JP4075463B2 - 頭部保護エアバッグ及び頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車乗員頭部の保護用のエアバッグに係り、詳しくは自動車の側面衝突や横転時等にサイドドアの窓等に沿って膨張するエアバッグに関する。また、本発明は、このエアバッグを備えた頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車乗員頭部の保護用エアバッグは、自動車の室内の天井部と側面部との交叉隅部付近に配置され、ガス導入口から導入されるガスによってサイドドアの窓等に沿って膨張するよう構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自動車の横転時にあっては、頭部保護エアバッグは比較的長時間内圧を高く保持する必要がある。
【0004】
本発明は、このように内圧を長時間にわたり高く保持すると共に、衝撃吸収量も多い頭部保護エアバッグと、この頭部保護エアバッグを備えた頭部保護エアバッグ装置とを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の頭部保護エアバッグは、車室内の側面に沿って膨張可能な頭部保護エアバッグにおいて、ガスが導入されることにより膨張するクッション室と、一端側が該クッション室に常に連通し、他端側が渦巻状に延在したチューブ状の内圧コントロールチャンバとを備え、該クッション室内のガスがこのチューブ状の内圧コントロールチャンバに流入する頭部保護エアバッグであって、該エアバッグは、車室側面に臨む第1のシートと車室内に臨む第2のシートとを重ね合わせ、これらシート同士を線状結合部によって結合することにより、ガス導入用のダクト、ガス通路、前記クッション室及び前記内圧コントロールチャンバを形成したものであり、該クッション室として、エアバッグの前側のクッション室と後側のクッション室とが形成されており、該ダクトは、エアバッグの後端側に配置され、該後側のクッション室に連通しており、該ガス通路は、エアバッグの上縁に沿って略前後方向に延在し、各クッション室の上部同士を連通しており、該前側のクッション室の後縁に該内圧コントロールチャンバの前記一端側が連通していることを特徴とするものである。
請求項2の頭部保護エアバッグは、車室内の側面に沿って膨張可能な頭部保護エアバッグにおいて、ガスが導入されることにより膨張するクッション室と、一端側が該クッション室に常に連通し、他端側が前後方向にジグザグ状に延在したチューブ状の内圧コントロールチャンバとを備え、該クッション室内のガスがこのチューブ状の内圧コントロールチャンバに流入する頭部保護エアバッグであって、該エアバッグは、車室側面に臨む第1のシートと車室内に臨む第2のシートとを重ね合わせ、これらシート同士を線状結合部によって結合することにより、ガス導入用のダクト、ガス通路、前記クッション室及び前記内圧コントロールチャンバを形成したものであり、該クッション室として、エアバッグの前側のクッション室と後側のクッション室とが形成されており、該ダクトは、エアバッグの後端側に配置され、該後側のクッション室に連通しており、該ガス通路は、エアバッグの上縁に沿って略前後方向に延在し、各クッション室の上部同士を連通しており、該前側のクッション室の後縁に該内圧コントロールチャンバの前記一端側が連通していることを特徴とするものである。
【0006】
この頭部保護エアバッグと、該頭部保護エアバッグを膨張させるガス発生手段とを備えることにより頭部保護エアバッグ装置が構成される(請求項3)。
【0007】
かかる本発明の頭部保護エアバッグ及び装置にあっては、ガス発生手段からのガスによりクッション室が膨張する。この膨張したクッション室に乗員の頭部などが当り、クッション室内のガス圧が上昇したときには、クッション室から内圧コントロールチャンバにガスが徐々に導入され、乗員の頭部などの衝撃が吸収される。
【0008】
この頭部保護エアバッグは、クッション室のガスが内圧コントロールチャンバへ流出するものであり、クッション室のガスが頭部保護エアバッグ外へ排出されるものではないから、内圧コントロールチャンバへガスが流出したとしても、頭部保護エアバッグは長時間にわたり十分な内圧を保持する。
【0009】
請求項1の内圧コントロールチャンバは、渦巻状に延在している。また、請求項2の内圧コントロールチャンバは、ジグザグ状に延在している。この内圧コントロールチャンバの長さや径を調整することにより、頭部等の衝撃吸収量を調整することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して参考例及び本発明の実施の形態について説明する。第1図は参考例に係る頭部保護エアバッグの正面図であり、第2図はこの頭部保護エアバッグの要部拡大正面図である。
【0011】
第1,2図に示す参考例について説明する。この頭部保護エアバッグ(以下、単に「エアバッグ」と称することがある。)10は、折り畳まれた状態で、例えば自動車のAピラーからCピラーにかけてルーフサイド部に沿って配設され、自動車が側面衝突又は横転したときなどに車室側面に沿ってカーテン状に膨張展開し、車室内の前席及び後席の乗員の頭部を受け止めて該乗員頭部が車室側面にぶつかったり、窓開口等から車外に投げ出されることを防止するものである。
【0012】
このエアバッグ10は、該車室側面と車室内とにそれぞれ臨む2面を構成するほぼ同一形状の2枚のシート(第1,2図では片面のみ図示。)11,11を重ね合わせ、これらシート11,11同士を線状結合部12〜14及び環状結合部15〜19によって結合することにより、ガス通路20、クッション室21〜23及び内圧コントロールチャンバ(以下、単に「チャンバ」と称することがある。)24,25を形成したものである。
【0013】
即ち、線状結合部12は、エアバッグ10を略周回するように延在しているが、エアバッグ10の前端側10Fの下縁から該前端側10Fの上縁に沿うように上方へ略U字形に伸びており、これにより、該前端側10Fの上縁に沿って細長く延在したクッション室21と、該前端側10Fの中央部のクッション室22とを区画している。
【0014】
また、線状結合部12は、エアバッグ10の前後方向中央部付近の前端側10F寄りの下縁から上方に向きを変え、エアバッグ10の上縁に達する前に後方に向きを変え、該上縁に沿って伸びた後、下方に向きを変えてエアバッグ10の下縁に達している。これにより、エアバッグ10の前側のクッション室22と、中央部付近の非膨張部26と、後部側のクッション室23とが形成されている。また、エアバッグ10の上縁に沿って、クッション室21,23と後述のダクト27とを連通するガス通路20が形成されている。
【0015】
該線状結合部12は、クッション室22の後縁に沿ってエアバッグ10の上縁に向かう途中で非膨張部26内に入り込むように略C字形に迂回しており、これにより、該クッション室22と連通しうるチャンバ24が形成されている。また、クッション室23の前縁に沿ってエアバッグ10の下縁に達する途中でも、該線状結合部12は非膨張部26内に入り込むように略C字形に迂回しており、これにより、該クッション室23と連通しうるチャンバ25が形成されている。
【0016】
該クッション室22は線状結合部13によって細分されており、クッション室23は線状結合部14によって細分されている。また、各線状結合部13,14の両端付近を補強するように、各々の両端は環状結合部15,16及び17,18に連なっている。
【0017】
なお、該線状結合部12はエアバッグ10の後端側10Rにおいて断絶しており、その両端は平行に該エアバッグ10の後方に伸びている。これにより、エアバッグ10の後端側10Rにガス導入用のダクト27が形成されている。このダクト27にエアバッグ10の膨張用のガス発生器(図示略)が接続される。
【0018】
各線状結合部12〜14及び各環状結合部15〜19は、シート11,11同士を気密に結合し、なおかつエアバッグ10の内圧が設計上限圧力にまで上昇してもシート11,11同士が離反しないような強固な結合手段(例えば、強度の高い縫糸による縫合や、接着力の高い接着剤による接着、或いは溶着。)により形成されている。
【0019】
このエアバッグ10にあっては、クッション室22とチャンバ24との境界部分及びクッション室23とチャンバ25との境界部分において、それぞれ、シート11,11同士が接着剤28により接合されている。
【0020】
この接着剤28は、シート11同士を離反させる方向に所定値以上の力が作用すると剥離ないし破断して接着を解除する接着強度を有する。
【0021】
より具体的には、エアバッグ10が膨張した後であって且つ乗員の頭部がエアバッグ10にぶつかるまでは、接着剤28はシート11,11同士を接合している。膨張したエアバッグ10に乗員の頭部がぶつかり、エアバッグ10内の圧力が上昇し、これにより、接着剤28に加えられるシート11,11離反方向の力が上記「所定値」以上にまで増大すると、接着剤28はシート11,11同士の接合を解除する。
【0022】
なお、該接着剤28は、クッション室22とチャンバ24との境界部分及びクッション室23とチャンバ25との境界部分に沿って断続的に並ぶ複数のドット状に塗工されている。
【0023】
このエアバッグ10の上縁及び前縁並びに後縁から複数の突片29が延出している。各突片29にはボルト等の挿通用の孔30が設けられている。この孔30にボルト等を通してエアバッグ10を車体に留め付ける。
【0024】
このエアバッグ10は、前端側10FがAピラー付近に配置され、後端側10RがCピラー付近に配置され、上縁がルーフサイド部に配置される。なお、エアバッグ10は、車体前後方向に延在するように細長く折り畳まれた状態で突片29を介してルーフサイドレールに留め付けられる。
【0025】
このように配置されたエアバッグ10の折り畳み体はピラートリム或いはルーフトリム等のカバー体によって覆われる。このカバー体は、エアバッグ10が膨張するときにエアバッグ10によって押し開かれてエアバッグ10の車室内への展開を許容する構成となっている。
【0026】
このように構成されたエアバッグ10を有する頭部保護エアバッグ装置の作動について次に説明する。
【0027】
自動車が側面衝突したり横転したりすると、ガス発生器が作動してエアバッグ10の各クッション室21,22,23内にガスが供給され、エアバッグ10が膨張する。このエアバッグ10は、上記カバー体を押し開いて車室側面に沿ってカーテン状に下方へ広がり、自動車の乗員と該車室側面との間に膨張する。この膨張したエアバッグ10により、乗員がピラーや窓ガラス等に直接に当ったり、車外に投げ出されたりすることが防止される。
【0028】
この頭部保護エアバッグ10にあっては、膨張したクッション室22が乗員の頭部を受け止めた際に、その頭部からの荷重により該クッション室22の内圧が所定圧以上に増大した場合には、接着剤28によるシート11,11同士の接合が解除され、クッション室22とチャンバ24が連通し、該クッション室22内のガスがチャンバ24に流出する。また、膨張したクッション室23が乗員の頭部を受け止めた際に、その頭部からの荷重により該クッション室23の内圧が所定圧以上に増大した場合には、接着剤28によるシート11,11同士の接合が解除され、クッション室23とチャンバ25が連通し、該クッション室23内のガスがチャンバ25に流出する。
【0029】
これにより、仮に乗員の頭部がクッション室22,23に強く当っても、乗員の頭部に加えられる衝撃が十分に吸収される。
【0030】
なお、この頭部保護エアバッグ10にあっては、チャンバ24,25に流入したガスは該チャンバ24,25内に留まり、エアバッグ10の外部に漏れ出すことはない。そのため、各クッション室22,23の内圧は長期にわたって適度な圧力に保たれ、エアバッグ10は長い時間にわたり乗員の頭部を保護する。
【0031】
第3図及び第4図を参照して本発明の頭部保護エアバッグの実施の形態について説明する。なお、第3図及び第4図は上記第2図と同様の頭部保護エアバッグの要部拡大図である。
【0032】
これらの実施の形態においては、いずれもクッション室に対し常時連通した内圧コントロールチャンバが設けられている。
【0033】
第3図の頭部保護エアバッグ10Fにあっては、内圧コントロールチャンバ54は細長いチューブ状である。このチャンバ54は渦巻状に延在しており、一端側がクッション室22にのみ連通している。この頭部保護エアバッグ10Fのチャンバ以外の構成は上記参考例と同一である。
【0034】
この頭部保護エアバッグ10Fがガス発生器からのガスにより膨張する場合、少量のガスが、乗員頭部が当る前にチャンバ54に流入する。クッション室22,23に乗員頭部が当り、クッション室22,23の内圧が上昇すると、クッション室22内のガスがチャンバ54に流出し、乗員頭部に加えられる衝撃が吸収される。
【0035】
なお、第3図ではチャンバ54はクッション室22にのみ連通しているが、クッション室22,23の双方に連通されてもよい。
【0036】
また、第3図ではチャンバ54は渦巻状であるが、第4図のようにジグザグ状とされてもよい。
【0037】
第4図の頭部保護エアバッグ10Gにあっては、内圧コントロールチャンバ56は細長いチューブ状であり、左右方向に延在するジグザグ状(つづら折り状)に形成されている。このチャンバ56は、その一端側がクッション室22に連通しているが、クッション室22,23の双方に連通されてもよい。
【0038】
第4図の頭部保護エアバッグ10Gがガス発生器からのガスにより膨張する場合、少量のガスが、乗員頭部が当る前にチャンバ56に流入する。クッション室22,23に乗員頭部が当り、クッション室22,23の内圧が上昇すると、クッション室内のガスがチャンバ56に流出し、乗員頭部に加えられる衝撃が吸収される。
【0039】
第3図及び第4図のチューブ状のチャンバ54,56にあっては、その入口の口径やチューブ状チャンバ54,56の口径又は長さを調整することにより、衝撃吸収量を調整することができる。
【0040】
第3図及び第4図は本発明の頭部保護エアバッグの一例であり、これら以外の形態としてもよいことは明らかである。例えば、図示はしないが、チューブ状のチャンバの延在方向の途中や末端に、チューブを拡大した形状の小チャンバを設けてもよい。また、1個のクッション室に2個以上の内圧コントロールチャンバを設けてもよく、2個以上のクッション室を共通の複数個の内圧コントロールチャンバに連通させてもよい。
【0041】
内圧コントロールチャンバの位置や形状、大きさは第3図及び第4図に図示のものに限定されないことは明らかである。また、本発明の頭部保護エアバッグについては、内圧コントロールチャンバとクッション室との連通位置(接続位置)は図示以外であってもよいことも明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、乗員の頭部に加えられる衝撃を十分に吸収することができる頭部保護エアバッグ及び装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係る頭部保護エアバッグの正面図である。
【図2】 図1の頭部保護エアバッグの要部拡大図である。
【図3】 第1の実施の形態に係る頭部保護エアバッグの要部正面図である。
【図4】 第2の実施の形態に係る頭部保護エアバッグの要部正面図である。
【符号の説明】
10,10F,10G 頭部保護エアバッグ
11 シート
21,22,23 クッション室
54,56 内圧コントロールチャンバ
Claims (3)
- 車室内の側面に沿って膨張可能な頭部保護エアバッグにおいて、
ガスが導入されることにより膨張するクッション室と、
一端側が該クッション室に常に連通し、他端側が渦巻状に延在したチューブ状の内圧コントロールチャンバと
を備え、
該クッション室内のガスがこのチューブ状の内圧コントロールチャンバに流入する頭部保護エアバッグであって、
該エアバッグは、車室側面に臨む第1のシートと車室内に臨む第2のシートとを重ね合わせ、これらシート同士を線状結合部によって結合することにより、ガス導入用のダクト、ガス通路、前記クッション室及び前記内圧コントロールチャンバを形成したものであり、
該クッション室として、エアバッグの前側のクッション室と後側のクッション室とが形成されており、
該ダクトは、エアバッグの後端側に配置され、該後側のクッション室に連通しており、
該ガス通路は、エアバッグの上縁に沿って略前後方向に延在し、各クッション室の上部同士を連通しており、
該前側のクッション室の後縁に該内圧コントロールチャンバの前記一端側が連通していることを特徴とする頭部保護エアバッグ。 - 車室内の側面に沿って膨張可能な頭部保護エアバッグにおいて、
ガスが導入されることにより膨張するクッション室と、
一端側が該クッション室に常に連通し、他端側が前後方向にジグザグ状に延在したチューブ状の内圧コントロールチャンバと
を備え、
該クッション室内のガスがこのチューブ状の内圧コントロールチャンバに流入する頭部保護エアバッグであって、
該エアバッグは、車室側面に臨む第1のシートと車室内に臨む第2のシートとを重ね合わせ、これらシート同士を線状結合部によって結合することにより、ガス導入用のダクト、ガス通路、前記クッション室及び前記内圧コントロールチャンバを形成したものであり、
該クッション室として、エアバッグの前側のクッション室と後側のクッション室とが形成されており、
該ダクトは、エアバッグの後端側に配置され、該後側のクッション室に連通しており、
該ガス通路は、エアバッグの上縁に沿って略前後方向に延在し、各クッション室の上部同士を連通しており、
該前側のクッション室の後縁に該内圧コントロールチャンバの前記一端側が連通していることを特徴とする頭部保護エアバッグ。 - 請求項1又は2に記載の頭部保護エアバッグと、この頭部保護エアバッグを膨張させるためのガスを発生させるガス発生手段とを有する頭部保護エアバッグ装置。
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