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JP4023878B2 - 超弾性線及びその製造方法 - Google Patents

超弾性線及びその製造方法 Download PDF

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JP4023878B2
JP4023878B2 JP27535197A JP27535197A JP4023878B2 JP 4023878 B2 JP4023878 B2 JP 4023878B2 JP 27535197 A JP27535197 A JP 27535197A JP 27535197 A JP27535197 A JP 27535197A JP 4023878 B2 JP4023878 B2 JP 4023878B2
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wire
heat treatment
superelastic
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minutes
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秀男 高荒
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NEC Tokin Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超弾性線及びその製造方法に関し、詳しくは、カテーテルガイドワイヤー、釣竿用中通しワイヤー、中空管等の送りガイドワイヤー等に用いられるトルク伝達性の優れた超弾性線及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カテーテルガイドワイヤーは、柔軟性、曲げ変形に対する回復を要することから、超弾性線が用いられている。このカテーテルガイドワイヤーは、複雑な血管内を通す時に、後端部を回転させて、その回転を先端部に伝達し、所定の方向に合わせ、血管内部に、その先端部を送り込むものである。ちなみに、従来の超弾性線では、その線材の後端部と先端部の回転トルク比は、0.50〜0.79であった。従来の超弾性線を血管内に通し、その線材の後端部を回転させ、その回転を先端部に伝達した場合、その後端部と先端部の回転角度の関係の一例を図6に示した。
【0003】
従来、これらに用いる超弾性線は、超弾性合金に加工率を取った後に、熱処理を行い、超弾性特性を出していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したカテーテルガイドワイヤーは、複雑な血管内を通す時に、前述したように、回転トルクの伝達性が悪く、所定の血管の方向に後端部を回転させながら先端部の方向を合わせようとしても、後端部の回転量と先端部の回転量が一致せず、先端部の位置制御が困難で、目的の位置までワイヤーを装入する時間が長くなるという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明の技術的課題は、トルク伝達性が良い超弾性線とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための手段は、下記の通りである。
【0007】
本発明によれば、49.0〜52.0at%Ni及び残部Tiからなる合金線材を、280℃〜520℃の間で第1の熱処理をし、さらに480℃〜520℃の間であって前記第1の熱処理温度以上の温度で前記合金線材の全体に第2の熱処理を施してなることを特徴とする超弾性線が得られる。
また、本発明によれば、49.0〜52.0at%Ni及び残部Tiからなる合金線材を、280℃〜520℃の間で5分間の第1の熱処理をし、さらに480℃〜520℃の間であって前記第1の熱処理温度以上の温度で前記合金線材の全体に5分間の第2の熱処理を施してなることを特徴とする超弾性線が得られる。
【0008】
本発明によれば、前記超弾性線の回転トルク比は、0.80〜1.00であることを特徴とする超弾性線が得られる。
【0009】
本発明によれば、前記超弾性線は、−20℃〜60℃の温度範囲内で少なくとも超弾性特性を有することを特徴とする超弾性線が得られる。
【0010】
本発明によれば、高周波真空溶解によって得られた49.0〜52.0at%Ni及び残部Tiからなる合金を、熱間ハンマー、熱間ロールによって線材に形成し、冷間伸線および熱処理を繰り返した後に、冷間加工後、280℃〜520℃の間で第1の熱処理をし、さらに480℃〜520℃の間であって、前記第1の熱処理温度以上の温度で前記合金線材の全体に第2の熱処理を施すことを特徴とする超弾性線の製造方法が得られる。
【0011】
本発明によれば、前記超弾性線を用いたことを特徴とする釣竿用の中通しワイヤーが得られる。
【0012】
本発明によれば、前記超弾性線を用いたことを特徴とするカテーテルガイドワイヤーが得られる。
【0013】
本発明によれば、前記超弾性線を用いたことを特徴とする中空管内の送り用ガイド用線材が得られる。ここで、送り用ガイド用線材とは、二又管等の管に装入する線、水道管に装入する線、細管等に装入する線材を呼ぶが、これらに限定されるものではない。
【0014】
カテーテルガイドワイヤーの先端部を回転させると、他端部も同様に回転する回転トルクの伝達性のよい線材ができれば、ワイヤー他端部の位置制御が容易にでき、かつ、ワイヤーの装入する時間を短くすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
49.0〜52.0at%Ni及び残部Ti、又は49.0〜52.0at%Ni、0.1〜5at%X(但し、XはV,Cr,Co,Feの内の少なくとも一種)及び残部Tiからなる長尺状の超弾性合金を線材とし、−20℃〜60℃の温度範囲内で超弾性特性を有するように、少なくとも10%以上の加工率で加工し、280℃〜520℃の間で熱処理をし、再び、480℃〜520℃の間で熱処理をする。これによって、この線材を管内に通し、軸方向に回転を与えた場合、この線材の後端部と先端部との回転トルク比が、0.80〜1.00である超弾性線が得られる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0017】
高周波真空溶解によって得られたTi−50.5at%Ni合金を熱間ハンマー、熱間ロールによって、径8mmの線材に形成した。この線材を冷間伸線と熱処理とを繰り返し、直径0.7mmの線材を得、その後、熱処理なしで径0.5mmで冷間加工(加工率49%)した。
【0018】
次に、伸線上がりの線材を長さ1.5mmに切断して何本かの線片の試料を作製し、これらの試料を数本ずつに分け、280℃〜530℃の間の温度で張力を掛けながら、5分の熱処理を行った。各々の試料の温度を変えた5%の引っ張り試験と20℃におけるトルク伝達性試験を行った結果を表1、表2に示す。
【0019】
Figure 0004023878
【0020】
Figure 0004023878
【0021】
トルク伝達性試験は、図5に示すトルク伝達性試験装置を用いて、1.5mmの線材を30cmのフープにまるめ、片端を回転させ、他端の回転具合を観察したものである。以下、トルク伝達性試験は、このトルク伝達性試験装置を用いて行った。
【0022】
表1で、熱処理条件250℃の試料は、軟化されておらず、5%引っ張り試験において破断している。条件280℃〜520℃のすべての試料が、−20℃〜60℃まで超弾性を示しているが、条件530℃の試料は、−20℃で残留歪みが確認された。
【0023】
表2から、530℃の試料は、トルク伝達性が良く、それ以外の熱処理温度の試料は、全てトルク伝達性が悪いことが確認された。
【0024】
これらのことから、超弾性とトルク伝達性の両方が良い試料は、ないことが判る。
【0025】
次に、これらの熱処理を行った試料を、更に数本ずつに分け、2回めの熱処理を行った。熱処理条件は、450℃〜530℃の間の温度で、張力をかけながら、5分の熱処理を行った。各々の試料を、温度を変えた5%の引っ張り試験と20℃におけるトルク伝達性試験を行った結果を表3、表4、表5、表6に示す。
【0026】
Figure 0004023878
【0027】
Figure 0004023878
【0028】
Figure 0004023878
【0029】
Figure 0004023878
【0030】
表3及び表4で、250℃〜520℃までの熱処理条件は、5%引っ張り試験において、450℃〜520℃までの2回め熱処理条件で、−20℃〜60℃まで超弾性を示しているが、530℃の熱処理条件は、それぞれの2回め熱処理条件において、残留歪みが確認された。
【0031】
表5及び表6から、250℃熱処理試料は、450℃〜520℃までの2回め熱処理条件で、トルク伝達性が悪いことが確認された。
【0032】
又、280℃〜530℃までの熱処理試料は、480℃〜520℃までの2回め熱処理条件において、トルク伝達性が良いことが判った。
【0033】
これらのことから、熱処理条件280℃〜520℃で熱処理した試料を、2回め熱処理条件450℃〜520℃で処理したものは、−20℃〜60℃まで超弾性が良く、かつ、トルク伝達性が良いことが判明した。
【0034】
なお、表1〜表6に示したトルク伝達性がよいという結果が得られた本発明の超弾性線では、後端部と先端部との回転トルク比は、0.80〜1.00の範囲であった。
【0035】
図1は、本発明の製造方法である熱処理条件500℃×5分で処理した後、2回め熱処理条件500℃×5分で処理した試料を、温度を変えて引っ張り試験機で測定し、得られた荷重−伸び曲線を示す。−20℃から60℃まで、残留歪み量は小さく、良好な超弾性特性を示している。
【0036】
図2は、本発明の製造方法である熱処理条件500℃×5分で処理した後、2回め熱処理条件500℃×5分で処理した試料を、30cmのフープにまるめ、先端部に入れた角度と他端部が回転した角度を測定し得られた角度を示す。入れた角度に対して他端部の回転した角度が、ほぼ同じで、直線上をなし、良好にトルクが伝達していることを示す。
【0037】
図3は、熱処理条件500℃×5分で処理した後、2回め熱処理条件530℃×5分で処理した試料を、温度を変えて引っ張り試験機で測定し、得られた荷重−伸び曲線を示す。−20℃,−10℃の残留歪みが大きく、低温における超弾性が悪いことを示す。
【0038】
図4は、熱処理条件500℃×5分で処理した後、2回め熱処理条件530℃×5分で処理した試料を、30cmのフープにまるめ、先端部に入れた角度と他端部が回転した角度を測定し得られた角度を示す。入れた角度に対して他端部の回転が、追随せず、曲線になっており、トルク伝達性が悪いことを示す。
【0039】
なお、本発明の超弾性線を、釣竿用の中通しワイヤー、カテーテルガイドワイヤー、中空管内の送り用ガイド用線材として用いたところ、良好であった。
【0040】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、−20℃〜60℃まで超弾性を示し、かつ、トルクの伝達性が良好な超弾性線とその製造方法とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超弾性線の500℃×5分の熱処理後、500℃×5分の熱処理をした−20℃〜60℃までの測定温度における5%引っ張り試験をした荷重−伸び曲線を示す図。
【図2】超弾性線の500℃×5分の熱処理後、500℃×5分の熱処理をした20℃における先端部の入れた角度と他端部の回転角度の曲線を示す図。
【図3】超弾性線の500℃×5分の熱処理後、530℃×5分の熱処理をした−20℃〜60℃までの測定温度における5%引っ張り試験をした荷重−伸び曲線を示す図。
【図4】超弾性線の500℃×5分の熱処理後、530℃×5分の熱処理をした20℃における先端部の入れた角度と他端部の回転角度の曲線を示す図。
【図5】トルク伝達性試験装置の概略説明図。
【図6】従来の超弾性線におけるその線材の後端部の入れた角度と先端部の回転角度の曲線を示す図。

Claims (7)

  1. 49.0〜52.0at%Ni及び残部Tiからなる合金線材を、280℃〜520℃の間で第1の熱処理をし、さらに480℃〜520℃の間であって前記第1の熱処理温度以上の温度で前記合金線材の全体に第2の熱処理を施してなることを特徴とする超弾性線。
  2. 49.0〜52.0at%Ni及び残部Tiからなる合金線材を、280℃〜520℃の間で5分間の第1の熱処理をし、さらに480℃〜520℃の間であって前記第1の熱処理温度以上の温度で前記合金線材の全体に5分間の第2の熱処理を施してなることを特徴とする超弾性線。
  3. 前記超弾性線は、−20℃〜60℃の温度範囲内で少なくとも超弾性特性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の超弾性線。
  4. 高周波真空溶解によって得られた49.0〜52.0at%Ni及び残部Tiからなる合金を、熱間ハンマー、熱間ロールによって線材に形成し、冷間伸線および熱処理を繰り返した後に、冷間加工後、280℃〜520℃の間で第1の熱処理をし、さらに480℃〜520℃の間であって、前記第1の熱処理温度以上の温度で前記合金線材の全体に第2の熱処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超弾性線の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の超弾性線を用いたことを特徴とする釣竿用の中通しワイヤー。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の超弾性線を用いたことを特徴とするカテーテルガイドワイヤー。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の超弾性線を用いたことを特徴とする中空管内の送り用ガイド用線材。
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