JP4162300B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴(以下「NMR」と略記する)現象を利用して被検体の所望部位の断層画像を得る磁気共鳴イメージング(以下「MRI」と略記する)方法に関し、画像構成用信号を取得するためのパルスシーケンスの実施に先立ち、所定の高周波磁場パルス(以下、RFパルスという)および傾斜磁場パルスを印加することにより、診断の障害となる領域の信号を抑制する方法(プリサチュレーション法)において、該不要領域の信号を良好に抑制するために好適な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRIは一般に知られているように、計測中の動きや流れなどに影響を受けやすく、これらの影響を受けることにより、偽像を生じることが知られている。このような偽像は診断の障害となるため、これらを低減あるいは抑制する方法が提案されている。
【0003】
このような偽像を抑制する方法の一つにプリサチュレーション(Pre-saturation)と呼ばれる手法がある。この手法では、図2(a)に示すように、関心領域20内の人体21の一部に診断の障害となるアーチファクトを発生する領域(不要領域)22があるとき、そこからの信号を抑制するために、画像構成用の信号を取得するためのパルスシーケンス(本計測)の実施に先立ち、その領域22を含むスライスまたはスラブ23(図2(b))を選択してRFパルス(プリサチュレーション用RFパルス)を印加する。このRFパルスの印加終了後、領域23のスピンは励起された状態から初期状態へと緩和(回復)を始める。本計測におけるスピン励起用RFパルスを印加するときに、この回復途中の領域23のスピンの縦磁化成分が0となるように、プリサチュレーション用RFパルスのスピン励起角度を設定する。これにより、本計測において領域23のスピンは横磁化成分を生じず、信号を発生せず、領域23の信号が抑制された画像を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなプリサチュレーション手法では、本来領域23からの信号は発生しないはずであるが、領域23のスピンもまた本計測のパルスシーケンスにおいて印加される傾斜磁場パルス印加パターンによって傾斜磁場の印加方向(3軸方向)に位相の変化を生じる。この位相の変化により、3軸方向についてそれぞれ拡散、収束した場合、本計測の信号計測時に領域23からの信号(以下、偽信号という)が混入し、本計測により得た画像上に偽像が生じる場合がある。
【0005】
例えば図9は、プリサチュレーションと本計測のパルスシーケンス((a)〜(d))を位相エンコード量を変化させながら繰り返した場合の領域23の各傾斜磁場方向の位相変化を(e)〜(g)に示したものである。同図からもわかるように最初の繰り返しにおいて、領域23のスピンはプリサチュレーション用RFパルス4101により励起された後、続くGx、Gy、Gz方向の傾斜磁場パルス4103〜4112により、その印加量に応じたそれぞれ位相変化を生じ、次の繰り返しでプリサチュレーション用RFパルス4201によりスピンが反転した後、さらにGx、Gy、Gz方向の傾斜磁場パルス4203〜4212により、印加量に応じた位相変化を受ける。その結果、図示するように2番目の読み出し方向の傾斜磁場4211の印加時点で、ほぼ3軸方向のスピンの位相変化が0または位相エンコード方向(Gy方向)では1エンコードステップ分となるため、本計測の信号とともに領域23からの信号、即ち偽信号が計測されることになる。
【0006】
このように各信号計測時に、直前のパルスシーケンスサイクルでプリサチュレーション用RFパルスにより励起された信号が重畳し、かつ重畳する信号は全ての位相エンコードに対して同一の位相エンコード量(Gy方向の位相回転量変化がない)を有する。このような機序によって生じる偽信号が重畳した場合の画像は、図2(b)に示すようにプリサチュレーション適用領域23の内部でかつ位相エンコード方向の直流成分(あるいは中心周波数)に相当する場所に線状の偽像24が重畳する。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記の機序で生じる偽信号を抑制し、画像上の偽像を良好に低減することを可能とするプリサチュレーション法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明ではプリサチュレーション用RFパルスの印加位相を制御することにより、プリサチュレーション用RFパルスにより励起されたスピンからの信号が画像内に重畳することを抑制する。即ち、本発明のMRI方法は、被検体の特定の領域(不要領域)からの信号を抑制するためにその領域を選択して励起するプリサチュレーション用RFパルスを印加するステップと、被検体の画像化すべき領域(画像化領域)の原子核スピンを選択的に励起する高周波パルスを印加するステップと、前記原子核スピンを位相エンコードする傾斜磁場を印加するステップと、前記被検体の原子核から生じる核磁気共鳴信号を計測するステップとを前記位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させながら繰り返し、前記画像化領域の画像を再構成する磁気共鳴イメージング方法において、前記プリサチュレーション用RFパルスの印加位相をその印加毎に制御することを特徴とする。
【0009】
本発明による印加位相の制御方法の第1の態様によれば、第i位相エンコードおよび第(i+1)位相エンコードにおいて計測された核磁気共鳴信号のうち、前記画像化領域からの信号(以下、本計測信号という)S1(i)、S1(i+1)の信号間位相差をφ1(i)、前記特定の領域からの信号(偽信号)S2(i)、S2(i+1)の信号間位相差をφ2(i)としたとき、次式(1)の関係を保つようにプリサチュレーション用RFパルスの印加位相を制御する。
【0010】
φ1(i)−φ2(i)=φ1(i+1)−φ2(i+1)+π (1)
また本発明による印加位相の制御方法の第2の態様によれば、本計測信号S1(i)、S1(i+1)の信号間位相差φ1(i)と、偽信号S2(i)、S2(i+1)の信号間位相差φ2(i)が、次式(2)の関係を保つようにプリサチュレーション用RFパルスの印加位相を制御する。
【0011】
φ1(i)−φ2(i)=φrnd(i) (2)
(式中、φrnd(i)はiに対してランダムな値且つ0≦φrnd(i)<2πを満たす角度を表わす)
さらに本発明による印加位相の制御方法の第3の態様によれば、前記各ステップの繰り返しのk番目および(k+1)番目の繰り返しで計測された核磁気共鳴信号のうち、偽信号S2(k)、S2(k+1)の信号間位相差をφ2(k)としたとき、
φ2(k)=φ2(k-1)+k×Δφ (3)
(式中、Δφは任意の角度を表わす)
の関係を保つように制御する。
【0012】
このような位相制御を行うことにより、プリサチュレーション用RFパルスにより励起された不要領域内に存在するスピンからの信号が本計測の信号に混入してきても、画像内に高信号の偽像として結像しないか、結像しても画像に影響しない場所に現れるようにする。これにより偽信号による診断の障害を除去できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例を参照して本発明を説明する。
【0014】
図4は本発明が適用されるMRI装置の概要を示す図で、このMRI装置は被検体401が置かれる空間に均一な静磁場を発生する電磁石あるいは永久磁石を備えた静磁場発生磁気回路402と、この静磁場に重畳して3軸方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生系403と、被検体の組織を構成する原子核の原子核スピンを励起する高周波磁場を発生する送信系404と、この高周波磁場の印加によって被検体に生じる核磁気共鳴信号を検出する検出系405と、これら傾斜磁場発生系403、送信系404および検出系405を所定のパルスシーケンスに従って制御する制御系(シーケンサ407、コンピュータ408)と、検出系405で検出された信号をもとに画像再構成のための計算を行なうコンピュータ408および信号処理系406と、計算された結果である画像を表示する表示部(ディスプレイ)428とを備えている。
【0015】
傾斜磁場発生系403は、直交する3軸方向にそれぞれ傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル409とその電源410からなる。
【0016】
送信系404は、一定の高周波信号を発生するシンセサイザ(高周波発生回路)411と、変調器412と、プリアンプ413と、照射コイル414aとを備え、シンセサイザ411から発生した高周波信号を、制御系の制御によるタイミングで変調器412で変調して、プリアンプ413を介して照射コイル414aに送る。これにより所定のエンベロープの高周波磁場(RF)パルスが照射コイルより被検体に印加される。
【0017】
ここでシンセサイザ411は、発振器と、発振器の発生する高周波を所定のタイミングで送出するディレイ回路を備え、このディレイ回路の遅延量は制御系によって制御される。これによりシンセサイザ411から発生する高周波信号の位相を制御することができ、その結果照射コイルから任意の位相のRFパルスを発生することができる。
【0018】
検出系405は、受信コイル414bと、増幅器415と、直交位相検波器416と、A/D変換器417とを備え、受信コイル414bで検出した被検体からの核磁気共鳴信号(高周波磁場)は増幅器415を介して直交位相検波器416で2系列の信号として検出され、A/D変換器417によりデジタル信号に変換されてコンピュータ408に送られる。
【0019】
コンピュータ408は、この2系列の信号にフーリエ変換等の演算を行ない被検体の画像を再構成し、ディスプレイ428に表示させる。この演算途中のデータや演算結果は信号処理系406の記憶装置424〜427に収納される。
【0020】
コンピュータ408は、これら傾斜磁場発生系403、送信系404、検出系405を制御する制御系としても機能し、シーケンサ407に指令を送り、傾斜磁場発生系、送信系および検出系の駆動タイミングを所定のパルスシーケンスに従い制御し、所望の撮影法による撮影を行なう。本発明においては、プリサチュレーション法を採用した撮影を行ない、この際、RFパルスの位相を制御することによって、偽像の抑制を行なう。
【0021】
以下、本発明による撮影方法を図1ないし図3を参照して説明する。
【0022】
本発明の撮影方法において採用するプリサチュレーション法のパルスシーケンスは、従来のプリサチュレーション法のパルスシーケンスと同様であり、例えば図3に示すように、本計測33に先立って不要な領域からの信号を抑制するためにRFパルス31および傾斜磁場35、32を印加する。ここで傾斜磁場35は、図2(a)に示す不要な領域22を選択する傾斜磁場で、図示するようにGy、Gz方向の傾斜磁場を印加することにより、領域22を含む紙面に垂直な方向のスラブ(領域)23(図2(b))を選択的に励起することができる。またRFパルス31照射後に印加される傾斜磁場32は、励起されたスピンの位相を拡散して、さらにそのスピンからの信号を抑制するスポイル傾斜磁場である。
【0023】
本計測33のシーケンスは特に限定されないが、ここではグラディエントエコー(GrE)系のシーケンスが例示されており、まず画像化しようとする断面を選択する傾斜磁場Gx36とともにRFパルス34を印加し、次いで位相エンコードのための傾斜磁場Gy37および読み出し方向の傾斜磁場Gz38を印加した後、信号計測のために読み出し方向の傾斜磁場Gz39を印加しながらエコー信号を計測する。読み出し方向の傾斜磁場Gz38はエコー信号のピーク位置を調製するための予備パルスである。
【0024】
この図3に示すようなパルスシーケンスを単位として、位相エンコード方向の傾斜磁場Gy37の強度を変化させながら繰り返し、1枚の画像を再構成するのに必要な数のエコー信号を計測する。
【0025】
本発明による撮影方法においては、このようなパルスシーケンスに従った撮影を行なう際に、RFパルス31、RFパルス34および計測されるエコー信号の位相を繰り返し毎に制御し、本計測によって励起された領域からの信号(以下、単に本計測の信号という)の位相に対し、不要領域からの信号(偽信号)の位相が特定の関係となるように制御する。
【0026】
即ち、図1の流れ図に示すように、まずプリサチュレーション用RFパルス31の印加位相を特定の位相Ph1に設定し(11)、印加する(12)。次に本計測33のRFパルス34の印加位相を特定の位相Ph2に設定し(13)、印加する(14)。これらRFパルスの位相の設定は、既に述べたようにシンセサイザにおける高周波の発生タイミングを制御することにより、制御することができる。また信号計測の位相をPh3に設定し(15)、信号を計測する(16)。信号計測の位相は、直交位相検波器における検波の基準信号の位相を制御することにより設定することができる。このような位相制御のステップ11〜16を同一位相エンコードにおいて必要な加算が終了するまで繰り返し(17)、その後位相エンコード量を変化させて、全位相エンコードの計測が終了するまでステップ11〜17を繰り返し(18)、撮影を終了する。
【0027】
この場合の各位相Ph1、Ph2、Ph3は、本計測の信号を計測する際に、偽信号が混入してきても、それら偽信号が結像しないか、結像しても画像に影響しないように制御される。
【0028】
以下、プリサチュレーション用RFパルスの印加位相制御方法の具体的な実施例を説明する。
【0029】
図5及び図6は本発明の第一の実施例におけるプリサチュレーション用RFパルスの印加位相制御方法を示した図であり、図5と図6は、それぞれ隣接する位相エンコードの計測における位相制御フローを示している。
【0030】
まず図5に示すようにプリサチュレーション用RFパルス31の印加位相をΦ1に設定する(601)。この位相Φ1は任意の値とすることができる。この設定された位相でRFパルスを印加する(602)。次に本計測用RFパルス34の印加位相Φを0に設定し(603)、本計測用RFパルスを印加する(604)。信号計測の位相Φを0に設定し(605)、信号を計測する(606)。この601〜606までの処理を同一位相エンコードで必要な信号加算が終了するまで繰り返し(607)、信号加算の終了後、画像構成に必要な全ての位相エンコードに対応する信号計測が終了していれば処理を終了する(608)。全ての位相エンコードでの信号計測が終了していない場合、次の位相エンコード量(i+1)を設定し(609)、図6の処理611へと進む。
【0031】
次の位相エンコードでの計測では、プリサチュレーション用RFパルス31の印加位相を(Φ1+π)に設定し(611)、設定された位相でRFパルスを印加する(612)。続くステップ613〜617で、本計測用RFパルスの印加位相Φを0に設定して印加すること、信号計測の位相Φを0に設定して計測することは、前の計測(図5)と同様である。この計測においても必要な加算が終了するまでステップ611〜616を繰り返し、加算終了後、全ての位相エンコードでの信号計測が終了していない場合(618)、次の位相エンコード量を設定し(619)、図5の処理601へと進む。次のサイクルにおいて処理601で設定されるプリサチュレーション用RFパルスの印加位相Φ1は、最初に設定した値と同じとする。
【0032】
このように本計測用RFパルスの印加位相および信号計測の位相をともに常に0に設定すると共に、プリサチュレーション用RFパルスの印加位相を隣接する位相エンコード間でπずつ変化させることにより、本計測の信号は全ての位相エンコードに対して一定の位相となるが、プリサチュレーション用のRFパルスによって励起された偽信号の位相は隣接する位相エンコード毎に180°反転する。
【0033】
即ち、第i位相エンコードおよび第(i+1)位相エンコードにおいて計測された隣接する2個の画像構成用信号の信号間位相差をφ1(i)、隣接する2個の偽信号の信号間位相差をφ2(i)としたとき、次式(1)
φ1(i)-φ2(i)=φ1(i+1)-φ2(i+1)+π (1)
の関係が保たれることになる。
【0034】
この結果、再構成画像上では偽信号は最高周波数すなわち画像端に位置する。この偽信号はまた既に述べたように全ての位相エンコード量に対して常に同じ量の位相回転量を受けるため、この偽信号による偽像は画像再構成により画像の最端位置に線状に現れる。従って偽信号による偽像は画像内部には重畳せず、診断の障害となることはない。
【0035】
尚、以上の実施例では本計測用RFパルスの印加位相Ph2および信号計測の位相Ph3をともに0に設定する場合を説明したが、MRIにおいては、RFパルスの印加位相Ph2および信号計測の位相Ph3は例えば一方を0とし、他方をπとするなど種々の組合せが可能であり、本実施例はそのいずれの組合せであっても実施できる。即ち、本実施例においては隣接する2つの異なる位相エンコードの計測における本計測用RFパルスの位相の変化とプリサチュレーション用RFパルスの位相の変化とが式(1)の関係を満たしていればよいので、RFパルスの印加位相Ph2に対し式(1)の関係を満たすようにプリサチュレーション用RFパルスの印加位相Ph1を設定することにより、本実施例と同様の効果を得ることができる。
【0036】
また図5および図6の流れ図では、同一位相エンコードではプリサチュレーション用RFパルスの印加位相は一定(Φ1またはΦ1+π)である場合を説明したが、加算によるパルスシーケンスの繰り返しにおいて、連続して計測される偽信号を互いに打ち消すようなプリサチュレーション用RFパルスの印加位相の制御を付加してもよい。即ち、例えば2回加算で計測する場合、最初の計測における偽信号と次の計測における偽信号の位相が反転するようにプリサチュレーション用RFパルスの印加位相を制御することができる。この場合にも隣接する位相エンコードの計測における本計測信号の位相差と偽信号の位相差の関係は式(1)の関係を保つようにする。これにより、偽像が画像端部に現れるようにする効果に加え、偽像そのものの低減効果を得ることができる。
【0037】
次に本発明の第二の実施例を説明する。この実施例では、プリサチュレーション用RFパルスの印加位相を、本計測の画像において偽信号による結像を生じないように制御する。図7は第二の実施例におけるプリサチュレーション用RFパルスの印加位相制御方法を示した図である。
【0038】
計測開始後、まずプリサチュレーションパルス用RFパルスの印加位相をランダムな値Φrndに設定する(71)。この設定された位相でRFパルスを印加する(72)。以下のステップ73〜77において本計測用RFパルスの印加位相Φを0に設定し、印加すること、信号計測の位相Φを0に設定して信号を計測することは図6に示す実施例と同様である。このプリサチュレーションパルス用RFパルスの印加(72)から信号計測(76)までのステップを必要な信号加算が終了するまで繰り返す。信号加算終了後、次の位相エンコードを設定し(79)、新たにプリサチュレーションパルス用RFパルスの印加位相をランダムな値Φrndに設定し(71)、必要な信号加算が終了するまでステップ72〜77を繰り返す。以上の計測の繰り返しを画像構成に必要な全ての位相エンコードが終了するまで行う(78)。
【0039】
このような位相制御を行って信号を計測することにより、本計測の信号は位相エンコード毎に全て一定の位相となるが、プリサチュレーション用のRFパルスによって励起された偽信号の位相は位相エンコード毎にランダムな値となる。即ち、第i位相エンコードの計測における偽信号と第(i+1)位相エンコードの計測における偽信号の位相差φ2(i)は、対応する本計測の信号の位相差φ1(i)に対し、式(2)の関係となるように制御される。
【0040】
φ1(i)−φ2(i)=φrnd(i) (2)
(式中、φrnd(i)はiに対してランダムな値であり、0≦φrnd(i)<2πを満たす)
この結果、再構成画像上では偽信号は位相エンコード方向にランダムに散布される。従って、偽信号は画像内部でまとまった高信号の偽像として重畳することはなく、診断の障害となることはない。
【0041】
この実施例においても本計測の信号の印加位相および信号計測の位相をともに0にする場合を説明したが、これらは前述の実施例と同様にMRIにおいて取り得る任意の組合せとすることが可能であり、同様の効果が得られる。
【0042】
また図7に示す流れ図では、同一位相エンコードの計測(加算ループ内)ではプリサチュレーション用RFパルスの印加位相は一定である場合を示したが、信号加算(77)の帰還ループをステップ71の前に戻し、プリサチュレーション用RFパルスの印加位相が励起毎にランダムな値Φrndとなるように制御してもよい。このように印加位相を制御した場合にも図7に示す実施例と同様の効果を得ることができる。
【0043】
或いはこの実施例でも、加算によるパルスシーケンスの繰り返しにおいて、連続して計測される偽信号を互いに打ち消すようにプリサチュレーション用RFパルスの印加位相を制御してもよい。例えば2回加算で計測する場合、最初の計測における偽信号と次の計測における偽信号の位相が反転するようにプリサチュレーション用RFパルスの印加位相を制御する。この場合にはプリサチュレーション用RFパルス印加のステップ(72)の直前にこのような印加位相制御のステップを付加し、加算(77)の帰還ループがこの付加されたステップの前に戻るようにする。これにより、式(2)の関係による偽像分散効果に加え、更に偽信号の低減効果を得ることができる。
【0044】
図8は第三の実施例におけるプリサチュレーション用RFパルスの印加位相制御方法を示した図であり、この実施例では、プリサチュレーション用RFパルスによって励起された領域からの信号が、励起毎に漸次変化(漸増或いは漸減)するようにプリサチュレーション用RFパルスの印加位相を制御し、これにより偽信号が本計測の画像でまとまった高信号の偽像として重畳するのを防止する。
【0045】
即ち、計測開始後、まずステップ801にて励起回数kを0に初期化し、同時にプリサチュレーション用RFパルスの印加位相Φ2を初期値Φ1に設定する。このΦ1は任意でよい。次にプリサチュレーションパルス用RFパルスの印加位相Φ2を次式(3')にしたがって設定する(802)。
【0046】
Φ2=Φ 1+k×φ (3’)
(式中、φは任意の角度を表す)
この設定された位相でRFパルスを印加した後(803)、励起回数kを(k+1)とする(804)。その後のステップ805〜808で本計測用RFパルスの印加位相Φを0に設定して印加すること、信号計測の位相を0に設定して計測することは、第一、第二の実施例と同様である。
【0047】
またこの場合にも、信号加算が終了するまでステップ802〜808を繰り返すが(809)、この実施例では励起毎にプリサチュレーションパルス用RFパルスの印加位相Φ2は変化し、励起回数kが増加する度にφずつ増加する。
【0048】
必要な信号加算が終了後、全ての位相エンコードでの信号計測が終了していない場合(810)、次の位相エンコード量を設定し(811)、ステップ802〜809を繰り返す。画像構成に必要な全ての位相エンコードに対応する信号計測が終了していれば処理を終了する。
【0049】
このように位相制御することにより、本計測の信号の位相は一定であるのに対し、偽信号については次式(3)に示すようにk番目の励起後の計測と(k+1)番目の励起後の計測で得られた隣接する2個の偽信号の信号間位相差φ2(k)が常にk×Δφ変化することになり、
φ2(k)=φ2(k-1)+k×Δφ (3)
(式中、 ただしΔφは任意の角度を表わす)
このように位相制御された偽信号は、再構成画像上では偽像として結像しない。従って診断の障害となることはない。
【0050】
この実施例でも本計測の信号の印加位相および信号計測の位相は、MRIにおいて取り得る任意の組合せとすることが可能であり、同様の効果が得られる。
【0051】
尚、以上説明した3つの実施例ではパルスシーケンスの繰り返し毎に位相エンコードを1エンコードステップずつ変化させる場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。また本計測のパルスシーケンスについても、図3の33に示すグラディエントエコー法以外のパルスシーケンスでも同様に実施することが可能であり、同様の効果が得られる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の磁気共鳴イメージング方法によれば、プリサチュレーション用RFパルスの位相を制御することによって、プリサチュレーション用RFパルスにより励起された不要領域のスピンから発せられる偽信号が、結像しても画像端に位置するか、或いは画像上で高信号の偽像として結像しないようにするので、診断の障害となることがなく、効率よく正確な診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプリサチュレーション用RFパルスの位相制御の手順を示す図
【図2】(a)は被検体の画像とその内部に存在する不要部位を示す図で、(b)はプリサチュレーションによって抑制する不要領域を示す図
【図3】プリサチュレーションを含むパルスシーケンスの一例を示す図
【図4】本発明が適用されるMRI装置の全体構成を示す図
【図5】本発明のMRI方法の第一の実施例による手順の一部を示す流れ図
【図6】本発明のMRI方法の第一の実施例による手順の他の一部を示す流れ図
【図7】本発明のMRI方法の第二の実施例による手順を示す流れ図
【図8】本発明のMRI方法の第三の実施例による手順を示す流れ図
【図9】プリサチュレーション法における偽像の生成を説明する図
【符号の説明】
23…プリサチュレーションによる信号抑制領域
24…偽像
31…プリサチュレーション用RFパルス
34…本計測用RFパルス
Claims (2)
- 被検体を構成する原子核スピンを励起する高周波パルスを印加する送信系と、前記原子核スピンを位相エンコードする傾斜磁場を印加する傾斜磁場発生系と、前記被検体の特定の領域からの信号を検出する検出系と、前記送信系、傾斜磁場発生系および検出系を制御する制御系とを備え、被検体の特定の領域からの信号を抑制するためにその領域を選択して励起するプリサチュレーション用高周波パルスを印加するステップと、被検体の画像化すべき領域の原子核スピンを選択的に励起する高周波パルスを印加するステップと、前記原子核スピンを位相エンコードする傾斜磁場を印加するステップと、前記被検体の原子核から生じる核磁気共鳴信号を計測するステップとを前記位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させながら繰り返し、前記画像化すべき領域の画像を再構成する磁気共鳴イメージング装置において、
前記制御系は、前記プリサチュレーション用高周波パルスの印加位相を、次式(2)の関係を保つように制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
第i位相エンコードおよび第(i+1)位相エンコードにおいて計測された核磁気共鳴信号のうち、前記画像化すべき領域からの信号S1(i)、S1(i+1)の信号間位相差をφ1(i)、前記特定の領域からの信号S2(i)、S2(i+1)の信号間位相差をφ2(i)としたとき、
φ1(i)−φ2(i)=φrnd(i) (2)
(式中、φrnd(i)はiに対してランダムな値且つ0≦φrnd(i)<2πを満たす角度を表わす) - 被検体を構成する原子核スピンを励起する高周波パルスを印加する送信系と、前記原子核スピンを位相エンコードする傾斜磁場を印加する傾斜磁場発生系と、前記被検体の特定の領域からの信号を検出する検出系と、前記送信系、傾斜磁場発生系および検出系を制御する制御系とを備え、被検体の特定の領域からの信号を抑制するためにその領域を選択して励起するプリサチュレーション用高周波パルスを印加するステップと、被検体の画像化すべき領域の原子核スピンを選択的に励起する高周波パルスを印加するステップと、前記原子核スピンを位相エンコードする傾斜磁場を印加するステップと、前記被検体の原子核から生じる核磁気共鳴信号を計測するステップとを前記位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させながら繰り返し、前記画像化すべき領域の画像を再構成する磁気共鳴イメージング装置において、
前記制御系は、前記プリサチュレーション用高周波パルスの印加位相を、次式(3)の関係を保つように制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
前記各ステップの繰り返しのk番目および(k+1)番目の繰り返しで計測された核磁気共鳴信号のうち、前記特定の領域からの信号S2(k)、S2(k+1)の信号間位相差をφ2(k)としたとき、
φ2(k)=φ2(k-1)+k×Δφ (3)
(式中、Δφは任意の角度を表わす)
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