以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この第1実施形態は、本発明の基板処理方法を、ウエハ上に層間絶縁膜を形成するためのSOD(Spin on Dielectric)処理システムに適用したものである。図1〜図3はこのSOD処理システムの全体構成を示す図であって、図1は平面図、図2は正面図、図3は背面図である。
このSOD処理システム1は、基板としての半導体ウエハ(以下、ウエハと呼ぶ。)WをウエハカセットCRで複数枚たとえば25枚単位で外部からシステムに搬入しまたはシステムから搬出したり、ウエハカセットCRに対してウエハWを搬入・搬出したりするためのカセットブロック10と、SOD塗布工程の中で1枚ずつウエハWに所定の処理を施す枚葉式の各種処理ステーションを所定位置に多段配置してなる処理ブロック11と、エージング工程にて必要とされるアンモニア水のボトル、バブラー、ドレインボトル等が設置されたキャビネット12とを一体に接続した構成を有している。
カセットブロック10では、図1に示すように、カセット載置台20上の突起20aの位置に複数個例えば4個までのウエハカセットCRがそれぞれのウエハ出入口を処理ブロック11側に向けてX方向一列に載置され、カセット配列方向(X方向)及びウエハカセットCR内に収納されたウエハのウエハ配列方向(Z垂直方向)に移動可能なウエハ搬送体21が各ウエハカセットCRに選択的にアクセスするようになっている。更に、このウエハ搬送体21は、θ方向に回転可能に構成されており、後述するように処理ブロック11側の第3の組G3の多段ステーション部に属する受け渡し・冷却プレート(TCP)にもアクセスできるようになっている。
処理ブロック11では、図1に示すように、中心部に垂直搬送型の主ウエハ搬送機構22が設けられ、その周りに全ての処理ステーションが1組または複数の組に亙って多段に配置されている。この例では、4組G1、G2、G3、G4の多段配置構成であり、第1および第2の組G1、G2の多段ステーションはシステム正面(図1において手前)側に並置され、第3の組G3の多段ステーションはカセットブロック10に隣接して配置され、第4の組G4の多段ステーションはキャビネット12に隣接して配置されている。
図2に示すように、第1の組G1では、カップCP内でウエハWをスピンチャックに載せて絶縁膜材料を供給し、ウエハを回転させることによりウエハ上に均一な絶縁膜材料を塗布するSOD塗布処理ステーション(SCT)と、カップCP内でウエハWをスピンチャックに載せてHMDS及びヘプタン等のエクスチェンジ用薬液を供給し、ウエハ上に塗布された絶縁膜中の溶媒を乾燥工程前に他の溶媒に置き換える処理を行うソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)とが下から順に2段に重ねられている。
第2の組G2では、SOD塗布処理ステーション(SCT)が上段に配置されている。なお、必要に応じて第2の組G2の下段にSOD塗布処理ステーション(SCT)やソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)等を配置することも可能である。
図3に示すように、第3の組G3では、2個の低酸素高温加熱処理ステーション(OHP)と、低温加熱処理ステーション(LHP)と、2個の冷却処理ステーション(CPL)と、受け渡し・冷却プレート(TCP)と、冷却処理ステーション(CPL)とが上から順に多段に配置されている。ここで、低酸素高温加熱処理ステーション(OHP)は密閉化可能な処理室内にウエハWが載置される熱板を有し、熱板の外周の穴から均一にN2を吐出しつつ処理室上部中央より排気し、低酸素化雰囲気中でウエハWを高温加熱処理する。低温加熱処理ステーション(LHP)はウエハWが載置される熱板を有し、ウエハWを低温加熱処理する。冷却処理ステーション(CPL)はウエハWが載置される冷却板を有し、ウエハWを冷却処理する。受け渡し・冷却プレート(TCP)は下段にウエハWを冷却する冷却板、上段に受け渡し台を有する2段構造とされ、カセットブロック10と処理ブロック11との間でウエハWの受け渡しを行う。
第4の組G4では、低温加熱処理ステーション(LHP)、低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)と、本発明に係る紫外線処理ステーション(UV)と、低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)と、エージング処理ステーション(DAC)とが上から順に多段に配置されている。ここで、低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)は密閉化可能な処理室内に熱板と冷却板とを隣接するように有し、N2置換された低酸素雰囲気中で高温加熱処理すると共に加熱処理されたウエハWを冷却処理する。エージング処理ステーション(DAC)は密閉化可能な処理室内にアンモニアガスと水蒸気とを混合した処理気体(NH3+H2O)を導入してウエハWをエージング処理し、ウエハW上の絶縁膜材料をウエットゲル化する。なお、紫外線処理ステーション(UV)については後述する。また、紫外線処理ステーション(UV)は2つの低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)の間に配置されることで、ステーション内を安定した温度に保つことが可能となる。
図4は主ウエハ搬送機構22の外観を示した斜視図であり、この主ウエハ搬送機構22は上端及び下端で相互に接続され対向する一対の壁部25、26からなる筒状支持体27の内側に、上下方向(Z方向)に昇降自在なウェハ搬送装置30を装備している。筒状支持体27はモータ31の回転軸に接続されており、このモータ31の回転駆動力によって、前記回転軸を中心としてウェハ搬送装置30と一体に回転する。従って、ウェハ搬送装置30はθ方向に回転自在となっている。このウェハ搬送装置30の搬送基台40上にはピンセットが例えば3本備えられている。これらのピンセット41、42、43は、いずれも筒状支持体27の両壁部25、26間の側面開口部44を通過自在な形態及び大きさを有しており、X方向に沿って前後移動が自在となるように構成されている。そして、主ウエハ搬送機構22はピンセット41、42、43をその周囲に配置された処理ステーションにアクセスしてこれら処理ステーションとの間でウエハWの受け渡しを行う。
なお、このSOD処理システム1は例えばクリーンルーム内に配置され、例えば主ウエハ搬送機構22上は大気圧に設定されたクリーンルームよりも高い気圧の雰囲気に設定されており、これにより主ウエハ搬送機構22上より発生したパーティクルをSOD処理システム1外に排出し、その一方でクレールーム内のパーティクルがSOD処理システム1内に進入するのを防止している。
図11は加熱処理室及び冷却処理室を有する低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)の構成を示す平面図、図12はその断面図である。
低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)は、加熱処理室151と、これに隣接して設けられた冷却処理室152とを有する。
この加熱処理室151は、上部が開放している処理室本体153と、この処理室本体153の上部開放部を開閉するように昇降可能に配置された蓋体154とを有する。蓋体154には昇降シリンダ155が接続されており、この昇降シリンダ155の駆動によって蓋体154が昇降されるようになっている。そして、処理室本体153の上部開放部を蓋体154で閉じることによって加熱処理室151内に密閉空間が形成されるようになっている。また、処理室本体153の上部が開放している状態で、加熱処理室151と主ウエハ搬送機構22との間でウエハWの受け渡し、及び加熱処理室151と冷却処理室152との間でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
処理室本体153のほぼ中央部には、ウエハWを加熱処理するための熱板156が配置されている。この熱板156内には、例えばヒータ(図示せず)が埋設され、その設定温度は例えば200〜470℃とすることが可能とされている。また、この熱板156には同心円状に複数、例えば3個の孔157が上下に貫通しており、これらの孔157にはウエハWを支持する支持ピン158が昇降可能に介挿されている。これら支持ピン158は熱板156の裏面において連通部材159に接続されて一体化されており、連通部材159はその下方に配置された昇降シリンダ160によって昇降されるようになっている。そして、昇降シリンダ160の昇降作動によって支持ピン158は熱板156表面から突出したり、没したりする。
また、熱板156の表面にはプロキシミティーピン161が複数配置され、ウエハWを加熱処理するときにウエハWが直接熱板156に接触しないようにされている。これにより、加熱処理時にウエハWに静電気が帯電しないようになっている。
更に、熱板156の周囲を囲むように、加熱処理室151内に不活性ガス、例えば窒素ガス(N2)を供給するためのガス噴出孔162が多数設けられたリング管163が配置されている。このリング管163には配管164を介して窒素ガスボンベ165に接続されており、また配管164上には開閉弁166が配置され、この開閉弁166は制御部167の制御によって開閉が制御されるようになっている。なお、加熱処理室151内には必要に応じて不活性ガスばかりでなく、他の気体、例えば酸素ガスを供給するようにいてもよい。その場合、リング管163を共用し、窒素ガスと酸素ガスとを切り替えるための切替弁を介してこれらのガスを供給するようにすることができる。これにより、加熱処理室の大型化を回避することができる。
一方、蓋体154のほぼ中央部分には減圧用の排気口168が設けられており、この排気口168は例えばフレキシブルホース169を介して真空ポンプ170に接続されている。そして、真空ポンプ170の作動によって加熱処理室151内が大気圧よりも低い気圧、例えば0.1torr前後に設定することが可能にされている。
また、蓋体154の内側には、排気口168を覆うように整流板171が配置されている。この整流板171は排気口168よりも径が大きく、更に蓋体154の内壁との間で例えば5mm程度の隙間を有する。そして、このような整流板171を配置することで加熱処理室151内を均一に減圧することができる。
更に、蓋体154には加熱処理室151内の気圧を計測するための圧力センサ172が取り付けられている。圧力センサ172による計測結果は制御部167に伝えられ、制御部167はこの計測結果に基づき真空ポンプ170の作動を制御することで加熱処理室151内を一定の減圧状態に維持する。
冷却処理室152には、加熱処理室151との間でウエハWの受け渡しを行うための開口部173が加熱処理室151に向けて設けられている。この開口部173はシャッタ部材174によって開閉可能にされている。シャッタ部材174は昇降シリンダ175によって上記の開閉のために昇降されるようになっている。
また、冷却処理室152内には、ウエハWを載置して冷却するための冷却板176がガイドプレート177aに沿って移動機構177bにより水平方向に移動自在に構成されている。これにより、冷却板176は、開口部173を介して加熱処理室151内に進入することができ、加熱処理室151内の熱板156により加熱された後のウエハWを支持ピン158から受け取って冷却処理室152内に搬入し、ウエハWの冷却後、ウエハWを支持ピン158に戻すようになっている。なお、冷却板176の設定温度は、例えば15〜25℃であり、冷却されるウエハWの適用温度範囲は、例えば200〜470℃である。
更に、冷却処理室152内にはその上部より配管178を介して窒素ガス等の不活性ガスが供給されるようになっており、また冷却処理室152の下部には排気口179が設けられ、排気口179は例えばフレキシブルホース180を介して真空ポンプ81に接続されている。そして、真空ポンプ181の作動によって冷却処理室152内が大気圧よりも低い気圧、例えば0.1torr前後に設定することが可能にされている。なお、加熱処理室151に使われる真空ポンプと冷却処理室152に使われる真空ポンプとを同一装置によって構成しても構わない。
図5は本発明の係る紫外線処理ステーション(UV)の構成を示す正面図である。
図5に示すように、紫外線処理ステーション(UV)では、そのほぼ中央にウエハWを保持するための保持板51が配置されている。保持板には支持ピン52が複数本、例えば3本設けられており、これらの支持ピン52上でウエハ搬送機構22のピンセット41、42、43との間でウエハWの受け渡しが行われ、ウエハWはこれらの支持ピン52で支持された状態で紫外線による処理が施されるようになっている。
また、保持板51上には、保持板51により保持されたウエハWの表面に紫外線を照射する紫外線照射ランプ53が配置されている。こららの一側には、保持板51と紫外線照射ランプ53との間隙に向けて気体を噴出する噴出口54を有する噴出管55が配置されている。噴出管55には切り替え弁56が接続されている。切り替え弁56は制御部57の制御のもとで図示を省略した窒素ガスボンベから供給される不活性ガスとしての窒素ガス、図示を省略した酸素ガスボンベから供給される酸素ガスのうち一方を噴出管55に供給するための切り替えを行う。
更に、紫外線照射ランプ53の上部には、この紫外線照射ランプ53を昇降駆動するための昇降駆動機構58が配置され、例えば保持板51の近くには紫外線照射ランプ53の照度をモニターする照度モニター59が配置されている。そして、照度モニター59によるモニター結果は制御部57に送られ、制御部57はそのモニターされる照度が一定となるように昇降駆動機構58により紫外線照射ランプ53を昇降させる。これにより、ウエハWに照射される紫外線の照度を常に一定に保つことができる。なお、紫外線照射ランプ53ではなく保持板51を昇降させるようにしてもこのような照度の制御を実現できる。
次にこのように構成されたSOD処理システム1における動作について説明する。図6はこのSOD処理システム1における処理フローを示している。
まずカセットブロック10において、処理前のウエハWはウエハカセットCRからウエハ搬送体21を介して処理ブロック11側の第3の組G3に属する受け渡し・冷却プレート(TCP)における受け渡し台へ搬送される。
受け渡し・冷却プレート(TCP)における受け渡し台に搬送されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して冷却処理ステーション(CPL)へ搬送される。そして冷却処理ステーション(CPL)において、ウエハWはSOD塗布処理ステーション(SCT)における処理に適合する温度まで冷却される(ステップ601)。
冷却処理ステーション(CPL)で冷却処理されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介してSOD塗布処理ステーション(SCT)へ搬送される。そしてSOD塗布処理ステーション(SCT)において、ウエハWはSOD塗布処理が行われる(ステップ602)。
SOD塗布処理ステーション(SCT)でSOD塗布処理が行われたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介してエージング処理ステーション(DAC)へ搬送され、エージング処理され、ウエハW上の絶縁膜材料がゲル化される(ステップ603)。
エージング処理ステーション(DAC)でエージング処理されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介してソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)へ搬送される。そしてソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)において、ウエハWはエクスチェンジ用薬液が供給され、ウエハ上に塗布された絶縁膜中の溶媒を他の溶媒に置き換える処理が行われる(ステップ604)。
ソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)で置換処理が行われたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して低温加熱処理ステーション(LHP)へ搬送される。そして低温加熱処理ステーション(LHP)において、ウエハWは低温加熱処理される(ステップ605)。
低温加熱処理ステーション(LHP)で低温加熱処理されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して紫外線処理ステーション(UV)へ搬送される。そして、紫外線処理ステーション(UV)において、ウエハWは172nm前後の波長の紫外線による処理が行われる(ステップ606)。この紫外線による処理では、まず噴出管55の噴出口54より窒素ガスが噴出され紫外線処理ステーション(UV)内が窒素ガス雰囲気とされ、その状態で紫外線照射ランプ53から紫外線が、例えば1分間照射される(ステップ606a)。次に、噴出管55の噴出口54より酸素ガスが噴出され紫外線処理ステーション(UV)内が、例えば10秒間酸素ガス雰囲気とされる(ステップ606b)。このように本実施形態では、窒素ガス雰囲気中でウエハW上に塗布された絶縁膜材料の表面に紫外線を照射しており、そしてその後に絶縁膜材料の表面上を酸素ガス雰囲気として酸素原子ラジカル(O*)を発生させるようにしているので、絶縁膜の表面を効率よく低接触角にすることができる。なお、上記のステップ606aとステップ606bとを数回繰り返しても良い。ここで、本発明においては、酸素ガス雰囲気とはガス中に酸素が少なくとも5%以上含有されていればよい。本実施形態においては、100%酸素ガスを用いているが、このかわりに空気を用いることもできる。また、本実施形態においては、紫外線照射ランプとウエハWとは約5mm離間されている。
この後、噴出管55の噴出口54より窒素ガスが約30秒間噴出され、紫外線処理ステーション(UV)内は窒素ガス雰囲気に置き換えられる。
紫外線による処理が施されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して冷却処理ステーション(CPL)へ搬送される。そして冷却処理ステーション(CPL)において、ウエハWは冷却される(ステップ607)。
冷却処理ステーション(CPL)で冷却処理されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して再びSOD塗布処理ステーション(SCT)へ搬送される。そしてSOD塗布処理ステーション(SCT)において、ウエハWは2回目のSOD塗布処理が行われる(ステップ608)。その際、ウエハW上に既に塗布されている絶縁膜材料の表面は上記の紫外線による処理により低接触角となるように改質されているので、その上に更に絶縁膜材料を塗布してもその表面に凹凸は生じない。
SOD塗布処理ステーション(SCT)でSOD塗布処理が行われたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介してエージング処理ステーション(DAC)へ搬送され、エージング処理され、ウエハW上の絶縁膜材料がゲル化される(ステップ609)。
エージング処理ステーション(DAC)でエージング処理されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介してソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)へ搬送される。そしてソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)において、ウエハWはエクスチェンジ用薬液が供給され、ウエハ上に塗布された絶縁膜中の溶媒を他の溶媒に置き換える処理が行われる(ステップ610)。
ソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)で置換処理が行われたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して低温加熱処理ステーション(LHP)へ搬送される。そして低温加熱処理ステーション(LHP)において、ウエハWは低温加熱処理される(ステップ611)。
低温加熱処理ステーション(LHP)で低温加熱処理されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して低酸素高温加熱処理ステーション(OHP)へ搬送される。そして低酸素高温加熱処理ステーション(OHP)において、ウエハWは低酸素化雰囲気中での高温加熱処理が行われる(ステップ612)。
低酸素高温加熱処理ステーション(OHP)で高温加熱処理が行われたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)へ搬送される。そして低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)において、ウエハWは低酸素雰囲気中で高温加熱処理され、冷却処理される(ステップ613)。
ここで、ステップ613における処理を図11及び図12を用いて更に詳細に説明する。
処理室本体153の上部が開放している状態で、しかも支持ピン158が熱板156表面から突出した状態で主ウエハ搬送機構22から支持ピン58上にウエハWが受け渡される。その際には、リング管163のガス噴出孔162から加熱処理室151内に窒素ガスが噴出され、加熱処理室151内が主ウエハ搬送機構22側の気圧よりも高い気圧に設定されている。これにより、主ウエハ搬送機構22側から加熱処理室151内にパーティクルを巻き込むことはなくなる。
次に、蓋体154が下降して処理室本体153の上部開放部を蓋体154で閉じることによって加熱処理室151内に密閉空間が形成される。そして、リング管163のガス噴出孔162から加熱処理室151内への窒素ガスの噴出を停止すると共に、真空ポンプ170を作動させて加熱処理室151内を大気圧よりも低い気圧、例えば0.1torr前後に設定する。その後、支持ピン158が下降して熱板156の表面から没してウエハWが熱板156上に載置されてウエハWに対する加熱処理が開始される。このように加熱処理室151内で大気圧よりも低い気圧でウエハWを加熱処理しているので、ウエハWを迅速に加熱処理することができ、しかもウエハW上に誘電率が高くかつ均一な多孔質膜の層間絶縁膜を形成することが可能とある。
次に、リング管163のガス噴出孔162から加熱処理室151内への窒素ガスの噴出を開始し、加熱処理室151内を窒素ガスでパージすると共に、支持ピン158が上昇して熱板156の表面から突出し、更に蓋体154が上昇して処理室本体153の上部が開放部される。その際、リング管163のガス噴出孔162から加熱処理室151内への窒素ガスの噴出を継続する。これにより、主ウエハ搬送機構22側から加熱処理室151内にパーティクルを巻き込むことはない。
次に、冷却処理室152内の冷却板176が開口部173を介して加熱処理室151内に進入し、ウエハWを支持ピン158から受け取って冷却処理室152内に搬入する。その際、冷却処理室152内には配管178を介して窒素ガスが供給されている。これにより、ウエハWの酸化が防止される。また、例えば冷却処理室152への窒素ガスの供給を過大にして冷却処理室152内を加熱処理室151内よりも陽圧とすることで、冷却処理室152内にパーティクルを巻き込むことはなくなり、逆に冷却処理室152への窒素ガスの供給を過小にして冷却処理室152内を加熱処理室151内よりも陰圧とすることで、加熱処理室151内にパーティクルを巻き込むことはなくなる。即ち、加熱処理室151と冷却処理室152との間に陰圧、陽圧の関係を持たせることによって、パーティクルの巻き込みをコントロールすることにその本質がある。
次に、シャッタ部材174によって開口部173が閉じられると共に、冷却処理室152内への窒素ガスの供給を停止し、更に真空ポンプ181の作動によって冷却処理室152内を大気圧よりも低い気圧に設定し、ウエハWに対する冷却処理を行う。このように減圧下で冷却処理を行うことにより、迅速でかつ均一なウエハWの冷却処理を行うことができる。
次に、真空ポンプ181の作動を停止すると共に、冷却処理室152内への窒素ガスの供給を開始し、更に開口部173を開く。そして、冷却板176が開口部173を介して加熱処理室151内に進入し、ウエハWを支持ピン158に受け渡す。その際、リング管163のガス噴出孔162から加熱処理室151内への窒素ガスの噴出を継続している。これにより、主ウエハ搬送機構22側から加熱処理室151内にパーティクルを巻き込むことはない。
低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)で処理されたウエハWは主ウエハ搬送機構22を介して受け渡し・冷却プレート(TCP)における冷却板へ搬送される。そして受け渡し・冷却プレート(TCP)における冷却板において、ウエハWは冷却処理される(ステップ614)。本実施形態では、1回のSOD塗布処理にて約500nmの膜厚の絶縁膜を得ることができ、計2回のSOD塗布処理にて1μmの膜厚の絶縁膜を得ることができる。
受け渡し・冷却プレート(TCP)における冷却板で冷却処理されたウエハWはカセットブロック10においてウエハ搬送体21を介してウエハカセットCRへ搬送される。
以上のSOD処理によってウエハWの表面に凹凸のない平坦な層間絶縁膜を形成することができる。
次に本発明に係る紫外線処理ステーションの第2実施形態を説明する。
図7は第2実施形態に係る紫外線処理ステーション(UV)の構成を示す正面図である。
図7に示す紫外線処理ステーション(UV)では、そのほぼ中央にウエハWを保持するための保持板71が配置されている。保持板71には支持ピン72が複数本、例えば3本設けられており、これら支持ピン72は保持板71の裏面側に配置された昇降駆動機構73により保持板71上で昇降するようになっている。
また、保持板71上には、保持板71により保持されたウエハWの表面に紫外線照射ランプ74が配置されている。ここで、紫外線照射ランプ74に近い領域を第1の領域(1)とし、その下の保持板71に近い領域を第2の領域(2)とする。これらの領域の一側には、第1の領域(1)に向けて図示を省略した窒素ガスボンベから供給される不活性ガスとしての窒素ガスを噴出する窒素ガス噴出管75が配置され、その下には第2の領域(2)に向けて図示を省略した酸素ガスボンベから供給される酸素ガスを噴出する酸素ガス噴出管76が配置されている。このように第1の領域(1)に分子量が少ない窒素ガスを噴出し、その下の第2の領域(2)に分子量が多い酸素ガスを噴出することで、第1の領域(1)の窒素ガスと第2の領域(2)の酸素ガスとが混合することが少なくなる。
そして、支持ピン72の先端が第1の領域(1)にある状態で、ウエハ搬送機構22のピンセット41、42、43から支持ピン72へウエハWが受け渡される。そして、第1の領域(1)において紫外線照射ランプ74からウエハWの表面に紫外線が照射される。その後に支持ピン72が下降してウエハWは第2の領域(2)に移送され、この第2の領域(2)において酸素原子ラジカル(O*)の発生が行われる。なお、このような昇降動作を2回以上繰り返しても良い。
このように本実施形態では、ウエハWを第1の領域(1)から第2の領域(2)に降下させるだけで窒素ガス雰囲気から酸素ガス雰囲気に切り替えることができ、ウエハWを第2の領域(2)から第1の領域(1)に上昇させるだけで酸素ガス雰囲気から窒素ガス雰囲気に切り替えることができるので、ウエハW上に塗布された絶縁膜の表面を効率よく低接触角にすることができる。
なお、第2実施形態では、支持ピン72を昇降させることで、ウエハWを第1の領域(1)と第2の領域(2)との間を移送するものであったが、第3実施形態として、図8に示すように保持板81に設けられた支持ピン82は固定とし、保持板81自身を昇降駆動機構83により昇降するように構成しても構わない。図8において図7に示した構成要素を同様の構成要素については同一の符号を付している。
次に本発明に係る紫外線処理ステーションの第4実施形態を説明する。
図9は第4実施形態に係る紫外線処理ステーション(UV)の構成を示す正面図、図10はその平面図である。
これらの図に示す紫外線処理ステーション(UV)では、そのほぼ中央にウエハWを保持するための保持板91が配置されている。保持板91には支持ピン92が複数本、例えば3本設けられている。そして、保持板91はその裏面側に配置された回転駆動機構93により回転するようになっている。
また、保持板91上には、その回転直径方向に沿って長尺の紫外線照射ランプ94が配置されている。
この紫外線照射ランプ94の一側のほぼ中央から一方の半径方向に沿って、保持板91上に保持されたウエハWの表面に向けて窒素ガスを噴出する不活性ガス噴出部としての長尺の窒素ガス噴出ノズル95が配置され、紫外線照射ランプ94の他側のほぼ中央から前記一方の半径方向に沿って、保持板91上に保持されたウエハWの表面に向けて酸素ガスを噴出する酸素ガス噴出部としての長尺の酸素ガス噴出ノズル96が配置されている。同様に、この紫外線照射ランプ94の一側のほぼ中央から他方の半径方向に沿って、保持板91上に保持されたウエハWの表面に向けて酸素ガスを噴出する長尺の酸素ガス噴出ノズル97が配置され、紫外線照射ランプ94の他側のほぼ中央から前記他方の半径方向に沿って、保持板91上に保持されたウエハWの表面に向けて窒素ガスを噴出する長尺の窒素ガス噴出ノズル98が配置されている。
そして、保持板91を図10中矢印方向に回転させると保持板91上に保持されたウエハWの表面にまず窒素ガスが噴出されてウエハWの表面が窒素ガス雰囲気にされ、その後紫外線が照射され、そしてその後ウエハWの表面に酸素ガスが噴出されてウエハWの表面が酸素ガス雰囲気にされ、酸素原子ラジカルが発生される。続けて保持板91を回転させることで上記の動作が繰り返される。従って、本実施形態によれば、ウエハ上の絶縁膜の表面を効率よく低接触角にすることができる。
次に本発明に係る紫外線処理ステーションの第5実施形態を説明する。
図13は第5実施形態に係る紫外線処理ステーション(UV)の構成を示す正面図である。
第5実施形態に関わる紫外線処理ステーション(UV)では、第1実施形態に関わる紫外線処理ステーション(UV)の保持板51として熱板251を用いている。熱板251は約120℃に加熱可能に構成されており、第5実施形態では、ウエハWに対して紫外線を照射している間、120℃に温度設定されている熱板251上にウエハWは載置されている。このように、ウエハWを加熱しながら、紫外線を照射することにより、酸素原子ラジカル(O*)の発生がより促進され、紫外線照射時間を第1実施形態と比較して短縮することができる。
次に本発明に係る第6実施形態を説明する。
第1実施形態においては、紫外線照射中、紫外線処理ステーション(UV)内は窒素ガス雰囲気後、酸素ガス雰囲気に設定されている。第6実施形態においては、紫外線照射中、紫外線処理ステーション(UV)内は窒素ガス95%と酸素ガス5%とが混合してなる混合ガス雰囲気に設定されている。このように、不活性ガスと酸素ガスとの混合比を限定することにより、酸素原子ラジカル(O*)の発生を阻害することなく、紫外線の伝播効率を良好に保ちことができ、絶縁膜の表面を効率よく低接触角にすることができる。従って、第1実施形態のように、紫外線照射中、紫外線処理ステーション(UV)内の雰囲気を切り換える作業が不要となり、作業効率が向上する。また、第1実施形態では、紫外線処理ステーション(UV)内での処理時間が1分40秒であったのが、第6実施形態では1分10秒まで短縮することができた。
次に本発明に係る第7実施形態を説明する。
第1実施形態においては、紫外線照射中、紫外線処理ステーション(UV)内は、窒素ガス雰囲気後、酸素ガス雰囲気に切り換えられるように設定されている。第7実施形態においては、紫外線照射中、紫外線処理ステーション(UV)内の雰囲気が徐々に酸素ガスが増加するように設定されている。例えば、紫外線照射の開始時点では窒素ガスを紫外線処理ステーション(UV)内に供給し、時間経過と共に徐々に酸素ガスを増加させながら窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスを紫外線処理ステーション(UV)内に供給し、紫外線照射の終了時点で、混合ガスの混合割合が窒素ガスが95%と酸素ガスが5%となるように設定する。このように、徐々に酸素ガスを増加させながら紫外線を照射することにより、紫外線照射後、紫外線処理ステーション(UV)内を窒素ガス雰囲気に置換する際に、窒素ガスをパージする時間を短縮することができる。
次に本発明に係る第8実施形態を説明する。
第1実施形態においては、紫外線処理を行うために紫外線処理ステーション(UV)を設けているが、低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)内の冷却処理室に紫外線照射手段を設け、ステップ606で行う紫外線処理を、低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)内の冷却処理室内で行うこともできる。
図14は、第8実施形態に関わる低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)の断面図である。図14において、低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)の冷却室152には、冷却板176の上部に紫外線照射ランプ53が配置されている。更に、冷却板176と紫外線照射ランプ53との間隙に向けて気体を噴出する噴出口254を有する噴出管255が配置されている。噴出管255には切り替え弁256が接続されている。切り替え弁256は制御部の制御のもとで不活性ガスとしての窒素ガス、酸素ガスボンベから供給される酸素ガスのうち一方を噴出管255に供給するための切り替えを行う。
このように低酸素キュア・冷却処理ステーション(DCC)の冷却室に紫外線照射手段を設けることにより、ステップ606及びステップ613における処理を同一のステーション内で行うことができる。
上述の実施形態においては、不活性ガスとして窒素ガスを用いているが、アルゴンガスなどを用いることもできる。アルゴンガスを用いる方が窒素ガスを用いるよりもガス中を伝播する紫外線の減衰が小さく、エネルギー効率が良い。