JP3935236B2 - 異形部材の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線方向または高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は本発明の対象である異形部材を示す説明図であり、(a)は正面、(b)は平面を示し、図2は図1(a)における夫々の位置における横断面図であり、(a)ないし(e)は夫々図1(a)におけるA−A線断面、B−B線断面、C−C線断面、D−D線断面およびE−E線断面を示す。なお図2においては簡略化のためハッチングは省略して示してある。
【0003】
図1に示すような異形部材100を例えば鉄鋼材料によって製作する場合には、図2(b)(d)に示されるような円形横断面の部分は旋削加工によって加工することができるが、図2(a)(c)(e)に示されるような正方形、正六角形および擬似十字形の横断面の部分は、極めて煩雑な特殊加工が必要であると共に、加工に要する工数および時間が極めて大となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような異形部材は、無垢の丸棒若しくはブロック材から機械加工によって製作することが極めて煩雑であると共に、機械加工が全く不可能な場合もある。従って異形部材を分割して加工後、夫々の部材を組立一体化する手段が考えられるが、異形部材の寸法が小なる場合には部材の組立自体が不可能となることもある。
【0005】
一方、上記のような複雑な異形部材を製造するには、例えば鋳造手段が採用されている。しかしながら、鋳造手段によって異形部材を製造するには、模型の製作後、この模型に基づいて鋳型を成形し、溶融金属材料を注入する等の多数の工程を必要とし、これもまた多大の工数と時間を要するのである。なお上記鋳造手段による場合には、例えばロストワックス法のような精密鋳造法によっても、高精度を確保することが困難であると共に、鋳造後の表面を極度に平滑に形成することが困難であり、鋳造後の表面の仕上加工が必要であり、異形部材の製造に要するコストが高騰するという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点を解決し、高さ方向における横断面形状が異なる異形部材を容易に製造できる製造装置を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては、高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造装置において、
フープ状の長尺の被加工材を長手方向に間欠的にピッチ送りする送り装置と、被加工材の送り方向に沿って配設され異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を成形しかつ選択的に作動可能に構成された複数個のパンチ・ダイセットと、これらのパンチ・ダイセットの被加工材送り方向最下流側に設けられ構成部材を順次押抜いて積層一体化させる積層装置とによって構成すると共に、
前記積層装置を、構成部材の通過を許容する穴を有し被加工材の下方移動を拘束するように形成された保持装置と、この保持装置の上方に設けられ構成部材を押抜きおよび積層圧着するように上下動可能の圧着パンチを備えてなる圧着装置と、前記保持装置の下方に設けられ押抜き後の構成部材を載置可能かつ上下動可能の支持部材を備えてなる支持装置とによって構成する、という技術的手段を採用した。
【0008】
本発明において、圧着パンチによる構成部材の積層圧着毎に支持部材が構成部材の厚さ寸法相当量下降しその位置で停止するように構成することができる。
また上記の発明において、横断面外形寸法を構成部材の外形輪郭より小なる複数個の寸法に形成した複数個の圧着パンチをホルダーに設け、構成部材の外形輪郭に対応して選択的に作動可能に構成することができる。この場合において、圧着パンチを垂直軸を有する回転可能に形成したホルダーにかつそれらの作動中心が前記垂直軸から等距離の位置となるように設けることができ、あるいは、内圧着パンチと中空状に形成した複数個の外圧着パンチとを同軸的に設けると共に、複数個の外圧着パンチの圧着面を夫々出没可能に形成することができる。
【0009】
更に上記の発明において、構成部材にガイド穴を加工するパンチ・ダイセットを設けると共に、支持部材を貫通して上方に突出する上下動可能なガイドピンを設け、このガイドピンに前記ガイド穴が係合することにより前記構成部材を位置決めするように構成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図3は本発明の実施の形態における異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)(b)は各々異形部材の正面および平面、(c)ないし(g)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。図3において、異形部材100は例えば前記図1に示すものと同一の形状のものであり、高さ方向の夫々の位置における横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材101〜105を複数個宛(図3においては2個宛の例を示す)積層一体化して形成される。
【0011】
106はダボ穴(半抜穴とも称される)であり、夫々の構成部材101〜105の平面の中央部に、後述するような手段によって、同一の相対位置にかつ同一の形状寸法に形成される。なお夫々の構成部材101〜105は、1個のみとしても、また3個以上の複数個としてもよく、異形部材100の形状寸法によって適宜選定される。
【0012】
図4は本発明の実施の形態における構成部材の積層一体化の例を示す要部拡大縦断面図であり、同一部分は前記図3と同一の参照符号で示す。図4において、107はダボであり、ダボ穴106と同軸的に形成される。このようなダボ穴106とダボ107を形成するには、例えば横断面が円形のパンチおよびダイを使用し、パンチのダイへの進入深さdを構成部材103〜105(図3における構成部材101、102についても同様)の厚さ寸法tより小に形成することによって可能である。なお上記ダボ穴106およびダボ107は、図3における構成部材101〜105を、例えば鉄板からパンチ・ダイセットにより打抜き成形と同時に形成してもよく、または構成部材101〜105の打抜き成形と別個の工程で成形してもよい。
【0013】
上記のようにして成形した構成部材101〜105を、図4に示すように隣接する構成部材間において、ダボ穴106にダボ107を係合させて圧着すれば、構成部材101〜105を順次積層一体化させることができる。この場合において、ダボ穴106およびダボ107は、夫々の構成部材101〜105の中央部に、かつ同一の相対位置に同一の形状寸法に形成されて設けられているから、積層一体化における位置決めともなる。なお構成部材105の最下層のものにはダボ107を形成することなく、貫通した通し穴106aを形成することが好ましい。以上のようにして構成部材101〜105を順次積層一体化すれば、図3(a)(b)に示すような異形部材100を製造することができる。
【0014】
図5は本発明の実施の形態における他の異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)は異形部材の縦断面、(b)ないし(e)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。図5において、異形部材200は前記図3に示すものと同様に、例えば鉄板からパンチ・ダイセットにより打抜き成形された構成部材201〜204により積層一体化されて構成される。
【0015】
図5において、205はダボ穴であり、夫々の構成部材201〜204の例えば上面に形成され、それらの下面には前記図4に示すものと同様にダボ穴205と同軸的にダボ(図示せず)が形成されている。206はガイド穴であり、夫々の構成部材201〜204に貫通して設けられ、積層圧着時において積層装置に立設されたガイドピンに係合することにより、前記構成部材201〜204の位置決め精度をより向上させるためのものである。なお207は中空穴、208はスプライン穴であり、構成部材201および構成部材202〜204の中心部に貫通して設けられる。
【0016】
上記のように成形した構成部材201〜204を図5(a)に示すように順次積層一体化すれば、夫々複数個の構成部材201〜204により異形部材200が形成される。すなわち、構成部材202,204によって歯車部が、また構成部材203によってカム部が夫々外周面に形成され、カム部と歯車部との間にスペーサー部が形成され得るのである。なお構成部材201〜204は、ダボ穴205とダボ(図示せず)との係合に加えて、ガイド穴206がガイドピンに係合することにより、位置決め精度がより向上されるから、上記のカム部および歯車部の外周表面が正確に合致し、高精度に形成され、所定の機能を充分に発揮させ得るのである。
【0017】
図6は本発明の実施の形態を示す要部正面図である。図6において、1は送り装置、2はパンチ・ダイセット、5は積層装置であり、被加工材4の送り方向に沿ってこの順に配設される。すなわち、送り装置1は、フープ状に巻き取られた被加工材4を、長手方向に間欠的にピッチ送りするように構成され、例えば被加工材4の送り方向の最上流側に設けられる。なお送り装置1の設置位置は積層装置5の下流側としてもよく、また後述するベースマシン3、3間としてもよい。
【0018】
次にパンチ・ダイセット2は後述するように構成され、被加工材4の送り方向にmP(mは任意の正の整数、Pは被加工材4の送りピッチ)の間隔に配設される。なおパンチ・ダイセット2は、例えばベースマシン3内に複数個(図6においては3個)設けられると共に、夫々のパンチ・ダイセット2は、被加工材4の送り方向に位置調整可能に、および夫々選択的に作動可能に構成されている。これらの複数個のパンチ・ダイセット2は、夫々前記図3および図5に示すような構成部材を成形可能とするため、構成部材の種類に対応して設けられる。この場合、複数個のパンチ・ダイセット2を備えたベースマシン3を、被加工材4の送り方向に沿って適宜の台数をタンデムに連結して構成することができる。
【0019】
次に積層装置5は被加工材4の送り方向の最下流側に、前記パンチ・ダイセット2とnP(nは任意の正の整数)の間隔を置いて設けられ、ベース51、保持装置52、支持装置53および圧着装置54によって構成される。まず保持装置52には被加工材4の下方移動を拘束し、かつ構成部材(図示せず、例えば図3における符号101〜105参照)の通過を許容する穴55を有する保持プレート56と、被加工材4を押圧解放可能に形成されたガイド部材57とを設ける。また保持装置52の下方に設けられる支持装置53は、前記構成部材および異形部材100を載置可能に形成される。
【0020】
更に保持装置52の上方に設けられる圧着装置54には、前記構成部材を被加工材4から押抜いて積層圧着するように、上下動可能に形成された圧着パンチ58を設ける。なお圧着パンチ58は、前記構成部材の外形輪郭と類似または対応する外形輪郭のものを複数個準備し、ホルダー59に設けられ、例えばホルダー59の垂直軸の回りの回動により、所定の圧着パンチ58が選択的に被加工材4の直上に臨むように構成されている。60は作動装置であり、例えば油圧シリンダによって構成され、ベース51上に立設されたコラム61および支持板62を介して、前記圧着パンチ58に作動部材63が当接離脱するように構成されている。
【0021】
図7は図6におけるパンチ・ダイセット2の例を示す要部側面図である。図7において、21は本体であり、例えば鉄鋼材料により略U字状に形成し、下端部に鳩尾状のあり22を一体に設け、ベース20に設けたあり溝23と係合させることによって、被加工材4の送り方向(紙面と直角方向)に移動調整可能、かつ被加工材4の送り方向と直角方向、すなわち図7における左右方向の移動を拘束するように形成する。そして本体21を位置決め後において、クランプ装置24によってベース20上に固定するのである。なおパンチ・ダイセット2としては、上型と下型とを4本のガイドバーによって連結した門型の本体を使用したものとしてもよい。
【0022】
次に25はカセットであり、例えば鉄鋼材料によって略U字状に形成し、上部にパンチ26を上下動可能に、下部にパンチ26と対をなすダイ27を設け、本体21に着脱可能に設ける。28はクランプねじであり、カセット25を本体21に固定するためのものである。29は油圧シリンダであり、本体21の上端部に設けられ、作動桿30を介してパンチ26を作動させ得るように構成する。
【0023】
図8は本発明の実施の形態におけるプッシュバック装置の例を示す要部拡大縦断面図であり、(a)は構成部材を打抜いた状態、(b)は構成部材をプッシュバックした状態を示し、同一部分は前記図4および図7と同一の参照符号で示す。なお構成部材は符号104として表示する。図8において、31はストリッパであり、パンチ26の作動前後において被加工材4をダイ27の表面に押圧保持するものである。32はプッシュバック装置であり、ダイ27内に設けられ、受け部材33と、この受け部材33を上方に付勢する圧縮コイルばね34とによって構成される。なお受け部材33の上方への付勢手段としては、油圧シリンダ等の駆動手段を使用してもよい。
【0024】
上記の構成により、まず図8(a)に示すようにストリッパ31によって被加工材4をダイ27の上面に押圧した状態でパンチ26を下降させると、構成部材104が打抜き成形されると共に、構成部材104は受け部材33上に載置保持される。次にパンチ26が上昇してもストリッパ31はなお被加工材4を押圧した状態を継続するから、図8(b)に示すように構成部材104は圧縮コイルばね34の上方への付勢力により受け部材33を介して、被加工材4の打抜穴35内に押込み係止される。従ってその後の被加工材4のピッチ送りにより、被加工材4と共に最終ステージまで搬送され得るのである。
【0025】
図9は本発明の実施の形態における被加工材の加工態様を示す要部平面図であり、前記図3に示す異形部材100を製造するための構成部材101〜105を加工する場合を示している。図9において、被加工材4は前記図6に示す送り装置1により矢印方向に定ピッチP宛間欠的にピッチ送りされる。6はパイロット穴であり、前記図6に示すパンチ・ダイセット2の最上流側のものにより、被加工材4に定ピッチPの間隔で規則的に加工され、以後の加工工程における位置決めの基準穴となる。
【0026】
次に前記同様のパンチ・ダイセット2により、ダボ穴106およびこれと同軸的にダボ(図示せず、図4における符号107参照)を加工する。この場合、パンチ・ダイセット2にはパイロット穴6と係合するパイロットピンを設け、パンチ・ダイセット2による加工位置は上記パイロット穴6を基準として位置決め加工される(以後の加工工程におけるパンチ・ダイセットにおいても同様とする)。
【0027】
更に被加工材4を順次ピッチP宛送りながら、構成部材101〜105の打抜きおよびプッシュバックを行う。この場合には、前記図6におけるパンチ・ダイセット2として構成部材101〜105の外形輪郭に対応する5種類のパンチ・ダイを備えたものを配設し、それらのパンチ・ダイセット2を夫々選択的に作動可能に形成しておく。そして前記図3に示す異形部材100に対応する構成部材101〜105を例えば夫々2個宛成形し、図9に示すように順次加工を進める。なお打抜き成形された構成部材101〜105は、前記図8に示すようにして被加工材4の打抜穴35内に押込み係止(プッシュバック)され、被加工材4と共に最終ステージまで搬送される。
【0028】
上記のようにして被加工材4にプッシュバックされた構成部材101〜105は、前記図6において最終ステージに設けられた積層装置5に搬送され、構成部材105→101の順に順次積層一体化される。すなわち、ガイド部材57の下降により、被加工材4のパイロット穴にパイロットピンが係合して位置決め押圧した状態で、作動装置60を作動させ、作動部材63および圧着パンチ58を介して上記構成部材101〜105を被加工材4から順次押抜いて、支持装置53上に載置する。
【0029】
この場合、構成部材101〜105は被加工材4に形成された打抜穴35(図8参照)がダイの役割をすると共に、前記構成部材101〜105は夫々打抜穴35によってガイドされて積層され、隣接する構成部材間は前記図4に示すようにダボ穴106にダボ107が係合するから、一体化が可能となるのである。なお保持装置52上の保持プレート56に設けられる穴55は、構成部材101〜105の最大外形輪郭より大に形成されているため、構成部材101〜105の何れをも支障なく通過させることができる。また構成部材101〜105を支持する支持装置53は、圧着パンチ58による構成部材101〜105の積層圧着毎に、それらの厚さ寸法相当量だけ下降し、その位置で停止するように構成することが好ましい。以上のようにして図3に示す異形部材100が形成された後、これを支持装置53から排出し、次の積層圧着を繰返すのである。
【0030】
図10および図11は各々本発明の実施の形態における積層装置の他の例を示す一部断面正面図および一部断面側面図であり、同一部分は前記図6と同一の参照符号にて示す。図10および図11において、保持プレート56上には、材料ガイド64を上下動可能に設け、被加工材4の長手方向縁辺部と係合するように、かつ被加工材4の長手方向移動を許容し、送り方向と直交する方向の移動を拘束するように形成する。
【0031】
次に65はホルダー支持部であり、ベース51上に設けられ、例えば同一円周上に複数個の圧着装置54を備えてなるホルダー59を支持するように形成すると共に、ホルダー59を垂直軸の回りに回動させて所定の圧着パンチ58が選択的に被加工材4の直上に臨むように形成する。66は駆動モータであり、ホルダー支持部65に設けられ、前記ホルダー59と接続され、ホルダー59を選択的に回動可能に形成されている。なお圧着装置54を構成する圧着パンチ58は、ホルダー59にブッシュ67を介して上下方向摺動可能に介装された作動桿68の下端部に設けられている。69は圧縮コイルばねであり、作動桿68に介装されてこの作動桿68を上方に付勢するように形成する。
【0032】
次に支持装置53の構成について説明する。まず支持装置53は、全体をベース51に設けられた支持棒70および支持プレート71によってベース51内に介装支持されている。72は載置台であり、ベース51を貫通して設けられたガイドバー73およびガイドプレート74ならびに支持プレート71に立設され上端部におねじ75を備えてなる支持シャフト76を介して支持されている。77はめねじ部材であり、ガイドプレート74に設けられ、前記おねじ75と螺合する。なお前記おねじ75およびめねじ部材77のめねじは、多条ねじとし、リードが大になるように形成することが好ましい。
【0033】
78はブレーキ装置であり、支持プレート71の下方に取付部材79を介して設けられ、前記支持シャフト76の下端部と係合し、支持シャフト76の回転を制動解除可能に形成する。80は駆動モータであり、支持プレート71に設けられ、前記支持シャフト76を正逆回転可能に構成する。
【0034】
次に81は油圧シリンダであり、ベース51に設けられると共に、その作動桿82を上方に突出させ、かつ作動桿82の上端部には支持部材83を介して、載置台72を貫通するガイドピン84を上下動させ得るように構成する。85、86は各々排出装置および排出シュートであり、ベース51上に設けられ、積層圧着後の異形部材例えば200を載置台72上から排出可能に構成する。
【0035】
上記の構成により、前記図6に示す複数個のパンチ・ダイセット2を選択的に作動させることにより、前記図9に示すように例えば構成部材101〜105を打抜成形およびプッシュバックにより押込み係止された被加工材4が、最終ステージである図10および図11に示す積層装置5に搬送されると、材料ガイド64が下降して被加工材4を保持プレート56上に押圧固定する。
【0036】
次に駆動モータ66の作動により、構成部材の押抜きに適合する圧着パンチ58を被加工材4の直上に臨ませ、油圧シリンダ60の作動により圧着装置54を駆動し、被加工材4から構成部材を押抜いて支持装置53を構成する載置台72上に載置する。この場合、載置台72上には予め油圧シリンダ81の作動により、ガイドピン84が突出しており、かつ押抜かれる構成部材には前記図5に示すようなガイド穴206が設けられているから、ガイドピン84にガイド穴206が係合することにより、例えば構成部材201〜204が位置決めされた状態で載置台72上に載置される。
【0037】
圧着パンチ58を上方に退避させた後、被加工材4を1ピッチPだけピッチ送りし、次の構成部材を上記同様にして、先の構成部材上に押抜き積層圧着する。圧着パンチ58の作動により、隣接する構成部材間は前記図4に示すように、ダボ穴106にダボ107が係合することにより、安全かつ強固に積層圧着されるのである。
【0038】
上記圧着パンチ58による積層圧着時においては、駆動モータ80は不作動状態にしてあるが、ブレーキ装置78を制動状態にしておくことにより、載置台72をその位置で停止させることができる。そして圧着パンチ58による構成部材の積層圧着時の押圧力により、めねじ部材77を介してこれと螺合するおねじ75が回動され、載置台72が構成部材の1枚の厚さ寸法相当量だけ下降し、その位置で停止する。すなわち、圧着パンチ58の押圧力をブレーキ装置78の制動力より大になるように構成しておくことにより、上記のような構成部材を載置する載置台72の逐次下降、停止を繰り返すことができ、所定個数を積層一体化してなる異形部材200を形成することができるのである。
【0039】
上記のように異形部材200を形成した後、油圧シリンダ81の作動により、ガイドピン84を載置台72の下方に下降させ、排出装置85の作動により積層圧着後の異形部材200を、排出シュート86を介して排出することができる。異形部材200を載置台72から排出後、ブレーキ装置78を解除した状態で駆動モータ80を作動させ、支持シャフト76の回転により、載置台72を保持プレート56の直下まで上昇させ、駆動モータ80を停止し、ブレーキ装置78を制動状態とし、載置台72をその位置に確保する。次に油圧シリンダ81の作動により、ガイドピン84を載置台72上に突出させ、次の構成部材の受け入れを可能にし、以下上記動作を繰り返すのである。
【0040】
図12および図13は各々本発明の実施の形態における圧着装置の他の例を示す要部断面図および一部断面要部側面図であり、同一部分は前記図10および図11と同一の参照符号で示す。図12および図13において、110はパンチホルダーであり、例えば上板111、中板112および下板113からなると共に、これらを図示省略した締結手段により積層一体化させて構成し、作動桿68の下端部に固着する。
【0041】
次に114はガイド部材であり、例えば上板115及び下板116を図示省略した締結手段により重合させて構成し、前記パンチホルダー110とボルト117を介して接続し、中板112と下板116との間に圧縮コイルばね118を介装し、パンチホルダー110とガイド部材114とが当接・離脱可能となるように構成する。119はパイロットピンであり、ガイド部材114にその下方に突出するように設けられ、前記図9に示すパイロット穴9と係合し、被加工材4の位置決めが可能のように構成する。120はガイドピンであり、パンチホルダー110にボルト121を介して設けられ、その下端部がガイド部材114を貫通し、かつガイド部材114と摺動可能に形成する。
【0042】
122,123は各々内圧着パンチおよび外圧着パンチであり、例えば横断面円形に形成されると共に、各々同軸的かつ上下方向相対移動可能に形成され、各々パンチホルダー110を構成する中板112および下板113に設けられる。すなわち、内圧着パンチ122はボルト124を介して中板112に固着され、外圧着パンチ123は上端部のフランジ125を介して下板113に嵌着される。126は圧縮コイルばねであり、下板113内に設けられ、外圧着パンチ123をフランジ125を介して上方に付勢するように形成する。127は作動ピンであり、外圧着パンチ123のフランジ125に植設され、それらの上端部が上板111内に設けられたカム室128内に突出するように形成する。
【0043】
次に129は傾斜カムであり、カム室128内において水平方向移動可能に設けられると共に、前記作動ピン127の上端部と接触するように形成する。130はエアシリンダであり、作動桿131を介して前記傾斜カム129と連結する。なおエアシリンダ130を作動させて、傾斜カム129および作動ピン127を介して前記外圧着パンチ123を下方に作動させた場合に、内圧着パンチ122および外圧着パンチ123の下端面が面一になるように形成する。
【0044】
上記の構成により、例えば図12および図13に示すように、エアシリンダ130の作動により傾斜カム129および作動ピン127を介して外圧着パンチ123を下降させた状態、すなわち内圧着パンチ122および外圧着パンチ123の下端面が面一の状態で、作動桿68を下降させると、上記両圧着パンチ122、123が協動して被加工材4に係止された構成部材(図示せず)を押抜き、積層圧着することができる。
【0045】
すなわち、作動桿68の下降により、まずガイド部材114に設けられたパイロットピン119が被加工材4に設けられたパイロット穴(図示せず、図9における符号6参照)に係合して被加工材4に係止された構成部材の位置決めがされる。次いでガイド部材114により材料ガイド64(図示省略した圧縮コイルばねで上方に付勢されている)を押下げ、更に被加工材4を保持プレート56との間で押圧保持する。この状態において内外圧着パンチ122、123により、被加工材4から構成部材が押抜かれ、ガイドピン84を介して載置台72上に載置されるのである。
【0046】
次に構成部材の外形輪郭寸法の小なるものに対しては、エアシリンダ130を逆方向に作動させて図13に示すように傾斜カム129を鎖線の位置に選択的に移動させる。これにより外圧着パンチ123は圧縮コイルばね126により上方に付勢されるから、外圧着パンチ123は被加工材4に当接せず、作動桿68の下降によって内圧着パンチ122のみが被加工材4の構成部材を押抜くように作用する。従って前記図9に示すような外形輪郭寸法の小なる、例えば構成部材102に対しても円滑な押抜き圧着が可能である。
【0047】
一方構成部材101のような外形輪郭寸法の大なるものに対しては、前記のように内外圧着パンチ122、123を協動して作用させるようにし、被加工材4からの押抜き圧着作業を円滑かつ確実に実施できるのである。すなわち、1個の圧着装置により構成部材の外形輪郭寸法に対応して内外圧着パンチ122、123を選択的に作動させ得るのである。
【0048】
上記の実施の形態において、図10および図11に示すものはホルダー59が垂直軸の回りに回動するように構成されているが、ホルダー59を被加工材4の上方において水平方向に移動可能に構成してもよい。要するにホルダー59に設けられかつ横断面外形寸法が被加工材4に係止された構成部材の外形輪郭より小なる複数個の寸法に形成された複数種類の圧着パンチ58が、構成部材の外形輪郭に対応して選択的に作動可能に構成されていればよい。
【0049】
また図10および図13に示す油圧シリンダ81およびエアシリンダ130に代えて他の流体圧シリンダとしてもよく、更には他の直線方向駆動手段としてもよい。更に図12および図13における内外圧着パンチ122、123の横断面輪郭形状は円形以外のものでもよく、要するに押抜き積層すべき構成部材の外形輪郭を勘案して適宜に選定することができる。なお図12および図13においては、外圧着パンチ123が1個の場合を示しているが、これを複数個としてもよく、押抜くべき構成部材の外形輪郭寸法と対応して選択的に作動するように構成することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上記述するような構成および作用であるから、下記の効果を奏することができる。
(1)通常の機械加工では不可能であるような異形部材であっても、比較的容易に製造することができる。
(2)異形部材の局部的仕様変更に対しても、構成部材の一部を変更することにより迅速に対応でき、多品種少量生産も可能である。
(3)板材を積層したものに拘らず、夫々の構成部材間の固着強度が大であり、高機能の異形部材の製造が可能である。
(4)複数種類の構成部材を長尺状の被加工材と共に順送り加工によって製作するため、工程管理および部品管理が容易であり、素材からの一貫生産により高効率かつ低コストの生産が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象である異形部材を示す説明図であり、(a)は正面、(b)は平面を示す。
【図2】図1(a)における夫々の位置における横断面図であり、(a)ないし(e)は夫々図1(a)におけるA−A線断面、B−B線断面、C−C線断面、D−D線断面およびE−E線断面を示す。
【図3】本発明の実施の形態における異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)(b)は各々異形部材の正面および平面、(c)ないし(g)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。
【図4】本発明の実施の形態における構成部材の積層一体化の例を示す要部拡大縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における他の異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)は異形部材の縦断面、(b)ないし(e)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。
【図6】本発明の実施の形態を示す要部正面図である。
【図7】図6におけるパンチ・ダイセット2の例を示す要部側面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるプッシュバック装置の例を示す要部拡大縦断面図であり、(a)は構成部材を打抜いた状態、(b)は構成部材をプッシュバックした状態を示す。
【図9】本発明の実施の形態における被加工材の加工態様を示す要部平面図である。
【図10】本発明の実施の形態における積層装置の他の例を示す一部断面正面図である。
【図11】本発明の実施の形態における積層装置の他の例を示す一部断面側面図である。
【図12】本発明の実施の形態における圧着装置の他の例を示す要部断面図である。
【図13】本発明の実施の形態における圧着装置の他の例を示す一部断面要部側面図である。
【符号の説明】
2 パンチ・ダイセット
4 被加工材
5 積層装置
101〜105 構成部材
Claims (3)
- 高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造装置において、
フープ状の長尺の被加工材を長手方向に間欠的にピッチ送りする送り装置と、被加工材の送り方向に沿って配設され異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を成形しかつ選択的に作動可能に構成された複数個のパンチ・ダイセットと、これらのパンチ・ダイセットの被加工材送り方向最下流側に設けられ構成部材を順次押抜いて積層一体化させる積層装置とによって構成すると共に、
前記積層装置を、構成部材の通過を許容する穴を有し被加工材の下方移動を拘束するように形成された保持装置と、この保持装置の上方に設けられ構成部材を押抜きおよび積層圧着するように上下動可能の圧着パンチを備えてなる圧着装置と、前記保持装置の下方に設けられ押抜き後の構成部材を載置可能かつ上下動可能の支持部材を備えてなる支持装置とによって構成し、
かつ圧着パンチによる構成部材の積層圧着毎に支持部材が構成部材の厚さ寸法相当量下降しその位置で停止するように構成し、
さらに横断面外形寸法を構成部材の外形輪郭より小なる複数個の寸法に形成した複数個の圧着パンチをホルダーに設け、構成部材の外形輪郭に対応して選択的に作動可能に構成したことを特徴とする異形部材の製造装置。 - 高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造装置において、
フープ状の長尺の被加工材を長手方向に間欠的にピッチ送りする送り装置と、被加工材の送り方向に沿って配設され異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を成形しかつ選択的に作動可能に構成された複数個のパンチ・ダイセットと、これらのパンチ・ダイセットの被加工材送り方向最下流側に設けられ構成部材を順次押抜いて積層一体化させる積層装置とによって構成すると共に、
前記積層装置を、構成部材の通過を許容する穴を有し被加工材の下方移動を拘束するように形成された保持装置と、この保持装置の上方に設けられ構成部材を押抜きおよび積層圧着するように上下動可能の圧着パンチを備えてなる圧着装置と、前記保持装置の下方に設けられ押抜き後の構成部材を載置可能かつ上下動可能の支持部材を備えてなる支持装置とによって構成し、
かつ圧着パンチによる構成部材の積層圧着毎に支持部材が構成部材の厚さ寸法相当量下降しその位置で停止するように構成し、
さらに前記圧着パンチを内圧着パンチと中空状に形成した複数個の外圧着パンチとを同軸的に設けて形成すると共に、複数個の外圧着パンチの圧着面を夫々出没可能に形成したことを特徴とする異形部材の製造装置。 - 圧着パンチを垂直軸を有する回転可能に形成したホルダーにかつそれらの作動中心が前記垂直軸から等距離の位置となるように設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の異形部材の製造装置。
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