JP4071654B2 - 工具交換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、工具を交換する工具交換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の工具交換装置としては、例えば特許文献1に開示されるような構成のものが知られている。この従来構成においては、工具マガジン上の複数の保持部に、工具が工具ホルダに保持されるとともに工具ポットに着脱可能に装着された状態で収容されている。そして、この工具マガジンに収容された旧工具を新工具と交換する場合には、旧工具が工具ホルダに保持された状態で、工具ローダにより工具ポットとともに工具マガジンから取り出されて、昇降機構の工具受け部材に引き渡される。この状態で、昇降機構の工具受け部材が下降されて、旧工具が工具ポットとともに工具受渡位置に下降され、工具ホルダの外周の把持溝に工具交換機構の工具支持部材が係合される。
【0003】
その後、工具交換機構の操作レバーを操作することにより係止解除機構が作動されて、工具ポットの後端の解除ピンが前方に押圧移動され、工具ポットの係合ボールが工具ホルダの係合孔から離脱されて、工具ポットに対する工具ホルダの係止が解除される。そして、工具交換機構の工具交換台を内部の工具受渡位置から外部の工具交換位置に引き出すことにより、旧工具が工具交換位置に移動配置される。
【0004】
この状態で、工具支持部材上の旧工具を工具ホルダとともに新工具と交換した後、工具交換台を工具交換位置から工具受渡位置に押し込むと、新工具が内部の工具受渡位置に移動されて、工具ホルダが前記昇降機構の工具受け部材上の工具ポットに差し込まれる。そして、工具ホルダの係合孔に工具ポットの係合ボールが係合されることにより、新工具の工具ホルダが工具ポットに係止される。
【0005】
続いて、前記工具受け部材が上昇されて、新工具が工具ポットとともに上昇され、工具ホルダの把持溝が工具交換機構の工具支持部材から離脱される。その後、工具ローダにより新工具が工具ポットとともに工具受け部材から受け取られて、工具マガジンの所定の保持部に収容される。これにより、工具マガジンの保持部に対する旧工具と新工具との交換動作が終了するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−9659号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の工具交換装置においては、工具ポットに対する工具ホルダの係止を解除するための係止解除機構が設けられているが、工具ポットに対して工具ホルダを積極的に押し込み係止させるための構成は装備されていない。このため、図8に示すように、工具ポットに設けられた複数の係合ボールを工具ホルダの後端に設けられたプルスタットに係合させることにより、工具ポットに対して工具ホルダを係止させるようにした係止構成の工具には適用することができないという問題があった。
【0008】
すなわち、この係止構成では、工具ポットに対する工具ホルダの係止を解除する場合、工具ホルダのプルスタットを軸線方向の前方に強く押圧移動させて、係合ボールをバネの付勢力に抗して外方の非係合位置に退避移動させる必要がある。また、工具ポットに対して工具ホルダを差し込み係止させる場合にも、工具ホルダのプルスタットを軸線方向の後方に強く押圧移動させて、係合ボールをバネの付勢力に抗して外方の非係合位置へ一時的に退避移動させる必要がある。よって、従来の工具交換装置をこの係止構成の工具に適用した場合には、工具ポットに対して工具ホルダを確実に差し込み係止できなくなるという結果を招いた。
【0009】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、工具ポットの係合ボールと工具ホルダのプルスタットとの係合により、工具ポットに対して工具ホルダを係止させるようにした係止構成の工具に適用することができる工具交換装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、内部の工具受渡位置と外部の工具交換位置との間で移動可能に配設され、工具を工具ホルダとともに着脱可能に支持するための工具支持部材を設けた工具交換台と、旧工具の工具ホルダを工具ポットから軸線方向に沿って前方へ押し出すための押出手段と、前記工具交換位置において新工具を支持した工具交換台が工具受渡位置まで移動された状態で、新工具の工具ホルダを工具ポットに対し軸線方向に沿って後方へ押し込むための押込手段とを備え、工作機械のベース上の作動軸に前記押出手段及び押込手段を取り付け、前記作動軸には、前記押出手段及び押込手段を作動操作するための操作手段を取り付け、この操作手段は前記外部の工具交換位置側において操作されることを特徴とするものである。
【0011】
従って、この請求項1に記載の発明によれば、工具ポットを工具ホルダから抜き取る場合、工具ホルダが工具ポットから軸線方向の前方に押し出されて、工具ポットに対する工具ホルダの係止を容易に解除することができる。また、工具ポットに工具ホルダを差し込む場合には、工具ホルダが工具ポットに対して軸線方向の後方に押し込まれて、工具ホルダを工具ポットに対して確実に係止させることができる。よって、工具ポットの係合ボールと工具ホルダのプルスタットとの係合により、工具ポットに対して工具ホルダを係止させるようにした係止構成の工具に適用することができる。
【0013】
また、この請求項1に記載の発明によれば、1つの操作手段の操作により、押出手段及び押込手段を作動させることができて、構造及び操作の簡素化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、工作機械のベース11上にはコラム12が図示しない駆動装置によって前後方向及び左右方向へ移動可能に配設され、そのコラム12には主軸ヘッド13が上下方向へ移動可能に支持されている。主軸ヘッド13には主軸14が回転可能に支持され、その先端にはドリル等の工具15が工具ホルダ16に保持された状態で着脱可能に装着されている。
【0015】
前記ベース11上にはテーブル17が配設され、その上面にはワーク18が着脱可能に載置されている。そして、主軸ヘッド13が図1に鎖線で示す下方の加工位置に移動配置された状態で、主軸14が回転されながら、コラム12がテーブル17上のワーク18に向かって移動されて、工具15によりワーク18に穿孔等の所定の加工が施されるようになっている。
【0016】
前記コラム12を跨ぐように、ベース11上にはフレーム19が立設されている。主軸14の上方において、フレーム19の上部前面側には工具交換アーム20が主軸14の回転軸線と平行な軸線の周りで回動可能及びその軸線方向へ移動可能に支持され、その両端には工具15を工具ホルダ16とともに把持するための工具把持部20aが形成されている。
【0017】
そして、主軸ヘッド13が図1に実線で示す上方の工具交換位置に移動配置された状態で、工具交換アーム20が軸線の周りで回動及び軸線方向へ移動される。これにより、主軸14に装着された工具15と、後述する工具ローダ23に保持された工具15とが、工具ホルダ16とともに工具交換アーム20の工具把持部20aに把持されて、同時に脱着交換されるようになっている。
【0018】
前記主軸14の回転軸線と平行に延びるように、ベース11上にはリニア形式の工具マガジン21が配設されている。工具マガジン21の上端縁には複数の工具保持凹部21aが上方に向かって開口した状態で所定ピッチにて配列形成されている。そして、これらの工具保持凹部21aには、種類や外径寸法の異なった工具15が工具ホルダ16とともに、工具ポット22に装着された状態で着脱可能に収容保持されている。
【0019】
すなわち、図8に示すように、工具ポット22の両側外面には工具マガジン21の工具保持凹部21aに係合可能な係合溝22aが形成されるとともに、一側外面にはキー22bが突設されている。また、工具ポット22の内周面には複数の係合ボール22cが出没可能に配設され、バネ22dにより突出方向に付勢されている。
【0020】
これに対して、前記工具ホルダ16の外周面には把持溝16aが形成されるとともに、一側外面には工具ポット22のキー22bに係合可能なキー溝16bが形成されている。また、工具ホルダ16の後端にはプルスタット16cが突設され、このプルスタット16cが工具ポット22の係合ボール22cに係合することにより、工具ホルダ16が工具ポット22に対する装着状態に係止保持されるようになっている。
【0021】
図1に示すように、前記工具マガジン21の上方には、工具ローダ23が工具保持凹部21aの配列方向に沿って移動可能に配設されている。工具ローダ23の移動方向に延びるように、工具マガジン21の上方には送りねじ24が回転可能に配設され、この送りねじ24が移動用モータ25にて回転されることにより、工具ローダ23が図1の左右方向に移動されるようになっている。
【0022】
そして、前記工具ローダ23により、工具マガジン21の所定の工具保持凹部21aから、工具ホルダ16に保持された工具15が工具ポット22とともに取り出されて、工具交換アーム20と対応する図1の右端の位置まで移送される。この状態で、工具交換アーム20により工具ポット22から工具15が抜き取られて、主軸14との間で工具15の交換が行われる。その後、交換済みの工具15が工具ローダ23上の工具ポット22に差し込まれて、その工具ローダ23により、工具マガジン21の所定の工具保持凹部21aと対応する位置まで移送され、その工具保持凹部21aに収容保持されるようになっている。
【0023】
図1及び図2に示すように、前記コラム12の背面側において、ベース11上には昇降機構26が配設されている。昇降機構26のフレーム27には、上方に向かって開口した工具受け部材28がガイドレール29に沿って昇降可能に支持され、シリンダ30によりスプロケット31及びチェーン32等を介して昇降されるようになっている。
【0024】
そして、工具マガジン21の工具保持凹部21aに収容保持された工具15を交換する場合には、その旧工具15が工具ホルダ16とともに工具ポット22に嵌挿された状態で、工具ローダ23により工具保持凹部21aから取り出されて、昇降機構26と対応する位置まで移送される。この状態で、昇降機構26の工具受け部材28が図1に鎖線で示す上方位置に上昇されて、図3に示すように、工具ポット22の外周の係合溝22aに係合され、旧工具15が工具ポット22とともに工具受け部材28に引き渡される。その後、工具受け部材28が図1に実線で示す下方位置まで下降されて、旧工具15が工具ポット22とともに工具受渡位置に移動配置されるようになっている。
【0025】
図1〜図3に示すように、前記昇降機構26の下方において、ベース11上には工具交換機構33が配設され、工具受渡位置に移動された旧工具15を外部に引き出して、新工具15と交換するようになっている。すなわち、ベース11上には工具交換台34がガイドレール35に沿って、図3に示す内部の工具受渡位置と、図7に示す外部の工具交換位置との間で移動可能に配設されている。工具交換台34の前端には蓋体36及び把手37が取り付けられ、把手37にて工具交換台34を内部の工具受渡位置に押し込み移動させたとき、工作機械のケース38に形成された引き出し用の開口部39が蓋体36により塞がれるようになっている。
【0026】
前記工具交換台34の上面後端には、上方に向かって開口した工具支持部材40がブラケット41を介して取り付けられている。そして、図2及び図3に示すように、工具交換台34が内部の工具受渡位置に移動された状態で、昇降機構26の工具受け部材28に支持された旧工具15が下降されたとき、この工具支持部材40が工具ホルダ16の外周の把持溝16aに係合されるようになっている。
【0027】
図3〜図5に示すように、前記工具交換台34の後方においてベース11上には、工具ホルダ16を工具ポット22から軸線方向に沿って前方へ押し出すための押出手段としての押出機構42が配設されている。その押出機構42の左側に隣接するようにベース11上には、工具ホルダ16を工具ポット22に対し軸線方向に沿って後方へ押し込むための押込手段としての押込機構43が配設されている。
【0028】
すなわち、前記ベース11上には作動軸44が一対の軸受部45を介して、工具交換台34の移動方向と直交する軸線の周りで回転可能に支持されている。作動軸44の右端には操作手段としての操作レバー46が回動レバー47を介して取り付けられ、この操作レバー46をガイド板48のガイド溝48aに沿って上下動させることにより、作動軸44が所定角度回動されるようになっている。
【0029】
前記作動軸44の中間部には押出機構42の押出レバー49が取り付けられ、その先端には押出部49aが突設されている。そして、工具マガジン21から取り出された旧工具15が工具受け部材28により工具受渡位置の工具交換台34上に受け渡された状態で、操作レバー46が図4の実線位置から鎖線位置に操作されたとき、作動軸44を介して押出レバー49が同図の実線位置から鎖線位置に回動される。
【0030】
そして、この押出レバー49の押出部49aにより、旧工具15の工具ホルダ16が工具受け部材28上の工具ポット22から軸線方向に沿って前方へ押し出される。これにより、図8に示すように、工具ホルダ16のプルスタット16cが工具ポット22の係合ボール22cから離脱されて、工具ポット22に対する工具ホルダ16の係止が解除され、旧工具15が工具ホルダ16とともに工具ポット22から容易に抜き取りできる状態が形成されるようになっている。
【0031】
前記押出レバー49の左側に隣接するように作動軸44には、押込機構43の連動レバー50が取り付けられている。工具受渡位置に移動された工具交換台34上の工具支持部材40の左側部と対応するように、ベース11上には押込レバー51が支軸52を介して回動可能に支持され、連結ロッド53を介して連動レバー50に連結されている。押込レバー51と係合可能に対応するように、工具支持部材40のブラケット41上には係合ピン54が取付板55を介して取り付けられている。
【0032】
そして、旧工具15が工具受渡位置の工具交換台34上に受け渡された状態で、操作レバー46が図5の実線位置から鎖線位置に操作されたときには、作動軸44を介して連動レバー50が同図の実線位置から鎖線位置に回動される。これにより、押込レバー51が連結ロッド53を介して図3の実線位置から鎖線位置に回動されて、係合ピン54より離脱され、工具支持部材40上に支持された旧工具15の工具受渡位置から工具交換位置への移動が許容されるようになっている。
【0033】
また、工具交換位置において工具支持部材40上に新工具15が支持された後、工具交換台34が工具受渡位置まで移動された状態で、操作レバー46が図5の鎖線位置から実線位置に操作されたときには、連動レバー50が同図の鎖線位置から実線位置に回動される。これにより、押込レバー51が連結ロッド53を介して図3の鎖線位置から実線位置に回動されて係合ピン54に係合され、その係合ピン54を介して新工具15の工具ホルダ16が工具受け部材28上の工具ポット22に対し軸線方向に沿って後方へ押し込まれる。その結果、図8に示すように、工具ホルダ16のプルスタット16cが工具ポット22の係合ボール22cに係合されて、工具ホルダ16が工具ポット22に対して係止されるようになっている。
【0034】
図2及び図3に示すように、前記工具支持部材40のブラケット41にはロック部材56が支軸57を介して回動可能に取り付けられ、その先端には工具ホルダ16のキー溝16bに係合可能な係合爪部56aが形成されている。工具交換台34の一側上面には操作軸58が工具交換台34の移動方向と平行に延びる軸線の周りで回動可能に支持され、その前端には操作ノブ59が取り付けられている。操作軸58の後端には回動部材60が取り付けられ、その一部にはロック部材56から延びる連係部材61が係合されるとともに、後部には係合突起60aが突出形成されている。操作軸58の後端にはバネ62が設けられ、このバネ62により操作軸58が図2の時計方向に回動付勢されている。
【0035】
図2、図3及び図6に示すように、前記ベース11上には拘束板63が工具交換台34の移動方向に沿って延長配置されている。工具交換台34が工具受渡位置及び工具交換位置に移動された状態で、回動部材60の係合突起60aと係脱可能に対応するように、拘束板63の上縁両端には一対の段差状の拘束凹部63a,63bが形成されている。
【0036】
そして、工具交換台34が図3に示す工具受渡位置に移動された状態では、操作ノブ59を備えた操作軸58がバネ62の付勢力により、図2の実線位置に回動配置されている。これにより、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63aに係合して、工具交換台34が工具受渡位置にて移動拘束されている。それとともに、ロック部材56が連係部材61を介して実線位置に回動配置され、その係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bから離脱されて、工具ホルダ16が工具支持部材40に対するロック状態から解放されている。よって、この状態で工具受け部材28の昇降により、新工具15を工具支持部材40上から工具マガジン21側に移送したり、工具マガジン21からの旧工具15を工具支持部材40上に受け取ったりすることができる。
【0037】
また、工具交換台34の工具受渡位置において、工具支持部材40上に新工具15が支持された後、操作ノブ59にて操作軸58を図2の実線位置から反時計方向に回動させたときには、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63aから離脱して、工具交換台34の拘束が解除される。それとともに、ロック部材56が同図の実線位置から反時計方向に回動されて、その係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bに係合され、工具ホルダ16が工具支持部材40に対してロックされる。よって、この状態で工具交換台34を図3に示す工具受渡位置から図7に示す工具交換位置に引き出すことができる。
【0038】
続いて、工具交換台34を工具交換位置間で引き出した後、操作ノブ59による操作軸58の回動操作を解放したときには、操作軸58がバネ62の付勢力により、図2の鎖線位置から実線位置に回動復帰される。これにより、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63bに係合して、工具交換台34が工具交換位置にて移動拘束される。それとともに、ロック部材56の係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bから離脱されて、工具ホルダ16が工具支持部材40に対するロック状態から解放される。よって、この状態で工具支持部材40上の旧工具15を新工具15と交換することができる。
【0039】
さらに、工具交換台34の工具交換位置において工具15の交換を行った後、操作ノブ59により操作軸58を図2の実線位置から反時計方向に回動させたときには、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63bから離脱して、工具交換台34の拘束が解除される。それとともに、ロック部材56の係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bに係合されて、工具ホルダ16が工具支持部材40に対してロックされる。よって、この状態で工具交換台34を図7に示す工具交換位置から図3に示す工具受渡位置に押し込むことができる。
【0040】
また、前記工具支持部材40上への工具交換に際して、新工具15が工具支持部材40上で軸線を中心とする回転方向の所定角度位置に位置決め支持されていない場合には、操作軸58の反時計方向の回動操作時に、ロック部材56の係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bに係合されない。それとともに、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63bから離脱されず、工具交換台34が拘束状態に維持されている。よって、工具支持部材40上で新工具15を回転させて正規の角度位置に位置合わせしないと、工具交換台34を工具交換位置から工具受渡位置に押し込むことができない。
【0041】
次に、前記のように構成された工具交換装置の動作を説明する。
さて、工具マガジン21の工具保持凹部21aに収容保持された旧工具15を新しい工具15と交換する場合には、図示しない操作パネルから交換対象の工具15の番号を指定する。すると、工具ローダ23により、旧工具15が工具ホルダ16に保持された状態で工具ポット22とともに、工具保持凹部21aから取り出されて、昇降機構26の工具受け部材28に引き渡される。この状態で、昇降機構26の工具受け部材28が下降され、旧工具15が工具ポット22とともに工具受渡位置に下降されて、図3に示すように、工具ホルダ16の外周の把持溝16aに工具交換機構33の工具支持部材40が係合される。
【0042】
その後、操作ノブ59により操作軸58を図2の実線位置から鎖線位置に反時計方向へ回動操作すると、回動部材60及び連係部材61を介してロック部材56が同図の実線位置から反時計方向に回動される。これにより、ロック部材56の係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bに係合されて、旧工具15が工具支持部材40に対して支持状態にロックされる。それとともに、前記回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63aから離脱されて、工具交換台34の工具受渡位置からの引き出し移動が許容される。
【0043】
続いて、操作レバー46を図2〜図5の実線位置から鎖線位置に回動操作すると、押出機構42の押出レバー49が図4の反時計方向に回動され、押出部49aを介して旧工具15の工具ホルダ16が工具受け部材28上の工具ポット22から軸線方向の前方へ押し出される。これにより、図8に示す工具ホルダ16のプルスタット16cが工具ポット22の係合ボール22cによる係止状態から解除されて、旧工具15が工具ホルダ16とともに工具ポット22から容易に抜き取りできる状態が形成される。
【0044】
また、前記操作レバー46の回動操作により、押込機構43の連動レバー50が図5の時計方向に回動され、押込レバー51が連結ロッド53を介して図3の実線位置から時計方向に回動されて、係合ピン54より離脱される。これにより、工具支持部材40上に支持された旧工具15の工具受渡位置から工具交換位置への移動が許容される。
【0045】
その後、前記操作ノブ59を図2の鎖線位置に回動操作したままの状態で、把手37により工具交換台34を図3に示す工具受渡位置から、図7に示す工具交換位置に引き出す。これにより、旧工具15が工具受け部材28上の工具ポット22より抜き取られて、ケース38の開口部39から外方に取り出される。この状態で、操作ノブ59の回動操作を解放すると、ロック部材56の係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bから離脱されて、旧工具15がロック状態から解放される。これとともに、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63bに係合されて、工具交換台34が工具交換位置に移動拘束される。よって、この工具交換台34の移動拘束状態において、作業者が工具支持部材40上の旧工具15を新工具15と交換することができる。
【0046】
そして、この工具15の交換後に、操作ノブ59により操作軸58を図2の実線位置から鎖線位置に反時計方向へ回動操作すると、回動部材60及び連係部材61を介して、ロック部材56が同図の実線位置から反時計方向に回動されようとする。この場合、新工具15が軸線を中心とする回転方向の所定角度位置に位置決めされていれば、ロック部材56が回動されて、その係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bに係合され、新工具15が工具支持部材40にロックされる。それとともに、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63bから離脱され、工具交換位置に対する工具交換台34の移動拘束が解放されて、工具受渡位置への押し込み移動が可能になる。
【0047】
これに対して、前記工具支持部材40上で新工具15が軸線を中心とする回転方向の所定角度位置に位置決めされていない場合には、ロック部材56のロック回動が阻止される。これにより、回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63bから離脱されることなく係合状態に維持され、工具交換台34の工具交換位置から工具受渡位置への押し込み移動が拘束される。よって、作業者は工具支持部材40上で新工具15を正規位置に回転させて位置合わせした後、操作ノブ59にて操作軸58を再操作する必要がある。
【0048】
その後、前記操作ノブ59を図2の鎖線位置に回動操作したままの状態で、工具交換台34を図7に示す工具交換位置から、図3に示す工具受渡位置に押し込み移動させると、新工具15がケース38の開口部39から内部に挿入される。そして、新工具15の工具ホルダ16が工具受け部材28上の工具ポット22に差し込まれる。
【0049】
この状態で、操作レバー46を図2〜図5の鎖線位置から実線位置に回動操作すると、押込機構43の連動レバー50が図5の鎖線位置から反時計方向に回動され、押込レバー51が連結ロッド53を介して図3の鎖線位置から反時計方向に回動されて係合ピン54に係合される。それにより、この係合ピン54を介して、工具支持部材40上の新工具15の工具ホルダ16が工具受け部材28上の工具ポット22に対して軸線方向の後方へ押し込まれる。その結果、図8に示すように、工具ホルダ16のプルスタット16cが工具ポット22の係合ボール22cに係合されて、工具ホルダ16が工具ポット22に対して係止される。
【0050】
そして、前記工具交換台34が図3の工具受渡位置に移動された状態で、操作ノブ59による操作軸58の回動操作を解放すると、バネ62の付勢力により回動部材60の係合突起60aが拘束板63の拘束凹部63aに係合して、工具交換台34が工具受渡位置に移動拘束される。また、ロック部材56の係合爪部56aが工具ホルダ16のキー溝16bから離脱されて、新工具15が工具支持部材40に対するロック状態から解放される。
【0051】
その後、昇降機構26の工具受け部材28が上昇されて、新工具15が工具ポット22とともに上昇され、工具ホルダ16の把持溝16aが工具交換機構33の工具支持部材40から離脱される。続いて、工具ローダ23により新工具15が工具ポット22とともに工具受け部材28から受け取られて、工具マガジン21の所定の工具保持凹部21aに収容される。これによって、工具マガジン21の工具保持凹部21aに対する旧工具15と新工具15との交換動作が終了する。
【0052】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この工具交換装置においては、工具交換台34が内部の工具受渡位置と外部の工具交換位置との間で移動可能に配設され、その上面には工具15を工具ホルダ16とともに着脱可能に支持するための工具支持部材40が配設されている。また、工具マガジン21から工具受渡位置の工具交換台34上に受け渡された旧工具15の工具ホルダ16を工具ポット22から軸線方向に沿って前方へ押し出すための押出機構42が設けられている。さらに、工具交換位置において新工具15を支持した工具交換台34が工具受渡位置まで移動された状態で、新工具15の工具ホルダ16を工具ポット22に対し軸線方向に沿って後方へ押し込むための押込機構43が設けられている。
【0053】
このため、工具ポット22を工具ホルダ16から抜き取る場合には、押出機構42により工具ホルダ16が工具ポット22から軸線方向の前方に押し出されて、工具ポット22に対する工具ホルダ16の係止を容易に解除することができる。また、工具ポット22に工具ホルダ16を差し込む場合には、押込機構43により工具ホルダ16が工具ポット22に対して軸線方向の後方に押し込まれて、工具ホルダ16を工具ポット22に対して確実に係止させることができる。よって、工具ポット22の係合ボール22cと工具ホルダ16のプルスタット16cとの係合により、工具ポット22に対して工具ホルダ16を係止させるようにした係止構成の工具15に適用することができる。
【0054】
(2) この工具交換装置においては、前記押出機構42と押込機構43とを連動して作動操作するための1つの操作レバー46が設けられている。このため、1つの操作レバー46の操作により、押出機構42及び押込機構43を作動させることができて、操作構造の簡略化及び操作の簡便化を図ることができる。
【0055】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態において、押出機構42及び押込機構43を例えば別の操作レバーにより作動操作するように構成する等、任意に変更して構成すること。
【0056】
・ 前記実施形態において、ロック部材56による工具ホルダ16のロック構成を任意に変更すること。
・ 前記実施形態において、工具交換台34の移動を拘束するための移動拘束構成を任意に変更すること。
【0057】
【発明の効果】
以上、実施形態で例示したように、この発明においては、工具ホルダを工具ポットから軸線方向に沿って前方へ押し出すことができるとともに、工具ホルダを工具ポットに対し軸線方向に沿って後方へ押し込むこともできる。よって、工具ポットの係合ボールと工具ホルダのプルスタットとの係合により、工具ポットに対して工具ホルダを係止させるようにした係止構成の工具に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態の工具交換装置を備えた工作機械を示す正面図。
【図2】 図1の工具交換装置を拡大して示す要部正面図。
【図3】 図2の工具交換装置の要部平面図。
【図4】 図2の工具交換装置の要部右側断面図。
【図5】 図2の工具交換装置の要部左側断面図。
【図6】 図2の工具交換装置の拘束板を示す側面図。
【図7】 図3の工具交換装置の動作状態を示す要部平面図。
【図8】 工具が工具ホルダとともに工具ポットに装着された状態を示す要部拡大断面図。
【符号の説明】
13…主軸ヘッド、14…主軸、15…工具、16…工具ホルダ、16a…把持溝、16c…プルスタット、18…ワーク、20…工具交換アーム、21…工具マガジン、21a…工具保持凹部、22…工具ポット、22a…係合溝、22c…係合ボール、23…工具ローダ、26…昇降機構、28…工具受け部材、33…工具交換機構、34…工具交換台、40…工具支持部材、42…押出手段としての押出機構、43…押込手段としての押込機構、44…作動軸、46…操作手段としての操作レバー、49…押出レバー、50…連動レバー、51…押込レバー、54…係合ピン。
Claims (1)
- 内部の工具受渡位置と外部の工具交換位置との間で移動可能に配設され、工具を工具ホルダとともに着脱可能に支持するための工具支持部材を設けた工具交換台と、
旧工具の工具ホルダを、工具ポットから軸線方向に沿って前方へ押し出すための押出手段と、
前記工具交換位置において新工具を支持した工具交換台が工具受渡位置まで移動された状態で、新工具の工具ホルダを工具ポットに対し軸線方向に沿って後方へ押し込むための押込手段と、
を備え、
工作機械のベース上の作動軸に前記押出手段及び押込手段を取り付け、
前記作動軸には、前記押出手段及び押込手段を作動操作するための操作手段を取り付け、
この操作手段は前記外部の工具交換位置側において操作されることを特徴とする工具交換装置。
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