JP3934636B2 - トラクタのキャビン - Google Patents
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Description
従来例の2は、左右の後ピラーが左右フェンダの後端上面に立設されているため、従来例の1に比べて側方視界は良好ではあるものの、後方視界、特に、左右両側のコーナー部における後方視界が犠牲になっていた。
従来例の3は、従来例の2と同様な課題があるとともに、中間ピラーによって前方斜め方向の視界性が犠牲になっていた。
更に、キャビンには、ルーフ(屋根、天井部)の前方側に、ラジオカセット、空調装置等の機能部品が配置されており、これではキャビン内においてオペレータは圧迫感を受け易く、快適な運転ができ難いという課題があるし、一方、フロア廻りに前記機能部品を付帯(配置)することは特に、中形トラクタにあっては多くの制約があった。
すなわち、本発明に係るトラクタのキャビンは、キャビンの骨格体である左右の後ピラーを座席に近接してやや後方に配置し、該後ピラーの後縁部で平面視U字形のリヤガラスの装着部を構成していることを特徴とするものである。
このような構成を採用したことにより、後ピラーは座席の真横にないことから、側方視界は確保できるし、リヤガラスの装着部におけるコーナー部には、後ピラーはなく後方視界、特に、左右両側の視界は良好となったのである。
このような構成を採用したことにより、ドアは三次元的に開閉動作され、該ドアの前下部が後上り状に開くことから、ドア開度が小さくとも乗降空間は広くできたのである。
更に、本発明は、キャビンの骨格体である左右の後ピラーを座席に近傍してやや後方で左右のフェンダに立設し、該左右のフェンダに、空調装置の制御部、肘乗せ台、ラジオカセット等を装着していることを特徴とするものである。
また、本発明は次のことを特徴とする。
トラクタ車体に左右一対の前支柱及び後支柱を有するキャビン骨格体を備えるキャビンを搭載しており、このキャビンの上下方向中途部の居住空間を外方に広がらせるべく、キャビン骨格体を外方膨出状に湾曲していることを特徴とする。
前記左右一対の前支柱を下部より上部が後方に位置する後方傾斜状に形成していることを特徴とする。
前記キャビン骨格体は左右後支柱の上下部間を互いに連結する上下リヤ連結体と、前記左右後支柱および上下リヤ連結体で囲まれたリヤガラスとを備えており、前記上下リヤ連結体を平面視において左右の後支柱の後方に丸味形状の左右コーナー部を有するとともにキャビン外方に弯曲突出していることを特徴とする。
本発明に係るトラクタのキャビン1の全体側面を示している図1および全体正面(前面)を示している図2並びに全体背面(後面)を示している図3において、キャビン1はトラクタ車体2に図示省略した前後左右に備えた防振支持体を介して搭載されており、該キャビン1は、操縦ハンドル3と運転席4とを前後に配置して構成されている操縦運転装置5を取囲んでいる。
トラクタ車体2は実質的にミッションケースで構成されていて、その後部上面には左右一対のリフトアーム6を有する作業機昇降用の油圧装置7が備えられており、符号8は左右の後輪を示している。
ここで、フロアシート16はウォークスルー部18、座席装着部17および背面板20を板金のプレス成形にて一体に形成されており、図7〜9で示すように補強リブ21およびチェンジレバー案内孔22等が形成されている。
但し、フロアシート16は、ウォークスルー部18、座席装着部17および背面板20を個別にプレス成形してこれらを接合したものであってもかまわないし、補強リブ21の形態も任意である。
この場合、図9で示すように上取付金具24はピラー13の孔13Aに適合する挿嵌部24Aと天井下面に対するスポット溶接部24Bとを有し、挿嵌部24Aをピラー13の孔13Aに挿嵌してアーク溶接しているとともに、内張金具25はピラー13の外周にアーク溶接しており、一方、下取付金具26はその凹部26Aをピラー13の内側外周に当接させてアーク溶接しており、このように、ピラー13の上下にそれぞれ取付金具24,25,26を予め固着した状態にしておいて、スポット溶接部24B,25Aは組立(生産)ラインにおいて天井部19にスポット溶接し、スポット溶接部26Bはステップ12にスポット溶接しているのである。
なお、ピラー13はこれを板金製で構成することも可能であり、この場合、ピラー13の上端部に天井部9の左右前端に末広り状の連結部23を介して接合され、いずれにしても図2で示すようにピラー13をキャビン外方に弯曲突出させることにより、前面ガラスを介しての前方視界を良好にしているとともにキャビン1の居住空間の拡大を図っている。
装着部29は、左右のピラー11における下端部間若しくは左右フェンダ10の上端部間を互いに連結する平面視にてU字状若しくはコ字形状とされている下リヤ連結体30と、左右のピラー11における上端部間を互いに連結する平面視にてU字形若しくはコ字形状とされている上リヤ連結体31と左右のピラー11における後縁部とによって構成されており、下リヤ連結体30は実質的にフロアシート16における背面板20の上縁を形成し、一方、上リヤ連結体31は実質的に天井部9の後縁を形成している。
上記装着部29は、実質的に前方入込状とされており、この装着部29に球面状で外方に拡大したリヤガラス28の上端部がヒンジ金具28Aを介して図10および図11で示すように開閉自在に装着されており、該リヤガラス28の開閉動作は把手32をオペレータが後方に押込むことにより、左右対のガスダンパー部材33を介してゆっくりと開動作され、一方、把手32をガスダンパー部材33のガス圧等に抗して前方に引込むことによりゆっくりと閉動作され、図示省略した施錠具によって閉姿勢を保持可能である。
この実施例では外気導入体35を有することから、上リヤ連結体31は外気導入路のダクトを構成するため中空構造とされており、該上リヤ連結体31に連結されている左右ピラー11も外気導入路のダクトを構成するために中空構造とされており、図12の矢示Aで示すように左右ピラー11の下部およびフェンダ10に形成した図示省略のダクトを介してフロアシート16における背面板20部分に形成したダクト36を介して内外気導入切換ダンパ装置に導入可能である。
図12を参照すると、エアコン本体39は左右フェンダ10における一方の立面部10Aとトラクタ車体2の側面との間でキャビン1の下部に着脱自在に装着されており、実質的にフロアシート16でその上方が覆われており、ここに、エアコン本体39を座席4側方に近接配置することによって該エアコン本体39を天井部9に配置したものに比べキャビン1の居住空間特に、ヘッドクリアランスを拡大できるとともに熱損(熱エネルギーの損失)および圧損(圧力損失)を防止しているとともに、エアコンホース(図示せず)を取外さなくとも取り外せるようになっている。
図12で示すように、分岐ダクト41は分岐主ダクト141と、これの一側方(図では右フェンダ側)に連通接続されていて一方(右側)のフェンダ10における天板部10Bの円弧面に沿って添接されている一方の分岐側ダクト241と、フロアシート16の立面部19の前面にあって分岐主ダクト141に連通接続されていて他側方(左フェンダ)に向って延伸されている連絡ダクト341と、該連絡ダクト341に連通接続されていて他方(左側)のフェンダ10における天板部10Bの円弧面に沿って添接されている他方の分岐側ダクト441と、左右の分岐側ダクト241,441の下部に連通接続されていて左右ステップ12の上面で前方に延伸する左右の連絡ダクト541と、ボンネットの外郭を形造っており、操縦パネルの取付板42の左右で立上っていて左右の連絡ダクト541に連通接続されているデフロスタダクト641とで構成されている。
左右の分岐側ダクト241,441には、座席4におけるオペレータの胴廻り(太もも、臀部、腰部、腹部、肩部等の上半身を含む)に対する吹出口43A,43Bが上下に間隔をおいて形成されているとともに、足元部分すなわちステップ12のやや上方に対する吹出口44A,44Bが上下に間隔をおいてかつ内外に形成されていて、該吹出口44A,44Bの下段吹出口44Bが外側にあってステップ12の上面における砂等をキャビン外に放出可能とされている。
連絡ダクト341にも、その左右、左右と中間部に吹出口45が形成されており、また、ダクト541とダクト641との接合部にも後方に向う吹出口46が形成されているとともに、ダクト641には前面ガラスの左右スカート部47A,47Bに対する吹出口48A,48Bが上下に間隔をおいて設けられている。
なお、左右のダクト641を横ダクトで連通連絡したときには、該横ダクトについても吹出口が形成されることが望ましい。
更に、図示していないが吹出口に付設した羽板とともに吹出口の開口面積を大中小に調整可能なシャッタを付設することにより、送気量、送気圧を調節可能にすることが望ましい。
図14を参照して各吹出口からの送気方向Bおよび送気流Cを示しているように、内気導入口37に対して循環流となってエアコン本体39に送気流が起ることにより、内気導入口37において室内気の短絡(ショートカット)が防止できて熱交換効率を向上している。
図6は天井部9の主体部119と、フロアシート16とを板金製として分離構成し、天井部9の左右側縁219、ピラー11および13並びに左右フェンダ10をスポット溶接等によって枠組みしたものである。
図7はドア15のためのドア枠115が板金製で一体成形されており、該ドア枠115を板金製左右フェンダ10の天板部10Aを介して板金製フロアシート16で互いにスポット溶接などで接合しているとともに、左右のドア枠115における天板枠部分115Aを板金製の天井部9で互いにスポット溶接にし接合したものである。
なお、ピラー(前後左右のものを含む)を板金製としたときは、その断面は長方形(偏平形)で内部に中空部を有するものとされる。
図15〜図17を参照すると、左右フェンダ10の天板部10Bに切欠部10Dを形成してこの切欠部10Dに左右の後ピラー11を嵌挿してスポット溶接等によって座席4に近接しかつやや後方に後ピラー11が配置したキャビン1が示してある。
また、キャビン天板部9には、前方左右中間部にルームランプ58、座席4の左右上方にスピーカ59が配置されている。
図18および図19を参照すると、チェンジレバー60をフェンダ10の天板部10Bに装着したものが示してある。
チェンジレバー60は、例えば、クリープ変速用、副変速用等であり、その下部が防振ゴム筒を有するヒンジ金具61によって前後方向に操作可能として装着され、レバー60の中途と、フォーク軸62のアーム62Aとを連動ロッド63にて連結している。
図20乃至図24を参照すると、開閉ドア15にバックミラー64を装着した実施形態が示してある。
すなわち、従来では、前支柱13にブラケットを介してバックミラー64が装着されていたが、これでは乗降時に邪魔になっていた。
そこで図20〜24に示すものは、バックミラー64のアーム65における座65Aをドア15の外側にパッキン66を介して押し当て、ドア15の内側に備えたパッキン67を押え板68で押し当てた状態でボルト・ナット等の締結具70で装着したものである。
図22を参照すると、ラジオカセット(以下、ラジカセという)57の装着形態が示してあり、左フェンダ10の天板部10Bに矢示E方向で出入自在とされている。
天板部10Bの外側にステー71を、内側に開口部72Aを有するステー72を取付けており、ラジカセ本体57Aに付設したブラケット73をステー72に係着部73Aにて係着させるとともに、防振ゴム付止具74にて着脱自在に止着し、開口部75Aを有するカバー75にて施蓋している。
9 天井部
10 フェンダ
11 ピラー(後)
12 ステップ
13 ピラー(前)
15 ドア
16 フロアシート
28 リヤガラス
29 リヤガラス装着部
Claims (2)
- 操縦運転装置を取囲んでトラクタ車体に防振支持体を介して搭載されているトラクタのキャビンにおいて、
前記キャビンは、キャビン天井部と左右ステップとを左右前支柱で連結し、キャビン天井部と左右フェンダとをドアを装着する左右後支柱で連結し、左右フェンダをフロアシートで連結し、左右後支柱の上部間を上リヤ連結体で連結し、かつ左右後支柱の下部間を下リヤ連結体で連結したキャビン骨格体を備えており、
前記左右前支柱を、上下方向両端から中途部に行くに従って徐々に左右方向外方に向かう外側方膨出状に弯曲するとともに、下部より上部が後方に位置する後方傾斜状に形成しており、
前記キャビン天井部と後支柱とは前記前支柱とともにキャビンの外側面を形成し、このキャビンの上下方向中途部の居住空間を外方に広がらせるべく、前記前支柱とともに後支柱をキャビン天井部とフェンダとの間で外側方膨出状に弯曲しており、
前記上下リヤ連結体を平面視において左右の後支柱の後方に丸味形状の左右コーナー部を有して左右後支柱から後方へ突出した平面視U字形状に形成していることを特徴とするトラクタのキャビン。 - 前記キャビン骨格体は左右後支柱および上下リヤ連結体で囲まれたリヤガラスを備えており、このリヤガラスは上下方向中途部を上下リヤ連結体よりも後方へ突出した球面状でありかつ平面視U字形であることを特徴とする請求項1に記載のトラクタのキャビン。
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