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JP4013412B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具を二重係止する機能を備えたコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−312847号には、端子金具を二重係止する機能を備えたコネクタが開示されている。これは、図12に示すように、コネクタハウジング1内に端子金具(図示せず)を挿入させるための複数のキャビティ2を形成し、各キャビティ2の内壁には弾性撓み可能なランス3を形成するとともに、各キャビティ2のランス3と反対側の外壁部には、コネクタハウジング1の外面に臨む片持ち状のリテーナ4がヒンジ5を介してコネクタハウジング1と一体に成形された構造である。成形状態のリテーナ4は、キャビティ2における端子金具の挿入経路から外側へ退避し、且つコネクタハウジング1の外面よりも外側へ突出した形態となっている。かかる状態で、端子金具はリテーナ4と干渉せずにキャビティ2に挿入され、挿入された端子金具はランス3により一次係止される。そして、リテーナ4をキャビティ2内へ押し込むように傾動変位させて端子金具に係止させることにより、端子金具が二次係止される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかるコネクタでは、成形状態でリテーナ4がコネクタハウジング1の外面よりも突出しているため、成形の際に金型からイジェクトされて落下したときや、成形現場から端子金具の組付け現場への運搬時にリテーナ4がコネクタハウジング1内に押し込まれてしまう虞がある。もし、このようにリテーナ4が誤変位した状態のままで端子金具の挿入を行うと、端子金具が挿入時にリテーナ4に引っ掛かって挿入動作に支障を来すことになる。
【0004】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、コネクタハウジングに設けた二次係止用のリテーナの誤変位を防止することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、端子金具が挿入されるキャビティが形成されたコネクタハウジングと、前記キャビティ内に弾性撓み可能に形成され、正規位置へ挿入された前記端子金具に係止してその端子金具を抜け規制するランスと、前記コネクタハウジングに弾性撓み可能に設けられ、端子金具の挿入前には前記コネクタハウジングの外面と概ね面一状となる二次係止位置に保持され、前記端子金具の挿入過程では、その端子金具の外面と干渉することで前記コネクタハウジングの外面から突出する状態へ弾性的に撓み変位した後、前記端子金具が正規挿入位置に達したところで前記二次係止位置に弾性復帰して前記端子金具に係止してその端子金具を抜け規制するリテーナとを備えてなり、前記コネクタハウジングには、このコネクタハウジングの外面と前記キャビティの内部とを連通させる取付孔が形成され、かつ、この取付孔の端縁に沿ったヒンジ部を支点として前記取付孔を覆うような組付け状態に傾動変位させることが可能とされる保持部材が一体形成されており、前記保持部材には、前記取付孔と対応する窓孔が形成され、前記リテーナは前記窓孔内に延出する形態で複数形成されており、各リテーナは、夫々、キャビティ毎に個別に弾性撓み可能とされる一方、前記保持部材が組付け状態に変位すると、一斉に前記取付孔内に収容されて前記二次係止位置に保持され、前記端子金具が二次係止されている状態で前記保持部材が変位すると、一斉に前記端子金具から解離して二次係止状態を解除する構成とした。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記リテーナが半挿入の端子金具と干渉して外側に変位した状態で、前記相手側コネクタのフード部が前記コネクタハウジングの外面に沿って嵌合されると、その途中で、前記フード部の先端が前記リテーナの突出部分に突き当たる構成とした。
【0007】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
端子金具の挿入時にリテーナをコネクタハウジングの外面から突出させた状態に待機させておく必要のあるコネクタでは、リテーナが誤ってコネクタハウジングの外面と面一状に変位する虞があるが、本発明では、端子金具の挿入を行う時点で、リテーナはコネクタハウジングの外面から突出しない状態で待機するようになっているので、リテーナが誤変位する虞はない。
また、各リテーナが互いに連結されて一斉に弾性撓みする構造の場合には、先に挿入された端子金具に対するリテーナの二次係止状態が、その後の端子金具の挿入動作に伴うリテーナの弾性撓みによって一時的に解除されることになるが、本発明では、各リテーナはキャビティ毎に個別に弾性撓みするようになっているので、先に挿入された端子金具の二次係止状態を継続して保つことができる。
さらに、リテーナによって端子金具が二次係止されている状態で保持部材を変位させると、複数のリテーナが一斉に端子金具から解離して二次係止状態が解除されるので、個々にリテーナを端子金具から解離させずに済む。
さらにまた、保持部材はコネクタハウジングに対して一体であり、保持部材をコネクタハウジングと一体化させたことによりリテーナもコネクタハウジングに対して一体となっているので、部品数が少なくて済む。
【0008】
[請求項2の発明]
組付け工程の段階で目視確認されずに端子金具の半挿入状態が看過されても、相手側コネクタのフード部がコネクタハウジングの外面に沿って嵌合される途中で、フード部の先端がリテーナの突出部分に突き当たり、それ以上の嵌合動作が規制され、これによって端子金具の半挿入状態を検知できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図8を参照して説明する。
本実施形態のコネクタは、コネクタハウジング10と複数の端子金具20とから構成される。
端子金具20は、導電性を有する金属板材を曲げ加工してなり、その前端部は相手側コネクタ30の雄端子金具(図示せず)と嵌合接続するための角筒状をなす嵌合部21とされているとともに、後端部は電線22を圧着により接続させた電線接続部23とされている。また、嵌合部21には後述するランス12を係止させるための一次係止孔24が形成されているとともに、同じく嵌合部21の段差状の後端部は、後述するリテーナ18を係止させるための二次係止段部25とされている。
【0011】
コネクタハウジング10は合成樹脂材料からなり、その内部には、端子金具20を収容するための複数のキャビティ11がコネクタハウジング10の前後両端面に開口して形成されている。キャビティ11の前端面側の開口は相手側コネクタ30の雄端子金具(図示せず)を進入させるための進入口11Fとされ、この進入口11Fから進入した雄端子金具がキャビティ11内の端子金具20と接続するようになっている。一方、キャビティ11の後端面側の開口は端子挿入口11Rとされており、この端子挿入口11Rから端子金具20がキャビティ11内に挿入される。
【0012】
キャビティ11を構成する壁部のうちコネクタハウジング10の外壁と共通の壁部とは反対側の壁部の一部は、前方へ片持ち状に突出するアーム状のランス12とされている。このランス12は、キャビティ11内における端子金具20の挿抜方向とほぼ直交する方向への弾性撓みを可能とされているとともに、突出端近くに位置する一次係止突起12Aを有している。かかるランス12は、常には、一次係止突起12Aをキャビティ11内(端子金具20の挿抜領域内)に突出させる一次係止位置にあるが、一次係止突起12Aをキャビティ11の外側へ退避させる退避位置への弾性的に変位することが可能となっている。端子金具20をキャビティ11内に挿入すると、その途中(半挿入状態)で嵌合部21の前端縁が一次係止突起12Aに後方から干渉することによってランス12が退避位置へ弾性変位し、端子金具20が正規挿入位置に達すると、ランス12が弾性復帰変位して一次係止突起12Aが一次係止孔24に係止され、もって端子金具20が抜け方向の遊動を規制された一次係止状態に保持される。
【0013】
キャビティ11を構成する壁部のうちコネクタハウジング10の外壁と共通の壁部には、端子金具20を二次係止するための手段が設けられている。この二次係止手段について説明すると、コネクタハウジング10の外壁には、コネクタハウジング10の外面とキャビティ11の内部とを連通させる前後方向(端子金具20の挿抜方向)に細長い取付孔13が、各キャビティ11毎に個別に形成されている。また、コネクタハウジング10の外面には、上記取付孔13の後端縁に沿った位置から前方へ延出する方形板状をなす保持部材14が形成されている。この保持部材14は、取付孔13の後端縁に沿ったヒンジ部15においてコネクタハウジング10に一体成形されており、成形状態では、図1,図3及び図6に示すように、保持部材14がコネクタハウジング10の外面に対して斜め前方外側へ延出する形態とされている。かかる保持部材14は、ヒンジ部15を支点としてコネクタハウジング10の外面に密着して取付孔13を覆うような組付け状態に傾動変位させることができるようになっている(図2,図4及び図7を参照)。また、コネクタハウジング10の外面の左右両側縁部にはストッパ片16が突成されており、このストッパ片16が保持部材14の傾動端縁の左右両端に係止することにより、保持部材14がコネクタハウジング10の外面に密着する組付け状態にロックされる。
【0014】
保持部材14には、上記各取付孔13と対応する前後方向に細長い方形の窓孔17が形成され、各窓孔17内には、前方へ片持ち状に延出する形態のリテーナ18が複数片形成されている。各リテーナ18は、その前半部分が側方から視て前方へ向かって厚さが増す楔状の本体部18Fとされているとともに、後半部分が厚さの薄い細長い支持部18Rとされている。かかるリテーナ18は、その支持部18Rの後端を窓孔17の後端縁に連ねた形態で保持部材14に一体成形されている。かかるリテーナ18の前端面は、端子金具20の二次係止段部25に係止される二次係止面18Sとなっている。また、本体部18Fと支持部18Rとは、その内側同士が概ね平坦状に連なっているのに対し、外面同士は谷状に屈曲した形態で連なっている。
【0015】
かかるリテーナ18は、成形状態においては図3に示すように、側方から視て保持部材14よりも内側(コネクタハウジング10側)であり且つコネクタハウジング10よりも外側に位置しているが、保持部材14が組み付け状態に変位すると、各リテーナ18が一斉に取付孔13内に収容されて二次係止位置に保持される(図4を参照)。この状態では、リテーナ18の外面は、コネクタハウジング10(保持部材14)の外面に対してほぼ面一状、即ちその外面よりも突出しない状態となる。一方、リテーナ18の内面は、その支持部18Rから本体部18Fに亘る全領域が、端子金具20の挿抜方向に対して斜め方向をなし且つ段差や凹凸のない滑らかな誘導斜面18Gとしてキャビティ11内(端子金具20の挿抜領域内)へ進出する状態となる。また、各リテーナ18は、夫々個別に、支持部18Rの後端を支点として端子金具20の挿抜方向とほぼ直交する方向へ弾性的に傾動変位することが可能となっている。リテーナ18が外側へ弾性的に傾動変位すると、本体部18Fは端子金具20の挿抜領域外へ退避することになる。
【0016】
[本実施形態の作用]
成形直後の状態では、保持部材14がコネクタハウジング10から外へ斜めに突き出した状態となっているため、端子金具20の挿入の際には、挿入作業の前に保持部材14をコネクタハウジング10の外面に密着する組付け状態へ変位させて同状態にロックしておく。尚、成形後に金型からイジェクトされて落下した衝撃で、保持部材14が図らずもコネクタハウジング10に密着する組付け状態になってしまった場合には、そのままロックがかかっているか否かを確認するだけでよく、改めて保持部材14を組付け状態にセットし直す必要はない。
【0017】
この状態で端子金具20を挿入すると、挿入途中で端子金具20の嵌合部21の前端縁がリテーナ18の誘導斜面18Gに当接し、その傾斜により端子金具20がリテーナ18を外側へ円滑に弾性撓みさせる。この後は、リテーナ18の本体部18Fの前端内縁と嵌合部21の外面とが摺接しつつ、端子金具20の挿入が進む。このリテーナ18が端子金具20との干渉によって外側へ弾性撓みした状態では、図5に示すように、リテーナ18の本体部18Fの前端外縁が保持部材14の外面よりも外側へ突出している。尚、この挿入途中ではランス12も嵌合部21の外面と干渉して弾性撓みしている。
【0018】
さて、挿入された端子金具20が正規挿入位置に達すると、嵌合部21の外面がリテーナ18の前端縁から外れ、リテーナ18がその弾性復元力により二次係止位置に戻る。すると、リテーナ18の二次係止面18Sが端子金具20の二次係止段部25に対して後方から係止する状態となり、これによって、端子金具20が二次係止状態となって抜け規制される。尚、このリテーナ18による二次係止動作と同時に、ランス12による一次係止動作も行われ、もって端子金具20は二重係止状態となって確実に抜止め保持される。
【0019】
尚、正規挿入位置に至らない半挿入状態の端子金具20が存在しているままで挿入作業を終えてしまった場合には、その半挿入の端子金具20と干渉しているリテーナ18が他のリテーナ18よりも外側に変位して位置し、その様子が保持部材14の窓孔17を通して目視により確認することができるので、これにより半挿入状態の端子金具20の存在が検出される。また、組付け工程の段階で目視確認されずに半挿入状態が看過されても、相手側コネクタ30をコネクタハウジング10に嵌合させるときに検知される。即ち、リテーナ18の前端部が保持部材14よりも外側へ突出しているので、相手側コネクタ30のフード部31がコネクタハウジング10の外面に沿って嵌合される途中で、フード部の先端がリテーナ18の突出部分に突き当たり、それ以上の嵌合動作が規制されるのであり、これによって半挿入状態を検知できる。
【0020】
[本実施形態の効果]
端子金具の挿入時にリテーナをコネクタハウジングの外面から突出させた状態にしておく必要のあるコネクタでは、リテーナが誤ってコネクタハウジングの外面と面一状に変位してしまい、その結果端子金具の挿入の支障を来す虞がある。しかし、本実施形態では、端子金具20の挿入を行う時点で、リテーナ18はコネクタハウジング10の外面から突出しない状態で待機するようになっているので、リテーナ18が誤まった位置へ変位してしまう虞がなく、端子金具20の挿入動作を支障なく行うことができる。
【0021】
また、各リテーナが互いに直接連結されて一斉に弾性撓みする構造の場合には、先に挿入された端子金具に対するリテーナの二次係止状態が、その後の端子金具の挿入動作に伴うリテーナの弾性撓みによって一時的に解除されることになるのであるが、本実施形態では、各リテーナ18はキャビティ11毎に個別に弾性撓みするようになっているので、先に挿入された端子金具20の二次係止状態が継続して保たれ、係止動作の信頼性に優れる。
【0022】
また、リテーナ18によって端子金具20が二次係止されている状態で保持部材14を変位させると、複数のリテーナ18が一斉に端子金具20から解離して二次係止状態が解除されるので、個々にリテーナ18を端子金具20から解離させるという煩わしさがなく、作業性に優れる。
また、保持部材14とリテーナ18はコネクタハウジング10に対して一体に成形されているので、これらを別体部品として成形して組み付ける構造のものと比較すると、部品数が少なくて済むとともに、組付け作業の工数も少なくて済む。
【0024】
)上記実施形態では端子金具が角筒状の嵌合部を有する雌型の端子金具である場合について説明したが、本発明は、端子金具が雄タブを有する雄型の端子金具である場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における成形直後の状態を示す一部切欠斜視図
【図2】保持部材を組み付け状態にした様子を示す一部切欠斜視図
【図3】端子金具の成形直後の状態(保持部材がコネクタハウジングに組み付けられていない状態)を示す縦断面図
【図4】端子金具が正規挿入された状態を示す縦断面図
【図5】端子金具の半挿入状態を示す縦断面図
【図6】成形直後の状態を示す正面図
【図7】保持部材を組付け状態にした様子を示す正面図
【図8】保持部材を組付け状態にした様子を示す平面図
【図9】図3の部分拡大図
【図10】図4の部分拡大図
【図11】図5の部分拡大図
【図12】従来例の断面図
【符号の説明】
10…コネクタハウジング
11…キャビティ
12…ランス
14…保持部材
18…リテーナ
20…端子金具

Claims (2)

  1. 端子金具が挿入されるキャビティが形成されたコネクタハウジングと、
    前記キャビティ内に弾性撓み可能に形成され、正規位置へ挿入された前記端子金具に係止してその端子金具を抜け規制するランスと、
    前記コネクタハウジングに弾性撓み可能に設けられ、端子金具の挿入前には前記コネクタハウジングの外面と概ね面一状となる二次係止位置に保持され、前記端子金具の挿入過程では、その端子金具の外面と干渉することで前記コネクタハウジングの外面から突出する状態へ弾性的に撓み変位した後、前記端子金具が正規挿入位置に達したところで前記二次係止位置に弾性復帰して前記端子金具に係止してその端子金具を抜け規制するリテーナとを備えてなり、
    前記コネクタハウジングには、このコネクタハウジングの外面と前記キャビティの内部とを連通させる取付孔が形成され、かつ、この取付孔の端縁に沿ったヒンジ部を支点として前記取付孔を覆うような組付け状態に傾動変位させることが可能とされる保持部材が一体形成されており、
    前記保持部材には、前記取付孔と対応する窓孔が形成され、前記リテーナは前記窓孔内に延出する形態で複数形成されており、
    各リテーナは、夫々、キャビティ毎に個別に弾性撓み可能とされる一方、前記保持部材が組付け状態に変位すると、一斉に前記取付孔内に収容されて前記二次係止位置に保持され、前記端子金具が二次係止されている状態で前記保持部材が変位すると、一斉に前記端子金具から解離して二次係止状態を解除することを特徴とするコネクタ。
  2. 前記リテーナが半挿入の端子金具と干渉して外側に変位した状態で、前記相手側コネクタのフード部が前記コネクタハウジングの外面に沿って嵌合されると、その途中で、前記フード部の先端が前記リテーナの突出部分に突き当たることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
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