズ9により封止される開口部61bとが形成されている。入射側開口部62aおよび出射側開口部61aは、共に、液晶表示素子2の入射光および出射光を遮らない大きさとなっている。
【0023】
入射側開口部62aには、液晶表示素子2がはめ込まれ、その隙間に弾性体20を圧入されている。出射側開口部61aには、第1投射レンズ1aがはめ込まれ、Oリング7bにより、第1投射レンズ1aに圧接されている。
【0024】
入射側偏光素子3aは、液晶表示素子2との間に一定の距離を空けて配置され、入射側偏光素子保持枠4aにより支持されている。一方、出射側偏光素子3bは、第1投射レンズ1aの入射面上に配置され、出射側偏光素子保持枠4bにより支持されている。ここで、入射側偏光素子保持枠4aおよび出射側偏光素子保持枠4bは、共に、液晶表示素子2の入射光を遮らない形状となっている。
【0025】
調圧用ベローズ9は、調圧用ベローズ押え板10により、保持部材6の開口部に取り付けられている。これら液晶表示素子2、保持部材6、第1投影レンズ1a、および、調圧用ベローズ9に囲まれた空間は、液密状態となっており、冷却媒体5で満たされている。
【0026】
上記の各構成要素について、さらに詳しく説明する。
【0027】
図2に、液晶表示素子2の断面を示す。図示のように、液晶表示素子2は、液晶駆動表示部50と、ガラス板51および52と、液晶表示素子フレーム53とにより構成される。液晶表示素子2には、液晶表示素子駆動用信号線18が電気的に接続されている。この液晶表示素子駆動用信号線18は、接着剤54により液晶表示素子2に固定されて、図示していない駆動回路より出される駆動信号を伝送する。
【0028】
入射側偏光素子3aおよび出射側偏光素子3bは、板状に成形されており、片側の表面をガラスまたは樹脂によりコーティングされている。これら、入射側偏光素子3aおよび出射側偏光素子3bは、所望の振動方向の光成分のみを通過させる機能を有する。なお、入射側偏光素子3aおよび出射側偏光素子3bとして、それぞれ、複数の偏光素子を用いるようにしてもよい。
【0029】
冷却媒体5としては、屈折率が1.2以上、1.7以下となる透光性流体を用いる。屈折率が1.2以上、1.7以下の透光性流体としては、例えば、スリーエム社のフッ素化不活性液(屈折率1.25〜1.3)、エチレングリコール(屈折率1.43)や、グリセリン(屈折率1.47)、これらの水溶液、グリセリン・エチレングリコール混合液、等がある。
【0030】
望ましくは、冷却媒体5の屈折率は、液晶表示素子2や出射側偏光素子3b等、光路上で冷却媒体5に接触する光学素子の屈折率と略等しくなるようにする。ここで、液晶表示素子2や、出射側偏光素子3b、第1投射レンズ1a等に用いられる光学ガラスやプラスチックの屈折率は約1.4〜1.5である。グリセリン・エチレングリコール混合液は、屈折率が1.45であるため、冷却媒体5として好適である。もちろん、上記条件を満たすものであれば、ここに挙げていないものでも用いることができる。
【0031】
このように冷却媒体5を選択すると、液晶表示素子2および冷却媒体5の境界面と、冷却媒体5および出射側偏光素子3bの境界面とにおける屈折率の差が小さくなる。これにより、これら境界面での反射が抑えられ、反射光が液晶表示素子に戻ることによって発生するコントラストの低下が抑制される。
【0032】
保持部材6は、例えば、Fe、Cu、Al、Mg等の金属や、それらを含む熱伝達性に優れた材料により形成されている。保持部材6を構成する保持部62には、液晶表示素子2の表示画素領域より大きな略四角形の入射側開口部が設けられている。この開口部には、液晶表示素子2がはめ込まれ、隙間に弾性体20を圧入することにより固定される。一方、保持部61には第1投射レンズ1aの有効径と略同じ大きさの円形の出射開口部61aが設けられている。この開口部61aには、第1投射レンズ1aがはめ込まれる。Oリング7bを潰すことにより、第1投射レンズ1aは、第1投射レンズ押え板8に圧接され、固定される。
【0033】
なお、弾性体20およびOリング7の代りに、接着剤や、パテ、硬化樹脂等を用いて液晶表示素子2および第1投射レンズ1aの固定および封止を行うようにしてもよい。このような構造を有するため、保持部材6が、液晶表示素子2の表示画素領域を通過した表示光の光路を遮ることはない。
【0034】
また、保持部材6は、保持部61、62の2ピース構造としており、この接合部はOリング7aを潰すことにより液密状態となる。このように、保持部材を複数ピース構造にすることで、保持部材6の入射側開口部62aや出射側開口部61aの大きさと、液晶表示素子2から第1投射レンズ1aまでの光学的距離とに関わらず、冷却媒体5を封止する空間容積を大きく取ることができる。もちろん、保持部材を1ピース構造として、液晶表示部11の構造を簡略化してもよい。
【0035】
保持部61には、調圧用ベローズ9が調圧用ベローズ押え板10によって固定されている。この調圧用ベローズ9により、冷却媒体5の温度変化による体積変化は、調圧用ベローズ9の膨張収縮または変形によって吸収され、冷却媒体5の圧力は一定に保たれる。
【0036】
出射側偏光素子3bは、出射側偏光素子保持枠4bによって保持部61に固定される。この出射側偏光素子保持枠4bは、光路および冷却媒体5の対流を阻害しない形状をしている。
【0037】
液晶表示素子2で発生した熱は、一部が弾性体20を介して保持部材6へと伝わり、液晶表示部11外部へ放出される。他の大部分の熱は、冷却媒体5に吸収され、冷却媒体5の自然対流に伴い移動する。そして、保持部材6の内壁面に伝導して、外部へ放出される。出射側偏光素子3bで発生した熱は、その大部分が冷却媒体5に吸収され、外部へ放出される。
【0038】
このように、保持部材6は、液晶表示部11で発生した熱を外部に放出する役目を持つ。保持部材6の外壁に放熱フィン19を設けることで、放熱の効率を高めることができる。空気の自然対流により放熱を行う場合には、放熱フィン19の放熱面を鉛直方向に略平行となるように配置することが望ましい。なお、図中では、放熱フィン19は、保持部61に設けているが、保持部62または保持部61、62両方に設けても構わない。保持部材6を冷却ファン等により強制冷却することで、放熱の効率をより高めることができる。この場合には、放熱フィン19の放熱面を冷却ファンの空気流の方向に略平行となるように配置することが望ましい。また、本実施例のように自然対流で冷却する場合には、ファン等による騒音の発生しない低騒音冷却を実現できる。
【0039】
入射側偏光素子3aで発生した熱は、一部は接触熱伝導により周辺部へ、残りの一部は、周囲雰囲気との間で熱交換される。冷却ファンを用いて入射側偏光素子3a表面上に空気流を起して、強制冷却するようにしてもよい。
【0040】
また、液晶表示部11全体を保持固定する構造材に、熱伝導性のよい材料、例えば、Fe、Al等の金属およびそれらを含む材料を用い、液晶表示部11外部への接触熱伝導による放熱を促すようにしてもよい。
【0041】
本実施例においては、液晶表示素子2の少なくとも入射側部分が保持部材6外部に面しているため、液晶表示素子2と液晶表示素子駆動用信号線18の電気的接合部を保持部材6の外部に設けて、この電気的接合部および液晶表示素子駆動用信号線18を冷却媒体5に接触させないようにしている。このため、冷却媒体5による侵蝕防止のための対策を行う必要はない。
【0042】
また、液晶表示素子2の出射面が周囲雰囲気(外部の空気)とは非接触になるため、周囲雰囲気中の塵埃が液晶表示素子2の出射面表面に付着して、投射画像に影を落とす事が無い。
【0043】
なお、出射側偏光素子3bは,本実施例のように1枚である必要はなく、複数枚から構成されるものであってもよく、その複数枚の内の一部が液晶表示素子2に取り付けられている場合でも、本発明の効果は有効である。
【0044】
以上の構成において、図3に示すように、光源12から出射した光は、反射鏡13によりマルチレンズ14、15に集光される。ここで、マルチレンズ14および15は、液晶表示素子2の表示画素領域の全域に均一に光を入射させる作用を有し、スクリーン16上の照度の均一化を可能とする。マルチレンズ14および15を経た光は、偏光変換素子17において、入射側偏光素子3の偏光方向に略平行な偏光光に変換された後、液晶表示部11に入射される。そして、液晶表示部11に入射した光は、液晶表示部11において、表示すべき画像対応に画素毎に濃淡を調整されて、投射手段を構成する投射レンズ群を経てスクリーン16に投射される。
【0045】
偏光変換素子17において、入射側偏光素子3の偏光方向に略平行な偏光光を得ることにより、入射側偏光素子3aにおける透過率が向上し、光源12の出射光が効率よく液晶表示素子2に到達されるようになる。また、入射側偏光素子3aでは、吸収する光の量が少ないため、発熱も小さい。
【0046】
以上で説明したように、本実施形態によれば、投影画像のコントラストの低下を抑制とを共に達成できる。その結果、高輝度な投射映像を得ることができる。しかも、液晶表示素子2および出射側偏光素子3bの温度上昇を抑制することができる。しかも、他の特別な光学素子等を必要としないため、液晶表示部11の簡略化が図れる。また、ヒートパイプ等を用いずに簡略な構成で冷却を行うことができる。
【0047】
次に、単板式液晶プロジェクタに適用される液晶表示部11の他の実施形態について、図4〜図6により説明する。なお、以下で用いる図面では、第1の実施形態の構成要素と同じ機能を持つものには同じ符号を付している。また、以下の液晶表示部11も、例えば、図3に示した単板式液晶プロジェクタに適用される。
【0048】
図4は、本発明の第2の実施形態における液晶表示部の各部構成例を示す断面図である。
【0049】
本実施形態は、出射側偏光素子3bを液晶表示素子2の出射面に固定している点が、第1の実施形態と異なる。この構成は、液晶表示素子2に対する出射側偏光素子3の偏光透過軸を、予め、高精度に位置決めし、固定することを可能とする。これにより、全白表示時の透過率及び全黒表示時の遮蔽率が向上し、高いコントラストが得られる。
【0050】
また、本実施例では、液晶表示素子2を開口部62aに嵌合する際、保持部61との接合部を接着剤21により封止している。
【0051】
図5は、本発明の第3実施形態における液晶表示部の各部構成例を示す断面図である。
【0052】
本実施形態は、入射側偏光素子3aの出射面から第1投射レンズ1aの入射面までの領域を冷却媒体5で満たし、液晶表示素子2を冷却媒体5内に配置した点が、第1の実施形態と異なる。
【0053】
図5において、24は液晶表示素子2を冷却媒体5の中に配置、保持する液晶表示素子保持枠、25は冷却媒体調圧室、22は液晶表示素子駆動用信号線18を保持部材外部に引き出すために設けられた信号線引き出し口である。
【0054】
入射側偏光素子3aは、保持部62の入射側に形成された開口部62a、すなわち入射口を、塞ぐように設置されている。なお、保持部62との接合部は、接着剤や、パテ、Oリングなどで封止される。冷却媒体5は、入射側偏光素子3a、保持部材6、調圧用ベローズ9、および、第1投影レンズ1aにより囲まれた空間に充填される。
【0055】
液晶表示素子2は、液晶表示素子保持枠24により支持され、冷却媒体5内に配置される。ここで、冷却媒体5を充填されている領域は、液晶表示素子2の入射面側と出射面側とが繋がっており、冷却媒体5が両領域間を自由に対流できるようになっている。
【0056】
液晶表示素子駆動用信号線18は、信号線引き出し口22から保持部材6外部に引き出される。信号線引き出し口22は、接着剤や硬化樹脂の充填、または、弾性体の圧入等により封止される。このようにして形成されるシール部により、液漏れをおこすことなく、液晶表示素子駆動用信号線18を容器外部に引き出すことができる。
【0057】
調圧用ベローズ9を設置された冷却媒体調圧室25は、保持部61内部と連通し、冷却媒体5の圧力を一定に保つ。冷却媒体調圧室25を保持部材6と別部品とすることで、保持部61、62を小型にすることが出来る。
【0058】
このように、本実施形態によれば、液晶表示素子2の入射面および出射面の双方が冷却媒体5に直接接触されて、冷却されるため、液晶表示素子2の温度上昇をより低減できる。入射側偏光素子3aでの発熱も冷却媒体5により冷却することができる。さらに、液晶表示素子2の両面が周囲雰囲気(外部空気)と非接触になるため、周囲雰囲気中の塵埃が液晶表示素子2の表面に付着して、投射画像に影を落とす事が無い。
【0059】
図6は、本発明の第4の実施形態における液晶表示部の各部構成例を示す断面図である。
【0060】
本実施形態は、液晶表示素子2の、液晶表示素子駆動用信号線18との接続部を含む一部が、冷却媒体5の充填された保持部材6の外部に出るように構成した点が、第3の実施形態と異なる。
【0061】
保持部材6の保持部62には、液晶表示素子2を取付けるための、中空の突出部62bが形成されている。この突出部62bの一部には開口62cが形成されている。液晶表示素子2の一部は、この突出部62bの開口62cに、Oリングや、接着剤、パテなどの手段により、液密状態となるように固定される。液晶表示素子2と液晶表示素子駆動用信号線18との接続部は、突出部内の開口に位置し、冷却媒体5に接触しないようになっている。
【0062】
本実施形態によれば、第3の実施形態で述べた効果に加え、液晶表示素子駆動用信号線18と、その液晶表示素子2との接続部の、冷却媒体5に対する耐蝕性や、これによる冷却媒体5への漏電等への配慮が不要になるという効果が得られる。
【0063】
次に、本発明の第5〜第11の実施形態について、図面を参照して説明する。これらは、3板式液晶プロジェクタとして用いられる。もちろん、単板式の構成に適用することも可能な場合がある。なお、以下で用いる図面では、上述の実施形態で示した各構成要素と同じ機能を持つものには同じ符号を付している。
【0064】
図9は、本実施形態の3板式液晶プロジェクタの光学系の全体構成を示す図である。
【0065】
3板式液晶プロジェクタは、R、G、Bの各成分対応の液晶表示部11R、11Gおよび11Bと、メタルハライドランプ等の光源12と、光源12より出射された光を一定方向に集光する反射鏡13と、多数のセルレンズが集合して構成されたマルチレンズ14および15と、偏光変換素子(偏光変換手段)17と、偏光を3分割する分離光学系を構成し、入射光をR、G、Bの各成分に分離するミラー群34〜39と、RGB成分の各光を液晶表示部11R、11Gおよび11Bに集光して入射させるコンデンサレンズ40R,40G,40Bと、液晶表示部11R、11Gおよび11Bから出射される光を合成する合成光学素子41と、合成された映像をスクリーン16に投射する投射レンズ1とを有する。
【0066】
ここで、光源12からコンデンサレンズ40R,40G,40Bまでの光学素子により光源光学系が構成される。また、合成光学素子41、投射レンズ1等の光学素子により、投射光学系が構成される。
【0067】
次に、本発明の第5の実施の形態について、図8および図7を参照して説明する。
【0068】
図8は、液晶表示部11を、各色成分(R,G,B)に対応して設けた構成例を示す図である。なお、図では、放熱フィン19および調圧室25の図示を省略している。
【0069】
図8において、液晶表示部11R,11G,11Bは、液晶表示素子2R,2G、2Bと、入射側偏光素子3Ra,3Ga,3Baと、出射側偏光素子3Rb,3Gb,3Bbと、入射側偏光素子3Ra,3Ga,3Baを保持固定する入射側偏光素子保持枠4Ra,4Ga,4Baと、これらを保持する保持部材6R,6G,6Bとを備える。なお、5R,5G,5Bは冷却媒体である。41は合成光学素子、1は投射レンズである。
【0070】
液晶表示部11R,11G,11Bは、光多面体である合成光学素子41の3つの入射面にそれぞれ固定されている。合成光学素子41は、各液晶表示部11R,11G,11Bを通過してきた各色成分の光を合成するためのものである。
【0071】
後述する分離光学系より分離された各色成分の光は、対応する液晶表示部11R,11G,11Bに入射され、液晶表示素子2R、2G、2Bを経て画素毎に調光を受ける。調光された各光は、合成光学素子41によって合成された後、投射レンズ1を介して投射される。
【0072】
なお、本実施例では、R、G、Bの3成分に対応させて液晶表示部11を設けているが、例えば、Y、Cとか、G、R+Bのような2成分に対応させたり、4成分以上に対応させたりすることも可能である。
【0073】
図7は、本発明の第5の実施形態における、液晶表示部の詳細な構成を示す断面図である。3板式では、図8に示すように、合成光学素子の3つの入射面に個別に液晶表示部11を形成する。しかし、それらは、基本的に同一の構成を有するので、ここでは、RGBの3成分のうちの1成分用の液晶表示部の構成について説明する。従って、符号に関し、RGBの区別しない場合がある。また、図7の例は、前述した3板式に限らず、単板式に適用してもよい。
【0074】
図7において、41は多面体の合成光学素子、11は液晶表示部である。本実施形態では、入射側偏光素子3a、液晶表示素子2、出射側偏光素子3b、および、合成光学素子41は、透光面が互いに平行となるように配置されている。
【0075】
本実施の形態では、保持部材6は、凹部形状を有する1ピース構造を採用している。この保持部材には、その凹部の開口である出射側開口部6bと、凹部の底面に位置する入射側開口部6aと、調圧室25に連通するための連通口6cとが設けられている。入射側開口部6aは、液晶表示素子2が嵌合されて封止される。具体的には、入射側開口部6aには、液晶表示素子2をはめ込まれ、その隙間に弾性体20を圧入されている。また、出射側開口部6bは、合成光学素子41が密接して封止される。具体的には、出射側開口部6bは、合成光学素子41の一つの光入射面により覆われ、Oリング7により合成光学素子41に固定されている。入射側開口部6aおよび出射側開口部6bは、共に、液晶表示素子2の入射光および出射光を遮らない大きさとなっている。
【0076】
保持部材6は、前述したように、熱伝導の良好な材料、例えば、Fe、Cu、Al、Mg等の金属や、それらを含む熱伝達性に優れた材料により形成されており、自分自身が放熱の役割を担う。なお、保持部材6に液晶表示素子2および合成光学素子41を固定するための手段として、弾性体20およびOリング7の代りに、接着剤や、パテ、硬化樹脂等を用いるようにしてもよい。
【0077】
合成光学素子41の入射面上には、出射側偏光素子3bが接着剤や両面テープなどにより固定されている。入射側偏光素子3aは、液晶表示素子2との間に一定の距離を空けて配置され、入射側偏光素子保持枠4aにより支持されている。ここで、入射側偏光素子保持枠4aは、液晶表示素子2の入射光を遮らない形状となっている。
【0078】
調圧室25は、保持部材6内部と連通し、調圧用ベローズ押え板10により、調圧用ベローズ9を取り付けられている。液晶表示素子2、保持部材6、調圧室25、調圧用ベローズ9、および、出射側偏光素子3bを取り付けられた合成光学素子41により囲まれる空間は、液密の状態となっており、冷却媒体5で満たされている。このような構造とすることで、液晶表示素子2および出射側偏光素子3bが、冷却媒体5に触れる状態で保持されることになる。
【0079】
冷媒調圧室25には、調圧用ベローズ9が調圧用ベローズ押え板10によって固定されている。保持部材6、液晶表示素子2および合成光学素子41により囲まれた空間と、冷媒調圧室25および調圧用ベローズ9により囲まれた空間とは連通しており、冷却媒体5が移動可能な状態となっている。冷却媒体5の温度変化による体積変化は、調圧用ベローズ9の膨張収縮または変形によって吸収される。これにより、保持部材6内の圧力は一定に保たれる。
【0080】
液晶表示素子2で発生した熱は、一部が弾性体20を介して保持部材6へと伝わり、液晶表示部11外部へ放出される。他の多くの部分の熱は、冷却媒体5に吸収され、冷却媒体5の自然対流に伴い移動する。そして、保持部材6の内壁面に伝導して、外部へ放出される。同様に、出射側偏光素子3bで発生した熱は、その多くが冷却媒体5に吸収され、外部へ放出される。
【0081】
このように、保持部材6は、それ自身が液晶表示部11で発生した熱を外部に放出する機能を持つ。このため、ヒートパイプ等の冷却機構が必要なく、簡略な構造となっている。
【0082】
保持部材6の外壁に放熱フィン19を設けることで、放熱の効率を高めることができる。空気の自然対流により放熱を行う場合には、放熱フィン19の放熱面を鉛直方向に略平行となるように配置することが望ましい。保持部材6を冷却ファン等により強制冷却することで、放熱の効率をより高めることができる。この場合には、放熱フィン19の放熱面を冷却ファンの空気流の方向に略平行となるように配置することが望ましい。
【0083】
入射側偏光素子3aで発生した熱は、一部は接触熱伝導により周辺部へ、残りの一部は周囲雰囲気との間で熱交換される。冷却ファンを用いて入射側偏光素子3a表面上に空気流を起して、強制冷却するようにしてもよい。
【0084】
液晶表示部11を保持および固定する構造材(図示略)として、熱伝導のよい材料、例えば、Fe、Al等の金属材料や、それらを含む熱伝達性に優れた材料を用い、液晶表示部11外部への接触熱伝導による放熱を促すようにしてもよい。
【0085】
本実施例においては、液晶表示素子2の少なくとも入射側部分が保持部材6外部に面しているため、液晶表示素子2と液晶表示素子駆動用信号線18の電気的接合部を保持部材6の外部に設けて、この電気的接合部および液晶表示素子駆動用信号線18を冷却媒体5に接触させないようにしている。このため、冷却媒体5による侵蝕防止のための対策を行うことを要しない。
【0086】
また、液晶表示素子2の出射面が周囲雰囲気(外部の空気)とは非接触になるため、周囲雰囲気中の塵埃が液晶表示素子2の出射面表面に付着して、投射画像に影を落とすことが無い。
【0087】
なお、出射側偏光素子3bは、本実施例のように1枚である必要はなく、複数枚から構成されるものであってもよく、その複数枚の内の一部が液晶表示素子2に取り付けられている場合でも、本発明の効果は有効である。
【0088】
以上の構成において、図9に示すように、光源12から出射した光は、反射鏡13によりマルチレンズ14、15に集光される。ここで、マルチレンズ14および15は、液晶表示素子2R、2G、2Bの表示画素領域の全域に均一に光を入射させる作用を有し、スクリーン16上の照度の均一化を可能とする。マルチレンズ14および15を経た光は、偏光変換素子17において入射側偏光素子3の偏光方向に略平行な偏光光に変換された後、分離光学系34〜39でRGB成分に分離される。RGBの各分離光は、それぞれ、コンデンサレンズ40R、40G、40Bを経由して、液晶表示部11R、11G、11Bに入射される。そして、液晶表示部11において画素毎に濃淡を調整された各RGB成分の光は、合成光学系41において合成された後、投射レンズ1を経てスクリーン16に投射される。
【0089】
本実施形態では、偏光変換素子17を用いることで、各入射側偏光素子3aで吸収される光の量を小さくしている。これにより、各入射側偏光素子3aでの発熱量は、偏光変換素子17を用いない場合に比べ大幅に低減される。
【0090】
また、液晶表示素子2と出射側偏光素子3bとの間に、屈折率がそれらに近い冷却媒体を介在させることで、両者間の光路における反射を低減して、輝度の低下を防いで高輝度化を実現すると共に、投影画像のコントラストの低下を抑制とを共に達成できる。また、液晶表示素子2および出射側偏光素子3bが冷却媒体5で冷却されるため、それらの温度上昇が抑えられる。さらに、他の特別な光学素子等を必要としないため、液晶表示部11の簡略化が図れる。
【0091】
また、本実施形態によれば、スクリーン16上の1画素表示について複数の液晶表示素子2を用いて調光を行うため、表示画像の品質を向上させることができる。
【0092】
図10は、本発明の第6の実施形態における合成光学素子周辺の液晶表示部構成例を示す略断面図である。
【0093】
本実施形態は、各液晶表示部11についての冷却媒体5の封止空間が互いに連結され、保持部材6が、RGBの各液晶表示素子2R、2G、2Bについて1つになっている点、および、出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbが、対応する液晶表示素子2R、2G、2Bの出射面に設けられている点が、第5の実施形態と異なる。
【0094】
保持部材6は、全体として箱状に形成され、各液晶表示素子2R、2G、2Bを嵌合するための入射側開口6Ra、6Ga、6Baと、合成光学素子41を嵌合するための出射側開口6bとが設けられている。合成光学素子41、保持部材6、複数の液晶表示素子2R、2G、2B、および、合成光学素子41により囲まれた空間内に、冷却媒体5が充填される。
【0095】
このような構成から、保持部材6は、少なくとも出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbが冷却媒体5に接して冷却されるように、出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbを各液晶表示素子2R、2G、2Bを介して保持する。従って、本実施の形態では、出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbが冷却媒体5に接して冷却され、各液晶表示素子2R、2G、2Bが出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbを介して冷却されることになる。
【0096】
本実施の形態の場合、表示画像の種類によって一部の液晶表示素子2や出射側偏光素子3の発熱が増加した場合には、この熱が冷却媒体5の対流によって保持部材6で構成される冷却空間内全体に拡散されるため、放熱効率が向上する。
【0097】
また、この構成によれば、温度変化による冷却媒体の体積変化を吸収する調圧機構(図示略)も1つ設ければよく、装置が簡略化される。
【0098】
また、本実施形態では、出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbをそれぞれ液晶表示素子2R、2G、2Bの出射面に固定するため、各液晶表示素子2に対する出射側偏光素子3の偏光透過軸を、高精度に位置決めし、固定することができる。これにより、全白表示時の透過率および全黒表示時の遮蔽率が向上し、高コントラストの表示を行えるようになる。
【0099】
なお、本実施の形態において、出射側偏光素子3を合成光学素子に固定するようにしてもよい。
【0100】
図11は、本発明の第7の実施形態における液晶表示部11の構成を示す断面図である。図11において、41は多面体の合成光学素子、2は液晶表示素子である。本実施形態では、入射側偏光素子3a、液晶表示素子2、出射側偏光素子3b、および、合成光学素子41は、透光面が互いに平行となるように配置されている。
【0101】
本実施の形態では、保持部材6は、凹部形状を有する1ピース構造を採用している。この保持部材6には、その凹部の開口である出射側開口部6bと、凹部の底面に位置する入射側開口部6aと、調圧ベローズ9のための開口6dと、信号線引き出し口6eとが設けられている。入射側開口部6aは、入射側偏光素子3aが嵌合されて封止される。また、出射側開口部6bは、合成光学素子41が密接して封止される。具体的には、出射側開口部6bは、合成光学素子41の一つの光入射面により覆われ、Oリング7により合成光学素子41に固定されている。入射側開口部6aおよび出射側開口部6bは、共に、液晶表示素子2の入射光および出射光を遮らない大きさとなっている。開口6dには、調圧ベローズ9を取り付けて、封止してある。また、開口6eには、信号線18が挿通され、封止材22により封止される。
【0102】
液晶表示素子駆動用信号線18は、信号線引き出し口6eから保持部材6外部に引き出される。信号線引き出し口6eを封止する封止材22としては、例えば、接着剤や硬化樹脂の充填したもの、弾性体の圧入したもの等がある。このようにして形成されるシール部により、液漏れをおこすことなく、液晶表示素子駆動用信号線18を容器外部に引き出すことができる。
【0103】
冷却媒体5は、入射側偏光素子3a、調圧用ベローズ9、および、出射側偏光素子3bの固定された合成光学素子41により囲まれた空間に充填される。本実施形態は、入射側偏光素子3aの出射面から出射側偏光素子3bの入射面までの光の通過領域を、間に液晶表示素子2を挟んで、冷却媒体5で満たしている点が、第5の実施形態と異なる。なお、出射側偏光素子3bは、図10で説明したように、液晶表示素子2の出射面に固定するようにしてもよい。
【0104】
図11において、24は、保持部材6内部で液晶表示素子2を支持する液晶表示素子保持枠である。液晶表示素子2は、液晶表示素子保持枠24により、冷却媒体5の中に配置されることになる。ここで、冷却媒体5が充填されている領域は、液晶表示素子2の入射面側と出射面側とが連通している。これにより、冷却媒体5が両領域間を自由に移動でき、液晶表示部2の外側全体に触れて、これを冷却すること構成となっている。
【0105】
本実施形態によれば、液晶表示素子2の入射面および出射面の双方が冷却媒体5に直接接触されて、冷却されるため、液晶表示素子2の温度上昇をより低減できる。入射側偏光素子3aでの発熱も、冷却媒体5により冷却することが可能になる。
【0106】
さらに、液晶表示素子2の両面が周囲雰囲気(外部空気)と非接触になるため、周囲雰囲気中の塵埃が液晶表示素子2の表面に付着して、投射画像に影を落とすことが無い。
【0107】
図12は、本発明の第8の実施形態における合成光学素子周辺の液晶表示部構成例を示す略断面図である。
【0108】
本実施形態は、前述した図11に示す第7の実施の形態における保持部材6を、図10に示すように、RGBの三成分について共通化した点に特徴がある。すなわち、本実施の形態における保持部材6は、全体として箱状に形成され、各液晶表示素子2R、2G、2Bに対応する入射側偏光素子3Ra、3Ga、3Baを嵌合するための入射側開口6Ra、6Ga、6Baと、合成光学素子41を嵌合するための出射側開口6bとが設けられている。合成光学素子41、保持部材6、複数の入射側偏光素子3Ra、3Ga、3Ba、および、合成光学素子41により囲まれた空間内に、冷却媒体5が充填される。
【0109】
このような構成から、保持部材6は、入射側偏光素子3Ra、3Ga、3Ba、液晶表示素子2R、2G、2B、および、出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbが冷却媒体5に接して冷却されるように、これらを保持する。液晶表示素子2R、2G、2B、および、出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbは、図12では図示を省略しているが、例えば、図11に示す液晶表示素子保持枠24により支持される。
【0110】
この構成では、冷却媒体5が各液晶表示素子2の間を自由に移動できるため、放熱能力が向上する。また、より多くの冷却媒体5が充填できる。さらに、調圧機構(9,10)を1つ設ければよい。
【0111】
なお、本実施の形態における出射側偏光素子3Rb、3Gb、3Bbは、合成光学素子41に固定する構造としてもよい。
【0112】
図13は、本発明の第9の実施形態における合成光学素子周辺の液晶表示部構成例を示す略断面図である。
【0113】
本実施形態では、合成光学素子41を保持部材6内に配置し、投影手段を構成する第1投影レンズ1により、保持部材6の出射側開口部を封止している点が、第8の実施形態と異なる。その他の構造は、第8の実施の形態と同じである。本実施の形態の構成では、合成光学素子41の入射面および出射面が冷却媒体5に直接に接し、合成光学素子41と第1投影レンズ1との間も冷却媒体5で満たされることになる。
【0114】
次に、図14に示す本発明の第10の実施形態について説明する。本実施の形態は、基本的には、図7に示す第5の実施の形態と同じ構成を有する。相違する点は、出射側偏光素子3aが独立して固定される点と、調圧室を持たない点である。
【0115】
図14に示すように、本実施形態では、入射側偏光素子3a、液晶表示素子2、出射側偏光素子3b、および、合成光学素子41は、透光面が互いに平行となるように配置されている。
【0116】
本実施の形態では、保持部材6は、凹部形状を有する1ピース構造を採用している。この保持部材6には、その凹部の開口である出射側開口部6bと、凹部の底面に位置する入射側開口部6aと、調圧ベローズ9を装着する開口6dとが設けられている。入射側開口部6aは、液晶表示素子2が嵌合されて封止される。具体的には、入射側開口部6aには、液晶表示素子2がはめ込まれ、その隙間に弾性体20が圧入されている。また、出射側開口部6bは、合成光学素子41が密接して封止される。具体的には、出射側開口部6bは、合成光学素子41の一つの光入射面により覆われ、Oリング7により合成光学素子41に固定されている。入射側開口部6aおよび出射側開口部6bは、共に、液晶表示素子2の入射光および出射光を遮らない大きさとなっている。
【0117】
また、図14において、4bは、出射側偏光素子3bを支持するための出射側偏光素子保持枠である。出射側偏光素子3bは、液晶表示素子2および合成光学素子41から一定の距離を空けて配置され、出射側偏光素子保持枠4bにより保持部材6に固定されている。ここで、出射側偏光素子保持枠4bは、出射側偏光素子3bの入射面側と出射面側との間で冷却媒体5が移動できるような形状となっている。この結果、出射側偏光素子3bの入射面および出射面が共に冷却媒体5によって冷却されるため、出射側偏光素子3bに対する冷却性能を向上させることができる。
【0118】
また、本実施形態は、図14に示すように、冷却媒体5の調圧機構を保持部材6に一体化した構成となっている。すなわち、調圧室の連通口の代りにベローズ挿入口6dを保持部材6に設け、そこに調圧用ベローズ9を設置して、調圧用ベローズ押え板10により固定する。この構成では、調圧室がいらなくなるため、液晶表示部11の部品点数および製造工程数が削減される。
【0119】
図15は、本発明の第11の実施形態における液晶表示部の各部構成例を示す断面図である。
【0120】
本実施形態は、1ピース構造の保持部材6の底面側の一部に断部60を設け、この断部60の壁面60aに、液晶表示素子2を固定したものである。壁面60aには開口60bが設けられ、液晶表示素子駆動用信号線18が引き出される。液晶表示素子2の一部は、この断部壁面60aに、Oリングや、接着剤、パテなどの手段により、液密状態で固定される。液晶表示素子2と液晶表示素子駆動用信号線18との接続部は、冷却媒体5に接触しないようになっている。
【0121】
また、保持部材6の入射側には、前記断部60の壁面60aの近傍に、入射側開口6aが設けられる。また、保持部材は、全体として凹部形状をなしており、その凹部の開口が出射側開口6bとなっている。入射側開口6aには、入射側偏光素子3aが嵌合され、冷却媒体5を液密シールしている。また、出射側開口6bには、合成光学素子41が接着剤21により固定される。この接着剤21には、保持部材6の内部空間を封止する働きもある。
【0122】
本実施形態によれば、前述した第7の実施形態で述べた効果に加え、液晶表示素子駆動用信号線18と、その液晶表示素子2との接続部の、冷却媒体5に対する耐蝕性や、これによる冷却媒体5への漏電等への配慮が不要になるという効果が得られる。
【0123】
また、本実施形態においては、合成光学素子41を保持部材6の断部壁面60aに取り付ける構造としたため、保持部材6に組付けられた液晶表示素子2他の光学素子と合成光学素子41との位置決めが容易となる。このことにより、他の光学素子に対する合成光学素子41の光軸合わせなどが容易になる。
【0124】
以上に述べたように、本発明の各実施の形態は、出射側偏光素子3bが冷却媒体5に接触して冷却され、そこでの発熱が効率的に冷却される。また、液晶表示部2につていも、直接または前記出射側偏光素子3bを介して、冷却媒体で冷却される。液晶表示素子が冷却媒体5で直接冷却される場合、最も効率的であるが、出射側偏光素子4bを介して冷却される場合でも、出射側偏光素子3bの面全体で、厚さ方向に熱伝導が行なわれるので、効率的に冷却することができる。
【0125】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、投射映像を高輝度化できると共に、液晶表示素子および偏光素子の温度上昇の抑制とが共に達成できる。また、コントラストの低下を抑えることができる。さらに、小型かつ簡略な構成により実現できる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における液晶表示部の各部構成例を示す断面図。
【図2】本発明に用いる液晶表示素子の構成例を示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る短板式液晶プロジェクタの光学系全体を示す説明図。
【図4】本発明の第2の実施形態における液晶表示部の構成例を示す断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態における液晶表示部の構成例を示す断面図。
【図6】本発明の第4の実施形態における液晶表示部の構成例を示す断面図。
【図7】本発明の第5の実施形態における液晶表示部の構成例を示す断面図。
【図8】本発明の第5の実施形態における液晶表示部周辺部の構成例を示す断面図。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る3板式液晶プロジェクタの光学系全体を示す説明図。
【図10】本発明の第6の実施形態における液晶表示部の構成例を示す断面図。
【図11】本発明の第7の実施形態における液晶表示部の構成例を示す断面図。
【図12】本発明の第8の実施形態における液晶表示部周辺部の構成例を示す断面図。
【図13】本発明の第9の実施形態における合成光学素子周辺の液晶表示部構成例を示す略断面図である。
【図14】 本発明の第10の実施形態における液晶表示部の構成例を示す断面図。
【図15】 本発明の第11の実施形態における液晶表示部周辺の各部構成例を示す略断面図。
【符号の説明】
1…投射レンズ、1a…第1投射レンズ、1b…第2投射レンズ以降の投射レンズ群、2…液晶表示素子、3a、3Ra、3Ga、3Ba…入射側偏光素子、3b、3Rb、3Gb、3Bb…出射側偏光素子、4a、4Ra、4Ga、4Ba…入射側偏光素子保持枠、4b…出射側偏光素子保持枠、5…冷却媒体、6、61、62、6R、6G、61…保持部材、7a,7b…Oリング、8…第1投射レンズ押え板、9…調圧用ベローズ、10…調圧用ベローズ押え板、11…液晶表示部、12…光源、13…反射鏡、14、15…マルチレンズ、16…スクリーン、17…偏光変換素子、18…液晶表示素子駆動用信号線、19…放熱フィン、20…冷却媒体封止用弾性体、21…接着剤、22…信号線引き出し口、24、24R、24G、24B …液晶表示素子保持枠、25…冷却媒体調圧室、34〜39…分離光学系、40R、40G、40B…コンデンサレンズ、41…合成光学系素子、50…液晶駆動表示部、51、52…ガラス板、53…液晶表示素子フレーム、54…液晶表示素子駆動用信号線固定用接着剤、90…光の進行方向。
Claims (4)
- 投射対象に向けて光を投射して、当該投射対象上に画像を表示する液晶表示装置であって、
投射光を出射する光源と、
前記光源からの光を所定の偏光方向の偏光光とするように偏光変換する偏光変換素子と、
前記光源からの出射光を受けて、与えられた駆動信号に応じて投射すべき画像を生成する複数の液晶表示素子と、
前記光源から出射される光を分割して前記複数の液晶表示素子に向けて出射する分離光学系と、
前記複数の液晶表示素子各々の入射側に配置され、所定方向と略平行な偏光方向を有する複数の入射側偏光素子と、
前記複数の液晶表示素子各々の出射側に配置され、所定方向と略直交する偏光方向を有する複数の出射側偏光素子と、
前記複数の液晶表示素子から出射された光を合成する第1の光学素子と、
前記合成された光を投射する第2の光学素子と、
少なくとも、前記複数の液晶表示素子、前記複数の出射側偏光素子、および、前記第1の光学素子を冷却する冷却媒体と、
当該冷却媒体が充填される箱状の形状を形成する保持部材と
を有し、
前記複数の出射側偏光素子は各々の対応する前記複数の液晶表示素子の出射側の面に固定され、
当該保持部材の入射側の開口に前記複数の液晶表示素子が嵌合され、
当該保持部材の出射側の開口に前記第1の光学素子が嵌合されて、前記保持部材を含んで形成される箱状の形状の内部に、前記複数の液晶表示素子、前記複数の出射側偏光素子、および、前記第1の光学素子が保持され、
前記保持部材を含んで形成される箱状の形状の内部であって、
前記複数の液晶表示素子と、前記複数の出射側偏光素子と、前記第1の光学素子と、前記保持部材との間の空間に前記冷却媒体が充填されることを特徴とする液晶表示装置。 - 投射対象に向けて光を投射して、当該投射対象上に画像を表示する液晶表示装置であって、
投射光を出射する光源と、
前記光源からの光を所定の偏光方向の偏光光とするように偏光変換する偏光変換素子と、
前記光源からの出射光を受けて、与えられた駆動信号に応じて投射すべき画像を生成する複数の液晶表示素子と、
前記光源から出射される光を分割して前記複数の液晶表示素子に向けて出射する分離光学系と、
前記複数の液晶表示素子各々の入射側に配置され、所定方向と略平行な偏光方向を有する複数の入射側偏光素子と、
前記複数の液晶表示素子各々の出射側に配置され、所定方向と略直交する偏光方向を有する複数の出射側偏光素子と、
前記複数の液晶表示素子から出射された光を合成する第1の光学素子と、
前記合成された光を投射する第2の光学素子と、
少なくとも、前記複数の液晶表示素子、前記複数の出射側偏光素子、前記第1の光学素子、および、前記第2の光学素子を冷却する冷却媒体と、
当該冷却媒体が充填される箱状の形状を形成する保持部材と
を有し、
前記複数の出射側偏光素子は各々の対応する前記複数の液晶表示素子の出射側の面に固定され、
当該保持部材の入射側の開口に前記複数の入射側偏光素子が嵌合され、
当該保持部材の出射側の開口に前記第2の光学素子が嵌合されて、前記保持部材を含んで形成される箱状の形状の内部に、前記第1の光学素子が保持され、
また、前記保持部材を含んで形成される箱状の形状の内部に、当該保持部材が有する液晶表示素子保持枠によって前記複数の液晶表示素子が支持され、
前記保持部材を含んで形成される箱状の形状の内部であって、
前記入射側偏光素子と、前記複数の液晶表示素子と、前記複数の出射側偏光素子と、前記第1の光学素子と、前記第2の光学素子と、前記保持部材との間の空間に前記冷却媒体が充填されることを特徴とする液晶表示装置。 - 投射光を出射する光源と、
前記光源からの光を所定の偏光方向の偏光光とするように偏光変換する偏光変換素子と、
前記光源からの出射光を受けて、与えられた駆動信号に応じて投射すべき画像を生成する複数の液晶表示素子と、
前記複数の液晶表示素子の各々の入射側に配置され、所定方向と略平行な偏光方向を有する複数の入射側偏光素子と、
前記複数の液晶表示素子の各々の出射側に配置され、所定方向と略直交する偏光方向を有する複数の出射側偏光素子と、
前記複数の液晶表示素子から出射される光を受ける第1の光学素子を含み、前記複数の液晶表示素子から出射された光を、前記投射対象に向けて投射する投射光学系と、
少なくとも、前記複数の液晶表示素子、前記複数の出射側偏光素子、および、前記第1の光学素子を冷却する冷却媒体と、
当該冷却媒体が充填される箱状の形状を形成する保持部材と
を有し、
前記複数の出射側偏光素子は各々の対応する前記複数の液晶表示素子の出射側の面に固定され、
当該保持部材の入射側の開口に前記入射側偏光素子が嵌合され、
当該保持部材の出射側の開口に前記第1の光学素子が嵌合されて、前記保持部材を含んで形成される箱状の形状の内部に、前記複数の液晶表示素子、前記複数の出射側偏光素子、および、前記第1の光学素子が保持され、
前記保持部材を含んで形成される箱状の形状の内部であって、
前記入射側偏光素子と、前記複数の液晶表示素子と、前記複数の出射側偏光素子と、前記第1の光学素子と、および、前記保持部材との間の空間に前記冷却媒体が充填されることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1乃至3に記載の液晶表示装置において、
前記複数の出射側偏光素子が、前記複数の液晶表示素子の出射側の面に固定されるのに代えて、前記第1の光学素子における各々の対応する入射面に固定されることを特徴とする液晶表示装置。
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