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JP4084705B2 - 静電荷像現像用トナー、その評価方法、現像方法、製造方法、カートリッジ及びそれらの装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、その評価方法、現像方法、製造方法、カートリッジ及びそれらの装置 Download PDF

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JP4084705B2
JP4084705B2 JP2003139526A JP2003139526A JP4084705B2 JP 4084705 B2 JP4084705 B2 JP 4084705B2 JP 2003139526 A JP2003139526 A JP 2003139526A JP 2003139526 A JP2003139526 A JP 2003139526A JP 4084705 B2 JP4084705 B2 JP 4084705B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1成分現像または2成分現像方法、装置に用いる静電荷像現像用トナー、該トナーの評価方法、該トナーを用いる現像方法、該トナーを充填したトナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、それらを装着した画像形成装置、前記評価方法を利用したトナーの製造方法、トナー評価装置、及びトナー製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた複写機やプリンタなどの画質は、高画質化が進んでおり、最近では細かいドットの再現性が非常に重要になって来ている。このドットの再現性は、トナーや現像剤の帯電量などの他に流動性に非常に影響され、細かい潜像部に均一なトナー層または現像剤層を安定して供給すること、搬送することが必要になって来ている。特に、一成分現像方式においては、非常に薄い層を常に安定に現像ローラ上に設ける必要があり、トナーの流動性が重要となってきている。
【0003】
また、高画質化が進むにつれて、それに用いられるトナーにおいては、小粒径化、高機能化が進んでいる。そのため、トナーの構造が複雑になってきており、従来より細かい作製時の制御が必要となってきている。特に、トナーの流動性はドット再現性の他に種々の画像品質に影響を与えるため、評価の面では個人差のない、精度の高い評価法が必要とされている。
さらに、トナーの作製法が粉砕方式の場合、小粒径化が進むにつれて製造条件に対しての流動特性の変化が大きく、細かい作製時のコントロールおよび評価が必要となっている。
また、トナーの低温定着化や定着のオイルレス化が進んでくるとともに、トナーの母体組成や構造が複雑になり、トナーの流動性にも影響を及ぼすようになる。そのため、従来よりも精度の高い構造制御が必要になり、それに応じて感度の高い流動性評価法が必要とされている。
【0004】
電子写真方式の画像形成に用いるトナー粒子の流動性に関するものとし、日立化成工業の特開平01−203941号公報(特許文献1)には、磁場が印加されたロートの狭部を通過して落下するのに要する時間を測定することにより、現像機内の現像剤の流動性を正確に評価する方法が提案される。また、富士通の特開平04−116449号公報(特許文献2)には、傾斜可能な板の上にトナーを載せ、板を徐々に傾けていき、流れ始めるときと流れ終えたときの角度を測定する方法が提案されている。さらに、シャープの特開2000−292967号公報(特許文献3)には、篩を何段かに重ねて、その上にトナーを投入して、篩部分に水平方向と垂直方向の振動を与え、一定時間後の各篩部に残ったトナー量に予め設定された係数を乗算して算出する方法が提案されている。これらの方式は、データのバラツキが大きく、測定者による差があり、細かいトナー間の流動性の違いを評価することは出来なかった。
また、良好な流動性を示すトナーにするためには、トナー形状や表面状態を詳細に制御する必要がある。表面状態を評価する方法の一つとしてBET比表面積を測定する方法がある。BET比表面積に関する特許は多数出願されており、その例として特許第3055915号公報(コニカ)には、重合粒子のBET比表面積値や体積平均粒径値等を規定して、高画質化(特にクリーニング性の向上)を目的としたものが提案されている。
【0005】
また、トナーの流動性が問題としてクローズアップされるようになったのは、トナーの低温定着化や定着のオイルレス化が進み始めてからである。こうした低温定着化に関しては、バインダー樹脂中にガラス転移温度でシャープメルト性を有する特定の非オレフィン系結晶性重合体を添加する提案(特開昭62−63940号公報)がある。また、同じくシャープメルト性を有する結晶性ポリエステルを用いる提案(特第2931899号公報、特開2001−222138号公報)がある。
【0006】
しかし、ガラス転移温度でシャープメルト性を有する結晶性ポリエステルは、混練時の品温がガラス転移温度以上であると、混練剪断力を小さくし、ワックスの分散性や結晶性ポリエステル樹脂自身の分散性を悪化させやすい。特に、弾性成分の少ない樹脂を使用するフルカラートナーでは、分散性の悪化が顕著となる。そのため、ワックス分散性の悪化による流動性の低下や結晶性ポリエステル樹脂の分散性の悪化による透明性の低下という問題を生じやすくなる。また、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性を有しないポリエステル樹脂以上に粉砕性が悪く、粉砕法では小粒径化に対して課題がある。
【0007】
また、流動性評価法に関する一的な技術文献としては、以下の文献がある。
・Satoh M.:J.,Soc.Powder Technol.,Japan,31,783−788(1994)
・佐藤宗武ら:化学工学論文集 Vol.22,No.6,pp.1435〜1441(1996)
しかし、これら文献には、電子写真方式の画像形成に用いるトナーに特有の流動性に関することは何ら開示されていない。
【0008】
さらに本出願人は先に、トナーの流動性評価に関する方法および装置について提案した(特願2002−196884号、特願2002−276484号、特願2002−281727号、特願2002−346981号、特願2002−346831号)。
【0009】
【特許文献1】
特開平01−203941号公報
【特許文献2】
特開平04−116449号公報
【特許文献3】
特開2000−292967号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、流動性の精度の高い、個人差のない評価方法を用いることにより、トナー搬送性に優れ、ドット再現性の良い高画質がいつでも得られる粉砕トナーの粒子表面状態の条件を規定し、安定して生産できる静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
また本発明は、精度が高く、個人差がなく、製造ライン中にも導入できるトナーの評価方法、該トナーを用いる現像方法、該トナーを充填したトナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、それらを装着した画像形成装置、前記評価方法を利用したトナー製造方法、トナー評価装置、及びトナー製造装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、トナーの流動性はトナーの表面状態が関係すること、および、トナーの流動性をトナー粉体相に円錐ロータを回転させながら侵入させ、円錐ロータがトナー粉体相中を移動するときに発生するトルクまたは荷重を測定することにより、定量的に、精度良く、個人差がなく評価できるようにし、細かいトナー間の流動性の違いを正確に評価出来ることを見い出し、また、本方式は、短時間でトナー相をそのまま測定できるので、製造ラインの中にも導入でき、高画質が得られるトナーを安定して生産できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明によれば、下記(1)〜(15)は提供される。
(1)粉砕法で作製した少なくともポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤からなる母体トナー粉体の表面に添加剤を付着または固着させた体積平均粒径5〜7μmの静電荷像現像用トナーにおいて、
前記添加剤が少なくともシリカ及び酸化チタンを含み、前記トナーが下記式(1)を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
0.1≦6/(ρ・D・S)≦0.4 (1)
ρ:トナーの真比重
D:トナーの体積平均粒径(μm)
S:BET比表面積(m/g)
(2)0.245≦6/(ρ・D・S)≦0.297を満たすことを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3)少なくともポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤からなる母体トナー粉体の表面に添加剤を付着または固着させたトナーを予め圧密状態にした後、円錐ロータを回転させながら侵入速度5mm/minで20mm粉体相中を侵入させたときに発生するトルクの値が0.1〜3mNm(空間率=0.55のとき)または20mm粉体相中を侵入させたときに発生する荷重の値が0.01〜0.70N(空間率=0.55のとき)であることを特徴とする前記(1)〜(2)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(4)添加剤の含有量が母体トナー粉体100重量部に対し、1.3〜2.0重量部である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(5)少なくともポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤からなる母体トナー粉体の中に電荷制御剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(6)下記一般式(2)で表される結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
[−O−CO−CR=CR−CO−O−(CH−]
(2)
(式中、R、Rは炭化水素基、n、mは繰り返し単位数を表す。)
(7)結晶性ポリエステルのガラス転移温度が、80〜130℃である前記(6)に記載の静電荷像現像用トナー。
(8)結晶性ポリエステルの含有量が、樹脂及び離型剤の合計量に対し1〜50重量%である前記(6)(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(9)ポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤を予め混練させた組成物を用いて作製したことを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いて、現像を行なうことを特徴とする1成分現像方法。
(11)ドクターローラおよび/又は供給ローラを用いることを特徴とする前記(10)に記載の1成分現像方法。
(12)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアを用いることを特徴とする2成分現像方法。
(13)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを充填したことを特徴とするトナーカートリッジまたはプロセスカートリッジ。
(14)前記(13)に記載のトナーカートリッジまたはプロセスカートリッジを装着したことを特徴とする画像形成装置。
(15)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
トナーのBET比表面積を測定し、この値と、トナーの真比重及び体積平均粒径から、下記式(1)を満足するトナーを選別することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
0.1≦6/(ρ・D・S)≦0.4 (1)
ρ:トナーの真比重
D:トナーの体積平均粒径(μm)
S:BET比表面積(m/g)
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の静電荷像現像用トナーは、粉砕法で作製した少なくとも樹脂、顔料からなる母体トナー粉体の表面に添加剤を付着または固着させた体積平均粒径5〜7μmのトナーにおいて、下式(1)を満足するような表面状態にすることを特徴とするものであり、トナー搬送性が良く、ドット再現性の良い高画質の画像が得られるものである。
0.1≦6/(ρ・D・S)≦0.4 (1)
ρ:トナーの真比重
D:トナーの体積平均粒径(μm)
S:BET比表面積(m/g)
【0014】
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも樹脂、顔料からなる母体トナー粉体の表面を添加剤で覆った構造をしている。特に、一成分および二成分現像プロセスに用いられるトナーに関するもので、現像時の現像ローラ上に均一な薄いトナーを形成するときのトナー粉体相のトナー搬送特性や現像ローラ上でのキャリアを含めての現像剤の流動性を高画質化に対して問題のない最適な条件に入るように規定することにより、樹脂中に顔料や他の樹脂や離型剤等を均一に分散させ、かつ外添剤処理による粒子表面状態の最適化を実現できた。
【0015】
本発明のトナーを構成する樹脂は従来からカラートナーに用いられているポリエステル樹脂または/およびポリオール樹脂等がある。ポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、従来多用されてきたスチレン−アクリル系樹脂よりも低温定着性に優れ、耐熱保存性も比較的良いため適している。しかし、ポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂に比べると、離型剤の分散性が悪い。分散性が悪いと、粉砕時に樹脂とワックスの界面に粉砕応力が集中し易いため、樹脂と離型剤の界面で粉砕され易く、粉砕されたトナーの表面には添加した離型剤の割合以上に離型剤が露出して、トナーの流動性を悪くしていた。
そこで本発明のトナーは、圧密時のトナー粉体相のトルク特性をトナー流動性に問題のない最適な条件に入るように規定することにより、樹脂中に顔料や他の樹脂や離型剤を均一に分散させ、かつ外添剤処理による最適化を実現できた。
【0016】
本発明において、外添剤処理後のトナー粒子表面の状態評価はBET比表面積法で行ない、例えばトライスター3000(島津製作所製)を用いて測定した。もちろん、同様の測定原理、方法であれば他の測定装置でも問題ない。しかし、BET比表面積法において重要なのは測定条件であり、トナー粒子表面を変形させることなく、そのままの状態の粒子表面に均一にNガス吸着を行なわせる必要があり、種々の条件を検討した結果、以下の条件を最適な条件として挙げることができる。
【0017】
<測定条件>
(1)試料重量を1〜1.5gにする。
→1g未満ではロット間のバラツキが大きく、1.5gより多くなると測定の取扱いが大変になり、測定値のバラツキも大きくなる。好ましくは1g位が最適である。
(2)試料を加熱しない。
→加熱するとトナー粒子の変形が生じ、実際の表面状態の評価が不可能になる。
(3)試料表面の水分除去のために、前処理として真空排気を以下の条件で行なう。
・真空圧力:2.67Pa以下
・真空排気時間:1時間以上
→上記条件を満足しない場合には、測定値のバラツキが大きく、安定した測定値が得られない。
【0018】
本発明においては、これらのトナー粒子の流動性の評価は、例えば粉体相中に円錐ロータを回転させながら、侵入(下降)させたり、引抜(アップ)いたりさせ、そのときに円錐ロータやトナー粉体相が入っている容器にかかるトルクや荷重を測定し、そのトルクや荷重の値により流動性を評価するものである。
円錐ロータの形状はどんなものでも良いが、円錐の頂角が20〜150°であるものが適している。円錐の頂角が20°より小さいとトナー粉体相との抵抗が小さいため、トルクや荷重が小さく、細かい流動性の違いを評価できない。逆に、頂角が150°より大きい場合には、トナー粉体相を押さえつける方向の力が大きくなり、トナー粒子の変形が生じやすくなり、トナー流動性の評価には適していない。円錐ロータの長さは、トナー粉体相の中に円錐ロータ表面が連続的に存在するような、十分な長さが必要である。
【0019】
また、円錐ロータ表面には溝が切ってある方が良い。円錐ロータの材質面とトナー粒子との摩擦成分を測定するのではなく、トナー粒子とトナー粒子との摩擦成分を測定する方が良い。そのためには、円錐ロータが回転しながらトナー粉体相の中に侵入していくとき、円錐ロータ表面に切ってある溝の中にトナー粒子が入り込んできて、その入り込んだトナー粒子と周りのトナー粒子との摩擦状態を測定するようにした方が適している。この溝の形状は問わないが、円錐ロータの材質面とトナー粒子との接触が小さくなるように工夫する必要がある。一例を図2に示す。これは、円錐の頂点からまっすぐ底辺方向に溝を切ったもので、その溝の断面が三角形の凹凸からなるのこぎり歯形状をしている。この場合、円錐ロータ材質面とトナー粒子との接触は、三角溝の山の先端部分のみとなる。ほとんどが溝に入り込んだトナー粒子とその周辺のトナー粒子との接触となる。円錐ロータの材質は何でも良いが、加工しやすくて、表面が固く、変質しない材質が良い。また、帯電性を帯びない材質が適している。この一例としては、SUS(ステンレス)、Al、Cu、Au、Ag、黄銅等がある。
【0020】
トナー粉体のトルクおよび荷重は、円錐ロータの回転数や円錐ロータの侵入速度により変化する。本発明の評価方法では測定の精度を上げるために、トナー粒子同士の微妙な接触状態が測定出来るように、円錐ロータの回転数や侵入速度を下げて測定するようにした。そのため、測定条件は以下に示すものが好ましい。
<測定条件>
・円錐ロータの回転数:0.1〜50rpm
・円錐ロータの侵入速度:0.2〜150mm/min
円錐ロータの回転数が0.1rpmより小さい場合はトナー粉体相の微妙な状態の影響を受けやすいため、トルク測定バラツキの問題が生じ、測定には適していない。50rpmより大きい場合はトナーの飛び散り等が生じて、安定に測定できないので適していない。円錐ロータの侵入速度が0.2mm/minより遅い場合はトナー粉体相の微妙な状態の影響を受けやすく、測定バラツキの問題が生じるため測定には適していない。150mm/minより速い場合はトナー粉体相が圧密状態になりやすく、トナー変形等の影響が出てくるので、流動性評価には適していない。
【0021】
本発明の評価装置構成は例えば図1に示すものであり、圧密ゾーンと測定ゾーンから成る。圧密ゾーンは、粉体を入れる容器、その容器を上下させる昇降ステージ、圧密させるピストン、そのピストンに荷重を加えるおもり等から構成される。なお、図1に示す構成の装置は一例であり、本発明を限定するものではない。また、圧密ゾーンが無くても良い。この構成の装置では、粉体を入れた試料容器を上昇させ、圧密用のピストンに接触させ、さらに上昇させてピストンにおもりの荷重が全てかかるようなおもりが支持板より浮いた状態になるようにし、一定時間放置する。その後、粉体を入れた容器が載せてある昇降ステージを下げて、ピストンを粉体表面から離す。ピストンは、どんな材質でも良いが、粉体を押付ける表面の表面性がスムーズである必要がある。そのため、加工しやすくて、表面が固く、変質しない材質が良い。また、帯電による粉体付着が無いようにする必要があり、導電性の材質が適している。この材質の一例としては、SUS、Al、Cu、Au、Ag、黄銅等がある。
【0022】
測定ゾーンは図1のように、円錐ロータをシャフトの先端に取付け、トルクメータに固定する。ステージの中央部にトナーを入れた容器を置くようにし、ステージを昇降機により上下できるようにする。容器を上げることにより、容器の中央に円錐ロータが回転しながら侵入するようにする。円錐ロータにかかるトルクは上部にあるトルクメータにより検出し、トナーの入った容器にかかる荷重は容器の下にあるロードセルで検出する。円錐ロータの移動量は位置検出器で行なう。この構成は一例であり、円錐ロータを取りつけたトルクメータを昇降機により上下させたりするなど他の構成でも良い。
【0023】
円錐ロータの形は、前述したように頂角が20〜150°のものが良い。(図2参照。)円錐ロータの長さは、円錐ロータ部分が十分トナー相の内部まで入るように長くする必要がある。溝の形状は、どのような形状でも良いが、円錐ロータを交換したためにトルクや荷重の値が再現しなくなるということがないように注意する必要がある。そのためには、円錐ロータの溝形状は単純で、同じ形状のロータが何度でも造れる形の方が良い(図3参照。)。容器の材質については問わないが、粉体との帯電による影響が出ないように導電性の材質が適している。また、粉体を入れ替えながら測定するため、汚れを少なくするために表面が鏡面に近いものが良い。容器のサイズは重要であり、円錐ロータが回転しながら侵入するときに容器の壁の影響がでないように円錐ロータの直径に対して大き目のサイズ(直径)を選択する必要がある。
【0024】
トルクメータは高感度タイプのものが良く、非接触方式のものが適している。ロードセルは荷重レンジが広く、分解能の高いものが適している。位置検出器はリニアスケール、光を用いた変位センサ等があるが、精度的に0.1mm以下の仕様が適している。昇降機は、サーボモータやステッピングモータを用いて、精度良く駆動できるものが良い。
【0025】
測定は、容器にトナーを一定量投入し、本装置にセットする。まず、実際の測定に入る前に、トナー粉体相を加圧して、圧密状態を作り出す。その後、その圧密状態のトナー相に円錐ロータを下降させ、円錐ロータを回転させながらトナー粉体相の中に侵入させる。トルクや荷重測定に入るときには、決められた回転数、侵入速度で行なう。円錐ロータの回転方向は任意である。円錐ロータの侵入距離は、浅いとトルクや荷重の値が小さく、データの再現性等に問題が生じるため、データの再現性のある領域まで深く円錐ロータを侵入させた方が良い。我々の実験結果では5mm以上侵入させればほぼ安定した測定が可能になった。
【0026】
測定モードは、どのような条件でも可能であるが、例として以下のような測定モードがある。
▲1▼容器にトナーを充填する。
▲2▼トナー粉体相を加圧して、圧密状態作り出す。
▲3▼円錐ロータを回転させながら侵入させ、そのときのトルク、荷重を測定する。
▲4▼円錐ロータがトナー表面層から予め設定した深さ迄侵入したところで、侵入動作を止める。
▲5▼円錐ロータを引抜く動作を開始する。
▲6▼円錐ロータの先端がトナー粉体相表面から抜け、完全にフリーになった時点(最初のホームポジション)で円錐ロータの引抜き動作を停止し、回転も止める。
以上の▲1▼〜▲6▼の操作を繰返して、測定を行なう。連続的に行なっても良い。
【0027】
また、別の測定法としては、トナー粉体相を測定前に加振器(図1参照)により振動を与えて安定化させ、その安定化したトナー粉体相を加圧し圧密状態にし、圧密状態のトナー粉体相に回転させながら円錐ロータを侵入させ、そのときのトルクや荷重を測定し、予め設定した深さ迄到達したら侵入動作を止め、その後円錐ロータを最初の位置(ホームポジション)迄アップさせる。
さらにまた、別な方法としては、圧密状態のトナー粉体相に、円錐ロータを侵入させて、予め設定したトルク値になるまでの深さを調べる方法等がある。
【0028】
圧密状態は、一般的に空間率の変化として評価できる。(粉体工学ハンドブック参照。)
そのため本発明の評価方法では、トナー粉体相の空間率が重要になり、我々の実験結果では空間率は0.4以上のとき安定して測定が可能であった。0.4未満では圧密状態の微妙な条件の違いがトルク、荷重に影響を及ぼし、安定した測定が困難であった。トナー粉体相の空間率の範囲としては、種々な測定法の場合を含めて、0.4〜0.75であった。0.75より大きい場合にはトナーが飛散し、測定には適していない。
しかし、測定系、測定条件等に関してはこの限りではない。
【0029】
本発明において、圧密状態とは、解放された状態ではなく、容器などの閉ざされた状態に粉体が充填され、種々の方法により再配列された状態をいう。
また、トナー粉体層の空間率とは、粉体相内に存在する隙間の割合を示すものであり、下記式により求められる。
空間率=(嵩体積−真体積)/嵩体積
【0030】
本評価法に用いるトナーは粉砕法で作製したトナーで、高画質画像を実現するために、トナーの体積平均粒径が5〜7μmであることが必要である。さらに好ましくは5〜6μmである。体積平均粒径5μm未満ではトナー作製の余裕度に問題が生じ、使用上でもトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすくなる。粒径が7μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
【0031】
本発明のトナーを用いる現像剤は、高画質画像を実現するために、キャリアの体積平均粒径が20〜70μmであることが好ましい。キャリアの体積平均粒径が20〜70μmの範囲にあると、現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができる。20μmより小さくなるとキャリア粒子の感光体上への付着等が生じやすく、さらにトナーとの撹拌効率が悪くなりトナーの均一な帯電量が得られにくくなる。逆に、キャリアの平均粒径が70μmを超える場合では、細かい画像再現性が悪くなり、高画質は得られない。
【0032】
本発明のトナーの詳細を以下に示す。
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−メタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。
【0033】
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0034】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコール成分と、B群に示したような二塩基酸成分からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
【0035】
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
【0036】
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
【0037】
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
【0038】
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0039】
樹脂は、結晶性ポリエステルを用いることが好ましく、特に結晶性を有し、分子量分布がシャープでかつその低分子量分の絶対量を可能な限り多くした脂肪族系ポリエステルが好ましい。この樹脂はガラス転移温度(Tg)において結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、紙への定着機能を発現する。この結晶性ポリエステル樹脂の使用により、樹脂のTgや分子量を下げ過ぎることなく低温定着化を達成することができる。そのため、Tg低下に伴なう保存性の低下はない。また、低分子量化に伴なう高すぎる光沢や耐オフセット性の悪化もない。したがってこの結晶性ポリエステル樹脂の導入は、トナーの低温定着性の向上に非常に有効である。
【0040】
本発明のトナーおいて、低温定着性を発現し、耐ホットオフセット性を確保するためには、トナー中の樹脂および離型剤の合計量に対して、結晶性ポリエステルの含有量は1〜50重量%であり、離型剤の含有量は2〜15重量%であることが好ましい。結晶性ポリエステルの含有量が1重量%未満の場合は低温定着性に効果がなく、50重量%を超える場合はホットオフセット性が悪化する。離型剤含有量が2重量%未満の場合は、耐オフセット性に効果がない場合があり、15重量%を超える場合には、トナー流動性の低下が生じる。
【0041】
結晶性ポリエステル樹脂の分子構造については、限定的でないが、ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点の観点から、炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびこれらの誘導体を含有するアルコール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、およびこれらの誘導体を含有する酸成分とを用いて合成される下記一般式(2)で表される脂肪族系ポリエステルを含有することが好ましい。
[−O−CO−CR=CR−CO−O−(CH−] (2)
(式中、R、Rは炭化水素基、n、mは繰り返し単位数を表す。)
また、ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点の観点から、非線状のポリエステルを合成するためにアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールを追加し、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行っても良い。
【0042】
結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましく、80〜130℃の範囲にあることが好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が80℃より低い場合は耐熱保存性が悪化し、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しやすくなり、130℃より高い場合には定着下限温度が高くなるため低温定着性が得られなくなる。結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、DSCによる2nd昇温時の吸熱ピーク温度である。
【0043】
本発明で用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
【0044】
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
【0045】
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
これらは1種または2種以上を使用することができる。
【0046】
特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させることが好ましい。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0047】
本発明のトナーには電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)することが好ましい。しかし、トナー粒子と混合(外添)して用いても良い。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。
【0048】
トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
【0049】
また、本発明におけるトナーには定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することが可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックスおよびその誘導体、パラフィンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラ温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0050】
離型剤等の分散性を向上させるなどの目的の為に、添加剤を加えても良い。添加剤としては、スチレン−アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン−メタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合した物でも良い。
【0051】
また、本発明のトナーには粉砕性を向上させるために粉砕助剤を含ませても良い。該粉砕助剤としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレンおよびイソプロペニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体を含む樹脂等である。本重合体はビニルトルエン、α−メチルスチレンまたはイソプロペニルトルエンの単独重合体であってもよいし、これらのモノマー同志の共重合体であってもよい。これらの重合体にはスチレン以外の他のモノマーが共重合されていないのが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲でスチレン以外の他のモノマーが共重合されていてもよい。
【0052】
スチレンの含有量は共重合体を構成する全モノマーに占めるスチレンの割合として50モル%以下、好ましくは40〜20モル%であることが望ましい。これらの樹脂は脆いために、結晶性ポリエステルと組み合わせて使用すると、結晶性ポリエステルの結晶性に起因する不十分な粉砕性を向上させることが出来る。
【0053】
また、磁性トナーとする場合には、トナー粒子の中に磁性体の微粒子を内添すれば良い。磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、コバルト、それらの合金などの強磁性体等が考えられる。磁性体の平均粒径は0.1〜1μmが好ましい。磁性体の含有量はトナー100重量部に対して、10から70重量部であることが好ましい。
【0054】
また、前述したように本発明のトナーは流動性向上剤としての添加剤に、例えば無機微粉体をトナー表面に付着または固着させる。この無機微粉体の平均粒径は10〜200nmが適している。10nmより小さい粒径の場合には流動性に効果のある凹凸表面を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には粉体形状がラフになり、トナー形状の問題が生じる。
【0055】
本発明で用いる無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。
【0056】
さらに上記無機微粉体は、疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。
【0057】
無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。
【0058】
また、少なくとも樹脂、顔料からなる粉体の表面に電荷制御剤を付着または固着させ、粉体表面形状を小さな周期と大きな周期を持つようにしても良い。その平均粒径は10〜200nmの小さい粒径のものが最適である。10nmより小さい粒径の場合には流動性に効果のある凹凸表面を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には粉体形状がラフになり、トナー形状の問題が生じる。電荷制御剤としては、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等があり、2種類以上組み合わせたりしても良い。
【0059】
また、本発明のトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0060】
トナーを作製する方法としては粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、本発明に関しては粉砕法を用いる。
【0061】
粉砕法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料または染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、連続式の1軸混練機等の熱混練機を用いて構成材料を均一によく混練し、圧延冷却後、切断を行なう。切断後のトナー混練物は破砕を行ない、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。その後、混合機により無機粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させる。この混合工程後のトナー粒子の表面状態をBET比表面積法を用いて評価する。さらに、混合工程後のトナー粒子の流動性を本発明の評価方法を用いて評価する。
【0062】
この場合、抜き取り検査で、試料をサンプリングした後、比表面積測定装置で測定する。さらに、試料を試料容器に入れ、加圧等により圧密状態にし、その試料容器を直接図1に示す評価装置の試料台に載せ測定を行なう。円錐ロータの回転数は0.1〜10rpmとし、円錐ロータの侵入速度は5mm/minとした。測定は、円錐ロータを回転させながら侵入させ、5mm以上の予め設定した侵入距離を経た後は侵入を止め、その後円錐ロータを引抜き、元の初期位置に戻す。この円錐ロータのトナー粉体相への侵入時のトルク、荷重を測定し、トナーの流動性を評価する。
【0063】
また無機粒子などの添加剤の混合工程後、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し本発明のトナーを得る。なお、風篩工程後、トナーの表面状態、トナーの流動性を評価しても良い。
【0064】
本発明において、トナー粒子の表面状態の評価を前述の測定条件でBET比表面積測定を行なった場合、トナー流動性との実験関係から、以下の条件を満足する場合に流動性が優れ、高画質化に対応したトナーが得られることが分かった。
0.1≦6/(ρ・D・S)≦0.4
ρ:トナーの真比重
D:トナーの体積平均粒径(μm)
S:BET比表面積(m/g)
【0065】
上記6/(ρ・D・S)の値が0.1未満では、外添剤(添加剤)とトナーとの分離等が発生し、ランニング特性が悪くなり、一方0.4より大きい場合にはトナー流動性が悪くなり、ドット再現性が悪くなる。
【0066】
本発明の評価方法は、製造ラインでの計測も可能であり、製造工程の中での各工程間に設置して、工程途中での品質評価ができる。例えば、混合工程を経た後、次工程へ粉体試料を搬送する途中で、試料抜取り、本発明の評価方法にて測定する。評価の結果、その数値が上記式から予め定めた設定範囲を外れていた場合、試料を充填工程へは回さず、トナーの再処理工程へ回す。
【0067】
トナー流動性を円錐ロータを用いた本発明の評価方法で評価した場合には、測定値(トルク、荷重)とトナー流動性が以下のような関係になる。
トルクが小さい場合、流動性は良い。
トルクが大きい場合、流動性は悪い。
荷重が小さい場合、流動性は良い。
荷重が大きい場合、流動性は悪い。
【0068】
円錐ロータを用いた本発明の評価方法の特徴は、以下のようになり、抜取り試料をそのまま迅速に、簡単に測定できるため、個人差の無い、精度の高い測定が出来ることにある。
▲1▼非破壊検査である。
▲2▼試料をそのまま測定できる。
▲3▼短時間で測定できる。
▲4▼誰にでも簡単に測定できる。
【0069】
そのため、製造ラインでの計測も可能であり、製造工程の中での各工程間に設置して、工程途中での品質評価ができる。例えば、混合工程を経た後、次工程へ粉体試料を搬送する途中に、試料抜取り・測定ゾーンを設けておき、あるタイミングでシャッターを開閉して、一定量の試料を測定部へ搬送する。その測定部の先端部はSUS等でできた容器になっており、そのまま本発明の評価方法にて測定する。または、その容器を近くの別の場所にある本発明の評価装置へ持っていき、試料ステージへのせて本発明の評価方法にて測定する。評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲を外れていた場合、試料を充填工程へは回さず、トナーの再処理工程へ回す。これらの仕組みは、混合工程前の工程である粉砕・分級工程後の検査、混合工程の後にある風篩工程後の検査、充填前の検査等にも適用できる(図4参照。)。
また、これらの機能をもったトナー評価装置を単独に開発段階の評価装置として使うことも可能である。
【0070】
トナーの場合、前述の通り本発明の評価方法でのトルク、荷重の測定値は流動性を示しており、定量的な評価が可能となる。今までの従来の評価法では、トナー間の違いは評価出来るが、トナーの種類が違うと同じ土俵では評価できないという問題があった。しかし、本発明の評価方法で測定した値は、粉体特性としてのトルク値、荷重値であり、トナーの種類が変わっても粒径が変わっても同じ土俵で評価出来る値であり、非常に汎用的な評価値になる。
【0071】
トナー粉体相中での円錐ロータの移動時のトルク、荷重特性は、粉体の流動性と密接な関係があり、粉体の流動性が良い場合には1個1個の粉体粒子間の付着力が小さいために動きやすく、その粉体相内で円錐ロータを動かしてもトルクは小さく、荷重変化も小さい。しかし、逆に粉体の流動性が悪い場合には、1個1個の粉体粒子間の付着力が大きいために動きにくく、その粉体相内で円錐ロータを移動した場合には円錐ロータにかかるトルクは大きくなり、下方向へ働く力(荷重)も大きくなる。特に、この現象はトナー中に離型剤等を入れた場合に微妙な変化として現れ、1個1個の粉体粒子間の付着力は圧密状態でより顕著に現れる。そのため、圧密状態でのトナー流動性を評価する必要がある。
【0072】
よって、本発明の評価方法では、以下のような関係で流動性を評価出来る。
流動性が良い場合→圧密状態の粉体相内を移動したときのトルク、荷重が小さい。
流動性が悪い場合→圧密状態の粉体相内を移動したときのトルク、荷重が大きい。
【0073】
トナーの流動性は、添加剤処理前のトナー粒子の表面状態と添加剤の混合工程によりほとんど決まる。つまり、添加剤で処理する前のトナー粒子の表面状態と無機粒子などからなる添加剤をトナー粒子表面に付着もしくは固着させる状態によってトナー粒子の表面状態は大きく変化し、それに伴ないトナー粒子の流動性も大きく変化する。
特に、添加剤の付着もしくは固着状態は混合工程での混合条件(仕込み量、回転数、混合時間等)によって変化するため、混合条件を詳細に制御する必要がある。混合条件を検討した結果、最適な流動性を示す混合条件は添加剤がトナー粒子表面に付着するような条件ではなく、少し固着するような(少し内部に埋め込まれたような)条件が適していることが分かった。
【0074】
プリンタや複写機において、高画質化を実現するためには、非常に微小なドット再現性を高める必要がある。それを実現するためには、非常に微小な潜像に対して忠実なトナー現像が必要となる。この忠実な現像を可能にするためには、現像域に均一なトナーブラシを搬送、供給する必要がある。そのためには、トナー帯電量が適度な条件であることが必要であるが、常に安定して現像域に均一なトナーブラシが供給できるようなトナーの動き易さ、搬送のし易さが非常に重要となる。つまり、微小なドット再現性を上げるためには、トナーの流動性を上げることが必要になる。
【0075】
本発明において、ドット再現性やトナー搬送性の良いトナーは、以下のようなトルク、荷重特性を示すことが分かった。
▲1▼円錐ロータ侵入時(5mm/min、20mm侵入時)のトルクの値が0.1〜3mNm(空間率=0.55)である。
▲2▼円錐ロータ侵入時(5mm/min、20mm侵入時)の荷重の値が0.01〜0.70N(空間率=0.55)である。
なお、評価モードに関しては、他の方法を用いても問題ない。また、評価項目もトルクや荷重以外で、ある荷重になるまでの侵入距離、あるトルクになるまでの侵入距離等であっても良いし、トルクや荷重の積分値を評価しても良い。また、他の評価項目であっても良い。
【0076】
また、小粒径トナーにおいては、トナー粒子の形状をも考慮して流動性を上げる必要がある。本発明においては粉砕トナーであるので、特にトナーの粒子形状は重要である。トナーの粒子形状は平均円形度として、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により計測した。
流動性の良いはトナーは、平均円形度が0.90〜0.96であり、球形に近いトナーの場合において流動性が優れ、ドット再現性に優れた高画質化を実現できる。
トナー粒子の形状を制御する方法としては、分級工程後のトナー粒子を回転体の中に入れて高速回転させたり、瞬間的に熱を加えるような工程を介したりして実現できる。
【0077】
本発明のトナーは、接触または非接触現像方式に使用する1成分現像剤として用いる。接触または非接触現像方式は色々な公知のものが使用される。例えば、アルミスリーブを用いた接触現像法、導電性ゴムベルトを用いた接触現像法、アルミ素管の表面にカーボンブラック等を含む導電性樹脂層を形成した現像スリーブを用いる非接触現像法等がある。また、本発明のトナーを用いた現像時にACバイアス電圧成分を印加すると、現像効率が向上し、画像特性が向上する。
【0078】
また、1成分現像方式において、トナー供給部の出口にトナー層を均一にするためのローラ状のブレードや供給ローラを設けた現像方式に、本発明のトナーを用いることを特徴とする。このような方式の場合には、トナーの流動性が現像ローラ上のトナー層の均一化に大きく影響を与え、且つ耐久特性に影響を与える。耐久特性が悪い場合には、感光体へのフィルミングだけではなく、ドクターローラや供給ローラへのフィルミングが発生する。このため、トナー層が均一に形成できないばかりかトナー帯電が不均一になり、トナー電荷量も小さくなる。このため現像不良が生じる。
【0079】
しかし本発明のトナーを用いると、トナーに流動性に優れているため、供給ローラやドクターローラを介しての現像ローラ上へのトナー層の均一薄層化が容易に実現でき、常に安定した現像ローラ上へのトナー搬送が可能となる。また、ドクターローラや供給ローラへのフィルミングは発生せず、安定した現像が行なわれ、耐久特性に優れた方式となる(図5参照。)。
【0080】
本発明のトナーは流動性に優れているため、カートリッジ容器に入れて保管することが十分可能であり、カートリッジ容器から現像部へトナー搬送するような構成の装置にも適している。
カートリッジ容器としては、トナーを充填するトナーカートリッジと、少なくとも感光体と現像手段を具備し、現像手段のトナー収容部にトナーを充填するプロセスカートリッジとを挙げることができ、通常これらのトナーカートリッジ又はプロセスカートリッジを画像形成装置に装着して、画像形成が行なわれる。
【0081】
さらに二成分現像剤として使用する場合は、磁性キャリアと所定の混合比率で混合することによって二成分現像剤とする。
二成分現像剤に使用されるキャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。これら磁性キャリアの体積平均粒径は20〜70μmが良い。好ましくは30〜60μmが良い。
【0082】
【実施例】
以下、実施例を説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。
なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0083】
(評価)
トナーの評価において、トナー組成、トナー作製法および混合条件を変化したトナーを作製し、トナー粒子の表面状態をBET比表面積値として評価し、トナー流動性を円錐ロータを用いた本発明の評価方法を用いて評価し、ドット再現性を画像のザラツキ感として5段階評価(ランク1:悪い→ランク5:良い)した。
また、2万枚のランニング耐久試験を行ない、ドット再現性及び現像部でのブロッキング等のトナー搬送性の不具合点を評価した。不具合点の無かった場合を○、不具合点のあった場合を×として評価した。
トナーの流動性は、円錐ロータが侵入時のトナー粉体相表面から20mm侵入したときのトルクと荷重の値を測定した。トナーは予め圧密状態にし、空間率を測定し、トルク、荷重を評価した。円錐ロータの評価条件は以下のようにした。
・圧密荷重:250〜3000g
・円錐ロータの頂角:60°
・円錐ロータの回転数:1rpm
・円錐ロータの侵入速度:5mm/min
【0084】
実施例1
樹脂 :ポリエステル樹脂 100部
顔料 :カーボンブラック 10部
電荷制御剤:サリチル酸亜鉛塩 5部
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃、混練機回転数100rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.3μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0085】
実施例2
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.3μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0086】
実施例3
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.3μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0087】
Figure 0004084705
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃混練機回転数120rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が5.8μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0088】
実施例5
実施例4と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が5.8μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0089】
実施例6
実施例4と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が5.8μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0090】
実施例7
Figure 0004084705
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃混練機回転数100rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が5.5μmの粒度分布に分級した。このトナーを本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0091】
実施例8
実施例7と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が5.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0092】
実施例9
実施例7と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が5.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0093】
比較例1
実施例4と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が5.8μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0094】
比較例2
実施例7と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が5.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
Figure 0004084705
本トナーを作製した後、本評価法によりBET比表面積を測定して6/(ρ・D・S)の値を算出し、円錐ロータを用いて流動性を測定した。その結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0095】
以上の実施例1〜9、比較例1〜2の測定結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004084705
【0096】
上記のデータをグラフ化して、図6、7に示す。図6は実施例1〜9、比較例1〜2の6/(ρ・S・D)と円錐ロータ侵入時のトルクとの関係を示す。図7は実施例1〜9、比較例1〜2の円錐ロータ侵入時のトルクとドット再現性との関係を示す。
【0097】
以上の結果から分かるように、トナー粒子の表面状態と円錐ロータを用いた本発明の評価方法による流動性評価値とドット再現性及びランニング時のトナー搬送性との間には強い相関関係が存在し、トナー粒子の表面状態と円錐ロータを用いた本発明の評価方法によりドット再現性及び現像部のトナー搬送性を評価できることが分かる。
図6、7の結果から、ドット再現性の良い高画質及び良好なトナー搬送性を得るために必要な、流動性の良いトナーを得るためには、以下の式(1)で示されるトナー粒子表面状態の条件を満足することが必要である。
0.1≦6/(ρ・D・S)≦0.4 (1)
ρ:トナーの真比重
D:トナーの体積平均粒径(μm)
S:BET比表面積(m/g)
6/(ρ・D・S)の値が0.1未満では、外添剤とトナーとの分離等が発生し、ランニング特性が悪くなり、0.4より大きい場合にはトナー流動性が悪くなり、ドット再現性及びトナー搬送性が悪くなる。
【0098】
また、図6、7の結果から、ドット再現性の良い高画質及び良好なトナー搬送性を得るために必要な、流動性の良いトナーを得るためには、以下のトルクおよび荷重の条件を満足することが必要である。
▲1▼円錐ロータ侵入時のトルクの値が0.1〜3mNmである。
▲2▼円錐ロータ侵入時の荷重の値が0.01〜0.70Nである。
(ここで、空間率=0.55、ロータ侵入速度:5mm/min、20mm侵入時の値)
円錐ロータ侵入時のトルク値が0.1mNm未満では、トナーの流動性以外の帯電特性が悪くなり画質低下が生じ、3mNmより大きくなれば流動性が低下し、ドット再現性及びトナー搬送性が悪くなる。円錐ロータ侵入時の荷重値が0.01N未満では、トナーの帯電特性が悪くなり画質低下が生じ、0.70Nより大きくなるとトナーの流動性が低下しドット再現性及びトナー搬送性が悪くなる。
【0099】
【発明の効果】
本発明により、粉砕法で作製した少なくとも樹脂、顔料からなる母体トナー粉体の表面に添加剤を付着または固着させた体積平均粒径5〜7μmのトナーにおいて、トナー粒子表面をBET比表面積を用いた値で規定することにより、トナー搬送性が良く、ドット再現性の良い高画質の画像が得られる静電荷像現像用トナーを安定して提供することができる。
また、本発明により、精度が高く、個人差がなく、製造ライン中にも導入できるトナーの評価方法、該トナーを用いる現像方法、該トナーを充填したトナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、それらを装着した画像形成装置、前記評価方法を利用したトナーの製造方法、トナー評価装置、及びトナー製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の評価装置構成の該略図である。
【図2】(a)は円錘ロータの形状の一例を示す図である。
(b)は(a)の断面図である。
【図3】(a)は円錘ロータの上から見た図である。
(b)は円錘ロータの別の側から見た図である。
(c)は円錘ロータの横から見た図である。
【図4】本発明の評価装置を備えた静電荷像現像用トナー製造装置の概略図である。
【図5】本発明の静電荷像現像用トナーを用いた現像装置の概略図である。
【図6】実施例1〜9及び比較例1〜2のトナー粒子表面状態と円錘ロータ侵入時のトルクとの関係を示すグラフである。
【図7】実施例1〜9及び比較例1〜2のトナー粒子表面状態と円錘ロータ侵入時のドット再現性との関係を示すグラフである。

Claims (15)

  1. 粉砕法で作製した少なくともポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤からなる母体トナー粉体の表面に添加剤を付着または固着させた体積平均粒径5〜7μmの静電荷像現像用トナーにおいて、
    前記添加剤が少なくともシリカ及び酸化チタンを含み、前記トナーが下記式(1)を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    0.1≦6/(ρ・D・S)≦0.4 (1)
    ρ:トナーの真比重
    D:トナーの体積平均粒径(μm)
    S:BET比表面積(m/g)
  2. 0.245≦6/(ρ・D・S)≦0.297を満たすことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 少なくともポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤からなる母体トナー粉体の表面に添加剤を付着または固着させたトナーを予め圧密状態にした後、円錐ロータを回転させながら侵入速度5mm/minで20mm粉体相中を侵入させたときに発生するトルクの値が0.1〜3mNm(空間率=0.55のとき)または20mm粉体相中を侵入させたときに発生する荷重の値が0.01〜0.70N(空間率=0.55のとき)であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 添加剤の含有量が母体トナー粉体100重量部に対し、1.3〜2.0重量部である請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 少なくともポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤からなる母体トナー粉体の中に電荷制御剤を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 下記一般式(2)で表される結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
    [−O−CO−CR=CR−CO−O−(CH−]
    (2)
    (式中、R、Rは炭化水素基、n、mは繰り返し単位数を表す。)
  7. 結晶性ポリエステルのガラス転移温度が、80〜130℃である請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 結晶性ポリエステルの含有量が、樹脂及び離型剤の合計量に対し1〜50重量%である請求項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  9. ポリエステル樹脂、顔料、及び離型剤を予め混練させた組成物を用いて作製したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いて、現像を行なうことを特徴とする1成分現像方法。
  11. ドクターローラおよび/又は供給ローラを用いることを特徴とする請求項10に記載の1成分現像方法。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアを用いることを特徴とする2成分現像方法。
  13. 請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを充填したことを特徴とするトナーカートリッジまたはプロセスカートリッジ。
  14. 請求項13に記載のトナーカートリッジまたはプロセスカートリッジを装着したことを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
    トナーのBET比表面積を測定し、この値と、トナーの真比重及び体積平均粒径から、下記式(1)を満足するトナーを選別することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
    0.1≦6/(ρ・D・S)≦0.4 (1)
    ρ:トナーの真比重
    D:トナーの体積平均粒径(μm)
    S:BET比表面積(m/g)
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