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JP4029049B2 - 電流検出用抵抗器 - Google Patents

電流検出用抵抗器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体パワーモジュールの主回路電流を検出するなどの目的で、基板上に実装される電流検出用抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体パワーモジュールとして、表面に銅などの回路パターンが形成された絶縁基板を備え、回路パターンに、ダイオードやIGBT等のパワー半導体チップを半田付けしたものがある。回路パターンは複数設けてあり、その間を電流検出用抵抗器(シャント抵抗器)が跨ぐように設けてある。この抵抗器は、例えば銅とニッケルの合金の板をU字状に曲げ加工したもので、板の両端に形成した端子部を各回路パターンに半田を介して接合してある。
【0003】
抵抗器に半導体パワーモジュールの主回路電流を流すことで、抵抗器の端子間には電圧降下Vが生じる。したがって、この電圧降下Vを測定することで、抵抗器の抵抗値Rにより主回路電流I(=V/R)が求められる。
【0004】
ところで、電流検出用抵抗器の端子部を半田を介して回路パターンに接合すると、抵抗器の垂直面に半田が這い上がる現象が生じることがある。この場合、抵抗器の実効抵抗値がわずかに低下するため、測定したVから前記抵抗値Rを用いて得られる電流値が実際の主回路電流Iと異なり、主回路電流を高精度に検出できない。
【0005】
そこで、従来では、半田の這い上がりが発生しても電圧―電流特性が変化しないための構成が種々提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−83969号公報
【特許文献2】
特開平8−115802号公報
【特許文献3】
特開平10−116710号公報
【特許文献4】
特開平7−191059号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来の構成とは異なる新規な構成、あるいは改良された構成を有する電流検出用抵抗器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る電流検出用抵抗器は、
基板の回路パターンに半田付け実装される電流検出用抵抗器において、
抵抗器は、回路パターンを流れる電流の通電部、および該電流を検出するための検出部を備え、
通電部は、前記基板とは反対側に凸になるように湾曲した板状本体部分、および該部分の両端に設けた半田付け用の一対の端子部分を有し、
検出部は、本体部分の半田這い上がりのない領域であって、本体部分の通電方向と直交する方向に関する側面から突出する突出部分を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下では、本発明に係る電流検出用抵抗器を半導体パワーモジュールに組み込んだ例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る電流検出用抵抗器(シャント抵抗器)の実施の形態1を示す斜視図である。この抵抗器2は、例えば銅とニッケルの合金の板を所定の形状に加工したもので、半導体パワーモジュールの絶縁基板4上に形成した銅などの通電用回路パターン6a,6bを跨ぐように設けた通電部8を有する。図示は省略するが、絶縁基板4は、Alなどの放熱板に半田付け実装されている。通電部8は、矩形状の板の両端部を曲げてコ字状にし、さらに該両端部の先端側を折り返して両端部をL字状にした形状を有しており、半田層10a,10bを介して回路パターン6a,6bに接合するための端子部分12a,12bと、垂直部分(広義には脚部分)14a,14bと、絶縁基板4と略平行に延在した水平部分(広義には天板部分)16とから構成されている。回路パターン6a,6bの間に配置された通電部8には、半導体パワーモジュールの主電流が流れるようになっている。説明の都合上、水平部分16はXY平面に延在するものとし、主電流の流れる方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向とする。
【0011】
抵抗器2はまた、通電部8と一体をなす、主電流を検出するための検出部18を有する。検出部18は、通電部8の水平部分16のX方向両端近傍において、水平部分16の(Y方向に関する)側面からY方向に突出した一対の水平部分(広義には突出部分)20a,20bと、絶縁基板4上に形成した検出用回路パターン22a,22bと半田層24a,24bを介して接合する端子部分26a,26bと、水平部分20a,20bと端子部分26a,26bを接続する垂直部分28a,28bとから構成されている。回路パターン22a,22bは、高インピーダンスの電圧測定回路の検出端子(図示せず)に接続されている。
【0012】
電流検出用抵抗器2の通電部8に関し、設計上の抵抗値の算定を容易にするために、図に示すように、端子部分12a,12b、垂直部分14a,14b、および水平部分16のY方向側面は同一平面上に位置するのが好ましい。
【0013】
かかる電流検出用抵抗器2では、通電部8の垂直部分14a,14bを半田層10a,10bの半田が這い上がっても、電流検出対象部分(図の斜線部分)の抵抗値は変化しないので、高精度に主電流を検出できる。なお、電圧測定回路のインピーダンスが高いため、検出部18および半田層24a,24bには実質的に電流が流れることはなく、したがって、半田層24a,24bの半田の這い上がりは電圧測定に影響を与えない。
【0014】
本実施形態では、検出部18の水平部分20a,20bを通電部8の水平部分16のY方向側面から突出させたが、這い上がりのない領域であれば、通電部8の垂直部分14a,14bの側面から突出させてもよい。但し、水平部分20a,20bから突出させる方が、半田の這い上がりにくさの点で好ましい。また、通電部8の水平部分16のY方向に関して同一の側面から検出部18の水平部分20a,20bを突出させる代わりに、水平部分16のY方向に関して対向する一対の側面からそれぞれ、検出部の水平部分を突出させるようにしてもよい。
【0015】
また、本実施形態では、通電部8の天板部分16および脚部分14a,14bは、それぞれ水平部分および垂直部分からなり全体で断面コ字状に形成されているが、絶縁基板4とは反対側に凸になるように湾曲していれば、天板部分および脚部分の延在する面は互いに直交する必要はなく、また、天板部分および/または脚部分が曲面上に延在するよう加工してもよく、さらに天板部分と脚部分が同一曲面上に延在するよう加工してもよい。
【0016】
実施の形態2.
図2は、本発明に係る電流検出用抵抗器の実施の形態2を示す斜視図である。以下の説明では、実施の形態1と同一または類似の構成要素は同一の符号または同一の符号に適当な添字を付して表す。この抵抗器2’は、通電部8’の垂直部分(広義には脚部分)14aと14bの間には、垂直部分14a,14bおよび端子部分12a,12bより幅狭の水平部分16’が設けてある。Y方向一端側に関して、通電部8’の垂直部分14a,14bおよび端子部分12a,12bと水平部分16’の側面は同一平面上に位置している。垂直部分14a,14bのY方向他端側の上端部から、検出部18’の垂直部分(広義には突出部分)28a’,28b’が、通電部8’の垂直部分14a,14bと対向するように延設されている。通電部8’の水平部分16’と、検出部18’の垂直部分28a’,28b’とはX方向に沿ったスリット30で分離されている。検出部18’の垂直部分28a’,28b’は、検出用回路パターン22a’,22b’に半田付け(半田層を符号24a’,24b’で示す。)された端子部分26a’,26b’と接続されている。
【0017】
かかる電流検出用抵抗器2’では、通電部8’の垂直部分14a,14bを半田層10a,10bの半田が這い上がっても、電流検出対象部分(図の斜線部分)の抵抗値は変化しないので、高精度に主電流を検出できる。また、例えば特開平10−116710号公報に開示された従来の電流検出用抵抗器とは異なり、通電部8’の端子部分12a,12bにスリットが形成されておらず、該端子部分12a,12bの半田付け面積(すなわち絶縁基板4との接合面積)を十分に確保できるため、抵抗器2’の放熱性を高めることができる。
【0018】
本実施形態では、検出部18’の垂直部分28a’,28b’はともに、垂直部分14a,14bの上端部のY方向他端近傍から延設されているが、例えば、一方を前記上端部のY方向一端部近傍から延設してもよいし、前記上端部中央付近から延設するようにしてもよい。後者の場合、検出部の垂直部分が突出する前記上端部の一部のY方向両側部分から、通電部の水平部分が延設される。
【0019】
実施の形態3.
図3は、本発明に係る電流検出用抵抗器の実施の形態3を示す斜視図である。この抵抗器2”は、概略的に、矩形状の板の両端部を曲げてコ字状にし、さらに該両端部の先端側を折り返して両端部をL字状にした形状を有している。各両端部にはX方向に沿ったスリット32(32a,32b),34(34a,34b)が2つ形成されており、2つの幅広のL字部分36(36a,36b),38(38a,38b)と、該幅広L字部分に挟まれた幅狭のL字部分40(40a,40b)とに三分割されている。幅広L字部分36a,36bはそれぞれ、端子部分12aR,12bRと垂直部分14aR,14bRから構成されている。同様に、幅広L字部分38a,38bはそれぞれ、端子部分12aL,12bLと垂直部分14aL,14bLから構成されている。幅狭L字部分40a,40bはそれぞれ、端子部分26a”,26b”と垂直部分(広義には突出部分)28a”,28b”から構成されている。
【0020】
幅広L字部分36a,38aの端子部分12aR,12aLは、半田層10aR,10aLを介して凹状に形成された通電用回路パターン6a”に接合されている。同様に、幅広L字部分36b,38bの端子部分12bR,12bLは、半田層10bR,10bLを介して凹状に形成された通電用回路パターン6b”に接合されている。したがって、幅広L字部分36,38は通電部の通電端子を構成する。
【0021】
絶縁基板4上には、通電用回路パターン6a”,6b”の凹部に検出用回路パターン22a”,22b”がそれぞれ突入して形成されている。幅狭L字部分40a,40bの端子部分26a”,26b”はそれぞれ、半田層24a”,24b”を介して検出用回路パターン22a”,22b”に接合されている。したがって、幅狭L字部分40a,40bは検出部の検出端子を構成する。
【0022】
かかる電流検出用抵抗器2”では、通電部の垂直部分14aR,14aL,14bR,14bLを半田層10aR,10aL,10bR,10bLの半田が這い上がっても、電流検出対象部分(図の斜線部分)の抵抗値は変化しないので、高精度に主電流を検出できる。また、幅狭の検出端子を幅広の通電端子の間に配置することにより、抵抗器2”を絶縁基板4上に実装する前の単体の状態において、検出端子が外力を受けるなどして変形するのを抑制・防止できる。
【0023】
本実施形態では、天板部分16”および脚部分14aR,14aL,14bR,14bL,28a”,28b”は、それぞれ水平部分および垂直部分から構成され全体として断面コ字状に形成されているが、絶縁基板4とは反対側に凸になるように湾曲していれば、天板部分および脚部分の延在する面は互いに直交する必要はなく、また、天板部分および/または脚部分が曲面上に延在するよう加工してもよく、さらに天板部分と脚部分が同一曲面上に延在するよう加工してもよい。
【0024】
実施の形態4.
前記実施の形態1〜3に係る電流検出用抵抗器は、半田の這い上がりが発生しても電圧―電流特性が変化しない構成を備えることを特徴としている。したがって、半田の這い上がり量を制御するものではないため、半田が通電部の垂直部分を這い上がりさらに検出部に到達する恐れがある。これを防ぐために、前記実施形態に係る抵抗器は、例えば図4に示すように、通電部の垂直部分の裏側に半田這い上がり抑制用の段差を設けるのが好ましい。
【0025】
図(a)は、通電部8Dの垂直部分14aD,14bDの裏側の一部に切り込み42a,42bを入れ、該切り込みに半田が溜まるようにして水平部分16Dに半田が這い上がりにくくした例である。図(b)は、通電部8Eの垂直部分14aE,14bEの裏側に段差を形成して、水平面44a,44bで半田の上昇を抑える例である。図(c)は、通電部8Fの両端部の先端をさらにL字状に曲げることにより垂直部分14aF,14bFの裏側に段差を形成して、水平面46a,46bで半田の上昇を抑える例である。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る電流検出用抵抗器によれば、半田の這い上がりが発生しても電圧―電流特性が変化せず、したがって高精度に電流を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電流検出用抵抗器の実施の形態1を示す斜視図。
【図2】 本発明に係る電流検出用抵抗器の実施の形態2を示す斜視図。
【図3】 本発明に係る電流検出用抵抗器の実施の形態3を示す斜視図。
【図4】 本発明に係る電流検出用抵抗器の実施の形態4において、通電部の断面形状の例を示す図。
【符号の説明】
2:電流検出用抵抗器、4:絶縁基板(基板)、6:通電用回路パターン、8:通電部、10:半田層、12:通電部の端子部分、14:通電部の垂直部分(脚部分)、16:通電部の水平部分(天板部分)、18:検出部、20:検出部の水平部分(突出部分)、22:検出用回路パターン、24:半田層、26:検出部の端子部分、28:検出部の垂直部分。

Claims (3)

  1. 基板の回路パターンに半田付け実装される電流検出用抵抗器において、
    前記抵抗器は、回路パターンを流れる電流の通電部、および該電流を検出するための検出部を備え、
    前記通電部は、天板部分、通電方向一端側の半田付け用の第1の端子部分対、通電方向他端側の第2の端子部分対、天板部分と第1の端子部分対を接続する第1の脚部分対、および天板部分と第2の端子部分対を接続する第2の脚部分対を有し、
    前記検出部は、天板部分の通電方向一端側の一部から第1の脚部分対の間の領域に突出する第1の突出部分、および天板部分の通電方向他端側の一部から第2の脚部分対の間の領域に突出する第2の突出部分を有することを特徴とする電流検出用抵抗器。
  2. 基板の回路パターンに半田付け実装される電流検出用抵抗器において、
    前記抵抗器は、前記基板とは反対側に凸になるように湾曲した板状本体部、および該本体部の両端に設けた半田付け用の一対の端子部を有し、
    前記抵抗器両端はそれぞれ、前記端子部から本体部の一部まで通電方向に平行に伸びる一対のスリットにより三分割されており、
    三分割された端子に関し、中央を回路パターンを流れる電流を検出するための検出端子、その両側を該電流の通電端子としたことを特徴とする電流検出用抵抗器。
  3. 前記脚部分の裏面に段差を設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電流検出用抵抗器。
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