JP4056385B2 - 塗装成型品、樹脂成型品および再生樹脂材料ならびにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂を主成分とする成型(形)品上に塗布される塗膜を、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返して成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る熱可塑性樹脂によって構成して、リサイクルを可能にした塗装成型品、樹脂成型品および塗装成型品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環境(エコロジー)問題等により最近、リサイクル技術が注目を集めている。
成形加工法を用いるリサイクルの方法は、いろいろあるが、この様な方法によって得られた成型品の多くはその表面を何らかの方法によってカバーマークすなわち化粧する必要がある。しかしこれらの方法はいずれも大きな設備投資が必要であったり、複雑な形状の製品に適用することが難しい場合があり、成形加工においては、これといったオールマイティな方法があるわけではないのである。
【0003】
またリ・ペレット化は、もう一度成形材料に還元する方法であり、市場より回収されたプラスチック部品を各材質ごとに分別してから、さらに同系色の物を集めてから表面の汚れを落とすための洗浄、粗粉砕のためのクラッシャー、微細粉砕のためのクラッシャー、再調色または補色のためのカラーリング、リ・ペレットの工程を行ってリ・ペレット材が得られる。
【0004】
この際に、問題となるのは回収された成型品が汚れていることから、まず初めに洗浄の工程が必要となる。洗浄には溶剤洗浄と水洗浄とがあり、まず初めにアルコールなどの有機溶剤を用いて汚れを除去してから、続いて水によって細部の汚れを完全に除去する。水洗浄の工程は、クラッシャーの段階で装置内に水を注入しながら行う場合が多い。多量の水を使うのでかなりのコスト(水代)がかかる。また、それらの排水処理にまたコストがかかってしまう。これらの排水処理を疎かにするとまた新たな公害問題(環境汚染)が発生する場合がある。
【0005】
また回収されたプラスチック成型品は色がまちまちであるので同色のもの、あるいはよく似た色の製品を集める必要がある。プラスチックは光、特には紫外線によって長期の使用により色が褪せてしまうので、同色の物だけを集めてリ・ペレットしただけでは元の色に戻すことが出来ない、この際に元の色に戻すには再調色または補色を行う必要がある。その結果調色のための費用が必要になる。
【0006】
上記方法においては、十分に汚れを除去する為の洗浄機や、色合わせや補色の為の装置などの大がかりな設備投資が必要になる。又洗浄や再調色または補色などが不十分な場合は、異物や色ムラや色ちがいの問題が生じる。その結果、該リ・ペレット化だけでは、材料管理上の観点、経済的な観点において、リサイクルにおける問題が総て解決されるわけではない。そこでこれらの問題の内で、洗浄の問題、色分けの手間、再調色または補色に要するコストの問題を解決する手段として、以下に示す表面塗装処理がある。
【0007】
表面の塗装処理法は、単純だがリサイクルを行うに当たって現実性の高い方法であり、市場より回収されたプラスチック部品を材質ごとに分別してから、洗浄、粗粉砕、及び微細粉砕のためのクラッシャー、リ・ペレットの工程を行って、リ・ペレット材を作るものである。
【0008】
この際に、問題となるのは回収された成型品の色がまちまちであること、成型品が汚れていること、紫外線などによって退色しているなどから、そのままクラッシヤーしてからリ・ペレットし、このリ・ペレット材により成形すると、色ムラ・異物の問題が現れてしまう。
【0009】
上記色ムラ・異物の問題を解決する為には、カバーマークすなわち表面塗装処理が必要となる。しかしこの際に使用する塗料は、成型品とは異質の物すなわち成型品の材質は熱可塑性樹脂であるのに対して、表面塗装処理に使用する塗料はメラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が主となっているので、リ・リサイクルすなわち再リサイクルとして表面塗装を施した成型品を塗膜の剥離を行わないでそのままクラッシャー、リ・ペレットすることは困難である。すなわち成型品を構成する熱可塑性樹脂と塗料を構成する熱硬化性樹脂とは親和性がないからである。
【0010】
この様な理由からリサイクルにおいて、従来の熱硬化性の樹脂で作られている塗料を用いれば1回(1サイクル、あるいは1ターンと呼ぶ)はリサイクルを行うことが出来るが、2回目(2サイクル、あるいは2ターンと呼ぶ)、3回目(3サイクル、あるいは3ターンと呼ぶ)・・・・・・・、とクローズド・ループでリサイクルを重ねることは出来ないのである。
【0011】
塗装した成型品の処理方法に関して、塗装した熱可塑性樹脂成型品を再使用する試みはこれまで多くの特許出願がなされている。これらの出願に記載されている方法を大別すると、物理的な方法で塗膜を除去する方法、溶剤で剥離する方法、塗膜を加水分解する方法、粉砕してそのまま使用する方法とになる。
物理的な方法で塗膜を除去する方法としては、例えば特開平2−273207には、塗装を施した熱可塑性樹脂成型品を軟質の研磨剤を用いて直圧式ブラスト加工することにより塗膜を剥離してから、粉砕およびリ・ペレットする方法が示されている。
【0012】
また特開平6−8245および特開平6−8246には、塗装された熱可塑性樹脂成型品を粉砕して溶融し、細かなスクリーンを用いてふるいにより塗膜を分離する方法が示されている。
【0013】
特開平6−226742には、塗膜をガスバーナーで加熱して塗膜直下に薄い溶融層を形成し、掻き取って塗膜を剥離する方法が示されている。
【0014】
特開平6−328444ないし328446には、圧延延伸を用いて塗膜除去を行う方法が示されている。
【0015】
特開平6−328442には、塗膜をショットブラストによって削り取ってから再度塗装をする方法が示されている。
【0016】
また溶剤で剥離する方法または塗膜を加水分解する方法としては、例えば国際公開番号WO93/01232、特開平6−55539、特開平6−234123には、水ないし溶剤を用いて塗膜を加水分解処理して、低分子化して母材樹脂中に均一に分散させる方法が示されている。
【0017】
特開平5−228936、特開平5−337940、特開平5−25570には、熱水処理或いは、アルカリ接触処理などをして塗膜を分解してからそのまま塗膜と共に樹脂に溶融させることが示されている。
【0018】
塗膜が付着した樹脂成型品を粉砕してそのまま使用する方法としては、特開平6−134757には、塗装された熱可塑性樹脂成型品を粉砕して所定値以上の剪断力を加えつつ溶融混練して押し出す事で塗膜片を500μm以下に切断するものである。
【0019】
塗膜が付着した樹脂成型品を粉砕して使用する他の方法として特開平7−241848には、熱硬化性塗料で塗装された熱可塑性樹脂の粉砕物と200℃における粘度が90poise(g/cm・sec)以上の熱可塑性母材樹脂との混合物を混練して押し出し、微細化する過程において作用する剪断力によって塗膜が剥離され分解して微細化され、母材樹脂中に分散される。得られた混練生成物をそのまま成形材料として使用出来るが同種の新材に適当量配合して使用することも可能である。
【0020】
特開平8−34088は、電子機器の部品と該部品に貼着するシート状部材とが互いに相溶性のある熱可塑性樹脂によって構成するとともに、シート状部材に貼着する接着剤を前記部品と前記シート状部材に対して相溶性のある熱可塑性樹脂によって構成するものであった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の特開平2−273207において示される方法は、工程が複雑な上に、更に研磨剤の洗浄工程を実際には導入しなければならないので、複雑な工程が一層複雑になるとともに、経済的ではない。またブラストに用いた研磨剤が、樹脂成型品に刺さってしまうため、総てを除去するには困難が伴うという問題がある。
【0022】
上記特開平6−8245および特開平6−8246においては、工程が複雑な上に、スクリーンの目詰まりが多くて頻繁にスクリーンの交換が必要であり、設備投資が余分に掛かってしまうことなどから、経済的ではない。また塗膜が実際に100%分離されることはなく、どの程度分離されているかを簡易な方法によって確認が出来ないことが、この技術の問題である。塗膜が樹脂に混入すれば樹脂の物理的・化学的な特性(以下、[材料物性]と称する)を低下させるという問題がある。
【0023】
上記特開平6−226742においては、熱可塑性樹脂がもともと有機物であって、燃えやすい物であるので、この方法では火災の危険性がある。また工程が余分にかかるので決して経済的ではない。
【0024】
上記特開平6−328444ないし328446においては、塗膜を除去する工程が余分に必要であり、余分な設備投資が必要になり、経済的とは言えない。また上記特開平6−328442においては、この方法を用いて再び塗装をする場合には、ショットブラストの条件をよほど考えないと下地が荒れてしまい、再塗装する場合には綺麗な塗装面が得られないという問題がある。
【0025】
上記特開平6−134761においては、この方法での工程が複雑なことで、経済的ではないという問題点がある。
【0026】
また上記特開平6−023748には、廃水処理の問題があるので、経済的とは言えない。また塗膜を剥離、分解、ガス化することで、作業環境における汚染を防止するための廃ガスの処理の問題や、そのガス化されたガスが引火性を有する場合には、火災防止の対策が必要となる。
【0027】
上記国際公開番号WO93/01232、特開平6−55539、特開平6−234123においては、酸、アルカリなどの添加が必要である。その為にそれらの廃液を処理しなければならないため経済的とは言えないとともに、酸、アルカリは、作業環境を悪化させるので、十分な換気を行うなど、作業環境の改善をしなければならず、新たな設備投資が必要になる。
【0028】
上記特開平5−228936、特開平5−337940、特開平5−25570においては、成型品を構成する熱可塑性樹脂に塗料を構成する熱硬化性樹脂を混入させることは、やはり物性の低下はある。そしてその操作すなわち成形、塗装、およびペレット化を何回も繰り返す間には、どんどんと塗膜の量が多くなりその割合が増えるため、材料物性が低下する。
【0029】
1回の塗装においては、たとえば板厚3mmの成型品に15μmの塗装を施したとすると、塗膜は成型品の熱可塑性樹脂中に0.5%混入することになる。その結果たとえば5回のリサイクルを繰り返した成型品には、0.5%の5倍すなわち塗装の回数、或いはリサイクルの回数によって2.5%の塗膜が混入することになる。2.5%もの塗膜が混入した場合には材料物性の低下は避けられない。
【0030】
上記特開平6−134757においては、塗装された熱可塑性樹脂成型品を粉砕して所定値以上の剪断力を加えつつ溶融混練するので、塗膜片が混入しても材料物性の低下を招くことは無いとされているが、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂に前記塗膜を構成する熱硬化性樹脂、あるいは親和性ない熱可塑性樹脂を混入させることは、実際のところ材料物性はやはり低下するのである。
【0031】
そして成形して塗装しペレット化する操作を何回も繰り返す間には、塗膜の量および割合が多くなり、明らかに材料物性の低下を示す。すなわち1回の塗装においては、たとえば板厚3mmの成型品に15μmの塗装を施したとすると、塗膜は熱可塑性樹脂中に0.5%混入することになる。その結果たとえば5回のリサイクルを繰り返した成型品には、0.5%の5倍(塗装の回数、或いはリサイクルの回数)の2.5%の塗膜が混入することになる。成型品の熱可塑性樹脂と親和性を有しない塗膜が2.5%も混入した場合には、材料物性の低下は避けられないのである。
【0032】
また、塗膜を剥がすことなく粉砕して、ペレタイズの工程において、塗膜を所定値以上の剪断力を加えつつ溶融混練する必要があるため、剪断力の高い2軸の押し出し機などの特殊な押し出機を用いて450回毎分のような高いスクリュー回転数で押し出しを行わなければならないのは成型品の熱可塑性樹脂と親和性がない事から発生している問題であった。
【0033】
熱硬化性の塗膜が付着した熱可塑性樹脂の粉砕物と200℃における粘度が90poise(g/cm・sec)以上の熱可塑性母材樹脂との混合物を混練して押し出し、微細化する過程において作用する剪断力によって塗膜が剥離され分解して微細化され、母材樹脂中に分散された混練生成物により成形するものであるため、微細化された熱硬化性の塗膜と熱可塑性母材樹脂とが相溶化しているわけではないので、充分な強度が得られないという問題があった。
【0034】
電子機器の前記部品に部分的に貼着するシート状部材と接着剤を該部品に対して相溶性のある熱可塑性樹脂によって構成するとともに、シート状部材に貼着する接着剤を部品とシート状部材に対して相溶性のある熱可塑性樹脂によって構成するものであるので、該部品に対して接着剤を利用してシート状部材を貼着するものであるため、部分的に貼着する前記シート状部材は、前記部品の全表面に対して20%以下に限られ、該部品の全表面にシート状部材を貼着して再生することが出来ないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決することを課題とする。
【0035】
そこで本発明者らは、熱可塑性樹脂を主成分とする成型品上に塗布される塗膜を、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る熱可塑性樹脂によって構成するという本発明の第1の技術的思想に着眼するとともに、前記塗膜を前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と親和性を示す熱可塑性樹脂によって構成するという本発明の第2の技術的思想に着眼したものである。
【0036】
また本発明者らは、成型品の主成分である熱可塑性樹脂と親和性を示す熱可塑性樹脂によって構成された塗膜が付着した前記成型品を粉砕して再成形するとともに、上記親和性を示す熱可塑性樹脂によって構成された塗膜を塗装することにより、塗装成型品を再生するという本発明の第3の技術的思想に着眼したものである。
【0037】
さらに本発明者らは、塗装が施される成型品を構成する熱可塑性樹脂と親和性を示す熱可塑性樹脂に対して溶剤などを用いずに、また溶剤などを加えて必要に応じて顔料や染料などの、あるいは表面調整剤、その他添加剤を加えて分散あるいは溶解して塗料化するという本発明の第4の技術的思想に着眼したものである。
【0038】
したがって本発明者らは、上記着眼した技術的思想に基づき、さらに研究開発を重ねた結果、本発明に到達した。
本発明は、塗膜が付着した塗装成型品のリサイクルを可能にすることを目的とする。
本発明は、物性の低下の少ないリサイクルを可能にすることを目的とする。
本発明は、特殊な工程を不要にして、容易かつ安価なリサイクルを可能にすることを目的とする。
【0039】
本発明は、塗膜が付着した塗装成型品のリサイクルを可能にして、リサイクルにおける物性の低下を抑制するとともに、特殊な工程を不要にし、容易かつ安価なリサイクルを可能にして、資源の有効活用を実現するものである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗装成型品は、
熱可塑性樹脂を主成分とする成型品と、
該成型品上に塗布された塗膜とから成り、
該塗膜を構成する樹脂が、前記成型品を構成する樹脂と双方の界面あるいは境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂によって構成され、
前記塗膜を構成する樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る
ものである。
【0041】
ここにおいて、前記成型品上に塗布された前記塗膜は、成型品の表面に直接付着された薄膜であれば良く、塗装の各手法による塗膜によるものである。また前記成型品の全表面上に前記塗膜を塗布した後、さらに部分的に塗膜を塗布しても良いものである。
【0042】
また、親和性とは、前記塗膜を構成する樹脂と前記成型品を構成する樹脂とが容易に結合する性質を言い、該塗膜を構成する樹脂が前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能で、リサイクルした時に前記塗膜を構成する樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に分散し得るものであればよいのである。
【0043】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂内に分散して、該熱可塑性樹脂と熱融着性、熱接着性、熱圧着性、熱粘着性、熱密着性、熱付着性、熱接合性、熱親和性、熱ぬれ性、または熱融解性(以下、「熱接着性など」と総称する)等の少なくともいずれか一つを示す同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成されている
ものである。
【0044】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と相容性または相溶性(以下、「相容(溶)性など」と称する)を示す同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成されている
ものである。
【0045】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記塗膜を構成する熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂に親和性を有して海島構造を持ち安定することが出来る熱可塑性樹脂によって構成されている
ものである。
【0046】
ここにおいて、海島構造またはその他の構造とは、相分離構造、ミセル化構造、モルフォロジー構造、架橋構造、表面・界面構造、ミクロ相分離構造、IPN構造、結晶高次構造、配向異方性構造、相溶化構造、相容化構造、高分子混合構造、結晶性混合構造、非相容多成分構造、非相溶多成分構造、非相容および非相溶多成分構、分子凝集構造、ミクロ相転移構造、マクロ相転移構造、ラメラ構造、ミクロドメイン構造、高次構造、網目構造、多相構造、分散構造、放射状構造、星雲状構造、多島海状構造、多島海状多層構造、木目状構造、木目状多層構造、芯鞘型構造、並列型構造、針状分散構造、線状構造、結晶ー非結晶型ミクロドメイン構造、非結晶ー非結晶型ミクロドメイン構造、結晶ー結晶型ミクロドメイン構造、無定型高分子、連鎖形式、ヘリックス構造、表面・界面構造、界面構造、球晶構造、液晶パターン構造、複合材料構造、高分子液晶構造、ブロック共重合構造、柱状構造、不均一微細構造、ミクロ構造、ミクロ層構造、層状分散構造、複合分散相構造、連続相構造、レース状分散相構造、液適化構造、分散相構造、ブロックポリマー構造、グラフトポリマー構造、球型構造、サラミ型構造、カプセル型構造、タマネギ型構造、不均一混合構造、層状分散構造、アロイ層構造、連続球状構造、房状ミセル、折りたたみ結晶構造、伸びきり鎖結晶構造、ラメラ溶融流層、平ら化・積層構造、ランダム構造、配向構造ポリドメイン構造、無定型構造などがそれであり、それらの構造が単一の場合や、あるいは複数の構造が入り交じった場合がある。
【0047】
これらの構造評価手法には中性子小角散乱、X線小角散乱、小角光散乱、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、ESCA、FT−IR、個体高分解能NMR、パルス法NMR、力学緩和、誘電緩和、DSC・DTA、TOA、けい光法、スピン・プローブ法、陽電子消滅、SIMS、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマンなどがある。
【0048】
また、安定とは、塗膜を構成する樹脂と成型品を構成する樹脂との界面、境界領域が常温で放置した場合に、時間経過とともに剥離、剥がれ、解離、分離など(以下「剥離など」と称する)の変化が現れないことと定義する。
【0049】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記塗膜を構成する熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と分子レベルで混ざり合うことが出来る熱可塑性樹脂によって構成されている
ものである。
【0050】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂とが、同一樹脂、同一樹脂骨格または同一枝を有する樹脂、または類似する性質を有する樹脂によって構成されている
ものである。
【0051】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミノ系樹脂、オレフィン系樹脂に属する樹脂またはそれに類する樹脂の少なくとも1つによって構成されているとともに、
前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミノ系樹脂、オレフィン系樹脂に属する樹脂またはそれに類する樹脂の少なくとも1つによって構成されている
ものである。
【0052】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、ABS樹脂によって構成されているとともに、
前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、スチレン変性アクリル樹脂または熱可塑性アクリル樹脂によって構成されている
ものである。
【0053】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、ハイインパクトポリスチレン樹脂によって構成されているとともに、
前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂またはスチレン変性アクリル樹脂によって構成されている
ものである。
【0054】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、変性ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂によって構成されているとともに、
前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂またはスチレン変性アクリル樹脂によって構成されている
ものである。
【0055】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂によって構成されているとともに、
前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、塩素化ポリプロピレン樹脂またはハロゲン化ポリオレフィン樹脂によって構成されている
ものである。
【0056】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂に島状に分散して海島構造またはその他の構造を呈するものであって、
前記島状に分散した前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂の縦横比が、0.2から1である
ものである。
【0057】
本発明の塗装成型品は、
表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂が主成分である塗料が付着した成型品を加熱溶融成形して、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂を島状に分散させ、
かかる加熱溶融成形された前記成型品に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂が主成分である塗料が塗装された
ものである。
【0058】
本発明(請求項1に記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、
表面に成型品を構成している熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂を主成分とする塗料が付着した塗装成型品を加熱溶融成形して得られる塗装成型品の再生樹脂成型品であって、
前記成型品を構成していた熱可塑性樹脂内に前記塗料の主成分であった熱可塑性樹脂が島状に分散している
ものである。
【0059】
本発明(請求項2に記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、
前記請求項1に記載された発明において、
前記島状に分散した前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の縦横比が、0.1から1である
ものである。
【0060】
本発明の塗装成型品は、
熱可塑性樹脂を主成分とする成型品と、
該成型品の表面に直接付着された塗膜とから成り、
該塗膜を構成する樹脂が、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂と少なくとも双方の界面あるいは境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る熱可塑性樹脂によって構成され、
前記塗膜が、成型品の外表面全体あるいは成型品の外表面または内表面の一部に直接付着されている
ものである。
【0061】
本発明の塗装成型品の製造方法は、
熱可塑性樹脂により成型品を成形し、
成形された前記成型品の表面に対して、該成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る熱可塑性樹脂が主成分である塗料を塗装する
ものである。
【0062】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記成型品の表面に該成型品を構成する前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された前記塗装成型品を粉砕し、
粉砕あるいはペレタイズされた該塗装成型品により成型品を成形(型)し、
成形された該成型品の表面に対して、該成型品を構成する前記熱可塑性樹脂と親和性を示す熱可塑性樹脂によって構成された塗料を塗装する
ものである。
【0063】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
粉砕された前記塗装成型品を粉砕されたままで、
あるいは溶融混練してペレットを押し出し、
粉砕されたままで、あるいは押し出された該ペレットにより成型品を成形するものである。
【0064】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
押し出された少なくとも双方の界面あるいは境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な熱可塑性樹脂によって構成されている複数の塗装成型品のペレットを一定割合で混合して成型品を成形する
ものである。
【0065】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
前記塗装成型品の少なくとも一方が、発泡体であり、
所定の背圧を作用した状態において溶融混練して、発生する発泡ガスを溶融樹脂内に加圧溶解するようにした
ものである。
【0066】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
合わせ面にシールを施して気密に密閉したシール金型を予め大気圧以上に加圧しておき、
開閉機構を介して溶融樹脂をシール金型内に射出する
ものである。
【0067】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
PC樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第2の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出される
ものである。
【0068】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
押し出された前記複数の塗装成型品のペレットを一定割合で混合して成型品を成形するに当たり、一定重量割合の相容(溶)化剤を添加する
ものである。
【0069】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
押し出された前記第1および第2の塗装成型品のペレットを上記割合で混合して成型品を成形するに当たり、1から15%の重量割合の相容(溶)化剤を添加するものである。
【0070】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
PET樹脂の成型品より成る第2の成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出される
ものである。
【0071】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
上記混合割合の前記第1および第2の成型品の各ペレットを一定温度以上で一定時間加熱し、
該加熱された混合ペレットを成形する
ものである。
【0072】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
加熱された前記混合ペレットが成形された前記成型品に対してスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料を塗装する
ものである。
【0073】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
PMMA樹脂の成型品より成る第2の成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出される
ものである。
【0074】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
前記混合ペレットが成形された前記成型品に対してアクリロニトリル・スチレン共重合樹脂ワニスをベースにした塗料を塗装する
ものである。
【0075】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
HIPS樹脂の第1の成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、PS樹脂の発泡体より成る第2の成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
前記第1および第2の成型品の各ペレットが混合された前記混合ペレットが成形されるものである。
【0076】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
該成形された前記成型品に対してポリスチレン樹脂ワニスをベースにした塗料を塗装する
ものである。
【0077】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
粉砕された前記塗装成型品を溶融混練して押し出された前記ペレットとともに、リサイクル助剤として一定量の前記塗装成型品のバージン樹脂または該バージン樹脂の成分を補充して、成型品を成形する
ものである。
【0078】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
前記リサイクル助剤とともに、あるいは単独にて一定量の強化材、充填材、または各種の添加剤を添加して、成型品を成形する
ものである。
【0079】
本発明の塗装成型品の再生方法は、
前記発明において、
廃トナーを該廃トナーを構成する熱可塑性樹脂に対し少なくとも相容(溶)性を示す熱可塑性樹脂の成型品の粉砕片またはペレットに対して一定割合で加えるものである。
【0080】
本発明の塗装成型品用塗料は、
塗装が施されている樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成されている
ものである。
【0081】
本発明の塗装成型品用塗料は、
前記発明において、
前記塗料の主成分である前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と同一樹脂、同一樹脂骨格または同一枝を有する樹脂、または類似する性質を有する樹脂によって構成されている
ものである。
【0082】
本発明の樹脂成型品用塗料は、
前記発明において、
前記樹脂成型品用の塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン変性アクリル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂またはハロゲン化ポリオレフィン樹脂によって構成されているものである。
【0083】
本発明の樹脂成型品用の塗料は、
前記発明において、
前記樹脂成型品用の塗料を構成する前記熱可塑性樹脂が、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂が混合されている
ものである。
【0084】
本発明の樹脂成型品用塗料は、
前記発明において、
前記樹脂成型品用の塗料を構成する前記熱可塑性樹脂が、によって構成されている
ものである。
【0085】
本発明の樹脂成型品用塗料は、
前記発明において、
前記塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂が、重量平均分子量10,000から60,000の前記スチレン変性アクリル樹脂である
ものである。
【0086】
本発明の樹脂成型品用塗料は、
前記発明において、
前記塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂の分子量に応じた沸点の溶剤を含有しているものである。
【0087】
本発明の樹脂成型品用塗料は、
前記発明において、
塗装が施される樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な樹脂成型品用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂と、溶剤と、顔料としての一定割合の廃トナーとから成る
ものである。
【0088】
本発明の樹脂成型品用塗料の製造方法は、
塗装が施される樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な樹脂成型用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂に対して溶剤などを用いずに、また溶剤または水(以下「溶剤など」と称する)を加えて必要に応じて顔料や染料などの、あるいは表面調整剤、その他添加剤などを加えて分散あるいは溶解して塗料化する
ものである。
【0089】
本発明の樹脂成型品用塗料の製造方法は、
前記発明において、
前記樹脂成型用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂の分子量に応じた沸点の溶剤が添加される
ものである。
【0090】
本発明の樹脂成型品用塗料の製造方法は、
前記発明において、
前記樹脂成型品用の塗料を構成する前記熱可塑性樹脂に対して、前記溶剤として混合溶剤を加える
ものである。
【0091】
上記発明において、トルエンと酢酸ブチルなどの混合溶剤からなるワニスが作成される。すなわち、塗装が施される樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と親和性を示す樹脂成型品用の塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂に対して溶剤を加えて溶解させワニス化し、顔料および染料などの添加剤を加えて塗料化するものである。
【0092】
また、上記樹脂成型用塗料の製造方法において、塗料工業において通常使用される分散機が使用でき、特に限定されるものではない。溶剤型塗料、または水性塗料などの場合は、例えば、ロールミル分散機、ボールミル分散機、サンドグラインドミル分散機、プラネタリーミキサー、ハイスピードディスパー分散機などを用いて製造される。粉体塗料の場合には、混合機、溶融混練機、粉砕機などを使用して、平均粒経30μm〜150μm程度の粉体塗料を製造する。
【0093】
本発明の塗装成型品の再生装置は、
成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕する粉砕装置と、、
粉砕あるいはペレタイズされた該塗装成型品により成型品を成形する成形(型)装置と、
成形された該成型品の表面に対して、該成型品を構成する前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料を塗装する塗装装置と
から成るものである。
【0094】
本発明の塗装成型品の再生装置は、
前記発明において、
粉砕された前記塗装成型品を溶融混練して、前記成形装置内に充填されるペレットを押し出すペレット押し出し装置を備えている
ものである。
【0095】
本発明の塗装成型品の再生装置は、
前記発明において、
前記ペレット押し出し装置は、スクリューを持つ単軸押し出し装置によって構成され、粉砕された前記塗装成型品を低速のスクリュー回転数で溶融混練して押し出すように構成されている
ものである。
【0096】
本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、
成型品の表面に該成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂の主成分である塗料が塗装された前記塗装成型品を粉砕して成形された成型品に対して、該成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂の主成分である塗料が塗装された再生塗装成型品の試験片に対して、ゴバン目試験を行うことにより、試験結果により再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ものである。
【0097】
本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、
成型品を構成する熱可塑性樹脂と塗料を構成する熱可塑性樹脂とを一定割合で混ぜ合わせた混合樹脂を成形した試験片に対して、ゴバン目試験を行うことにより、試験結果により再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ものである。
【0098】
本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、
前記発明において、
再生された再生塗装成型品における成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂中に分散している前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の分散状態を、顕微鏡写真によって評価するものである。
【0099】
本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、
前記発明において、
再生塗装成型品の再生を繰り返し、その都度塗膜性能の試験を行い、試験結果の推移から再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ものである。
【0100】
本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、
前記発明において、
再生塗装成型品の再生を繰り返し、その都度再生塗装成型品の機械的強度、熱的性質、その他の物性値を測定し、測定した物性値の推移から再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ものである。
【0101】
本発明(請求項3記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、
請求項1に記載された発明において、
前記島状に分散した前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の縦横比が、0.2から1である
ものである。
【0102】
本発明の再生樹脂材料の製法は、
成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕した
ものである。
【0103】
本発明の再生樹脂材料の製法は、
前記発明において、
粉砕された前記塗装成型品を溶融押し出し、ペレタイズした
ものである。
【0104】
本発明の再生樹脂材料を用いた塗装成型品の再生方法は、
前記請求項18または請求項19記載の再生樹脂材料を用いた発明において、粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品より成る再生樹脂材料を、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料を構成する前記熱可塑性樹脂を分散させて成型品を成形(型)するために加熱溶融成形するに先立ち助剤がプレンドされる
ものである。
【0105】
本発明の再生樹脂材料は、
成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕した
ものである。
【0106】
本発明の再生樹脂材料は、
前記発明において、
粉砕された前記塗装成型品を溶融押し出し、ペレタイズした
ものである。
【0107】
本発明(請求項4記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、
熱可塑性樹脂を主成分とする成型品と、該成型品の表面に塗布された塗膜から成り、該塗膜を構成する樹脂が、前記成型品を構成する樹脂と双方の界面あるいは境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂によって構成された塗装成型品を、粉砕して加熱溶融成形した塗装成型品の再生樹脂成型品であって、
前記塗膜を構成していた樹脂が、前記再生樹脂成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散している
ものである。
【0108】
本発明の塗装成型品による樹脂成型品の製造方法は、
成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕あるいはペレタイズし、
該粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品を加熱溶融成形することにより、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料を構成する前記熱可塑性樹脂を剥がれなく分散させて成型品を成形(型)する
ものである。
【0109】
本発明の塗装成型品の製造方法は、
前記発明において、
前記粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品の加熱溶融成形が、型を用いて該型内において行われる
ものである。
【0110】
本発明の塗装成型品は、
前記発明において、
前記成型品が、塗膜が塗布されていない成型品の再生材を含んでいる
ものである。
【0111】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、熱可塑性樹脂を主成分とする前記成型品上に塗布された前記塗膜が、少なくとも双方の界面あるいと境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂とが混ざり合い、前記塗膜を構成する樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散するので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態におけるリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0112】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記塗膜を構成する熱可塑性樹脂が前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂内に分散して、該熱可塑性樹脂と熱融着性、熱接着性、熱粘着性、熱密着性、熱接合性、熱親和性、熱ぬれ性、または熱融解性その他のいわゆる熱付着性などを示す熱可塑性樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂とが熱的作用で付着するので、接着剤を用いていないにもかかわらず塗膜および成型品を構成する熱可塑性樹脂の剥がれがないとともに、一定の強度を備えた塗装成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0113】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示す同質または異質の熱可塑性樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と互いに親和性を有して海島構造またはその他の構造を形成するか、相容(溶)して分子レベルで混ざりあう場合とのいずれかなので、物理的、化学的性質を変化させないで、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0114】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記塗膜を構成する熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂に分散して海島構造を持ち安定することが出来る熱可塑性樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂中に前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が分散して、海島構造またはその他の構造を持ち安定するので、物理的、化学的性質を低下させないで、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0115】
前記塗膜および成型品を構成する熱可塑性樹脂が、海島構造またはその他の構造を持つ、いわゆる親和などするとともに、熱接着性など、相容(溶)性などを備える場合は、海島構造またはその他の構造の界面における熱接着などにより、塗膜および成型品を構成する熱可塑性樹脂の剥がれなどがなく、強度を維持した塗装成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0116】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と分子レベルで混ざり合うことが出来る熱可塑性樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂とが分子レベルで混ざり合うので、物理的、化学的性質を変化させないで、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0117】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂とが、同一樹脂、同一樹脂骨格または同一枝を有する樹脂、または類似する性質を有する樹脂によって構成されているので、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂とが分子レベルで混ざり合うので、物理的、化学的性質を変化させないで、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0118】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、 前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミノ系樹脂、オレフィン系樹脂に属する樹脂またはそれに類する樹脂の少なくとも1つによって構成されているとともに、前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミノ系樹脂、オレフィン系樹脂に属する樹脂またはそれに類する樹脂の少なくとも1つによって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂とが混ざり合うので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態におけるリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0119】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、ABS樹脂によって構成されているとともに、前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、スチレン変性アクリル樹脂または熱可塑性アクリル樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成する前記アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂またはスチレン変性アクリル樹脂と前記成型品の主成分である前記ABS樹脂とが、分子レベルで混ざり合うか、または互い親和性を有して海島構造またはその他の構造を形成するので、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0120】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、ハイインパクトポリスチレン樹脂によって構成されているとともに、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂またはスチレン変性アクリル樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成する前記ポリスチレン樹脂または前記スチレン変性アクリル樹脂と前記成型品の主成分である前記ハイインパクトポリスチレン樹脂とが、分子レベルで混ざり合うか、または互い親和性を有して海島構造またはその他の構造を形成するので、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0121】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、変性ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂によって構成されているとともに、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂またはスチレン変性アクリル樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成するポリスチレン樹脂またはスチレン変性アクリル樹脂と前記成型品の主成分である前記変性ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂とが、分子レベルで混ざり合うか、互いに親和性を有して海島構造またはその他の構造を形成するため、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0122】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂によって構成されているとともに、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、塩素化ポリプロピレン樹脂またはハロゲン化ポリオレフィン樹脂によって構成されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成する前記塩素化ポリプロピレン樹脂またはハロゲン化ポリオレフィン樹脂と前記成型品の主成分である前記ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂とが、互いに親和性を有しているため、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0123】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂に島状に分散して海島構造を呈するものであって、前記島状に分散した前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂の縦横比が、0.2から1であるので、方向性の無い一様な機械的強度の塗装成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0124】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂が主成分である塗料が付着した成型品を加熱溶融成形して、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂を島状に分散させ、かかる加熱溶融成形された前記成型品に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂が主成分である塗料が塗装されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行われると、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂とが混ざり合うため、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態におけるリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0125】
上記構成より成る本発明(請求項1記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、表面に成型品を構成している熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂を主成分とする塗料が付着した塗装成型品を加熱溶融成形して得られる塗装成型品の再生樹脂成型品であって、前記成型品を構成していた熱可塑性樹脂内に前記塗料の主成分であった熱可塑性樹脂を島状に分散させ、かかる加熱溶融成形された前記成型品に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂が主成分である塗料が塗装されているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行われると、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂とが混ざり合うため、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態におけるリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0126】
上記構成より成る本発明(請求項2記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、前記島状に分散した前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂の縦横比が0.1から1であるので、比較的方向性の無いほぼ一様な機械的強度の塗装成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0127】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記塗膜が、成型品の外表面全体あるいは成型品の外表面または内表面の一部に直接付着されているので、前記塗装成型品の外表面に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗装成型品の外表面に付着した前記塗膜を構成する熱可塑性樹脂と前記成型品を構成する熱可塑性樹脂とが互いに親和性を有しているため、混ざり合い剥がれなく一体となるため、物理的、化学的性質を変化させないで、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0128】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の製造方法は、成形された前記成型品に対して親和性を示す混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る熱可塑性樹脂によって構成された塗料を塗装するので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂とが互いに親和性を有して海島構造またはその他の構造を形成する場合と、互いに相容(溶)して分子レベルで混ざり合う場合とのいずれかであるため、物理的、化学的性質を変化させないで、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0129】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、粉砕された親和性を示す混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された前記塗装成型品により成型品を成形し、成形された該成型品の表面に対して、混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂によって構成された塗料を塗装するので、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂とが互いに親和性を有して海島構造またはその他の構造を形成する場合と、互いに相容(溶)して分子レベルで混ざり合う場合とがあるので、従来技術のように微細粉砕および高剪断力の押し出し等の特殊な工程が不要であり、容易且つ安価にリサイクルを実現するという効果を奏する。
【0130】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、前記塗装成型品の少なくとも一方が、発泡体であり、所定の背圧を作用した状態において溶融混練して、発生する発泡ガスを溶融樹脂内に加圧溶解するので、前記発泡体のリサイクルを可能するという効果を奏する。
【0131】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、合わせ面にシールを施して気密に密閉したシール金型を予め大気圧以上に加圧しておき、開閉機構を介して溶融樹脂をシール金型内に射出するので、発生する発泡ガスを溶融樹脂内に加圧溶解するため、得られた成型品表面は平滑性を有し、塗膜の付着性が向上するので、前記発泡体のリサイクルを可能するという効果を奏する。
【0132】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、ABS樹脂およびPC樹脂の各成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料がそれぞれ塗装された第1および第2の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットを作成することにより、ABS樹脂およびPC樹脂の各塗装成型品を混ぜ合わせたリサイクルを実現するという効果を奏する。
【0133】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、押し出された前記複数の塗装成型品のペレットを一定割合で混合して成型品を成形するに当たり、一定重量割合の相容(溶)化剤を添加するので、複数の塗装成型品を構成する互いに親和性を持ち混ぜ合わせて繰り返し成形可能な前記一定割合の熱可塑性樹脂が、添加された一定重量割合の前記相容(溶)化剤とともにその親和性により混ざり合い、一体となるため、一定割合の複数の塗装成型品を混ぜ合わせた成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0134】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、押し出された前記第1および第2の塗装成型品のペレットを混合して成型品を成形するに当たり、1から15%の重量割合の相容(溶)化剤を添加するので、前記第1および第2の塗装成型品を構成する互いに親和性を持ち混ぜ合わせて繰り返し成形可能な前記一定割合の熱可塑性樹脂が、添加された上記一定重量割合の前記相容(溶)化剤とともにその親和性により混ざり合い、一体となるため、一定割合の複数の塗装成型品を混ぜ合わせた成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0135】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品と、PET樹脂の成型品より成る第2の成型品とが粉砕され溶融混練してペレットを作成することにより、ABS樹脂およびPET樹脂の各成型品を混ぜ合わせたリサイクルを実現するとともに、社会的問題となっているPET樹脂の再利用の道を開くという効果を奏する。
【0136】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、上記混合割合の前記第1および第2の成型品の各ペレットを一定温度以上で一定時間加熱し、該加熱された混合ペレットを成形するので、複数の塗装成型品を構成する互いに親和性をもち混ぜ合わされるとともに加熱された前記一定割合の熱可塑性樹脂が、添加された一定重量割合の前記相容(溶)化剤とともにその親和性により混ざり合い、一体となるため、複数の塗装成型品を混ぜ合わせて充分な強度を有する成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0137】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品と、PMMA樹脂の成型品より成る第2の成型品とが粉砕され溶融混練してペレットを作成することにより、ABS樹脂およびPMMA樹脂の各成型品を混ぜ合わせたリサイクルを実現するとともに、PMMA樹脂の再利用の道を開くという効果を奏する。
【0138】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、HIPS樹脂の第1の成型品と、PS樹脂の発泡体より成る第2の成型品とが粉砕され溶融混練してペレットを作成することにより、HIPS樹脂およびPS樹脂の発泡体の各成型品を混ぜ合わせたリサイクルを実現するとともに、PS樹脂の発泡体の再利用の道を開くという効果を奏する。
【0139】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、粉砕された前記塗装成型品を溶融混練して押し出された前記ペレットとともに、前記リサイクル助剤として適量の前記成型品の前記バージン樹脂または該バージン樹脂の成分を補充して、成型品を成形するので、物理的、化学的性質の変化を抑制するリサイクルを実現するという効果を奏する。
【0140】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、前記リサイクル助剤とともに、適量の添加剤を補充して、成型品を成形するので、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂、補充されたバージン樹脂および添加剤とが互いに親和性を有して海島構造またはその他の構造を形成する場合と、互いに相容(溶)して分子レベルで混ざり合う場合とがあるため、物理的、化学的性質の低下を抑制するリサイクルを実現するという効果を奏する。
【0141】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生方法は、廃トナーを該廃トナーを構成する熱可塑性樹脂に対し少なくとも相容性を示す熱可塑性樹脂の成型品の粉砕片またはペレットに対して一定割合で加えるので、廃トナーの再利用の道を開くという効果を奏する。
【0142】
上記構成より成る本発明の塗装成型品用塗料は、塗装が施されている樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成されているので、当該樹脂成型品用の塗料が塗装された前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と互いに親和して混ざり合い一体となるため、前記塗装成型品に付着した前記塗膜を剥ぎ取ること無く、成形加工してもリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0143】
上記構成より成る本発明の塗装成型品用塗料は、前記塗料の主成分である前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と同一樹脂、同一樹脂骨格または同一枝を有する樹脂、または類似する性質を有する樹脂によって構成されているので、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と前記塗膜の主成分である前記熱可塑性樹脂とが分子レベルで混ざり合うので、物理的、化学的性質を変化させないで、リサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0144】
上記構成より成る本発明の樹脂成型品用の塗料は、当該樹脂成型品用の塗料が塗装された前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態で再成形が行なわれると、前記塗膜を構成する前記アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン変性アクリル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂またはハロゲン化ポリオレフィン樹脂が前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と互いに親和して海島構造またはその他の構造を形成する場合と、互いに相容(溶)して分子レベルで混ざり合う場合とがあるため、前記塗装成型品に付着した前記塗膜を剥ぎ取ること無く、成形加工してもリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0145】
上記構成より成る本発明の樹脂成型品用塗料は、前記塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂が、重量平均分子量10,000から60,000の前記スチレン変性アクリル樹脂などであるので、塗装性およびリサイクル性を高めるという効果を奏する。
【0146】
上記構成より成る本発明の樹脂成型品用塗料は、前記塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂の分子量に応じた沸点の溶剤を含有しているので、塗装性を高めるという効果を奏する。
【0147】
上記構成より成る本発明の樹脂成型品用塗料は、塗装が施される樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な樹脂成型品用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂と、溶剤と、顔料としての一定割合の廃トナーとから成るので、廃トナーの活用を可能にして、顔料を節約することが出来るという効果を奏する。
【0148】
上記構成より成る本発明の樹脂成型品用塗料の製造方法は、塗装が施される樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な樹脂成型用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂に対して溶剤などを用いずに、また溶剤を加えて必要に応じて顔料や染料などの、あるいは表面調整剤、その他添加剤などを加えて分散あるいは溶解して塗料化するので、特殊な工程を実施することなくリサイクルを可能にする塗料を製造出来るという効果を奏する。
【0149】
上記構成より成る本発明の樹脂成型品用塗料の製造方法は、前記樹脂成型用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂の分子量に応じた沸点の溶剤が添加されるので、塗装適性に優れた塗料の製造を可能にするという効果を奏する。
【0150】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生装置は、前記粉砕装置が、混ぜ合わせてくりかえし再生可能な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された前記塗装成型品を粉砕し、あるいはペレット化し、前記成形装置が、粉砕あるいはペレタイズされた該塗装成型品により成型品を成形し、前記塗装装置が、成形された該成型品の表面に対して、該成型品を構成する前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせてくりかえし再生可能な熱可塑性樹脂によって構成された塗料を塗装するので、従来技術のような剥ぎ取り装置が不要であり、簡単な装置により前記塗装成型品に付着した前記塗膜を剥ぎ取ること無く、物理的、化学的性質を低下させないでリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0151】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生装置は、前記ペレット押し出し装置が、粉砕された前記塗装成型品を溶融混練して、前記成形装置の前記金型内に充填されるペレットを押し出し、前記成形装置が、押し出されたペレットによりあるいは粉砕のままで成型品を成形するので、特殊な装置、工程を用いずに実施出来るので安価で容易に再生可能であるので、リサイクルを可能にする再生樹脂を製造出来るという効果を奏する。
【0152】
上記構成より成る本発明の塗装成型品の再生装置は、前記ペレット押し出し装置を構成する前記単軸押し出し装置が、粉砕された前記塗装成型品を低速のスクリュー回転数で溶融混練して、前記成形装置の前記金型内に充填されるペレットを押し出し、前記成形装置が押し出されたペレットにより成型品を成形するので、従来装置のように複雑な構造の多軸押出装置が不要であり、しかも高い剪断力を作用させる必要が無いので、簡単且つ安価に塗装成型品のリサイクルを実現するという効果を奏する。
【0153】
上記構成より成る本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂の主成分である塗料が塗装された再生塗装成型品の試験片に対して、ゴバン目試験を行うことにより、試験結果により再生塗装成型品の再生可能性を評価するので、簡単な試験により再生可能性の評価をすることが出来るという効果を奏する。
【0154】
上記構成より成る本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂と塗料を構成する熱可塑性樹脂とを一定割合で混ぜ合わせた混合樹脂を成形した試験片に対して、ゴバン目試験を行うことにより、試験結果により再生塗装成型品の再生可能性を評価するので、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂に対する塗料を構成する熱可塑性樹脂の分散状態を評価することが出来るため、簡単な試験により再生可能性の適確な評価を可能にするという効果を奏する。
【0155】
上記構成より成る本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、再生された再生塗装成型品における成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂中に分散している前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の分散状態を、顕微鏡写真によって評価するので、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂に対する塗料を構成する熱可塑性樹脂の分散状態を目視によって評価することが出来るため、再生可能性の適確な評価を可能にするという効果を奏する。
【0156】
上記構成より成る本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、再生塗装成型品の再生を繰り返し、その都度塗膜性能の試験を行い、試験結果の推移から再生塗装成型品の再生可能性を評価するので、前記塗膜性能の再生に伴う傾向により、再生塗装成型品の再生可能性を適確に評価することが出来るという効果を奏する。
【0157】
上記構成より成る本発明の再生塗装成型品の再生可能性評価方法は、再生塗装成型品の再生を繰り返し、その都度再生塗装成型品の機械的強度、熱的性質、その他の物性値を測定し、測定した物性値の推移から再生塗装成型品の再生可能性を評価するので、再生塗装成型品の機械的強度、熱的性質、その他の物性値の再生に伴う傾向により、再生塗装成型品の再生可能性を定量的に適確に評価することが出来るという効果を奏する。
【0158】
上記構成より成る本発明(請求項3記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、前記島状に分散した前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の縦横比が、0.2から1であるので、比較的方向性の無いほぼ一様な機械的強度の塗装成型品による再生樹脂成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0159】
上記構成より成る本発明の再生樹脂材料の製法は、成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕したものであるので、リサイクル可能な再生樹脂材料の製造を可能にするという効果を奏する。
【0160】
上記構成より成る本発明の再生樹脂材料の製法は、前記発明において、粉砕された前記塗装成型品を溶融押し出し、ペレタイズしたものであるので、リサイクル可能なペレット状の再生樹脂材料の製造を可能にするという効果を奏する。
【0161】
上記構成より成る本発明の再生樹脂材料を用いた塗装成型品の再生方法は、前記請求項18または請求項19記載の再生樹脂材料である粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品より成る再生樹脂材料を、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料を構成する前記熱可塑性樹脂を分散させて成型品を成形(型)するために加熱溶融成形するに先立ち助剤がプレンドされるものであるので、物理的、化学的性質の変化を抑制するリサイクルを実現するという効果を奏する。
【0162】
上記構成より成る本発明の再生樹脂材料は、成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能であるとともに前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散し得る同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕したものであるので、リサイクル可能な再生樹脂材料の提供を可能にするという効果を奏する。
【0163】
上記構成より成る本発明の再生樹脂材料は、前記発明において、粉砕された前記塗装成型品を溶融押し出し、ペレタイズしたものであるので、リサイクル可能なペレット状の再生樹脂材料の提供を可能にするという効果を奏する。
【0164】
上記構成より成る本発明(請求項4記載)の塗装成型品の再生樹脂成型品は、熱可塑性樹脂を主成分とする成型品と、該成型品の表面に塗布された塗膜から成り、該塗膜を構成する樹脂が、前記成型品を構成する樹脂と双方の界面あるいは境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂によって構成された塗装成型品を、粉砕して加熱溶融成形した塗装成型品の再生樹脂成型品であって、前記塗膜を構成していた樹脂が、前記再生樹脂成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散しているので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態における再生樹脂成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0165】
上記構成より成る本発明の塗装成型品による樹脂成型品の製造方法は、成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕あるいはペレタイズし、該粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品を加熱溶融成形することにより、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料を構成する前記熱可塑性樹脂を剥がれなく分散させて成型品を成形(型)するので、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態における樹脂成型品の製造を可能にするという効果を奏する。
【0166】
上記構成より本発明の塗装成型品による樹脂成型品の製造方法は、前記発明において、前記粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品の加熱溶融成形が、型を用いて該型内において行われるので、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料を構成する前記熱可塑性樹脂を剥がれなく分散させた成型品の成形(型)を実現するため、前記塗装成型品に前記塗膜が付着した状態における樹脂成型品の製造を可能にするという効果を奏する。
【0167】
上記構成より成る本発明の塗装成型品は、前記成型品が、塗膜が塗布されていない成型品の再生材を含んでいるので、塗膜が塗布されていない成型品のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0168】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0169】
最初に本発明を実施するに当たり樹脂成型物として使用することが出来る合成樹脂について以下説明する。
【0170】
一般にプラスチックと称せられる物には、加熱すると硬化する性質を持っている樹脂、すなわち「熱硬化性樹脂」と呼ばれるものと、熱を加えると柔らかくなる(軟化する)性質を持っている樹脂、すなわち「熱可塑性樹脂」と呼ばれるものに大別される。本発明の成形樹脂として使用することが出来る合成樹脂、すなわち本発明の実施形態として採用される成形樹脂としては、「熱可塑性樹脂」が対象となる。
【0171】
前記樹脂成型品を構成する前記「熱可塑性樹脂」には、たくさんの種類がある。たとえばそれらとしては、アイオノマー樹脂(エチレン系アイオノマー樹脂)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(略号:EEA)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合樹脂(略号:AAS)、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(略号:AS、或いはSAN)、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合樹脂(略号:ACS)、エチレン酢ビコポリマー(略号:EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(略号:PVAL)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(略号:ABS)、ポリ塩化ビニル樹脂(略号:PVC、或いはPVW)、塩素化ポリエチレン樹脂(略号:CPE)、酢酸繊維素樹脂(酢酸セルロース樹脂)、ポリ4フッ化エチレン樹脂(略号:PTFE)、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂(略号:FEP)、4フッ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(略号:PFA)、4フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(略号:ETFE)、ポリ3フッ化塩化エチレン樹脂(略号:CTFE)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン(略号:PVF)、ポリオキシメチレン樹脂(略号:POM)、ナイロン6(略号:PA6)、ナイロン66(略号:PA66)、ナイロン610(略号:PA610)、ナイロン11(略号:PA11)、ナイロン12(略号:PA12)、ナイロン46(略号:PA46)、特殊ナイロン[三菱化学(株){旧三菱瓦斯化学(株)}の商品のレニー]、ポリアリレート樹脂(芳香族ポリエステル樹脂、略号:PAR)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(略称:TPU)、熱可塑性エラストマー(略称:TPE)、全芳香族ポリエステル樹脂(別名:ポリオキシベンゾイル樹脂、略称:POB)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(略称:PEEK)、ポリサルホン樹脂(略号:PSF)、ポリエーテルサルホン樹脂(略号:PES)、ポリサルホン樹脂(略号:PSU)、高密度ポリエチレン樹脂(略号:HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(略号:LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(略号:L−LDPE)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(略号:PET)、ポリカーボネート樹脂(略号:PC)、ポリスチレン樹脂(略号:PS)、中衝撃ポリスチレン樹脂〔ミディアムインパクトポリスチレン樹脂 略号:MIPS〕、高衝撃ポリスチレン樹脂{ハイインパクトポリスチレン樹脂 略号:HIPS}、ポリフェニレンオキサイド樹脂(略号:PPO)、ポリフェニレンエーテル樹脂(略号:PPE)、スチレン変性ポリフェニレンオキサイド樹脂(略号:変性PPO,スチレン変性PPO)、スチレン変性ポリフェニレンエーテル樹脂(略号:変性PPE,スチレン変性PPE)、スチレングラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂(略号:PPE,スチレン変性PPE)、スチレングラフト化ポリフェニレンオキサイド樹脂(略号:PPO,スチレン変性PPO){文中で、PPO、PPE、変性PPO、変性PPE、スチレン変性PPO、スチレン変性PPEを総称してスチレン変性PPO(E)樹脂、ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂、変性(変成)ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂、変性PPO(E)などと表現する)、ポリフェニレンサルファイド(略号:PPS)、ポリブタジエン樹脂(略号:PBD)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(略号:PBT)、ポリプロピレン樹脂(略号:PP)、メタクリル樹脂(通称アクリル樹脂、略号:PMMA)、メチルペンテンポリマー(略号:PMP)、超低密度ポリエチレン樹脂(略号:VLDPE)、エチレン・メチルメタクリレートコポリマー、ポリチオエーテルサルホン樹脂、ポリケトン、ポリアミドイミド、変成マレイミド樹脂、エチレン酢ビ共重合体ケン化物、ABS系永久制電性樹脂、HIPS系永久制電性樹脂、MIPS系永久制電性樹脂、PS系永久制電性樹脂、PCT樹脂(ポリエステル系ポリマー)、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリルエーテルケトン、ポリブテン樹脂、EMAA樹脂、ポリアクリロニトリル、液晶ポリマー、スチレン・マレイミド共重合樹脂、エチレン・アクリル酸共重合樹脂、シラン架橋ポリマー、液晶ポリエステル樹脂、生分解性プラスチックなどがある。
また上記樹脂は、互いに混合すること、または変性することで、また別の性質を持った樹脂を作り出すことが出来る。たとえば、ABS樹脂は、ハイラバーABS樹脂(略号:HR−ABS)とAS樹脂とのブレンドポリマーであり、変性PPO(E)樹脂はポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂とHIPSのブレンドポリマーである。
【0172】
次にそれらのアロイの代表的な例を示すと、PA/変性PPOあるいはE{以下、PA/変性PPO(E)と略す}、PA/エラストマー、PA/PC、PA/ABS、POM/エラストマー、PC/ABS、PC/PBT、PC/PET、PC/PMMA、PBT/ABS、PBT/PET、PBT/変性PPO(E)などが現在のところでは、生産されており、将来は樹脂の組み合わせが数限りなく考えられることから、更に増えてくると予想される。
【0173】
また、成形材料の中には上記の樹脂との混合ばかりではなく、無機質、有機質の物との複合化によって更に化学的、物理的な性能の向上を狙った材料、一般に複合材料と呼ばれているものもある。
【0174】
たとえばそれらは、コストを下げる目的で添加される「充填材」、あるいは補強を目的で添加される「強化材」などがある。以下それらの例としては無機充填材および有機充填材がある。
【0175】
樹脂の熱的性質、たとえば、熱変形温度、脆化温度、ビカット軟化点温度、融点などや、機械的性質、たとえば、引っ張り破断点強度、引っ張り降伏点強度、破断点伸度、曲げ強度、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度などを改善するために添加される材料として「強化材」がある。
【0176】
それらとしては、たとえば炭素中空体、無煙炭粉末、人造水晶石、シリコーン樹脂微粉末、シリカ球状微粒子、ポリビニルアルコール繊維などがある。
また樹脂は、本来有機化合物であるので燃えやすい性質を持っている。この性質を改良して耐炎性を高める目的で添加される物質が「難燃剤」であり、無機化合物難燃剤、有機化合物難燃剤、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、反応型難燃剤、難燃化安定剤、シリコン樹脂などがそれに該当する。
【0177】
また、それ自体は硬くて剛性を持つ樹脂に配合して、柔軟性、弾性、加工性などを付与し、使用目的に適合させる為に用いられる薬品が「可塑剤」であり、各種誘導体がそれに相当する。
【0178】
例えば、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイン酸誘導体、トリメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、ステアリン酸誘導体、その他の脂肪酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体、その他のモノエステル系可塑剤、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体、重合形可塑剤、その他の可塑剤などがある。
【0179】
また、主に装飾的な色付け目的で配合する材料を「着色剤」といい、ふつう顔料が用いられる。ここで顔料とは、水や溶剤などには溶けない色のある粉末のことであり、水に溶ける色のある粉末を特に染料と呼んでいる。これらの例としては、以下に述べるものがある。
【0180】
無機顔料において、白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトポン、バライト、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、沈降性シリカなどがあり、
黒色顔料としては、カーボンブラック、ランプブラック、チタンブラック、合成鉄黒、複写機用廃トナー(以下、「廃トナー」と称する)などがある。
【0181】
灰色顔料としては、亜鉛末、亜酸化鉛、スレート粉などがあり、
赤色顔料としては、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、銀朱、べんがら、モリブデン赤、鉛丹;光明丹などがあり、
褐色顔料としては、アンバー、酸化鉄茶、カドミウム黄などがある。
黄色顔料としては、亜鉛黄、黄土;オーカ及びシエナ、黄色酸化鉄:合成オーカ、黄鉛、チタン黄などがあり、
緑色顔料としては、酸化クロム、コバルト緑、クロム緑などがあり、
青色顔料としては、群青、紺青・鉄青、コバルト青などがあり、
【0182】
金属粉顔料としては、プラスチックにメタリックな感じを与えるための、アルミ粉、ブロンズ粉などがあり、
その他メタリック顔料としてマイカなどがある。
【0183】
有機顔料において、アゾ顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、塩基性染料系レーキ、媒染染料系レーキおよび建染染料系顔料が必要に応じて用いられる。
フタロシアニン顔料、ジオキサジン系顔料、有機蛍光顔料などがある。
【0184】
また、プラスチックの加工に際して溶融樹脂とある程度の相容(溶)性などを持って、流動性を増すと同時に摩擦抵抗を減少させて粘着を防ぎ、加工性の向上を目的に添加する物に「滑剤」がある。これらの例としては、以下に述べるものがある。
【0185】
パラフィン及び炭化水素樹脂、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、複合系、その他の滑剤などがある。
【0186】
また、プラスチックは紫外線の作用によって変色、脆化などの劣化を起こすが、この様な有害な紫外線を吸収し、破壊作用から樹脂を保護するために用いられるものとして「紫外線吸収剤」がある。以下それらの例について説明する。
【0187】
サルチル酸誘導体、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、その他の紫外線吸収剤、ヒンダート・アミン系光安定剤などがある。
【0188】
樹脂成型品の静電気対策として添加される物に「帯電防止剤」があり、以下それらの例として、金属不活性剤、核剤、中和剤及び制酸剤等を挙げることができる。
また、製品である樹脂成型品の老化を防ぎ、その寿命を長くする目的で「老化防止剤」、「酸化防止剤」、「オゾン劣化防止剤」、「抗菌剤」などが添加される。
上述のように合成樹脂は、その他いろいろな添加剤が含まれている。この様な添加剤はそれぞれ目的に応じて色々用いられるものである。
【0189】
次に上記樹脂成型品の成形加工法について以下に述べる。
本発明の実施形態として適用出来る成形加工法は、熱可塑性樹脂の成形加工法の全てを適用することが出来る。
例えば、射出成形法:一般成形(ソリッド成形)、ガスアシスト成形、液状ガスアシスト成形法(例えばHELUGAなど)、サンドイッチ成形法、二層成形法、二色成形、多色成形、多層成形、混色成形、タンデム射出成形法、SPモールド法など、真空成形法、圧空成形法、押し出し成形法、異形押し出し成形法、ブロー成形法、回転成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法、積層成形法、発泡成形法、射出圧縮成形法、圧縮成形法、中空成形法、モノフィラ成形法、注型、粉末成形法などである。
【0190】
使用者の目に触れる部分の外観を良くするための装飾性等の主にカバーマーク(化粧)を目的として、上記樹脂成型品の主として外表面、場合によっては内表面(開かれる場合)に対して、成型品の厚さに比べて充分薄く塗布される塗膜を構成する塗料は、その組成として、基材である樹脂成型品の主成分である上述した熱可塑性樹脂に対して親和性を有する熱可塑性樹脂であり、その基材自身も該当する。
【0191】
さらに、シリコン変性ポリイミド樹脂、スチレン化アルキド樹脂、PP用アクリル樹脂、酢ビ/アクリル樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アルコール可溶性フェノール樹脂、ナイロン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、高塩素化ポリプロピレン、高塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、アクリル変性塩素化PP、ロジンエステル、ロジン変性フェノール、塩ビ/ビニルイソブチルエーテル、ポリビニルブチラール、酢ビ/ビニルアルコール、塩ビ/酢ビ、ポリアミド樹脂、スチレン変性アクリル樹脂、アクリル樹脂(MMA/EA)、アクリル樹脂(MMA)、アクリル樹脂(EMA)、アクリル樹脂(BMA)、スチレンアクリル樹脂Em、アクリル樹脂Em、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂Em、高分子エポキシ樹脂、アクリル変性PP、成型品を構成する樹脂と親和性を示すフッソ樹脂、ウレタン化アルキド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フッソ樹脂Em、塩化ビニル樹脂、酢ビアクリル樹脂、フタル酸アルキド、ウレタン化エポキシ樹脂、シリコン樹脂Em、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、ブタジエン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ゴム樹脂、塩化ゴム、スチレンブタジエンラテックス、酢酸ビニル樹脂Em、スチレン樹脂Em、スチレンブタジエン樹脂Em、ブタジエンニトリル樹脂Em、水溶性アルキド樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性アクリル樹脂およびこれらの変性タイプの樹脂なども塗料用樹脂として用いられる。ここで略号Emは「エマルジョン、或いはエマルション」を表す。これらの塗料用樹脂は単独あるいは2種以上の樹脂を併用して塗料化して用いることも出来る。ここで親和性を示す熱可塑性樹脂として例えば、基材がABS樹脂には、同質のABS樹脂があり、ABS樹脂以外では、AS(SAN)樹脂、ASA樹脂、CA樹脂、PC樹脂、PMMA樹脂、PBT樹脂、TPU樹脂、PVC樹脂、PET樹脂、ブレンドPC/PBT樹脂、ブレンドPC/ABS樹脂などがある。これらの例を表67に示す。
【表67】
【0192】
塗料を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、成型品の主成分であるABS樹脂(AS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ASA樹脂、AAS樹脂を含む)、HIPS樹脂、スチレン変性PPO(E)樹脂、PC/ABS樹脂、PC/HIPS樹脂などと親和性などの性質を持つものとして、スチレン化アルキド樹脂、酢ビ/アクリル樹脂、スチレン変性アクリル樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂エマルジョン(エマルション以下同様)、アクリル樹脂エマルジョンなどがある。
【0193】
例えば、
三井東圧化学(株)製の樹脂、商品名、及びグレードは、アルマテックス L1043,アルマテックス L2100,アルマテックス L1090F,アルマテックス L1042,アルマテックス L1044,アルマテックス L1093、
(株)日本触媒製の樹脂、商品名、及びグレードは、アロセット5210,アロセット5217,アロセット5221,アロセット5227,アロセット5242、
(株)日本触媒製の樹脂、商品名、及びグレードは、アクリセットSC−309A,アクリセットSC−309J、
(株)日本触媒製の樹脂、商品名、及びグレードは、アロロン450,アロロン453,アロロン460,アロロン480,アロロン482、
三菱レイヨン(株)製の樹脂、商品名、及びグレードは、ダイヤナールLR−469,ダイヤナールLR−186,ダイヤナールLR−485,ダイヤナールLR−143,ダイヤナールLR−158,ダイヤナールLR−001,ダイヤナールLR−177,ダイヤナールLR−214,ダイヤナールLR−163,ダイヤナールLR−162,ダイヤナールLR−167,ダイヤナールLR−396,ダイヤナールLR−574,ダイヤナールLR−194、
【0194】
大日本インキ化学工業(株)製の樹脂、商品名、及びグレードは、アクリディック(ACRDIC)Aー157,アクリディック(ACRDIC)DL−967,アクリディック(ACRDIC)A−165,アクリディック(ACRDIC)Aー166,アクリディック(ACRDIC)A−167,アクリディック(ACRDIC)A−190,アクリディック(ACRDIC)Aー195,アクリディック(ACRDIC)CL−1185,アクリディック(ACRDIC)ALー169ー45,アクリディック(ACRDIC)56ー1155,アクリディック(ACRDIC)ALー1157、
日立化成工業(株)製の樹脂、商品名、及びグレードは、ヒタロイド1552,ヒタロイド1553,ヒタロイド1508,ヒタロイド1512、
などがそれである。
【0195】
ポリプロピレン樹脂と親和性などの性質を持つ塗料を構成する熱可塑性樹脂は、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、アクリル変性塩素化ポリオレフィン、アクリル変性塩素化ポリエチレン、アクリル変性塩素化ポリプロピレン、塩素化変性ポリオレフィン、塩素化変性ポリエチレン、塩素化変性ポリプロピレンなどがあり、
それらの例としては、例えば、
日立化成工業(株)の樹脂、商品名、及びグレードは,ヒタロイド1508、ヒタロイド1512、
三菱レイヨン(株)製の樹脂、ダイヤナールJR−1478,ダイヤナールJR−1409、
日本製紙(株)製の樹脂、スーパークロン773H,スーパークロン822,スーパークロン892L,スーパークロン832L,スーパークロン803L,スーパークロンL,スーパークロン803MW,スーパークロンE,スーパークロン803M,スーパークロン813A,スーパークロン803H,スーパークロン804M,スーパークロンC,スーパークロン814H,スーパークロンL−206,スーパークロンA,スーパークロンB,スーパークロンBX、
などがそれである。
【0196】
成型品の主成分である熱可塑性樹脂が、ABS樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、スチレン変性ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、またはそれらに類する樹脂の少なくとも1つによって構成される。
【0197】
上記成型品の主成分である熱可塑性樹脂に対して親和性を有する塗膜の主成分である熱可塑性樹脂が、ABS樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン化アルキド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ハロゲン化ポレオリフィン樹脂、ハロゲン化ポリエチレン樹脂、ハロゲン化ポリプロピレン樹脂、酢酸ビニル変性(変成)アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン変性(変成)アクリル樹脂、スチレンアクリルエマルジョン(エマルション)、アルキド樹脂/硝化綿、熱可塑性アクリル樹脂/硝化綿、酢酸ビニル変性(変成)アクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン変性(変成)アルキド樹脂、ポリビニルブチラール、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン変性(変成)アクリル樹脂、アクリル変性(変成)熱可塑性ウレタン樹脂、またはそれらの変性(変成)樹脂、誘導体またはそれらに類する樹脂の少なくとも1つによって構成される。
【0198】
成型品の主成分である熱可塑性樹脂がABS樹脂の場合は、塗膜の主成分である熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、スチレン化アルキド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、酢酸ビニル変性(変成)アクリル樹脂、スチレン変性(変成)アクリル樹脂、スチレンアクリルエマルジョン(エマルション)、アルキド樹脂/硝化綿、熱可塑性アクリル樹脂/硝化綿、酢酸ビニル変性(変成)アクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン変性(変成)アルキド樹脂、ポリビニルブチラール、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン変性(変成)アクリル樹脂、アクリル変性(変成)熱可塑性ウレタン樹脂、またはそれらに類する樹脂の少なくとも1つによって構成することが出来る。
【0199】
成型品の主成分である熱可塑性樹脂がハイインパクトポリスチレン樹脂の場合は、塗膜の主成分である熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂、スチレン化アルキド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、スチレン変性(変成)アクリル樹脂、スチレンアクリルエマルジョン(エマルション)、ウレタン変性(変成)アルキド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン変性(変成)アクリル樹脂、アクリル変性(変成)熱可塑性ウレタン樹脂またはそれらに類する樹脂の少なくとも1つによって構成することが出来る。
【0200】
成型品の主成分である熱可塑性樹脂がポリフェニレンエーテル樹脂の場合は、塗膜の主成分である熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂、スチレン化アルキド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、スチレン変性(変成)アクリル樹脂、スチレンアクリルエマルジョン(エマルション)、ウレタン変性(変成)アルキド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン変性(変成)アクリル樹脂、アクリル変性(変成)熱可塑性ウレタン樹脂またはそれらに類する樹脂の少なくとも1つによって構成することが出来る。
【0201】
成型品の主成分である熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂の場合は、塗膜の主成分である熱可塑性樹脂が、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ハロゲン化ポリオレフィン樹脂、ハロゲン化ポリエチレン樹脂、ハロゲン化ポリプロピレン樹脂またはそれらに類する樹脂の少なくとも1つによって構成することが出来る。
【0202】
成型品の主成分である熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂の場合は、塗膜の主成分である熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル、酢酸ビニル変性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン変性アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ハロゲン化ポリオレフィン樹脂、ハロゲン化ポリエチレン樹脂、ハロゲン化ポリプロピレン樹脂またはそれらに類する樹脂の少なくとも1つによって構成することが出来る。
なお、上記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と塗膜の主成分である熱可塑性樹脂とを組み合わせて、本発明者らが行ったリサイクル性のチェックの結果が、表138に示される。
【表138】
【0203】
また相容(溶)化剤や樹脂改質剤{以下、「相容(溶)化剤」と総称する。}と称せられる天然型、合成型の高分子も塗料用の樹脂となる。それらは市販されていて例えば、シェル化学の商品名Kraton、Rohm and Haasの商品名Paraloid、Uniroyalの商品名Royaltuf、Exxon Chem.の商品名Exxelor、Arco Chem.の商品名Dylark、CdF Chimieの商品名Lotader、日本油脂の商品名モディパー,ブレンマーやアリアリム、住友化学工業の商品名ボンドファーストやボンダイン、三洋化成工業の商品名ユーメックス、日本触媒化学工業の商品名RPS,RAS、長瀬産業が輸入している商品名BENNET、呉羽化学工業の商品名レクスパールRA、日本石油(化)のレスクパール、三菱油化の商品名VMX、三井石油化学の商品名Admer、旭化成工業(株)の商品名タフテック、東亜合成の商品名Resadaなど多数ある。それらは例えば、P(St−SEBS)、エポキシ変成PS−g−PMMA、SBSSEBSとそのマレイン化物、マレイン化ポレオレフィン、EVA(67/33wt)の50部にStを50部含浸重合させたもの、P(MMA−CO−C"4−CO−St)、MBS、P(C"2−CO−GMA)、P(C"2−CO−EA−CO−Mah),EA:5〜32%Mah:1.7〜3.2%、P(C"2−CO−GMA),GMA:5〜15%、P(C"2−CO−EAーCO−Mah)、P(St−CO−Mah)、ポレオレフィンのマレイン化物、マレイン化EPDM、EPDM−g−P(St,AN)、コア・シェルタイプのブロックコポリマーで例えば内:Pbu.Ac,外:PMMA、水添SBS(SEBS)および,そのマレイン化物、スチレン/エチレン/ブタジエンブロック共重合物、ポリエチレン/ポリメチルメタクリレート(PMMA)ブロック共重合物、ポリエチレン/ポリスチレン(またはPMMA)グラフト共重合物、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、スチレン/無水マレイン酸共重合物、エチレン/グリシジメタクリレート共重合物、エチレン・グリシジメタクリレート共重合物へのスチレン(またはMMA)グラフト共重合物、クルミフェノール、無水マレイン酸グラフトPE、カルボン酸変性PE、SEBS、CPE、多官能モノマー+過酸化物、PSグラフトPE,PS−PEブロック共重合体、アイオモマー、カルボン酸,無水酸変性PE、エチレン−メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸グラフトPP、アクリル酸グラフトPP、塩素化パラフィン、無水マレイン酸グラフトSEBS、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、無水マレイン酸グラフトEPR、無水マレイン酸グラフトSEBS、反応性PS、塩素化PE、ポリアクリル酸イミド、EPDM、EPR、EPDM−PPGP、PS−LDPEGP、PS−PEGP、SBS、水添SB、SB,S−EP,SIS、S−I−HBD,SEBS、SBS,PS−PEGP、SI、PS−PbdGP、PS−PMMABP,GP、PS−PMMABP,GP、PS−PMMABP、PS−PCLBP、塩素化SB、PS−PEAGP、水添Pbd−PCLBP、EVA、PCL−PSBP,CPE、EPDM−g−PMMA、BR−PMMABP、PS−PMMABP、水添SIS,SEBS、PS−PABP,SEBS、PF−g−PMMA、PF−g−PS、PS−PIBP、POE−PAGP、PDMS−PEOBP、PP−PAGP、PS−PBABP、COOH化PEorp(E−MAA)、Ionomer、MAH化PP、MAH化EPR、RAM、p(St−MAH)orp(St−MI)、p(St−AA)orp(St−AA−MAH)、p(St−An−MAH)、p(St−MAH)orMAH化EPR、p(MAH−アクリレート)、COOH化PP、p(St−MMA−MAH)、スルホン化PS、MAH化PP/末端アミノ基NBR、MAH化SBSorMAH化SEBS、PS−PMMAGP、PS−PEGP、SIRAM、PS−PABP、PS−PEAGP、PS−PFGP、PS−PIBP、EPRRAM、PEO−PAGP、PMDS−PMMAGP,BP、PP−PAGP、PP−EPDMGP、Ac−cell−PANGP、PMMA−EPDMGP、PMMA−PEGP、PEO−PMDSBP、CPERAM、PS−PBABP、MAH化PPGP、COOH化PPGP、MAH化PPGPor末端アミノNBRRAM、SBS、COOH化PEGPorp(E−MAA)RMA、水添PB−PMMAGP、CPERAM、塩素化PERAM、CPERAM、EPDMRAM、SBGPorSISorS−IーHBDorSBSorCPE、p(St−MAA)RAM、MAH−StGP、MAH化EPRRAM、スルホン化PSRMA、SBS、PS−PCLBP、PS−EPGP、SEBS、水添PB−PCL、EVARAM、PS−PMMABP、水添SISorSEBS、p(MAH−アリレート)RAM、p(St−MAH)orp(St−MI)RAM、EPDMRAM、水添SBRAM、塩素化SBRAM、p(St−AA)orp(St−AAーMAH)RAM、p(St−AN−MAH)RAM、p(St−MAH)RAM、PR−PMMA BP、p(St−MMA−MAH)RAM、スチレン改質PE、スチレン改質EVA、スチレン改質PP、(メタ)アクリル酸エステル改質PE、(メタ)アクリル酸エステル改質PP、酢酸ビニル改質EVA、官能基含有VMX、PS−PIブロック、PS−PMMAブロック、PS−PEブロック、PS−PEAグラフト、PS−PBグラフト、CPE、EPR、PP−EPDMグラフト、PP−PAグラフト、PEO−PAグラフト、PDMS−PEOブロック、LDPE−g−PS、LDPE−g−PMMA、LDPE−g−AS、PP−g−PS、PP−g−AS、EEA−g−PS、EEA−g−PMMA、E〜EA−g−AS、EVA−g−PS、EVA−g−PMMA、EVA−g−AS、P(C"2,GMA)−g−PS,60/10/30wt、P(C"2,GMA)−g−PMMA,60/10/30wt、P(C"2,GMA)−g−P(AN,St),60/10/10/20wt、P(C"2,EA,Mah)−g−PMMA,60/8/2/30wt、E/EA/MAh−g−PS、E/EA/MAh−g−PMMA、E/EA/MAh−g−AS、P(C"2,EA,Mah)−g−P(AN,St),60/8/2/10/20wt、商品名がボンドファースト(グレード:2C, E, 2A,7A, 2B, 7B, 20B, 7L, 7M, 20M)と称せられるエチレンとGMAとのコポリマーの他に酢酸ビニル(略号:VA), メチルアクリレート(略号:MA)も共重合させたもの、E−GMA、E−GMA−VA、E−GMA−MA、商品名がボンダイン(グレード:FX8000, LX4110, HX8210, TX8030, HX8290, HX8140, AX8060, AX8390)と称せられるエチレンと2〜4wt%のMAHに加えてエチルアクリレート(略号:EA)が共重合されたターポリマー、旭化成工業(株)のエラストマー(商品名:タフテック)はSB系のブロックコポリマーのポリブタジエン部分を水添したSEB系熱可塑性エラストマー、EVA/EPDM/ポリオレフィン系グラフトコポリマー、荒川化学工業(株)の相容(溶)化剤でグレードがGMA−1, GMA−2, GMA−3, GMA−4, GMA−5, GMA−6, GMA−7, GMA−8, GMA−9, OH−1, 0H−2,0H−3, OH−4, 0H−5, OH−6, DE−1, DE−2, DE−3, DE−4, DE−5, DE−6、スチレングリシジルメタクリレート(略号:St−GMA)共重合体、スチレン−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(略号:St−2HPMA)共重合体、スチレン−ジエチルアミノエチルメタクリレート(略号:St−DE)、P(MAH−アリレート)、S−EPGP、PS−PCLBP、SBS、スルホン化PS、MAH化EPR、MAH−StGP、P(St−MAA)、SBGPorSISorS−I−HBDorSBSorCPE、EPDM、COOH化PE、COOH化PPorP(E−MAA)、MAH化PPor末端アミノNBR、COOH化PP、MAH化PP、PMMA−EPDMGP、PP−EPDM−GP、PP−PAGP、PEO−PAGP、EPR、PS−PIBP、PS−PFBP(ブロックポリマー)、SI、PS−PEGP、PS−PBGP、PS−PEGP、PS−PMMAGP(グラフトポリマー)、多層構造アクリレート、ポレオレフィン系グラフトおよび反応性ポリオレフィン系グラフトコポリマー、EVA/EPDM/ポリオレフィン系グラフトコポリマ−、EGMA、P(Et−CO−EA−CO−MAH)、SEBS、EGMA、酸変性SEBS、ポリオレフィン系グラフトコポリマー、マレイン化EPDM、マレイン化PE、マレイン化PP、マレイン化EVA、マレイン化SEBS、スチレン・無水マレイン酸コポリマー、SANグラフトEPDM、反応性ポリスチレン、ポリカプロラクトンーbーポリスチレン、反応性スチレン・アクリロニトリルコポリマー、イミド化ポリアクリレート、エチレン・グリシジルメタクリレート・アクリル酸コポリマー、反応性フェノキシ、ペルオキシドポリマー、ポリカプロラクトン、FVA、EVA/EPDM/ポリオレフィン系グラフト、アニオン重合ジブロックコポリマー、水素添加スチレンーイソプレンブロックコポリマー、エチレン無水マレイン酸ーMMA三元ポリマー、酸変性スチレン系ブロックコポリマーなど、およびそれらの誘導体などが上げられる。ここで、EVAはエチレン−酢酸ビニル共P重合体、EPDMはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、EGMAはエチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、SEBSはスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、GMAはメタクリル酸グリシジル、MAH(Mah)は無水マレイン酸、EAはアクリル酸エチル、PIはポリイミド、PEAはポリアクリル酸エチル、PBはポリブタジエン、PBはポリブタジエン、EPRはエチレンープロピレンゴム、PEOはポリエチレンオキサイド、PDMSはポリジメチルシクロヘキサン、EEAはエチレンーエチルアクリレート共重合体、EVAはエチレン酢酸ビニル共重合体、EEAはエチレン−エチルアクリレート共重合体、MAはメタクリル酸メチル、VAは酢酸ビニル、Eはエチレン、Stはスチレン、Pstはポリスチレン、GMAはグリシジルメタクリレート、2HPMAは2−ヒドロキシメタクリレート、DEはジエチルアミノエチルメタクリレート、ANはアクリロニトリル、MMAはメチルメタクリレートの略号である。
【0204】
上記熱可塑性樹脂で成型品を構成する樹脂と親和性を有する樹脂を、例えばアクリロニトリル・スチレン共重合樹脂を溶剤などを用いて溶解してワニス化して、顔料および染料、その他添加剤などを加えて塗料としたものを、これをABS樹脂等の成型品の外表面に薄く塗装する。そして表面に薄い塗膜が塗布された樹脂成型品が商品として市場に出荷した後、再び回収された成型品は、従来の様に塗膜を剥ぎ取ることなくそのまま粉砕して、再びペレット化(以下、「リ・ペレット」,「再ペレット」などと称する)して、再び成形材料として使用出来ることになる。これは、表面の塗装に用いた樹脂が成型品の樹脂と十分に親和性、熱接着性など、あるいは相容(溶)性などの性質を持っているからである。
【0205】
また、成型品の主成分である熱可塑性樹脂がHIPS、或いは変性PPO(E)樹脂である場合の塗料としては、PS樹脂(GP)などをAS樹脂(SAN)の場合と同様に塗料化してから、前記成型品の表面に塗装をすると、再び再生が可能であることがわかる。 実際の塗装において、塗装の膜厚は0.1μm〜300μm程度であり、今仮に塗膜の厚さが15μmの場合を考えてみたときに、肉厚が3mmの成型品に一回塗装をすると、塗料と成型品の重量比は1:200(0.5%)となり、これぐらいの塗料樹脂が、成型品の基材の樹脂に混ざっても、基材樹脂の熱可塑性樹脂に熱可塑性樹脂である塗膜とが親和性、熱接着性など、あるいは相容(溶)性などの性質を有しているから問題にはならないのである。
【0206】
5回のリサイクルを繰り返した成型品には、0.5%×5(塗装の回数、或いはリサイクルの回数)=2.5%の塗膜が混入することになるが、親和性、熱接着性など、あるいは相容(溶)性などの性質を持っているので問題は無く、物理的化学的物性の変化には、それほど大きく寄与しない。
【0207】
リサイクル(以下、「リ・リサイクル」,「再・リサイクル」,「再リサイクル」などと称する)可能な塗料などを作るためには、まず初めに考えなければならないことは、成型品に使用されている樹脂が何であるかを調査して、次にその樹脂と親和性を有する樹脂がどの様な物であるかを調査する。そして後者の樹脂を何らかの溶剤などを用いて溶解した物に顔料や染料、その他安定剤、表面調整剤(レベリング剤)、顔料分散剤、沈殿防止剤、消泡剤などの塗料用添加剤を加えて塗料などとするものである。また溶剤を使用しない粉体塗料とすることも出来る。
【0208】
上記塗料の種類と形態としては、溶剤型塗料、エマルジョン(エマルション)型塗料、サスペンジョン型塗料、水溶性塗料、水性塗料、粉体塗料、ハイソリッド塗料、無溶剤化塗料、超臨界流体を含有する塗料、二酸化炭素、He、Ne、Ar、窒素ガスなどの不活性ガス、LPG、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、などの可燃性ガス、空気、酸素、塩素などの示燃性ガス(助燃性ガス)を液化した液化ガスを含有する塗料などがある。
親和性、熱接着性など、あるいは相容(溶)性などの性質を有する熱可塑性樹脂の組み合わせの代表的な例を、表67のマトリックスに示した。
【0209】
ところが実際には、表67に記載された樹脂以外にも、塗料化出来る樹脂は、他にも考えられる。塗料を構成する樹脂は、成型品を構成する樹脂と親和性を持っていればよい。塗料化が簡単な樹脂例を考えるために、親和性、熱接着性など、あるいは相容(溶)性などの性質を持つポリマーの分子構造から考えてみると、
例えば、成形用樹脂がポリスチレンの場合には、化1に示されるように
【化1】
−OH(水酸基)を持たせたもの、あるいは−COOH(カルボキシル基)、−SO3H(スルフォン基)などを持たせて変性した変性スチレン樹脂、或いはその共重合体が考えられる。
【0210】
また、相容(溶)化剤と呼ばれている天然型熱可塑性樹脂や合成された熱可塑性樹脂もリサイクル可能な塗料の製造が出来る。
また成型品を構成する樹脂と、塗膜を構成する樹脂とが直接親和性を有しない場合でも、塗膜を構成する樹脂に相容(溶)化剤を混合することで親和性を有するリサイクル可能な塗料の製造が出来る。
【0211】
また成型品を構成する樹脂と、塗膜を構成する樹脂とが直接親和性を有しない場合でも、これら相容(溶)化剤をリペレット時あるいは成形加工時に添加することで互いの樹脂どうしに親和性が生まれて成型品を構成する樹脂と、塗膜を構成する樹脂とが直接親和性を有しない場合にもリサイクルが可能となる。
そうすれば、塗料用の樹脂と成型品の樹脂とが親和性、熱接着性など、あるいは相容(溶)性などの性質を持っているかどうかの判定が必要になってくる。親和性、熱接着性など、相容(溶)性などについて以下に詳述する。
【0212】
再生可能性を評価するための重要な要因である親和性、熱接着性など、相容(溶)性を判断するための測定方法について、以下に示す。
1.形態学的測定法
(1)透明性、屈折率の測定
(2)光学および位相差顕微鏡、電子顕微鏡観察;光学顕微鏡(OM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)による分散状態の観察。
(3)光散乱法
(4)X線小角散乱法
(5)中性子線小角散乱法
(6)X線回折法
(7)蛍光法
【0213】
2.固体物性による測定法
(1)比容の加成性
(2)屈折率法によるガラス転移点(Tg)の測定
(3)ディラトメトリーによるガラス転移点(Tg)の測定
(4)示差熱分析(DTA)によるガラス転移点(Tg)の測定;結晶点が見られることにより相容性または相溶性と判定。
(5)示差走査熱分析(DSC)によるガラス転移点(Tg)の測定;結晶点が見られることにより相容性または相溶性と判定。
(6)熱光度分析(TOA、TP)によるガラス転移点(Tg)の測定
(7)力学緩和の測定
(8)誘電緩和の測定
(9)磁気緩和(パルス法NMR)の測定
(10)FT−IRを用いる場合;フーリエ変換赤外吸収スペクトルより異種高分子間の強い相互作用が認められれば相容性または相溶性と判断。
【0214】
3.熱力学的測定法
(1)共通溶媒*1)からの沈殿性や、濁度の変化量(率)の測定
*1)2種の高分子を同時に溶かす溶媒を用いたポリマーブレンドの溶液
(2)混合熱の測定
(3)粘度の測定(Feldman法)
(4)浸透圧の測定
(5)溶解性パラメーター(δ、SP値)によるガラス転移点(Tg)の測定による測定(Smallの計算法、粘度法、膨潤法、ガスクロマトグラフィー法)
(6)動粘度弾性測定を用いる場合;tanδの測定。
【0215】
4.その他の方法
(1)折り曲げ試験(金型によって加工された平板や円筒形状などや押し出し機より得られたストランドなどの破壊テストなど)
(2)ゴバン目試験
(3)切片フィルムによる界面状態の観察
【0216】
ポリマーブレンドの相容性などに関する理論については、統計熱力学に、混合する成分高分子の混合前後のギブス自由エネルギー変化を混合組成、温度、高分子の分子特性パラメータの関数として表すことにより論じられている。そして、高分子成分が相容(溶)するか相分離するかは、相図を作ることにより論じられている。
【0217】
実際に、本発明の後述する実施例における塗料#10に用いられている樹脂(スチレン変性アクリル樹脂)が、ABS樹脂またはHIPS樹脂より成る樹脂成型品を再生したものと熱接着性など、相容性などの性質を有しているかを判定するために実施した結果を示す透過型電子顕微鏡写真(以下、「TEM写真」と称する)の写しを図6および図7に示した。塗料#10に用いられている樹脂(スチレン変性アクリル樹脂)の黒色染色にはOsO4 、RuO4 を用いた。
【0218】
図6および図7に示されるTEM写真の写しから明らかなように、塗料#10の樹脂が、樹脂成型品の主成分であるABS樹脂またはHIPS樹脂に容易に単分散すなわち均一に分散され、単軸押し出し装置(単軸押出装置)により混練されているため、ABS樹脂またはHIPS樹脂中において1〜2μ程度の粒径となり、この分散粒子は、長円化し、所謂、黒色の細長い島状の海島構造を持つことより、不均一系の相容(溶)系と考えられる。又、ABS樹脂またはHIPS樹脂と相容(溶)性を持たないと考えられる熱硬化性ウレタン樹脂塗料を同様に再生したが、TEM写真撮影を実施した結果を示す。図8および図9から明かなように、スチレン変性アクリル樹脂とは異なり、海島構造(図6、図7参照)は示していていない。ミクロトームによって薄い切片フイルムを作成した際にABS樹脂およびHIPS樹脂と塗料#10の樹脂(スチレン変性アクリル樹脂)との界面には十分な親和性が認められそれぞれの樹脂の界面には剥離などが認められなかった。一方ウレタン樹脂の場合には、界面に剥離が認められ、親和性がないと判断した。
【0219】
TEM写真の写しからも明らかなように、ABS樹脂に対してのAS樹脂(塗料#30を構成する樹脂)、HIPS樹脂に対してのPS樹脂(塗料#20を構成する樹脂)は、該AS樹脂およびPS樹脂が、それぞれABS樹脂およびHIPS樹脂を製造するときの原料であることから、それぞれの樹脂が相容(溶)などをすると思われるので、あえてTEMによる観察は行ってはいない。
【0220】
図50に示されるTEM写真は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂に、スチレン変性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック 56−1155}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂には、{三菱化成ポリテック(株)製 PS樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤレックス HF−77}を用いて混合し再生した成型品のTEM写真である。
【0221】
図50に示されるTEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂は、成型品の主成分である熱可塑性樹脂であるPS樹脂内に均一に単分散し、しかも球形をなし、大きさも1μm以下の最も理想的な、海島構造を示している。それぞれの界面には剥がれが見られないことより、十分な相容性を示し、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0222】
図51に示されるTEM写真は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂に、スチレン変性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック 56−1155}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂には、{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 120}を用いてリサイクルした成型品のTEM写真である。
【0223】
図51のTEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂はABS樹脂内に均一に単分散し、しかも球形をなし、大きさも0.5μm以下の最も理想的な、海島構造を示している。それぞれの界面には剥がれが見られないことより、十分な相容性を示し、結果、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0224】
図52に示されるTEM写真は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂に、スチレン変性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック 56−1155}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂には、{三菱化成ポリテック(株)製 PS樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤレックス HF−77}を、更に塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂のモルフォロジーを変化させる為に、相容(溶)化剤として〔日本油脂(株)製の相容(溶)化剤 商品名、及びグレード モディパー BT200{P(AN−r−St)−b−PMMA=10/20/70}]5%更に添加して再生した成型品のTEM写真である。
【0225】
図52のTEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂はPS樹脂内に均一に単分散はしているが、しかし溶融樹脂の流れ方向に添って長円化し、しかも一定方向に配向しているのが観察される。
しかし、前記図50のTEM写真に比べて、塗膜を構成する熱可塑性樹脂は、更に小さくなっているのが分かる。
【0226】
図53に示されるTEM写真は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂に、スチレン変性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック 56−1155}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂には、{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 120}を、更に塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂のモルフォロジーを変化させる為に、相容(溶)化剤として〔日本油脂(株)製の相容(溶)化剤 商品名、及びグレード モディパー BT200{P(AN−r−St)−b−PMMA=10/20/70}〕5%更に添加してリサイクルした成型品のTEM写真である。
【0227】
図53のTEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂はABS樹脂内に均一に単分散しているが、しかし溶融樹脂の流れ方向に添って一部は長円化し、しかも一定方向に配向しているのが観察される。
【0228】
塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂内に島状に分散して海島構造を呈する場合であって、前記島状に分散した前記塗膜を構成する前記熱可塑性樹脂の長辺に対する短辺の比である縦横比が、0.2から1であるのが望ましいが、上記したTEM写真または後述するTEM写真からも明らかなように、前記縦横比が、0.1またはそれ以下であっても剥がれが発生しない場合は用途によっては十分使用に耐えるものであり、リサイクル可能な場合がある。
【0229】
PP樹脂用の塗料用樹脂;塩素化ポリプロピレンについて、
リサイクル塗料に用いる塩素化ポリプロピレンは、塩素含有率(重量%)が20%〜60%の物がPP樹脂との付着性が良好である。
塩素含有率が低くなれば、PP樹脂との親和性が増し、逆に高くなれば親和性が低くなる傾向にある。
塩素化ポリプロピレン樹脂に前記熱可塑性アクリル樹脂を共重合させた物が、アクリル変性(変成)塩素化ポリプロピレン樹脂である。
【0230】
また、塗料#10のスチレン変性アクリル樹脂と、ABS樹脂またはHIPS樹脂との親和性、熱接着性など、あるいは相容(溶)性などについて、示差走査熱量測定{略号;DSC(DIFFERENTIAL SCANNING CALORIMETER)}を実施したところ、スチレン変性アクリル樹脂と、ABS樹脂またはHIPS樹脂とが相容(溶)などすれば、転移点に変化があることを想定したが、実際は変化は認められなかった。スチレン変性アクリル樹脂は、235℃に転移点が認められるが、図10から図14に示されるようにスチレン変性アクリル樹脂と、ABS樹脂またはHIPS樹脂との混合樹脂には転移点が表れなかった。
【0231】
すなわち、図10に示されるようにスチレン変性アクリル樹脂は、前記DSCの測定結果からも235℃付近に転移点が認められるが、図11に示されるように235℃付近に転移点が認められないABS樹脂と混合して再生すると、スチレン変性アクリル樹脂の量的割合が少ないためか、図12に示されるように再生樹脂には、235℃付近に転移点が表れなかった。
【0232】
また該塗料のスチレン変性アクリル樹脂を、図13に示されるように235℃付近に転移点が認められないHIPS樹脂と混合して再生すると、スチレン変性アクリル樹脂の量的割合が少ないためか、図14に示されるように再生樹脂には235℃付近に転移点が表れなかった。
【0233】
次に、熱接着性などについて述べる。
成型品を構成する樹脂と塗膜を構成する樹脂とが、互いに相容(溶)性などを有していない場合でも、互いに熱接着性などを有する場合には、何回もリサイクルが可能である。 ここで熱接着性などとは、粉砕してペレット化するとき、例えば単軸の押し出し機加熱搭の熱によって溶融され、物理的な力によって、1000μm以下に細かく分散(細かく分散させる場合は、2軸の押し出し機などのように高混練性を持つ押し出し機の使用が望ましい)されて、あるいは成形加工時の成形機加熱搭の熱によって溶融され、物理的な力によって、1000μm以下に細かく分散され、互いの樹脂同士が溶融の段階、冷却固化の段階、冷却固化後の段階のいずれかでアンカー効果、投錨効果、ファスナー効果、共有結合、水素結合、ファンデルワールス力、クーロン力、吸着、静電気、拡散、界面張力、相容性、相溶性、粘弾性などの物理的、化学的な結合、効果、特性などによって熱接着などをすることを言う。
【0234】
上記従来の特開平6−134757のように熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を用いるものにおいては、成形加工時の熱によって互い樹脂同士が熱接着などをしないため、再生材は、著しく物性低下を招いてしまう。しかしながら、互いの樹脂同士が熱可塑性樹脂であって熱接着などをする場合は、それほど大きな物性低下は見られないものである。
【0235】
前記熱接着性などの評価方法として簡単なものは、互いの樹脂(成型品を構成する樹脂:塗膜を構成する樹脂)を重量比で100:10に混合して、押し出し機、または実験室的にはメルトインデェクサーを用いて溶融混練して得られた樹脂塊を冷却固化させた後に、ミクロトームによって数100μmないし数μmの薄い切片を作り、光学顕微鏡もしくは電子顕微鏡によって樹脂の界面を観察し、剥がれが無い場合には、互いの樹脂が熱接着性などを有すると判断することが出来る。また得られた前記樹脂塊を用いた成型品、あるいはパンケーキと称せられる試験片に、JIS K5400 8.4.2に準じてゴバン目テストをおこない90/100以上の付着性であれば、互いの樹脂は熱接着性などを有すると判断できる。
【0236】
また、上記塗料の組成物(配合)について、以下説明する。
上記塗料に用いることが出来る「溶剤」は、例えば、以下の通りである。
炭化水素系では、ノルマルヘキサン、低芳香族含有ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ターペン油、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどがある。
【0237】
アルコール系では、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノール、メチルイソブチルカルビノールなどがある。
【0238】
エ−テルアルコール及びエーテル系では、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ターシャリーブチルセロソルブ、3メチル3メトキシブタノール、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトールなどがある。
【0239】
エステル及びエーテルエステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸メトキシブチル、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどがある。
【0240】
ケトン系では、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、イソホロンなどがある。
【0241】
その他として、水、ジメチルホルムアミドなどがある。
その他超臨界流体や二酸化炭素、He、Ne、Ar、窒素ガスなどの不活性ガス、LPG、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、などの可燃性ガス、空気、酸素、塩素などの示燃性ガス(助燃性ガス)を液化した液化ガスなどがある。
【0242】
上記塗料に用いることが出来る「添加剤」は、一般に塗料用として使用されている添加剤の総て使用可能である。それらは、例えば、以下の通りである。可塑剤、消泡剤、色わかれ防止剤、色むら防止剤、浮き防止剤、界面活性剤、皮張り防止剤、増粘剤、沈澱防止剤、沈降防止剤、流れ止剤、たれ防止剤、防腐剤、防かび剤、紫外線安定剤、難燃剤、防汚剤、つや消し剤、塩化ビニル樹脂用安定剤、抗菌剤などがある。
【0243】
「顔料」及び「染料」としては、例えば、以下のものが用いられる。
白顔料としては、亜鉛華、アンチモン白、一塩基性硫酸鉛、鉛白、チタン白などがある。
黒顔料としては、カーボンブラック、ランプブラック、ボーン黒、黒鉛、鉄黒、廃トナー などがある。
赤顔料としては、クロームバーミリオン、べんがら、レーキレッド4R、カーミンFB、ジニトロアニリンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッド、ペリノンオレンジ、パーマネントレッド2B、レーキレッドR、ボンマルーンライト、ボルドー10B、ボンマルーンメジュウム、チオインジゴボルドー、ボンマルーL、ペリレンバーミリオン、ペリレンスカーレット、ペリレンマルーン、ベンツイミダゾロンオレンジなどがある。 黄色顔料としては、黄鉛、黄色酸化鉄、チタン黄、黄土、アンチモン黄、バリウム黄、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、イソインドリノン顔料、スレン系顔料などがある。
緑顔料としては、クロムグリーン、コバルトグリーン、酸化クロム、シアニングリーン、ブロム化グリーン、クロムグリーン、などがある。
青顔料としては、群青、紺青、シアニンブルー、無金属シアニンブルー、インダンスレンブルー、コバルトブルーなどがある。
紫顔料としては、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット、キナクリドンバイオレット、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレットなどがある。
防錆顔料としては、亜鉛末、亜酸化鉛、鉛丹、ジンククロメート、鉛酸カルシウム、ストロンチウムクロメート、シアナミド鉛、塩基性クロム酸鉛、塩基性硫酸鉛、MIOなどがある。
金属粉顔料としては、アルミニウム粉などがある。
【0244】
体質顔料としては、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、けい藻土、シリカ白、ベントナイト、タルク滑石粉、沈降性炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウムなどがある。
その他の顔料としては、亜酸化銅、蛍光顔料、ガラスビーズ、リサージ、雲母質チタン箔、雲母粉などがある。
【0245】
染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金属錯塩染料、油溶性染料などがある。
【0246】
以下リサイクル助剤について、説明する。
リサイクル助剤とは、広義の意味では、リサイクル時に低下した物性を元に戻したり、あるいは、別の要求の物性に変更したりするのに添加する添加剤を総称する。それらは前記熱可塑性樹脂用の充てん剤、強化剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属不活性剤、核剤、中和剤および制酸剤、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、発泡剤、発泡助剤、安定剤、スリップ剤、内部離型剤、防曇剤、カップリング剤、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、相容(溶)化剤などの添加剤を言い、それ以外に、他の樹脂とアロイ化させて別の性質を持つ樹脂を製造する場合の樹脂類を含む。さらにポリブタジエン(略号:PBD)、ブタジエンゴム(略号:BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(略号:NBR)、スチレンブタジエンゴム(略号:SBR)、エチレンプロピレンゴム(略号:EPR)、塩素化ポリエチレン(略号:CPE)、アクリルゴム(略号:AR)、ハイラバーABS樹脂などゴム成分や、耐熱性を向上させるためのαーメチルスチレン(略号:AMS)、Nーフェニルマレイミド(略号:PMI)、などがある。
【0247】
熱可塑性樹脂のリサイクルにおける物性に寄与する大きな因子としては、成形加工時、あるいはリ・ペレット化時などでの熱履歴を受け、樹脂の分子結合が切れて低分子量のものが多くなることが考えられる。
【0248】
そのような場合においては、リ・ペレットまたは成形に当たり、バージンの樹脂をある一定の割合で加えたり、或いは樹脂の内の特定な成分だけを補給することが考えられる。後述する実施例におけるデータから明らかなように、アイゾット衝撃強度の低下の傾向が見られる。この低下傾向が問題になる用途においては、衝撃を高めるための付加成分、例えばABS樹脂に対してはNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)を、HIPS樹脂にはSBR(スチレンブタジエンゴム)などを混ぜて使用する事がある。
【0249】
上記塗料の前記樹脂成型物の外表面、場合によっては内表面への本発明の実施形態における実施可能な塗装方法は現在行われている塗装方法総て実施可能である。以下に塗装方法の例を述べる。
【0250】
一般的に塗装は、スプレーガンを用いた「吹き付け塗装」が用いられている。該吹き付け塗装としては、例えば、静電塗装、スプレー塗装、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、エアーレスエアースプレー塗装などである。
それ以外に例えば、刷毛塗り塗装、ローラーブラシ塗装、浸漬塗装、遠心力塗装、カーテンフローコータ塗装、シャワーコート、ロール塗装、しごき塗装、粉体塗装、高温および低温粉体溶射塗装、流動浸漬、射出成形転写塗装法などでも塗装することが出来る。
【0251】
また射出成形加工時に金型内に塗料を注入して塗装する方法、例えば金型を開かずにコーティング材料を注入し塗装を行う方法としては高圧インモールドコーティング、HPIMC法と称せられる技術開発が行われている。
【0252】
さらに、塗料(粉末)を最初に、次に通常の成形材料(コア材)を射出することによって射出同時塗装をする方法で、Battenfeld社、Warwick社、Evode社、Rober社などが開発を実施しており、GIPT法、粉末射出塗装技術と呼ぶ方法などもある。
【0253】
重量平均分子量Mw=280,000〜290,000程度のPS樹脂を用いて作った塗料は、塗装時スプレーガンから噴出されると、分子量が大きいため、糸引現象が生じ、綿菓子状になり、塗装面が荒れる場合があった。
そこで、この塗装面が荒れる問題を解決するためには、温度制御装置によって供給する塗料を一定温度以下に下げるとともに、塗装を行う場所の雰囲気温度を15℃以下に制御するのが望ましい。
【0254】
また、重量平均分子量Mw=3000程度の低分子量のPS樹脂を用いて作った塗料で塗装実験を実施した場合には糸引現象はなく塗装面が荒れてしまう問題を回避することが確認され、しかも雰囲気温度28℃でも綺麗な塗装面を得ることが出来ることが確認されている。
【0255】
重量平均分子量Mw=190,000程度のAS樹脂を用いて作った塗料では糸引現象を生じ、重量平均分子量Mw=3000程度の低分子量のAS樹脂を用いて作った塗料では糸引現象はなかった。これはPS樹脂の場合と同様な結果であった。
【0256】
以上のことより、塗装の作業性には、塗料の原料となる樹脂の分子量が関与するものである。よって塗料用樹脂は塗装適性と塗膜性能のバランスを考慮した分子量のものを選択すればよい。
【0257】
次に、再生方法および再生装置に関する本発明を実施するための実施形態について述べる。
塗料によって表面が塗装された熱可塑性樹脂成型品の再生方法および再生装置は、粉砕装置を用いて、これらを投入して引き続く混練過程に適する大きさに粉砕し得るものが採用される。
【0258】
また成型品を構成する樹脂と塗膜を構成する樹脂とが、互いに親和性を持っているから、混練装置は、サージング現象が発生しない程度に背圧を保持すればよい。その為には多軸押し出し機、NCM、ブスニーダー(ブスコニダー)などのように混練度が高く剪断力を加える装置の使用は出来るが高混練の必要はなく、一般的には単軸押し出し機(単軸押出機)または1軸押し出し機(1軸押出機)で十分である。
【0259】
また、単軸押し出し機に用いるスクリュー形状と種類には関係が無くネジピッチが一定のものや、供給部からメタリング部へとネジピッチが徐々に減少するピッチ漸減型などいずれも使用が可能である。当然のことながら、高混練性で剪断力の高い押し出し機、たとえば、多軸の押し出し機、NCMなどもなんら問題なく用いることが出来る。
【0260】
次に発泡性樹脂の成型品をリサイクルする場合について、以下に述べる。成型品の表面に生ずるシルバー・ストリークやスワール・マークなどを防止して、塗膜の付着性を向上させるものである。
【0261】
発泡成型品と称せられる発泡製品には、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡EVA、発泡PVC、熱可塑性ウレタン発泡などに代表される高い発泡倍率を持つ発泡成型品や、射出成形でのABS樹脂、HIPS樹脂など低発泡成型品のような低発泡倍率の発泡成型品まで幅広くある。これらは加工時に何らかの方法によって発泡させたものである。発泡の方法は、物理的な方法と化学的な方法とに大別され、物理的な発泡の方法の例としては、機械的な撹拌によって発泡させたり、溶融樹脂中に揮発性の溶剤を注入し、加熱することで気化させて発泡させる方法で、一方化学的な発泡の例は、化学反応を起こさせ、発生してくるガスを利用する方法などがある。一般的には、取り扱いやすさの観点から、発泡剤を用いる場合が多い。
【0262】
発泡剤は、物理発泡剤と化学発泡剤とに分類され、前者の物理発泡剤の例としては、(1)窒素ガス、(2)空気、(3)炭酸ガス、(4)水蒸気、(5)水などに代表される無機系の液体や気体、(1)ペンタン、(2)ヘキサンなどの炭化水素、(1)ジクロルエタン、(2)メチレンクロライド、(3)フロンガスなどのハロゲン化炭化水素などに代表される有機系の液体や気体がある。
【0263】
後者の化学発泡剤の例としては、(1)重炭酸ナトリウム、(2)重炭酸アンモニウムなどに代表される重炭酸塩,(1)炭酸アンモニウムなどに代表される炭酸塩、(1)亜硝酸アンモニウムなどに代表される亜硝酸塩、(1)Ca(N3)2 などに代表されるアジド化合物、(1)ホウ水素化ナトリウムなどに代表される水素化合物、(1)Mg,Alなどの軽金属に水や酸、アルカリを作用させて水素ガスを発生させる組み合わせなどは、無機系化合物の発泡剤である。
【0264】
一方、有機化合物の発泡剤としては、(1)アゾジカルボンアミド、(2)アゾビスイソブチロニトリル、(3)バリウムアゾジカルボシキレート、(4)ジニトロソペンタメチレンテトラミン、(5)P、P’ーオキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジッド)、(6)パラトルエンスルホニルヒドラジッド、(7)ジアゾアミノベンゼン、(8)N、N’−ジメチルN、N’−ジニトロソテレフタルアミド、(9)ニトロウレア、(10)アセトンーPートルエンスルホニルヒドラゾン、(11)Pートルエンスルホニルアジド、(12)2、4−トルエンスルホニルヒドラジド、(13)Pーメチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、(14)トリニトロソメチレントリアミン、(15)Pートルエンスルホニルセミカルバジド、(16)オキザリルヒドラジド、(17)ニトログアニジン、(18)ヒドラジカルボンアミド、(19)トリヒドラジノトリアジンなど、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化物、ニトロソ化物、トリアゾール化合物などがある。
【0265】
発泡樹脂の再生への利用の実施形態について、以下に述べる。
発泡スチロールをペレット化した再生材を他の再生材に混合しリサイクルする場合に用いる発泡スチロール再生材は、再生業者がペレット化した物が購入される。この理由は、発泡スチロールを粉砕したままで用いると、発泡スチロール中に含まれる発泡ガスや未反応の発泡剤によって成型品の表面にシルバー・ストリークやスワール・マークなどが発生した。表面に発生しているシルバー・ストリークやスワール・マークなどは成型品樹脂と付着性が低下しており塗装を施しても、塗膜は前記シルバー・ストリークやスワール・マークなどから剥がれてしまう恐れがあった。
【0266】
発泡スチロールとHIPSの溶融混練樹脂を単に通常の金型、装置、及び手法を用いて得た成型品は、表面にシルバー・ストリークやスワール・マークが発生し、その成型品に塗料#10(表5および表6に示されるものより成る)及び塗料#20(表3および表4に示されるものより成る)で塗装した場合の塗膜付着性能のゴバン目試験の結果は、表68に示されるように十分な付着性は得られなかった。
【表5】
【表6】
【表3】
【表4】
【表68】
【0267】
そこで、一度ペレタイズを行うことで、加熱溶融させて発泡スチロール中に含まれる発泡ガスを除去したり、未反応の発泡剤を熱分解させるものである。
上述のペレタイズした再生樹脂ペレットを用いることは簡便ではあるが、ペレタイズにかかる費用の経済性を考えて、ペレタイズ作業をせずに、発泡スチロールをそのままで10cm3 程度に粉砕した物とHIPS樹脂とを、体積比で10:90に、オートカラー装置を用いて混合した物を射出成形機加熱筒に導き、溶融混練させ、金型内に射出し成型品を得る。
【0268】
その際、発泡ガスや未反応の発泡剤によって発生してくるガスは、樹脂計量時の背圧を成形機ゲージ圧で30kg/cm2 程度かけることによって成形機加熱筒内の溶融樹脂に加圧溶解させる。背圧を30kg/cm2 程度かけることや、発生してくる発泡ガスの圧力によって成形機加熱筒のノズルから溶融樹脂がたれること(一般には「はなたれ」と言われる)を防止する目的でノズルは例えば油圧作動式のシャットオフノズルを用いる。 それ以外にも、空気圧作動式のシャットオフノズル,油圧作動式のロータリーノズル,空気圧作動式のロータリーノズル,バネ方式のシャットオフノズル,油圧作動式のホットランナーバルブゲート{モールド・マスターズ(株)製のホットランナーシステムなど},空気圧作動式のホットランナーバルブゲート{ハスキーコーポレーション製のホットランナーシステムなど},バネ方式のホットランナーバルブゲート{サイトウ技研(株)製など}等、「はなたれ」が防止可能なものならばすべて使用は可能である。
【0269】
また上記のような装置を用いなくても、成型品が金型内に入っている状態では、スプルーはスプルーブッシュ内に詰まっているのでノズルタッチをしたままで背圧をかけながら計量しても「はなたれ」は起こさないので、オープンノズルでも成形することが出来る。
【0270】
発泡倍率が1.5以上の場合において、減容化して発泡性樹脂の成型品をリサイクルすることにより、作業性を高める実施形態について述べる。
減容化の手段としては、圧縮プレス,熱プレス,熱圧縮プレス,熱溶融,熱水へ入れて熱溶融させる方法,溶解性のある溶剤中に入れて溶解させ蒸発乾固、フリーズドライなどの方法,密閉された容器内に発泡成型品を入れて、大気圧以上に加圧することによって減容化する方法,密閉された容器内に発泡成型品を入れて、大気圧以上に加圧すると同時に加熱することによって溶融させ減容化する方法などがある。
【0271】
市場から回収されたコピーやプリンター,FAXなど(以下、「OAマシン」と称する)、家電製品、建築材料などのカバー、ケース、筐体等をリサイクルする塗装成型品の再生方法および再生装置について述べる。
市場から回収されたOAマシンを分解し再使用可能な部品と不可能な部品とを調査し、再使用可能な部品は再使用され、再使用不可能な部品は新しい部品と交換して、再び安価に市場に供給されるシステムが構築されている。このようなシステムは「リ・ユース」と呼ばれている。
【0272】
一般的に市場から回収されたマシンのプラスチックカバーは、静電気によってトナーや埃が付着、あるいは手垢による汚れが付着しているので、そのままではリ・ユースのマシンに再使用することが難しい。そのために外観を綺麗にするための塗装が行われる。
【0273】
この際プラスチックカバーに使用される塗料は、熱硬化性ウレタン塗料が一般的であり、塗膜が熱硬化性であるため、リ・ユースのためマシンを再び回収し、プラスチックカバーを粉砕、ペレット化してリサイクルを行う場合には、塗膜の剥離などの工程を行わなくてはならないが、しかし塗装に用いる塗料をリサイクル可能な熱可塑性塗料とすれば、前記塗膜の剥離などの工程を実施しなくてもリサイクルは出来る。
【0274】
本実施形態の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記マシンのプラスチックカバーに付着したトナーや埃、あるいは手垢による汚れなどを除去して、外観を綺麗にするために熱可塑性塗料の塗装を行なうことにより、塗膜の剥離を行うことなくリサイクルを可能にするものである。
【0275】
次に塗料の分子量と組成について以下に述べる。
リサイクル・ペイントとしての塗料#10、塗料#149を例にとって、比較検討する。塗料#10、塗料#149それぞれの塗料を構成する熱可塑性樹脂は、変性アクリル樹脂の中のスチレン変性アクリル樹脂によって構成されている。
【0276】
変性とは、主に共重合させることを示すが、それ以外にはグラフト重合させたり、あるいは樹脂をブレンドすることを意味する。スチレン変性アクリル樹脂は主に「スチレン/MMA/(メタ)アルキルエステル共重合体(樹脂)と称せられるものであって、スチレンとMMAと(メタ)アルキルエステルとが規則的又は不規則に結合したものであり、スチレンとMMAまたは/および(メタ)アルキルエステルとの構成比(一般には「変性率」と言う)によって、性質が違ってくる。
【0277】
特にアクリル比が多いスチレン変性アクリル樹脂では、硬さ、耐水性、耐薬品性、耐候性が高くなる分、反面脆くなり耐衝撃性、耐ヒートサイクル性は劣る。逆に、アクリル比が少なくなってくると、上述の欠点が現れなくなる反面、硬さ、耐水性、耐薬品性が低下してくるが、塗装適性は良くなる。
【0278】
一般に熱可塑性樹脂は、1種類のモノマー、又は2種類以上のモノマーの重合性単量体を重合することによって得られ、重合性単量体としては、スチレン,水酸基含有重合性単量体,カルボキシル基含有重合性単量体,その他重合性単量体など重合性を有する重合性単量体であれば使用することが出来る。
当該重合体である熱可塑性アクリル樹脂を得るにさいしては、一般的な重合法がそのまま採用出来、溶液重合法,乳化重合法などが適当である。
【0279】
重合性単量体の例として、特に代表的なもののみを例示すると、
メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレート,イソブチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き各種の(メタ)アクリル酸と、炭素数が1〜20なる1価アルコール類とモノエステル類をはじめ、スチレン,ビニルトルエン,(メタ)アクリルアミド,ジメチルアクリルアミド,N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド,(メタ)アクリルニトリルまたはブタジエンなどがある。
【0280】
水酸基含有重合性単量体類として、特に代表的なもののみを例示すると、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−ヒドロキシエチルアクリレート),メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−ヒドロキシエチルアクリレート),アクリル酸ヒドロキシプロピル(ヒドロキシプロピルアクリレート)または、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(ヒドロキシプロピルアクリレート)などがある。
カルボキシル基含有重合性単量体の例として、特に代表的なもののみ例示すると、(メタ)アクリル酸,クロトン酸,イタコン酸もしくはマイレン酸などをはじめ、イタコン酸,マイレン酸もしくはフマル酸の如き、各種の不飽和ジカルボン酸のモノエステル類などに代表される、いわゆるカルボキシル基含有重合性単量体類である。
【0281】
その他重合性単量体として、グリシジン基含有重合性単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどがある。
【0282】
メタクリル酸メチル重合体(メタクリル樹脂)は、ガラス転移点温度(以下、「Tg」とも言う)が高く、硬さ、耐水性に優れているが、反面耐衝撃性、接着性、耐ヒートサイクル性に劣る。これらの塗膜物性の改善の為に、メタクリル酸高級アルキルエステル、アクリル酸高級アルキルエステルを共重合するが、逆に硬さ、耐水性、耐薬品性は低下する。
【0283】
変性アクリル樹脂は、上述したスチレン変性アクリル樹脂以外にはアルキド変性、ビニルトルエン変性、熱可塑性エポキシ樹脂変性、熱可塑性を示すウレタン変性、酢酸ビニル変性、ロジン変性、塩化ビニル変性、塩素化などのハロゲン変性などがある。また上述した変性以外にはそれらの組合せ、例えばスチレン変性塩素化アクリル樹脂、スチレン−ウレタン変性アクリル樹脂、アルキド変性スチレン化アクリル樹脂など、アクリル基との結合によって得られる化合物全ての総称である。
【0284】
またポリプロピレン樹脂によって構成される成型品用の塗料としては、塩素化ポリプロピレン樹脂以外には、アクリル変性ポリプロピレン樹脂、スチレン変性、ビニルトルエン変性、酢酸ビニル変性などがある。それ以外には上述したようにポリプロピレン樹脂に反応性のラジカルを結合させた樹脂に、さらに上述したウレタン、アルキド、塩化ビニルなどを結合(グラフト重合や共重合など)させたりすることで、変性ポリプロピレンが考えられる。
【0285】
このようにそれぞれの樹脂は、それらの変性率の違いによって多数の組み合わせにより合成することができるが、これらの変性率の違いによってリサイクル性は変化する。実際変性アクリル樹脂は、ABS樹脂、HIPS樹脂などに対してリサイクル性を示し、変性ポリプロピレン樹脂は、それと類似のポリプロピレン樹脂や、ポリエチレン樹脂など、一般にオレフィン系樹脂と総称される樹脂に対して、リサイクル性を示すが、少量であれば問題はないが、実際に変性率が高くなり、あるいは変性する物(ラジカル)によっても異なるが、リサイクル性が低下してくる場合もある。
【0286】
塗料#10と塗料#149とについて説明すると、塗料#10と塗料#149とはともに、ABS樹脂,HIPS樹脂,スチレン変性PPO(E)樹脂には、完全なリサイクル性を示す。
塗料#10、塗料#149との大きな違いは、塗膜の溶剤に対する溶解性が高いか低いかであり、この性質は、主に分子量の違いによって起こるものと考えられる。
【0287】
塗料#10を構成するスチレン変性アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は17,000、数平均分子量(Mn)は34,000であるのに対して、
塗料#149を構成するスチレン変性アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は30,000、数平均分子量は(Mn)60,000と、約2倍高くなっており、これが大きな違いであると考えられる。実際に分子量が大きい場合には、それぞれの分子同志の絡み合いが大きくなっていて、その結果耐溶剤性が向上すると推測出来る。
【0288】
一方これら分子量の違いによって、塗装適性{溶剤で希釈した塗料がスプレーガンから出て、霧化し、霧化した塗料が再び、被塗装物表面に付着して成膜(造膜)するときの成膜の状態や、塗装作業時に、塗料がスプレーガンから出て、霧化するしやすさ、霧化粒子の大きさなどの総称。}が異なってくる。
【0289】
重量平均分子量は10,000〜60,000、好ましくは、20,000〜40,000程度のものが良い。10,000よりも低い分子量のものは塗膜の耐薬品性の点で十分ではなく、逆に60,000よりも高い分子量のものは上述したように塗装作業の点で上述した糸引き現象などの問題が発生して、十分なものが得難くなる。実際に、分子量が小さな場合には、塗装適性は良好であるに対して、分子量が大きくなってくると、塗装適性は、悪化する傾向になる。
【0290】
しかしながら用途によっては、3,000〜150,000程度のものでも利用することが出来る。またスプレー塗装以外の塗装方法においては、分子量の範囲が異なり、さらに広いものとなり、分子量に依存しない塗装方法もある。
スチレン変性アクリル樹脂の分子量が高くて、粘度が高い場合には、塗装時に糸引き性を示す場合がある。この様な場合には、表139に示す様に、高沸点溶剤、例えば、アノン、ダイアセトンアルコール、イソフォロンなどを1%〜20%、好ましくは、3%〜10%を含む混合溶剤を使用することで前記の糸引き性を防止することが出来る。その結果重量平均分子量が1,000〜100,000のものが利用可能である。
【表139】
【0291】
それ以外にはこの問題を解決するとしては、塗料中に表面調整剤などの添加物を入れる場合や、2種類以上の塗料用樹脂を混合したりする。実際に、塗料#10の中に、塗料#149を構成するスチレン変性アクリル樹脂を混ぜることで、塗料#10の耐薬品性の改善は見られた。更に、より多くの塗料#149を構成するスチレン変性アクリル樹脂を混ぜ行くと、耐薬品性の改善は更に良くなる。それ以外に、耐薬品性を改善する為には、耐薬品性の優れた樹脂、例えば、ニトロセルロース(硝化綿)、塩化ビニル共重合体などで変性(変成)することによりある程度向上出来るが、塩化ビニル共重合体などが多くなると成型用樹脂との親和性を悪くして、リサイクル性を損ねるので、これらの成型用樹脂と親和性の悪い樹脂で変性(変成)するにも限界がある。
【0292】
それ以外の方法では、溶剤を多く入れて塗料粘度を下げる方法が考えられるが、塗装に適した粘度では、固形分が少なく、外観、肉持ちが不足し、所定の外観を得るには塗装回数を多くしなければならない(重ね塗りが必要となる)。
塗料の重量平均分子量と溶剤の沸点の関係は、表139に示されるようになり、分子量が大きくなるほど、高沸点の溶剤を用いることになる。
【0293】
また、スチレン変性アクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は、20℃〜80℃のものが好ましい。Tgが20℃以下のものは表面タック、汚染性の点で十分ではなく、逆にTgが80℃よりも高いものではクラックが発生しやすくなる傾向にある。
【0294】
リサイクルを実施する場合において、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と、成型品の主成分である熱可塑性樹脂とが示す構造や形態だけでなく、成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に、塗膜を構成する熱可塑性樹脂が混入した際に、どれだけの物理的、化学的な物性の低下を示すかが問題となる。
【0295】
塗膜を構成する熱可塑性樹脂が、成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に海島構造、或いはその他の構造を示す場合において、大きさが10μm以下の場合に相容性を示すと表現し、10μm以上の構造を示す場合には親和性などを示すと区別して取り扱った。 塗膜を構成する熱可塑性樹脂が、成型品の主成分である熱可塑性樹脂中において海島構造、或いはその他の構造を示す場合には、最も理想的なモルフォロジー構造は最も理想的な「球形」である。塗膜を構成する熱可塑性樹脂が長円化(楕円状)している場合には、縦横比が、0.2(短辺0.2、長辺1)ないし1(短辺1、長辺1)におさまっているのが望ましいが、用途によっては0.1前後のもの、或いは0.1以下のものでも使用に耐えるものがある。
【0296】
【実施例】
以下本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【0297】
(第1実施例)
第1実施例の塗料の製造方法は、まず電気化学工業(株)製の射出成形用のAS樹脂{商品名、及びグレード;AS−EXB(色:ナチュラルカラー)}を、トルエン/酢酸ブチル/=1/1の混合溶剤に30%の固形分になるようにディスパーを攪拌させながら投入して、5時間攪拌を続けて溶解してワニス(A)を得る。
続いて、表1に示す材料をあらかじめディスパーにて20分混合攪拌してミルベースとして、3本ロールにて粒度が10μmになるまで分散を行う。分散したミルベースを、表2に示す材料を加えて溶解し、塗料#30(色:ベージュ)を得た。
【表1】
【表2】
【0298】
(第2実施例)
第2実施例の塗料の製造方法は、まず旭化成工業(株)製の射出成形用PS樹脂{商品名、及びグレード:スタイロン685(色:ナチュラルカラー)}をトルエン/酢酸ブチル/=1/1の混合溶剤に30%の固形分になるようにディスパーを攪拌させながら投入して、5時間攪拌を続けて溶解してワニス(B)を得る。
続いて、表3に示される材料を前記第1実施例と同様に処理してミルベースを表4に示される材料を加えて、溶解し、塗料#20(色:ベージュ)を得た。
【0299】
(第3実施例)
ワニス(C)は大日本インキ化学工業(株)製の固形分50%のスチレン変性アクリル樹脂ワニス(商品名;アクリディック A−157)である。
第3実施例の塗料の製造方法は、表5に示される材料をあらかじめディスパーにて20分混合攪拌してミルベースとして、3本ロールにて粒度が10μmになるまで分散を行う。分散したミルベースを表6に示される材料を加えて溶解し、塗料#10(色:ベージュ)を得た。希釈用のシンナーは、表7に示す配合のものを用いた。
【表7】
【0300】
(第4実施例)
第4実施例の再生方法および再生装置について以下示す。
本第4実施例の再生方法および再生装置においては、乾式コピー機(PPC)の前面カバーを成形加工して、その外表面に塗装を施し再生するものである。
前記前面カバーは、L:600mm、H:30mm、W:450mmであり、平均の肉厚は3.5mmであり、金型を用いて成形材料はABS樹脂{旭化成工業(株)製のABS樹脂 商品名、及びグレード:スタイラック191F、色:ホワイト}を用いて、850ton射出成形機を用いて、成形方法は、図1、図2(C)および図3(C)に示されるようなガス・アシスト成形法{旭化成工業(株)のAGl成形法}を用いて成形加工されたものである。
【0301】
前記ガス・アシスト成形法に基づくガスアシスト成形装置は、図1に示されるようにホッパー11内に投入されたペレットをシリンダ10内において加熱して溶融混練して、スクリュー12によってノズル13を介して金型140内のキャビティ14内に射出し成形するとともに、ガスユニット16から供給される。例えば高圧窒素ガス圧力を制御盤15によって制御して前記ノズル13の中心からガスノズル17により前記キャビティ14内に充填されている樹脂の内部にガスを注入して、溶融樹脂を前記キャビティ14に一様に押しつけるようにアシストし得る構成より成る。
【0302】
図1は一例として、ノズル13を介してガスをキャビティ14内に充填する場合について示したが、図2および図3に示されるように、ランナ18にガスを供給する形態と、キャビティ14に直接ガスを供給する形態も必要に応じて利用することが出来るものである。本実施例においては、図2(C)および図3(C)に示されるようなキャビティ14に直接ガスを供給する形態を一例として採用したものである。
【0303】
成形された前記成型品に、上記第1実施例の塗料#30に、更に溶剤として、表7に示されるシンナーS1を加えて、塗料の粘度をイワタ NK−2カップで液温20℃、15秒に調整した。図4に示したイワタ製のスプレーガン(W−71−3G)(以下、「スプレーガン」と称する)を用いてエアーの圧力3〜4kg/cm2で塗装した。2分間以上のセッチングを行った後に雰囲気温度70℃の電気熱風式乾燥炉の中で30分間入れて乾燥した。乾燥膜厚は17±3μmであった。
【0304】
上記スプレーガンは、図4に示されるように本体20内に進退自在に配設されたニードル弁21と、該ニードル弁21が介挿され供給された塗料を噴出する塗料ノズル22と、該塗料ノズル22の周囲にコーン状の外周壁に沿って噴出され塗料を吹き飛ばし霧状にする中心噴孔23と、塗料の噴霧パターンを制御するパターン制御噴孔24とから成り、所定の塗料の噴霧パターンで樹脂成型品の表面に塗装するものである。
【0305】
つぎに太田工業所製の粉砕機{型式:KMA−700、75馬力(55kw)}(以下、「粉砕機」と称する)を用いて20mm以下に粉砕した。
粉砕した物を、図5に示す中方製作所製の単軸押し出し機(型式:SV65)(以下、「押し出し機」と称する)を用いて溶融混練した。シリンダーの設定温度はヘッドより255℃、250℃、245℃、240℃、235℃の設定であった。スクリーンは40メッシュのものを2枚シリンダーヘッド部に挿入した。次に(株)中央製機のペレタイザー(型式:VC618)(以下、「ペレタイザー」と称する)を用いてペレット化(ペレットの大きさは、φ1.6mm〜φ2.1mm、長さ3.5mm程度)した。
【0306】
前記単軸押し出し機は、図5に示されるように粉砕された樹脂成型品が投入されるホッパー31と、シリンダ30内に巻装され、投入された樹脂成型品を加熱して溶融するヒーター32と、溶融された樹脂を混練してダイ34を介して押し出す1本のスクリュー33とから成るものである。
【0307】
上記ペレット化した成形材料(塗装が施された樹脂成型品を粉砕し溶融混練してペレット化した物)を用いて、再び前記同一の金型、及び成形装置を用いて成形加工を行った。 この様に、成形加工して塗装し粉砕してペレット化する(1サイクル、あるいは1ターンと呼ぶ)、再び成形加工して塗装し粉砕してペレット化する(2サイクル、あるいは2ターンと呼ぶ)、再び成形加工して塗装し粉砕してペレット化する(3サイクル、あるいは3ターンと呼ぶ)という3サイクルの成形材料のリサイクルを繰り返した。
【0308】
上述したリサイクルを繰り返した成形材料のリサイクル性については、表8に示す成形材料の試験方法、及び表9示す塗膜・インク膜の外観、塗膜・インク膜の性能試験方法で行った。その試験の結果を表10に示す。
【表8】
【表9】
【表10】
表10において、100/100は表8に示す塗膜の外観、塗膜性能試験方法に記載の(4)、(7)、(8)、(9)の各試験評価後の塗膜の付着性(1mmゴバン目テスト)を示す。
表10において、*2)は、はじめて成形加工に用いた成形加工用樹脂{「バ−ジン材」、或いは(「V材」とも言う。}と呼ばれる、材料の製造メーカーより購入した成形材料)の物理的、化学的な物性測定値を示した。
表10において、*3)は、バ−ジン材を用いた成型品を、粉砕し、ペレット化した成形材料の物理的、化学的な物性測定値と、同成形材料を用いて成形加工した成型品に、リサイクル可能な塗料を用いて塗装を施し、これら塗膜の塗装適性と塗膜性能の試験結果を示した。(成形加工回数2回、再ペレット化の回数1回、リサイクル可能な塗装の回数1回)
表10において、*4)は、*3)の塗装成型品を再び粉砕し、ペレット化した成形材料の物理的、化学的な物性測定値を示した。また、同成形材料を用いて成形加工した成型品に、リサイクル可能な塗装を施し、これら塗膜の塗装適性と塗膜性能の試験結果を示した。(成形加工回数3回、再ペレット化の回数2回、リサイクル可能な塗装の回数2回)
表10において、*5)は、*4)の成型品を再び粉砕し、ペレット化した成形材料の物理的、化学的な物性測定値を示した。また、同成形材料を成形加工した成型品に、リサイクル可能な塗装を施し、それら塗膜の塗装適性と塗膜性能の試験結果を示した。(成形加工回数4回、再ペレット化の回数4回、リサイクル可能な塗装の回数3回)
【0309】
(第5実施例)
本第5実施例の再生方法および再生装置は、前記第4実施例と同様な成型品を、同一な成形用材料、成形装置、塗装機器、及び再生装置を用いて、塗料には塗料#10(溶剤としては表7のシンナーS2を使用)を使用したものである。成形サイクル数、成形材料の試験方法、塗膜・インク膜の外観、塗膜・インク膜の性能試験方法も実施例4と同様に表8、表9に記載された方法にて行った。
リサイクルを繰り返した成形材料のリサイクル性試験の結果を表11に示す。
【表11】
【0310】
(第6実施例)
本第6実施例の再生方法および再生装置は、前記第4実施例と同様な成型品を、成形用材料としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製のHIPS樹脂 商品名、及びグレード:スタイロン492 色:ホワイト}用いて、成形装置、塗装機器、及び再生装置として前記第4実施例と同様な装置を用いた。塗料には塗料#20(溶剤としては表7のシンナーS1を使用)を使用したものである。成形サイクル数、成形材料の試験方法、塗膜・インク膜の外観、塗膜・インク膜の性能試験方法も実施例4と同様に表8、表9に記載された方法にて行った。
リサイクルを繰り返した成形材料のリサイクル性試験の結果を表12に示す。
【表12】
【0311】
(第7実施例)
本第7実施例の再生方法および再生装置は、前記第4実施例と同様な成型品を、成形用材料としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製のHIPS樹脂 商品名、及びグレード:スタイロン492 色:ホワイト}を用いて、成形装置、塗装機器、及び再生装置として前記第4実施例と同様な装置を用いた。塗料には塗料#10(溶剤としては表7のシンナーS2を使用)を使用したものである。成形サイクル数、成形材料の試験方法、塗膜・インク膜の外観、塗膜・インク膜の性能試験方法も実施例4と同様に表8、表9に記載された方法にて行った。
リサイクルを繰り返した成形材料のリサイクル性試験の結果を表13に示す。
【表13】
【0312】
(第8実施例)
第8実施例の印刷成型品および印刷方法は、射出成形用樹脂{旭化成工業(株)製のABS樹脂(商品名、及びグレード:スタイラック191F 色:ホワイト}を用いて、前記塗装の実施例作成の際用いたものと同一の射出成形機と金型で成形加工した射出成型品に、表14に示す配合の全量を3本ロールで粒度が10μmになるまで分散して作成しておいたシルク印刷用のインク#35(色:赤)を用いて、前記成型品の外表面に対して、270メッシュのテトロン製スクリーンので、大きさが50mm×30mmのベタ印刷を5カ所行った。
【表14】
この様にして得られた成型品上のインクの印刷適性とインク膜性能は、表15に示すような結果を得た。表15におけるそれぞれの試験方法は、表8による。
【表15】
表15において、*13)は、はじめて成形加工に用いた成形加工用樹脂(バ−ジン材{「バ−ジン材」、或いは(「V材」とも言う。}と呼ばれる、材料の製造メーカーより購入した成形材料)を用いて成形加工した成型品に、シルク印刷を実施したときの印刷適性、インク膜性能の試験の結果を示した。
表15において、*14)は、バ−ジン材を用いて成形加工した成型品にシルク印刷を行ったものを、再び粉砕し、ペレット化した成形材料を用いて成形加工した成型品に、再びシルク印刷を行ったときの印刷適性、インク膜性能の試験の結果を示した。
上記インクでベタ印刷された成型品を、再び前記と同様にして粉砕機を用いて20mm以下に粉砕したものを、押し出し機しを用いて押し出した。シリンダーの設定温度はヘッドより255℃、250℃、245℃、235℃の設定であった。
次にペレタイザーを用いてペレット化(ペレットの大きさは、φ1.6mm〜φ2.1mm、長さ3.5mm程度)し、該ペレット化した物を用いて再び成形加工を行ったが、成型品の外観には、赤インクの異物は確認されなかった。
【0313】
(第9実施例)
本第9実施例の印刷成型品および印刷方法は、前記第8実施例と同一の樹脂材料、成形機および工程にて製造した成型品に、表16に示す配合で第8実施例に示すインク製法により作成されたシルク印刷用のインク#15を、第8実施例と同じスクリーンにてベタ印刷を5カ所行った。同成型品上のインク膜の評価結果を表17に示す。
【表16】
【表17】
表17におけるそれぞれの試験方法は、表8による。表17中の*13)、*14)の内容についても第8実施例と同様である。
次に第8実施例と同様にペレット化し、該ペレット化した物を用いて再び成形加工を行ったが、成型品の外観には、赤インクの異物は確認されなかった。
【0314】
(第10実施例)
第10実施例の印刷成型品および印刷方法は、射出成形用樹脂{旭化成工業(株)製のHIPS樹脂(商品名、及びグレード:スタイロン492 色:ホワイト)}を用い、第8実施例と同一の成形機および工程にて製造した成型品に、表18に示す配合で第8実施例に示すインク製法により作成されたシルク印刷用のインク#25を、第8実施例と同じスクリーンにてベタ印刷を5カ所行った。同成型品上のインク膜の評価結果を表19に示す。
【表18】
【表19】
表19におけるそれぞれの試験方法は表8による。また表19中の*13)、*14)の内容は第8実施例と同様である。
次に第8実施例と同様にペレット化し、該ペレット化した物を用いて再び成形加工を行ったが、成型品の外観には、赤インクの異物は確認されなかった。
【0315】
(第11実施例)
第11実施例の印刷成型品および印刷方法は、射出成形用樹脂{旭化成工業(株)製のHIPS樹脂(商品名、及びグレード:スタイロン492 色:ホワイト)}を用い第10実施例と同一の成形材料、成形機、工程にて製造し、インク#15を用いて、第8実施例と同様にスクリーン印刷した成型品のインク膜の評価結果を表20に示す。表20における試験方法は表8による。また表20における*13)、*14)の内容は実施例8と同様である。
【表20】
次に第8実施例と同様にペレット化し、該ペレット化した物を用いて再び成形加工を行ったが、成型品の外観には、赤インクの異物は確認されなかった。
【0316】
プラスチックの成形加工において発生する不良現象について、以下に述べる。
〈1〉原因がはっきりしないため対策の取りにくい成型品不良現象として、以下のようなものがある。
(1) 焼け不良(成形機加熱塔内で樹脂或いは添加物が酸化してしまったことにより発生)
(2) 汚染・異物不良(樹脂の炭化物などが現れた物)
(3) シルバー・ストリーク(揮発性の物質が成型品表面で気化してしまい発生)
(4) ブラック・ストリーク
(5) 光沢不良
(6) フローマーク(溶融樹脂の流れが変わった場合に発生)
(7) 色むら(先行の成形樹脂の色が混じってしまった物)
(8) ウエルドマーク(樹脂の衝突が起こる場所に発生)
(9) ウエルドライン(樹脂の衝突が起こる場所に発生)
(10) 曇り
【0317】
〈2〉金型の改良、または成型品の形状変更により改善が可能な成型品不良現象として、以下のようなものがある。
(11) バリ
(12) ショート・ショット(樹脂の未充填)
(13) ひけ(樹脂の体積収縮が大きくて表面が窪んだ様になった物)
(14) 気泡
(15) ジェッテング
(16) クレージング、クラッキング
(17) ソリ、ネジレ
(18) 寸法のばらつき
(19) 剥離
(20) きず
(21) 割れ
【0318】
上記不良現象の発生している成型品は一般的には使用上で問題があるので一般には廃棄される場合が多い。これらの不良現象のうちで特に上記(1)から(10)の不良の発生している成型品は表面を塗装する事で使用出来る場合がある。しかし、一般にはこのときに用いる塗料は熱硬化性樹脂によって出来ている物が多くてリ・ペレットする場合に塗膜が問題となってリ・ペレット出来ない場合が多いが、上述した様に塗膜を剥離すれば、リ・ペレットすることも出来る。
【0319】
しかし、本発明の各実施例の再生方法を用いれば、これらの不良品を被覆して塗装することで、良品にすることが出来るので、成形材料の歩留りを向上することが出来る。従来一般的には、不良の成型品は埋め立てをしたり、燃やしたりして処分をしているが、本発明によれば、不良品を良品として再利用出来るため、環境問題にも一翼を担うことになる。
【0320】
以下に、成型用樹脂と塗料の組合せが異なる実施例における成形回数、及びリサイクル回数の各サイクル(ターン)での各不良現象の発生個数を示す。
【0321】
(第12実施例)
第12実施例の塗装成型品および再生方法は、成形材料がABS樹脂{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック191F 色:ホワイト)であり、成形方法が射出成形のガスアシスト成形法(AGI成形法)であり、塗料が#30であり、塗装方法がスプレー塗装(吹き付け塗装)であり、その結果を表21に示す。
【表21】
同表において、*15)は、成形材料メーカーよりバ−ジン材と呼ばれる、購入した成形材料を用いて成形加工を行った際の結果を示し、*16)は、バ−ジン材を用いて成形加工した成型品を、粉砕し、ペレット化した成形材料を用いて、再び成形加工を行った際の結果を示す。また、*17)は、*16)の成型品に、リサイクル可能な塗料を用いて塗装を施し、再び粉砕し、ペレット化した成形材料を用いて成形加工行った際の結果を示す。
【0322】
(第13実施例)
第13実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第12実施例において塗料のみ#10に変更したもので、結果を表22に示す。
【表22】
同表22において、*15)、*16)、*17)の内容は第12実施例の内容と同一である。
【0323】
(第14実施例)
第14実施例の塗装成型品および再生方法は、成形用樹脂としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製 HIPS樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン492 色:ホワイト)}を使用し、第13実施例と同一成形工程にて成形し、塗料に#20を用いた結果を表23に示す。
【表23】
*15)、*16)、*17) の内容は第12実施例の内容と同一である。
【0324】
(第15実施例)
第15実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第14実施例において塗料のみ#10に変更したもので、結果を表24に示す。
【表24】
表24において、*15)、*16)、*17)の内容は第12実施例と同一である。
【0325】
(第16実施例)
第16実施例の塗装成型品および再生方法は、成形材料にスチレン変性ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂{略号:PPO(E)樹脂}{旭化成工業(株)製のスチレン変性ポリフェニレンエーテル樹脂 商品名、及びグレード:Xyron 100Z,色:ホワイト}を用い、第4実施例と同一の成型品を同一の機器を用い、同一の工程にて成形し、塗装し、ペレット化した。(但し、押し出し機のシリンダー設定温度はヘッドより275℃、270℃、260℃、250℃、245℃である)
塗料は#10(溶剤として、表7に示すシンナーS2使用)を用いた。表25に、比較例のバージン成形加工と、本実施例のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。試験内容は表8に記載された方法にて行った。
【表25】
本第16実施例における成型品の、成形回数と各不良現象の発生個数について表26に示す。
【表26】
【0326】
(第17実施例)
第17実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第16実施例と同一の成型品を同一成形材料、成形機を用い、同一の工程にて成形し、塗装し、ペレット化した。
塗料は#20(溶剤は表7に示すシンナーS1を使用)を用いた。
表27に比較例とともに、それぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。試験方法は表9による。
【表27】
前記第17実施例における成型品における、成形回数と各不良現象の発生個数について表28に示す。
【表28】
【0327】
(第18実施例)
第18実施例の塗装成型品および再生方法は、成形材料として、ABS樹脂{旭化成工業(株)製のABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック191色:ホワイト}]を用い、第4実施例と同一の成形機、工程にて成形した。
塗料#10(溶剤として、表7に示すシンナーS2を使用)を塗装後、第4実施例と同様な工程にて粉砕、押し出し、ペレット化した。
一方、ポリカーボネート樹脂{三菱化学(株)製のPC樹脂 商品名、及びグレード;ユーピロンS3000 色:ナチュラルカラー}を成形材料として、乾式コピー(PPC)のペーパートレー(L:260mm,H:20mm,W:240mm,製品の平均の肉厚3.5mm)を450ton射出成形機にてソリッド成形した。
同成型品に塗料#10(溶剤として、表ー7に示すシンナーS2を使用)で塗装し、その後粉砕機で粉砕した。
上記粉砕したものを、押し出し機(シリンダーの設定温度はヘッドより300℃,290℃,280℃,270℃,265℃)にて押し出し後、ペレット化した。
【0328】
前記の再生ABS樹脂ペレットと、この再生PC樹脂ペレットを、それぞれをABS/PCを重量混合比で85/15に混合して(株)カワタ製のタンブラー(型式:SKD50)(以下、「タンブラー」と称する)を用いて20分間タンブリング(混合)してABS/PCの混合ペレットを得た。混合ペレットを用いて、再び前記第4実施例と同じ乾式コピー(PPC)の前面カバーの成形加工を行った。このABS/PC樹脂成型品に、塗料#10(溶剤として、表7に示すシンナーS2を使用)を塗装後、粉砕、押し出し、ペレット化し、ABS/PC再生ブレンドポリマーペレットを得た。
このABS/PC再生ブレンドポリマーを用いて再び成形加工を行った。
表29には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、および本実施例であるABS/PCブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。上記、各表のそれぞれの試験方法は表8による。
【表29】
前記第18実施例の成型品における、成形回数と各不良現象の発生個数について表30に示す。
【表30】
表30には比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として、ABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材の各成形加工時の不良発生状況を示した。
【0329】
(第19実施例)
第19実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第18実施例と同一の2種類の成形樹脂を用い、同一成形機、工程にて成形を行い、塗料として塗料#30(溶剤として表7のシンナーS1を使用)を用いた。表31には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材及び本実施例であるABS/PCブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。
【表31】
上記、各表のそれぞれの試験方法は表8による。
本第19実施例の成型品における、成形回数と各不良現象の発生個数について表32に示す。表32には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として、ABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材での各成形加工時の不良発生状況を示した。
【表32】
【0330】
(第20実施例)
第20実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第18実施例において、前面カバー成型品に塗料#10(溶剤として、表7のシンナーS2を使用)で塗装し、ペーパートレー成型品には塗料#30(溶剤として、表7のシンナーS1を使用)で塗装した。その他については、同一成形材料、同一加工機、工程にて成形したものである。表33には、比較例としてABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例であるABS/PCブレンド材のガスアシスト成型品を塗料#10により塗装して、それぞれのサイクルでの塗膜適性、塗膜性能の結果を示した。上記、各表のそれぞれの試験方法は表8による。
【表33】
本第20実施例の成型品における、成形回数と各不良現象の発生個数について表34に示す。
【表34】
表34には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として、ABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材の各成形加工時の不良発生状況を示した。
【0331】
(第21実施例)
第21実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第19実施例において、前面カバー成型品に塗料#30(溶剤として、表7のシンナーS1を使用)で塗装し、ペーパトレイ成型品を塗料#10(溶剤として、表7のシンナーS2を使用)を塗装した。その他については、同一成形材料、同一加工機、工程にて成形したものを塗料#30により塗装したものである。
表35には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例であるABS/PCブレンド材の成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。上記、各表のそれぞれの試験方法は表8による。
【表35】
本21実施例の成型品において、成形回数と各不良現象の発生個数について表36に示す。比較例として、表36にはABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として、ABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材での成形加工時の不良発生状況を示した。
【表36】
【0332】
(第22実施例)
第22実施例の塗装成型品および再生方法は、ABS/PCの混合時に相容(溶)化剤を使用する例で、前記第18実施例と同一の成形材料を用い、同一工程にてABS/PCの再生混合ペレットを得た。
この再生混合ペレットにABS、PC、スチレン変性アクリル樹脂(塗膜を形成している熱可塑性樹脂)それぞれの相容(溶)性を上げる目的で、相容(溶)化剤として日本油脂(株)製の相容(溶)化剤(商品名;モディパーCH430)を更に重量比で5%混合した。これらの混合樹脂を得るにはタンブラーを用いた。
前記の再生混合ペレットを用いて、再び18実施例と同様にカバーを成形加工し、塗料#30(溶剤は表7のシンナーS1を使用)を塗装した。以下再度第19実施例と同じ工程にて再生、成形を繰り返した。
比較例として、表37には、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例である相容(溶)化剤を使用した再生ABS/PCブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。表のそれぞれの試験方法は表8による。
【表37】
本第22実施例の成型品において、成形回数と各不良現象の発生個数について表38に示す。表38には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として相容(溶)化剤を使用したABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材での成形加工時の不良発生状況を示した。
【表38】
【0333】
(第23実施例)
第23実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第19実施例と同一の成形材料、成形機、工程にてABS/PCの再生混合ペレットを得た。この混合ペレットにABS、PC、スチレン変性アクリル樹脂(塗膜を形成している熱可塑性樹脂)それぞれの相容(溶)性を上げる目的で、第22実施例と同一の相容(溶)化剤を混合した。前記の再生混合ペレットを用いて、再び18実施例と同様にカバーを成形加工し、塗料#10(溶剤は表7のシンナーS2を使用)を塗装した。以下再度第18実施例と同じ工程にて再生、成形を繰り返した。
表39には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例である相容(溶)化剤を使用したABS/PCブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。表のそれぞれの試験方法は表8による。
【表39】
本第23実施例の成型品において、成形回数と各不良現象の発生個数につき表40に示す。表40には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として相容(溶)化剤を使用したABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材での成形加工時の不良発生状況を示した。
【表40】
【0334】
(第24実施例)
第24実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第20実施例と同一の成形材料、成形機、工程にてABS/PCの再生混合ペレットを得た。この再生混合ペレットにABS、PC、スチレン変性アクリル樹脂(塗膜を形成している熱可塑性樹脂)それぞれの相容(溶)性を上げる目的で、第22実施例と同一の相容(溶)化剤を混合した。
前記の再生混合ペレットを用いて、再び18実施例と同様にカバーを成形加工し、塗料#10(溶剤は表7のシンナーS2を使用)を塗装した。以下再度第18実施例と同じ工程にて再生、成形を繰り返した。比較例として、表41には、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例である相容(溶)化剤を使用したABS/PCブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。表のそれぞれの試験方法は表8による。
【表41】
本第24実施例の成型品において、成形回数と各不良現象の発生個数につき表42に示す。表42には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として相容(溶)化剤を使用したABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材での成形加工時の不良発生状況を示した。
【表42】
【0335】
(第25実施例)
第25実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第21実施例と同一の成形材料、成形機、工程にてABS/PCの再生混合ペレットを得た。この再生混合ペレットにABS、PC、スチレン変性アクリル樹脂(塗膜を形成している樹脂)それぞれの相容(溶)性を上げる目的で、第22実施例と同一の相容(溶)化剤を混合した。
上記再生混合ペレットを用いて、再び18実施例と同様にカバーを成形加工し、塗料#10(溶剤は表7のシンナーS2を使用)を塗装した。以下再度第18実施例と同じ工程にて再生、成形を繰り返した。
表43には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例である相容(溶)化剤を使用したABS/PCブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。上記、各表のそれぞれの試験方法は表8による。
【表43】
本第25実施例の成型品において、成形回数と各不良現象の発生個数を表44に示す。表44には、比較例として、ABS樹脂バージン材、PC樹脂バージン材、及び本実施例として相容(溶)化剤を使用したABS/PCブレンドポリマー(混合樹脂)再生材での成形加工時の不良発生状況を示した。
【表44】
【0336】
(第26実施例)
第26実施例の塗装成型品および再生方法は、現在一般廃棄物として処理されているPETボトルの再生を目的とするもので、概略は、市場より回収してきたPETボトルの再生ペレットをABS樹脂の再生ペレットに一定の割合で成形加工の前段階で混合して使用する方法である。
前記第18実施例と同一のバージン成形材料にて成形されたカバーより得られた、再生ABS樹脂ペレットと、PETボトルを粉砕して、ペレット化したPET樹脂再生ペレット(再生業者から購入したもの)とを、それぞれABS/PETの重量混合比で85/15の割合でタンブラーにて混合して、ABS/PETの混合樹脂ペレットを得た。
この混合ペレットをPET樹脂の加水分解を防止する為に、(株)カワタ製脱湿乾燥機(型式;Dー200)を用いて80℃で24時間乾燥した。
上記、乾燥混合樹脂ペレットを用いて、再び前記第18実施例と同様にカバーの成形加工を行った。
同成型品に塗料#10(溶剤として、表7に示すシンナーS2を使用)を塗装した。
以下の工程は、前記第18実施例と同様に粉砕、押し出し、ペレット化し、成形した。 表45に、本実施例であるPETを使用したABS/PETブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。比較例としてABS樹脂バージン材での成形加工も行った。表45のそれぞれの試験方法は表8による。
【表45】
本第26実施例におけるABS/PET混合樹脂の成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につきを表46に示す。
【表46】
【0337】
(第27実施例)
第27実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第26実施例における塗料を#30に変更したものである。
表47には、本実施例である、PETを使用したABS/PETブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。比較例としてABS樹脂バージン材での成形加工も行った。表47のそれぞれの試験方法は表9による。
【表47】
本第27実施例におけるABS/PET混合樹脂の成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき、表48に示す。
【表48】
【0338】
(第28実施例;PMMA樹脂の再生)
第28実施例の塗装成型品および再生方法は、現在一般廃棄物として処理されている車のテールライトに用いられるPMMA樹脂成型品の再生を目的とするもので、市場より回収してきたの車のテールライトの再生ペレットをABS樹脂の再生ペレットに一定の割合で成形加工の前段階で混合して使用する方法である。
本実施例は、前記第26実施例においてPET樹脂の代わりに車のテールライトを粉砕して、ペレット化したPMMA樹脂再生ペレット(再生業者から購入したもの)としたものである。
表49に、本実施例であるPMMA樹脂を使用したABS/PMMAブレンド材の成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。比較例としてABS樹脂バージン材での成形加工も行った。表49のそれぞれの試験方法は表8による。
【表49】
本第28実施例におけるABS/PMMA混合樹脂の成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき表50に示す。
【表50】
【0339】
(第29実施例;PMMA樹脂の再生)
第29実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第28実施例における塗料を#30に変更したものである。
表51には、本実施例である、PMMA樹脂を使用したABS/PMMAブレンド材成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。比較例としてバージン材での成形加工も行った。表51のそれぞれの試験方法は表8による。
【表51】
本第29実施例におけるABS/PMMA混合樹脂の成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき、表52に示す。
【表52】
【0340】
(第30実施例)
第30実施例の塗装成型品および再生方法は、現在一般廃棄物として処理されている発泡スチロール(以下、「発泡PS」と称する)の再生を目的とするもので、市場より回収してきた発泡PSの再生ペレットをHIPS樹脂の再生ペレットに一定の割合で成形加工の前段階で混合して使用する方法である。
本実施例は前記第26実施例において、成形材料としてハイインパクトポリスチレン樹脂{旭化成工業(株)製のHIPS樹脂 商品名、及びグレード:スタイロン 492 色:ホワイト}を用い、PETの代わりに発泡PSを粉砕して、ペレット化した発泡PS再生ペレット(再生業者から購入したもの)と、塗料は#10を用いたものである。表53には、本実施例である、HIPSを使用したHIPS/発泡PSブレンド材の成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。比較例としてHIPS樹脂バージンでの成形加工も行った。表53のそれぞれの試験方法は表8による。
【表53】
本第30実施例におけるHIPS/発泡PSの混合樹脂の成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき、表54に示す。
【表54】
【0341】
(第31実施例)
第31実施例の塗装成型品および再生方法は、前記第30実施例における塗料を#20(溶剤として、表7に示すシンナーS1を使用)に変更したものである。表55には、本実施例である、HIPSを使用したHIPS/発泡PSブレンド材の成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。比較例としてHIPS樹脂バージンでの成形加工も行った。表55のそれぞれの試験方法は表8による。
【表55】
本第31実施例におけるHIPS/発泡PSの混合樹脂の成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき、表56に示す。
【表56】
【0342】
(第32実施例)
第32実施例の塗料および塗料の製造方法は、表57に示す配合に基づき、(株)東レ製のアルコール可溶性ナイロン樹脂(商品名、及びグレード;アミランMC8000)を、メタノール、ノルマルブタノール、水の混合溶剤にディスパーで撹拌させながら投入して、5時間撹拌を続けて溶解して溶解固形分27%のワニス(D)を得た。
【表57】
続いて、下記の表58に示す材料をあらかじめディスパーにて10分間混合撹拌してミルベースとして、3本ロールにて粒度が10μmになるまで分散を行う。分散したミルベースを表59に示す材料を加えて溶解させて、塗料#40(色:ベージュ)を得た。
【表58】
【表59】
【0343】
(第33実施例)
第33実施例の塗装成型品および再生品は、前記第4実施例において、成形材料をスチレン変性ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂{旭化成工業(株)製のスチレン変性ポリフェニレンエーテル樹脂 商品名、及びグレード;Xyron 100Z,色:クォーツ・ホワイト}、塗料を前記第32実施例に示す塗料#40(溶剤として、表60に示すシンナーS5を使用)を使用したものである。表61には、本実施例の成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。比較例として変性PPO(E)樹脂バージン材での成型品についても示した。表61のそれぞれの試験方法は表8による。
【表60】
【表61】
本第33実施例における成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき、表62に示す。
【表62】
【0344】
(第34実施例)
第34実施例の塗装成型品および再生品は、前記第33実施例において、成形材料をABS樹脂{旭化成工業(株)製のABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 191 色:ホワイト}に変更し、塗料は同一の塗料#40(溶剤として、表60に示すシンナーS5を使用)を用いた。表63に、比較例としてABS樹脂バージン材成型品、本実施例の成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。表63のそれぞれの試験方法は表8による。
【表63】
本第34実施例における成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき、表64に示す。
【表64】
【0345】
(第35実施例)
第35実施例の塗装成型品および再生品は、前記第33実施例において、成形材料をHIPS樹脂{旭化成工業(株)製のHIPS樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン 492 色:ホワイト}とし、塗料は塗料#40(溶剤として、表60に示すシンナーS5を使用)を用いた。
表65に、比較例としてHIPS樹脂バージン材成型品、本実施例の成型品のそれぞれのサイクルでの塗装適性、塗膜性能の結果を示した。表65のそれぞれの試験方法は表8による。
【表65】
本第35実施例における成形加工時の成形回数と各不良現象の発生個数につき、表66に示す。
【表66】
【0346】
(第36実施例)
第36実施例の塗装成型品の再生方法は、発泡PSとHIPSの溶融混練樹脂を単に通常の金型、装置,及び手法を用いて得た成型品の表面を、サンドペーパー仕上げ、ワイヤーブラシがけ、ショットブラストなどによって処理して、成型品表面に発生しているシルバー・ストリークやスワール・マークを除去し、表面をスムースにした後、塗装するものである。
実際の成型品にサンドペーパー仕上げして、成型品表面をスムースにした成型品に、塗料#10及び塗料#20で塗装した場合の塗膜付着性能のゴバン目試験の結果は表69に示すように十分な付着性を得た。
【表69】
【0347】
(第37実施例)
第37実施例の塗装成型品の再生方法は、図15に示されるように金型のパーティング面,エジェクターピンなど合わせ面の総てをOリングでシールを施した密閉金型(以下、「シール金型」と称する)を利用するものである。エジェクターピン1本1本のシールが難しい場合には、エジェクタープレートをボックスで囲い、合わせ面をOリングでシールするもので、エジェクターボックス方式と言われている。
予め射出前に前記シール金型内を大気圧以上、実際には約8kg/cm2 のエアーを用いて加圧しておき、加圧した状態を保持しつつ、前記発泡PSとHIPSの、一部発泡性を有している溶融混練樹脂を射出し、射出完了と同時に金型内を加圧していたエアーを大気中に放出し、溶融樹脂の冷却固化完了後、金型を開けて成型品を取り出した。以下、このように「シール金型」を用いてエアーなどの気体によって予め「シール金型」内を大気圧以上に加圧することを「圧気」若しくは「ガス・カウンタープレッシャー(略してGCP)」と称する。
その結果、成型品表面のシルバー・ストリークやスワール・マークの発生は回避されて、綺麗な滑らかな表面と内部には一部発泡層を有する成型品を得た。
【0348】
この成型品には、シルバー・ストリークやスワール・マークの発生が見られないので、サンドペーパー仕上げやショットブラストのような塗装の前処理を行う必要はない。得られた成型品に前記塗料#10及び塗料#20で塗装した時の塗膜付着性能でのゴバン目試験の結果は表70に示すように十分な付着性が得られた。
【表70】
このように、発泡成型品のリサイクルを実施し、成形加工を行う場合に粉砕し、あるいは粉砕しないままで、その一部をリサイクルを目的として他の樹脂に混合して、あるいは発泡成型品の全部を用いて成形加工を行う場合には、このように前記第36実施例のサンドペーパー仕上げや、前記第37実施例のGCP法によって表面をスムースにすることが出来、その結果塗膜の付着性は向上する。
【0349】
(第38実施例)
第38実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記の実施形態の塗装成型品の再生方法および再生装置を具体化したもので、図15に示されるように減容機構を備えるものである。
前記減容機構としての押し出し機31の加熱筒を用いて加熱溶解させて減容した発泡PS溶融樹脂を、射出成形機の加熱筒21内のスクリューが計量中にだけ油圧シャットオフノズル24が設けてある成形機加熱筒21内に連続的に導き、前記加熱筒21内で発泡PS溶融樹脂とHIPS溶融樹脂とを一定の割合で混合させる装置を製作し、発泡PSの再生実験を行った。
【0350】
本第38実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置およびそれを用いた実験について、図15に基づきさらに詳細に説明する。
まず[Aライン」に基づき、発泡PSの減容化におけるリサイクルについて説明する。 廃棄物である発泡PS1を、粉砕機4に投入して20mm程度の大きさに粉砕する。粉砕した発泡PSを第1のホッパー12に導き、押し出し機の加熱筒8で加熱溶融した。加熱溶融し液状となった発泡PSを油圧モーター7によって成型機加熱搭21に送り込んだ。
一方第2のホッパー16にはHIPS樹脂ペレットが入っている。射出成形機の加熱筒21内のスクリューによって前記発泡PSの溶融樹脂とHIPS樹脂とは溶融混練される。このようにして得られた混合溶融樹脂はシャットオフ付きノズル8を通ってシール金型28内に射出され、冷却固化の後に金型から取り出される。
【0351】
次に「Bライン」に基づき、発泡PSの減容化におけるリサイクルについて説明する。Bライン動作時においては、前記押し出し機のダイ9と射出成形機の加熱筒21との連絡は遮断されている。
粉砕機4で粉砕された発泡PSは輸送機6によって射出成形機の第2のホッパー16に送られ、撹拌機(バネ)20によってHIPS樹脂と混合される。混合された樹脂は強制送り込み羽根30によって射出成形機の加熱筒21に送り込まれる。送り込まれた混合樹脂は加熱筒21内のスクリューによって溶融混練され、HIPS樹脂と発泡PSの混合溶融樹脂を得る。このようにして得られた混合溶融樹脂は油圧作動式のシャットオフノズルノズル24を通ってGCP加圧された「シール金型」28内に射出され、冷却固化の後に金型から取り出される。
【0352】
このようにして加工された成型品に、塗料#10を用いて塗装した製品の塗装適性と塗膜性能、すなわち「Aライン」で加工した成型品での結果を表71、「Bライン」で加工した成型品での結果を表72にそれぞれ示した。
【表71】
【表72】
上記表中の試験項目および試験方法は、前記表8による。
このような方法を用いれば、発泡PS以外にも合成繊維の廃棄物,飲料水の容器など熱可塑性樹脂で作られた物のリサイクルが容易に出来る。また射出成形機31を押し出し成型機,ブロー成形機などに変更することによって射出成型品以外の成型品を得ることも出来る。
実際このようにして得られた成型品の外観は、発泡PSを前記押し出し機の加熱筒8で加熱溶融する「Aライン」では、発泡性のガスや、未分解の発泡剤が完全に分解されるので良好であった。
一方「Bライン」で得られた成型品外観には、発泡性ガスや未分解の発泡剤に起因するシルバー・ストリークとフローマークが発生していたので、上述した前記GCPにより外観の改善が図られている。
【0353】
(第39実施例)
第39実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、実際フィールドから回収したコピーマシンプラスチックカバーのリ・ユースに適用した実施例であり、以下のように実施した。
プラスチックカバーは、ABS樹脂{宇部サイコン(株)サイコラックZFJ5SP(「SP」とは帯電防止剤を添加したグレードであることを示す)}によって射出成形されている。表面が汚れていることと、静電気による汚れを防止するための帯電防止剤(一般的には界面活性剤など)が成型品表面にブリードアウトしていることが考えられ、塗膜の付着性への影響が懸念されるので、汚れと帯電防止剤を除去するため、イソプロピルアルコールを含ませた脱脂綿によって拭き上げた。
【0354】
またカバーの一部には、商品名を示すためのロゴマークがシルク印刷されていたので、シルク印刷の除去としてメチルエチルケトンを含ませた脱脂綿を用いて拭き取り除去した。
プラスチックカバーの内側には操作手順を示すシールが張り付けられていたので、ヘアードライヤーで熱風を送りながら徐々に剥がし取った。プラスチックカバーに残った接着剤はイソプロピルアルコールを含ませた脱脂綿で拭き上げて除去した。
一部のプラスチックカバー(フロントカバー)は市場でユーザーがトナーの交換などで頻繁に開閉した結果、「手あか」や「トナー」などによって汚れが多かったので水に界面活性剤を添加した薬液中に浸漬し、ブラッッシングした。しかし前記プラスチックカバーは成型方法がガス・アシスト成型法で製造された成型品であったので上述の薬液が内部の中空部に入ってしまった。その為塗装時に漏れ出して塗装の作業性悪化や塗膜の付着性への影響が懸念された。
【0355】
この問題を解決する手段としてガスの注入口の形状はφ2.5,深さ12mmの穴であった。ガス注入口をエポキシ樹脂などの接着剤によって封止することを考えたが、再リサイクルでペレット化したときに、成型品の主成分である熱可塑性樹脂と塗膜を構成する熱可塑性樹脂とのそれぞれ間に親和性がなく、成形加工性、材料物性、塗膜性能の低下が懸念された。成型品の主成分である熱可塑性樹脂と塗膜を構成する熱可塑性樹脂との間に、親和性を有するABS樹脂を加熱した溶融樹脂で封止してみたり、あるいはφ2.6,長さ15mmのABS樹脂の棒を圧入して封止を試みたがいずれも作業性が悪く経済的ではないと思われた。
作業性を考えて、ガス注入口の封止をM3,有効ネジ10mmのステンレス製のセルフタッピングネジを用いて封止した、セルフタッピングネジは電動ドライバーで簡単にガス注入口の封止が出来た。洗浄の後、十分に水洗し、乾燥させた後、前記電気ドライバーを用いて封止に用いたセルフタッピングネジを取り外し、塗料#10を用いて塗装し、リ・ユースに使用可能な外観のプラスチックカバーを得た。
【0356】
上述のステンレス製のセルフタッピングネジと同一の形状を、成型品の主成分である熱可塑性樹脂と塗膜を構成する熱可塑性樹脂とに親和性などがあるABS樹脂で製造し、取り外しの作業を省く手段を採用して、前記電動ドライバーでの封止を試みたが強度不足のためか封止作業の際、ネジの頭飛びが発生した。前記ステンレス製のセルフタッピングネジは何回も使用が出来て経済的であった。
前記の工程にて得られたプラスチックカバーの塗装適性と塗膜性能を表73に示した。 以上の結果から十分に使用に耐えることがわかり、リサイクルが可能と判断した。
【表73】
前記リ・ユースを目的として、塗料#10で塗装を施したプラスチックカバーを粉砕して、ペレット化装置を用いてペレット化した。このようにして得られたペレットを再び、射出成型機を用いて、成形加工し成型品を得た。このようにして得られた成型品は塗膜が混入したことに起因する焼け、汚染・異物、シルバー・ストリーク、色むらなどの成形不良現象は現れなかった。表74には成形加工性の結果を示した。
【表74】
前記の成型品にエアースプレー式塗装装置を用いて塗料#10で塗装した。得られたプラスチックカバーの塗装適性と塗膜性能を表75に示した。
【表75】
以上の結果から十分に使用に耐えることがわかり、リサイクルが可能と判断される。
【0357】
(第40実施例)
第40実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、上述の実施形態に基づき廃トナーをABS再生樹脂(前記第5実施例における2サイクルの物)98部に対して廃トナーを2部の体積割合で少量のベビーオイル(「展着剤」と称する)を添加し混合して、射出成型機を用いて成形加工した成型品には、廃トナーが混入したことによる黒色の分散不良、焼け、汚染・異物、シルバー・ストリーク、色むらなどの成形不良現象は現れなかった。表76には成形加工性の結果を示した。
【表76】
【0358】
前記の成型品(「廃トナー」を2部添加したもの)に前記第4実施例と同様の方法、装置を用いて塗料#10で塗装した。得られたプラスチックカバーの塗装適性と塗膜性能を表77に示した。
【表77】
以上の結果から、廃トナーはABS樹脂用の充填材および顔料としても使用可能であり、塗装を施しても十分に使用に耐えることがわかり、リサイクルが可能と判断される。
ゼログラフィーの原理を用いたOAマシンは外部光の進入や、光の内面反射によって画質の低下(白ぬけ,黒ぬけ,白すじ,黒すじなど)を招くことがある。「OAマシン」はレーザー光を用いた物(以下、「デジタル方式」と称する)と反射光を用いたライトレンズの物(以下、「アナログ方式」と称する)との2方式がある。これらの「OAマシン」の感光体(以下、「ドラム」と称する)に外部からの進入光や内面反射光が当たったりして感光するとコピーの画質の濃度が黒くなったり、白くなったりする。
【0359】
これらの問題を解決する手段としてプラスチックカバーの肉厚を厚くしたり、あるいは「OAマシン」の内部に更に遮光や内面反射防止を目的としてカバーを設けたり、あるいは内側に黒色の塗装をしたりするが、いずれの場合にも費用が掛かり経済的ではない。
本第40実施例は、廃棄物として処分される「廃トナー」を成形樹脂用の黒色顔料として使用して成型品を黒色し、外面はリサイクル可能な塗料#10で塗装して外面はベージュ色、内面は黒色の成型品を安価に製造するにいたった。その結果、外部光の進入や光の内面反射によってコピー画質が低下することの防止を目的としたリサイクル可能な成型品を得た。
【0360】
アナログ方式のコピー{富士ゼロックス(株)製、商品名;Vivace 500}のリアーカバーを用いて、該リアーカバーをそれぞれ廃トナーで黒色にした成型品に、外側を塗料#10で塗装したリアーカバーを装着した場合と、従来のV材(色:ホワイト)成形加工しただけのリアーカバー成型品を装着した場合と、それぞれを太陽光下でコピーした場合を比較する。
表78は、それぞれの条件での黒色濃度のちがいをマクベス濃度計を用いて測定して、濃度の相対評価の結果を示したものである。
【表78】
すなわち、従来の成形加工しただけのリアーカバーを装着した場合と、廃トナーを用いて黒色に着色した成型品にリサイクル可能な塗料#10で塗装し、光の透過と反射を防止したリアーカバーを装着した場合とを比較した。
図16は、濃度測定に用いたテストチャート(テストチャート 0001)と前記リアーカバーにおける濃度の測定位置を示すものである。
【0361】
(第41実施例)
第41実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、上述の第40実施例における廃トナーリサイクル時の粉塵爆発を防止する点が特徴である。
上記廃トナーは、微粉末でしかも可燃物である。このような物は粉塵爆発の可能性を持っているのでタンブラーなどを用いて混合する場合に、粉塵爆発を回避するために、少量の水を吹きかけてから混合したABSと廃トナーの混合樹脂を成形加工したところ、水が発泡剤になってしまい成型品表面はスワールマークやシルバー・ストリークが発生した。 この問題を解決する手段として、上記GCP法を用いて、前記第37実施例と同様の射出成型機およびシール金型を用いて成形加工を行った。水が発泡剤として作用する場合には、よく使用される発泡剤、アゾジカルボンアミド(略号;ADCA)と比較して、約5.5倍の発生ガス量を持っているのでGCP圧力を18kg/cm2 まで高めて成形加工したところ、スワールマークやシルバー・ストリークの発生は認められず、ソリッドの成型品と同様の外観が得られた。
GCPの昇圧にはHaskel,Inc製のガスブースター(型式:8AGD−5)を2台並列にして用いた。
このようにして得られた成型品に、第4実施例と同様な塗装装置を用いて前記塗料#10の塗料で塗装した。以下に成形加工性と塗装適性,塗膜性能を表79に示した。
【表79】
【0362】
(第42実施例)
第42実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、上述の第40、実施例において廃トナーを熱可塑性樹脂の成型品の充填材および顔料として使用するのに対して、廃トナーを成型品の表面に塗装する塗料の顔料として利用する点が特徴である。
すなわち、前記第40実施例では廃トナーを成型品を構成するABS樹脂用の充填材および黒色顔料として用いたが、本第42実施例では、廃トナーを塗料の黒色顔料として用いるものである。
塗料の製造は、前記第3実施例と同様に表80に示される原材料{ワニス(C)は大日本インク化学工業(株)製 商品名、及びグレード;アクリディックAー157(スチレン変性アクリル樹脂)である。}をあらかじめディスパーにて20分混合撹拌してミルベースとして、3本ロールにて粒度が10μmになるまで分散を行う。分散したミルベースを表81に示される原材料を加えて溶解し、塗料#50(色:黒)を得た。
【表80】
【表81】
【0363】
(第43実施例)
第43実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、塗料ミストの飛散防止と隅まで均一に塗装する目的で、塗料圧力によって塗料を霧状に霧化するとともにエアーによって塗料パターンを制御するエアーレスエアースプレー装置によって、成型品の表面に塗装する点が特徴である。
前記第4実施例における2サイクル目のABS樹脂成型品の裏面(内面)に前記製造した塗料#50を希釈用シンナーS2を加えて塗料粘度をイワタ NKー2カップで20℃,18秒に調整した。内面塗装には、(株)旭サナック製のエアーレスエアースプレー装置(商品名;エアラップユニット,型式;AP1021AW)以下、「エアーレスエアーガン」と称する)を用いて塗料圧力3kg/cm2 、ノズル口径は0.7mm、ラップエアー圧力2kg/cm2 で前記第4実施例と同様に乾燥させ、乾燥膜厚は15±3μmであった。表82には塗装適性と塗膜性能を示した。
【表82】
前記塗料#50の塗膜付き成型品を、前記第4実施例と同様に粉砕機、押し出し機、ペレタイザーを用いて、粉砕,リペレットした再生ABS樹脂を、再び射出成型機を用いて成形加工した結果、成形加工性には何ら問題はなく、成形加工は出来た。以下表83に成形加工性の結果を示した。
【表83】
【0364】
(第44実施例)
第44実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、塗料ミストの飛散防止と隅まで均一に塗装する目的で、塗料圧力によって塗料を霧状に霧化するエアーレススプレー装置によって、成型品の表面に塗装する点が特徴である。
第4実施例における2サイクル目のABS樹脂成型品の裏面(内面)に調整した前記塗料#50(溶剤としては前記シンナーS2を使用)を用いて内面塗装するものである。前記実施例と同様、塗料ミストの飛散防止と隅まで均一に塗装する目的で、(株)旭サナック製のエアーレススプレー装置(商品名;オリシン,型式;AP1021Q)以下、「エアーレスガン」と称する)を用いて塗料圧力80kg/cm2 で塗装した。乾燥膜厚は15±3μmであった。表84には塗装適性と塗膜性能を示した。
【表84】
前記塗料#50の塗膜付き成型品を、粉砕,リペレットした再生ABS樹脂を、成形加工した結果、成形加工性には何ら問題はなく、成形加工することが出来た。以下表85に成形加工性の結果を示した。
【表85】
【0365】
(第45実施例)
第45実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、プラスチック成型品の表面に静電塗装によって塗装する点が特徴である。
スプレーガンによる塗料#10の成型品への塗着効率は、一般に約40%程度である。ここで、塗着効率とは、製品に塗着した乾燥塗膜の重量を、使用した塗料の重量で除した商に100を乗じた値と定義する。前記使用した塗料の重量とは、溶解固形分の重量(NV){NV;ノンボラ(Non Volatileの略)の重量である。
高電圧発生器は、(株)旭サナック製の型式 EH80Bであり、エアー静電ハンドガンは、同社製の型式 HB110であり、静電ノズルは、同じく同社製の平吹ノズル 型式HN53F−HMを用いて、印加電圧は60KVに設定した(以下、「静電塗装装置」と称する)
前記第5実施例における1サイクルのリサイクルを実施したABS再生樹脂成型品に、はじめに前記静電塗装装置を用いて、イソプロピルアルコールを塗布した。つづいて表面のイソプロピルアルコールが気化、蒸発しない間すなわち成型品表面が濡れている状態で、粘度調整した塗料#10を静電塗装装置を用いて塗装した。塗装した後、前記第4実施例と同一の乾燥装置によって乾燥条件で乾燥した。乾燥膜厚は22μm±2μmであった。
【0366】
上述した前記スプレーガンによる場合と同様に、本第45実施例の前記静電塗装装置による塗着効率を計算してみたところ約59%〜63%となっていた。
前記塗着効率が向上したのは、エアー静電ハンドガンから出た負に帯電した霧化塗料粒子が、正に帯電した金属で作られた塗装ハンガーにクーロン力(静電気力)によって引き付けられる。この際に成型品表面は、イソプロピルアルコールの塗布によって濡れているので、塗装ハンガー近くにクーロン力によって引き付けられた負に帯電した霧化塗料粒子が捕集されたため、塗着効率が向上したのである。
イソプロピルアルコールの変わりに前記シンナーS2を用いることも出来、その場合でも、塗着効率の向上は見られ、塗着効率は約55%〜59%の結果が得られる。
このように溶剤やシンナーは、前記の物以外に同等の作用を奏するものであれば使用可能である。
【0367】
(第46実施例)
第46実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、プラスチック成型品の表面に刷毛塗りによって塗装する点が特徴である。
塗料#30をシンナーS2で希釈せずに、第4実施例における1サイクル目のリサイクルを実施したABS再生樹脂成型品に、(株)丸伝製万能刷毛(巾50mm)を用いて刷毛塗り塗装を実施した。刷毛目の跡は残ったが塗膜性能は問題はなかった。前記第4実施例と同一の乾燥装置で乾燥させた。
乾燥膜厚は、約20μmであった。以下の表86には、塗膜性能を示した。
【表86】
【0368】
(第47実施例)
第47実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、プラスチック成型品の表面にローラーブラシ塗装によって塗装する点が特徴である。
前記塗料#10をシンナーS2で希釈せずに、第4実施例における1サイクル目のリサイクルを実施したABS再生樹脂成型品に、(株)丸伝製413V ローラーブラシを用いて、ローラーブラシ塗装を実施した。
乾燥膜厚のバラツキは、大きかったが塗膜性能に問題はなかった。前記第4実施例と同一な乾燥装置で乾燥した。乾燥膜厚は約10μm〜20μm程度であった。表87には塗膜性能を示した。
【表87】
【0369】
(第48実施例)
第48実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、プラスチック成型品の表面を浸漬塗装によって塗装する点が特徴である。
前記第4実施例における1サイクル目のリサイクルを実施したABS再生樹脂成型品に、前記塗料#30を浸漬塗装によって塗装を実施した。
前記成型品は、ガス・アシスト成形法によって加工され、内部に中空部が形成されており、中空部に塗料の進入し塗装不良の発生が懸念されたので、前記実施例と同様にステンレス製のM3タッピングネジでガスの注入口を封止した。
前記第4実施例で用いた粘度測定用カップを用いて、前記塗料#30を溶剤としてシンナーS1で希釈し、粘度を20℃,13秒に調整した。前記粘度調整した塗料をステンレス製容器に入れ、前記成型品を浸漬し塗装した。
液たれ切れを十分に行った後、前記実施例と同一の乾燥炉、乾燥方法、工程にて乾燥させた。乾燥膜厚は、7μm程度であった。
表88には、塗膜性能を示した。
【表88】
【0370】
(第49実施例)
第49実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、プラスチック成型品を押し出しによって押し出し成形する点が特徴である。
東芝機械(株)製のベント式押し出し機(機種:SE90DCV)によって、成形材料に旭化成工業(株)製、ABS樹脂{商品名、及びグレード;スタイラック A3190、色:ホワイト(10倍もののマスターバッチで着色した)}を、押し出し成形し、板厚3mmのプレート成型品を得た。
シリンダーの設定温度はヘッドより230±5℃、240±5℃(ベント部)、230±5℃、215±5℃、200±5℃とベント部を少し高めの設定とし、ダイス巾1100mmのダイスを用いて、ダイスの設定温度はD1 を230±5℃、D2 を220±5℃、D3 を215±5℃、D4 を215±5℃、D5 を220±5℃、D6 を230±5℃とした。3本ロールの温度設定は、1本を90℃、残りの2本をそれぞれ45℃と40℃に設定した。
次に、トリミングカッターとギロチンカッターを用いて前記プレート成型品を600mm×500mmの大きさに切断した。(以下切断したプレート成型品を「プレート材」と称する)前記プレート材に塗料#10(シンナーS2を使用)を用いて、前記第4実施例と同様の塗装機器で表面を塗装した。乾燥膜厚は15±3μmであった。
【0371】
前記塗膜付きのプレート材を前記第4実施例と同様の再生装置を用いてペレット化した。上記ペレット化した成形材料(塗膜を剥離しないでそのままリサイクルした成形材料)を用いて、再び前記同一の押し出し機、ダイスなどを用いて同一の成形条件で成形加工したところ1回目の成形加工と再生時の熱によって樹脂の劣化が生じて押し出し成形時に押し出されたシートがダイスから出てロールまでの間にドローダウンしてしまった。このトタブルを回避するために、ダイとロールの間隔を150mmから50mmへと近づけることで前記のドローダウンを回避した。
またそれとは別に、上記再生ペレットにリサイクル助剤として上記成形材料のバージン材50%を、タンブラーで、成形加工前に混合した再生材(バージン材の混合ペレット)を使用したところドローダウンは起こらずプレート材が得られた。この様にして得られたそれぞれのプレート材に前記と同様に塗装した。
この様なサイクルでリサイクルを実施した。表89にはそれぞれのサイクルでの塗装適性と塗膜性能を示した。
【表89】
【0372】
(第50実施例)
第50実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記第49実施例における塗料#10を塗料#30に変更した点が相違点である。
本第50実施例は、塗料に塗料#30(希釈用にはシンナーS1を使用)を用いて、前記第49実施例と同一成形材料、同一加工機、工程にて加工したものである。表90にはそれぞれのサイクルでの塗装適性と塗膜性能を示した。
【表90】
【0373】
(第51実施例)
第51実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記第49実施例における成型品の成形材料ABS樹脂をHIPS樹脂に変更した点が相違点である。
本第51実施例においては、成形材料に旭化成工業(株)製、HIPS樹脂{商品名、及びグレード;スタイロン 475D、色:ホワイト(10倍もののマスターバッチで着色した)}を、塗料は塗料#10(希釈用にはシンナーS2を使用)を用いて、前記第49実施例と同一加工機、工程にて加工したものである。
【0374】
前記成形材料がHIPS樹脂であるので、押し出し機シリンダーの設定温度をヘッドより215±5℃、225±5℃(ベント部)、215±5℃、200±5℃、185±5℃とベント部を少し高めの設定とし、ダイスの設定温度はD1を215±5℃、D2 を205±5℃、D3 を200±5℃、D4 を200±5℃、D5 を205±5℃、D6 を215±5℃とした。3本ロールの温度設定は1本を80℃、残りの2本をそれぞれ50℃,45℃とした。
前記第49実施例の際と同様、リサイクル材の成形加工時にドローダウンが生じたので、前記第49実施例と同様な方法によってドローダウンを回避した。
表91には、それぞれのサイクルでの塗装適性と塗膜性能を示した。
【表91】
【0375】
(第52実施例)
第52実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記第51実施例における塗料#10を塗料#20に変更した点が相違点である。
塗料に塗料#20(希釈用にはシンナーS2を使用)を用いて、前記第51実施例と同一成形材料、同一加工機、工程、同一の成形条件にて加工したものである。表92にはそれぞれのサイクルでの塗装適性と塗膜性能を示した。
【表92】
【0376】
(第53実施例)
第53実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記第50実施例で得たそれぞれのサイクルでの塗膜付きプレート材を用いて真空成形を実施した点に特徴がある。
真空成型機{(株)浅井製作所(機種:FR−523)}によって、縦400mm、横350mm、深さ35mmの製品を製造した。
初めに上記プレート材を温度が170℃にまで加熱し、軟化させた。加熱時間は、約300秒程度で、ドローダウンの状況を観察しながら調整した。次にこのプレート材を真空圧力50mmHgで真空成形加工した。この際塗膜付着面が成型品の外側になるようにし、得られた成型品をNCルーダー、プレスで切断し製品とした。
【0377】
この様に得られた各サイクルごとの製品の破断面と曲げ部分に塗膜の剥がれ、クラック、艶、むら、しわなどの観察をした。また塗膜の付着性を確認するためにゴバン目試験を実施した。結果は表93に示した。
【表93】
塗膜に異常が見られなかったのは、塗膜を構成する樹脂が熱可塑性であり成形前の余熱で十分な伸び性を持っているからであると推測される。
【0378】
(第54実施例)
第54実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記第49実施例で得たそれぞれのサイクルでの塗膜付きプレート材を用いて真空成形を実施した点に特徴がある。
表94には前記第53実施例と同様に成形加工後の塗膜の外観と付着性の試験結果を示した。
【表94】
塗膜に異常が見られなかったのは、塗膜を構成する樹脂が熱可塑性であり成形前の余熱で十分な伸び性を持っているからであると推測される。
【0379】
(第55実施例)
第55実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記第51実施例で得たそれぞれのサイクルでの塗膜付きプレート材を用いて真空成形を実施した点に特徴がある。
本第55実施例は、第51実施例で得たそれぞれのサイクルでの塗膜付きプレート材を用いて前記第53実施例と同様な装置と工程で真空成形を実施したものである。
成形材料がHIPS樹脂であるために余熱温度は155℃と低めにした。
表95には前記実施例と同様に成形加工後の塗膜の外観と付着性の試験結果を示した。塗膜に異常が見られなかったのは、塗膜を構成する樹脂が熱可塑性であり成形前の余熱で十分な伸び性を持っているからであると推測される。
【表95】
【0380】
(第56実施例)
第56実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、前記第52実施例で得たそれぞれのサイクルでの塗膜付きプレート材を用いて真空成形を実施した点に特徴がある。
本第56実施例は、前記第52実施例で得たそれぞれのサイクルでの塗膜付きシート材を用いて前記第55実施例と同様な装置と工程で真空成形を実施したものである。
表96には成形加工後の塗膜の外観と付着性の試験結果を示した。
塗膜に異常が見られなかったのは、塗膜を構成する樹脂が熱可塑性であり成形前の余熱で十分な伸び性を持っているからであると推測される。
【表96】
【0381】
(第57実施例)
第57実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置は、ABS樹脂成型品の表面および裏面に印刷する点に特徴がある。
前記第4実施例の2サイクル目のABS樹脂成型品の表面を、前記塗料#10を用いて、塗装し、インキ#15(前記表16)を用いて、表面の隅に例えば「XEROX」のロゴマークをシルク印刷し、前記成型品の裏面(塗装が施してない面)に前記インキ#15を用いて、タンポ印刷(パッド印刷)によって、「成型品を構成する樹脂と、親和性を持った塗料、インキによって塗装、印刷が施してあるので、塗膜剥離や印刷の除去は行わずにリサイクルが可能な成型品」と注記した。
【0382】
また、前記インキ#15によって、前記と同様タンポ印刷で、成型品を構成する樹脂の種類、塗膜、インク膜を構成する樹脂の種類、製品重量、リサイクルの回数,リサイクルのリサイクル履歴,ULファイルNoなどのリサイクルに必要な情報をバーコード39で印刷した。これらの情報は成型品の裏面もしくは機能上問題がなければ表面にも可能である。
さらにバーコードは、前記バーコード39以外にも、2次元バーコードなども用いることが出来る。前記印刷したバーコードはバーコードリイダーによって読みとりは出来た。 前記成型品を、前記第4実施例と同様に粉砕機、押し出し機、ペレタイザーでリサイクルして再ペレットを得た。このペレットを用いて、射出成型機で成形加工したところ、前記実施例と同様塗膜、インキ膜が原因と思われる赤色,黒色の異物不良、シルバーストリーク,色むら,曇りなどの不良現象は、バージン材での成形加工と差はなかった。
結果を表97に示す。
【表97】
【0383】
(第58実施例)
第58実施例の再生可能性評価方法は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と、成型品の主成分である熱可塑性樹脂とが、互いに親和性を持っていて、リサイクル可能な組み合わせであるかの評価を行うもので、以下のように実施するものであるり、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂との親和性を評価するものである。
塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂とが親和性を持っているか、互いにリサイクル可能な組み合わせであるかどうかの評価については、一般的には、上述した方法の中のいずれかの方法を実施するか、それぞれ複数の評価結果によって総合評価することが考えられる。本第58実施例においては、ゴバン目試験を用いて親和性の評価を実施した。
初めに塗膜を構成する熱可塑性樹脂10部に対して、成型品の主成分である熱可塑性樹脂90部の重量割合で混合し、単軸または多軸の押し出し機を用いて塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂との混合樹脂ペレットを作成した。
【0384】
ペレット作成の操作は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂とを、タンブラーによって均一に混合し、得られた混合樹脂を前記押し出し機を用いて溶融混練することで、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂との混合樹脂ペレットを得た。
試験片(試料)は、上述のように押し出し機を用いて作成することが好ましいが、検体が少量の場合には、メルト・インデクサーを用いても良い。それ以外には、容器に(例えば硝子ビイカー等)上述のそれぞれの樹脂に入れ、互いの樹脂を溶融点温度以上まで加熱溶融し、10分〜30分程度撹拌しながら互いの樹脂を十分に混合すると混合樹脂塊が得られた。このようにして得られた前記混合樹脂塊を粉砕した。
【0385】
上述のようにして得られた塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂の混合樹脂ペレットを、大きさが600mm×600mm、板厚1mmの表面をテフロンコーティングした板(写真焼き付けの際に使用するフェロ板の様な物でも可能)の間に10g、ないし30g程度を入れて、互いの樹脂の溶融点温度まで加熱しながら1kg/cm2〜500kg/cm2の圧力で加圧プレスし、前記混合樹脂とからなる通称「パンケーキ」と称される肉厚1mm程度の薄い板を作成した。
このようにして得られた「パンケーキ」に、前記表8に示されるJIS規格K 5400 8.5.2に準じてゴバン目状に切り込みを入れ、セロテープを貼り付けた後、一定角度で前記セロテープを剥ぎ取るゴバン目試験を行い、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂との親和性を確認した。
【0386】
その結果が付着性が90/100以上の場合には、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂とは親和性があり、リサイクル可能な組み合わせである可能性が高いと判断される。
表98−2には、一例として表98−1に示される塗料用樹脂について、得られたゴバン目試験の結果が示される。表98−2中において、ゴバン目試験の結果が例えば100/100、50/100の場合は、スペースの制約から分母である100を省略して、分子である100、50のみを表示した。
また、上述したように塗料用の樹脂として使用可能であるため、成型品の主成分である熱可塑性樹脂同士の組み合わせについても前記ゴバン目試験を実施した。
【表98−1】
【表98−2】
【0387】
更に上述したように塗料用の樹脂として使用可能であるため、塗膜を構成する熱可塑性樹脂として前記相容(溶)化剤と成型品の主成分である熱可塑性樹脂との組み合わせについても前記ゴバン目試験を実施した。
その結果、塗料用樹脂などの分子量が比較的に小さい樹脂は、上記ゴバン目テストを実施する限り、親和性などの性質を有している。
一方成型用樹脂や、相容(溶)化剤など塗料用樹脂に比べて、分子量が比較的に大きい樹脂は、ゴバン目テストを実施する限り、親和性などの性質を有していないものもある。
【0388】
(第59実施例)
第59実施例の再生可能性評価方法は、前記第58実施例の「パンケーキ」作成の際に使用したペレットの一部を用いて、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と成型品の主成分である熱可塑性樹脂とを混合して成形した試験片をTEM観察して再生可能性を評価するもので、TEM写真により成型品の主成分である熱可塑性樹脂中における塗膜を構成する熱可塑性樹脂の形状および分散状態により評価するものである。
【0389】
図17は、塗膜を構成する樹脂として熱可塑性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック A−166}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製 ハイインパクトポリスチレン樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン 495}を用いて成形した試験片について、上記観察をして撮影したTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する樹脂である熱可塑性アクリル樹脂は、成型品の主成分であるHIPS樹脂中のPS樹脂内に均一に単分散し、一部は長円化し、樹脂の流れ方向に配向を示している。それぞれの樹脂の界面には剥がれや欠落は見られないので、親和性を示し、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0390】
図18は、塗膜を構成する樹脂として熱可塑性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック A−166}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてABS樹脂{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 120}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
上記TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する樹脂である熱可塑性アクリル樹脂は、成型品の主成分である、ABS樹脂中のAS樹脂内に均一に単分散し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、親和性を示し、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0391】
図19は、塗膜を構成する樹脂として熱可塑性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック A−166}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPC樹脂{帝人化成(株)製 ポリカーボネート樹脂 商品名、及びグレード;パンライト 1250}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する樹脂である熱可塑性アクリル樹脂は、PC樹脂内に均一に球形に単分散し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、親和性を示し、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0392】
図20は、塗膜を構成する樹脂として熱可塑性アクリル樹脂{大日本インキ化学工業(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;アクリディック A−166}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPVC樹脂{理研ビニル工業(株)製 硬質塩化ビニル樹脂 商品名、及びグレード;VBV 0006F(射出成型用グレード)}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
【0393】
図21は前記検体である試験片を、オスミウム酸(OsO4 )で染色処理したものに、更にルテニウム酸(RuO4 )を用いて染色を実施するとともに、更に10,000倍に拡大したものである。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する樹脂である熱可塑性アクリル樹脂は、PVC樹脂内に分散し、それぞれの界面には剥がれが観察され、更に塗膜を構成する樹脂の欠落が見られるので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0394】
図22は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレン変性アクリル樹脂{三菱レイヨン(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤナール BRー52}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製 ハイインパクトポリスチレン樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン 495}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂は、HIPS樹脂中のPS樹脂内に多くは相溶し、また、一部は均一に単分散し、親和性を示し、それぞれの界面には剥がれは見らないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0395】
図23は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレン変性アクリル樹脂{三菱レイヨン(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤナール BRー52}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてABS樹脂{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 120}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂は、ABS樹脂中のAS樹脂内に細かく均一に球状形状で単分散し、親和性を示し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0396】
図24は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂として塩素化ポリプロピレン樹脂{日本製紙(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;スーパークロン 224H}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPP樹脂{日本ポリオレフィン(株)製 ポリプロピレン樹脂 商品名、及びグレード;ジェイアロマー MK541}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂である塩素化ポリプロピレン樹脂はPP樹脂内に均一には分散せず、一部には塗膜を構成する樹脂の欠落が見られので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0397】
図25は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレン変性アクリル樹脂{三菱レイヨン(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤナール BRー52}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPVC樹脂{理研ビニル工業(株)製 硬質塩化ビニル樹脂 商品名、及びグレード;VBV 0006F(射出成型用グレード)}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。染色処理はルテニウム酸(RuO4 )で実施した。
【0398】
図26は前記図25の検体である試験片を、オスミウム酸(OsO4 )で染色したものに、更にルテニウム酸(RuO4 )によって染色したものである。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂は、PVC樹脂中に分散しているが、それぞれの界面には剥がれが観察され、更に塗膜を構成する樹脂の欠落が見られ、親和性を示さなので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0399】
図27は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレン変性アクリル樹脂{三菱レイヨン(株)製、塗料用樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤナールBR−52}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPP樹脂{日本ポリオレフィン(株)製 ポリプロピレン樹脂 商品名、及びグレード;ジェイアロマー MK541}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂は、PP樹脂中に分散しており、界面に剥がれは見られないが、リサイクル可能な組み合わせかどうかはTEM写真から直ちに判断することが出来ない。
【0400】
図28は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレン変性アクリル樹脂{三菱レイヨン(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤナールBR−52}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPC樹脂{帝人化成(株)製 ポリカーボネート樹脂 商品名、及びグレード;パンライト 1250}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂は、PC樹脂内に均一に、しかも球形に単分散し、相容性を示し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0401】
図29は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレンアクリルエマルジョン(エマルション以下同様){(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XAー4408}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製 ハイインパクトポリスチレン樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン495}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。 TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレンアクリルエマルジョンは、HIPS樹脂中のPS樹脂内に均一に分散し、相容性を示し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0402】
図30は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレンアクリルエマルジョン(エマルション){(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XAー4408}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてABS樹脂{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 120}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレンアクリルエマルジョンは、ABS樹脂中のAS樹脂内に多くは相溶し、また、一部は均一に分散し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0403】
図31は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレンアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂脂 商品名、及びグレード;XAー4408}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてポリプロピレン樹脂{日本ポリオレフィン(株)製 ポリプロピレン樹脂 商品名、及びグレード;ジェイアロマー MK541}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレンアクリルエマルジョンはPP樹脂内に均一な分散をして、界面に剥がれは見られない。界面で黒くなっている部分が観察されるのは、前記PP樹脂の一部が前記塗料を構成する樹脂に取り込まれ親和性を示していると判断される。
表98の付着性の結果は親和性は無い結果(熱が加わらない)が出ているが、実際に熱を加えて評価をしたTEM写真からは、リサイクル可能な組み合わせと判断出来る。
【0404】
図32は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレンアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XA−4408}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPVC樹脂{理研ビニル工業(株)製 硬質塩化ビニル樹脂 商品名、及びグレード;VBV 0006F(射出成形用グレード)}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
図32は検体である試験片をルテニウム酸(RuO4 )によって染色したものである。 TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレンアクリルエマルジョンは、PVC樹脂内に分散し、それぞれの界面には剥がれが観察され、更に塗膜を構成する樹脂の欠落が見られるので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0405】
図33は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてスチレンアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XA−4408}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPC樹脂{帝人化成(株)製ポリカーボネート樹脂 商品名、及びグレード;パンライト 1250}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるスチレンアクリルエマルジョンは、PC樹脂内に均一に、しかも球形に単分散し、相容性を示し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0406】
図34は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XAー2409}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製 ハイインパクトポリスチレン樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン 495}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるアクリルエマルジョンは、HIPS樹脂中のPS樹脂内に分散し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0407】
図35は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XAー2409}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてABS樹脂{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 120}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるアクリルエマルジョンは、ABS樹脂中のAS樹脂内に分散し、親和性を示し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0408】
図36は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XAー2409}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPP樹脂{日本ポリオレフィン(株)製ポリプロピレン樹脂 商品名、及びグレード;ジェイアロマー MK541}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真の観察結果である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるアクリルエマルジョンは、PP樹脂内に均一には分散せず、一部には塗膜を構成する樹脂の欠落が見られるので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0409】
図37は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、、及びグレード;XA−2409}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPC樹脂{帝人化成(株)製 ポリカーボネート樹脂 商品名、及びグレード;パンライト 1250}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるアクリルエマルジョンは、PC樹脂内に均一に分散し、しかも球形に単分散し、相容性を示し、それぞれの界面には剥がれは見られないので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0410】
図38は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂としてアクリルエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;XA−2409}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPA樹脂{旭化成工業(株)製 ナイロン樹脂 商品名、及びグレード;レオナ 1300S}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂であるアクリルエマルジョンは、PA樹脂内に完全に分子レベルで相溶しているので、リサイクル可能な組み合わせであると判断される。
【0411】
図39は、塗膜を構成する熱可塑性を示す樹脂であるウレタンエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;GLトップU}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてHIPS樹脂{旭化成工業(株)製ハイインパクトポリスチレン樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン 495}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。界面の剥がれ、塗膜を構成する熱可塑性樹脂の欠落が鮮明に観察出来る。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性を示す樹脂であるウレタンエマルジョンは、HIPS樹脂中のPS樹脂内に均一に分散し、それぞれの界面には剥がれが観察され、更に塗膜を構成する樹脂の欠落が見られるので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0412】
図40は、塗膜を構成する熱可塑性を示す樹脂であるウレタンエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;GLトップU}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてABS樹脂{旭化成工業(株)製ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 120}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性を示す樹脂であるウレタンエマルジョンは、ABS樹脂中のAS樹脂内に均一に分散し、それぞれの界面には剥がれが観察され、更に塗膜を構成する樹脂の欠落が見られるので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0413】
図41は、塗膜を構成する熱可塑性を示す樹脂であるウレタンエマルジョン{(株)トウペ製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;GLトップU}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPVC樹脂{理研ビニル工業(株)製 硬質塩化ビニル樹脂 商品名、及びグレード;VBV 0006F(射出成型用グレード)}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性を示す樹脂であるウレタンエマルジョンは、PVC樹脂内に分散し、界面には剥がれが観察され、更に塗膜を構成する樹脂の欠落が見られるので、リサイクル可能な組み合わせではないと判断される。
【0414】
図42は、塗膜を構成する熱可塑性樹脂として塩素化ポリプロピレン樹脂{三菱レイヨン(株)製の塗料用樹脂 商品名、及びグレード;ダイヤナール JR1487}を用いて、成型品の主成分である熱可塑性樹脂としてPP樹脂{日本ポリオレフィン(株)製 ポリプロピレン樹脂 商品名、及びグレード;ジェイアロマー MK541}を用いて成形した試験片について、上記撮影をしたTEM写真である。
【0415】
TEM写真の観察結果から、塗膜を構成する熱可塑性樹脂である塩素化ポリプロピレン樹脂は、PP樹脂内に均一に分散し、それぞれの界面には剥がれが見られない。塗膜を構成する樹脂の欠落も見られないので、リサイクル可能な組み合わせである。
図6から図9、および図17から図42までにおいて、図中の染色処理剤、OsO4 は、オスミウム酸(OsO4 )だけでの染色、RuO4は、ルテニウム酸(RuO4 )だけでの染色、OsO4 +RuO4 は、オスミウム酸(OsO4 )で染色した検体を、更にルテニウム酸(RuO4 )を用いて再染色したことを表す。
【0416】
(第60実施例)
第60実施例の再生可能性評価方法は、表99−1に記載した#101から#151の塗膜を構成する樹脂によって作成したクリヤー塗料を用いて表99−2に示したABS、HIPS、スチレン変性PPO(E)・・・などの熱可塑性樹脂成型品それぞれに塗装を施し造膜された塗膜の付着性を、前記表8に示されるJIS K 5400 8.5.2に従いゴバン目試験を実施した。
【表99−1】
【表99−2】
塗膜の付着性の判定の結果、付着性が90/100以上ある場合{(表中に「◎」、及び「○」で示した)分母の100は省略してある。}には、塗膜を構成する熱可塑性樹脂と、成型品の主成分である熱可塑性樹脂とは親和性が高く、リサイクル性を備えている可能性が高いと評価した。
表99−1〜3には上述の塗料樹脂の種類、試験結果、記事を示した。
【表99−3】
【0417】
(第61実施例)
第61実施例の再生可能性評価方法は、前記第4実施例と同様に成形加工した成型品に塗装した塗膜付き成型品を再生した樹脂ペレットを、再び成形加工し塗装して粉砕してペレット化すると言う成形材料のリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 191を用い、再生可能な塗料には塗料#149(溶剤として、表7に示すシンナーS2を使用)、塗料#151(希釈用の溶剤には、脱イオン水を使用)、塗料#149Mt(「Mt」はメタリックを意味する。溶剤として、表7に示すシンナーS2を使用)をそれぞれ用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度はヘッドより255℃,250℃,245℃,240℃,230℃と、比較例の熱硬化性ウレタン塗料、塗装を施さないでリサイクルした場合など、総て共通であった。
【0418】
表100−2、表101、表102にはそれぞれ各サイクル(ターン)ごとの性能試験結果を示す。比較例として前記ABS樹脂に何も塗装しないでリサイクルした場合の結果を表103に示した。また熱硬化性ウレタン樹脂塗料には、トウペ(株)製 ウレタン樹脂(10:1)塗料 商品名、及びグレード;リファイン 2Kと、ミカサペイント(株)製 ウレタン樹脂(4:1)塗料 商品名、及びグレード;BMUー5をそれぞれ用いた場合の結果を表104、表105に示した。
各表100−2〜122におけるそれぞれの試験項目、試験方法、要求値、単位は、表100−1すなわち前記表8、表9に示されるもので、前記表100−2〜表126において、各試験項目は、スペースの制約から前記表100−1に示される記号B1〜B17、およびC1〜C14として示される。
【表100−1】
【表100−2】
【表101】
【表102】
【表103】
【表104】
【表105】
【表106】
【表107】
【表108】
【表109】
【表110】
【表111】
【表112】
【表113】
【表114】
【表115】
【表116】
【表117】
【表118】
【表119】
【表120】
【表121】
【表122】
【表123−1】
【表123−2】
【表123−3】
【表123−4】
【表124】
【表125】
【表126】
【0419】
(第62実施例)
第62実施例の再生可能性評価方法は、前記第61実施例と同様にリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験その他の前記表8および表9に示される各評価試験を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として旭化成工業(株)製 HIPS樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン 492を用い、再生可能な塗料には塗料#149、塗料#151をそれぞれ用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度はヘッドより250℃,240℃,230℃,220℃,200℃と比較例の熱硬化性ウレタン塗料、塗装を施さないでリサイクルした場合など総て共通であった。
表106、表107にはそれぞれ各サイクル(ターン)ごとの性能試験結果を示す。比較例として前記HIPS成型品に何も塗装しないでリサイクルした場合の結果を表108に示した。また熱硬化性ウレタン樹脂塗料には、トウペ(株)製 ウレタン樹脂(10:1)塗料 商品名、及びグレード;リファイン 2Kと、ミカサペイント(株)製 ウレタン樹脂(4:1)塗料 商品名、及びグレード;BMUー5}を塗装してリサイクルした場合、それぞれの結果を表109、表110に示した。
【0420】
(第63実施例)
第63実施例の再生可能性評価方法は、前記第61実施例と同様にリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として旭化成工業(株)製 スチレン変性PPO(E)樹脂 商品名、及びグレード;Xyron 100Zを用い、再生可能な塗料には塗料#149を用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度はヘッドより260℃,250℃,240℃,220℃,200℃であった。
表111にはそれぞれ各サイクル(ターン)ごとの性能試験結果を示す。比較例として何も塗装しないでリサイクルした場合の結果を表112に示した。
【0421】
(第64実施例)
第64実施例の再生可能性評価方法は、前記第61実施例と同様にリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験その他を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として旭化成工業(株)製 難燃HIPS樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン VS741を用い、塗料には#149を用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度は250℃,240℃,230℃,220℃,200℃であった。
表113にはそれぞれ各サイクル(ターン)ごとの性能試験結果を示す。比較例として何も塗装しないでリサイクルした場合の結果を表114に示した。
【0422】
(第65実施例)
第65実施例の再生可能性評価方法は、前記第61実施例と同様にリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験その他を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として旭化成工業(株)製難燃ABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック VA58を用い、再生可能な塗料には塗料#149を用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度はヘッドより250℃,240℃,230℃,220℃,200℃であった。
表115にはそれぞれ各サイクル(ターン)ごとの性能試験結果を示す。比較例として何も塗装しないでリサイクルした場合の結果を表116に示した。
【0423】
(第66実施例)
第66実施例の再生可能性評価方法は、前記第61実施例と同様にリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験その他を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として宇部サイコン(株)製 難燃ABS樹脂 商品名、及びグレード;サイコラック ZFJ12を用い、再生可能な塗料には塗料#149を用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度はヘッドより250℃,240℃,230℃,220℃,200℃であった。
表117にはそれぞれ各サイクル(ターン)ごとの性能試験結果を示す。比較例として何も塗装しないでリサイクルした場合の結果を表118に示した。
【0424】
(第67実施例)
第67実施例の再生可能性評価方法は、前記第61実施例と同様にリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として日本ジーイープラスチックス(株)製 PC/ABS樹脂 商品名、及びグレード;サイコロイ C6200を用い、再生可能な塗料には塗料#149を用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度はヘッドより245℃,220℃,230℃,200℃,200℃と少し低めに設定をした。
前記PC/ABS樹脂は1サイクル(ターン)再生のペレット作成の押し出しの工程で、塗装の有無にかかわらず、サージング現象を起こして、ストランドがうまく押し出せずに、ペレタイズが困難であったので、表119には1サイクル(ターン)だけの性能試験結果を示す。比較例として塗装しないでリサイクルした場合の1サイクル(ターン)結果を表120に示した。
【0425】
(第68実施例)
第68実施例の再生可能性評価方法は、前記第61実施例と同様にリサイクルを繰り返し、その都度ゴバン目試験を行い、試験結果より再生可能性を評価するものである。
成形材料として日本ポリオレフィン(株)製 PP樹脂 商品名、及びグレード;MK454Bを用い、再生可能な塗料には塗料#132(溶剤としては、表ー7に示すシンナーS3を使用)を用いた。押し出し機のシリンダーの設定温度はヘッドより240℃,230℃,220℃,220℃,210℃,であった。
表121にはそれぞれ各サイクル(ターン)ごとの性能試験結果を示す。比較例として塗装しないでリサイクルした場合の結果を表122に示した。
【0426】
(第69実施例)
第69実施例は、リサイクル可能な塗料その他およびその製造に関するものである。
本実施例における塗料の製造方法、製造装置については第1実施例の場合と同様である。表123ー1から表123ー4には、それぞれの塗料の原材料(メーカー名、グレードなど)、溶解,分散に用いる溶剤やその他添加剤、希釈用のシンナー、成型品の主成分である熱可塑性樹脂との親和性(リサイクル性)、非親和性(非リサイクル性)を示した。 また、表124にはそれぞれの塗料の塗装適性と塗膜性能を示した。塗装適性と塗膜性能の評価を実施した熱可塑性樹脂は、表124中の最下欄に示されている。表124のそれぞれの試験方法は、前記表8による。
リサイクルの評価は、それぞれの前記塗料を用いて塗装した熱可塑性樹脂成型品を、第4実施例と同様にペレタイズしたペレットを成形加工した結果を表125に示した。また、リサイクル性や、成形加工性の評価を実施した熱可塑性樹脂は表125中の最下欄に示されている。
【0427】
(第70実施例)
第70実施例の再生可能性評価方法は、カーテンフローコーターにより表面が塗装された塗装成型品の塗装適性と塗膜性能を評価するものである。
ABSシート成型品に塗料#149を前記岩田製カップを用いて塗料粘度を20℃、38秒に調製し、岩田塗装工業(株)製のフローコーター塗装機(型式;FL−S3F)で、ラインスピードを70m/分とし、塗布量は70〜100g/m2に調製して塗装が行われた。
得られた塗装品の乾燥膜厚は、15〜18μmであり、再生可能な塗膜付き成型品での塗装適性と塗膜性能を、前記表9に示される試験方法に従い評価して、その結果を表126に示した。
【0428】
(第71実施例)
第71実施例の再生可能性評価方法は、カーテンフローコーターにより表面が塗装された塗装成型品の塗装適性と塗膜性能を評価するものである。
ABSシート成型品に塗料#149の塗料を前記岩田製カップを用いて塗料粘度を20℃、30秒に調製し、望月機械工業(株)製 ナチュラルロールコーター塗装機で、ラインスピードを60m/分とし、塗布量を50〜60g/m2 に調製し3回塗装した。
得られた塗装品の乾燥膜厚は、8〜10μmであり、再生可能な塗膜付き成型品での塗装適性と塗膜性能を、前記表8に示される試験方法に従い評価して、その結果を表127に示した。
【表127】
【0429】
(第72実施例)
第72実施例の塗装方法および塗装装置は、熱可塑性樹脂粉体塗料(以下、「熱可塑性樹脂粉体塗料」、あるいは単に「粉体塗料」と称する)の粉体塗装の実施例を示す。
初めに熱可塑性樹脂粉体塗料を用いる粉体塗装の原理を、図43を用いて説明する。粉体塗料・は、平均粒径20〜100μm程度に微紛化した塗料を構成する樹脂が熱可塑性樹脂によって作られている熱可塑性樹脂粉体塗料である。高圧ガスプラグ・は、大気圧以上に圧縮された高圧ガスの発生装置につながれている。高圧ガスを装置内に流すと細管・はベンチュリー管の原理によって管内、及びホース・内は負圧となり、粉体塗料・を吸い上げる。管内に吸い上げられた粉体塗料・は、塗料加速管・内で高圧ガスの流速に乗って加速されプラスチック成型品表面に達して衝突する。衝突の際、粉体塗料・の粒子の持っている運動エネルギーの一部は熱エネルギーに変換され、この熱エネルギーが粉体塗料・の粒子を熱溶融させると共に、成型品を構成する熱可塑性樹脂表面も熱溶融させ、互いの樹脂は付着し、造膜(成膜)する。
【0430】
装置は粉体塗料・を装置内に送り込むホース・と、高圧のガスと取り込む口(高圧ガスカプラ・)と、塗料加速管・、塗料量調整バルブ・、及びベンチュリー管部・、及びノズル先端部で高圧の気体が断熱膨張することによって生じる、急激な温度低下を防止する目的で温度コントローラー付きのヒーター・から構成されている。又、造膜しなかった塗料粒子は回収装置・によって回収される。塗料の回収率は、約90%に達した。
【0431】
次に熱可塑性樹脂粉体塗料の製造方法を示す。
表128に示す材料を予備混合機で混合し、つづいて加熱混練機(エクストルーダー)にて100〜120℃で加熱混練して、ペレットを得た。前記ペレットにドライアイスを10wt%混合し、微粉砕して、平均粒径35μmの粉体塗料#121Pwを得た。
【表128】
本第72実施例では、前記粉体塗料#121Pwを、250kg/cm2 に圧縮された不活性な高圧窒素ガスを用いて、前記粉体塗料#121Pwを音速の50〜85%程度に加速し、前記第4実施例における1サイクル(ターン)目の成型品の表面に衝突させ造膜させた。
前記のようにして得られた再生可能な塗膜付き成型品での塗装適性と塗膜性能を、前記表8に示される試験方法に従い評価して、その結果を表129に示した。
【表129】
【0432】
このようにして得られた第72実施例の再生可能な粉体塗料の塗膜付き成型品を、前記第4実施例と同様に再生して得られた再生樹脂ペレットを用いて、成形加工性の確認実験を実施した結果、粉体塗料が混入したことに起因すると思われる成形加工上の問題は発生しなかった。
粉体塗料#121Pwを構成する熱可塑性樹脂と、成型品の主成分である熱可塑性樹脂と互いに親和性を有することは、前記第61実施例、第62実施例、第63実施例などのそれぞれの試験で確認されており、材料の物性には大きく寄与しないと判断したので、あえてリサイクル後の物性測定は行わなかった。
【0433】
粉体塗装に用いることの出来るガスの種類は窒素ガス,炭酸ガスなどの不活性ガスが一般的である。空気、酸素などの示燃性ガス(助燃性ガス)は粉体塗料が可燃物である場合は、取扱に十分な注意が必要である。メタン,エタンなどの可燃性ガスの場合も同様に、取扱に十分な注意が必要である。また揮発性の液体を加熱することで気化させて高圧ガスとして用いる場合もある。
ここで言ういわゆる高圧ガスとは、圧力が3kg/cm2 以上に圧縮された気体の総称である。
この方法な粉体塗装方法を用いれば、樹脂を溶剤によって溶解しないので、上述したような低分子量の樹脂をあえて用いる必要はない。また、無溶剤で塗装が出来るので作業環境悪化を低減するとともに、また低公害化を実現することが可能である。
【0434】
また、粉体塗料に用いる樹脂は上述の熱可塑性樹脂{塗料用樹脂,成形加工用の樹脂,相容(溶)化剤などの有機高分子(ポリマー)}ならば、分子量の大きさにかかわらず殆どのものが可能であるが、塗膜性能などから考慮して、樹脂の溶融温度が60℃以上の樹脂が望ましい。溶融温度は高い場合には、ガスの圧力を高くし、粉体塗料の速度を上げること、予め粉体塗料の温度を少し上げておくこと、被塗装物の表面の温度を上げておくこと、塗装雰囲気温度を上げておくことなどによって塗装が可能である。
前記のような粉体塗料の加速には、高圧ガスを用いる以外には、静電誘導を用いても実施することが出来る。
【0435】
(第73実施例)
第73実施例は、樹脂に使用される難燃剤がノンハロゲン、アンチモンフリーに関する規制に対応するように、以下にスチレン変性PPO(E)で実施するものである。
難燃ABSの場合には前記記載の難燃剤、難燃助剤、などを添加しなければならずに、前記規制への対応は困難であると言われている。実際に前記規制に対応している成形材料として一般的なものにPC/ABS樹脂{例えば、日本ジーイープラスチックス(株)製 PC/ABS樹脂 商品名;サイコロイ C6200)}があるが、実際リサイクルを行ってみると、塗装の有無にかかわらず、前記第18ないし第25実施例の場合と異なり、PC樹脂とABS樹脂との混合比率が異なるのか、成型時にPCとABSとの構造のバランスがくずれ、あるいはPCが熱による加水分解をするなどの結果、ペレタイズが前記第4実施例と同様な装置、方法を用いた場合、押し出し機の樹脂の押し出し量が変化し、いわゆるサージング現象が発生してペレット化が困難になる。
【0436】
また相容(溶)化剤{日本油脂(株)製の相容(溶)化剤 商品名、及びグレード;モディパー CT120,CT121,CT134,CH430}をそれぞれ5wt%添加したがサージング現象は収まらなかった。
前記サージングの為にペレット化(「ペレタイズ」とも言う)が出来ないので、ホットカット装置を用いてペレット化した。
表130に示す物性はサージング現象防止の為の前記添加剤は使用していないでホットカットを用いた場合の結果である。
【表130】
熱履歴による熱劣化が少なく、再生が比較的容易に出来て、前記規制に対応可能な樹脂の一つに、スチレン変性PPO(E)樹脂があるが、スチレン変性PPO(E)樹脂は耐候性が悪いため、カバー(筐体)などの光劣化を受けやすい製品に適用されない場合がある。しかし耐候性が悪いスチレン変性PPO(E)樹脂成型品の表面に塗装を施せば、この耐候性が悪い問題は解決されると同時に、塗膜に親水性を持っている樹脂やその他添加剤が含まれている場合や、無機物(たとえば顔料など)などが多く含まれている場合には帯電しにくく、帯電による汚れが少なくなる。更に上塗に用いる塗料を構成する樹脂が熱可塑性樹脂たとえば、スチレン変性アクリル樹脂など成型品の主成分である、スチレン変性PPO(E)樹脂との間に親和性を持っていれば、繰り返しリサイクルが可能となる。
【0437】
以下表130には白色に調色された前記難燃ABS樹脂{宇部サイコン(株)製の難燃ABS樹脂 商品名;サイコラック ZFJ12}、PC/ABS樹脂{日本ジーイープラスチックス(株)製のPC/ABS樹脂 商品名;サイコロイ C6200}、スチレン変性PPO(E)樹脂{旭化成工業(株)製のスチレン変性PPO(E)樹脂 商品名;Xyron 100Z}で成形加工したテストピース成型品、及び前記スチレン変性PPO(E)樹脂のテストピース成型品に塗料#149を用いて塗装した塗膜付きテストピース成型品、スチレン変性PPO(E)樹脂のテストピース成型品にウレタン樹脂(10:1)塗料を用いて塗装した塗膜付きテストピース成型品、それぞれのフェードメーターでの耐候性促進試験結果を示す。試験方法は、前記表8におけるJIS規格 K54009.7.2に準ずる。
前記表130の物性測定結果、及び上記耐候性測定結果などより総合的に判断をすると、スチレン変性PPO(E)に塗装を施した場合には、耐候性は十分であって、前記規制を十分にクリヤーし、同時にリサイクル性も備えていることがわかる。
【0438】
(第74実施例)
前記第26および第27実施例においては、ABS樹脂にPET樹脂を混合することを述べたが、本74実施例は、リサイクル時において、更に相容(溶)化剤を用いてABS/PETアロイ樹脂の物性を向上させるものである。
前記第26実施例で得たABS/PETアロイ樹脂(塗料#10の塗膜が親和しているペレット)に、相容(溶)化剤{日本油脂(株)製の相容(溶)化剤商品名,及びグレード;モディパー A4410〔構造;E/GMA−g−PSAN={50/50(wt)}〕を5wt%添加(この場合には、前記タンブラーを用いて混合した)した場合の、アイゾット衝撃強度の測定結果を表131に示した。また比較例として、何も添加しない場合の結果も示した。
【表131】
【0439】
更にまた、ウエルド部分のアイゾット衝撃強度が向上した結果を表132に示した。また、JIS規格 K 7203 に準じて、曲げ強さを測定したところ、相容(溶)化剤無添加のものは、たわみ量が7mmに達した点で、ウエルド部が破断したのに対して、相容(溶)化剤を5wt%添加したものは、たわみ量が50mmに達してもウエルド部は破断しなかった。
【表132】
表131、表132における、アイゾット衝撃強度の測定は JIS規格 K7110 に準じて、ノッチ付き、1/8インチ厚で実施した。
【0440】
(第75実施例)
第75実施例は、リサイクル時に、リサイクルの熱履歴を受けることで物性低下した前記第16実施例のスチレン変性PPO(E)樹脂(塗料#10で塗装を施した1ターン目の再生ペレットに)に、前記PETボトルの再生ペレットをリサイクル助剤として添加し、物性の向上を狙うものである
図44は、前記再生したスチレン変性PPO(E)40wt%に、前記再生したPET樹脂を60wt%混合し、射出成形加工で得た成型品破断面のSEM写真である。PET樹脂中に、スチレン変性PPO(E)樹脂が球状となって分散しているのが観察される。
【0441】
(第76実施例)
図45は、前記再生したスチレン変性PPO(E)40wt%に対して前記再生したPET樹脂を60wt%混合して、更に添加した再生PET樹脂のスチレン変性PPO(E)樹脂内での構造や形態(モルフォロジー)を変えるため(微細分化するため)に相容(溶)化剤として、{日本油脂(株)製の相容(溶)化剤 E/GMA:85/15(wt)}を10wt%添加して得られた混合樹脂を用いて射出成形加工して得られた成型品の破断面のSEM写真である。
前記第75実施例と比較して、PET樹脂中のスチレン変性PPO(E)樹脂が微細球状となっているのが観察される。
【0442】
(第77実施例)
第77実施例は、前記第76実施例の相容(溶)化剤を[日本油脂(株)製相容(溶)化剤 モディパー A4100〔E/GMAーg−PSt={70/30(wt)}〕]に変えたもので、添加量は同様の10wt%である。
前記第76実施例よりも更にPET樹脂中のスチレン変性PPO(E)樹脂が微細分散化されていることが図46から観察される。
【0443】
(第78実施例)
第78実施例は、前記第76実施例の相容(溶)化剤を[日本油脂(株)製の相容(溶)化剤 モディパー A4101〔E/GMAーg−PSt={50/50(wt)}〕]に変えたもので、添加量は同様の10wt%である。
前記第77実施例よりも更にPET樹脂中のスチレン変性PPO(E)樹脂が、更に微細分散化されていることが図47から観察される。
【0444】
(第79実施例)
第79実施例は、前記第76実施例から第78実施例で得た混合樹脂それぞれの機械的な物性を表133に示した。
【表133】
表133中で、
*31)変位が試験片の厚みの1.5倍に達する前に破断。
*32)規定たわみ曲げ強さ(変位が試験片の厚みの1.5倍に達しても破断せず)
を示す。
【0445】
(第80実施例)
第80実施例は、塗料用樹脂の構造や形態(モルフォロジー)を変えるために、相容(溶)化剤を用いたものである。
成型品の主成分である熱可塑製樹脂中に、塗膜を構成する熱可塑性樹脂が単分散し、相容(溶)することは上述した。この際に塗膜を構成する熱可塑性樹脂は例えばスチレン変性アクリル樹脂はHIPSやABSの中で、長円化し、配向をしている。また図28ではPC樹脂中のスチレン変性アクリル樹脂は球形を成していることを示した。
【0446】
図48は、ABS樹脂60wt%に、スチレン変性アクリル樹脂40wt%を混合した樹脂を成形した射出成型品の破断面のSEM写真である。
図49は、前記ABS/スチレン変性アクリル樹脂(塗料♯149を構成する熱可塑性樹脂){60/40(wt%)}の混合樹脂に、更に塗料用樹脂の構造や形態(モルフォロジー)を変えるため(微細分化するため)に相容(溶)化剤[日本油脂(株)製の相容(溶)化剤 モディパー BT200{P(ANーr−St)ーb−PMMA={10/20/70(wt)}〕]を添加した樹脂の射出成型品の破断面のSEM写真である。
図48では、塗料用樹脂であるスチレン変性(変成)アクリル樹脂が板状であるのに対して、図49では球形になっているのが観察される。
【0447】
(第81実施例)
第81実施例は、リサイクル助剤に関する実施例である。
リサイクル助剤とは、塗膜を構成する樹脂の構造や形態をペレタイズ時、あるいは成形加工時に変化させたり、樹脂の流動性を改善して成形加工をしやすくしたり、前記第26実施例のようにPETボトルの再生樹脂などの他の樹脂とのアロイを製造する際に添加する相容(溶)化剤や、前記第80実施例などに示したように樹脂の構造や形態を変えたり、成形時に成型品の表層あるいは表面に移行して塗膜の付着性を向上させたり、その他上述したような性質を持つ物質の総称である。
【0448】
前記第61実施例における表100,105,106,107などから明らかなように、リサイクルを繰り返すと成形材料の物性の低下が見られる(特にアイゾット衝撃強度の低下が大きい)。
この問題を解決する手段として、リサイクル1回目,2回目,3回目それぞれの樹脂ペレットに{旭化成工業(株)製ハイラバーのABS樹脂 商品名、及びグレード;スタイラック 191F}を、リサイクル1回目の樹脂には20wt%、リサイクル2回目の樹脂には30wt%、リサイクル3回目の樹脂には30wt%を前記第18実施例で使用したのと同一のタンブラーを用いてタンブリングし混合樹脂ペレットを得た。この混合樹脂ペレットを前記表9記載の方法にもとづき、それぞれの物性を測定した結果を、表134に示す。
【表134】
【0449】
(第82実施例)
第82実施例は、前記第62実施例のHIPS樹脂のそれぞれのリサイクルのサイクルごとのペレットに、前記第81実施例と同様にしてリサイクル助剤として{旭化成工業(株)製のハイラバーHIPS樹脂 商品名、及びグレード;スタイロン 8672}を、リサイクル1回目の樹脂には30wt%、リサイクル2回目の樹脂には40wt%、リサイクル3回目の樹脂には30wt%を混合した混合樹脂ペレットを、前記表9記載の方法にもとづきそれぞれの物性を測定した結果を表135に示す。
【表135】
【0450】
(第83実施例)
第83実施例は、前記第63実施例のスチレン変性PPO(E)樹脂、それぞれのリサイクルのサイクルごとのペレットに、前記第82実施例と同様にしてリサイクル助剤として、ヴァージン材である{旭化成工業(株)製のスチレン変性PPO(E)樹脂 商品名;Xyron 100Z}を、リサイクル1回目の樹脂には30wt%、リサイクル2回目の樹脂には30wt%、リサイクル3回目の樹脂には30wt%をそれぞれ混合した混合樹脂ペレットを、前記表9記載の方法にもとづき、それぞれの物性を測定した結果を、表136に示す。
【表136】
【0451】
(第84実施例)
第84実施例は、リサイクル可能な熱可塑性塗膜が、市販の洗浄薬品{汚れを除去するために用いるクリーナー)以下、「薬品」と称する。}によって犯されるか否かの評価試験をした結果である。
試験方法は、塗装後に48時間経過した塗膜付き成型品の塗膜表面を、後述の表137中の薬品を少量綿花につけて、塗膜表面を往復50回ラビングした。押しつける圧力は500g/cm2とした。
【表137】
【0452】
それぞれの薬品で塗膜がどの程度犯される(溶解してしまうことなど)か、評価を実施した。結果を表137に示す。尚、比較例として、熱硬化性ウレタン樹脂(10:1)塗膜でも同様な評価を行った。
上記表137中の記号説明は、
である。
【0453】
(第85実施例)
第85実施例は、ブロー成形の実施例である。
PP樹脂{日本ポリオレフィン(株)製のブローグレードのPP樹脂(ランダムコポリマー) 商品名、及びグレード;ジェイアロマー SG510}を用いて、ブロー成形機は(株)プラコー製 型式;S−50N−D型を使用した。
前記の成形材料と、ブロー成形機を用いて、500mlの広口薬品瓶を成形した。成形条件は、加熱シリンダーの設定温度は210℃、205℃、200℃、195℃に設定した、結果溶融樹脂温度は195℃であった。ブローには、エアーを用いて圧力は5kg/cm2、時間は10秒と設定した。
【0454】
前記成形した広口薬品瓶成型品にバーナー処理(フレーム処理)をして、インク#113inkで前記広口薬品瓶表面に、ローラーブラシを用いてベタ印刷をした。
前記印刷をした印刷膜付き広口薬品瓶成型品を前記第4実施例と同様な装置、方法を用いてペレタイズした。
前記ペレット化したPPリサイクル(再生)材料を用いて再び前記と同様な成形機、金型を用いて同形状の広口薬品瓶を成型したところ、第一回目の成形加工、及びリサイクル時の熱によって、物性の低下(メルトフローのアップ)を生じて、上述のバージン材での成形条件ではドローダウンを生じて成形加工は困難であった。その為に、パリソンコントロールをして、ドローダウンを回避した。
リサイクルの結果において、インク膜が混入したことに起因すると思われる重量のバラツキ,偏肉,光沢ムラ、焼けなどの成形上の不良発生は認められなかった。
【0455】
また、前記のリサイクル材に、リサイクル助剤として、前記PP樹脂のバージン材を50wt%前記のタンブラーを用いて混合した樹脂を使用したところ、前記のドローダウンの発生は起きなかった。
また、前記のPPリサイクル材料に、成形性改善を目的としたリサイクル助剤として、射出成型用のPP樹脂{日本ポリオレフィン(株)製のインジェクショングレード用のPP樹脂(ランダムコポリマー) 商品名、及びグレード;ジェイアロマー MG410}を50%混合し、流動性を改良して、前記第4実施例と同様な装置、金型を用いて射出成形して、成型品を得た。結果インクの混入に起因すると思われる焼け、シルバー・ストリークなどの不良現象の発生は認められなかった。
【0456】
上述の実施形態および実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することが出来る本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0457】
本発明のその他の態様を以下に列挙する。
(1). 成型品の表面に該成型品を構成する前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された前記塗装成型品を粉砕し、
粉砕あるいはペレタイズされた該塗装成型品より成形し、
成形された該成型品に対して、該成型品を構成する前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料を塗装する
ことを特徴とする塗装成型品の再生方法。
(2). 粉砕された前記塗装成型品を粉砕されたままで、
あるいは溶融混練してペレットを押し出し、
粉砕されたままで、あるいは押し出された該ペレットにより成型品を成形することを特徴とする(1)記載の塗装成型品の再生方法。
(3). 押し出された少なくとも双方の界面あるいは境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な熱可塑性樹脂によって構成されている複数の塗装成型品の粉砕片またはペレットを一定割合で混合して成型品を成形する
ことを特徴とする(2)記載の塗装成型品の再生方法。
(4).前記塗装成型品の少なくとも一方が、発泡体であり、
所定の背圧を作用した状態において溶融混練して、発生する発泡ガスを溶融樹脂内に加圧溶解するようにした
ことを特徴とする(3)記載の塗装成型品の再生方法。
(5).合わせ面にシールを施して気密に密閉したシール金型を予め大気圧以上に加圧しておき、
開閉機構を介して溶融樹脂をシール金型内に射出する
ことを特徴とする(4)記載の塗装成型品の再生方法。
(6). ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
PC樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第2の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
ことを特徴とする(2)記載の塗装成型品の再生方法。
(7). 押し出された前記複数の塗装成型品のペレットを一定割合で混合して成型品を成形するに当たり、一定重量割合の相容化剤を添加する
ことを特徴とする(2)記載の塗装成型品の再生方法。
(8). 押し出された前記第1および第2の塗装成型品のペレットを上記割合で混合して成型品を成形するに当たり、1から15%の重量割合の相容化剤を添加する
ことを特徴とする(6)記載の塗装成型品の再生方法。
(9). ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂などのワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
PET樹脂の成型品より成る第2の成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出される
ことを特徴とする(3)記載の塗装成型品の再生方法。
(10). 上記混合割合の前記第1および第2の成型品の各ペレットを一定温度以上で一定時間加熱し、
該加熱された混合ペレットを成形する
ことを特徴とする請求項(7)記載の塗装成型品の再生方法。
(11). 加熱された前記混合ペレットが成形された前記成型品に対してスチレン変性アクリル樹脂ワニスなどのをベースにした塗料を塗装する
ことを特徴とする(10)記載の塗装成型品の再生方法。
(12). ABS樹脂の成型品にスチレン変性アクリル樹脂ワニスをベースにした塗料が塗装された第1の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
PMMA樹脂の塗装成型品より成る第2の塗装成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出される
ことを特徴とする(3)記載の塗装成型品の再生方法。
(13). 前記混合ペレットが成形された前記成型品に対してアクリロニトリル・スチレン共重合樹脂ワニスをベースにした第1の塗料を塗装する
ことを特徴とする(12)記載の塗装成型品の再生方法。
(14). HIPS樹脂の第1の成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
PS樹脂の発泡体より成る第2の成型品が粉砕され溶融混練してペレットが押し出され、
前記第1および第2の成型品の各ペレットが混合された前記混合ペレットが成形されることを特徴とする(3)記載の塗装成型品の再生方法。
(15). 該成形された前記成型品に対してポリスチレン樹脂ワニスをベースにした第2の塗料を塗装する
ことを特徴とする(14)記載の塗装成型品の再生方法。
(16). 粉砕された前記塗装成型品を溶融混練して押し出された前記ペレットとともに、リサイクル助剤として一定量の前記塗装成型品のバージン樹脂または該バージン樹脂の成分を補充して、成型品を成形する
ことを特徴とする(1)記載の塗装成型品の再生方法。
(17). 前記リサイクル助剤とともに、あるいは単独にて一定量の強化材、充填材、または各種の添加剤を添加して、成型品を成形する
ことを特徴とする(16)記載の塗装成型品の再生方法。
(18). 廃トナーを該廃トナーを構成する熱可塑性樹脂に対し少なくとも親和性を示す熱可塑性樹脂の成型品の粉砕片またはペレットに対して一定割合で加えることを特徴とする(1)記載の塗装成型品の再生方法。
(19). 塗装が施されている樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成されていることを特徴とする樹脂成型品用塗料。
(20). 前記塗料の主成分である前記熱可塑性樹脂が、前記成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と同一樹脂、同一樹脂骨格または同一枝を有する樹脂、または類似する性質を有する樹脂によって構成されている
ことを特徴とする(19)記載の塗装成型品用塗料。
(21). 前記樹脂成型品用塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン変性アクリル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂またはハロゲン化ポリオレフィン樹脂によって構成されている
ことを特徴とする(19)記載の樹脂成型品用塗料。
(22). 前記樹脂成型品用塗料を構成する前記熱可塑性樹脂が、1種類の熱可塑性樹脂によって構成されている
ことを特徴とする(19)記載の樹脂成型品用塗料。
(23). 前記樹脂成型品用塗料を構成する前記熱可塑性樹脂が、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂が混合されている
ことを特徴とする(19)記載の樹脂成型品用塗料。
(24). 前記塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂が、重量平均分子量10,000から60,000の前記スチレン変性アクリル樹脂である
ことを特徴とする(20)記載の樹脂成型品用塗料。
(25). 前記塗料の主成分をなす前記熱可塑性樹脂の分子量に応じた沸点の溶剤を含有している
ことを特徴とする(24)記載の樹脂成型品用塗料。
(26). 塗装が施される樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な樹脂成型品用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂と、溶剤と、顔料としての一定割合の廃トナーとから成る
ことを特徴とする(19)記載の樹脂成型品用塗料。
(27). 塗装が施される樹脂成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な樹脂成型用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂に対して溶剤などを用いずに、また溶剤または水(以下「溶剤など」と称する)を加えて必要に応じて顔料や染料などの、あるいは表面調整剤、その他添加剤などを加えて分散あるいは溶解して塗料化する
ことを特徴とする樹脂成型品用塗料の製造方法。
(28). 前記樹脂成型用塗料の主成分をなす熱可塑性樹脂の分子量に応じた沸点の溶剤が添加される
ことを特徴とする(27)記載の樹脂成型品用塗料の製造方法。
(29). 前記樹脂成型品用の塗料を構成する前記熱可塑性樹脂に対して、前記溶剤として混合溶剤を加える
ことを特徴とする(28)記載の樹脂成型品用塗料の製造方法。
(30). アクリロニトリル・スチレン樹脂を、トルエン/酢酸ブチルなどの混合溶剤に一定割合の固形分になるように攪拌させながら投入して、一定時間攪拌を続けて溶解してワニスを作成するとともに、
酢酸ブチル、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどを一定時間混合攪拌してミルベースとして、一定粒度以下になるまで分散させ、
トルエン、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、表面調整剤などを加えて溶解させ第1の塗料を製造する
ことを特徴とする(29)記載の樹脂成型品用塗料の製造方法。
(31). ポリスチレン樹脂を、トルエン/酢酸ブチルなどの混合溶剤に一定割合の固形分になるように攪拌させながら投入して、一定時間攪拌を続けて溶解してワニスを作成するとともに、
酢酸ブチル、トルエン、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどを一定時間混合攪拌してミルベースとして、一定粒度以下になるまで分散させ、
トルエン、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、表面調整剤などを加えて溶解させ第2の塗料を製造する
ことを特徴とする(29)記載の樹脂成型品用塗料の製造方法。
(32). スチレン変性アクリル樹脂ワニスを作成するとともに、
酢酸ブチル、トルエン、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどを一定時間混合攪拌してミルベースとして、一定粒度以下になるまで分散させ、
トルエン、酢酸ブチル、表面調整剤などを加えて溶解させ
第3の塗料を製造する
ことを特徴とする(29)記載の樹脂成型品用塗料の製造方法。
(33). 成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕する粉砕装置と、
粉砕あるいはペレタイズされた該塗装成型品より成型品を成形する成形装置と、
成形された該成型品表面に対して該成型品を構成する前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料を塗装する塗装装置と
からなることを特徴とする塗装成型品の再生装置。
(34). 粉砕された前記塗装成型品を溶融混練して、前記成形装置に充填されるペレットを押し出すペレット押し出し装置を備えている
ことを特徴とする(33)記載の塗装成型品の再生装置。
(35). 前記ペレット押し出し装置は、スクリューを持つ押出装置によって構成され、粉砕された前記塗装成型品を単軸押し出し装置を用いて、低速のスクリュー回転数で溶融混練して押し出すように構成されている
ことを特徴とする(34)記載の塗装成型品の再生装置。
(36). 成型品の表面に該成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂の主成分である塗料が塗装された前記塗装成型品を粉砕して成形された成型品に対して、該成型品の主成分である前記熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂の主成分である塗料が塗装された再生塗装成型品の試験片に対して、ゴバン目試験を行うことにより、試験結果により再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ことを特徴とする再生塗装成型品の再生可能性評価方法。
(37). 成型品を構成する熱可塑性樹脂と塗料を構成する熱可塑性樹脂とを一定割合で混ぜ合わせた混合樹脂を成形した試験片に対して、ゴバン目試験を行うことにより、試験結果により再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ことを特徴とする再生塗装成型品の再生可能性評価方法。
(38). 再生された再生塗装成型品としての試験片の主成分である前記熱可塑性樹脂中に分散している前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の分散状態を、顕微鏡写真によって評価する
ことを特徴とする(37)記載の再生塗装成型品の再生可能性評価方法。
(39). 再生塗装成型品の再生を繰り返し、その都度塗膜性能の試験を行い、試験結果の推移から再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ことを特徴とする(38)記載の再生塗装成型品の再生可能性評価方法。
(40). 再生塗装成型品の再生を繰り返し、その都度再生塗装成型品の機械的強度、熱的性質、その他の物性値を測定し、測定した物性値の推移から再生塗装成型品の再生可能性を評価する
ことを特徴とする(39)記載の再生塗装成型品の再生可能性評価方法。
(41). 成型品の表面に該成型品を構成する熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な同質または異質な熱可塑性樹脂によって構成された塗料が塗装された塗装成型品を粉砕あるいはペレタイズし、
該粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品を加熱溶融成形することにより、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料を構成する前記熱可塑性樹脂を分散させて成型品を成形(型)する
ことを特徴とする塗装成型品の再生方法。
(42). 粉砕あるいはペレタイズされた塗装成型品より成る再生樹脂材料を、前記成型品を構成する熱可塑性樹脂内に前記塗料を構成する前記熱可塑性樹脂を分散させて成型品を成形(型)するために加熱溶融成形するに先立ち助剤がプレンドされる
ことを特徴とする再生樹脂材料を用いた塗装成型品の再生方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のガスアシスト成形方法および装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態のガスアシスト成形におけるガスのノズル、ランナおよびキャビティへのガス注入を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態のガスアシスト成形におけるガスのノズル、ランナおよびキャビティへのガス注入を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施形態のスプレーガンにおける塗料および空気噴孔を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の実施形態の単軸押し出し機を示す断面図である。
【図6】本発明の第5実施例におけるスチレン変性アクリル樹脂とABS樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡写真の写しである。
【図7】本発明の第7実施例におけるスチレン変性アクリル樹脂とHIPS樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡写真の写しである。
【図8】比較例における熱硬化性ウレタン樹脂とABS樹脂との非親和性の状態を示す電子顕微鏡写真の写しである。
【図9】比較例における熱硬化性ウレタン樹脂とHIPS樹脂との非親和性の状態を示す電子顕微鏡写真の写しである。
【図10】本発明の第3、第5、第7実施例におけるスチレン変性アクリル樹脂の示差走査熱量測定結果を示す線図である。
【図11】本発明の第4および第5実施例におけるABS樹脂の示差走査熱量測定結果を示す線図である。
【図12】本発明の第5実施例におけるスチレン変性アクリル樹脂とABS樹脂との親和性の状態を示す示差走査熱量測定結果を示す線図である。
【図13】本発明の第6および第7実施例におけるHIPS樹脂の示差走査熱量測定結果を示す線図である。
【図14】本発明の第7実施例におけるスチレン変性アクリル樹脂とHIPS樹脂との親和性の状態を示す示差走査熱量測定結果を示す線図である。
【図15】本発明の第37実施例および第38実施例の塗装成型品の再生方法および再生装置の概略を示す概略説明図である。
【図16】本発明の第40実施例におけるリアカバーの濃度測定位置およびテストチャートを示す説明図である。
【図17】本発明の第59実施例における成型品のHIPS樹脂と塗料を構成するの熱可塑性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図18】本第59実施例における成型品のABS樹脂と塗料を構成するの熱可塑性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図19】本第59実施例における成型品のPC樹脂と塗料を構成するの熱可塑性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図20】本第59実施例における成型品のPVC樹脂と塗料を構成するの熱可塑性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図21】本第59実施例における成型品のPVC樹脂と塗料を構成するの熱可塑性アクリル樹脂との前記検体である試験片を、染色処理して染色を実施して、拡大した親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図22】本第59実施例における成型品のHIPS樹脂と塗料を構成するのスチレン変性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図23】本第59実施例における成型品のABS樹脂と塗料を構成するのスチレン変性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図24】本第59実施例における成型品のPP樹脂と塗料を構成するの塩素化ポリプロピレン樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図25】本第59実施例における成型品のPVC樹脂と塗料を構成するのスチレン変性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図26】本第59実施例における図25の検体を、染色処理して染色を実施して、拡大した親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図27】本第59実施例における成型品のPP樹脂と塗料を構成するのスチレン変性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図28】本第59実施例における成型品のPC樹脂と塗料を構成するのスチレン変性アクリル樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図29】本第59実施例における成型品のHIPS樹脂と塗料を構成するのスチレンアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図30】本第59実施例における成型品のABS樹脂と塗料を構成するのスチレンアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図31】本第59実施例における成型品のABS樹脂と塗料を構成するのスチレンアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図32】本第59実施例における成型品のPVC樹脂と塗料を構成するのスチレンアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図33】本第59実施例における成型品のPC樹脂と塗料を構成するのスチレンアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図34】本第59実施例における成型品のHIPS樹脂と塗料を構成するのアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図35】本第59実施例における成型品のABS樹脂と塗料を構成するのアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図36】本第59実施例における成型品のPP樹脂と塗料を構成するのアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図37】本第59実施例における成型品のPC樹脂と塗料を構成するのアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図38】本第59実施例における成型品のPA樹脂と塗料を構成するのアクリルエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図39】本第59実施例における成型品のHIPS樹脂と塗料を構成するのウレタンエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図40】本第59実施例における成型品のABS樹脂と塗料を構成するのウレタンエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図41】本第59実施例における成型品のPVC樹脂と塗料を構成するのウレタンエマルジョンとの親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図42】本第59実施例における成型品のPP樹脂と塗料を構成するの塩素化ポリプロピレン樹脂との親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図43】本発明の第67実施例における粉体塗装装置を説明する説明図である。
【図44】本発明の第75実施例における成型品および塗料を構成する樹脂の分散の状態を示す電子顕微鏡によるSEM写真の写しである。
【図45】本発明の第76実施例における成型品および塗料を構成する樹脂の分散の状態を示す電子顕微鏡によるSEM写真の写しである。
【図46】本発明の第77実施例における成型品および塗料を構成する樹脂の分散の状態を示す電子顕微鏡によるSEM写真の写しである。
【図47】本発明の第78実施例における成型品および塗料を構成する樹脂の分散の状態を示すSEM写真の写しである。
【図48】本発明の第80実施例における成型品および塗料を構成する樹脂の分散の状態を示す電子顕微鏡によるSEM写真の写しである。
【図49】本発明の第80実施例における成型品および塗料を構成する樹脂の分散の状態を示す電子顕微鏡によるSEM写真の写しである。
【図50】本発明の実施形態における各種成型品および塗料を構成する樹脂の親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図51】本発明の実施形態における各種成型品および塗料を構成する樹脂の親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図52】本発明の実施形態における各種成型品および塗料を構成する樹脂の親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
【図53】本発明の実施形態における各種成型品および塗料を構成する樹脂の親和性の状態を示す電子顕微鏡によるTEM写真の写しである。
Claims (4)
- 表面に成型品を構成している熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂を主成分とする塗料が付着した塗装成型品を加熱溶融成形して得られる塗装成型品の再生樹脂成型品であって、
前記成型品を構成していた熱可塑性樹脂内に前記塗料の主成分であった熱可塑性樹脂が島状に分散している
ことを特徴とする塗装成型品の再生樹脂成型品。 - 請求項1において、
前記島状に分散した前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の縦横比が、0.1から1である
ことを特徴とする塗装成型品の再生樹脂成型品。 - 請求項1において、
前記島状に分散した前記塗料の主成分である熱可塑性樹脂の縦横比が、0.2から1である
ことを特徴とする塗装成型品の再生樹脂成型品。 - 熱可塑性樹脂を主成分とする成型品と、該成型品の表面に塗布された塗膜から成り、該塗膜を構成する樹脂が、前記成型品を構成する樹脂と双方の界面あるいは境界領域にて互いに親和性をもち、前記成型品の主成分である熱可塑性樹脂と混ぜ合わせて繰り返し加熱溶融成形可能な熱可塑性樹脂によって構成された塗装成型品を、粉砕して加熱溶融成形した塗装成型品の再生樹脂成型品であって、
前記塗膜を構成していた樹脂が、前記再生樹脂成型品の主成分である熱可塑性樹脂中に剥がれなく分散している
ことを特徴とする塗装成型品の再生樹脂成型品。
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